平成24年度 春期 午前Ⅰ

平成24年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

この年度を解いてみる

問1

任意のオペランドに対するブール演算 A の結果とブール演算 B の結果が互いに否定の関係にあるとき,A は B の(又は,B は A の)相補演算であるという。排他的論理和の相補演算はどれか。

選択肢ごとに,二つの円が重なるベン図で演算の結果が塗り分けられている。ア 等価演算は,二つの円の重なり部分と,二つの円の外側が塗られている。イ 否定論理和は,二つの円の外側だけが塗られている。ウ 論理積は,二つの円の重なり部分だけが塗られている。エ 論理和は,二つの円の全体が塗られている。

正解 

解説

排他的論理和は,二つの入力が異なるときに真になる演算。その否定は「二つの入力が同じときに真」となり,これが等価演算(一致演算,XNOR)である。図でも,等価演算は二つの円の重なり部分(両方が真)と円の外側(両方が偽)が塗られていて,排他的論理和が真になる範囲とちょうど裏返しの関係になっている。アが正しい。

イの否定論理和は二つの円の外側だけなので,両方が真の場合が抜けており,相補にはならない。ウの論理積は重なり部分だけ,エの論理和は二つの円の全体で,いずれも排他的論理和の否定とは一致しない。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

図のように 16 ビットのデータを 4×4 の正方形状に並べ,行と列にパリティビットを付加することによって何ビットまでの誤りを訂正できるか。ここで,図の網掛け部分はパリティビットを表す。

4×4 のデータビットと,各行の右端・各列の下端に付けたパリティビット(網掛け)。1行目 1 0 0 0|1,2行目 0 1 1 0|0,3行目 0 0 1 0|1,4行目 1 1 0 1|1,列のパリティ 0 0 0 1。

正解 

解説

行と列にパリティビットを付けた水平垂直パリティでは,1ビットの誤りが起きると,その誤りを含む行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなる。合わない行と列の交点が誤りの位置なので,特定して反転すれば訂正できる。訂正できるのは1ビットまでで,アが正しい。

2ビットの誤りが同じ行や同じ列に並ぶと,その行(列)のパリティは偶数個の反転で元に戻ってしまい,誤りがあることすら分からなくなる。離れた位置の2ビットなら合わない行と列が2つずつ出るが,どの組合せが誤りかを決められないので,やはり訂正はできない。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

関数 gcd(m,n) が次のように定義されている。m=135,n=35 のとき,gcd(m,n) は何回呼ばれるか。ここで,最初の gcd(135,35) の呼出しも,1回に数えるものとする。また,m,n(m>n≧0)は整数とし,m mod n は m を n で割った余りを返すものとする。

関数の定義。gcd(m,n) は,n=0 のとき m,n>0 のとき gcd(n,m mod n)。

正解 

解説

定義に従って呼出しを追う。gcd(135,35) では 135 mod 35=30 なので gcd(35,30) を呼ぶ。gcd(35,30) では 35 mod 30=5 なので gcd(30,5) を呼ぶ。gcd(30,5) では 30 mod 5=0 なので gcd(5,0) を呼ぶ。gcd(5,0) は n=0 なので 5 を返して終わる。

呼ばれるのは gcd(135,35),gcd(35,30),gcd(30,5),gcd(5,0) の4回で,ウが正しい。最後の n=0 の呼出しを数え忘れると3回(イ)と誤る。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

問4

キャッシュメモリを搭載した CPU の書込み動作において,主記憶及びキャッシュメモリに関し,コヒーレンシ(一貫性)の対策が必要な書込み方式はどれか。

正解 

解説

ライトバック方式は,データをまずキャッシュメモリだけに書き込み,主記憶への反映は後から行う方式である。反映するまでの間は,キャッシュメモリの内容が新しく主記憶の内容が古いという食い違いが生じるので,主記憶を直接参照する他の装置などに古いデータが使われないよう,一貫性(コヒーレンシ)を保つ対策が必要になる。イが正しい。

アのライトスルー方式は,キャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,主記憶の内容は常に最新であり,一貫性の問題は生じにくい。ウのライトバッファは書込みデータを一時的に蓄えるバッファ,エのライトプロテクトは書込みを禁止する機能で,いずれもキャッシュメモリの書込み方式ではない。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

RAID の分類において,ミラーリングを用いることで信頼性を高め,障害発生時には冗長ディスクを用いてデータ復元を行う方式はどれか。

正解 

解説

RAID1 は,同じデータを2台以上のディスクに書き込むミラーリングの方式である。一方のディスクに障害が起きても,もう一方の冗長なディスクに同じデータがあるので,そこからデータを復元できる。アが正しい。

イの RAID2 はハミング符号による誤り訂正用のディスクを使う方式,ウの RAID3 はバイト単位でデータを分散し専用のディスクにパリティを記録する方式,エの RAID4 はブロック単位でデータを分散し専用のディスクにパリティを記録する方式で,いずれもミラーリングではなくパリティなどの冗長情報でデータを復元する。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

あるクライアントサーバシステムにおいて,クライアントから要求された1件の検索を処理するために,サーバで平均 100 万命令が実行される。1件の検索につき,ネットワーク内で転送されるデータは,平均 2×105 バイトである。このサーバの性能は 100 MIPS であり,ネットワークの転送速度は,8×107 ビット/秒である。このシステムにおいて,1秒間に処理できる検索要求は何件か。ここで,処理できる件数は,サーバとネットワークの処理能力だけで決まるものとする。また,1バイトは8ビットとする。

正解 

解説

サーバは 100 MIPS,すなわち1秒間に 100 万命令を実行でき,1件の検索に 100 万命令が必要なので,1秒間に処理できるのは 100 件である。ネットワークは1件当たり 2×105 バイト=1.6×106 ビットを転送し,転送速度が 8×107 ビット/秒なので,1秒間に転送できるのは 8×107÷1.6×106=50 件である。

システム全体で処理できる件数は,遅いほうのネットワークで決まり,1秒間に 50 件となる。アが正しい。1バイト=8ビットの換算を忘れると,ネットワークが 400 件(エ)となり,サーバの 100 件(イ)が上限と誤る。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

問7

二つのタスクの優先度と各タスクを単独で実行した場合の CPU と入出力装置(I/O)の動作順序と処理時間は,表のとおりである。二つのタスクが同時に実行可能状態になってから,全てのタスクの実行が終了するまでの経過時間は何ミリ秒か。ここで,CPU は1個であり,I/O の同時動作はできないものとし,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。また,表の( )内の数字は処理時間を示すものとする。

タスクの表(単位 ミリ秒)。優先度 高:CPU(2)→I/O(7)→CPU(3)→I/O(4)→CPU(3)。優先度 低:CPU(2)→I/O(3)→CPU(2)→I/O(2)→CPU(3)。

正解 

解説

CPU は1個で高優先度のタスクを先に使い,I/O は同時に一つしか動かない。時刻を追うと,0〜2 高 CPU,2〜4 低 CPU(高は I/O 待ち),2〜9 高 I/O,9〜12 低 I/O(高 I/O の終了を待つ),9〜12 高 CPU,12〜16 高 I/O,12〜14 低 CPU,16〜18 低 I/O(高 I/O の終了を待つ),16〜19 高 CPU で高が終了,19〜22 低 CPU で低が終了する。

全てのタスクが終わるのは 22 ミリ秒で,エが正しい。I/O を同時に動かせると考えて待ちを入れないと,より短い時間になってしまう。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

ページング方式の仮想記憶において,ページ置換えの発生頻度が高くなり,システムの処理能力が急激に低下することがある。このような現象を何と呼ぶか。

正解 

解説

仮想記憶で実装している主記憶が不足すると,ページの読込みと追出し(ページイン・ページアウト)が頻発し,CPU がその処理に追われて本来の処理がほとんど進まなくなる。この現象をスラッシングといい,アが正しい。

イのスワップアウトは,主記憶上のプロセスやページを補助記憶に退避させる操作そのもの。ウのフラグメンテーションは,記憶領域が細切れの空き領域に分断されて有効に使えなくなる現象。エのページフォールトは,参照したページが主記憶上にないときに発生する割込みである。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

テクスチャマッピングを説明したものはどれか。

正解 

解説

テクスチャマッピングは,3次元の物体の表面に,木目や布地などの模様を表した画像(テクスチャ)を貼り付けることで,表面の質感を表現する技法である。エが該当する。

アは光源からの光の反射,屈折,透過をたどって描画するレイトレーシング。イは光源と物体の形状に基づいて陰影を付けるシェーディング。ウは表示画面からはみ出す部分をあらかじめ取り除くクリッピングの説明である。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

問10

トランザクションが,データベースに対する更新処理を完全に行うか,全く処理しなかったかのように取り消すか,のいずれかを保証する特性はどれか。

正解 

解説

原子性(atomicity)は,トランザクションの処理が全て実行されるか,全く実行されなかったかのように取り消されるかのどちらかであることを保証する特性である。イが正しい。

アの一貫性はトランザクションの実行前後でデータベースの整合性が保たれる特性,ウの耐久性はコミットした結果が障害が起きても失われない特性,エの独立性は同時に実行される複数のトランザクションが互いに影響を与えない特性である。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

問11

DBMS の媒体障害時の回復法はどれか。

正解 

解説

媒体障害は記憶媒体そのものが壊れる障害で,データベースの内容が失われる。回復するには,まずバックアップコピーから復元し,その後にログを使って,バックアップ取得以降にコミットされたトランザクションをロールフォワードして障害直前の状態まで進める。エが正しい。

アはトランザクション障害での回復,ウはシステム障害での回復に当たり,どちらも媒体は無事なのでロールバックで済む。イもシステム障害での回復で,バックアップからの復元を伴わない点が媒体障害の場合と異なる。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

問12

CSMA/CD 方式の LAN で使用されるスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)は,フレームの蓄積機能,速度変換機能や交換機能をもっている。このようなスイッチングハブと同等の機能をもち,同じプロトコル階層で動作する装置はどれか。

正解 

解説

スイッチングハブはデータリンク層(第2層)で MAC アドレスを見てフレームを転送する装置。同じ第2層で動作し,フレームをいったん蓄積してから転送するのがブリッジで,スイッチングハブは多ポートのブリッジといえる。イが正しい。

アのゲートウェイはトランスポート層より上位でプロトコルの変換を行う装置。ウのリピータは物理層(第1層)で信号を増幅・整形するだけで,宛先は見ない。エのルータはネットワーク層(第3層)で IP アドレスを見て経路を選ぶ装置である。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

問13

TCP/IP ネットワークにおける ARP の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ARP(Address Resolution Protocol)は,通信相手の IP アドレスは分かっているが MAC アドレスが分からないときに,同じネットワーク上へ問合せをブロードキャストして MAC アドレスを得るプロトコル。アが正しい。

イの誤り制御や到達不能の通知を行うのは ICMP。ウのホップ数で経路を制御するのは RIP などのルーティングプロトコル。エの動的な IP アドレスの割当ては DHCP である。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

問14

ディジタル署名などに用いるハッシュ関数の特徴はどれか。

正解 

解説

ディジタル署名などに用いるハッシュ関数には,メッセージダイジェスト(ハッシュ値)から元のメッセージを求めることが困難である一方向性が求められる。ウが正しい。

アは誤りで,同じメッセージダイジェストになる異なる二つのメッセージを見つけることが困難である(衝突困難性)ことも求められる。イは誤りで,メッセージが少しでも異なればメッセージダイジェストは大きく変わる。エは誤りで,メッセージダイジェストはメッセージの長さに関係なく固定長になる。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

サイト運営者に不特定の利用者が電子メールで機密データを送信するに当たって,機密性を確保できる仕組みのうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

不特定の利用者から機密データを受け取るには,サイト運営者が自分の公開鍵を公開し,利用者がそれでデータを暗号化して送ればよい。復号できるのは対になる秘密鍵を持つサイト運営者だけなので,機密性を確保できる。公開鍵を SSL で保護された Web ページに置けば,偽の公開鍵にすり替えられるおそれも減らせる。イが適切である。

アの共通鍵を公開すると,誰でも暗号文を復号できてしまうので機密性を確保できない。ウとエの利用者の秘密鍵で暗号化したデータは,公開されている利用者の公開鍵で誰でも復号できるので,機密性は確保できない(これは署名の用途である)。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

問16

安全性や信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。

“不特定多数の人が使用するプログラムには,自分だけが使用するプログラムに比べて,より多くのデータチェックの機能を組み込む。プログラムが処理できるデータの前提条件を文書に書いておくだけでなく,その前提を満たしていないデータが実際に入力されたときは,エラーメッセージを表示して再入力を促すようにプログラムを作る。”

正解 

解説

フールプルーフは,利用者が誤った操作をしたり想定外のデータを入力したりしても,システムが異常な動作をしないようにあらかじめ防いでおく考え方である。前提条件を満たさないデータが入力されたらエラーメッセージを出して再入力を促す,という方針はこれに当たる。アが正しい。

イのフェールセーフは故障したときに安全な側に倒す設計,ウのフェールソフトは故障時に機能を落としてでも運転を続ける設計,エのフォールトトレラントは構成要素を多重化するなどして故障が起きても正常な動作を続けられるようにする設計である。いずれも故障への備えで,利用者の誤りを防ぐ考え方ではない。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

作業成果物の作成者以外の参加者がモデレータとして主導すること,及び公式な記録,分析を行うことが特徴のレビュー技法はどれか。

正解 

解説

インスペクションは,成果物の作成者以外の参加者がモデレータとなって進行を主導し,指摘事項を公式に記録して欠陥の件数や種類を分析する,最も公式度の高いレビュー技法。分析結果を以後の開発の改善につなげる点も特徴になる。アが正しい。

イのウォークスルーは作成者自身が主催し,参加者に説明しながら進める非公式なレビュー。ウのパスアラウンドは成果物を回覧してコメントを集める方法。エのペアプログラミングは2人で1台の端末を使って一緒にコードを書く手法で,モデレータも公式な記録もない。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

システム開発のプロジェクトにおいて,EVM を活用したパフォーマンス管理をしている。開発途中のある時点で EV−PV の値が負であるとき,どのような状況を示しているか。

正解 

解説

EV−PV はスケジュール差異(SV)。EV(出来高)が PV(計画価値)を下回っている,つまりその時点で完了しているはずの作業量に実績が届いていないので,進捗が計画より遅れている状態を示す。

アとエは SV が正のときの状態。イは将来の見通しの話で,SV が負でも以降で挽回できる可能性があるため,この時点で完了が遅れるとは断定できない。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

問19

システム開発の見積方法の一つであるファンクションポイント法の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ファンクションポイント法は,システムの機能を,外部入力,外部出力,内部論理ファイル,外部インタフェースファイル,外部照会といった要素の数で定量的に計測し,複雑さやアプリケーションの特性による調整を加えてシステムの規模を見積もる方法である。ウが適切である。

アは開発規模を入力として工数と工期を見積もる COCOMO などの方法。イは過去の類似システムと比べて見積もる類推見積法。エは作業を細かく分解して積み上げる標準タスク法(WBS による積算)の説明である。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

レプリケーションが有効な対策となるものはどれか。

正解 

解説

レプリケーションは,データを別の場所にある複製先へほぼリアルタイムに複製し,常に同じ内容を保つ仕組みである。災害で主系のシステムが使えなくなっても,遠隔地の複製先に切り替えれば,最新に近いデータで早期にサービスを再開できるので,システムの長時間停止を防ぐ対策になる。ウが該当する。

ア,イ,エの改ざん,ウイルスによる破壊,操作ミスによる削除は,いずれも元のデータへの変更がそのまま複製先にも反映されてしまうので,レプリケーションでは防げない。これらには,アクセス制御やウイルス対策,世代管理したバックアップなどが有効である。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

問21

“システム管理基準”において,システムテストの監査におけるチェックポイントのうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

システム管理基準は,システムテストについて,テスト計画を利用部門と情報システム部門などの関係者で承認すること,テスト環境を本番環境と分離すること,例外ケースや異常ケースを含むテストケースを設計して実施することなどを求めている。例外ケースや異常ケースを想定したテストが行われていることは,適切なチェックポイントであり,エが該当する。

アの利用者側の責任者だけによる承認や,イの利用者側の担当者だけによるテストでは,開発側や運用側の観点が欠ける。ウの本番環境でのテストは,本番のデータや稼働中のシステムに影響を与えるおそれがあり,テスト環境で行うべきである。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

問22

災害や事故の発生後の対応を順に,BCP 発動,業務再開,業務回復,全面復旧の四つのフェーズに分けたとき,業務再開フェーズで実施するものはどれか。

正解 

解説

業務再開フェーズは,BCP を発動した後,最も緊急度の高い業務を再開する段階である。代替設備や代替手段に切り替え,復旧作業を進め,要員などの経営資源を重要な業務へ振り向ける。エが該当する。

イの発生事象の確認,対策本部の立上げ,情報収集,基本方針の決定は BCP 発動フェーズ。ウの緊急度の高い業務の再開後に業務範囲を拡大するのは業務回復フェーズ。アの本番環境への切替えと平常運用への移行,BCP の見直しは全面復旧フェーズで実施する。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

問23

情報戦略の投資対効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。

正解 

解説

ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割って求める指標で,投資効果を評価するのに使う。エが正しい。

アの EVA(経済的付加価値)は税引後営業利益から資本コストの額を差し引いた金額。イの IRR(内部収益率)は投資の正味現在価値が 0 になる割引率。ウの NPV(正味現在価値)は将来のキャッシュフローの現在価値の合計から投資額を差し引いた金額で,いずれも利益額を投資額で割る比率ではない。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

問24

業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。

正解 

解説

UML はオブジェクト指向のモデリングのために標準化された記法で,クラス図,アクティビティ図,シーケンス図など目的の異なる複数の図を使い分け,同じ対象を複数の観点から表現する。ウが正しい。

アはエンティティと属性,関連で表す E-R 図によるデータ中心アプローチ,イはデータの発生と吸収,蓄積,処理をデータの流れでつなぐ DFD(データフロー図),エは一つの要件に対して発生する事象を条件分岐の形で記述するデシジョンツリーや決定表の説明で,いずれも UML の図法ではない。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

情報システムの開発を発注するための提案依頼書(RFP)の作成と提案依頼に当たって,取得者であるユーザ企業側の対応のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

RFP(提案依頼書)では,ベンダが的確な提案をできるように,取得者が要求事項を明確にしておく必要がある。要求事項が複数ある場合に,重要な要求とそうでない要求の区別がつくよう重要度を設定しておけば,ベンダは優先度を踏まえた提案ができ,取得者も提案を評価しやすくなる。ウが適切である。

アは誤りで,要求事項を最小限にして曖昧さを残すと,提案の内容がばらつき比較が難しくなる。イは誤りで,取得者も事前に要求事項の実現性を確認しておく必要がある。エは誤りで,要求事項は実現したい機能として記述し,実現手段はベンダの提案に委ねるのが基本であり,製品などを細かく指定すると有効な提案の幅を狭めてしまう。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

戦略を立案するために,SWOT 分析を実施した。市場機会を獲得するために自社の強みを生かすことができる戦略はどれか。

SWOT 分析の表。S(強み):高い技術力をもつ,データセンタを多数所有している。O(機会):クラウドコンピューティングが注目されている,市場のグローバル化が進んでいく。W(弱み):営業力がない,メーカの子会社であり意思決定が遅い。T(脅威):海外ベンダが日本市場に参入している,市場の成長率が低い。

正解 

解説

SWOT 分析で,市場機会(O)を獲得するために自社の強み(S)を生かす戦略は,S と O を組み合わせた戦略である。強みである“データセンタを多数所有している”を生かして,機会である“クラウドコンピューティングが注目されている”に対応するエが該当する。

アは弱み(意思決定が遅い)を克服して脅威(市場の成長率が低い)に対応する W と T の戦略。イは弱み(営業力がない)を補って機会(市場のグローバル化)を捉える W と O の戦略。ウは強み(高い技術力)で脅威(海外ベンダの参入)に対抗する S と T の戦略である。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

設定した戦略を遂行するために,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長という四つの視点に基づいて相互の適切な関係を考慮しながら具体的に目標及び施策を策定する経営管理手法はどれか。

正解 

解説

バランススコアカードは,財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点について,相互の因果関係を考慮しながら目標,指標,施策を設定し,戦略の遂行を管理する経営管理手法である。ウが正しい。

アのコアコンピタンスは他社がまねできない企業の中核的な能力,イのセグメンテーションは市場を顧客の属性などで細分化すること,エのプロダクトポートフォリオマネジメントは市場成長率と市場占有率の2軸で製品や事業への資源配分を考える手法である。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。

正解 

解説

EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。

アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

X 社では,(1)〜(4) に示す算定方式で在庫補充量を決定している。第 n 週の週末時点での在庫量を Bn,第 n 週の販売量を Cn としたとき,第 n 週の週末に発注する在庫補充量の算出式はどれか。ここで,n は3以上とする。

〔在庫補充量の算定方式〕

正解 

解説

第 n 週末に発注する在庫補充量は,(2) より“翌週の販売予測量−現在の在庫量+安全在庫量”である。(3) より翌週の販売予測量は先週と今週の販売量の平均 (C[n−1]+Cn)/2,(4) より安全在庫量はその 10%なので,販売予測量と安全在庫量の和は (C[n−1]+Cn)/2×1.1 になる。現在(第 n 週末)の在庫量は Bn である。

したがって在庫補充量は (C[n−1]+Cn)/2×1.1−Bn で,アが正しい。イは現在の在庫量として先週末の B[n−1] を引いている。ウは安全在庫量を今週の販売量 Cn の 10%としている。エは販売予測量に先々週と先週の販売量を使っている。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

A 社は,B 社と著作物の権利に関する特段の取決めをせず,A 社の要求仕様に基づいて,販売管理システムのプログラム作成を B 社に依頼した。この場合のプログラム著作権の原始的帰属は,どのようになるか。

正解 

解説

著作権は,原則としてその著作物を実際に創作した者に原始的に帰属する。法人に帰属するのは著作権法第15条の職務著作に当たる場合で,これは法人等の業務に従事する者が職務上作成したときの規定である。今回プログラムを作成したのは受託した B 社なので,特段の取決めがなければ著作権は B 社に帰属する。エが正しい。

アのように後から話し合って決めるのは原始的帰属ではなく,譲渡の取決めの話になる。イの共有帰属となるのは両社が共同で創作し,各人の寄与を分離して利用できない場合。ウのように委託した A 社に帰属させるには,契約で著作権の譲渡を定めておく必要がある。

出典:平成24年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)