令和4年度 春期 午前Ⅱ

令和4年度 春期に実施されたITストラテジスト試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

官民データ活用推進基本法などに基づいて進められているオープンデータバイデザインに関して,行政機関における取組の記述として,適切なものはどれか。

正解 

解説

オープンデータ基本指針では,営利目的,非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用され,機械判読に適し,無償で利用できる形で公開されたデータをオープンデータと定義している。オープンデータバイデザインは,公共データをオープンデータとして公開することを前提に,情報システムや業務プロセス全体の企画,整備及び運用を行う考え方である。エが適切である。

イは誤りで,オープンデータは営利目的の利用も認められる。ウも誤りで,オープンデータは国民誰もがインターネットなどを通じて利用できるように公開するものであり,行政機関同士の相互利用に限定するものではない。アも誤りで,個人情報を含むデータは公開に適さないデータとして扱われ,選択肢のような届出によってオープン化する仕組みはない。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

金融業界で生まれた考え方で,主に被規制事業者が各種規制に正しく対応できているかどうかをチェックする業務などを,最新 IT を駆使して効率化する取組はどれか。

正解 

解説

レグテック(RegTech)は,Regulation(規制)と Technology(技術)を組み合わせた造語で,金融業界で生まれた。被規制事業者が法令や各種規制に正しく対応できているかを確認する業務や,当局への報告などを,AI やクラウドなどの最新 IT で効率化する取組である。エが該当する。

アの MOT(Management of Technology)は技術を経営に生かすための技術経営である。イのギグエコノミーは,インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方によって成り立つ経済の形態である。ウのコンプライアンスは法令や社会規範を守ることそのものであり,IT で効率化する取組を指す言葉ではない。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

ある企業では,顧客データについて,顧客を性別,年齢層,職業,年収など複数の属性を組み合わせてセグメント化し,蓄積された大量の購買履歴データに照らして商品の購入可能性が最も高いセグメントを予測している。このときに活用される分析手法はどれか。

正解 

解説

決定木分析は,性別,年齢層,職業,年収などの属性を条件として,データを段階的に枝分かれさせて分類し,目的とする結果(ここでは商品を購入するかどうか)が起こりやすいグループを見つけ出す手法である。分類の過程が木構造で表されるので,どの属性の組合せのセグメントで購入可能性が高いかを予測・説明しやすい。エが該当する。

アの ABC 分析は,売上高などの大きい順に項目を並べて重点管理の対象を決める手法である。イの SWOT 分析は,自社の強み・弱みと外部環境の機会・脅威を整理する手法である。ウの競合分析は,競合他社の戦略や製品などを調べて自社と比較する手法である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

プロジェクト開始時点で 150 百万円の支出を行う IT 投資プロジェクトにおいて,3 年間の金銭的価値を DCF 法で算定した場合,正しい金額は a~d のどれか。 なお,割引率は 20%で固定とし,キャッシュフローは全て年度末に発生するものとする。また,金銭的価値の算定の際には年度ごとに百万円未満を切り捨てて計算している。

上の表は“IT投資プロジェクト”(単位 百万円)で,キャッシュフローはプロジェクト開始時点 −150,1年後 100,2年後 100,3年後 100。下の表は“DCF法による金銭的価値の算定結果”(単位 百万円)で,列はプロジェクト開始時点,1年後,2年後,3年後,合計。aは −150,83,69,57,59。bは −150,83,71,62,66。cは −150,83,83,83,99。dは −150,83,96,99,128。

正解 

解説

DCF 法では,将来のキャッシュフローを割引率を用いて現在価値に換算する。割引率 20%のとき,n 年後のキャッシュフローは 1.2n で割る。

1 年後は 100÷1.2≒83.3 で 83,2 年後は 100÷1.44≒69.4 で 69,3 年後は 100÷1.728≒57.9 で 57(いずれも百万円未満切捨て)となる。合計は −150+83+69+57=59(百万円)であり,a のアになる。

b は 1+0.2×n のように単利で割り引いた値,c は毎年 1.2 で 1 回だけ割り引いた値であり,複利による割引になっていない。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

ベンダ X 社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X 社との契約に当たって,“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>”に照らし,各フェーズの契約形態を整理した。a~d の契約形態のうち,準委任型が適切であるとされるものはどれか。

フェーズと契約形態の表。要件定義は a,システム外部設計は“準委任型又は請負型”,システム内部設計は b,ソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテストは“請負型”,システム結合は c,システムテストは“準委任型又は請負型”,運用テストは d。

正解 

解説

経済産業省の“情報システム・モデル取引・契約書”は,ユーザが主体となって決める工程は,ベンダが専門的な支援を行う準委任型,ベンダが成果物の完成に責任を負える工程は請負型を適切としている。要件定義はユーザの業務要件を固める工程なので準委任型(a),運用テストはユーザが自らの業務で使えるかを確かめる工程なので準委任型(d)が適切である。イが正しい。

システム内部設計(b)とシステム結合(c)は,外部設計で要件が固まったあとにベンダが自らの責任で進められる工程なので,請負型が適切とされる。外部設計とシステムテストは,状況に応じて準委任型と請負型のどちらもあり得る。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

D. J. ティースが提唱したダイナミック・ケイパビリティの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ダイナミック・ケイパビリティは,D. J. ティースが提唱した概念で,企業が環境の変化を感知し,そこにある機会を捉え,組織内外の経営資源を再構成・再編成することによって自己を変革し,持続的な競争優位を確立する能力である。イが該当する。

アは,環境が変わらないことを前提に既存の資源を効率よく使って利益を上げる能力で,ティースはこれをオーディナリー・ケイパビリティと呼び,ダイナミック・ケイパビリティと対比している。ウはフォロワ企業の模倣戦略,エは官僚的な大規模組織における規則に従った業務遂行の説明である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

インバウンドマーケティングの説明はどれか。

正解 

解説

インバウンドマーケティングは,企業から一方的に広告を送りつけるのではなく,自ら情報を探しに来る見込み客に向けて,ブログ記事や動画,SNS などで役に立つコンテンツを発信し続け,見つけてもらうことで興味をもってもらい,顧客につなげていくマーケティング手法である。エが該当する。

アは映画などの作品中に商品を登場させるプロダクトプレイスメント,イは従業員に対して行うインターナルマーケティング,ウは市場全体を一つとみなして同じ製品を大量に販売するマスマーケティングの説明である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

コーズリレーテッドマーケティングの特徴はどれか。

正解 

解説

コーズリレーテッドマーケティングは,商品の売上の一部を社会貢献活動を行う団体に寄付するなど,企業が社会的な課題(コーズ)への取組と自社の商品の販売とを結び付けるマーケティング手法である。社会貢献への共感を購買動機にして,販売促進とブランドイメージの向上につなげる。ウが該当する。

アは顧客との長期的な関係を重視するリレーションシップマーケティング,イは顧客の許可を得てから情報を送るパーミッションマーケティングの特徴である。エは蓄積した顧客情報を分析して活用するデータベースマーケティングや CRM の特徴である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

マーケットバスケット分析の説明はどれか。

正解 

解説

マーケットバスケット分析は,POS システムなどで収集した購買データから,一緒に買われやすい商品の組合せを見つけ出す分析手法である。“商品 A を買った顧客は商品 B も買う傾向がある”といった関係を見つけ,売場の配置や併売の促進などに活用する。アが該当する。

イは地域をメッシュ状に区切って人口などを集計するグリッド分析(メッシュ分析),ウは地域ごとに選んだ調査対象者に繰り返し調査を行うパネル調査の説明である。エは,販売金額などの累計比率から商品を A,B,C の三つのランクに分ける ABC 分析の説明である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

需要の価格弾力性に関する説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

需要の価格弾力性は,価格が変化したときに需要量がどれだけ変化するかを,需要量の変化率÷価格の変化率で表したものである。生活に欠かせない必需品は,価格が上がっても購入量をあまり減らせないので価格弾力性が小さく,贅沢品は価格が上がると購入を控えやすいので価格弾力性が大きい。エが適切である。

アは誤りで,代替品が多いと値上げした際に他の商品に乗り換えられやすいので,価格弾力性は大きくなりやすい。イも誤りで,価格弾力性が大きい商品は,値上げによって需要が大きく減少する。ウも誤りで,価格弾力性が 1 の場合は価格の変化率と同じ率で需要量が変化する。需要量が変化しないのは価格弾力性が 0 の場合である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

企業が実施するマクロ環境分析のうち,PEST 分析によって戦略を策定している事例はどれか。

正解 

解説

PEST 分析は,企業を取り巻くマクロ環境を,政治(Politics),経済(Economy),社会(Society),技術(Technology)の四つの観点から分析する手法である。法規制は政治,景気動向は経済,流行の推移は社会,新技術の状況は技術の観点に当たるので,エが該当する。

アは購買行動に影響する要因を分析する顧客分析,イは新規参入の脅威を分析するファイブフォース分析などの業界環境(ミクロ環境)の分析である。ウは自社の販売力や技術力といった経営資源を評価する内部環境の分析である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

マルチサイドプラットフォームのビジネスモデルの説明はどれか。

正解 

解説

マルチサイドプラットフォームは,性質の異なる複数の顧客グループ(例えば,買い手と売り手,利用者と広告主)をつなぎ合わせ,グループ間の交流や取引を促進する仕組みを提供することで価値を生み出すビジネスモデルである。一方のグループの利用者が増えるほど,もう一方のグループにとっての価値も高まるネットワーク効果が働く。アが該当する。

イは顧客データベースを活用して顧客との関係を強化する CRM,ウは部品製造から販売まで事業の範囲を広げる垂直統合,エは異なる機種や OS で同じように利用できるようにするクロスプラットフォームの説明である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

新たに創造された知識を組織に広め,新たな暗黙知として習得することを,SECI モデルでは,どれに分類するか。

正解 

解説

SECI モデルは,野中郁次郎らが提唱した,暗黙知と形式知の相互変換によって組織の知識が創造される過程を表したモデルで,四つのプロセスからなる。共同化は経験の共有によって暗黙知を伝え,表出化は暗黙知を言葉や図などの形式知に表し,連結化は形式知を組み合わせて新たな形式知を作る。内面化は,新たに創造された形式知を実践を通じて個人が体得し,新たな暗黙知として習得するプロセスである。エが該当する。

内面化で身に付いた暗黙知は,再び共同化によって他者に伝えられ,知識創造のらせんが続いていく。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

プロダクトイノベーションの例として,適切なものはどれか。

正解 

解説

プロダクトイノベーションは,これまでにない新しい機能や性能をもつ製品・サービスを生み出すことによる革新である。マルチコア CPU を採用して高性能で低消費電力の製品を開発するエが該当する。

ア,イ,ウは,工程管理,部品在庫の削減,製造方法の見直しなど,製品を作り出す過程を改善するものであり,プロセスイノベーションの例である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

企業システムにおける SoE(Systems of Engagement)の説明はどれか。

正解 

解説

SoE(Systems of Engagement)は,データの活用を通じて,消費者や顧客企業とのつながり(エンゲージメント)や関係性を深めることを目的とするシステムである。変化の激しい顧客の行動に合わせて素早く改善を繰り返すことが求められる。ウが該当する。

これに対し,イやエのように,社内の定型業務を処理して結果を正確に記録し,財務報告などを支えるシステムは,SoR(Systems of Record)と呼ばれる。アは情報システムを稼働させるための IT 基盤(インフラストラクチャ)の説明である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

ある期間の生産計画において,表の部品表で表される製品 A の需要量が 10 個であるとき,部品 D の正味所要量は何個か。ここで,ユニット B の在庫残が 5 個,部品 D の在庫残が 25 個あり,他の在庫残,仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。

レベル0,レベル1,レベル2の品名と数量(個)を示す部品表。レベル0の製品A 1個は,レベル1のユニットB 4個とユニットC 1個からなる。ユニットBはレベル2の部品D 3個と部品E 1個からなる。ユニットCはレベル2の部品D 1個と部品F 2個からなる。

正解 

解説

製品 A が10個なので,ユニット B は 10×4=40個必要だが在庫が5個あるので正味35個,ユニット C は 10×1=10個必要で在庫はないので10個。部品 D はユニット B から 35×3=105個,ユニット C から 10×1=10個で合計115個必要になる。部品 D の在庫が25個あるので,正味所要量は 115−25=90個。イが正しい。

上位のユニット B の在庫を引かずに40個のまま計算すると,部品 D は 40×3+10=130個必要となり,在庫25個を引いて105個(エ)になってしまう。在庫は上位の品目から順に引き当てていく点に注意する。アの80とウの95は,この部品表からは導けない値である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

インダストリー4.0 の重要な概念であるサイバーフィジカルシステム(CPS)の説明はどれか。

正解 

解説

サイバーフィジカルシステム(CPS)は,実世界(フィジカル空間)にある多様なデータをセンサネットワークなどで収集し,サイバー空間でシミュレーションや分析を行い,その結果を実世界にフィードバックして,産業の効率化や社会の問題解決を図るシステムである。インダストリー4.0 では,工場の設備や製品をネットワークでつなぎ,CPS によって生産を最適化することが目指されている。エが該当する。

アはサーバの仮想化,イは制御システムのセキュリティ対策,ウはコンピュータゲームの開発の説明であり,実世界とサイバー空間を連携させるものではない。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

BCM(Business Continuity Management)において考慮すべきレジリエンスの説明はどれか。

正解 

解説

BCM におけるレジリエンスは,災害や事故などの不測の事態が発生したときに,組織として柔軟に対応し,被害を受けて支障が生じた事業を速やかに復元させる力である。エが該当する。

アは他社に真似のできない自社の強みであるコアコンピタンスの説明である。イは誤りで,想定される全てのリスクを回避することは現実的ではなく,BCM ではリスクの発生を前提として事業の継続と早期復旧を図る。ウは事業継続計画(BCP)の説明であり,レジリエンスはその計画などによって高められる組織の能力である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

問題解決に当たって,現実にとらわれることなく理想的なシステムを想定した上で,次に,理想との比較から現状の問題点を洗い出し,具体的な改善案を策定する手法はどれか。

正解 

解説

ワークデザイン法は,G. ナドラーが提唱した問題解決の手法である。現状の分析から始めるのではなく,まずシステムの目的を明確にして,現実の制約にとらわれない理想的なシステムを想定し,それと現状を比較して問題点を洗い出し,理想に近づくような実現可能な改善案を策定する。エが該当する。

アの系統図法は目的を達成するための手段を多段階に展開する手法,イの親和図法は言語データを似たもの同士でまとめて整理する手法である。ウの線形計画法は,一次式で表された制約条件の下で目的関数を最大又は最小にする解を求める手法である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

キャッシュフロー計算書における,営業活動によるキャッシュフローは何万円か。

単位 万円の表。税金等調整前当期純利益 108,減価償却費 42,売上債権の増加額 60,棚卸資産の減少額 30,仕入債務の増加額 40,法人税等の支払額 62。

正解 

解説

間接法による営業活動によるキャッシュフローは,税金等調整前当期純利益に,現金の支出を伴わない費用や,資産・負債の増減による資金の出入りを加減して求める。

減価償却費は費用でも現金は出ていかないので 42 を加える。売上債権の増加は,売上を計上したのに現金を回収していない分なので 60 を引く。棚卸資産の減少は,在庫が現金化された分なので 30 を加え,仕入債務の増加は,仕入れた代金をまだ支払っていない分なので 40 を加える。法人税等の支払額は現金の支出なので 62 を引く。

108+42−60+30+40−62=98(万円)となり,ウになる。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

固定資産について回収可能価額と帳簿価額とを比較し,回収可能価額が帳簿価額を下回る場合,その差額を損失として認識し,当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額する会計手続はどれか。

正解 

解説

減損会計は,固定資産の収益性が低下して投資額を回収できる見込みがなくなったときに,回収可能価額が帳簿価額を下回る差額を減損損失として計上し,帳簿価額を回収可能価額まで減額する会計処理である。アが該当する。

イの税効果会計は,会計上の利益と税法上の所得の差異を調整し,法人税等の額を適切に期間配分する会計処理である。ウのヘッジ会計は,ヘッジ対象とヘッジ手段の損益を同じ会計期間に認識する会計処理である。エのリース会計は,ファイナンス・リース取引を通常の売買取引に準じて資産・負債に計上するなど,リース取引を処理する会計処理である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

フェアユースの説明はどれか。

正解 

解説

フェアユースは,批評,解説,報道,教育,研究などの公正な目的であれば,一定の範囲で著作物を利用しても著作権侵害に当たらないと評価する考え方。米国著作権法などが採用している包括的な権利制限の枠組みで,日本の著作権法は個別の権利制限規定を並べる方式をとっている。

アのような公的機関を一律に免除する考え方はない。イは著作権等管理事業の説明,ウは著作者人格権のうちの同一性保持権の説明である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

総務省及び経済産業省が策定した“電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC 暗号リスト)”を構成する暗号リストの説明のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

CRYPTREC 暗号リストは,電子政府推奨暗号リスト・推奨候補暗号リスト・運用監視暗号リストの3つで構成される。電子政府推奨暗号リストは,CRYPTREC によって安全性及び実装性能が確認され,市場における利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断された暗号技術のリストで,ウがこの定義に当たる。

アは,電子政府推奨暗号リストの定義を推奨候補暗号リストに当てはめているので誤り。推奨候補暗号リストは,安全性及び実装性能は確認されたものの,今後電子政府推奨暗号リストに掲載される可能性がある段階の技術のリスト。イとエは運用監視暗号リスト(推奨すべき状態でなくなったが,互換性維持のために利用を認める技術のリスト)の説明であり,対象のリスト名が誤っている。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

“政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)管理基準”に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

ISMAP 管理基準では,ガバナンス基準は経営陣が実施すべき事項として,JIS Q 27014 を基に定められている。経営陣は情報セキュリティを統治するために,評価,指示,モニタ及びコミュニケーションの各プロセスを実行し,さらに保証プロセスによって独立した客観的な意見を得る。イが適切である。

アは誤りで,ISMAP 管理基準はガバナンス基準,マネジメント基準,管理策基準の三つから構成され,監査基準は含まれない。ウは管理策基準ではなく,マネジメント基準の説明である。エはマネジメント基準ではなく,管理策基準の説明である。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

参加者が毎回変わる 100 名程度の公開セミナにおいて,参加者に対して無線 LAN 接続環境を提供する。参加者の端末以外からのアクセスポイントへの接続を防止するために効果がある情報セキュリティ対策はどれか。

正解 

解説

無線 LAN のアクセスポイントとの間で事前に共有する鍵(PSK)を用いる認証では,鍵を知っている端末だけがアクセスポイントに接続できる。セミナごとに鍵を変更し,その回の参加者にだけ知らせれば,過去の参加者を含め,参加者の端末以外からの接続を防止できる。ウが該当する。

アの DHCP で割り当てる IP アドレスの範囲を変えても,端末に IP アドレスを手動で設定すれば接続できるので,接続の防止にはならない。イの URL フィルタリングは,接続した端末がアクセスできる Web サイトを制限する機能であり,アクセスポイントへの接続を防ぐものではない。エのプライバシセパレータは,同じアクセスポイントに接続した端末同士の通信を遮断する機能であり,参加者以外の端末の接続を防ぐものではない。

出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)