令和6年度 春期に実施されたITストラテジスト試験
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問1
プライバシーやセキュリティ,知的財産権に関する信頼を確保しながら,ビジネスや社会課題の解決に有益なデータが国境を意識することなく自由に行き来する,国際的に自由なデータ流通の促進を目指すというコンセプトはどれか。
正解 ア
解説
DFFT(Data Free Flow with Trust,信頼性のある自由なデータ流通)は,プライバシーやセキュリティ,知的財産権に関する信頼を確保しながら,ビジネスや社会課題の解決に有益なデータを国境を越えて自由に流通させることを目指すコンセプトである。2019 年のダボス会議で日本が提唱し,G20 大阪サミットでも取り上げられた。アが該当する。
イの ESG は,環境(Environment),社会(Social),ガバナンス(Governance)の観点から企業を評価する考え方である。ウの GEIT(Governance of Enterprise IT)は企業の IT ガバナンス,エの SCM(Supply Chain Management)は調達から販売までの供給の流れ全体を最適化する管理手法である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
金融業界で生まれた考え方で,主に被規制事業者が各種規制に正しく対応できているかどうかをチェックする業務などを,最新 IT を駆使して効率化する取組はどれか。
ア MOT
イ ギグエコノミー
ウ コンプライアンス
エ レグテック 正解
正解 エ
解説
レグテック(RegTech)は,Regulation(規制)と Technology(技術)を組み合わせた造語で,金融業界で生まれた。被規制事業者が法令や各種規制に正しく対応できているかを確認する業務や,当局への報告などを,AI やクラウドなどの最新 IT で効率化する取組である。エが該当する。
アの MOT(Management of Technology)は技術を経営に生かすための技術経営である。イのギグエコノミーは,インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方によって成り立つ経済の形態である。ウのコンプライアンスは法令や社会規範を守ることそのものであり,IT で効率化する取組を指す言葉ではない。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
組み込み型金融(Embedded Finance)の事例はどれか。
ア 金融事業者である銀行が自行のインターネットバンキングサイトで,全銀システムに接続して他の銀行向けの振込サービスを提供する。
イ 金融事業者である損害保険会社が自社のインターネットサイトで,他社のサービスに接続することなく,火災保険の契約受付を行う。
ウ 非金融事業者である自動車メーカーが自社のインターネットサイトで,金融機関など他社のサービスに接続することなく,顧客に対して購入希望の自動車の見積りを提供する。
エ 非金融事業者である百貨店が自社のインターネット販売サイトで,顧客が意識することなくクレジットカード会社のサービスに接続して,あらかじめクレジットカード情報を登録した顧客が購入した商品の代金決済を行う。 正解
正解 エ
解説
組み込み型金融(Embedded Finance)は,金融事業者ではない企業が,自社のサービスの中に決済や融資,保険などの金融機能を組み込んで提供する形態である。利用者は金融機関のサービスを別に使っているとは意識せずに,そのまま金融サービスを利用できる。非金融事業者である百貨店が,販売サイトの中でクレジットカード会社のサービスに接続して代金決済を行うエが該当する。
アとイは金融事業者が自ら金融サービスを提供しているだけであり,非金融事業者のサービスに金融機能を組み込んだものではない。ウは非金融事業者であるが,他社の金融サービスに接続せずに見積りを提供しているだけで,金融機能を組み込んでいない。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
スタンフォード大学ハッソ・プラットナー・デザイン研究所によるデザイン思考の説明はどれか。
ア 与えられた問題に対して一つの正しい解決策を見つけるために,アイディア出しの段階で,テーマに制限を設けてアイディアが発散しないようにする手法
イ 本質的な問題がどこにあるのかを絞り込むために,利用者との対話よりも,過去のデータや経験を分析することを重視する手法
ウ 利用者の立場から問題解決に取り組む方法論であり,現場を観察することによって利用者を理解し,共感することから始め,問題定義,アイディア出し,試作,試行を繰り返す手法 正解
エ 類似の問題が発生した場合に,迅速に解決策を探り当てるために,過去の問題とその解決策をナレッジデータベースとして蓄積する手法
正解 ウ
解説
スタンフォード大学ハッソ・プラットナー・デザイン研究所(d.school)が示すデザイン思考は,利用者の立場から問題解決に取り組む方法論で,共感(Empathize),問題定義(Define),アイディア創出(Ideate),プロトタイプ(Prototype),テスト(Test)の段階を繰り返す。現場で利用者を観察して共感することから始める点が特徴で,ウが正しい。
アは誤りで,デザイン思考ではアイディア出しの段階でむしろ発想を広げる。イは誤りで,過去のデータよりも利用者の観察や対話を重視する。エは過去の問題と解決策を蓄積するナレッジマネジメントの説明である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>”によれば,ウォーターフォールモデルによるシステム開発において,ユーザー(取得者)とベンダー(供給者)間で請負型の契約を基本とするフェーズはどれか。
ア システム化計画フェーズから受入・導入支援フェーズまで
イ 要件定義フェーズから受入・導入支援フェーズまで
ウ 要件定義フェーズからシステム結合フェーズまで
エ システム内部設計フェーズからシステム結合フェーズまで 正解
正解 エ
解説
IPA の“情報システム・モデル取引・契約書<第二版>”では,フェーズごとに契約類型の基本を定めている。システム化計画と要件定義は準委任,システム外部設計は準委任又は請負,システム内部設計,ソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテスト,システム結合は請負,システムテストは準委任又は請負,受入・導入支援は準委任である。請負型を基本とするのはシステム内部設計からシステム結合までなので,エが該当する。
ユーザーが主体となって要件を固める段階や,ユーザーが受け入れる段階は,成果物の完成をベンダーに約束させる請負にはなじまず,準委任を基本とする。そのため,要件定義や受入・導入支援まで含むア,イ,ウは適切ではない。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
アンゾフの成長マトリクスにおける多角化戦略に当てはまるものはどれか。
ア 新たな機能を付加した製品や新規に開発した製品を,現在の市場に投入する。
イ 技術開発,業務提携,M&A などによって,新たな製品を新たな市場に投入し,成長の機会を求める。 正解
ウ 現在の市場において現有製品の広告,及び宣伝を強化し,顧客の購入頻度や購入量を増やす。
エ 現有製品を海外市場に投入し,新たな市場セグメントの開拓を図る。
正解 イ
解説
アンゾフの成長マトリクスは,製品(既存・新規)と市場(既存・新規)の組合せで成長戦略を四つに分類する。新たな製品を新たな市場に投入する多角化戦略はイが該当する。技術開発や業務提携,M&A などは,自社にない製品や市場を手に入れる手段としてよく用いられる。
アの新製品を現在の市場に投入するのは新製品開発戦略,ウの現在の市場で現有製品の販売を伸ばすのは市場浸透戦略,エの現有製品を新たな市場に投入するのは新市場開拓戦略である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
アドエクスチェンジの説明はどれか。
ア インターネット上の複数の広告媒体を束ねて,広告枠を管理し,入札型インプレッション課金と呼ばれるオークション形式のリアルタイム入札によって,広告枠ごとに掲載する広告を決定する仕組み 正解
イ 企業や起業家がインターネット上で事業資金を必要とする目的や内容を告知し,資金提供者を募集する仕組み
ウ 検索エンジンに入力された検索語句に連動して広告を表示し,これがクリックされた量に応じて,広告主から広告料を徴収する仕組み
エ ネットオークションなどで,落札者が出品者に代金の支払を行ったにもかかわらず出品者が商品を送らないといったトラブルを防ぐために,売り手と買い手の間に入り代金の支払を仲介する仕組み
正解 ア
解説
アドエクスチェンジは,インターネット上の複数の広告媒体(メディアやアドネットワーク)の広告枠を束ねて取引する広告の取引市場である。広告枠が表示される(インプレッション)たびに,広告主側からの入札をリアルタイムで受け付けるオークション(RTB)を行い,その広告枠に掲載する広告を決定する。アが該当する。
イはクラウドファンディング,ウは検索連動型広告(リスティング広告)でクリック数に応じて課金するもの,エはエスクローサービスの説明である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
コーズリレーテッドマーケティングの特徴はどれか。
ア 顧客との継続的な取引関係を構築して維持することによって,顧客生涯価値を高め,企業収益に貢献する。
イ 顧客の許可を得てから勧誘や広告活動を行うことによって,顧客との長期的な信頼関係や友好関係の形成を重視する。
ウ 商品の売上の一部を NPO 法人に寄付するなど,社会貢献活動を支援する信条をアピールし,販売促進につなげる。 正解
エ 蓄積された顧客情報を分析することによって,見込客の特定,的確な提案,顧客の購買促進や顧客のロイヤルティ向上などに役立てる。
正解 ウ
解説
コーズリレーテッドマーケティングは,商品の売上の一部を社会貢献活動を行う団体に寄付するなど,企業が社会的な課題(コーズ)への取組と自社の商品の販売とを結び付けるマーケティング手法である。社会貢献への共感を購買動機にして,販売促進とブランドイメージの向上につなげる。ウが該当する。
アは顧客との長期的な関係を重視するリレーションシップマーケティング,イは顧客の許可を得てから情報を送るパーミッションマーケティングの特徴である。エは蓄積した顧客情報を分析して活用するデータベースマーケティングや CRM の特徴である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
ライフサイクルエクステンションの手法の例はどれか。
ア 自社にとっての新規市場に新製品を提供することによって,自社の延命を図る。
イ 新製品を高価格で設定することによって,短期の資金回収を図る。
ウ プロダクトライフサイクルの成熟期から衰退期にかけて,性能や品質の向上,機能やデザインの多様化などによって,売上高の維持,増大を図る。 正解
エ プロダクトライフサイクルの導入期から成長期にかけて,広告宣伝費を投入することによって,製品の認知度向上を図る。
正解 ウ
解説
ライフサイクルエクステンションは,プロダクトライフサイクルの成熟期から衰退期に入った製品について,性能や品質の向上,機能やデザインの多様化,新しい用途の提案などを行い,製品の寿命を延ばして売上高の維持・増大を図る手法である。ウが該当する。
アは新製品を新市場に投入する多角化戦略であり,製品の寿命を延ばすものではない。イは新製品を高価格で発売して早期に投資を回収する上澄み吸収価格戦略(スキミングプライシング)である。エは導入期から成長期の製品の認知度を高める施策であり,成熟期以降の延命策ではない。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
一人の顧客に関する顧客生涯価値を算出する際の考慮点として,適切なものはどれか。
ア 顧客が紹介する他の顧客の購入見込みも対象とする。 正解
イ 顧客の平均購入単価よりも年間購入回数を重視する。
ウ 商品を新しく買い換える行為は考慮しない。
エ 新製品のプロモーション費用は対象としない。
正解 ア
解説
顧客生涯価値(LTV)は,一人の顧客が取引を始めてから終えるまでの期間に,企業にもたらす利益の合計である。直接の購入額だけでなく,その顧客の紹介や口コミによって得られる他の顧客の購入も,その顧客がもたらす価値として含めて考えることができる。アが適切である。
イは誤りで,顧客生涯価値は平均購入単価と購入回数,継続期間を掛け合わせて求めるので,購入回数だけを重視するものではない。ウも誤りで,買換えによる継続的な購入は,顧客生涯価値を構成する重要な要素である。エも誤りで,顧客生涯価値は利益で考えるので,顧客の獲得や維持に掛かるプロモーション費用などのコストを差し引いて考慮する。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
コトラーによれば,顧客価値ヒエラルキーとして五つの製品レベルを分類したときに,表中のa に該当するものはどれか。
ア イノベーション
イ 既存製品
ウ 試作品
エ 中核ベネフィット 正解
正解 エ
解説
コトラーは,製品を顧客価値の五つの階層で捉えた。最も基本となるのは,顧客が本当に手に入れたい便益である中核ベネフィットであり,それを形にした基本製品,顧客が購入時に通常期待する属性を備えた期待製品,期待を上回る要素を加えた膨張製品,将来の改良や変化を加えた潜在製品へと続く。表の基本レベルに当たるa は中核ベネフィットであり,エが該当する。
ア,イ,ウは,コトラーの製品レベルの名称ではない。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
バランススコアカードにおける業績評価指標のうち,“学習と成長の視点”に分類されるものはどれか。
ア 顧客満足度調査の結果
イ 従業員の特許取得件数 正解
ウ 従業員一人当たりの売上高
エ 新規顧客獲得数
正解 イ
解説
バランススコアカードの“学習と成長の視点”は,将来にわたって価値を生み出し続けるための人材や組織の能力,知識の蓄積に関する視点である。従業員の特許取得件数は,従業員の能力や組織の知的資産の向上を表すので,イが該当する。
アの顧客満足度調査の結果とエの新規顧客獲得数は“顧客の視点”の指標である。ウの従業員一人当たりの売上高は,売上高という財務の成果を従業員数で割った生産性の指標で,“財務の視点”に分類される。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
SECI モデルにおいて,新たに創造された知識を組織に広め,新たな暗黙知として習得するプロセスはどれか。
ア 共同化(Socialization)
イ 表出化(Externalization)
ウ 連結化(Combination)
エ 内面化(Internalization) 正解
正解 エ
解説
SECI モデルは,野中郁次郎らが提唱した,暗黙知と形式知の相互変換によって組織の知識が創造される過程を表したモデルで,四つのプロセスからなる。共同化は経験の共有によって暗黙知を伝え,表出化は暗黙知を言葉や図などの形式知に表し,連結化は形式知を組み合わせて新たな形式知を作る。内面化は,新たに創造された形式知を実践を通じて個人が体得し,新たな暗黙知として習得するプロセスである。エが該当する。
内面化で身に付いた暗黙知は,再び共同化によって他者に伝えられ,知識創造のらせんが続いていく。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
API エコノミーの事例として,適切なものはどれか。
ア 既存の学内データベースの API を活用できる EAI(Enterprise Application Integration)ツールを使い,大学業務システムを短期間で再構築することによって経費を削減できた。
イ 自社で開発した音声合成システムの利用を促進するために,自部門で開発した API を自社内の他の部署に提供した。
ウ 不動産会社が自社で保持する顧客データを BI(Business Intelligence)ツールの API を使って可視化することによって,商圏における売上規模を分析できるようになった。
エ ホテル事業者が,他社が公開しているタクシー配車アプリの API を自社のアプリに組み込み,サービスを提供した。 正解
正解 エ
解説
API エコノミーは,企業が自社のサービスやデータを API として外部に公開し,他の企業がそれを自社のサービスに組み込んで利用することによって,企業の枠を越えて新たな価値やビジネスが生まれる経済圏である。ホテル事業者が,他社が公開しているタクシー配車アプリの API を自社のアプリに組み込んでサービスを提供するエが該当する。
アは学内の既存システムを統合する EAI の活用,イは API を社内の部署にだけ提供したもの,ウは自社のデータの分析に BI ツールを利用したものであり,いずれも他社との間で API を介した価値の連鎖を生んでいない。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
企業システムにおける SoE(Systems of Engagement)の説明はどれか。
ア 高可用性,拡張性,セキュリティを確保しながら情報システムを稼働させるためのハードウェア,ソフトウェアから構成されるシステム基盤
イ 社内業務プロセスに組み込まれ,定型業務を処理し,結果を記録することによって省力化を実現するためのシステム
ウ データの活用を通じて,消費者や顧客企業とのつながりや関係性を深めるためのシステム 正解
エ 日々の仕訳伝票を入力した上で,データの改ざん,消失を防ぎながら取引データベースを維持管理することによって,財務報告を行うためのシステム
正解 ウ
解説
SoE(Systems of Engagement)は,データの活用を通じて,消費者や顧客企業とのつながり(エンゲージメント)や関係性を深めることを目的とするシステムである。変化の激しい顧客の行動に合わせて素早く改善を繰り返すことが求められる。ウが該当する。
これに対し,イやエのように,社内の定型業務を処理して結果を正確に記録し,財務報告などを支えるシステムは,SoR(Systems of Record)と呼ばれる。アは情報システムを稼働させるための IT 基盤(インフラストラクチャ)の説明である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
生産性指標のうち,操業度を説明したものはどれか。
ア 工場全体の設備能力の利用度合いを,標準生産量に対する実際生産量の割合で表す。 正解
イ 個人若しくはグループ,又は一つの機械若しくは一群の機械について,総実働時間に対する有効作業時間(直接作業時間)の割合で表す。
ウ 作業者一人一人の能率のことであり,計画工数に対する正味実績工数の割合で表す。
エ 従業員一人当たりの生産額(生産量)で表す。
正解 ア
解説
操業度は,工場などの設備能力がどの程度利用されているかを表す指標であり,標準的な生産能力(標準生産量)に対する実際の生産量の割合で表す。アが該当する。
イの総実働時間に対する有効作業時間(直接作業時間)の割合は稼働率である。ウの作業者一人一人の能率を計画工数と実績工数の割合で表すのは作業能率,エの従業員一人当たりの生産額(生産量)は労働生産性である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
SNS や Web 検索などに関して,イーライ・パリサーが提唱したフィルターバブルの記述として,適切なものはどれか。
ア PC やスマートフォンなど,使用する機器の性能やソフトウェアの機能に応じて,利用者は情報へのアクセスにフィルターがかかっており,様々な格差が生じている。
イ SNS で一般のインターネット利用者が発信する情報が増えたことによって,Web 検索の結果は非常に膨大なものとなり,個人による適切な情報収集が難しくなった。
ウ 広告収入を目的に,事実とは異なるフィルターのかかったニュースが SNS などを通じて発信されるようになったので,正確な情報を検索することが困難になった。
エ 利用者の属性・行動などに応じ,好ましいと考えられる情報がより多く表示され,利用者は実社会とは隔てられたパーソナライズされた情報空間へと包まれる。 正解
正解 エ
解説
フィルターバブルは,イーライ・パリサーが提唱した概念である。SNS や検索エンジンが利用者の属性や過去の閲覧・検索の履歴などを基に,その利用者が好むと考えられる情報を優先して表示するので,利用者は自分の関心や考えに合う情報に囲まれ,泡(バブル)に包まれたように実社会の多様な情報から隔てられてしまう。エが該当する。
アは機器やソフトウェアの違いによって情報の入手に格差が生じるデジタルデバイドに近い内容,イは情報が多すぎて必要な情報を選べなくなる情報過多,ウは事実と異なるフェイクニュースの説明である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
バスタブ曲線における偶発故障期間の特徴を説明したものはどれか。
ア 一旦下がった故障率が再び増加していく。
イ 故障率は時間の経過によらずほぼ一定となる。 正解
ウ 最初は故障率が高く次第に故障率が低下していく。
エ 最初は故障率が低く徐々に増加していく。
正解 イ
解説
バスタブ曲線は,装置の故障率の時間的な変化を表した曲線である。使用開始直後は設計や製造の不良による故障が多く,故障率が次第に低下する初期故障期間がある。その後の偶発故障期間は,故障が偶発的に発生し,故障率が時間の経過によらずほぼ一定になる。イが該当する。
最後の摩耗故障期間では,部品の劣化や摩耗によって故障率が再び増加していく。アとエは摩耗故障期間,ウは初期故障期間の特徴である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
親和図の特徴はどれか。
ア 原因と結果を対比させた図式表現であり,不良原因の追及に用いられる。
イ 錯綜した問題点や,まとまっていない意見,アイディアなどを整理し,まとめるために用いられる。 正解
ウ 二つ以上の変数の相互関係を表すのに役立つ。
エ 分布の形,目標値からのばらつき状態などから,製品の品質の状態が規格値に対して満足いくものかなどを判断するために用いられる。
正解 イ
解説
親和図は,新 QC 七つ道具の一つである。錯綜した問題点や,まとまっていない意見,アイディアなどの言語データを,内容の似たもの(親和性のあるもの)同士でグループにまとめて整理し,問題の構造を明らかにするために用いる。KJ 法と同様の考え方の手法である。イが該当する。
アは原因と結果の関係を表す特性要因図,ウは二つの変数の関係を点で表す散布図,エはデータの分布の形やばらつきを表すヒストグラムの特徴である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
キャッシュフロー計算書における,営業活動によるキャッシュフローは何万円か。
正解 ウ
解説
間接法による営業活動によるキャッシュフローは,税金等調整前当期純利益に,現金の支出を伴わない費用や,資産・負債の増減による資金の出入りを加減して求める。
減価償却費は費用でも現金は出ていかないので 42 を加える。売上債権の増加は,売上を計上したのに現金を回収していない分なので 60 を引く。棚卸資産の減少は,在庫が現金化された分なので 30 を加え,仕入債務の増加は,仕入れた代金をまだ支払っていない分なので 40 を加える。法人税等の支払額は現金の支出なので 32 を引く。
108+42−60+30+40−32=128(万円)となり,ウになる。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
EVA(経済的付加価値)の算出方法を説明したものはどれか。
ア 効果の現在価値と投資額の差がゼロになる資本コストを求める。
イ 税引後営業利益から資本コストを引いて金額を求める。 正解
ウ 投資額に対してどれだけ利益を生み出しているかを求める。
エ 投資額を回収するのに必要な期間(年数)を求める。
正解 イ
解説
EVA(Economic Value Added,経済的付加価値)は,税引後営業利益(NOPAT)から,事業に投下した資本に掛かるコスト(投下資本×加重平均資本コスト)を差し引いて求める金額である。資本の提供者が期待するリターンを上回って,企業がどれだけの価値を生み出したかを表す。イが該当する。
アは内部収益率(IRR),ウは投資利益率(ROI),エは回収期間法の説明である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
公衆への提供などが行われた他人の著作物を AI の学習データとして利用する行為に関して,著作権法に照らして適切なものはどれか。ただし,著作物の利用は,AI による情報解析の範囲で行われ,著作物に表現された思想又は感情を享受することを目的とするものではない。また,日本国内で作成された著作物を日本国内で利用する場合であり,利用者と著作権者との間で特段の契約は存在しないものとする。
ア 他人の著作物から情報を抽出して AI に学習させる行為は,どのような条件においても,一切禁止されている。
イ 著作権者の許諾が得られた場合に限って,著作権者との合意の範囲内において,AI の学習に利用できる。
ウ 著作権者の利益を不当に害さない場合,その必要と認められる限度において,商業利用であるか否かを問わず,著作権者の許諾なく AI の学習に利用できる。 正解
エ 著作権者の利益を不当に害する場合及び商業利用の場合を除いて,著作権者の許諾なく AI の学習に利用できる。
正解 ウ
解説
著作権法第30条の4は,著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には,その必要と認められる限度において,いずれの方法によるかを問わず,著作物を利用することができると定めている。多数の著作物などから情報を抽出して比較や分類などの解析を行う情報解析もこれに含まれ,AI の学習データとしての利用が該当する。ただし,著作物の種類及び用途並びに利用の態様に照らし,著作権者の利益を不当に害することとなる場合は除かれる。
この規定は商業利用であるかどうかで区別していないので,ウが適切である。アとイは,著作権者の許諾がなくても利用できる場合があるので誤りである。エは,商業利用の場合を除いている点が誤りである。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
OCSP クライアントから OCSP レスポンダーへのリクエストとそのレスポンスに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア デジタル証明書全体を OCSP レスポンダーに送信し,そのレスポンスでデジタル証明書の有効性を確認する。
イ デジタル証明書全体を OCSP レスポンダーに送信し,そのレスポンスとしてタイムスタンプトークンの発行を受ける。
ウ デジタル証明書のシリアル番号,証明書発行者の識別名(DN)のハッシュ値などを OCSP レスポンダーに送信し,そのレスポンスでデジタル証明書の有効性を確認する。 正解
エ デジタル証明書のシリアル番号,証明書発行者の識別名(DN)のハッシュ値などを OCSP レスポンダーに送信し,そのレスポンスとしてタイムスタンプトークンの発行を受ける。
正解 ウ
解説
OCSP(Online Certificate Status Protocol)は,デジタル証明書が失効していないかをリアルタイムに問い合わせるためのプロトコルである。OCSP クライアントは,証明書全体ではなく,証明書発行者の識別名(DN)のハッシュ値や公開鍵のハッシュ値,証明書のシリアル番号などを OCSP レスポンダーに送信する。OCSP レスポンダーは,その証明書が有効か,失効しているか,不明かを示す署名付きのレスポンスを返す。ウが適切である。
アとイは,証明書全体を送信するとしている点が誤りである。イとエのタイムスタンプトークンは,時刻認証局(TSA)がデータの存在時刻を証明するために発行するもので,OCSP のレスポンスではない。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
マルウェアが,その実行ファイルをターゲットのコンピュータのファイルシステム上に生成せずに,メモリ上にだけ生成することによって,マルウェア対策ソフトが行うマルウェアのファイル解析と検知を難しくする攻撃はどれか。
ア OS コマンドインジェクション攻撃
イ カミンスキー攻撃
ウ クロスサイトスクリプティング攻撃
エ ファイルレス攻撃 正解
正解 エ
解説
ファイルレス攻撃は,マルウェアの実行ファイルをファイルシステム上に保存せず,PowerShell など OS に標準で備わる正規のツールを悪用したり,メモリ上だけでプログラムを動かしたりする攻撃である。ファイルを検査するタイプのマルウェア対策ソフトでは検知が難しい。エが該当する。
アの OS コマンドインジェクション攻撃は,Web アプリケーションへの入力に OS のコマンドを紛れ込ませて実行させる攻撃である。イのカミンスキー攻撃は,DNS キャッシュサーバに偽の応答を送り込んでキャッシュを汚染する攻撃である。ウのクロスサイトスクリプティング攻撃は,Web ページに悪意のあるスクリプトを埋め込み,閲覧者のブラウザで実行させる攻撃である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
“政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)管理基準(令和 5 年 9 月 22 日最終改定)”に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア ISMAP 管理基準は,ガバナンス基準,マネジメント基準,管理策基準,監査基準の四つから構成されている。
イ ガバナンス基準の実施主体は経営陣であり,情報セキュリティガバナンスのプロセスとして,評価,指示,モニタ,コミュニケーション及び保証の各プロセスが定められている。 正解
ウ 管理策基準は,管理者が実施すべき事項として,情報セキュリティマネジメントの計画,実行,点検,処置及びリスクコミュニケーションに必要な事項を定めている。
エ マネジメント基準は,組織における情報セキュリティマネジメントの確立段階において,リスク対応方針に従って管理策を選択する際の選択肢を与えている。
正解 イ
解説
ISMAP 管理基準では,ガバナンス基準は経営陣が実施すべき事項として,JIS Q 27014 を基に定められている。経営陣は情報セキュリティを統治するために,評価,指示,モニタ及びコミュニケーションの各プロセスを実行し,さらに保証プロセスによって独立した客観的な意見を得る。イが適切である。
アは誤りで,ISMAP 管理基準はガバナンス基準,マネジメント基準,管理策基準の三つから構成され,監査基準は含まれない。ウは管理策基準ではなく,マネジメント基準の説明である。エはマネジメント基準ではなく,管理策基準の説明である。
出典:令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
ほかの年度
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 秋期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 秋期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 秋期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 秋期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和2年度 10月 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
平成31年度 春期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 春期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 春期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅰ
平成27年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 春期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 春期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 春期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 特別試験 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 春期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅰ