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令和7年度 春期 午後Ⅰ

令和7年度 春期に実施されたITストラテジスト試験 午後Ⅰの全3問(記述式)です。事例本文・設問・解答例と解説をそのまま読めます。

この試験について:ITストラテジスト試験について

この年度を解いてみる

問1 スタートアップ企業における IT を活用した新たなビジネス領域の開拓

スタートアップ企業における IT を活用した新たなビジネス領域の開拓に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

Y 社は,動画解析サービスを専門とするスタートアップ企業であり,5 年前に情報系大学の教授とその研究室メンバーが起業した。創業以来,順調に業績を伸ばし,母体となった大学の卒業生を中心に優秀な開発技術者を多数抱えている。Y 社は,動画解析技術の専門性を生かして,今後 5 年以内の IPO(株式上場)を目指している。

〔Y 社の特徴〕

Y 社の特徴は次のとおりである。

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕

Y 社は 5 年以内の IPO を実現するための成長戦略として,順調に業績を伸ばしている動画解析サービスの領域を拡大し,新たなビジネス領域の開拓を目指すこととした。

Y 社は,新たなビジネス領域の候補として,昨今のセキュリティ意識の高まりを受けて市場が拡大を続ける監視カメラを中心とするネットワークカメラ市場に注目した。

Y 社が市場調査を行ったところ,次のようなことが分かった。

現在は,監視カメラで録画した動画を後で確認する方式が一般的である。人手によってリアルタイムに確認することは可能であるが,人件費が掛かるので資金力のある大手企業などでしか採用できない。しかしながら,小規模な企業や家庭でもリアルタイムに動画を確認して防犯などにつなげたいという声が増えている。また,工場出荷時に設定されたパスワードをそのまま使っている監視カメラが不正アクセスを受けて動画が流出する事例が発生し,社会問題となっている。

加えて,製品カテゴリ別には次のような課題やニーズがあることを把握した。

Y 社は,ネットワークカメラ市場の市場調査を基に課題やニーズの分析を行った結果,監視カメラに自社の得意分野である動画解析サービスを組み込んだ監視サービスを提供することによって,ネットワークカメラ市場を新たなビジネス領域として開拓できると考え,成長戦略の実現方法を検討した。

〔成長戦略の実現方法〕

Y 社は,“動画解析技術を通じて社会の安全安心に貢献する”を基本理念として,次の施策を実施する。

監視カメラで撮影した動画をリアルタイムで解析し,異常を自動検知して通知するサービス

ウェアラブルカメラをネットワーク接続し,撮影した音声付き動画を遠隔地で確認できるサービス

住宅用監視カメラを Wi-Fi 経由でインターネット接続することによって,リアルタイム監視・通知機能,スマートフォンなどによる確認・応対機能,置き配に対する防犯機能を提供するサービス

Y 社の経営陣は,これらのサービスを提供できれば,Y 社がネットワークカメラ市場において成功することは可能であると結論付けた。しかし,競合他社となりうる動画解析ベンダーがネットワークカメラ市場へ参入してくることは十分考えられることから,Y 社は,迅速な市場参入が必要と考えた。

成長戦略実現へ向けて Y 社内で新サービス実現のシナリオを検討した結果,低いネットワーク負荷で動画を送信するための高度な動画圧縮技術をもつ中堅の監視カメラメーカーの U 社と業務提携することを基本方針とした。U 社は,U 社製の監視カメラを導入した顧客から動画解析について相談された際,Y 社に問い合わせたところから取引が始まり,今では,動画解析の業務を継続的に Y 社へ発注している企業である。一方で,U 社では,近年,競合他社や類似製品の登場によって売上げが横ばいとなっていた。

Y 社と U 社それぞれの経営陣は,協議を重ねた結果,この業務提携は Y 社と U 社双方にメリットがあると結論付け,Y 社と U 社による新サービス提供に関する業務提携契約の締結を行った。

〔新サービスの開発〕

Y 社と U 社は,協議の上で新サービスの提供開始予定日を決定し,新サービスを予定どおりに市場へ提供開始することが重要であることを申し合わせた。Y 社は,新サービスの開発に着手し,新サービスを図1のように構成することとした。

左に“ネットワークカメラ”の枠があり,監視カメラ,ウェアラブルカメラを装着した警備員,荷物が置かれた住宅の絵が縦に並んでいる。中央に“クラウドサービス”の枠があり,その中に“動画解析サービス”の枠(動画解析機能,通知機能,アクセス権管理機能,動画確認機能の四つ。動画解析機能には AI を表す頭の絵が添えられている)と,その下に契約管理システムがある。右に“顧客”の枠があり,“企業・組織の管理者など”と“個人”の絵がある。ネットワークカメラとクラウドサービス,クラウドサービスと顧客がそれぞれ線で結ばれている。
図1 新サービス構成図

新サービスの開発に際して,Y 社は次の対応を行うこととした。

出題趣旨(IPA)

ITストラテジストには,経営方針,環境分析結果,抽出課題を基にITを活用した事業戦略を策定する能力が求められる。本問では,スタートアップ企業におけるITを活用した新たなビジネス領域の開拓を題材として,企業の成長戦略を実現するためのITを活用した新サービスの開発について施策の企画・立案能力を評価する。具体的には,スタートアップ企業である自社の強みや新規市場となるネットワークカメラ市場のニーズや課題に関する分析,市場ニーズにあった新サービスの立案とその実現方法などについて,実務能力を問う。

採点講評(問全体・IPA)

問1では,スタートアップ企業におけるITを活用した新たなビジネス領域の開拓について出題した。全体として正答率は平均的で,状況設定はおおむね理解されているようであった。

ITストラテジストは,経営戦略の実現に向けたITの活用施策を立案,実行していく。そのために,既存の枠組みにとらわれずに課題の解決策を検討し,複数の解決策から最適解を導く力をつけてほしい。

設問と解答例

設問1 40字以内

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕について,Y 社が,ネットワークカメラ市場を Y 社の新たなビジネス領域にできると考えた,Y 社の提供するサービスが生かせる市場ニーズを 40 字以内で答えよ。

解答例

  • 施設や家庭で異常を自動で検知し通知を受けて防犯につなげたいニーズ
解説

本文の根拠

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕

しかしながら,小規模な企業や家庭でもリアルタイムに動画を確認して防犯などにつなげたいという声が増えている。

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕(1) 施設向け製品

限られた人員でも対応できるように異常を自動で検知して通知してほしいというニーズが多い。

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕(3) 家庭向け製品

監視カメラが通常と異なる人や物体の動きを検知した時に通知を受け,スマートフォンなどで確認や応対を行いたいというニーズがある。

〔Y 社の特徴〕(1) Y 社のサービス

人や物体などの動きを検知する行動検知

設問は「Y 社の提供するサービスが生かせる」市場ニーズを問うている。Y 社のサービスは AI 関連技術を使った動画解析で,行動検知のように動画の中の動きを自動で見つけられる。市場調査の中から,この動画解析で応えられるニーズを拾い出す。

施設向けでは「異常を自動で検知して通知してほしい」,家庭向けでは「通常と異なる人や物体の動きを検知した時に通知を受け」たい,というニーズがある。どちらも人手でリアルタイムに動画を見られないので,機械に異常を見つけて知らせてほしいというものである。そして全体の調査結果では,小規模な企業や家庭でも動画を確認して「防犯などにつなげたい」声が増えている。ニーズの目的は防犯である。

40字には「施設や家庭で」「異常を自動で検知し通知を受ける」「防犯につなげたい」の三つを入れる。解答例は「施設や家庭で異常を自動で検知し通知を受けて防犯につなげたいニーズ」で32字。講評のとおり,Y 社の強み(AI の動画解析)と結び付かないニーズや,防犯という目的の抜けた答えにしない。

採点講評(IPA)

設問1は,正答率が低かった。Y社はAI関連技術を活用した動画解析に強みをもっていることと,設問文にある“Y社の提供するサービスが生かせる”という表現を適切に捉えるとともに,もっとも大きなニーズは防犯であることを理解してほしい。

設問2(1) 20字以内

Y 社がネットワークカメラ市場へ参入するに当たって業務提携という手法を選択した目的を 20 字以内で答えよ。

解答例

  • 迅速に市場参入する必要があるから
解説

本文の根拠

〔成長戦略の実現方法〕

しかし,競合他社となりうる動画解析ベンダーがネットワークカメラ市場へ参入してくることは十分考えられることから,Y 社は,迅速な市場参入が必要と考えた。

〔成長戦略の実現方法〕

成長戦略実現へ向けて Y 社内で新サービス実現のシナリオを検討した結果,低いネットワーク負荷で動画を送信するための高度な動画圧縮技術をもつ中堅の監視カメラメーカーの U 社と業務提携することを基本方針とした。

業務提携を選んだ目的は,迅速な市場参入である。本文は,競合となりうる動画解析ベンダーの参入が十分考えられるので「迅速な市場参入が必要と考えた」と書き,その直後に U 社との業務提携を基本方針にしている。

自社だけで監視カメラや動画圧縮技術を一から用意するのではなく,監視カメラメーカーで動画圧縮技術をもつ U 社と組めば,足りない部分をすぐに補える。競合より先に市場に入ることが,提携という手法を選んだ理由になる。

20字なので「迅速に市場参入する必要があるから」(16字)のように,目的を一つに絞って書く。「U 社の技術を使うため」だけでは手段の説明にとどまり,なぜ提携なのか(急ぐ理由)が抜ける。

設問2(2) 30字以内

施設向け監視カメラの異常検知・通知サービスの提供について,異常の検知を通知する機能をもたせた背景を 30 字以内で答えよ。

解答例

  • 人員が制約となって監視カメラの台数が増やせない
解説

本文の根拠

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕(1) 施設向け製品

監視カメラで撮影された動画は人手によって確認しているので,人員が制約となって監視カメラの台数を増やせない施設では,限られた人員でも対応できるように異常を自動で検知して通知してほしいというニーズが多い。

〔成長戦略の実現方法〕(1)

監視カメラで撮影した動画をリアルタイムで解析し,異常を自動検知して通知するサービス

施設向けサービスの「異常を自動検知して通知する」機能は,市場調査で分かった施設向け製品の課題にそのまま対応している。施設では動画を人手で確認しているので,確認できる人員が足りないと監視カメラの台数を増やせない。

異常を自動で検知して知らせてもらえれば,人が全部の動画を見続けなくてよくなり,限られた人員でもカメラを増やせる。背景として書くべきなのは,この「人員が制約となって台数を増やせない」という施設の状況である。

30字に対し,解答例は「人員が制約となって監視カメラの台数が増やせない」で23字。「人手で確認している」だけでは何が困るのかが伝わらないので,台数を増やせないという結果まで書く。

設問2(3) 25字以内

Y 社が,U 社と業務提携することによって警備業界向けウェアラブルカメラのネットワーク接続サービスを提供できると考えた理由を 25 字以内で答えよ。

解答例

  • 動画圧縮技術でネットワーク負荷を減らせるから
解説

本文の根拠

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕(2) 警備業界向け製品

既存のウェアラブルカメラで撮影した音声付き動画は,ネットワーク負荷の問題から遠隔地へのリアルタイム配信及び確認は普及していない。

〔成長戦略の実現方法〕

低いネットワーク負荷で動画を送信するための高度な動画圧縮技術をもつ中堅の監視カメラメーカーの U 社と業務提携することを基本方針とした。

警備業界向けでは,遠隔地でリアルタイムに現場の音声付き動画を確認したいという声が多いのに,それが普及していない。妨げになっているのは「ネットワーク負荷の問題」である。

U 社は「低いネットワーク負荷で動画を送信するための高度な動画圧縮技術」をもつ。U 社と組めばこの圧縮技術でネットワーク負荷を下げられ,阻害要因が取り除かれるので,ウェアラブルカメラをネットワーク接続するサービスが成り立つ。

25字に対し,解答例は「動画圧縮技術でネットワーク負荷を減らせるから」で22字。講評によると「遠隔地から現場へより適切な対応指示ができるため」のようにニーズだけを書いた答えが散見された。それはサービスの効用であって,U 社との提携で提供できる理由にはならない。U 社の強み(動画圧縮技術)と,それで解ける問題(ネットワーク負荷)を組にして書く。

採点講評(IPA)

設問2(3)は,正答率は平均的であったが,“遠隔地から現場へより適切な対応指示ができるため”などの解答が散見された。ニーズだけでなく,ニーズの阻害要因となっているネットワーク負荷の問題を捉えつつ,設問文でU社との業務提携に触れていることを踏まえ,U社の強みである動画の圧縮技術がどのように問題解決につながるのかを考えてほしい。

設問3(1) 25字以内

本文中の下線①について,個人のプライバシー侵害を防止するための機能とはどのようなものか。25 字以内で答えよ。

解答例

  • 敷地の外や無関係の人をマスキングする機能
解説

本文の根拠

〔Y 社の特徴〕(2) Y 社の強みである AI 関連技術

個人のプライバシー侵害への対策として特定の範囲及び無関係の人や物体をマスキングする技術

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕(1) 施設向け製品

敷地の外が撮影範囲になってしまうと個人のプライバシー侵害のリスクが大きいので,設置場所が制限されてしまい,死角ができてしまうおそれがある。

プライバシー侵害を防ぐ機能は,Y 社の強みである AI 関連技術にそのまま書かれている。「特定の範囲及び無関係の人や物体をマスキングする技術」である。

これを監視カメラに当てはめると,「特定の範囲」は市場調査で問題になっていた「敷地の外」に当たる。敷地の外が映るとプライバシー侵害のリスクがあるので設置場所が制限されていた。敷地の外や無関係の人をマスキングすれば,このリスクを抑えられる。

25字に対し,解答例は「敷地の外や無関係の人をマスキングする機能」で20字。「マスキングする機能」だけでなく,何を隠すのか(敷地の外,無関係の人)を書く。

設問3(2) 25字以内

本文中の下線②について,Y 社のアクセス権管理機能を監視カメラに適用することでどのような効果を狙ったか。25 字以内で答えよ。

解答例

  • 不正アクセスによる動画の流出を防止する効果
解説

本文の根拠

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕

また,工場出荷時に設定されたパスワードをそのまま使っている監視カメラが不正アクセスを受けて動画が流出する事例が発生し,社会問題となっている。

〔Y 社の特徴〕(1) Y 社のサービス

Y 社のサービスにおけるアクセス権管理には,初期パスワードの強制変更,アクセス可能デバイスの登録,二要素認証などの機能がある。

市場調査では,工場出荷時のパスワードのままの監視カメラが不正アクセスを受けて動画が流出する事例が社会問題になっている。Y 社のアクセス権管理機能には「初期パスワードの強制変更」があり,出荷時のパスワードを使い続けることを防げる。

さらにアクセス可能デバイスの登録や二要素認証もあるので,登録していない端末やパスワードだけでの不正なアクセスも防げる。これを監視カメラに適用して狙うのは,不正アクセスによる動画の流出の防止である。

25字に対し,解答例は「不正アクセスによる動画の流出を防止する効果」で21字。「セキュリティを高める」のような一般論ではなく,本文の社会問題(不正アクセスによる動画流出)を防ぐと書く。

設問3(3) 25字以内

本文中の下線③について,どのような状況を検知すべきか。25 字以内で答えよ。

解答例

  • 配達された置き配の荷物に人が近づく状況
解説

本文の根拠

〔Y 社の成長戦略と市場調査〕(3) 家庭向け製品

一方で,置き配を積極的に利用したいが,盗難にあわないか不安があるので,監視カメラによる対応を期待するという声が多い。

〔Y 社の特徴〕(1) Y 社のサービス

人や物体を判別する物体識別

〔Y 社の特徴〕(1) Y 社のサービス

人や物体などの動きを検知する行動検知

置き配に対する防犯機能で防ぎたいのは,市場調査にある「盗難」である。盗難は,置かれた荷物に誰かが近づいて持ち去ることで起きる。警告音を発したり通知したりするなら,持ち去られる前,人が荷物に近づいた時点で検知したい。

下線③は物体識別と行動検知の技術を使うとしている。物体識別で「荷物」と「人」を判別し,行動検知で人が荷物に近づく動きを捉える。二つの技術を組み合わせると,配達された荷物に人が近づく状況を検知できる。

25字に対し,解答例は「配達された置き配の荷物に人が近づく状況」で19字。「不審者を検知する」だけでは物体識別(荷物)の使いどころが見えないので,荷物と人の両方を入れる。

設問3(4) 40字以内

本文中の下線④について,Y 社はいつまでにどのような準備を行う必要があるか。40 字以内で答えよ。

解答例

  • 新サービスの提供開始までに契約管理システムの改修を完了させること
解説

本文の根拠

〔Y 社の特徴〕(1) Y 社のサービス

今後,頻繁にサービスを利用する顧客向けに定額課金制の導入を検討しており,そのためには契約管理システムの改修が必要である。

〔新サービスの開発〕

Y 社と U 社は,協議の上で新サービスの提供開始予定日を決定し,新サービスを予定どおりに市場へ提供開始することが重要であることを申し合わせた。

「どのような準備」は,Y 社の特徴に書かれている。定額課金制の導入には「契約管理システムの改修が必要」である。現在のサービスは利用ごとの課金なので,監視カメラの台数に応じた定額課金にするには契約管理システムを改修しなければならない。

「いつまでに」は,新サービスの提供開始までである。Y 社と U 社は提供開始予定日を決め,予定どおりに提供開始することが重要だと申し合わせている。定額課金制は新サービスの課金方式なので,改修が間に合わなければ予定どおりに始められない。

40字に対し,解答例は「新サービスの提供開始までに契約管理システムの改修を完了させること」で32字。期限(提供開始まで)と準備の中身(契約管理システムの改修)の両方を書く。

出典:令和7年度 春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2 IT を活用した子育て支援の強化

IT を活用した子育て支援の強化に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

M 市は,L 県の中央部にある地方都市であり,政令指定都市の通勤圏に位置している。市内にある M 空港は L 県全体の基幹空港であり,L 県を訪れる観光客やビジネスパーソンの行き交う L 県の交通の要所となっている。

〔M 市を取り巻く環境と子育て支援の整備〕

近年,急速に浸透したリモートワーク技術の活用を背景として,ビジネスの拠点を地方に設置することが増えている。M 市近郊は,四季を通じて美しい景観と様々なアクティビティを楽しめる観光地やリゾート施設が数多くあることや,M 空港を通じて首都圏や全国の主要都市と短時間で往来できるアクセスの良さが評価され,企業の拠点設置が相次いでいる。また,デザイナーやソフトウェアエンジニアなど,インターネットが利用できれば働く場所を選ばないビジネスパーソンを中心に,個人として M 市を拠点に選ぶ移住者も増加している。

これまで M 市では,健康で文化的な環境で子育てをしたいと望む市民に向けた様々な施策に取り組んできた。具体的には,保育機関や教育機関などのインフラ整備に加え,保健師などの専門の行政職員が,出産前から子どもの思春期に至るまで,子どもをもつ親の相談を持続的に受け付ける体制を構築するなどの行政サービスによって,M 市に暮らす子どもをもつ世帯(以下,子育て世帯という)への支援を整備してきた。

この結果,前年度の M 市の合計特殊出生率は 1.75 人と,全国平均の 1.20 人を大きく上回り,人口の自然増に必要とされる値の 2.07 人に迫りつつある。また,年齢別人口では,M 市の全人口に占める 20-49 歳の世代(以下,子育て適齢世代という)の割合が他市町村と比べて多くなっている。この世代は他県からの転入者の割合が多く,子育て世帯においても,夫婦以外の親族との同居がない世帯が多い。全国的な少子高齢化によって,L 県内の他市町村では大きく人口が減少する中,M 市の人口は微増傾向にあり,前年度末時点で約 15 万人となっている。

〔M 市の子育て支援の強化〕

M 市はこの環境変化と体制整備の成果を活用することによって,人口増加による消費の拡大と産業の活性化を図り,M 市を持続的に成長させたいと考えた。このための具体的な手段として,M 市は“地域一体での子育て支援を更に強化して,子育て環境の充実を全国にアピールすることで,M 市に子育て適齢世代を呼び込む”施策(以下,Angel City Plan という)を定め,内容の検討に着手した。

〔アンケート調査〕

M 市は,Angel City Plan 実行に当たっての課題を把握するために,M 市在住の子育て世帯を対象にアンケート調査を行った。この結果,次のことが明らかになった。

また,M 市では,行政機関と,市内の子育て支援機関である保育機関,教育機関,医療機関など(以下,サポート機関という)を対象にアンケート調査を行ったところ,次のことが明らかになった。

〔IT を活用した子育て支援の強化〕

M 市はこれらのアンケート調査の結果から,Angel City Plan を実行するためには,子育て世帯,行政機関及びサポート機関が,相互に子育てに関する情報を共有して活用することが必要と考えた。そこで M 市はこのためのシステム基盤(以下,Angel Cloud という)を構築して,これまでの子育て支援の環境整備の成果を更に高め,子育て環境の充実を全国にアピールすることとした。

Angel Cloud の機能は,次のとおりである。

子どもの成長に合わせた家族の思い出などを記録するため,スマートフォンのアルバム機能と連動して,利用者が撮影した任意の画像ファイルを時系列に保存できる。保存した画像ファイルに関連するライフイベントなど,任意のコメントを記録できる。学校行事など保育機関や教育機関のイベントや,地域イベントのスケジュールを閲覧できる。

子育てダイアリーに記録されているイベントや,利用者による任意のコメントと連動して,画像ファイルを検索,閲覧することができる。

ベビーシッターの利用や,子育て支援サービス,地域イベントに関する感想を投稿したり,ほかの子育て世帯の感想を参照したりすることができる。感想を投稿したほかの子育て世帯と,子育て SNS でつながることができる。

外部 SNS と連動し,子育て SNS への投稿を外部 SNS に公開することができる。

チャットボットを利用して,M 市の子育て支援に関する情報を入手することができる。担当保健師やベビーシッター,保育機関,教育機関と連絡を行うことができる。

ベビーシッターの利用,M 市の子育て支援サービスや地域イベントへの参加などを予約できる。

利用者自身に対する子育て支援記録を含む Angel Cloud 内の情報を AI が分析することによって,③子どもの成長段階など,利用する世帯の状況に合わせたサービスを AI が提案する。利用者は Angel Cloud からのプッシュ型通知やチャットボットの応答を通じて,提案を受け取ることができる。

子育て世帯の利用者が Angel Cloud に入力した情報のうち,行政機関とサポート機関に開示する情報の範囲を指定(以下,オプトインという)できる。

子育て世帯の利用者が Angel Cloud に入力した情報を,匿名化技術によって個人を特定できない状態に変換した上で,匿名記録 DB に保存する。

匿名記録 DB や Angel Cloud の利用状況を,統計データとして取得して利用できる。取得したデータは,Angel City Plan の広報活動や新たな施策検討に利用できる。公開可能な範囲のデータは,オープンデータに加工されて M 市のホームページで公開される。

行政機関とサポート機関が各子育て世帯に対して行った支援内容を記録し,行政機関とサポート機関が相互に参照できる。

子育て世帯の利用者に連絡を行うことができる。

オプトインされた範囲内で,各子育て世帯の利用者が Angel Cloud に入力した情報を閲覧できる。

出題趣旨(IPA)

ITストラテジストには,事業環境分析,IT動向分析,ビジネスモデル策定への助言を行い,事業戦略を策定する能力が求められる。本問では,M市におけるITを活用した子育て支援の強化を題材として,地域一体での子育て支援をさらに強化して,M市に子育て適齢世代を呼び込むことによって,M市の持続的な成長を実現するための施策の策定・構想を行う能力を評価する。具体的には,地域の状況に即した課題の定義と解決策の導出によって,社会課題の解決に向けた施策の立案についての実務能力を問う。

採点講評(問全体・IPA)

問2では,行政機関によるITを活用した子育て支援の強化について出題した。全体として正答率は平均的であった。

ITストラテジストは,対象となる事業などの環境を分析し,ITを活用した事業戦略を策定する能力を高めてほしい。

設問と解答例

設問1(1) 40字以内

M 市は Angel City Plan を定めるに当たり,どのような環境変化を活用しようと考えたか。40 字以内で述べよ。

解答例

  • リモートワークが浸透し,地方で企業の拠点設置や個人の移住者が増えたこと
解説

本文の根拠

〔M 市を取り巻く環境と子育て支援の整備〕

近年,急速に浸透したリモートワーク技術の活用を背景として,ビジネスの拠点を地方に設置することが増えている。

〔M 市を取り巻く環境と子育て支援の整備〕

M 空港を通じて首都圏や全国の主要都市と短時間で往来できるアクセスの良さが評価され,企業の拠点設置が相次いでいる。

〔M 市を取り巻く環境と子育て支援の整備〕

個人として M 市を拠点に選ぶ移住者も増加している。

〔M 市の子育て支援の強化〕

M 市はこの環境変化と体制整備の成果を活用することによって,人口増加による消費の拡大と産業の活性化を図り,M 市を持続的に成長させたいと考えた。

M 市は「この環境変化と体制整備の成果」を活用して Angel City Plan を定めた。二つは別のものとして書かれている。体制整備の成果は,子育て支援の整備によって出生率が高く,子育て適齢世代の割合が多いことである。問われている環境変化は,M 市の外から来た変化,つまり段落の冒頭の話である。

リモートワーク技術が急速に浸透し,ビジネスの拠点を地方に置くことが増えた。M 市近郊では企業の拠点設置が相次ぎ,働く場所を選ばない個人の移住者も増えている。M 市はこの流れに子育て環境の良さを重ねて,子育て適齢世代を呼び込もうとしている。

40字に対し,解答例は「リモートワークが浸透し,地方で企業の拠点設置や個人の移住者が増えたこと」で35字。講評によると「子育て適齢世代の割合が増加している状況」という答えが散見された。これは M 市が自ら整えた体制の成果であって,環境変化ではない。原因(リモートワークの浸透)と起きていること(企業の拠点設置・移住者の増加)を書く。

採点講評(IPA)

設問1(1)は,正答率がやや低く,“M市の年齢別人口において,子育て適齢世代の割合が増加している状況”などの解答が散見された。年齢別人口の変化は,M市が自らの取り組みによる体制整備の成果であり,体制整備の成果と環境変化の双方を,M市が活用していることを理解してほしい。

設問1(2) 25字以内

M 市が Angel City Plan の目的達成に向けた状況を把握するために,定めるべき指標は何か。25 字以内で述べよ。

解答例

  • M市の子育て適齢世代の人口増加率
解説

本文の根拠

〔M 市の子育て支援の強化〕

M 市は“地域一体での子育て支援を更に強化して,子育て環境の充実を全国にアピールすることで,M 市に子育て適齢世代を呼び込む”施策(以下,Angel City Plan という)を定め

〔M 市を取り巻く環境と子育て支援の整備〕

また,年齢別人口では,M 市の全人口に占める 20-49 歳の世代(以下,子育て適齢世代という)の割合が他市町村と比べて多くなっている。

指標は Angel City Plan の目的から決まる。Plan は子育て支援を強化し,それを全国にアピールすることで「M 市に子育て適齢世代を呼び込む」施策である。目的が達成できているかは,M 市の子育て適齢世代が増えているかで測れる。

子育て適齢世代は本文で 20-49 歳の世代と定義され,年齢別人口で把握されている。この世代の人口がどれだけ増えたか(増加率)を追えば,呼び込みが進んでいるかが分かる。合計特殊出生率や全人口は Plan の直接の目的ではない。出生率は呼び込みの結果として後から動くもので,全人口は他の世代の増減も含んでしまう。

25字に対し,解答例は「M市の子育て適齢世代の人口増加率」で16字。「子育て適齢世代の人口」とだけ書くより,変化を測る「増加率」まで書くと指標らしくなる。

設問2(1) 35字以内

M 市の子育て世帯に下線①の問題が生じる理由は何か。35 字以内で述べよ。

解答例

  • 夫婦以外の親族と同居していない,他県からの転入者が多いため
解説

本文の根拠

〔アンケート調査〕

①家庭内での子育てに夫婦以外の親族からの直接的な協力を得にくい

〔M 市を取り巻く環境と子育て支援の整備〕

この世代は他県からの転入者の割合が多く,子育て世帯においても,夫婦以外の親族との同居がない世帯が多い。

下線①は,家庭内での子育てに夫婦以外の親族から直接的な協力を得にくい,という問題である。その理由は〔M 市を取り巻く環境と子育て支援の整備〕にある。子育て適齢世代は他県からの転入者の割合が多く,子育て世帯でも夫婦以外の親族との同居がない世帯が多い。

親族と同居していなければ,家の中で祖父母などに子どもを見てもらうことができない。さらに他県から来た世帯では,親族は遠くに住んでいることになる。この二つが重なって,直接的な協力を得にくくなる。

35字に対し,解答例は「夫婦以外の親族と同居していない,他県からの転入者が多いため」で29字。同居していないこと(家庭内)と他県からの転入(近くにいない)の両方を入れる。

設問2(2) 35字以内

下線②によって表面化している M 市の行政機関における子育て支援に関する問題は何か。35 字以内で述べよ。

解答例

  • M市の子育て支援サービスが活用されず,利用者数が伸びない問題
解説

本文の根拠

〔アンケート調査〕

②他県からの転入者は同市内に住む古くからの友人も少ないので,M 市での子育てに関する情報を得にくい

〔アンケート調査〕

行政機関では,他県からの転入者の増加傾向を踏まえ,M 市の子育て支援の行政サービス(以下,子育て支援サービスという)に対する利用者の声で好評を得ているサービスの担当職員を増員するなど体制を強化したが,サービスの利用は想定を下回り,利用者数が伸びていない。

下線②は子育て世帯の側の問題である。転入者は古くからの友人が少ないので,M 市での子育てに関する情報を得にくい。設問は,それによって「行政機関」の側に表面化している問題を問うている。

行政機関向けのアンケートでは,転入者の増加を踏まえて好評なサービスの担当職員を増員したのに,利用は想定を下回り,利用者数が伸びていない。サービスの中身は好評なのに使われないのは,転入者がそもそもサービスを知らないからと読める。子育て世帯の情報不足が,行政機関では子育て支援サービスが活用されない問題として現れている。

35字に対し,解答例は「M市の子育て支援サービスが活用されず,利用者数が伸びない問題」で30字。講評によると「情報を共有する方法を確立できていない」「子育て世帯から情報入手する手段が少ない」のような答えが見受けられた。これらは同じアンケートの別の項目で,下線②(世帯が情報を入手しづらいこと)から生じている問題ではない。

採点講評(IPA)

設問2(2)は,正答率がやや低く“行政機関が子育て支援サービスの情報を共有する方法を確立できていない”,“子育て世帯から情報入手する手段が少なく,各世帯に合った情報提供が難しい”などの解答が見受けられた。子育て世帯が情報を入手しづらいことで,行政機関側で表面化している問題は何であるかを読み取ってほしい。

設問3(1) 解答欄2つ

“子育て SNS”は,どのような M 市の子育て世帯の現状を改善するための機能か。30 字以内で二つ述べよ。

〔①〕解答例

  • M市での子育てに関する情報を,転入者が得にくい状況

〔②〕解答例

  • ベビーシッターの利用に抵抗感や不安感がある状況
解説

本文の根拠

〔IT を活用した子育て支援の強化〕(1)(b) 子育て SNS

ベビーシッターの利用や,子育て支援サービス,地域イベントに関する感想を投稿したり,ほかの子育て世帯の感想を参照したりすることができる。感想を投稿したほかの子育て世帯と,子育て SNS でつながることができる。

〔アンケート調査〕

②他県からの転入者は同市内に住む古くからの友人も少ないので,M 市での子育てに関する情報を得にくい

〔アンケート調査〕

自宅に見ず知らずの他人を招き入れることへの抵抗感や,安全なベビーシッターを選べるかの不安がある。ベビーシッターの安全な利用方法や利用したベビーシッターに対する感想など,利用した人の評価を聞きたい,との声があった。

子育て SNS の機能を,子育て世帯へのアンケート結果と突き合わせる。子育て SNS では,ほかの子育て世帯の感想を参照でき,感想を投稿した世帯とつながれる。対象はベビーシッターの利用,子育て支援サービス,地域イベントである。

一つ目は下線②の現状である。転入者は古くからの友人が少なく,M 市での子育ての情報を得にくい。SNS でほかの子育て世帯とつながれば,友人に代わる情報の入手先になる。二つ目はベビーシッターの現状である。見ず知らずの他人を招き入れる抵抗感や,安全なベビーシッターを選べるかの不安があり,利用した人の評価を聞きたいという声がある。SNS で利用者の感想を参照できれば,この不安を和らげられる。

30字ずつで,解答例は「M市での子育てに関する情報を,転入者が得にくい状況」(25字)と「ベビーシッターの利用に抵抗感や不安感がある状況」(23字)。機能の説明ではなく,改善したい「現状」を書く。原本の備考は空欄である。

設問3(2) 40字以内

“子育てチャット”に備えた下線③の機能は,どのようなニーズを満たすための機能か。40 字以内で述べよ。

解答例

  • 適切なタイミングで子育て支援サービスを提供したい,行政機関のニーズ
解説

本文の根拠

〔IT を活用した子育て支援の強化〕(1)(c) 子育てチャット

③子どもの成長段階など,利用する世帯の状況に合わせたサービスを AI が提案する

〔IT を活用した子育て支援の強化〕(1)(c) 子育てチャット

利用者は Angel Cloud からのプッシュ型通知やチャットボットの応答を通じて,提案を受け取ることができる。

〔アンケート調査〕

行政機関は,個別の子育て世帯の状況を能動的に把握し,適切なタイミングで相談を促すなどの子育て支援サービスを提供したいが,子育て世帯から情報を入手する手段が少なく,できていない。

下線③は,子育て支援記録を含む Angel Cloud 内の情報を AI が分析し,子どもの成長段階など世帯の状況に合わせたサービスを提案する機能である。提案はプッシュ型通知でも届く。世帯の側から探しに行かなくても,必要な時期に必要なサービスが届く仕組みである。

これと対になるのが,行政機関のアンケート結果である。行政機関は個別の世帯の状況を能動的に把握し,適切なタイミングで相談を促すなどのサービスを提供したいが,世帯から情報を入手する手段が少なくてできていない。Angel Cloud に集まる情報を AI が分析して提案すれば,この行政機関のニーズを満たせる。

40字に対し,解答例は「適切なタイミングで子育て支援サービスを提供したい,行政機関のニーズ」で33字。子育て世帯のニーズとして書きがちだが,本文で「適切なタイミング」で提供したいと言っているのは行政機関である。誰のニーズかを明記する。

設問3(3) 30字以内

Angel Cloud に“子育て支援記録”を備えることで,M 市が実現したい子育て支援とは具体的にどのような支援か。30 字以内で述べよ。

解答例

  • 行政機関とサポート機関による地域一体での共同支援
解説

本文の根拠

〔IT を活用した子育て支援の強化〕(3)(b) 子育て支援記録

行政機関とサポート機関が各子育て世帯に対して行った支援内容を記録し,行政機関とサポート機関が相互に参照できる。

〔アンケート調査〕

行政機関及びサポート機関が,地域一体で共同して支援に取り組みたいが,情報共有する方法が確立しておらず,またそれぞれが保有する情報も標準化されていないので,相互に開示可能な情報を参照することができていない。

〔M 市の子育て支援の強化〕

地域一体での子育て支援を更に強化して

子育て支援記録は,行政機関とサポート機関が各世帯に行った支援内容を記録し,互いに参照できる機能である。これが解決するのは,アンケートで分かった「地域一体で共同して支援に取り組みたいが,情報共有する方法が確立しておらず」相互に参照できていない,という状況である。

支援内容を一つの基盤に記録して参照し合えれば,行政機関と保育・教育・医療などのサポート機関が同じ世帯を共同で支援できる。Angel City Plan の中身も「地域一体での子育て支援を更に強化」することなので,実現したい支援は地域一体での共同支援である。

30字に対し,解答例は「行政機関とサポート機関による地域一体での共同支援」で24字。「情報を共有する」は手段なので,その先の支援の形(誰と誰が,地域一体で共同して)を書く。

出典:令和7年度 春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3 ドラッグストアにおける IT を活用した新規サービス立上げ

ドラッグストアにおける IT を活用した新規サービス立上げに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

C 社は,K 地域を中心に大型駐車場を備えた大規模店舗を構えるドラッグストアチェーンを展開している。C 社の展開するドラッグストアは,調剤薬に加えて,化粧品と,洗剤,衛生用品,文房具など(以下,日用品という)と,冷凍食品,飲料,お菓子など(以下,食料品という),を中心に様々な生活必需品を取り扱っている。

これまで C 社は,K 地域にある生活必需品の仕入先と密接なコミュニケーションを行い,強い協力関係を築いてきた。

〔K 地域の環境〕

K 地域の住民の多くは自然環境に恵まれた郊外に住んでいる。K 地域の郊外は古い住宅地が多く,多くのシニア世代が長年住んでいる。さらに,昨今のワークスタイルの変化を見据え,集合団地のリノベーションなどが行われており,若い世代の流入も増えている。昨今 K 地域の住民は,日常の用事をできるだけ自宅から近距離かつ 1 か所で済ませたいという希望が強く,この希望を満たす企業は顧客を囲い込める可能性が高い。また,シニア世代やシニア世代をサポートする住民からは,高齢化によって,服薬指導に限らず,病気やけがによる入退院時などの生活シーンに合わせた健康相談をしたいといった社会的ニーズが高まっている。

K 地域の郊外に医療機関は少なく,郊外に住む住民のほとんどは都市部の医療機関で受診している。また,気軽に健康相談を行える場所が K 地域の郊外にない。

〔C 社の戦略〕

C 社は“地域住民の健康的な暮らしを支える社会インフラとなる”を企業理念として,次の戦略に従い企業活動を行うことによって,K 地域で売上を拡大してきた。

自動車を利用し 5 分程度で来店できるように,C 社が自ら分割した範囲(以下,小商圏という)の中心付近に店舗を出店している。これによって小商圏内の顧客が日常生活で必要な様々なものを,自宅の最寄り店舗で購入できるようにしている。

C 社は,日用品や食料品を特売に頼らず日常的に低価格で提供することによって顧客の来店頻度を高めている。併せてドラッグストア業界では比較的高収益商材である化粧品などを購入してもらうことによって,顧客 1 人当たりの収益性を高めている。

店舗では,併設する調剤売場で調剤薬の販売を行っている。顧客は調剤売場で処方箋を提出し,待ち時間を利用して小売売場で日用品や食料品などを買い揃えた後に調剤売場に戻り,調剤薬を受け取ることができる。これによって時間を有効に使うことができると好評で,都市部の医療機関を受診後,帰宅途中に自宅の最寄りの店舗に立ち寄る顧客が多い。C 社は,顧客が医療機関から入手した処方箋の画像を事前に送付するサービスをいち早く活用するなど,IT 活用にも積極的である。

C 社の小売売場では,全店舗で次のような業務標準化を推進している。

こうした取組みによって,専門知識のない店舗スタッフでも小売売場の業務の運営を効率的に行うことを可能とし,それによって,空いた時間でこれまで以上に顧客対応に時間を割くことができている。

最近では,K 地域にある強い協力関係にある仕入先のうち,オーガニック素材にこだわる食品メーカーなどと共同でプライベートブランド商品(以下,PB 商品という)を開発している。また,化粧品メーカーとの一部店舗での期間限定共同イベントとして,化粧品メーカーの販売員が,顧客にメイクアップ体験指導を行ったりしている。C 社はこのような仕入先の特長を生かした共同企画を実施し高い評判を得ている。

〔C 社の課題〕

これまで C 社は,これらの戦略に従って K 地域の売上を拡大してきたが,最近では,ほかのドラッグストアチェーンが出店地域を K 地域の近郊まで広げているので,戦略強化が必要となっている。戦略の強化に当たって C 社は,店舗での顧客ニーズへの対応に関する課題を整理した。

調剤売場では,顧客から“同居者の看病を適切に行えるようにするために,服薬指導を自宅で本人と一緒に聞きたい”,“疾病を予防するためにも,自身の生活習慣の改善につながる情報が欲しい”などのニーズがある。また,薬剤師は,調剤するときには,過去の薬歴,飲み合わせや保存方法の注意点など様々な確認を行う必要がある。これは,業務負担が大きく,かつ時間が掛かるので混雑時に顧客を待たせることがある。これらへの対応が必要である。

小売売場では,若い世代を中心に,商品そのものへのニーズではなく,生活の質を高めたいという,次のようなニーズが増えており,対応が必要である。

〔新たな方針と施策〕

これらの課題に対応するために,C 社は戦略を強化する新たな方針を“地域の社会的ニーズや顧客ニーズに合わせたサービスを提供し,顧客のライフタイムバリュー(LTV:顧客生涯価値)を拡大する”と定めた。この方針を受け,C 社は,店舗でのリアルなサービスとオンラインでのサービスを融合して顧客体験価値(CX)を高めながら,薬剤師の業務負担も軽減することとし,次の二つの施策を実施することとした。

施策の実施に向け C 社は,次のシステムを構築し,活用することとした。

〔健康生活アプリ〕

地域の社会的ニーズや顧客ニーズに合わせたサービスを提供するためのアプリケーションシステムである。健康生活アプリが顧客に提供する機能は次のとおりである。

オンラインによる服薬指導や残薬管理,及び健康相談を行う機能である。

顧客は,オンラインサポートの予約を行い,予約した時間に来店することなく,リモートで薬剤師による服薬指導や残薬管理,管理栄養士による栄養指導などの健康相談といったサービスを受けることができる。

健康維持などに関するアドバイスを行う機能である。

顧客は,健康生活アプリを利用し心拍数や体表面温度,歩数記録や食事記録(以下,行動情報という)を記録する。情報を記録する際,顧客は C 社からレンタルした専用のデバイスを使って自動で行動情報を記録する方法か,自身が持つデバイスで管理する行動情報を登録する方法を用いる。

顧客は,記録した情報から AI がスコアリングした健康状態や予測した健康リスク,生活習慣改善や体形の維持・改善につながるコメント,おすすめのサプリメント,K 地域の食品メーカーと共同で開発した PB 商品を使ったレシピなどの情報を入手する。

顧客は,AI チャットボットによる健康維持に関する助言を受けることもできる。

最適なスキンケア及びメイクアップの方法並びに化粧品を提案する機能である。

顧客は,顔写真を撮り,自身が抱える肌の悩みや化粧の希望などを登録する。

AI を活用した骨格診断や肌診断に合わせたスキンケア,化粧のポイントなどの情報を入手したり,おすすめの商品のレコメンドを受けたりする。気に入った商品があればオンラインで C 社から購入することができる。

顧客は AR(Augmented Reality:拡張現実)メイク機能を用いて,商品を利用したメイクを疑似体験できるほか,スキンケアのやり方のナビゲートを受けたり,メイクのコツやスキンケアの動作に対するアドバイスを受けたりする。

また,店舗で行われる K 地域の化粧品メーカーと共同の期間限定メイクアップ体験イベントの予約もできる。

〔服薬指導補助システム〕

調剤売場で薬剤師が行う調剤や服薬指導を支援するシステムである。服薬指導補助システムは,調剤売場で入手した処方箋データや過去の服薬履歴などの情報から薬効重複チェックや服薬指導コメントの作成を行う。薬剤師は,服薬指導補助システムの情報を参考に調剤及び服薬指導を行う。

出題趣旨(IPA)

ITストラテジストには,業種ごとの事業特性を踏まえて,経営戦略の実現に向けたITを活用した事業戦略を策定・推進する能力が求められる。本問では,ドラッグストアにおけるITを活用した新規サービスの立上げを題材として,基本戦略の策定・推進を行う能力を評価する。具体的には,地域社会や店舗におけるニーズや課題の把握,解決施策の検討,ITを活用した施策の実行ついて,実務能力を問う。

採点講評(問全体・IPA)

問3では,ドラッグストアにおけるITを活用した新規サービス立上げについて出題した。全体として正答率は平均的で,状況設定はおおむね理解されているようであった。

ITストラテジストは,業種ごとの事業特性を踏まえて,経営戦略の実現に向けたITを活用した事業戦略を策定,推進する能力を高めてほしい。

設問と解答例

設問1(1) 20字以内

C 社が小商圏の中心付近に店舗を出店する戦略をとる狙いは何か。20 字以内で答えよ。

解答例

  • K地域の顧客を囲い込む狙い
解説

本文の根拠

〔K 地域の環境〕

昨今 K 地域の住民は,日常の用事をできるだけ自宅から近距離かつ 1 か所で済ませたいという希望が強く,この希望を満たす企業は顧客を囲い込める可能性が高い。

〔C 社の戦略〕(1) 出店に関する戦略

自動車を利用し 5 分程度で来店できるように,C 社が自ら分割した範囲(以下,小商圏という)の中心付近に店舗を出店している。これによって小商圏内の顧客が日常生活で必要な様々なものを,自宅の最寄り店舗で購入できるようにしている。

小商圏の中心付近に出店すると,商圏内のどこからでも自動車で5分程度で来られる。そして店舗には日常生活で必要な様々なものがそろう。これは〔K 地域の環境〕にある住民の希望,「日常の用事をできるだけ自宅から近距離かつ 1 か所で済ませたい」にそのまま応えている。

本文はこの希望について「この希望を満たす企業は顧客を囲い込める可能性が高い」と続けている。C 社が狙っているのは,希望を満たすこと自体ではなく,その先にある K 地域の顧客の囲い込みである。

20字に対し,解答例は「K地域の顧客を囲い込む狙い」で13字。講評によると「近距離で用事が済ませられる」という答えが見受けられた。それは顧客の希望であって,C 社の狙いではない。企業の側から見た効果(囲い込み)を書く。

採点講評(IPA)

設問1(1)は,正答率がやや低く,“近距離で用事が済ませられる”といった解答が見受けられた。これは,単なる顧客の希望であり,C社が小商圏の中心付近に店舗を出店する戦略をとる狙いについて解答してほしい。

設問1(2) 35字以内

小売売場の業務の運営に関する戦略において,C 社は業務標準化を推進することによってどのような成果を狙ったか。35 字以内で答えよ。

解答例

  • 業務運営を効率的に行い,顧客対応に時間を割くことができる成果
解説

本文の根拠

〔C 社の戦略〕(3) 小売売場の業務の運営に関する戦略

こうした取組みによって,専門知識のない店舗スタッフでも小売売場の業務の運営を効率的に行うことを可能とし,それによって,空いた時間でこれまで以上に顧客対応に時間を割くことができている。

業務標準化の中身は,売場レイアウトや棚割りの全店舗での標準化と,POS の売上情報に基づく本社での自動一括発注である。店舗ごとに売場を考えたり発注したりしなくてよくなる。

本文は取組みの成果を二段で書いている。まず専門知識のない店舗スタッフでも業務の運営を効率的に行えるようになり,それによって空いた時間で顧客対応に時間を割けるようになった。効率化で終わらず,浮いた時間を顧客対応に回すところまでが狙った成果である。

35字に対し,解答例は「業務運営を効率的に行い,顧客対応に時間を割くことができる成果」で30字。「効率化」だけで止めず,顧客対応に時間を割けるという二段目まで書く。

設問2 30字以内

〔新たな方針と施策〕について,C 社が顧客体験価値(CX)を高めることとした背景は何か。小売売場の観点で,30 字以内で答えよ。

解答例

  • 商品ではなく,生活の質を高めたいニーズが増えている状況
解説

本文の根拠

〔C 社の課題〕(2) 小売売場の課題

小売売場では,若い世代を中心に,商品そのものへのニーズではなく,生活の質を高めたいという,次のようなニーズが増えており,対応が必要である。

〔新たな方針と施策〕

この方針を受け,C 社は,店舗でのリアルなサービスとオンラインでのサービスを融合して顧客体験価値(CX)を高めながら,薬剤師の業務負担も軽減することとし,次の二つの施策を実施することとした。

CX を高めることにしたのは,〔C 社の課題〕を受けた方針からである。「小売売場の観点で」とあるので,小売売場の課題を見る。小売売場では,若い世代を中心に「商品そのものへのニーズではなく,生活の質を高めたい」というニーズが増えている。

商品を安くそろえるだけでは,このニーズに応えられない。健康増進や体形維持の情報,正しいスキンケアや化粧の方法といった体験や情報を提供する必要がある。そのため C 社は,店舗とオンラインのサービスを融合して顧客体験価値を高めることにした。

30字に対し,解答例は「商品ではなく,生活の質を高めたいニーズが増えている状況」で27字。「商品ではなく」という対比を残すと,なぜ商品の販売ではなく体験価値なのかが伝わる。調剤売場の課題(自宅で服薬指導を聞きたいなど)は観点が違う。

設問3(1) 35字以内

C 社が,オンラインサポート機能を提供するのは,施策のどのような部分を実施するためか。35 字以内で答えよ。

解答例

  • プレ・アフターホスピタルのサービスをオンラインでも提供すること
解説

本文の根拠

〔新たな方針と施策〕(1)

店舗で調剤薬を販売することに加え,都市部の医療機関を受診する顧客の通院中及び在宅経過観察などのプレ・アフターホスピタルにおける薬剤師による服薬指導や残薬管理,管理栄養士による栄養指導などの健康相談といったサービスを店舗でもオンラインでも提供する。

〔健康生活アプリ〕(1) オンラインサポート機能

顧客は,オンラインサポートの予約を行い,予約した時間に来店することなく,リモートで薬剤師による服薬指導や残薬管理,管理栄養士による栄養指導などの健康相談といったサービスを受けることができる。

オンラインサポート機能は,来店せずにリモートで服薬指導や残薬管理,栄養指導などの健康相談を受けられる機能である。これを施策の文と並べると,施策(1)の「プレ・アフターホスピタルにおける…サービスを店舗でもオンラインでも提供する」のうち,オンラインで提供する部分に当たる。

店舗での提供は調剤売場などの既存の場で行えるが,オンラインでの提供には仕組みが要る。それを担うのがこの機能である。施策が掲げる店舗とオンラインの融合のうち,オンラインの側を受け持っている。

35字に対し,解答例は「プレ・アフターホスピタルのサービスをオンラインでも提供すること」で31字。講評によると「都市部の医療機関を受診する顧客の通院などをサポートする」という答えが見受けられた。これは施策の対象を言い換えただけで,機能が施策のどの部分を担うか(オンラインでの提供)になっていない。

採点講評(IPA)

設問3(1)は,正答率がやや低く,“都市部の医療機関を受診する顧客の通院などをサポートする”といった解答が見受けられた。C社が店舗でのサービスとオンラインでのサービスを融合して顧客体験を高めている具体的な内容が何であるかを読み取り解答してほしい。

設問3(2) 35字以内

C 社は,ヘルスケアアドバイス機能を提供することによってどのような顧客のニーズを満たすことができると考えているか。35 字以内で答えよ。

解答例

  • 健康の増進や体形の維持・改善につながる情報が欲しいというニーズ
解説

本文の根拠

〔C 社の課題〕(2) 小売売場の課題

健康の増進や体形の維持・改善につながる情報が欲しい。

〔健康生活アプリ〕(2) ヘルスケアアドバイス機能

顧客は,記録した情報から AI がスコアリングした健康状態や予測した健康リスク,生活習慣改善や体形の維持・改善につながるコメント,おすすめのサプリメント,K 地域の食品メーカーと共同で開発した PB 商品を使ったレシピなどの情報を入手する。

ヘルスケアアドバイス機能では,行動情報を記録すると,AI による健康状態のスコアや健康リスク,「生活習慣改善や体形の維持・改善につながるコメント」,サプリメントやレシピの情報が得られる。これを〔C 社の課題〕のニーズと照らし合わせる。

小売売場の課題に「健康の増進や体形の維持・改善につながる情報が欲しい」とある。機能が提供するコメントの言葉(体形の維持・改善)とそのまま重なるので,これが満たそうとしているニーズである。

35字に対し,解答例は「健康の増進や体形の維持・改善につながる情報が欲しいというニーズ」で31字。調剤売場にも「自身の生活習慣の改善につながる情報が欲しい」というニーズがあり,機能のコメントには生活習慣改善も含まれるが,解答例は体形の維持・改善まで含む小売売場の言葉を使っている。

設問3(3) 35字以内

C 社がビューティアドバイス機能を提供する上で活用する C 社の強みは何か。35 字以内で答えよ。

解答例

  • 仕入先の特長を生かした高い評価を得ている共同企画を実施できること
解説

本文の根拠

〔C 社の戦略〕(4) 商品開発や企画に関する戦略

また,化粧品メーカーとの一部店舗での期間限定共同イベントとして,化粧品メーカーの販売員が,顧客にメイクアップ体験指導を行ったりしている。C 社はこのような仕入先の特長を生かした共同企画を実施し高い評判を得ている。

〔健康生活アプリ〕(3) ビューティアドバイス機能

また,店舗で行われる K 地域の化粧品メーカーと共同の期間限定メイクアップ体験イベントの予約もできる。

冒頭

これまで C 社は,K 地域にある生活必需品の仕入先と密接なコミュニケーションを行い,強い協力関係を築いてきた。

ビューティアドバイス機能では,店舗で行われる「K 地域の化粧品メーカーと共同の期間限定メイクアップ体験イベント」を予約できる。このイベントは〔C 社の戦略〕(4) に出てくる,化粧品メーカーの販売員がメイクアップ体験指導を行う共同イベントである。

本文は,C 社が「仕入先の特長を生かした共同企画を実施し高い評判を得ている」と書いている。その土台は,冒頭にある K 地域の仕入先との強い協力関係である。ほかのドラッグストアチェーンがまねしにくいこの共同企画が,機能を提供する上での C 社の強みになる。施策(2)の「仕入先と協力して」とも対応している。

35字に対し,解答例は「仕入先の特長を生かした高い評価を得ている共同企画を実施できること」で32字。「化粧品を扱っている」「AI を使える」ではなく,仕入先との共同企画であることと,それが評判を得ていることを書く。

設問4 40字以内

〔服薬指導補助システム〕について,C 社は,服薬指導補助システムを構築することによって,どのような問題を解決しようと考えているか。40 字以内で答えよ。

解答例

  • 業務負担が大きく,かつ時間が掛かるため混雑時に顧客を待たせることがある
解説

本文の根拠

〔C 社の課題〕(1) 調剤売場の課題

また,薬剤師は,調剤するときには,過去の薬歴,飲み合わせや保存方法の注意点など様々な確認を行う必要がある。これは,業務負担が大きく,かつ時間が掛かるので混雑時に顧客を待たせることがある。

〔服薬指導補助システム〕

服薬指導補助システムは,調剤売場で入手した処方箋データや過去の服薬履歴などの情報から薬効重複チェックや服薬指導コメントの作成を行う。

服薬指導補助システムは,処方箋データや過去の服薬履歴から薬効重複チェックと服薬指導コメントの作成を行う。これは調剤売場の課題にある薬剤師の確認作業,「過去の薬歴,飲み合わせや保存方法の注意点など様々な確認」をシステムが肩代わりするものである。

課題の文は,この確認が「業務負担が大きく,かつ時間が掛かるので混雑時に顧客を待たせることがある」と続く。システムで確認を補助すれば,薬剤師の負担が減り,調剤の時間も短くなる。〔新たな方針と施策〕でも「薬剤師の業務負担も軽減する」としている。

40字に対し,解答例は「業務負担が大きく,かつ時間が掛かるため混雑時に顧客を待たせることがある」で35字。業務負担だけでなく,顧客を待たせるという顧客側の問題まで書く。

出典:令和7年度 春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(表記を一部改変)