平成23年度 秋期 午前Ⅱ

平成23年度 秋期に実施された情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

この年度を解いてみる

問1

DNSSEC(DNS Security Extensions)の機能はどれか。

正解 

解説

DNSSEC は,DNS の応答に含まれるリソースレコードにディジタル署名を付け,受け取った側がその署名を検証することで,応答が正当な権威 DNS サーバから送られたものであり,途中で改ざんされていないことを確かめる仕組みである。DNS キャッシュポイズニングへの対策になる。イが正しい。

アのように再帰的な問合せを受け付ける範囲を広げると,オープンリゾルバとなって DNS リフレクション攻撃に悪用されるおそれがあり,逆効果である。ウは権威 DNS サーバの冗長化による可用性の向上。エは共通鍵とハッシュ関数を使って DNS の更新要求などの送信者を認証する TSIG の説明である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

セキュアハッシュ関数 SHA-256 を用いて,32 ビット,256 ビット,2,048 ビットの三つの長さのメッセージからハッシュ値を求めたとき,それぞれのメッセージのハッシュ値の長さはどれか。

選択肢は,メッセージの長さが 32 ビット,256 ビット,2,048 ビットのときのハッシュ値の長さを順に示したものである。

正解 

解説

SHA-256 は,入力するメッセージの長さにかかわらず,常に 256 ビットの固定長のハッシュ値を出力するハッシュ関数である。32 ビット,256 ビット,2,048 ビットのどのメッセージからも 256 ビットのハッシュ値が得られるので,ウが正しい。

ア,イ,エのように,メッセージの長さに応じてハッシュ値の長さが変わることはない。任意の長さのデータから一定の長さの値を求められることが,ハッシュ関数の特徴である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

A 社の Web サーバは,認証局で生成した Web サーバ用のディジタル証明書を使って SSL/TLS 通信を行っている。PC が A 社の Web サーバに SSL/TLS を用いてアクセスしたときに PC が行う処理のうち,サーバのディジタル証明書を入手した後に,認証局の公開鍵を利用して行うものはどれか。

正解 

解説

サーバ証明書には,認証局がサーバの公開鍵などの情報に対して自身の秘密鍵で付けたデジタル署名が含まれている。PC はあらかじめ持っている認証局の公開鍵でこの署名を検証し,サーバ証明書が正当な認証局から発行され改ざんされていないことを確かめる。ウが正しい。

アとエは誤り。共通鍵の元になる情報や秘匿データを暗号化するときに使うのは,サーバ証明書に含まれるサーバの公開鍵であり,認証局の公開鍵ではない。イは誤り。公開鍵で暗号化されたデータを復号できるのは対になる秘密鍵を持つ側で,PC が認証局の公開鍵で共通鍵を復号することはない。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

SSL を使用して通信を暗号化する場合,SSL-VPN 装置に必要な条件はどれか。

正解 

解説

SSL-VPN 装置は,利用者の PC との間で SSL による暗号化通信を行うサーバの役割を果たすので,Web サーバと同様に,サーバ証明書(ディジタル証明書)を組み込む必要がある。証明書には,利用者が接続する際に指定する FQDN 又は IP アドレスを記載し,接続先と一致することを確認できるようにする。アが正しい。

イの装置メーカが用意した機種固有の証明書や,ウの装置メーカから提供される認証局を使う必要はなく,一般の認証局などから発行された証明書を使える。エの複数拠点の装置で同一の証明書を使う必要はなく,装置ごとに FQDN に対応した証明書を用いるのが一般的である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

ISP“A”管理下のネットワークから別の ISP“B”管理下の宛先へ SMTP で電子メールを送信する。電子メール送信者が SMTP-AUTH を利用していない場合,スパムメール対策 OP25B によって遮断される電子メールはどれか。

正解 

解説

OP25B(Outbound Port 25 Blocking)は,ISP が管理下の動的 IP アドレスから,ISP のメールサーバを経由せずに外部のメールサーバのポート番号 25 へ直接送る SMTP 通信を遮断する対策である。したがって,ISP“A”の動的 IP アドレスから ISP“A”のメールサーバを経由せずに送信された電子メールが遮断される。エが該当する。

ウの ISP“A”のメールサーバを経由した電子メールは遮断されない。ア,イの固定 IP アドレスからの送信は,通常 OP25B の対象外である。受信者の承諾を得ていない広告メールや,逆引きできない送信元の判定は OP25B の仕組みではない。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

100 人の送受信者が共通鍵暗号方式で,それぞれが相互に暗号化通信を行うときに必要な共通鍵の総数は幾つか。

正解 

解説

共通鍵暗号方式では,通信する2人の組ごとに異なる共通鍵が必要になる。100 人から2人を選ぶ組合せの数は 100×99÷2=4,950 なので,必要な共通鍵の総数は 4,950 で,イが正しい。

ウの 9,900 は組合せを2で割らずに順列として数えた値,エの 10,000 は 100×100 とした値である。アの 200 は,公開鍵暗号方式で1人1組(公開鍵と秘密鍵の2個)の鍵をもつ場合の数である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

IP アドレスに対する MAC アドレスの不正な対応関係を作り出す攻撃はどれか。

正解 

解説

ARP スプーフィング攻撃は,偽の ARP 応答を送りつけて,攻撃対象のコンピュータがもつ ARP キャッシュに,IP アドレスと攻撃者の MAC アドレスとの不正な対応関係を登録させる攻撃である。これによって通信を攻撃者の機器に誘導し,盗聴や改ざんを行う。アが正しい。

イの DNS キャッシュポイズニング攻撃は,ドメイン名と IP アドレスの不正な対応関係を DNS キャッシュサーバに記憶させる攻撃である。ウの URL エンコーディング攻撃は,文字をエンコードして入力チェックをすり抜ける攻撃,エのバッファオーバフロー攻撃は,確保した領域を超えるデータを送り込んでプログラムを誤動作させる攻撃である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

DNS サーバに格納されるネットワーク情報のうち,第三者に公開する必要のない情報が攻撃に利用されることを防止するための,プライマリ DNS サーバの設定はどれか。

正解 

解説

ゾーン転送は,プライマリ DNS サーバのゾーン情報をセカンダリ DNS サーバに複製するための機能である。誰からでもゾーン転送を受け付けると,ホスト名や IP アドレスなど,第三者に公開する必要のないネットワーク情報をまとめて取得され,攻撃の下調べに利用されるおそれがある。ゾーン転送を許可する DNS サーバを正規のセカンダリサーバに限定すれば防止できる。ウが正しい。

アの SOA レコードのシリアル番号の更新は,ゾーン情報の変更をセカンダリサーバに知らせるための操作である。イのキャッシュされる時間の短縮は,情報の変更を早く反映させるための設定である。エのラウンドロビン設定は,一つの名前に複数の IP アドレスを対応させて負荷を分散させる設定で,いずれも情報の漏えいを防ぐものではない。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

サービス不能攻撃(DoS)の一つである Smurf 攻撃の特徴はどれか。

正解 

解説

Smurf 攻撃は,送信元 IP アドレスを攻撃対象のアドレスに偽装した ICMP エコー要求(ping)を,ネットワークのブロードキャストアドレス宛てに送信する攻撃である。ネットワーク内の多数のホストが攻撃対象に ICMP エコー応答を一斉に返すので,大量の応答パケットによって攻撃対象がサービス不能になる。アが正しい。

イの SYN パケットを大量に送信するのは SYN フラッド攻撃,ウのサイズの大きい UDP パケットを大量に送信するのは UDP フラッド攻撃,エの大量の電子メールを送信するのはメール爆弾である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

表に示すテーブル X,Y へのアクセス要件に関して,JIS Q 27001:2006(ISO/IEC 27001:2005)が示す“完全性”の観点からセキュリティを脅かすおそれのあるアクセス権付与はどれか。

テーブルとアクセス要件の表。X(注文テーブル):①調達課の利用者 A が注文データを入力するために,又は内容を確認するためにアクセスする。②管理課の利用者 B はアクセスしない。Y(仕入先マスタテーブル):①調達課の利用者 A が仕入先データを照会する目的だけでアクセスする。②管理課の利用者 B が仕入先データのマスタメンテナンス作業を行うためにアクセスする。

正解 

解説

完全性は,情報が正確で改ざんされていない状態を保つことである。Y(仕入先マスタテーブル)について,利用者 A は照会する目的だけでアクセスするので,A に INSERT(データの追加)の権限を与えると,本来更新してはならないマスタのデータを追加できてしまい,完全性を脅かす。アが該当する。

イの B に Y への INSERT 権限を与えるのは,マスタメンテナンス作業に必要な権限である。ウの A に X への SELECT 権限を与えるのは,注文データの内容を確認するために必要な権限である。エの B に X への SELECT 権限を与えるのは,アクセスしない B に参照を許すので機密性の観点では問題になるが,データを変更できないので完全性は脅かさない。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

テンペスト(TEMPEST)攻撃を説明したものはどれか。

正解 

解説

テンペスト(TEMPEST)攻撃は,ディスプレイやケーブル,機器などから漏れて放射される微弱な電磁波を離れた場所で観測・解析し,表示内容や処理中のデータを盗み取る攻撃である。ウが正しい。

アの故意に誤動作させて正しい結果との差異を解析するのは故障利用攻撃(フォールト攻撃),イの処理時間の差異を計測して解析するのはタイミング攻撃,エのチップ内の信号線に探針を当ててデータを観測するのはプロービング攻撃である。いずれも暗号モジュールなどに対するサイドチャネル攻撃や物理的な攻撃の一種である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

ダウンローダ型ウイルスが PC に侵入した場合に,インターネット経路で他のウイルスがダウンロードされることを防ぐ対策のうち,最も有効なものはどれか。

正解 

解説

ダウンローダ型ウイルスは,PC に侵入した後,インターネット上の攻撃者が用意した不正な Web サイトに接続して,別のウイルスをダウンロードする。URL フィルタで不正な Web サイトへの接続を遮断すれば,他のウイルスのダウンロードを防げる。アが最も有効である。

イの IPS はインターネットから内部ネットワークに向けた要求パケットを検査するもので,内部の PC から外部へ接続して行うダウンロードは防げない。ウのスパムメールの拒否は,ウイルスが侵入する前の対策である。エの不正メール発信の遮断は,他サイトへの被害の拡大を防ぐ対策で,ダウンロードは防げない。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

ルートキット(rootkit)を説明したものはどれか。

正解 

解説

ルートキット(rootkit)は,攻撃者が不正侵入したコンピュータで,バックドアや不正なプログラムの存在,ログの痕跡などを隠蔽し,管理者に気付かれずに管理者権限で活動し続けるための機能をまとめたツールである。エが正しい。

アのカーネル部分の脆弱性を分析するツールや,イのウイルスやワームに感染していないことをチェックするツール,ウの通信ポートを外部から調査するツール(ポートスキャナ)は,いずれもルートキットの説明ではない。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

スパムメールの対策である DKIM(DomainKeys Identified Mail)の説明はどれか。

正解 

解説

DKIM(DomainKeys Identified Mail)は,送信側のメールサーバで電子メールにディジタル署名を付けてヘッダに追加し,受信側のメールサーバは,送信ドメインの DNS に公開された公開鍵を使って署名を検証する仕組みである。送信元ドメインの正当性とメールの改ざんの有無を確認できる。アが正しい。

イの送信時に利用者を認証するのは SMTP-AUTH。ウの送信元の IP アドレスを検証するのは SPF などの IP アドレスによる送信ドメイン認証。エの内部ネットワークから外部のメールサーバのポート 25 番への直接の通信を禁止するのは OP25B である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

IPsec の AH に関する説明のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

IPsec の AH(Authentication Header)は,データの暗号化は行わず,SPI(セキュリティパラメータインデックス),シーケンス番号,認証データ(ICV)などを用いて,IP パケットの完全性の確保と送信元の認証を行うプロトコルである。エが適切である。

アの暗号化する対象部分によるトランスポートモードとトンネルモードの区別は,暗号化を行う ESP の説明で,AH は暗号化を行わない。イの暗号化アルゴリズムや鍵のライフタイムを設定する管理テーブルは SA(セキュリティアソシエーション)のデータベース,ウの暗号化アルゴリズムを決定して鍵を動的に生成する鍵交換プロトコルは IKE の説明である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

Web アプリケーションの脆弱性を悪用する攻撃手法のうち,Perl の system 関数や PHP の exec 関数など外部プログラムの呼出しを可能にするための関数を利用し,不正にシェルスクリプトや実行形式のファイルを実行させるものはどれに分類されるか。

正解 

解説

OS コマンドインジェクションは,Web アプリケーションが Perl の system 関数や PHP の exec 関数などで外部プログラムを呼び出すときに,入力データに OS のコマンドを紛れ込ませ,不正にシェルスクリプトや実行形式のファイルを実行させる攻撃である。イに分類される。

アの HTTP ヘッダインジェクションは,入力データに改行コードを含めて HTTP レスポンスヘッダに不正なヘッダや本文を挿入する攻撃。ウのクロスサイトリクエストフォージェリは,利用者に意図しないリクエストを Web サイトに送らせる攻撃。エのセッションハイジャックは,セッション ID を盗むなどしてセッションを乗っ取る攻撃である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

DNS の MX レコードで指定するものはどれか。

正解 

解説

DNS の MX(Mail eXchange)レコードは,あるドメイン宛ての電子メールを受け取るメールサーバのホスト名と,複数ある場合の優先度を指定するレコードである。送信側のメールサーバは,送信先ドメインの MX レコードを問い合わせて配送先を決める。イが正しい。

アのエラー発生時の通知先は DNS のレコードで指定するものではない。ウのゾーンの管理情報やプライマリサーバは SOA レコード,ドメインの DNS サーバは NS レコードで指定する。エのメーリングリストを管理しているサーバを指定するレコードはない。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

コンピュータとスイッチングハブの間,又は2台のスイッチングハブの間を接続する複数の物理回線を論理的に1本の回線に束ねる技術はどれか。

正解 

解説

リンクアグリゲーションは,コンピュータとスイッチングハブの間や,スイッチングハブ同士の間を接続する複数の物理回線を,論理的に1本の回線として束ねて扱う技術である。通信帯域を増やせるとともに,一部の回線が故障しても通信を続けられる。エが正しい。

アのスパニングツリーは,冗長な経路をもつネットワークでループを防ぐプロトコル。イのブリッジは,データリンク層でネットワークを中継する装置。ウのマルチホーミングは,複数の ISP などと接続してインターネット接続を冗長化する技術である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

電源オフ時に IP アドレスを保持することができない装置が,電源オン時に自装置の MAC アドレスから自装置に割り当てられている IP アドレスを知るために用いるデータリンク層のプロトコルで,ブロードキャストを利用するものはどれか。

正解 

解説

RARP(Reverse ARP)は,自装置の MAC アドレスを基に,自装置に割り当てられた IP アドレスを問い合わせるプロトコルである。問合せはブロードキャストで送信され,RARP サーバが IP アドレスを応答する。電源を切ると IP アドレスを保持できない装置が起動時に使う。エが正しい。

アの ARP は,IP アドレスから MAC アドレスを求めるプロトコルで,方向が逆である。イの DHCP も IP アドレスを自動設定するが,UDP を使うアプリケーション層のプロトコルで,データリンク層のプロトコルではない。ウの DNS はドメイン名と IP アドレスを対応付けるプロトコルである。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

TCP ヘッダに含まれる情報はどれか。

正解 

解説

TCP ヘッダには,送信元ポート番号,宛先ポート番号,シーケンス番号,確認応答番号,ウィンドウサイズなどが含まれる。アの宛先ポート番号が TCP ヘッダに含まれる情報である。

イのパケット生存時間(TTL),ウの発信元 IP アドレス,エのプロトコル番号(上位のプロトコルが TCP か UDP かなどを示す番号)は,いずれも IP ヘッダに含まれる情報である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

次数が n の関係 R には,属性なし(φ)も含めて異なる射影は幾つあるか。

正解 

解説

次数が n の関係は n 個の属性をもつ。射影は,関係から属性の一部を選んで取り出す操作なので,異なる射影の数は,n 個の属性からなる集合の部分集合の数に等しい。各属性について“選ぶ”か“選ばない”かの 2 通りがあるので,属性なし(φ)を含めて 2n 通りとなり,エになる。

例えば属性が A,B の 2 個なら,φ,{A},{B},{A,B} の 4=22 通りである。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

バグ埋込み法において,埋め込まれたバグ数を S,埋め込まれたバグのうち発見されたバグ数を m,埋め込まれたバグを含まないテスト開始前の潜在バグ数を T,発見された総バグ数を n としたとき,S,T,m,n の関係を表す式はどれか。

正解 

解説

バグ埋込み法は,プログラムに既知のバグを意図的に埋め込んでからテストを行い,埋め込んだバグの発見率から,元から潜在していたバグの数を推定する方法である。埋め込んだバグと元々のバグが同じ割合で発見されると仮定する。

埋め込んだバグの発見率は m/S,元々のバグの発見数は総発見数から埋め込んだバグの発見数を引いた n−m なので,その発見率は (n−m)/T である。両者が等しいとする m/S=(n−m)/T のアが正しい。ウ,エのように n をそのまま使うと,埋め込んだバグの発見数を元々のバグとして二重に数えることになる。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

ソフトウェア開発組織の活動状態のうち,CMMI モデルにおける成熟度レベルが最も高いものはどれか。

正解 

解説

CMMI の段階表現の成熟度レベルは,1 初期,2 管理された,3 定義された,4 定量的に管理された,5 最適化している の5段階である。プロセスを継続的に改善していく仕組みが機能している状態は,最も高いレベル5(最適化している)に当たる。エが正しい。

アの作業成果物の状況が主要なタスクの完了時点で管理層に見える状態はレベル2,ウのプロセスが明文化されて組織内の全員が利用している状態はレベル3,イの実績が定量的に把握されてプロセスが組織的に管理されている状態はレベル4 に当たる。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

情報システムの設計において,フェールソフトが講じられているのはどれか。

正解 

解説

フェールソフトは,故障が起きたときにシステムを止めるのではなく,機能や性能を落としてでも動き続けさせる(縮退運転する)考え方。ハードウェア障害時に構成を縮小して運転を続けるウがこれに当たる。

アとイは,障害時に安全な側へ倒して停止させるフェールセーフ。エは利用者の誤操作を未然に防ぐフールプルーフの例。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

ISMS におけるリスク分析手法の一つである“詳細リスク分析”で行う作業はどれか。

正解 

解説

詳細リスク分析は,情報資産ごとに,資産の価値,脅威,脆弱性を識別し,それらからリスクの大きさを算定・評価する手法である。リスクの評価は詳細リスク分析の中で行う作業で,ウが該当する。

アの情報セキュリティポリシの作成は,リスク分析に先立って組織の方針として行う。イのセーフガード(管理策)の選択と,エのリスクの容認(受容)は,リスク分析・評価の結果を受けて行うリスク対応の作業である。

出典:平成23年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)