令和4年度 春期に実施されたITストラテジスト試験
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問1
官民データ活用推進基本法などに基づいて進められているオープンデータバイデザインに関して,行政機関における取組の記述として,適切なものはどれか。
ア 行政機関が保有する個人情報を産業振興などの目的でオープン化するためには,データ収集の開始に先立って個人情報保護委員会への届出が必要となる。
イ 行政機関において収集・蓄積された既存のデータが公開される場合,営利目的の利用は許されておらず,非営利の用途に限って利用が認められている。
ウ 行政機関における情報システムの設計において,情報セキュリティを確保する観点から,公開するデータの用途を行政機関同士の相互利用に限定する。
エ 対象となる行政データを,二次利用や機械判読に適した形態で無償公開することを前提に,情報システムや業務プロセスの企画,整備及び運用を行う。 正解
正解 エ
解説
オープンデータ基本指針では,営利目的,非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用され,機械判読に適し,無償で利用できる形で公開されたデータをオープンデータと定義している。オープンデータバイデザインは,公共データをオープンデータとして公開することを前提に,情報システムや業務プロセス全体の企画,整備及び運用を行う考え方である。エが適切である。
イは誤りで,オープンデータは営利目的の利用も認められる。ウも誤りで,オープンデータは国民誰もがインターネットなどを通じて利用できるように公開するものであり,行政機関同士の相互利用に限定するものではない。アも誤りで,個人情報を含むデータは公開に適さないデータとして扱われ,選択肢のような届出によってオープン化する仕組みはない。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
金融業界で生まれた考え方で,主に被規制事業者が各種規制に正しく対応できているかどうかをチェックする業務などを,最新 IT を駆使して効率化する取組はどれか。
ア MOT
イ ギグエコノミー
ウ コンプライアンス
エ レグテック 正解
正解 エ
解説
レグテック(RegTech)は,Regulation(規制)と Technology(技術)を組み合わせた造語で,金融業界で生まれた。被規制事業者が法令や各種規制に正しく対応できているかを確認する業務や,当局への報告などを,AI やクラウドなどの最新 IT で効率化する取組である。エが該当する。
アの MOT(Management of Technology)は技術を経営に生かすための技術経営である。イのギグエコノミーは,インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方によって成り立つ経済の形態である。ウのコンプライアンスは法令や社会規範を守ることそのものであり,IT で効率化する取組を指す言葉ではない。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
ある企業では,顧客データについて,顧客を性別,年齢層,職業,年収など複数の属性を組み合わせてセグメント化し,蓄積された大量の購買履歴データに照らして商品の購入可能性が最も高いセグメントを予測している。このときに活用される分析手法はどれか。
ア ABC 分析
イ SWOT 分析
ウ 競合分析
エ 決定木分析 正解
正解 エ
解説
決定木分析は,性別,年齢層,職業,年収などの属性を条件として,データを段階的に枝分かれさせて分類し,目的とする結果(ここでは商品を購入するかどうか)が起こりやすいグループを見つけ出す手法である。分類の過程が木構造で表されるので,どの属性の組合せのセグメントで購入可能性が高いかを予測・説明しやすい。エが該当する。
アの ABC 分析は,売上高などの大きい順に項目を並べて重点管理の対象を決める手法である。イの SWOT 分析は,自社の強み・弱みと外部環境の機会・脅威を整理する手法である。ウの競合分析は,競合他社の戦略や製品などを調べて自社と比較する手法である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
プロジェクト開始時点で 150 百万円の支出を行う IT 投資プロジェクトにおいて,3 年間の金銭的価値を DCF 法で算定した場合,正しい金額は a~d のどれか。
なお,割引率は 20%で固定とし,キャッシュフローは全て年度末に発生するものとする。また,金銭的価値の算定の際には年度ごとに百万円未満を切り捨てて計算している。
正解 ア
解説
DCF 法では,将来のキャッシュフローを割引率を用いて現在価値に換算する。割引率 20%のとき,n 年後のキャッシュフローは 1.2n で割る。
1 年後は 100÷1.2≒83.3 で 83,2 年後は 100÷1.44≒69.4 で 69,3 年後は 100÷1.728≒57.9 で 57(いずれも百万円未満切捨て)となる。合計は −150+83+69+57=59(百万円)であり,a のアになる。
b は 1+0.2×n のように単利で割り引いた値,c は毎年 1.2 で 1 回だけ割り引いた値であり,複利による割引になっていない。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
ベンダ X 社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X 社との契約に当たって,“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>”に照らし,各フェーズの契約形態を整理した。a~d の契約形態のうち,準委任型が適切であるとされるものはどれか。
正解 イ
解説
経済産業省の“情報システム・モデル取引・契約書”は,ユーザが主体となって決める工程は,ベンダが専門的な支援を行う準委任型,ベンダが成果物の完成に責任を負える工程は請負型を適切としている。要件定義はユーザの業務要件を固める工程なので準委任型(a),運用テストはユーザが自らの業務で使えるかを確かめる工程なので準委任型(d)が適切である。イが正しい。
システム内部設計(b)とシステム結合(c)は,外部設計で要件が固まったあとにベンダが自らの責任で進められる工程なので,請負型が適切とされる。外部設計とシステムテストは,状況に応じて準委任型と請負型のどちらもあり得る。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
D. J. ティースが提唱したダイナミック・ケイパビリティの説明として,適切なものはどれか。
ア 環境の変化がない状況のもと,経営資源を効率的に活用し,既存の業務システムを用いて利益を最大化する能力
イ 環境の変化を感知し,機会を捉え,組織内外の資源を再編成することによって,変革を行い,持続的競争優位を確立する能力 正解
ウ 既存の競争枠組みの中でフォロワの地位を長期的に維持するために,リーダの戦略や製品の特徴・価格を模倣する能力
エ 専門分化した大規模な組織において,上意下達の指揮命令の下,各自が担当する業務を所定の規則に従って遂行する能力
正解 イ
解説
ダイナミック・ケイパビリティは,D. J. ティースが提唱した概念で,企業が環境の変化を感知し,そこにある機会を捉え,組織内外の経営資源を再構成・再編成することによって自己を変革し,持続的な競争優位を確立する能力である。イが該当する。
アは,環境が変わらないことを前提に既存の資源を効率よく使って利益を上げる能力で,ティースはこれをオーディナリー・ケイパビリティと呼び,ダイナミック・ケイパビリティと対比している。ウはフォロワ企業の模倣戦略,エは官僚的な大規模組織における規則に従った業務遂行の説明である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
インバウンドマーケティングの説明はどれか。
ア 映画,テレビ,ゲーム画面などに商品や企業ロゴなどを登場させ,見ている人にさりげなくアピールするマーケティング
イ 企業が,顧客ではなく自社の従業員に対して行うマーケティング
ウ 市場全体を均質的な存在とみなし,大規模なプロモーション活動によって目標の達成を目指すマーケティング
エ 自ら主体的に情報を探しに来る顧客に対して,自社の商品・サービスに興味をもつコンテンツを制作し,情報発信し続けるマーケティング 正解
正解 エ
解説
インバウンドマーケティングは,企業から一方的に広告を送りつけるのではなく,自ら情報を探しに来る見込み客に向けて,ブログ記事や動画,SNS などで役に立つコンテンツを発信し続け,見つけてもらうことで興味をもってもらい,顧客につなげていくマーケティング手法である。エが該当する。
アは映画などの作品中に商品を登場させるプロダクトプレイスメント,イは従業員に対して行うインターナルマーケティング,ウは市場全体を一つとみなして同じ製品を大量に販売するマスマーケティングの説明である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
コーズリレーテッドマーケティングの特徴はどれか。
ア 顧客との継続的な取引関係を構築して維持することによって,顧客生涯価値を高め,企業収益に貢献する。
イ 顧客の許可を得てから勧誘や広告活動を行うことによって,顧客との長期的な信頼関係や友好関係の形成を重視する。
ウ 商品の売上の一部を NPO 法人に寄付するなど,社会貢献活動を支援する信条をアピールし,販売促進につなげる。 正解
エ 蓄積された顧客情報を分析することによって,見込み客の特定,的確な提案,顧客の購買促進や顧客のロイヤルティ向上などに役立てる。
正解 ウ
解説
コーズリレーテッドマーケティングは,商品の売上の一部を社会貢献活動を行う団体に寄付するなど,企業が社会的な課題(コーズ)への取組と自社の商品の販売とを結び付けるマーケティング手法である。社会貢献への共感を購買動機にして,販売促進とブランドイメージの向上につなげる。ウが該当する。
アは顧客との長期的な関係を重視するリレーションシップマーケティング,イは顧客の許可を得てから情報を送るパーミッションマーケティングの特徴である。エは蓄積した顧客情報を分析して活用するデータベースマーケティングや CRM の特徴である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
マーケットバスケット分析の説明はどれか。
ア POS システムなどで収集した販売情報から,顧客が買物をした際に同時に購入した商品の組合せを見つける。 正解
イ 網の目状に一定の経線と緯線で区切った地域に対して,人口,購買力など様々なデータを集計し,より細かく地域の分析を行う。
ウ 一定の目的で地域を幾つかに分割し,各地域にオピニオンリーダを選んで反復調査を行い,地域の傾向や実態を把握する。
エ 商品ごとの販売金額又は粗利益額を高い順に並べ,その累計比率から商品を三つのランクに分けて分析し,売れ筋商品を把握する。
正解 ア
解説
マーケットバスケット分析は,POS システムなどで収集した購買データから,一緒に買われやすい商品の組合せを見つけ出す分析手法である。“商品 A を買った顧客は商品 B も買う傾向がある”といった関係を見つけ,売場の配置や併売の促進などに活用する。アが該当する。
イは地域をメッシュ状に区切って人口などを集計するグリッド分析(メッシュ分析),ウは地域ごとに選んだ調査対象者に繰り返し調査を行うパネル調査の説明である。エは,販売金額などの累計比率から商品を A,B,C の三つのランクに分ける ABC 分析の説明である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
需要の価格弾力性に関する説明として,適切なものはどれか。
ア 多くの競合他社が代替品を提供している場合は価格弾力性が小さくなりやすい。
イ 価格弾力性が大きい商品の場合,値上げをしても需要に大きな変化は見られない。
ウ 価格弾力性の値が 1 の場合,価格を下げても需要量は変化しない。
エ 必需品と贅沢品を比較した場合,一般に必需品の方が価格弾力性は小さい。 正解
正解 エ
解説
需要の価格弾力性は,価格が変化したときに需要量がどれだけ変化するかを,需要量の変化率÷価格の変化率で表したものである。生活に欠かせない必需品は,価格が上がっても購入量をあまり減らせないので価格弾力性が小さく,贅沢品は価格が上がると購入を控えやすいので価格弾力性が大きい。エが適切である。
アは誤りで,代替品が多いと値上げした際に他の商品に乗り換えられやすいので,価格弾力性は大きくなりやすい。イも誤りで,価格弾力性が大きい商品は,値上げによって需要が大きく減少する。ウも誤りで,価格弾力性が 1 の場合は価格の変化率と同じ率で需要量が変化する。需要量が変化しないのは価格弾力性が 0 の場合である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
企業が実施するマクロ環境分析のうち,PEST 分析によって戦略を策定している事例はどれか。
ア 購買決定者の年齢層や社会的なポジション,購買に至るプロセスの中で購買行動に影響する要因を把握し,自社の製品の市場投入方法を決定する。
イ 自社の製品市場に参入してくると見込まれる,別市場の企業の動向を把握し,新製品の開発を決定する。
ウ 自社の販売力,生産力の評価や自社の保有する技術力を検証し,新しく進出する市場分野を決定する。
エ 法規制,景気動向,流行の推移や新技術の状況を把握し,自社の製品改良の方針を決定する。 正解
正解 エ
解説
PEST 分析は,企業を取り巻くマクロ環境を,政治(Politics),経済(Economy),社会(Society),技術(Technology)の四つの観点から分析する手法である。法規制は政治,景気動向は経済,流行の推移は社会,新技術の状況は技術の観点に当たるので,エが該当する。
アは購買行動に影響する要因を分析する顧客分析,イは新規参入の脅威を分析するファイブフォース分析などの業界環境(ミクロ環境)の分析である。ウは自社の販売力や技術力といった経営資源を評価する内部環境の分析である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
マルチサイドプラットフォームのビジネスモデルの説明はどれか。
ア 顧客価値を創造するために,複数の異なる種類の顧客セグメントをつなぎ合わせ,顧客セグメント間の交流を促進する仕組みを提供するモデルである。 正解
イ 顧客との良好な関係を築き収益拡大を図るために,顧客データベースの構築を前提として,顧客との様々な局面でのコミュニケーションを支援するモデルである。
ウ 製造業において,事業の多角化を図るために,現在の製品の川上となる部品の製造と,川下となる販売事業に同時に進出するモデルである。
エ 複数の異なる仕様の機種や OS で同じように動作するソフトウェアやサービスを提供することによって利用者を増やし,事業拡大を図るモデルである。
正解 ア
解説
マルチサイドプラットフォームは,性質の異なる複数の顧客グループ(例えば,買い手と売り手,利用者と広告主)をつなぎ合わせ,グループ間の交流や取引を促進する仕組みを提供することで価値を生み出すビジネスモデルである。一方のグループの利用者が増えるほど,もう一方のグループにとっての価値も高まるネットワーク効果が働く。アが該当する。
イは顧客データベースを活用して顧客との関係を強化する CRM,ウは部品製造から販売まで事業の範囲を広げる垂直統合,エは異なる機種や OS で同じように利用できるようにするクロスプラットフォームの説明である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
新たに創造された知識を組織に広め,新たな暗黙知として習得することを,SECI モデルでは,どれに分類するか。
ア 共同化(Socialization)
イ 表出化(Externalization)
ウ 連結化(Combination)
エ 内面化(Internalization) 正解
正解 エ
解説
SECI モデルは,野中郁次郎らが提唱した,暗黙知と形式知の相互変換によって組織の知識が創造される過程を表したモデルで,四つのプロセスからなる。共同化は経験の共有によって暗黙知を伝え,表出化は暗黙知を言葉や図などの形式知に表し,連結化は形式知を組み合わせて新たな形式知を作る。内面化は,新たに創造された形式知を実践を通じて個人が体得し,新たな暗黙知として習得するプロセスである。エが該当する。
内面化で身に付いた暗黙知は,再び共同化によって他者に伝えられ,知識創造のらせんが続いていく。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
プロダクトイノベーションの例として,適切なものはどれか。
ア シックスシグマの工程管理を導入し,製品品質を向上させる。
イ ジャストインタイム方式を採用し,部品在庫を減らす。
ウ 製造方法を見直し,コストを下げた製品を製造する。
エ マルチコア CPU を採用し,高性能で低消費電力の製品を開発する。 正解
正解 エ
解説
プロダクトイノベーションは,これまでにない新しい機能や性能をもつ製品・サービスを生み出すことによる革新である。マルチコア CPU を採用して高性能で低消費電力の製品を開発するエが該当する。
ア,イ,ウは,工程管理,部品在庫の削減,製造方法の見直しなど,製品を作り出す過程を改善するものであり,プロセスイノベーションの例である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
企業システムにおける SoE(Systems of Engagement)の説明はどれか。
ア 高可用性,拡張性,セキュリティを確保しながら情報システムを稼働・運用するためのハードウェア,ソフトウェアから構成されるシステム基盤
イ 社内業務プロセスに組み込まれ,定型業務を処理し,結果を記録することによって省力化を実現するためのシステム
ウ データの活用を通じて,消費者や顧客企業とのつながりや関係性を深めるためのシステム 正解
エ 日々の仕訳伝票を入力した上で,データの改ざん,消失を防ぎながら取引データベースを維持・管理することによって,財務報告を行うためのシステム
正解 ウ
解説
SoE(Systems of Engagement)は,データの活用を通じて,消費者や顧客企業とのつながり(エンゲージメント)や関係性を深めることを目的とするシステムである。変化の激しい顧客の行動に合わせて素早く改善を繰り返すことが求められる。ウが該当する。
これに対し,イやエのように,社内の定型業務を処理して結果を正確に記録し,財務報告などを支えるシステムは,SoR(Systems of Record)と呼ばれる。アは情報システムを稼働させるための IT 基盤(インフラストラクチャ)の説明である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
ある期間の生産計画において,表の部品表で表される製品 A の需要量が 10 個であるとき,部品 D の正味所要量は何個か。ここで,ユニット B の在庫残が 5 個,部品 D の在庫残が 25 個あり,他の在庫残,仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。
正解 イ
解説
製品 A が10個なので,ユニット B は 10×4=40個必要だが在庫が5個あるので正味35個,ユニット C は 10×1=10個必要で在庫はないので10個。部品 D はユニット B から 35×3=105個,ユニット C から 10×1=10個で合計115個必要になる。部品 D の在庫が25個あるので,正味所要量は 115−25=90個。イが正しい。
上位のユニット B の在庫を引かずに40個のまま計算すると,部品 D は 40×3+10=130個必要となり,在庫25個を引いて105個(エ)になってしまう。在庫は上位の品目から順に引き当てていく点に注意する。アの80とウの95は,この部品表からは導けない値である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
インダストリー4.0 の重要な概念であるサイバーフィジカルシステム(CPS)の説明はどれか。
ア 1 台のサーバの中に複数の仮想マシンを作り,それぞれに別々の基本ソフトを入れて,あたかも複数台のサーバがあるかのように動作させるシステム
イ サイバー攻撃に備えて,情報の漏えい・滅失・棄損の防止など必要な措置を講じ,制御ネットワークに接続された機器を安全に維持管理するシステム
ウ 実世界と関係のない架空のストーリーを基に,コンピュータグラフィックスを用いて,コンピュータゲームを開発するためのシステム
エ 実世界にある多様なデータをセンサなどで収集し,仮想空間でシミュレーション技術などを用いて解析し,得られた情報を基に実世界の問題解決を図るシステム 正解
正解 エ
解説
サイバーフィジカルシステム(CPS)は,実世界(フィジカル空間)にある多様なデータをセンサネットワークなどで収集し,サイバー空間でシミュレーションや分析を行い,その結果を実世界にフィードバックして,産業の効率化や社会の問題解決を図るシステムである。インダストリー4.0 では,工場の設備や製品をネットワークでつなぎ,CPS によって生産を最適化することが目指されている。エが該当する。
アはサーバの仮想化,イは制御システムのセキュリティ対策,ウはコンピュータゲームの開発の説明であり,実世界とサイバー空間を連携させるものではない。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
BCM(Business Continuity Management)において考慮すべきレジリエンスの説明はどれか。
ア 競争力の源泉となる,他社に真似のできない自社固有の強み
イ 想定される全てのリスクを回避して事業継続を行う方針
ウ 大規模災害などの発生時に事業の継続を可能とするために事前に策定する計画
エ 不測の事態が生じた場合の組織的対応力や,支障が生じた事業を復元させる力 正解
正解 エ
解説
BCM におけるレジリエンスは,災害や事故などの不測の事態が発生したときに,組織として柔軟に対応し,被害を受けて支障が生じた事業を速やかに復元させる力である。エが該当する。
アは他社に真似のできない自社の強みであるコアコンピタンスの説明である。イは誤りで,想定される全てのリスクを回避することは現実的ではなく,BCM ではリスクの発生を前提として事業の継続と早期復旧を図る。ウは事業継続計画(BCP)の説明であり,レジリエンスはその計画などによって高められる組織の能力である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
問題解決に当たって,現実にとらわれることなく理想的なシステムを想定した上で,次に,理想との比較から現状の問題点を洗い出し,具体的な改善案を策定する手法はどれか。
ア 系統図法
イ 親和図法
ウ 線形計画法
エ ワークデザイン法 正解
正解 エ
解説
ワークデザイン法は,G. ナドラーが提唱した問題解決の手法である。現状の分析から始めるのではなく,まずシステムの目的を明確にして,現実の制約にとらわれない理想的なシステムを想定し,それと現状を比較して問題点を洗い出し,理想に近づくような実現可能な改善案を策定する。エが該当する。
アの系統図法は目的を達成するための手段を多段階に展開する手法,イの親和図法は言語データを似たもの同士でまとめて整理する手法である。ウの線形計画法は,一次式で表された制約条件の下で目的関数を最大又は最小にする解を求める手法である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
キャッシュフロー計算書における,営業活動によるキャッシュフローは何万円か。
正解 ウ
解説
間接法による営業活動によるキャッシュフローは,税金等調整前当期純利益に,現金の支出を伴わない費用や,資産・負債の増減による資金の出入りを加減して求める。
減価償却費は費用でも現金は出ていかないので 42 を加える。売上債権の増加は,売上を計上したのに現金を回収していない分なので 60 を引く。棚卸資産の減少は,在庫が現金化された分なので 30 を加え,仕入債務の増加は,仕入れた代金をまだ支払っていない分なので 40 を加える。法人税等の支払額は現金の支出なので 62 を引く。
108+42−60+30+40−62=98(万円)となり,ウになる。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
固定資産について回収可能価額と帳簿価額とを比較し,回収可能価額が帳簿価額を下回る場合,その差額を損失として認識し,当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額する会計手続はどれか。
ア 減損会計 正解
イ 税効果会計
ウ ヘッジ会計
エ リース会計
正解 ア
解説
減損会計は,固定資産の収益性が低下して投資額を回収できる見込みがなくなったときに,回収可能価額が帳簿価額を下回る差額を減損損失として計上し,帳簿価額を回収可能価額まで減額する会計処理である。アが該当する。
イの税効果会計は,会計上の利益と税法上の所得の差異を調整し,法人税等の額を適切に期間配分する会計処理である。ウのヘッジ会計は,ヘッジ対象とヘッジ手段の損益を同じ会計期間に認識する会計処理である。エのリース会計は,ファイナンス・リース取引を通常の売買取引に準じて資産・負債に計上するなど,リース取引を処理する会計処理である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
フェアユースの説明はどれか。
ア 国及び地方公共団体,並びにこれに準ずる公的機関は,公共の福祉を目的として他者の著作物を使用する場合,著作権者に使用料を支払う必要がないという考え方
イ 著作権者は,著作権使用料の徴収を第三者に委託することが認められており,委託を受けた著作権管理団体はその徴収を公平に行わなければならないという考え方
ウ 著作物の利用に当たっては,その内容や題号を公正に取り扱うため,著作者の意に反し,利用者が勝手に変更,切除その他の改変を行ってはならないという考え方
エ 批評,解説,ニュース報道,教授,研究,調査などといった公正な目的のためであれば,一定の範囲での著作物の利用は,著作権の侵害に当たらないという考え方 正解
正解 エ
解説
フェアユースは,批評,解説,報道,教育,研究などの公正な目的であれば,一定の範囲で著作物を利用しても著作権侵害に当たらないと評価する考え方。米国著作権法などが採用している包括的な権利制限の枠組みで,日本の著作権法は個別の権利制限規定を並べる方式をとっている。
アのような公的機関を一律に免除する考え方はない。イは著作権等管理事業の説明,ウは著作者人格権のうちの同一性保持権の説明である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
総務省及び経済産業省が策定した“電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC 暗号リスト)”を構成する暗号リストの説明のうち,適切なものはどれか。
ア 推奨候補暗号リストとは,CRYPTREC によって安全性及び実装性能が確認された暗号技術のうち,市場における利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断され,当該技術の利用を推奨するもののリストである。
イ 推奨候補暗号リストとは,候補段階に格下げされ,互換性維持目的で利用する暗号技術のリストである。
ウ 電子政府推奨暗号リストとは,CRYPTREC によって安全性及び実装性能が確認された暗号技術のうち,市場における利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断され,当該技術の利用を推奨するもののリストである。 正解
エ 電子政府推奨暗号リストとは,推奨段階に格下げされ,互換性維持目的で利用する暗号技術のリストである。
正解 ウ
解説
CRYPTREC 暗号リストは,電子政府推奨暗号リスト・推奨候補暗号リスト・運用監視暗号リストの3つで構成される。電子政府推奨暗号リストは,CRYPTREC によって安全性及び実装性能が確認され,市場における利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断された暗号技術のリストで,ウがこの定義に当たる。
アは,電子政府推奨暗号リストの定義を推奨候補暗号リストに当てはめているので誤り。推奨候補暗号リストは,安全性及び実装性能は確認されたものの,今後電子政府推奨暗号リストに掲載される可能性がある段階の技術のリスト。イとエは運用監視暗号リスト(推奨すべき状態でなくなったが,互換性維持のために利用を認める技術のリスト)の説明であり,対象のリスト名が誤っている。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
“政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)管理基準”に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア ISMAP 管理基準は,ガバナンス基準,マネジメント基準,管理策基準,監査基準の四つから構成されている。
イ ガバナンス基準の実施主体は経営陣であり,情報セキュリティガバナンスのプロセスとして,評価,指示,モニタ,コミュニケーション及び保証の各プロセスが定められている。 正解
ウ 管理策基準は,管理者が実施すべき事項として,情報セキュリティマネジメントの計画,実行,点検,処置及びリスクコミュニケーションに必要な事項を定めている。
エ マネジメント基準は,組織における情報セキュリティマネジメントの確立段階において,リスク対応方針に従って管理策を選択する際の選択肢を与えている。
正解 イ
解説
ISMAP 管理基準では,ガバナンス基準は経営陣が実施すべき事項として,JIS Q 27014 を基に定められている。経営陣は情報セキュリティを統治するために,評価,指示,モニタ及びコミュニケーションの各プロセスを実行し,さらに保証プロセスによって独立した客観的な意見を得る。イが適切である。
アは誤りで,ISMAP 管理基準はガバナンス基準,マネジメント基準,管理策基準の三つから構成され,監査基準は含まれない。ウは管理策基準ではなく,マネジメント基準の説明である。エはマネジメント基準ではなく,管理策基準の説明である。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
参加者が毎回変わる 100 名程度の公開セミナにおいて,参加者に対して無線 LAN 接続環境を提供する。参加者の端末以外からのアクセスポイントへの接続を防止するために効果がある情報セキュリティ対策はどれか。
ア アクセスポイントがもつ DHCP サーバ機能において,参加者の端末に対して動的に割り当てる IP アドレスの範囲をセミナごとに変更する。
イ アクセスポイントがもつ URL フィルタリング機能において,参加者の端末に対する条件をセミナごとに変更する。
ウ アクセスポイントがもつ認証機能において,参加者の端末とアクセスポイントとの間で事前に共有する鍵をセミナごとに変更する。 正解
エ アクセスポイントがもつプライバシセパレータ機能において,参加者の端末へのアクセス制限をセミナごとに変更する。
正解 ウ
解説
無線 LAN のアクセスポイントとの間で事前に共有する鍵(PSK)を用いる認証では,鍵を知っている端末だけがアクセスポイントに接続できる。セミナごとに鍵を変更し,その回の参加者にだけ知らせれば,過去の参加者を含め,参加者の端末以外からの接続を防止できる。ウが該当する。
アの DHCP で割り当てる IP アドレスの範囲を変えても,端末に IP アドレスを手動で設定すれば接続できるので,接続の防止にはならない。イの URL フィルタリングは,接続した端末がアクセスできる Web サイトを制限する機能であり,アクセスポイントへの接続を防ぐものではない。エのプライバシセパレータは,同じアクセスポイントに接続した端末同士の通信を遮断する機能であり,参加者以外の端末の接続を防ぐものではない。
出典:令和4年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
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