令和7年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
0≦x≦1 の範囲で単調に増加する連続関数 f(x) が f(0)<0≦f(1) を満たすときに,区間内で f(x)=0 である x の値を近似的に求めるアルゴリズムにおいて,(2)は何回実行されるか。
〔アルゴリズム〕
(1) x0 ←0,x1 ←1とする。 (2) x←(x0 +x1 )/2 とする。 (3) x1 -x<0.001 ならば x の値を近似値として終了する。 (4) f(x)≧0 ならば x1 ←x として,そうでなければ x0 ←x とする。 (5) (2)に戻る。
正解 ア
解説
二分法(区間を半分に狭めていく方法)の問題。(2) を k 回実行した直後の x1 −x は,そのときの区間幅の半分,すなわち 1/2k になる。
終了条件 1/2k <0.001 は 2k >1000 と同値であり,29 =512,210 =1024 なので k=10 で初めて成立する。よって (2) は10回実行される。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
AI における機械学習の過程において,過学習と疑われたときの解消方法として,最も適切なものはどれか。
ア 訓練した時と同じ精度を出すために,訓練データをテストデータとして使用する。
イ 精度を高めるために,元の訓練データに加工を施し,訓練データの量を増やす。 正解
ウ 予測した結果に近づけるために,モデルをより複雑にする。
エ より多くの未知のデータに対して予測できるように,汎化性能を下げる。
正解 イ
解説
過学習は,訓練データに適合しすぎて未知のデータに対する予測精度(汎化性能)が落ちる状態。元の訓練データに加工を施して量を増やす(データ拡張)と,モデルが訓練データの細部を覚え込みにくくなり,過学習の解消につながる。
アは訓練データでテストしても過学習を検出できない。ウはモデルを複雑にすると過学習は悪化する。エは汎化性能を上げるべきであり,記述が逆。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
A,B,C の順序で入力されるデータがある。各データについてスタックへの挿入と取出しを1回ずつ行うことができる場合,データの出力順序は何通りあるか。
正解 ウ
解説
スタックは後入れ先出しなので,各データの push と pop を1回ずつ行うときに得られる出力順序は ABC,ACB,BAC,BCA,CBA の5通り。
CAB は作れない。C を最初に出すには A,B,C を全て積む必要があり,その時点で残りは B,A の順にしか取り出せないため。なお,この個数は n=3 のカタラン数に一致する。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
同じ命令セットをもつコンピュータ A と B とがある。それぞれの CPU クロック周期,及びあるプログラムを実行したときの CPI(Cycles Per Instruction)は,表のとおりである。そのプログラムを実行したとき,コンピュータ A の処理時間は,コンピュータ B の処理時間の何倍になるか。
正解 ウ
解説
1命令あたりの実行時間は CPU クロック周期×CPI で求められる。コンピュータ A は 1ナノ秒×4.0=4ナノ秒,コンピュータ B は 4ナノ秒×0.5=2ナノ秒。
同じ命令セットの同じプログラム(=実行命令数が同じ)なので,処理時間の比はそのまま 4÷2=2 倍になる。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
二つのシステム A,B の稼働率をそれぞれαA (0<αA <1),αB (0<αB <1),MTBF をそれぞれ MTBFA ,MTBFB ,MTTR をそれぞれ MTTRA ,MTTRB としたとき,これらの関係として,常に成り立つものはどれか。
ア αA =αB ならば,MTBFA =MTBFB であり,かつ MTTRA =MTTRB である。
イ αA =αB ならば,MTTRA /MTBFA =MTTRB /MTBFB である。 正解
ウ αA >αB ならば,MTBFA >MTBFB であり,かつ MTTRA >MTTRB である。
エ αA >αB ならば,MTTRA /MTBFA >MTTRB /MTBFB である。
正解 イ
解説
稼働率は α=MTBF/(MTBF+MTTR) で表される。これを変形すると MTTR/MTBF=(1−α)/α となり,稼働率が等しければ MTTR/MTBF も必ず等しくなる。よってイが常に成り立つ。
アは誤り。稼働率が同じでも MTBF と MTTR の絶対値が一致するとは限らない(例:MTBF 100・MTTR 10 と MTBF 200・MTTR 20)。ウは誤り。稼働率が高くても MTTR が大きい場合はある。エは誤り。α が大きいほど (1−α)/α は小さくなるので不等号の向きが逆。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
仮想記憶管理におけるページ置換えアルゴリズムとして LRU 方式を採用する。主記憶のページ枠が,4000,5000,6000,7000 番地(いずれも16進数)の4ページ分で,プログラムが参照するページ番号の順が,1→2→3→4→2→5→3→1→6→5→4のとき,最後の参照ページ4は何番地にページインされているか。ここで,最初の1→2→3→4の参照で,それぞれのページは4000,5000,6000,7000番地にページインされるものとする。
ア 4000
イ 5000
ウ 6000 正解
エ 7000
正解 ウ
解説
LRU は最後に参照されてから最も時間が経ったページを追い出す方式。参照順に追うと次のようになる。
1→2→3→4 で 4000,5000,6000,7000 番地が埋まる。2 はヒット。5 で最も古い 1(4000番地)を追い出し 5 が 4000 番地へ。3 はヒット。1 で最も古い 4(7000番地)を追い出し 1 が 7000 番地へ。6 で最も古い 2(5000番地)を追い出し 6 が 5000 番地へ。5 はヒット。最後の 4 で最も古い 3(6000番地)を追い出すので,4 は 6000 番地にページインされる。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
IoT システムにおいて,センサーの値をゲートウェイに送信するセンサーノードの消費電流を抑えるため,図のような間欠動作を考える。センサーノードの動作時間は10ミリ秒で,その間は平均して 10mA の電流が流れる。待機中は常に 0.1μA の電流が流れる。間欠動作の平均電流を 1μA 以下にするための待機時間として,最も短いものはどれか。ここで,平均電流の値を求める時間は十分に長いものとする。
ア 1.1秒
イ 11.1秒
ウ 111.1秒 正解
エ 1111.1秒
正解 ウ
解説
待機時間を T 秒とすると 1周期は (0.01+T) 秒。1周期に流れる電気量は 10mA×0.01秒+0.1μA×T=100μA·秒+0.1μA×T となる。
平均電流は (100+0.1T)/(0.01+T) μA なので,これを 1μA 以下にする条件は 100+0.1T ≦ 0.01+T,すなわち 0.9T ≧ 99.99,T ≧ 111.1 となる。最も短い待機時間は 111.1秒。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
W3C で仕様が定義され,矩形や円,直線,文字列などの図形オブジェクトを XML 形式で記述し,Web ページでの図形描画にも使うことができる画像フォーマットはどれか。
ア OpenGL
イ PNG
ウ SVG 正解
エ TIFF
正解 ウ
解説
SVG(Scalable Vector Graphics)は W3C が仕様を定めたベクター画像フォーマットで,矩形・円・直線・文字列などの図形オブジェクトを XML 形式で記述する。拡大しても劣化せず,HTML に直接埋め込んで Web ページの図形描画に使える。
アの OpenGL は3次元グラフィックスの API であって画像フォーマットではない。イの PNG とエの TIFF はいずれもラスタ(ビットマップ)形式の画像フォーマット。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
関係を第2正規形から第3正規形に変換する手順はどれか。
ア 候補キー以外の属性から,候補キーの一部の属性に対して関数従属性がある場合,その関係を分解する。
イ 候補キー以外の属性間に関数従属性がある場合,その関係を分解する。 正解
ウ 候補キーの一部の属性から,候補キー以外の属性への関数従属性がある場合,その関係を分解する。
エ 一つの属性に複数の値が入っている場合,単一の値になるように分解する。
正解 イ
解説
第3正規形は,非キー属性間の関数従属(推移的関数従属)を取り除いた形。第2正規形の関係に非キー属性間の関数従属があれば,その部分を別の関係に分解する。
ウは部分関数従属を取り除く第2正規形への変換,エは繰返し項目をなくす第1正規形への変換。アは非キー属性から候補キーの一部への従属を扱うもので,ボイス・コッド正規形に関する話。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
SQL 文に示す参照制約が存在する“商品”表と“受注”表とがある。“商品”表の行を削除したとき,削除した行の商品コードと同じ値の商品コードをもつ“受注”表の行を自動的に削除する SQL 文として,a に入れる字句はどれか。
〔SQL 文〕
CREATE TABLE 商品 (
商品コード CHAR(4) PRIMARY KEY ,
商品名 VARCHAR(64)
)
CREATE TABLE 受注 (
受注番号 INTEGER PRIMARY KEY ,
商品コード CHAR(4) ,
受注個数 INTEGER ,
納品日 CHAR(8) ,
FOREIGN KEY (商品コード) REFERENCES 商品(商品コード)
ON DELETE a
)
ア CASCADE 正解
イ RESTRICT
ウ SET DEFAULT
エ SET NULL
正解 ア
解説
参照制約の ON DELETE 句に CASCADE を指定すると,被参照表(商品)の行を削除したときに,それを参照している表(受注)の行も連鎖して自動的に削除される。
イの RESTRICT は参照している行があるとき削除自体を拒否する。ウの SET DEFAULT は外部キーの値を既定値に,エの SET NULL は NULL に置き換えるだけで,受注表の行は残る。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
無線 LAN のアクセスポイントや IP 電話機などに,LAN ケーブルを利用して給電も行う仕組みはどれか。
正解 イ
解説
PoE(Power over Ethernet)は,LAN ケーブルを使ってデータ通信と給電を同時に行う仕組み。無線 LAN アクセスポイントや IP 電話機,ネットワークカメラなど,電源コンセントを確保しにくい場所の機器に使われる。
アの PLC は電力線を通信に使う技術,ウの UPS は停電時に電力を供給する無停電電源装置,エの USB は周辺機器接続の規格。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
デジタル庁,総務省及び経済産業省が策定した“電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC 暗号リスト)”を構成する暗号リストの説明のうち,適切なものはどれか。
ア 推奨候補暗号リストとは,CRYPTREC によって安全性及び実装性能が確認された暗号技術のうち,市場における利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断され,当該技術の利用を推奨するもののリストである。
イ 推奨候補暗号リストとは,候補段階に格下げされ,互換性維持目的で利用する暗号技術のリストである。
ウ 電子政府推奨暗号リストとは,CRYPTREC によって安全性及び実装性能が確認された暗号技術のうち,市場における利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断され,当該技術の利用を推奨するもののリストである。 正解
エ 電子政府推奨暗号リストとは,推奨段階に格下げされ,互換性維持目的で利用する暗号技術のリストである。
正解 ウ
解説
CRYPTREC 暗号リストは,電子政府推奨暗号リスト・推奨候補暗号リスト・運用監視暗号リストの3つで構成される。電子政府推奨暗号リストは,CRYPTREC によって安全性及び実装性能が確認され,市場における利用実績が十分であるか今後の普及が見込まれると判断された暗号技術のリストで,ウがこの定義に当たる。
アは,電子政府推奨暗号リストの定義を推奨候補暗号リストに当てはめているので誤り。推奨候補暗号リストは,安全性及び実装性能は確認されたものの,今後電子政府推奨暗号リストに掲載される可能性がある段階の技術のリスト。イとエは運用監視暗号リスト(推奨すべき状態でなくなったが,互換性維持のために利用を認める技術のリスト)の説明であり,対象のリスト名が誤っている。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
ソフトウェアの情報セキュリティ対策のうち,SBOM(Software Bill Of Materials)管理ツールを用いることができるものはどれか。
ア ソフトウェアでの利用者認証に用いるアカウントの一元管理
イ ソフトウェアについての脆弱性管理 正解
ウ ソフトウェアのソースコードについてのバージョン管理,アクセス制御及び改ざん防止
エ ソフトウェアのソースコードのバックアップとマルウェア混入防止
正解 イ
解説
SBOM(Software Bill Of Materials)は,ソフトウェアを構成する部品(ライブラリなどのコンポーネント)とその依存関係の一覧。どの製品にどのライブラリのどのバージョンが含まれるかを把握できるため,新たな脆弱性が公表されたときに影響範囲を速やかに特定でき,脆弱性管理に活用できる。
アはアカウント管理,ウはバージョン管理システムやアクセス制御,エはバックアップとマルウェア対策の話であり,いずれも SBOM 管理ツールの用途ではない。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
Web アプリケーションソフトウェアの開発における OS コマンドインジェクション対策はどれか。
ア SQL 文の組立ては全てプレースホルダで実装する。
イ シェルを起動できる言語機能を利用した実装を避ける。 正解
ウ 直接メモリにアクセスできる言語機能を利用した実装を避ける。
エ 利用者が入力したファイル名にディレクトリが含まれていないかのエラーチェックを実装する。
正解 イ
解説
OS コマンドインジェクションは,外部から与えられた文字列がシェルに渡され,意図しない OS コマンドが実行される脆弱性。シェルを起動できる言語機能(system 関数など)を使わない実装にすれば,そもそも OS コマンドが実行されない。
アは SQL インジェクション,ウはバッファオーバフロー,エはディレクトリトラバーサルの対策。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
VPN で使用されるプロトコルである IPsec,L2TP,TLS の,OSI 基本参照モデルにおける相対的な位置関係はどれか。
正解 ウ
解説
OSI 基本参照モデルでは,L2TP はデータリンク層(第2層)でトンネルを作るプロトコル,IPsec はネットワーク層(第3層)で IP パケットを保護するプロトコル,TLS はトランスポート層より上位(第4〜5層付近)で動作するプロトコル。
したがって上位層から順に TLS,IPsec,L2TP と並ぶ C が正しい。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
デザインレビューの目的はどれか。
ア 設計工程内で,設計工程の成果物の問題点を発見する。 正解
イ 品質保証部門が,全成果物の出荷の可否を判定する。
ウ 品質保証部門によるプログラムのサンプリング検査によって,設計者では気付かない品質上の問題点を発見する。
エ プロジェクトマネジメントのプロセス上の問題点を発見する。
正解 ア
解説
デザインレビューは,設計工程の中で設計成果物を関係者がレビューし,後工程に不具合を持ち越さないよう設計上の問題点を早期に発見することを目的とする。
イとウは品質保証部門が行う出荷判定や抜取検査であって,設計工程内のレビューではない。エはプロジェクトマネジメントのプロセス上の問題を扱うもので,デザインレビューの目的ではない。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
スクラムにおいて繰り返し実行するイベントのうち,ステークホルダに作業の結果をプレゼンテーションして,プロダクトゴールに対する進捗について話し合い,必要に応じてスコープを調整するイベントはどれか。
ア スプリントプランニング
イ スプリントレビュー 正解
ウ デイリースクラム
エ レトロスペクティブ
正解 イ
解説
スプリントレビューは,スプリントの成果をステークホルダに提示し,プロダクトゴールに対する進捗を話し合って,必要ならプロダクトバックログ(スコープ)を調整するイベント。
アのスプリントプランニングはスプリントの計画を立てるイベント,ウのデイリースクラムは開発者が日々の進捗を同期する短い会議,エのレトロスペクティブはチームの仕事の進め方を振り返って改善するイベント。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
EVM を使用してマネジメントをしているプロジェクトで,進捗に関する指標値は次のとおりであった。このプロジェクトに対する適切な評価と対策はどれか。
〔進捗に関する指標値〕
CPI(コスト効率指数):0.9 SPI(スケジュール効率指数):1.1 BAC(完成時総予算)に基づく TCPI(残作業効率指数):1.2
ア コストが予算を超えているが,スケジュールには余裕があり,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないので,CPI に基づいて完成までに必要なコストを予測する。
イ コストが予算を超えているので,完成時総予算を超過するおそれがあるが,スケジュールには余裕があるので,残作業のコスト効率を上げる対策を検討するか,コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。 正解
ウ コストには余裕があるが,スケジュールが予定より遅れており,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要があるので,ファストトラッキングなどを用いたスケジュール短縮を検討するとともに,コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
エ コストには余裕があるので,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないが,スケジュールが予定より遅れているので,クラッシングなどを用いたスケジュール短縮を検討する。
正解 イ
解説
CPI=0.9<1 なのでコスト効率が計画を下回っており,コストが予算を超えている。SPI=1.1>1 なのでスケジュールは計画より進んでいる。さらに BAC に基づく TCPI=1.2>1 は,完成時総予算に収めるには残作業を計画より高い効率で進める必要があることを示す。
したがって,予算超過のおそれに対して残作業のコスト効率を上げる対策やコンティンジェンシー予備費の使用を検討するイが適切。アは TCPI>1 を無視して“上げる必要はない”としている点が誤り。ウとエはコストとスケジュールの状態が逆になっている。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
プロジェクトの期間を短縮する方法のうち,クラッシングに該当するものはどれか。
ア 作業の前後関係を組み直し,実施する順番を変える。
イ 作業を分析し,同時に実施できる部分を複数の作業に分割し,並行して実施する。
ウ 先行作業の一部の成果物が完成した時点で,後続作業を開始する。
エ プロジェクトの外部から要員を調達し,クリティカルパス上の作業に投入する。 正解
正解 エ
解説
クラッシングは,要員や設備などの資源を追加投入してクリティカルパス上の作業期間を短縮する技法。コストは増えるが期間を縮められる。
イは同時に実施できる作業を並行させるファストトラッキング。アの作業順序の組替えやウの部分完成による後続作業の前倒しも,資源の追加投入ではないためクラッシングには当たらない。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
あるサービスでは〔サービス可用性の SLA〕に基づき,サービス可用性の目標値の遵守状況を月ごとに測定して評価している。ある月の実績値は 99.3%だった。この月にサービス可用性の目標値を達成するためには,サービス停止時間は,最低,何時間少なければよかったか。
〔サービス可用性の SLA〕
サービス可用性の目標値:99.5%以上 サービス提供時間帯:7時〜22時 サービス提供日数:20日/月
正解 イ
解説
サービス提供時間は 7時〜22時の15時間×20日/月=300時間。
目標の99.5%以上を満たすには停止時間を 300×0.5%=1.5時間以内に抑える必要がある。実績99.3%のときの停止時間は 300×0.7%=2.1時間なので,2.1−1.5=0.6時間少なければ目標を達成できた。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
システム監査におけるウォークスルー法の説明として,適切なものはどれか。
ア 機密データの保管状況に関する資料及び文書類を入手し,内容を点検する。
イ システムの運用状況について,関係者に口頭で問い合わせ,回答を入手する。
ウ データの生成から入力,処理,出力,利活用までのプロセス,及び組み込まれている一連のコントロールを確認する。 正解
エ テストデータを監査対象プログラムで処理し,期待した結果が出力されるかどうかを確かめる。
正解 ウ
解説
ウォークスルー法は,データの生成から入力・処理・出力・利活用に至る一連の流れを追跡し,その過程に組み込まれたコントロールが意図どおり機能しているかを確認する監査技法。
アは資料や文書類を入手して点検する閲覧・査閲,イは関係者に口頭で問い合わせる質問(インタビュー),エは監査人が用意したデータを処理させて結果を確かめるテストデータ法。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
システム監査における“監査手続”として,最も適切なものはどれか。
ア 監査計画の立案や監査業務の進捗管理を行うための手続
イ 監査結果を受けて,監査報告書に監査人の結論や指摘事項を記述する手続
ウ 監査項目について,十分かつ適切な証拠を入手するための手続 正解
エ 監査テーマに合わせて,監査チームを編成する手続
正解 ウ
解説
監査手続は,監査項目について監査人が十分かつ適切な監査証拠を入手するために実施する手順のこと。
アは監査計画の立案や進捗管理,イは監査報告書の作成,エは監査体制の編成であり,いずれも監査証拠を入手する手順そのものではない。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
DX 認定制度における認定基準に含まれている事項はどれか。
ア 経営ビジョン及び DX 戦略を策定して対外発信を行うことに加えて,ビジネスモデルの革新などデジタル技術活用の成果目標も既に達成していること
イ 経営ビジョン及びビジネスモデルの方向性を公表するとともに,策定したビジネスモデルを実現するための方策として,DX 戦略を公表していること 正解
ウ 申請対象が,中小企業基本法で定められた中小企業であること
エ デジタルガバナンス・コード3.0の全項目に対応していること
正解 イ
解説
DX 認定制度は,デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応し,DX 推進の準備が整っている事業者を国が認定する制度。経営ビジョンやビジネスモデルの方向性を公表し,それを実現する方策として DX 戦略を策定・公表していることが認定基準に含まれる。
アは誤り。認定は準備が整っていることを認めるものであり,成果目標の達成までは求めていない。ウは誤り。企業規模を問わず全ての事業者が対象。エは誤り。求められるのは基本的事項への対応であって,コードの全項目への対応ではない。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
クラウドサービスなどの提供を迅速に実現するためのプロビジョニングの説明はどれか。
ア 企業の情報システムの企画,設計,開発,導入,保守などのサービスを,一貫して又は工程の幾つかを部分的に提供する。
イ 業種や事業内容などで共通する複数の企業や組織が共同でデータセンターを運用して,それぞれがインターネットを通して各種サービスを利用する。
ウ 自社でハードウェア,ネットワークなどの環境を用意し,業務パッケージなどを導入して利用する運用形態にする。
エ 利用者の需要を予想し,ネットワーク設備やシステムリソースなどを計画的に調達して強化し,利用者の要求に応じたサービスを提供できるように備える。 正解
正解 エ
解説
プロビジョニングは,利用者の需要を予測してサーバやネットワークなどのリソースをあらかじめ調達・配備しておき,要求が発生したときにすぐサービスを提供できるように備えること。
アはシステムインテグレーション,イは複数企業が共同でデータセンターを運用する形態の説明。ウは自社で環境を用意するオンプレミスの運用形態。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
ベンダーX 社に対して,表に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X 社との契約に当たって,“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>”に照らし,各フェーズの契約形態を整理した。a〜d の契約形態のうち,準委任型が適切であるとされるものはどれか。
ア a, b
イ a, d 正解
ウ b, c
エ b, d
正解 イ
解説
“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>”では,ユーザ側が主体となりベンダが支援する工程は成果物の完成責任を負わせにくいため,準委任型が適切とされる。要件定義(a)はユーザが要件を決める工程をベンダが支援するので準委任型,運用テスト(d)もユーザが業務の観点で実施する工程なので準委任型。
一方,システム内部設計(b)とシステム結合(c)は,ソフトウェア設計・プログラミングと同様にベンダが成果物に責任を負う工程なので請負型が適切とされる。よって準委任型は a と d。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
市場成長率と相対的市場シェアから,市場と企業との関係を分析し,自社製品や事業についての最適な資源配分方針を求めるための手法はどれか。
正解 ウ
解説
PPM(Product Portfolio Management)は,縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェアをとって事業や製品を“花形”“金のなる木”“問題児”“負け犬”の4象限に分類し,最適な資源配分の方針を決める手法。
アの 3C は顧客・競合・自社の観点から事業環境を分析する枠組み,イの BSC は財務・顧客・業務プロセス・学習と成長の4つの視点で業績を評価する仕組み,エの SWOT は強み・弱み・機会・脅威を整理する分析手法。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
クラウドで学習し,エッジデバイスで推論する機械学習ベースのエッジ AI において,エッジデバイスで行われる推論処理として,適切なものはどれか。
ア 一定の環境の中で試行錯誤を行い,行動に報酬を与えることで学習するプロセス
イ 学習したモデルに従い,実際にデータの識別などを行うプロセス 正解
ウ 識別などを行うためのモデルを,正解のラベルを付けたデータによって作成するプロセス
エ 識別などを行うためのモデルを,正解のラベルを付けないデータによって作成するプロセス
正解 イ
解説
機械学習では,データからモデルを作る処理を学習,学習済みモデルに新しいデータを入力して判断・識別を行う処理を推論という。エッジ AI は,計算負荷の大きい学習をクラウドで行い,エッジデバイスでは推論だけを実行する構成をとる。
アは強化学習,ウは教師あり学習,エは教師なし学習の説明で,いずれも学習側の処理。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
スマートファクトリーで使用される AI を用いたマシンビジョンの目的として,適切なものはどれか。
ア クラウドに蓄積した入出荷データを用いて AI が需要予測し,生産数を最適化する。
イ 作業者が装着した VR ゴーグルに AI が作業状況に応じたガイドを表示することによって,作業効率を向上させる。
ウ 設計変更内容を AI によって整理し,製造現場に正確に伝達する。
エ 人間の目視検査を AI が代替し,検査効率を向上させる。 正解
正解 エ
解説
マシンビジョンは,カメラで撮影した画像を AI が解析して良否判定や識別を行う技術。スマートファクトリーでは,これまで人間が目視で行っていた検査を代替し,検査の効率と精度を高めることを目的として使われる。
アは需要予測,イは VR による作業支援,ウは設計変更情報の伝達であり,いずれも画像による検査ではない。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
売上高が 7,000 万円のとき,200 万円の損失,売上高が 9,000 万円のとき,600 万円の利益と予想された。売上高が 8,000 万円のときの変動費は何万円か。ここで,売上高が変わっても変動費率は変わらないものとする。
ア 3,200
イ 4,000
ウ 4,800 正解
エ 5,600
正解 ウ
解説
変動費率が一定なので,売上高の増加分に対する利益の増加分から限界利益率が求められる。売上高が 7,000万円→9,000万円 と 2,000万円増えたとき,利益は −200万円→600万円 と 800万円増えている。
限界利益率=800÷2,000=0.4 なので,変動費率=1−0.4=0.6。売上高が 8,000万円のときの変動費は 8,000×0.6=4,800万円。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
著作権法及び関連法令によれば,生成 AI を利用して画像を生成する行為又はその生成物の利用が著作権侵害にあたるか否かに関して,適切な記述はどれか。
ア AI が既存の著作権で保護されている画像をデータセットとして学習している場合は,その AI を利用して画像を生成すると,いかなる場合も著作権侵害になる。
イ AI を利用して生成した画像が著作権で保護された既存の画像と類似しており,それを公開した場合,著作権侵害となる可能性がある。 正解
ウ AI を利用して生成した画像は,AI が自動的に創作したものであるため,いかなる状況でも著作権の対象外となり,著作権侵害の懸念は生じない。
エ AI を利用して生成した画像は,生成した本人の私的使用に限って,利用が認められており,商業利用を行った場合は,いかなる場合も著作権侵害となる。
正解 イ
解説
著作権侵害となるのは,生成物が既存の著作物と“類似性”をもち,かつその著作物に“依拠”して作られたと認められる場合。生成 AI が学習に用いた著作物に類似した画像を生成して公開した場合は,依拠性が認められて侵害となる可能性がある。
アは誤り。学習に使われていても,既存の著作物に類似しない生成物であれば侵害にはならない。ウは誤り。AI を道具として使った場合でも,類似性と依拠性が認められれば侵害となり得る。エは誤り。私的使用は判断要素の一つにすぎず,商業利用が直ちに侵害になるわけでもない。
出典:令和7年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
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