令和6年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
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問1
AI における教師あり学習での交差検証に関する記述はどれか。
ア 過学習を防ぐために,回帰モデルに複雑さを表すペナルティ項を加え,訓練データへ過剰に適合しないようにモデルを調整する。
イ 学習の精度を高めるために,複数の異なるアルゴリズムのモデルで学習し,学習の結果は組み合わせて評価する。
ウ 学習モデルの汎化性能を高めるために,単一のモデルで関連する複数の課題を学習することによって,課題間に共通する要因を獲得する。
エ 学習モデルの汎化性能を評価するために,データを複数のグループに分割し,一部を学習に残りを評価に使い,順にグループを入れ替えて学習と評価を繰り返す。 正解
正解 エ
解説
交差検証は,手元のデータを複数のグループに分け,一つを評価用,残りを学習用にしてモデルを作り評価する作業を,評価用のグループを入れ替えながら繰り返す手法。全てのデータが一度ずつ評価に使われるので,未知のデータに対する性能(汎化性能)を偏りなく見積もれる。エが該当する。
アはペナルティ項で過学習を抑える正則化,イは複数のモデルの結果を組み合わせるアンサンブル学習,ウは一つのモデルで関連する複数の課題を同時に学習するマルチタスク学習の説明である。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
式 A+B×C の逆ポーランド表記法による表現として,適切なものはどれか。
ア +×CBA
イ ×+ABC
ウ ABC×+ 正解
エ CBA+×
正解 ウ
解説
逆ポーランド表記法(後置記法)では,演算子を被演算子の後ろに書く。A+B×C は乗算を先に行うので,まず B×C を BC× とし,それと A の加算を A(BC×)+ として ABC×+ となる。ウが正しい。
イの ×+ABC は演算子を前に置く前置記法のつもりでも,正しくは +A×BC である。アの +×CBA は正解の並びを逆にしただけで,式として成り立たない。エの CBA+× は C×(B+A) を表し,演算の優先順位が異なる。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を h(x)=x mod n とすると,任意のキー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。
ア a+b が n の倍数
イ a−b が n の倍数 正解
ウ n が a+b の倍数
エ n が a−b の倍数
正解 イ
解説
衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。
例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
キャッシュメモリのアクセス時間が主記憶のアクセス時間の 1/30 で,ヒット率が 95%のとき,実効メモリアクセス時間は,主記憶のアクセス時間の約何倍になるか。
ア 0.03
イ 0.08 正解
ウ 0.37
エ 0.95
正解 イ
解説
主記憶のアクセス時間を1とすると,キャッシュのアクセス時間は 1/30。実効メモリアクセス時間はヒット時とミス時の重み付き平均なので,0.95×(1/30)+0.05×1=0.0317+0.05=0.0817 となり,約0.08倍。イが答えになる。
アの0.03はキャッシュのアクセス時間 1/30 そのもので,ヒット率が100%の場合の値。ウの0.37は 1/30 を 1/3 と読み違えたときの値(0.95×1/3+0.05=0.37)。エの0.95はヒット率をそのまま答えにしたもの。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
Web アプリケーションサーバの信頼性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア コールドスタンバイ構成で稼働しているサーバに障害が発生した場合,サービスは中断しないが,トランザクションは継続できない。
イ コールドスタンバイ構成で稼働しているサーバに障害が発生した場合,サービスは中断するが,トランザクションは継続できる。
ウ セッションを共有しないクラスタ構成で1台のサーバに障害が発生した場合,サービスは継続できないが,トランザクションは継続できる。
エ セッションを共有するクラスタ構成で1台のサーバに障害が発生した場合,サービス及びトランザクションは継続できる。 正解
正解 エ
解説
セッション情報をクラスタ内のサーバで共有していれば,1台に障害が起きても,別のサーバが共有されたセッション情報を使って処理を引き継げる。利用者から見るとサービスも処理中のトランザクションも継続できるので,エが適切である。
アとイのコールドスタンバイ構成は,障害発生後に待機系を起動して切り替えるので,切替えの間サービスは中断し,処理中のトランザクションも引き継がれない。ウはセッションを共有しないクラスタ構成でも残りのサーバでサービスは継続できるが,セッション情報が失われるので処理中のトランザクションは継続できず,記述が逆になっている。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
仮想記憶方式において,セグメンテーション方式と比較した場合のページング方式の長所はどれか。
ア 記憶領域へのアクセス保護を論理的な単位で行うことができる。
イ 記憶領域をプログラム間で容易に共用することができる。
ウ 実行時に記憶領域の大きさを動的に変えることができる。
エ 主記憶の外部断片化が発生しない。 正解
正解 エ
解説
ページング方式は,仮想記憶と主記憶を固定長のページ単位に区切って割り当てる。どのページ枠にも同じ大きさのページが収まるので,割り当てられない細切れの空き領域(外部断片化)が発生しない。エが長所に当たる。ただし,ページ内の使われない部分(内部断片化)は生じる。
ア,イ,ウはセグメンテーション方式の長所である。セグメンテーション方式はプログラムやデータなど論理的な意味をもつ可変長の単位で領域を管理するので,その単位ごとにアクセス保護をしたり,プログラム間で共用したり,実行時に大きさを変えたりしやすい。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
手続型言語のコンパイラがコード生成までに行う処理のうち,最後に行うものはどれか。
正解 ウ
解説
コンパイラは一般に,字句解析(ソースを字句に分ける)→ 構文解析(文法に従って構文木を作る)→ 意味解析(型や宣言の整合性を調べる)→ 最適化(実行効率のよいコードになるよう変換する)→ コード生成 の順に処理する。コード生成の直前に行うのは最適化で,ウが正しい。
エの字句解析が最初,次がイの構文解析,その次がアの意味解析であり,いずれも最適化より前に行われる。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
アクチュエーターの説明として,適切なものはどれか。
ア 与えられた目標値と,センサーから得られた制御量を比較し,制御量を目標値に一致させるように操作量を出力する。
イ 位置,角度,速度,加速度,力,温度などを検出し,電気的な情報に変換する。
ウ エネルギー源からのパワーを,回転,直進などの動きに変換する。 正解
エ マイクロフォン,センサーなどが出力する微小な電気信号を増幅する。
正解 ウ
解説
アクチュエーターは,電気,油圧,空気圧などのエネルギー源からのパワーを,回転や直進といった機械的な動きに変換する装置である。モーター,ソレノイド,油圧シリンダーなどが当たり,ウが該当する。
アは目標値と制御量を比べて操作量を決める制御器(コントローラー)の説明。イは物理量を検出して電気信号に変換するセンサーの説明。エは微小な電気信号を増幅するアンプ(増幅器)の説明である。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
800×600 ピクセル,24 ビットカラーで 30 フレーム/秒の動画像の配信に最小限必要な帯域幅はおよそ幾らか。ここで,通信時にデータ圧縮は行わないものとする。
ア 350k ビット/秒
イ 3.5M ビット/秒
ウ 35M ビット/秒
エ 350M ビット/秒 正解
正解 エ
解説
1フレームのデータ量は,800×600=480,000 ピクセルに 1ピクセル当たり24ビットを掛けて 11,520,000 ビット。これを1秒に30フレーム送るので,11,520,000×30=345,600,000 ビット/秒,約 350M ビット/秒が必要になる。エが正しい。
ウの 35M ビット/秒は1桁小さく,1秒当たり3フレーム程度しか送れない。アとイは更に小さい値で,圧縮しない動画像の配信には足りない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
化粧品の製造を行っている A 社では,販売代理店を通じて商品販売を行っている。今後の販売戦略に活用するために,次の三つの表を設計した。これらの表を用いるだけでは得ることのできない情報はどれか。
ア 商品ごとの販売数量の日別差異
イ 性別ごとの売れ筋商品
ウ 販売代理店ごとの購入者数の日別差異 正解
エ 販売代理店ごとの売れ筋商品
正解 ウ
解説
販売代理店ごとの購入者数を日別に比べるには,“どの顧客が,どの販売代理店で,いつ購入したか”が必要になる。商品購入表には顧客 ID と販売代理店 ID はあるが日付がなく,日付をもつ販売代理店別日別販売表には顧客の情報がない。二つの表を結び付けても購入日は特定できないので,ウは得られない。
アは販売代理店別日別販売表の日付,商品 ID,販売数量から得られる。イは商品購入表と顧客表を顧客 ID で結合すれば性別ごとに購入数量を集計できる。エは販売代理店別日別販売表(又は商品購入表)を販売代理店 ID と商品 ID で集計すれば得られる。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
DNS に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア DNS サーバのホスト名を登録するレコードを MX レコードという。
イ DNS サーバに問い合わせを行うソフトウェアをレゾリューションという。
ウ IP アドレスに対応するホスト名を調べることを逆引きという。 正解
エ ホスト名に対し別名を登録するレコードを NS レコードという。
正解 ウ
解説
DNS で,ホスト名から IP アドレスを調べることを正引き,IP アドレスからホスト名を調べることを逆引きという。ウが適切である。
アの MX レコードはそのドメインのメールサーバを登録するレコードで,DNS サーバ(ネームサーバ)を登録するのは NS レコード。イの DNS サーバに問い合わせるソフトウェアはリゾルバという。エのホスト名に別名を付けるのは CNAME レコードである。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
IPv4 の LAN に接続されているプリンターの MAC アドレスを,同一 LAN 上の PC から調べるときに使用するコマンドはどれか。ここで,PC はこのプリンターを直前に使用しており,プリンターの IP アドレスは分かっているものとする。
ア arp 正解
イ ipconfig 又は ifconfig
ウ netstat
エ ping
正解 ア
解説
arp コマンドは,IP アドレスと MAC アドレスの対応を保持する ARP キャッシュを表示する(Windows などでは arp -a)。PC は直前にプリンターと通信しているので,キャッシュにプリンターの IP アドレスと MAC アドレスの対応が残っており,ここから MAC アドレスを調べられる。アが正しい。
イの ipconfig や ifconfig は自分の PC のネットワークインタフェースの設定(自身の IP アドレスや MAC アドレス)を表示する。ウの netstat は通信中のコネクションや統計情報,エの ping は相手に到達できるかどうかを表示するもので,相手の MAC アドレスは表示しない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
ディープフェイクを悪用した攻撃に該当するものはどれか。
ア AI 技術によって加工した CEO の音声を使用して従業員に電話をかけ,指定した銀行口座に送金するよう指示した。 正解
イ 企業の PC をランサムウェアに感染させ,暗号化したデータを復号するための鍵と引き換えに,指定した方法で暗号資産を送付するよう指示した。
ウ 企業の秘密情報を含むデータを不正に取得したと誤認させる電子メールを従業員に送付し,不正に取得したデータを公開しないことと引き換えに,指定した方法で暗号資産を送付するよう指示した。
エ ディープウェブにて入手した認証情報で CEO の電子メールアカウントに不正にログインして偽りの電子メールを従業員に送付し,指定した銀行口座に送金するよう指示した。
正解 ア
解説
ディープフェイクは,ディープラーニングなどの AI 技術で本物そっくりの偽の画像,動画,音声を作る技術やその生成物をいう。AI で加工した CEO の声で電話をかけ,送金を指示するアが悪用に当たる。
イはランサムウェアによる身代金要求。ウは実際にはデータを盗んでいないのに盗んだと思わせて金銭を要求する脅迫。エは不正に入手した認証情報で本物のメールアカウントを乗っ取るビジネスメール詐欺であり,いずれも偽の映像や音声を使っていない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
JVN などの脆弱性情報サイトで採用されている CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)識別子の説明はどれか。
ア コンピュータで必要なセキュリティ設定項目を識別するための識別子
イ 脆弱性が悪用されて改ざんされた Web サイトのスクリーンショットを識別するための識別子
ウ 製品に含まれる脆弱性を識別するための識別子 正解
エ セキュリティ製品の種別を識別するための識別子
正解 ウ
解説
CVE 識別子は,公開された個々の脆弱性に一意に付ける共通の識別子で,“CVE-西暦年-番号”の形式をとる。製品に含まれる脆弱性を特定し,JVN などの脆弱性情報サイトやセキュリティ製品の間で同じ脆弱性を指し示すのに使われるので,ウが該当する。
アのセキュリティ設定項目を識別するのは CCE(共通セキュリティ設定一覧)である。イの改ざんされた Web サイトのスクリーンショットや,エのセキュリティ製品の種別を識別するものは,CVE の役割ではない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
DNS キャッシュポイズニング攻撃に対して有効な対策はどれか。
ア DNS サーバにおいて,侵入したマルウェアをリアルタイムに隔離する。
イ DNS 問合せに使用する DNS ヘッダー内の ID を固定せずにランダムに変更する。 正解
ウ DNS 問合せに使用する送信元ポート番号を 53 番に固定する。
エ 外部からの DNS 問合せに対しては,宛先ポート番号 53 のものだけに応答する。
正解 イ
解説
DNS キャッシュポイズニングは,キャッシュ DNS サーバの問合せに対して攻撃者が偽の応答を先に送り込み,誤った情報をキャッシュさせる攻撃。偽の応答が受け入れられるには,問合せの ID や送信元ポート番号と一致させる必要があるので,ID をランダムにすると推測が難しくなり,攻撃が成功しにくくなる。イが有効である。
ウは送信元ポート番号を固定すると推測が容易になり,逆効果(ランダム化するのが対策)。エの宛先ポート番号 53 は DNS の問合せでは通常の値であり,これで応答相手を絞っても偽の応答は防げない(外部からの再帰問合せを受け付けないことが対策になる)。アのマルウェアの隔離はキャッシュへの偽情報の注入とは関係がない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
エクスプロイトコードの説明はどれか。
ア 攻撃コードとも呼ばれ,ソフトウェアの脆弱性を悪用するコードのことであり,使い方によっては脆弱性の検証に役立つこともある。 正解
イ マルウェア定義ファイルとも呼ばれ,マルウェアを特定するための特徴的なコードのことであり,マルウェア対策ソフトによるマルウェアの検知に用いられる。
ウ メッセージとシークレットデータから計算されるハッシュコードのことであり,メッセージの改ざん検知に用いられる。
エ ログインのたびに変化する認証コードのことであり,不正に取得しても再利用できないので不正アクセスを防ぐ。
正解 ア
解説
エクスプロイトコードは,ソフトウェアの脆弱性を突いて攻撃を成立させるためのプログラムで,攻撃コードとも呼ばれる。攻撃に悪用される一方,脆弱性が実際に悪用できるかを確かめる検証に使われることもあるので,アが該当する。
イはマルウェア対策ソフトが検知に使うシグネチャ(パターンファイル),ウはメッセージと秘密鍵から計算する MAC(メッセージ認証コード),エはワンタイムパスワードの説明である。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
ソフトウェアの使用性を評価する指標の目標設定の例として,適切なものはどれか。
ア ソフトウェアに障害が発生してから1時間以内に,利用者が使用できること
イ ソフトウェアの使用方法を,利用者が1時間以内に習得できること 正解
ウ 利用者から要望のある機能の改善を,1週間以内に完了できること
エ 利用者の使用したい機能が,100%提供できていること
正解 イ
解説
JIS X 25010 の品質モデルでは,使用性は利用者が製品を有効かつ効率的に使える度合いで,副特性に習得性(使い方を学べる度合い)や運用操作性などを含む。“使用方法を1時間以内に習得できる”は習得性の目標なので,イが使用性の指標に当たる。
アの障害発生から使えるようになるまでの時間は信頼性(回復性),ウの機能改善を完了するまでの期間は保守性(修正性),エの必要な機能の提供は機能適合性(機能完全性)に関する目標である。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
プロジェクトマネジメントにおけるスコープの管理の活動はどれか。
ア 開発ツールの新機能の教育が不十分と分かったので,開発ツールの教育期間を2日間延長した。
イ 要件定義が完了した時点で再見積りをしたところ,当初見積もった開発コストを超過することが判明したので,追加予算を確保した。
ウ 連携する計画であった外部システムのリリースが延期になったので,この外部システムとの連携に関わる作業は別プロジェクトで実施することにした。 正解
エ 割り当てたテスト担当者が期待した成果を出せなかったので,経験豊富なテスト担当者と交代した。
正解 ウ
解説
スコープの管理は,プロジェクトで何を作り何を行うか(スコープ)を定め,その変更を管理する活動である。連携先の外部システムのリリース延期を受けて,その連携作業をこのプロジェクトから外し別プロジェクトで行うと決めたウは,プロジェクトのスコープを変更しており,スコープの管理の活動に当たる。
アの教育期間の延長はスケジュールの管理,イの追加予算の確保はコストの管理,エのテスト担当者の交代は資源(チーム)の管理の活動で,いずれもプロジェクトで行う作業の範囲そのものは変えていない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
プロジェクトマネジメントにおけるファストトラッキングの例として,適切なものはどれか。
ア クリティカルパス上のアクティビティの開始が遅れたので,そのアクティビティに人的資源を追加した。
イ コストを削減するために,これまで承認されていた残業を禁止した。
ウ 仕様の確定が大幅に遅れたので,プロジェクトの完了予定日を延期した。
エ 設計が終わったモジュールから順にプログラム開発を実施するようにして,スケジュールを短縮した。 正解
正解 エ
解説
ファストトラッキングは,本来は順番に行う作業の一部を並行して進めることで,スケジュールを短縮する技法である。全ての設計が終わるのを待たず,設計が終わったモジュールからプログラム開発に着手するエが該当する。手戻りのリスクは高まる。
アは資源を追加して作業期間を縮めるクラッシング。イは残業禁止によるコスト削減で,期間の短縮にはならない。ウは完了予定日の延期で,スケジュールを短縮するものではない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
サービスマネジメントにおいて,中断したサービスを復旧させるときの目標を定めた指標に,RTO(目標復旧時間),RPO(目標復旧時点)及び RLO(目標復旧レベル)がある。RTO と RLO とを定めた例として,適切なものはどれか。
ア サービスが中断する3時間前の時点の状態にデータを復旧し,利用者の 50%以上にサービスを提供できるようにする。
イ サービスが中断する直前の状態にデータを復旧し,当日のサービス終了時刻を,サービスが中断していた時間だけ延長する。
ウ サービスの中断から1時間以内に,中断する1時間前の時点の状態にデータを復旧する。
エ サービスの中断から1日以内に,中断したサービスのうちの重要なサービスに限定してサービスを復旧する。 正解
正解 エ
解説
RTO(目標復旧時間)はサービス中断からどれだけの時間で復旧させるか,RPO(目標復旧時点)はどの時点の状態までデータを戻すか,RLO(目標復旧レベル)はどの水準までサービスを復旧させるかを表す。エは“1日以内”が RTO,“重要なサービスに限定して”が RLO に当たる。
アは“3時間前の時点の状態”が RPO,“利用者の50%以上に提供”が RLO で,RTO がない。イは“直前の状態”が RPO で,サービス終了時刻の延長は復旧目標ではない。ウは“1時間以内”が RTO,“1時間前の時点の状態”が RPO で,RLO がない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
システム監査において,監査手続の適用に際して用いられる技法のうち,データの生成から入力,処理,出力,活用までのプロセス,及び組み込まれているコントロールを,書面上で,又は実際に追跡するものはどれか。
ア ウォークスルー法 正解
イ チェックリスト法
ウ 突合・照合法
エ ドキュメントレビュー法
正解 ア
解説
ウォークスルー法は,データの生成から入力,処理,出力,活用に至る一連の流れと,その過程に組み込まれたコントロールを,書面上で,又は実際にたどって確かめる監査技法である。アが該当する。
イのチェックリスト法は監査人が作成したチェックリストに監査対象部門が回答する技法,ウの突合・照合法は関連する記録どうし(伝票と入力データなど)を突き合わせて正確性を確かめる技法,エのドキュメントレビュー法は規程や記録などの文書を査閲して確かめる技法である。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
システム監査基準(令和5年)におけるフォローアップの説明として,適切なものはどれか。
ア 監査対象先が,監査報告書の指摘事項及び改善提案を基に改善計画の策定を行うこと
イ 監査部門の責任者が,監査報告書を基に監査の実施状況と指摘事項の妥当性を確認すること
ウ システム監査人が,監査報告書に記載した改善提案の実施状況に関する情報を収集し,改善状況をモニタリングすること 正解
エ システム監査人が,時間の関係で調査が終了しなかった監査項目を追跡調査して報告すること
正解 ウ
解説
システム監査基準(令和5年)の基準12は,監査報告書に改善提案が記載されている場合,適切な措置が適時に講じられているかを確認するために,改善計画及びその実施状況に関する情報を収集し,改善状況をモニタリングしなければならないとしている。ウが該当する。
アの改善計画の策定は監査対象先の責任で行うもので,基準も監査人が改善計画の策定や実行に関与すると独立性と客観性を損なうとしており,フォローアップとは区別される。イは監査部門内で行う監査の品質管理(レビュー)の話。エの時間切れで終わらなかった監査項目の追跡調査は,監査報告書に記載した改善提案の実施状況を確かめるフォローアップではない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
経済産業省が取りまとめた“デジタル経営改革のための評価指標(DX 推進指標)”によれば,DX を実現する上で基盤となる IT システムの構築に関する指標において,“IT システムに求められる要素”について経営者が確認すべき事項はどれか。
ア IT システムの全体設計や協働できるベンダーの選定などを行える人材を育成・確保できているか。
イ 環境変化に迅速に対応し,求められるデリバリースピードに対応できる IT システムとなっているか。 正解
ウ データ処理において,リアルタイム性よりも,ビッグデータの蓄積と事後の分析が重視されているか。
エ データを迅速に活用するために,全体最適よりも,個別最適を志向した IT システムとなっているか。
正解 イ
解説
DX 推進指標は,IT システム構築の枠組みの“IT システムに求められる要素”として,データ活用,スピード・アジリティ,全社最適の三つの項目を置いている。スピード・アジリティの設問は“環境変化に迅速に対応し,求められるデリバリースピードに対応できる IT システムとなっているか”で,イが該当する。
アの,全体設計やベンダーの選別ができる人材を確保できているかは,同じ IT システム構築の枠組みでも“ガバナンス・体制”の人材確保の設問である。ウは,データをリアルタイム等使いたい形で使えることを求めるデータ活用の考え方と逆になっている。エは,部門ごとの個別最適を解消し全社最適でデータを活用できることを求める全社最適の考え方と逆になっている。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
BPR によって業務を見直した場合,これまで従業員5人で年間計 9,000 時間掛かっていた業務が 7,000 時間で実現可能なことと,その 7,000 時間のうちの 2,000 時間分の業務は外部委託が可能なことが分かった。この結果を基に BPR を実施した次のシナリオ a から d のうち,当該部門において,年間当たりの金額面の効果が最も高いものはどれか。なお,いずれのシナリオも年初から実施することとし,条件に記載した時間や費用以外は考慮しないものとする。
〔条件〕
(1) 年間計 9,000 時間の内訳は従業員1人当たり 1,800 時間とする。 (2) 従業員1人当たりの年間の人件費は 600 万円とする。 (3) 外部委託が可能な 2,000 時間分の業務を,外部委託した場合の年間費用は 700 万円とする。外部委託の契約は1年単位で年間費用の 700 万円は固定である。 (4) 従業員の空いた時間は別の付加価値業務が行えるようになり,従業員1人につき 100 時間当たり 20 万円の利益を得ることができる。 (5) 従業員4人で当該業務を行う場合は,残り1人は他部門に異動する。当該部門では,1人分の人件費の削減効果だけを考慮する。 (6) BPR 実施後,当該業務に関わらない従業員の人件費は金額面の効果とみなす。
ア シナリオ a
イ シナリオ b 正解
ウ シナリオ c
エ シナリオ d
正解 イ
解説
BPR 後の業務は 7,000 時間で,外部委託すれば社内で行うのは 5,000 時間になる。空いた時間は 100 時間当たり 20 万円の利益を生み,異動する1人分の人件費 600 万円も効果とみなす。各シナリオの効果は次のとおり。
a(4人・委託する):4人の時間 7,200−5,000=2,200 時間で 440 万円,人件費削減 600 万円,委託費 −700 万円で,計 340 万円。b(4人・委託しない):7,200−7,000=200 時間で 40 万円,人件費削減 600 万円で,計 640 万円。c(5人・委託する):9,000−5,000=4,000 時間で 800 万円,委託費 −700 万円で,計 100 万円。d(5人・委託しない):9,000−7,000=2,000 時間で 400 万円。
最も効果が高いのはシナリオ b で,イが正しい。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
UML の図のうち,業務要件定義において,業務フローを記述する際に使用する,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図はどれか。
ア アクティビティ図 正解
イ クラス図
ウ 状態マシン図
エ ユースケース図
正解 ア
解説
アクティビティ図は,処理の流れを開始から終了まで順に表す UML の図で,条件による分岐(デシジョンノード),並行処理への分割と同期(フォーク・ジョイン),担当者ごとのレーン分け(パーティション)を書ける。業務フローの記述に向くのでアが正しい。
イのクラス図はクラスと関連による静的な構造,ウの状態マシン図は一つのオブジェクトが取る状態とその遷移,エのユースケース図は利用者(アクタ)とシステムが提供する機能の関係を表す図で,いずれも処理の流れそのものは表現しない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
コ・クリエーション戦略の特徴はどれか。
ア 企業の営業部門と製造部門が協働し,特定の商品・サービスに限定して,徹底的に自前主義にこだわることによって強みを発揮する。
イ 顧客が自らのアイデアを商品の仕様に具体的に落とし込み,企業に製品を製造してもらう。
ウ 顧客や企業ネットワークの力を活用し,商品・サービスだけでなく,顧客の経験までを含めて差別化可能な価値を創造する。 正解
エ 自社に不足する経営資源を M&A によって強化し,従来にない価値をより素早く創造する。
正解 ウ
解説
コ・クリエーション(価値共創)戦略は,企業が単独で価値を作って顧客に提供するのではなく,顧客や取引先などのネットワークと協働し,商品・サービスそのものに加えて顧客が得る経験まで含めて価値を共に創り出す戦略である。ウが該当する。
アは自前主義にこだわる点で,外部との協働を重視する共創とは逆の考え方。イは顧客が仕様を決めて企業が製造を請け負う形で,顧客の経験を含めた価値を共に創る戦略ではない。エは M&A による経営資源の獲得で,共創とは異なる。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
企業における研究,開発,事業化,そして産業化へとステージが移行する過程の中で,事業化から産業化に移行するときの,競合製品との競争過程にある障壁を何と呼ぶか。
ア キャズム
イ 死の谷
ウ ダーウィンの海 正解
エ 魔の川
正解 ウ
解説
研究開発から事業が確立するまでの過程には三つの障壁があるとされる。研究から開発への移行を阻むのが魔の川,開発から事業化への移行を阻む資金などの壁が死の谷,事業化から産業化へ移行するとき,競合製品との競争を勝ち抜かなければならない障壁がダーウィンの海である。ウが正しい。
イの死の谷とエの魔の川は,それぞれ別の段階の障壁である。アのキャズムは,新製品が初期採用者(アーリーアダプター)から前期多数派(アーリーマジョリティ)へ普及するときにある深い溝を指すマーケティングの用語である。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
構成表の製品 A を 300 個出荷しようとするとき,部品 b の正味所要量は何個か。ここで,A,a,b,c の在庫量は在庫表のとおりとする。また,他の仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。
正解 イ
解説
正味所要量は,総所要量から在庫量を差し引いた量である。製品 A は 300 個出荷するが在庫が 100 個あるので,A の正味所要量は 200 個。
A 1個に部品 a が3個,b が2個使われる。a の総所要量は 200×3=600 個で在庫 100 個を引いて正味 500 個。b は A から直接 200×2=400 個,a から 500×1=500 個で総所要量 900 個,在庫 300 個を引いて正味所要量は 600 個となり,イが正しい。
ウの 900 は在庫を引く前の総所要量。在庫を考えずに A 300 個分で計算すると b は 300×2+900×1=1,500 個(エ)になる。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
企業経営において,経営理念,経営戦略,事業戦略は,経営理念を最上位とするピラミッドを形成している。経営理念,経営戦略,事業戦略の関係性で適切なものはどれか。
ア 経営理念,経営戦略,事業戦略のピラミッドは上位ほど具体的な内容であるのに対して,下位にいくほど抽象的な内容となっている。
イ 経営理念,経営戦略,事業戦略のピラミッドは上位ほど短期的な視点であるのに対して,下位にいくほど中長期的な視点となっている。
ウ 経営理念を達成するために経営戦略を策定し,経営戦略という目標を達成するために事業戦略に分解する。 正解
エ 経営理念を達成するために事業戦略を策定し,事業戦略という目標を達成するために経営戦略に分解する。
正解 ウ
解説
経営理念は企業の存在意義や価値観を示す最上位の考え方で,それを実現するために全社としての方向性や資源配分を定めるのが経営戦略,経営戦略を各事業に落とし込み,事業ごとに具体化するのが事業戦略である。経営理念を達成するために経営戦略を策定し,それを事業戦略に分解するウが適切である。
アとイは逆。ピラミッドの上位ほど抽象的で中長期的な視点であり,下位ほど具体的で短期的な視点になる。エは経営戦略と事業戦略の上下関係が逆である。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
大規模なシステム開発を受注した A 社では,不足する開発要員を派遣事業者である B 社からの労働者派遣によって補うことにした。A 社の行為のうち,労働者派遣法に照らして適切なものはどれか。
ア システム開発が長期間となることが予想されるので,開発要員の派遣期間を3年とする契約を結ぶ。 正解
イ 派遣候補者の履歴書及び業務経歴書の提出を B 社に求め,書類選考を行い,面接対象者を絞り込む。
ウ 派遣された要員が大きな作業負担を負うことが見込まれるので,B 社に 20 代男性の派遣を求める。
エ 派遣労働者が A 社の指揮命令に対して申し立てた苦情に自社で対応せず,その処理を B 社に任せる。
正解 ア
解説
労働者派遣法は,派遣先の同一の事業所等で派遣を受け入れられる期間(派遣可能期間)を原則3年としている(第40条の2)。3年の派遣期間とする契約は上限の範囲内なので,アが適切である。
イは誤り。派遣先は派遣労働者を特定することを目的とする行為(事前の面接や履歴書の送付要請など)をしないよう努めなければならない(第26条第6項)。ウは誤り。年齢や性別で派遣労働者を指定することも派遣労働者を特定する行為に当たり,性別を理由とする差別的な取扱いにもなる。エは誤り。派遣先は派遣労働者から苦情の申出を受けたときは,派遣元に通知するとともに密接に連携して適切かつ迅速に処理を図らなければならず(第40条第1項),派遣元に任せきりにはできない。
出典:令和6年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
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