平成23年度 特別試験に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
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問1
相関係数に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア すべての標本点が正の傾きをもつ直線上にあるときは,相関係数が+1になる。 正解
イ 変量間の関係が線形のときは,相関係数が0になる。
ウ 変量間の関係が非線形のときは,相関係数が負になる。
エ 無相関のときは,相関係数が−1になる。
正解 ア
解説
相関係数は2変量の直線的な関係の強さを −1 から +1 の範囲で表す指標。全ての標本点が1本の直線上に並び,その傾きが正であれば,相関係数はちょうど +1 になる。アが正しい。
イは逆で,きれいな線形の関係があれば相関係数の絶対値は1に近づく。0になるのは直線的な関係が見られないときである。ウは,非線形の関係でも相関係数が正になることも0付近になることもあり,負になるとは限らない。エの無相関のときは0であって −1 ではない。−1 になるのは負の傾きの直線上に全ての点が並ぶときである。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
あるプログラム言語において,識別子(identifier)は,先頭が英字で始まり,それ以降に任意個の英数字が続く文字列である。これを BNF で定義したとき,a に入るものはどれか。
ア <letter> | <digit> | <identifier><letter> | <identifier><digit>
イ <letter> | <digit> | <letter><identifier> | <identifier><digit>
ウ <letter> | <identifier><digit>
エ <letter> | <identifier><digit> | <identifier><letter> 正解
正解 エ
解説
識別子は“英字1文字”から始まり,その後ろに英字又は数字を任意個つなげたものである。<identifier> ::= <letter> | <identifier><digit> | <identifier><letter> と定義すると,まず英字1文字が識別子になり,識別子の後ろに数字又は英字を付けたものも識別子になるので,先頭が英字で以降に任意個の英数字が続く文字列を全て表せる。エが正しい。
アとイは <digit> 単独も識別子としているので,数字1文字や数字で始まる文字列を許してしまう。ウは識別子の後ろに数字しか付けられないので,“ab”のように2文字目以降に英字を含む識別子を表せない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
キーが小文字のアルファベット1文字(a,b,…,z のいずれか)であるデータを,大きさが10のハッシュ表に格納する。ハッシュ関数として,アルファベットの ASCII コードを 10進表記法で表したときの1の位の数を用いることにする。衝突が起こるキーの組合せはどれか。ASCII コードでは,昇順に連続した2進数が,アルファベット順にコードとして割り当てられている。
ア a と i
イ b と r
ウ c と l
エ d と x 正解
正解 エ
解説
ASCII では a が10進で97,以降 b が98,c が99……とアルファベット順に1ずつ増える。1の位が同じになる組合せを探すと,d は 97+3=100 で1の位が0,x は 97+23=120 で1の位が0となり一致する。したがって d と x が衝突する。エが正しい。
アの a は7,i は 97+8=105 で5。イの b は8,r は 97+17=114 で4。ウの c は9,l は 97+11=108 で8。いずれも1の位が異なるので衝突しない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
主記憶アクセスの高速化技術であるライトバック方式における,キャッシュメモリ及び主記憶への書込みの説明として,適切なものはどれか。
ア キャッシュメモリ及び主記憶の両方に同時に書き込む。
イ キャッシュメモリにだけ書き込み,対応する主記憶の更新は,キャッシュメモリからデータが追い出されるときに行う。 正解
ウ キャッシュメモリへの書込みと同時にバッファに書き込んだ後,バッファから主記憶へ順次書き込む。
エ 主記憶を,独立して動作する複数のブロックに分けて,各ブロックに並列に書き込む。
正解 イ
解説
ライトバック方式は,データを書き込むときにキャッシュメモリにだけ書き込み,主記憶への書込みは,そのデータがキャッシュメモリから追い出されるときにまとめて行う方式である。書込みのたびに低速な主記憶にアクセスしないので,高速に処理できる。イが該当する。
アのキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むのはライトスルー方式である。ウのバッファを介して主記憶に順次書き込む方式や,エの主記憶を複数ブロックに分けて並列に書き込む方式は,ライトバック方式ではない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
システムの稼働率を表す式はどれか。
ア (平均故障間隔+平均修理時間)/平均修理時間
イ (平均故障間隔−平均修理時間)/平均故障間隔
ウ 平均故障間隔/(平均故障間隔+平均修理時間) 正解
エ 平均修理時間/(平均故障間隔+平均修理時間)
正解 ウ
解説
稼働率は,システムが正常に稼働している時間の割合で,平均故障間隔(MTBF)を,MTBF と平均修理時間(MTTR)の和で割って求める。ウが正しい。
エは全体の時間に占める修理中の時間の割合で,稼働していない割合(1−稼働率)を表す。ア,イは稼働率の定義に当てはまらない式である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
OS のスケジューリング方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 処理時間順方式では,既に消費した CPU 時間の長いジョブに高い優先度を与える。
イ 到着順方式では,ラウンドロビン方式に比べて特に処理時間の短いジョブの応答時間が短くなる。
ウ 優先度順方式では,一部のジョブの応答時間が極端に長くなることがある。 正解
エ ラウンドロビン方式では,ジョブに割り当てる CPU 時間(タイムクウォンタム)を短くするほど,到着順方式に近づく。
正解 ウ
解説
優先度順方式では,優先度の高いジョブが次々に到着すると,優先度の低いジョブがいつまでも実行されず,応答時間が極端に長くなること(スタベーション)がある。ウが適切である。
アの処理時間順方式は,処理時間の短いジョブを優先する方式で,消費した CPU 時間の長いジョブを優先するものではない。イの到着順方式では,処理時間の長いジョブの後に着いた短いジョブが待たされるので,ラウンドロビン方式より短いジョブの応答時間は長くなる。エのラウンドロビン方式は,タイムクウォンタムを長くするほど途中で切り替わらなくなり,到着順方式に近づく。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
あるコンピュータ上で,異なる命令形式のコンピュータで実行できる目的プログラムを生成する言語処理プログラムはどれか。
ア エミュレータ
イ クロスコンパイラ 正解
ウ 最適化コンパイラ
エ プログラムジェネレータ
正解 イ
解説
クロスコンパイラは,あるコンピュータ上で,命令形式(アーキテクチャ)の異なる別のコンピュータで実行できる目的プログラムを生成するコンパイラである。組込みシステムの開発などで,開発用のコンピュータから対象機器向けのプログラムを作るのに使われる。イが正しい。
アのエミュレータは,別のコンピュータの命令形式を模倣して,そのコンピュータ用のプログラムを実行するもの。ウの最適化コンパイラは,実行速度やメモリ使用量が改善されるように目的プログラムを生成するコンパイラ。エのプログラムジェネレータは,パラメータなどを指定してプログラムを自動生成するものである。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
NAND 素子を用いた次の組合せ回路の出力 Z を表す式はどれか。ここで,論理式中の・は論理積,+は論理和,X̅ は X の否定を表す。
ア X・Y
イ X+Y 正解
ウ X̅・̅Y̅
エ X̅+̅Y̅
正解 イ
解説
NAND 素子の二つの入力に同じ信号を入れると,否定(NOT)として働く。上の NAND 素子の出力は X̅,下の NAND 素子の出力は Y̅ になる。
出力段の NAND 素子は X̅ と Y̅ の論理積の否定を出すので,ド・モルガンの法則により NOT(X̅・Y̅)=X+Y となる。イが正しい。NAND 素子だけで OR 回路を組み立てられることを示す例である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
Web ページの設計の例のうち,アクセシビリティを高める観点から適切なものはどれか。
ア 音声を利用者に確実に聞かせるために,表示時に自動的に再生する。
イ 体裁の良いレイアウトにするために,表組みを用いる。
ウ 入力が必須な項目は,色で強調するだけでなく,項目名の隣に“(必須)”などと明記する。 正解
エ ハイパリンク先の内容が予測できるように,ハイパリンク画像の alt 属性にリンク先の URL を付記する。
正解 ウ
解説
色の違いを見分けにくい利用者や,画面読上げソフトを使う利用者には,色で強調しただけでは入力が必須であることが伝わらない。項目名の隣に“(必須)”などと文字で明記すれば,色に頼らずに情報が伝わるので,ウが適切である。
アの音声の自動再生は,画面読上げソフトの音声を妨げたり,利用者が止められなかったりするので避ける。イの表組みをレイアウトに使うと,読上げの順序が崩れて内容が伝わりにくくなる。エの alt 属性には,URL ではなくリンク先の内容や画像の意味を説明する文を記述する。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
動画や音声などのマルチメディアコンテンツのレイアウトや再生のタイミングを XML フォーマットで記述するための W3C 勧告はどれか。
正解 ウ
解説
SMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)は,動画・音声・静止画・テキストなどをどこに配置し,どのタイミングで再生するかを XML で記述するための W3C 勧告。ウが正しい。
アの Ajax は非同期通信で画面を部分更新する Web の実装手法で W3C 勧告ではない。イの CSS は文書の見た目を指定するスタイルシート言語。エの SVG はベクター画像を XML で記述する形式で,どちらも再生のタイミングを扱うものではない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
関係データベースにおいて,表の中から特定の列だけを取り出す操作はどれか。
ア 結合(join)
イ 射影(projection) 正解
ウ 選択(selection)
エ 和(union)
正解 イ
解説
射影(projection)は,表の中から指定した列だけを取り出す操作である。イが正しい。
アの結合(join)は,複数の表を共通の列の値によって結び付けて一つの表を作る操作。ウの選択(selection)は,条件に合う行だけを取り出す操作。エの和(union)は,同じ構造の二つの表の行を合わせて一つの表にする操作である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
SSL によるクライアントと Web サーバ間の通信手順(1)〜(5)において,a,b に入る適切な語句の組合せはどれか。ここで,記述した手順は,一部簡略化している。
(1) クライアントからの SSL による接続要求に対し,Web サーバはサーバ証明書をクライアントに送付する。 (2) クライアントは,保持している a によってこのサーバ証明書の正当性を確認する。 (3) クライアントは,共通鍵生成用のデータを作成し,サーバ証明書に添付された b によってこの共通鍵生成用データを暗号化し,Web サーバに送付する。 (4) 受け取った Web サーバは,自らの秘密鍵によって暗号化された共通鍵生成用データを復号する。 (5) クライアントと Web サーバの両者は,同一の共通鍵生成用データによって共通鍵を作成し,これ以降の両者間の通信は,この共通鍵による暗号化通信を行う。
ア a:クライアントの公開鍵,b:Web サーバの秘密鍵
イ a:クライアントの秘密鍵,b:Web サーバの公開鍵
ウ a:認証局の公開鍵,b:Web サーバの公開鍵 正解
エ a:認証局の公開鍵,b:Web サーバの秘密鍵
正解 ウ
解説
SSL(TLS)では,(2) でクライアントは,サーバ証明書に付けられた認証局のディジタル署名を,あらかじめ保持している認証局の公開鍵で検証し,証明書が正当であることを確認する。よって a は認証局の公開鍵である。
(3) でクライアントは,サーバ証明書に含まれる Web サーバの公開鍵で共通鍵生成用データを暗号化して送る。(4) で Web サーバが自らの秘密鍵で復号できるのは,対になる公開鍵で暗号化されているからで,b は Web サーバの公開鍵となる。ウが正しい。
ア,イのクライアントの鍵はこの手順では使わない。エの Web サーバの秘密鍵はサーバだけが持つもので,サーバ証明書に添付されることはない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
緊急事態を装って組織内部の人間からパスワードや機密情報を入手する不正な行為は,どれに分類されるか。
ア ソーシャルエンジニアリング 正解
イ トロイの木馬
ウ パスワードクラック
エ 踏み台攻撃
正解 ア
解説
ソーシャルエンジニアリングは,技術的な手段ではなく,人間の心理的な隙や行動のミスにつけ込んで,パスワードや機密情報を不正に入手する行為である。緊急事態を装って電話をかけ,組織内部の人間を慌てさせて聞き出す手口は,その典型である。アが該当する。
イのトロイの木馬は有用なプログラムに見せかけて利用者にインストールさせるマルウェア,ウのパスワードクラックは総当たりや辞書を使ってパスワードを解読する攻撃,エの踏み台攻撃は第三者のコンピュータを乗っ取って攻撃の中継に使う攻撃である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
ゼロデイ攻撃の特徴はどれか。
ア セキュリティパッチが提供される前に攻撃する。 正解
イ 特定のサイトに対し,日時を決めて,複数台の PC から同時に攻撃する。
ウ 特定のターゲットに対し,フィッシングメールを送信して不正サイトへ誘導する。
エ 不正中継が可能なメールサーバを見つけた後,それを踏み台にチェーンメールを大量に送信する。
正解 ア
解説
ゼロデイ攻撃は,脆弱性が公表されてから修正プログラム(セキュリティパッチ)が提供されるまでの,あるいは提供されても適用が済んでいない期間を狙って,その脆弱性を突く攻撃。パッチがまだない状態を突かれるので防ぎにくい。アが正しい。
イは DDoS 攻撃,ウは標的型のフィッシング(スピアフィッシング),エはメールサーバを踏み台にした大量送信の説明である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
図は“顧客が商品を注文する”を表現した UML のクラス図である。“顧客が複数の商品をまとめて注文する”を表現したクラス図はどれか。ここで,“注文明細”は一つの注文に含まれる1種類の商品に対応し,“注文ヘッダ”は複数の“注文明細”を束ねた一つの注文に対応する。
正解 ア
解説
顧客が複数の商品をまとめて注文する場合,一つの注文(注文ヘッダ)は顧客1人が行い,顧客は0回以上注文するので,顧客(1)と注文ヘッダ(0..*)が関連する。注文ヘッダは1種類以上の商品の注文明細をもち,注文明細は注文ヘッダの一部なので,全体である注文ヘッダの側にひし形を付けたコンポジションで,注文ヘッダ(1)と注文明細(1..*)となる。注文明細は1種類の商品に対応するので,注文明細(0..*)と商品(1)が関連する。これを満たすのはアである。
イはひし形が注文明細の側にあり,注文明細が全体で注文ヘッダが部分という逆の関係で,多重度も逆になっている。ウ,エは商品が注文ヘッダに関連しているので,一つの注文に1種類の商品しか含められず,顧客が注文明細に直接関連している点も題意に合わない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
テストで使用されるドライバ又はスタブの機能のうち,適切なものはどれか。
ア スタブは,テスト対象モジュールからの戻り値を表示・印刷する。
イ スタブは,テスト対象モジュールを呼び出すモジュールである。
ウ ドライバは,テスト対象モジュールから呼び出されるモジュールである。
エ ドライバは,テスト対象モジュールに引数を渡して呼び出す。 正解
正解 エ
解説
ドライバは,下位のモジュールをテストするときに,まだ完成していない上位のモジュールの代わりに,テスト対象モジュールに引数を渡して呼び出すモジュールである。エが適切である。
スタブは,上位のモジュールをテストするときに,まだ完成していない下位のモジュールの代わりに,テスト対象モジュールから呼び出されて仮の値を返すモジュールである。イとウはドライバとスタブの説明が入れ替わっている。アの戻り値の表示・印刷は,スタブの役割ではない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
共通フレーム 2007 をソフトウェア産業界に導入する目的として,適切なものはどれか。
ア ソフトウェア産業界において,ソフトウェア開発の生産性の尺度を統一する。
イ ソフトウェアの開発及び取引における契約書や設計書など,文書の種類や書式を規定する。
ウ ソフトウェアの開発及び取引の内容を明確にし,市場の透明性を高め,取引の更なる可視化を実現する。 正解
エ 電子商取引を行う際に必要な国際会計基準への対応方法を標準化する。
正解 ウ
解説
共通フレームは,ソフトウェアの構想から開発,運用,保守,廃棄までに行う作業の内容や用語を定義した共通の枠組み(物差し)である。発注者と受注者がこれを共通の言葉として使うことで,ソフトウェアの開発及び取引の内容を明確にし,市場の透明性を高めることを目的としている。ウが適切である。
アの生産性の尺度を統一するものではない。イの文書の種類や書式は規定しておらず,作業の内容を定義するものである。エの国際会計基準への対応方法とは関係がない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
あるプログラムの設計から結合テストまでの開発工程ごとの見積工数を表1に示す。また,この間の開発工程ごとの上級 SE と初級 SE の要員割当てを表2に示す。上級 SE は,初級 SE に比べて,プログラム作成・単体テストについて2倍の生産性を有する。表1の見積工数は,上級 SE の生産性を基に算出している。すべての開発工程で,上級 SE を1人追加して割り当てると,この間の開発工程の期間を何か月短縮できるか。ここで,開発工程の期間は重複させないものとし,要員全員が1か月当たり1人月の工数を投入するものとする。
正解 エ
解説
現在の期間は,設計が 6÷2=3か月,結合テストが 12÷2=6か月である。プログラム作成・単体テストでは,初級 SE の生産性が上級 SE の半分なので,上級 SE 2人と初級 SE 2人で上級 SE 3人分となり,12÷3=4か月かかる。合計は 3+4+6=13か月である。
上級 SE を1人ずつ追加すると,設計は 6÷3=2か月,プログラム作成・単体テストは上級 SE 4人分で 12÷4=3か月,結合テストは 12÷3=4か月となり,合計 9か月になる。13−9=4か月短縮できるので,エが正しい。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
パレート図の用途として,適切なものはどれか。
ア 工程の状態や品質を時系列に表した図であり,工程が安定した状態にあるかどうかを判断するために用いる。
イ 項目別に層別して出現度数の大きさの順に並べるとともに累積和を示した図であり,主要な原因を識別するために用いる。 正解
ウ 二つの特性を横軸と縦軸にとり測定値を打点した図であり,それらの相関を判断するために用いる。
エ 矢印付き大枝の先端に特性を,中枝,小枝に要因を表した図であり,どれがどれに影響しているかを分析するために用いる。
正解 イ
解説
パレート図は,項目別に層別したデータを出現度数の大きい順に棒グラフで並べ,その累積比率を折れ線グラフで示した図で,問題の主要な原因を識別し,重点的に取り組む対象を決めるのに用いる。イが適切である。
アは管理図,ウは散布図,エは特性要因図の説明である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
SLA に記載する内容として,適切なものはどれか。
ア 顧客とサービスプロバイダの間で合意されたサービスの目標及び責任範囲 正解
イ サービスデスクと IT サポート部門の役割分担
ウ サービスプロバイダが提供するすべてのサービスの特徴,構成要素,料金
エ 利用者から出された IT サービスに対する業務要件
正解 ア
解説
SLA(サービスレベル合意書)は,顧客とサービスプロバイダの間で,提供するサービスの内容,サービスレベルの目標,双方の責任範囲などを合意して文書にしたものである。アが適切である。
イのサービスデスクと IT サポート部門の役割分担は,サービスプロバイダ内部の取決め(OLA など)に記載する。ウの提供する全てのサービスの特徴や料金はサービスカタログ,エの利用者から出された業務要件は SLA の合意に先立って把握するサービスレベル要求の内容である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
データ管理者(DA)とデータベース管理者(DBA)を別々に任命した場合の DA の役割として,適切なものはどれか。
ア 業務データ量の増加傾向を把握し,ディスク装置の増設などを計画して実施する。
イ システム開発の設計工程では,主に論理データベース設計を行い,データ項目を管理して標準化する。 正解
ウ システム開発のテスト工程では,主にパフォーマンスチューニングを担当する。
エ システム障害が発生した場合には,データの復旧や整合性のチェックなどを行う。
正解 イ
解説
DA(データ管理者)は,組織全体のデータを資源として捉え,データ項目の標準化や論理データベース設計といった“データそのもの”の管理を担う。
ア・ウ・エはいずれも DBA(データベース管理者)の役割で,容量の管理,性能チューニング,障害時の復旧など,DBMS の運用に関わる業務。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
“システム監査基準”における,組織体がシステム監査を実施する目的はどれか。
ア 外部の専門企業によるテストによって,社内ネットワーク環境の脆弱性を知り,ネットワーク環境を整備する。
イ 自社の強み・弱み,自社を取り巻く機会・脅威を整理し,新たな経営戦略・事業分野を設定する。
ウ 情報システムにまつわるリスクに対するコントロールの整備・運用状況を評価し,改善につなげることによって,IT ガバナンスの実現に寄与する。 正解
エ ソフトウェア開発の生産性のレベルを客観的に知り,開発組織の能力を向上させるために,より高い生産性レベルを目指して取り組む。
正解 ウ
解説
システム監査基準では,システム監査は,組織体の情報システムにまつわるリスクに対するコントロールが適切に整備・運用されているかを,独立かつ専門的な立場のシステム監査人が評価し,改善につなげることで,IT ガバナンスの実現に寄与することを目的としている。ウが該当する。
アは外部の専門企業による侵入テスト(脆弱性診断),イは SWOT 分析による経営戦略の策定,エはソフトウェア開発組織の能力成熟度モデルによる改善活動の説明で,いずれもシステム監査の目的ではない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
“システム管理基準”によれば,情報システムの全体最適化を実現するために設置する情報システム化委員会の役割はどれか。
ア 外部委託先を選定し,適切な業務遂行のための管理,監督を行う。
イ 業務活動に即した,物理的,論理的及び環境のセキュリティを確保する。
ウ 情報技術の動向に対応するため,技術採用に関する指針を明確にする。 正解
エ 情報システムに係る法制度や社内規定に準拠する仕組みを確立する。
正解 ウ
解説
システム管理基準では,情報システムの全体最適化を実現するために,経営者の方針の下で情報システム化委員会を設置し,全体最適化計画の策定,情報化投資の方針や情報技術の採用に関する指針の明確化などを担わせる。組織全体として情報技術の動向に対応するための技術採用に関する指針を明確にするウが該当する。
アの外部委託先の選定と管理・監督は外部委託の管理,イのセキュリティの確保は情報セキュリティ管理,エの法制度や社内規定への準拠の仕組みはコンプライアンス(遵守)に関する活動として,それぞれ別に定められている。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
“システム管理基準”によれば,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にする計画はどれか。
ア 開発計画
イ 事業継続計画
ウ 全体最適化計画 正解
エ 年間運用計画
正解 ウ
解説
システム管理基準では,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にし,情報システムの全体最適化を図るための計画を全体最適化計画としている。個々の開発計画は,この全体最適化計画に基づいて策定する。ウが正しい。
アの開発計画は個別の情報システムの開発に関する計画,イの事業継続計画は災害や事故の際に重要な業務を継続・復旧するための計画,エの年間運用計画は情報システムの運用を年度単位で計画するもので,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にするものではない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
受注管理システムにおける要件のうち,非機能要件に該当するものはどれか。
ア 顧客から注文を受け付けるとき,与信残金額を計算し,結果がマイナスになった場合は,入力画面に警告メッセージを表示すること
イ 受注管理システムの稼働率を決められた水準に維持するために,障害発生時は半日以内に回復できること 正解
ウ 受注を処理するとき,倉庫に在庫がある商品はリアルタイムで自動的に在庫引当を行うこと
エ 出荷できる商品は,顧客から受注した情報を受注担当者がシステムに入力し,営業管理者が受注承認入力を行ったものに限ること
正解 イ
解説
非機能要件は,システムが提供する機能そのものではなく,可用性,性能,信頼性,保守性,セキュリティなど,品質や運用に関する要件である。稼働率を一定の水準に維持するために障害から半日以内に回復するというイは,可用性に関する要件で,非機能要件に該当する。
アの与信残金額の計算と警告メッセージの表示,ウの在庫の自動引当,エの受注承認入力を経たものだけを出荷可能とすることは,いずれもシステムが行う処理の内容を定めたもので,機能要件である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
コアコンピタンスを説明したものはどれか。
ア 経営活動における基本精神や行動指針
イ 事業戦略の遂行によって達成すべき到達目標
ウ 自社を取り巻く環境に関するビジネス上の機会と脅威
エ 他社との差別化の源泉となる経営資源 正解
正解 エ
解説
コアコンピタンスは,他社には容易にまねのできない,自社ならではの技術やノウハウなどの中核的な能力で,他社との差別化の源泉となる経営資源である。エが正しい。
アの経営活動における基本精神や行動指針は経営理念,イの事業戦略の遂行で達成すべき到達目標は経営目標(ビジョンや数値目標),ウの自社を取り巻く機会と脅威は SWOT 分析で整理する外部環境の説明である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
技術は,理想とする技術を目指す過程において,導入期,成長期,成熟期,衰退期,そして次の技術フェーズに移行するという進化の過程をたどる。この技術進化過程を表すものとして,適切なものはどれか。
ア 技術の S カーブ 正解
イ 需要曲線
ウ バスタブ曲線
エ ラーニングカーブ
正解 ア
解説
技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,導入期には努力の割に性能の向上が緩やかだが,成長期に急速に進歩し,成熟期には限界に近づいて進歩が鈍り,やがて衰退して次の技術に移行していく。進歩を時間などに対して描くと S 字形になる。アが適切である。
イの需要曲線は価格と需要量の関係を表す曲線。ウのバスタブ曲線は時間の経過に対する故障率の変化を表す曲線。エのラーニングカーブ(学習曲線)は経験を積むほど作業効率が上がりコストが下がる関係を表す曲線である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
セル生産方式の利点が生かせる対象はどれか。
ア 生産性を上げるために,大量生産が必要なもの
イ 製品の仕様が長期間変わらないもの
ウ 多種類かつフレキシブルな生産が求められるもの 正解
エ 標準化,単純化,専門化による分業が必要なもの
正解 ウ
解説
セル生産方式は,1人又は少人数の作業者が,部品の取付けから組立て,検査までの複数の工程を受け持って製品を完成させる生産方式である。作業者の組合せや作業内容を柔軟に変えられるので,多品種少量で需要の変化に応じたフレキシブルな生産が求められるものに向いている。ウが正しい。
アの大量生産,イの長期間仕様が変わらない製品,エの標準化,単純化,専門化による分業は,作業を細かく分けて流れ作業で行うライン生産方式が利点を生かせる対象である。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
キャッシュフロー計算書において,営業活動によるキャッシュフローに該当するものはどれか。
ア 株式の発行による収入
イ 商品の仕入による支出 正解
ウ 短期借入金の返済による支出
エ 有形固定資産の売却による収入
正解 イ
解説
営業活動によるキャッシュフローは,商品の販売による収入や,商品の仕入,人件費などの支出といった,本業の営業活動に伴う資金の出入りである。イの商品の仕入による支出が該当する。
アの株式の発行による収入と,ウの短期借入金の返済による支出は,資金の調達や返済に伴うもので財務活動によるキャッシュフロー。エの有形固定資産の売却による収入は,設備などの取得や売却に伴うもので投資活動によるキャッシュフローに該当する。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
偽装請負となるものはどれか。
ア 請負契約の要員が業務で使用するコンピュータや開発ツールなどは請負業者側で調達し管理する。
イ 請負契約の要員が発注先の事務所で業務を行う場合の規律,服装などの管理は,請負業者側で行う。
ウ 請負契約の要員と発注者の社員が混在しているチームで,発注者側の責任者が業務の割振り,指示を行う。 正解
エ 請負契約の要員の時間外労働,休日労働は,業務の進捗状況などをみて請負業者の責任者が決める。
正解 ウ
解説
請負契約では,請負業者が自らの責任で要員を指揮命令して仕事を完成させる。発注者が請負契約の要員に直接業務の割振りや指示を行うと,実態は発注者が指揮命令する労働者派遣であり,偽装請負となる。ウが該当する。
アの使用するコンピュータや開発ツールの調達と管理,イの規律や服装などの管理,エの時間外労働や休日労働の決定は,いずれも請負業者側が行っており,請負業者が自ら要員を管理しているので偽装請負には当たらない。
出典:平成23年度 特別試験 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
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