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ITサービスマネージャ試験

令和5年度 春期 科目A-2(午前Ⅱ)

令和5年度 春期に実施されたITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:ITサービスマネージャ試験について

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問1

JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,組織は,サービスのライフサイクルに関与する他の関係者の評価及び選定のための基準を設定し,適用しなくてはならない。ここでいう“他の関係者”に該当する利害関係者の組みはどれか。

正解 イ

解説

JIS Q 20000-1:2020 の 8.2.3 は,他の関係者について“外部供給者,内部供給者又は供給者として行動する顧客のいずれでもあり得る”と規定している。したがってイの組みが該当する。

外部顧客と利用者は,サービスの提供を受ける側であって“他の関係者”には当たらない。ア・ウ・エはいずれも外部顧客か利用者,内部顧客を含むため誤り。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問2

JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,“リスク及び機会への取組み”において,サービスマネジメントシステムの計画を策定するとき,組織は,取り組む必要があるリスク及び機会を決定しなければならない。リスク及び機会を決定する目的として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

6.1(リスク及び機会への取組み)は,リスク及び機会を決定する目的を a)“SMS が,その意図した成果を達成できるという確信を与える”,b)“望ましくない影響を防止又は低減する”,c)“SMS 及びサービスの継続的改善を達成する”と規定している。イが a) に当たる。

アは 7.1(資源)に関する要求事項,ウは 6.2(SMS の目的及びそれを達成するための計画策定)の内容。エは 6.1 の目的として規定されていない。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問3

情報システムの設計の例のうち,フェールソフトの考え方を適用した例はどれか。

正解 ウ

解説

フェールソフトは,故障が起きたときにシステムを止めるのではなく,機能や性能を落としてでも動き続けさせる(縮退運転する)考え方。ハードウェア障害時に構成を縮小して運転を続けるウがこれに当たる。

アとイは,障害時に安全な側へ倒して停止させるフェールセーフ。エは利用者の誤操作を未然に防ぐフールプルーフの例。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

用語解説:信頼性設計(フェールセーフ・フェールソフト・フールプルーフ)

問4

目標復旧時間(RTO)を24時間に定めているのはどれか。

正解 エ

解説

RTO(Recovery Time Objective,目標復旧時間)は,サービスが中断してから復旧させるまでに許容される時間の目標値。“中断した IT サービスを24時間以内に復旧させる”がこれに当たる。

ウは復旧時点のデータの新しさを示す RPO(目標復旧時点)の説明。アはリリース展開に伴う計画停止時間,イは問題管理における解決目標であり,いずれも RTO ではない。

RPO・RTO・MTPD の関係 障害が起きた時点を中心に,RPO(目標復旧時点)は過去に向かって,どの時点のデータまで戻すか(失ってよいデータの範囲)を表す。RTO(目標復旧時間)は未来に向かって,どれだけの時間で戻すかを表す。MTPD(最大許容停止時間)は止まっていられる限界で,RTO はこれより短く置く。 時間 最後のバックアップ 障害発生 復旧 RPO どこまで戻すか RTO 何時間で戻すか MTPD:これ以上止まると事業が立ち行かない ← 過去(データ) 未来(時間)→
RPO は障害の前(データ),RTO は障害の後(時間)を向く。RTO は MTPD より短く

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

用語解説:BCP(事業継続計画・RTO・RPO)

問5

JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,“監視,測定,分析及び評価”の活動において,サービスの有効性は何に照らして評価すべきか。

正解 ア

解説

9.1(監視,測定,分析及び評価)は,サービスのパフォーマンス及び有効性を「サービスの要求事項」に照らして評価することを求めている。顧客と合意したサービスの要求事項をどれだけ満たせているかで,サービスが有効に働いているかを判断する。

イは SMS 自体の有効性を評価するときの基準。ウは 4.1(組織及びその状況の理解)でレビューする対象,エはマネジメントレビューや改善の中で扱うものであり,いずれもサービスの有効性を測る基準ではない。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問6

サービス提供時間帯が毎日6時〜20時のシステムにおいて,ある月の停止時間,修復時間及びシステムメンテナンス時間は次のとおりであった。この月のサービス可用性は何%か。ここで,1か月の稼働日数は30日であって,サービス可用性(%)は小数第2位を四捨五入するものとする。

〔停止時間,修復時間及びシステムメンテナンス時間〕

正解 ウ

解説

サービス提供時間は 6時〜20時の14時間×30日=420時間。

サービス可用性の計算に含めるのは,サービス提供時間内に止まっていた時間だけである。提供時間外の修復時間3時間とメンテナンス時間8時間は,もともとサービスを提供していない時間帯なので停止時間に数えない。

したがって (420−7)÷420=413÷420=0.98333…,すなわち 98.3%。

提供時間内の停止だけを数える可用性 サービス提供時間は 6〜20 時の14時間×30日=420時間。数えるのは提供時間内に止まった7時間だけで,提供時間外の修復3時間とメンテナンス8時間は,もともと提供していない時間なので数えない。(420−7)÷420≒98.3%。 提供時間 6〜20 時 × 30日 = 420 時間(帯の長さは目安) 提供できた 413 時間 停止 7 止まった(数える) 提供時間に含めない(分母から除く) 停止 7 時間(提供時間内) (420 − 7) ÷ 420 ≒ 98.3% 提供時間外の修復 3 時間・メンテナンス 8 時間は入れない(帯の外)
提供時間外の修復・メンテナンスは停止に数えない

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

図は,あるプロジェクトにおける,旧システムから新システムへの切替え移行作業の流れ図である。次の条件で作業を遂行する場合,移行開始から移行終了までの所要時間は最短で何時間か。

〔条件〕

旧システムから新システムへの切替え移行作業の流れ図。移行開始→【旧システム】オンライン停止 0.5時間→3並行(【旧システム】利用者IDデータ抽出 1.5時間/マスタデータ抽出 1.5時間/取引データ抽出 2.5時間)→【新システム】利用者IDデータ登録 4.0時間/マスタデータ登録 3.5時間/取引データ登録 3.0時間→【新システム】動作確認① 0.5時間/動作確認② 0.5時間→移行終了

正解 ウ

解説

休憩を考えなければ,最長経路は オンライン停止(0.5)→取引データ抽出(2.5)→マスタデータ登録(3.5)→動作確認(0.5) の 7.0 時間になる。

しかし抽出の3作業(0.5〜3.0)も登録の3作業も3人が同時に動くので,休憩を入れられる余地は限られる。動作確認を担当する2人は,それまでに連続1時間以上の休憩を済ませていなければならない。登録作業が終わるのは早くても 6.0〜6.5 なので,そこから休憩を取ると動作確認の開始は 7.0 になる。休憩を登録の前(抽出の直後)に回しても,その分だけ登録の終了が後ろへずれるので,やはり 7.0 より早くは始められない。

したがって動作確認は 7.0 開始・7.5 終了となり,最短所要時間は 7.5 時間。

3人で進める移行作業と休憩 作業者 A がオンライン停止(0〜0.5)のあと取引データ抽出(〜3.0)と取引データ登録(〜6.0)を行い,休憩してから動作確認①(7.0〜7.5)。B は利用者 ID データ抽出(0.5〜2.0)のあと休憩し,利用者 ID データ登録(3.0〜7.0),動作確認②(7.0〜7.5)。C はマスタデータ抽出(〜2.0)のあと休憩し,マスタデータ登録(3.0〜6.5)。動作確認は全ての登録が終わり,担当者が休憩を済ませた 7.0 時間から始められるので,最短 7.5 時間。 A 停止 取引抽出 取引登録 休 確 B ID抽出 休 ID登録 確 C マスタ抽出 休 マスタ登録 0 1 2 3 4 5 6 7 8 動作確認は 7.0〜7.5(塗った帯は休憩)
休憩を入れる場所がないと,その分だけ後ろにずれる

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,パフォーマンス評価の一つである“マネジメントレビュー”の要求事項のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

9.3(マネジメントレビュー)は,そのアウトプットに“継続的改善の機会,及び SMS 及びサービスのあらゆる変更の必要性に関する決定”を含めなければならないと規定している。

アは 8.3.3(サービスレベル管理)で SLA に含めるべき内容,ウは 10.2(継続的改善)で定める評価基準,エは 8.2.2(サービスの計画)に関する要求事項。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム) SLA(サービスレベル合意書)

問9

システムの信頼性を測る指標の一つに稼働品質率がある。年間の稼働品質率で評価される信頼性が最も高いシステムはどれか。ここで,稼働品質率は次の式で算出し,システムの資産規模には総運用費用を用いるものとする。

稼働品質率 = 利用者に迷惑を掛けた回数 ÷ システムの資産規模
表。システムAは利用者に迷惑を掛けた回数がオンライン処理3回・バッチ処理12回,オンライン稼働時間6千時間/年,総運用費用120百万円/年。Bは4回・8回,3千時間,100百万円。Cは6回・2回,4千時間,80百万円。Dは6回・3回,2千時間,60百万円。

正解 ウ

解説

稼働品質率は「利用者に迷惑を掛けた回数 ÷ 資産規模(総運用費用)」なので,値が小さいほど信頼性が高い。オンライン稼働時間はこの式に使わない。

A=(3+12)÷120=0.125,B=(4+8)÷100=0.12,C=(6+2)÷80=0.10,D=(6+3)÷60=0.15。

最も小さいのは C の0.10なので,信頼性が最も高いのはシステム C。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

エラープルーフ化とは,ヒューマンエラーに起因する障害を防ぐ目的で,作業方法を人間に合うように改善することであり,次の五つの原理を定義している。五つの原理のうち,ヒューマンエラーの発生を未然に防止する原理の組みはどれか。

〔エラープルーフ化の五つの原理〕

正解 エ

解説

五つの原理は,エラーが起きる前に働くものと,起きた後に働くものに分けられる。代替化(人が作業をしなくてもよいようにする),排除(作業や注意を不要にする),容易化(作業を易しくする)は,いずれも作業そのものをなくしたり簡単にしたりして,エラーの発生自体を未然に防ぐ。

一方,異常検出は起きてしまったエラーに気づくための原理,影響緩和は起きてしまったエラーの影響を小さくするための原理であり,どちらも発生後に働く。したがってこの二つを含むア・イ・ウは適切でない。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

データの追加・変更・削除が,少ないながらも一定の頻度で行われるデータベースがある。このデータベースのフルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの2倍にした。このとき,データベースのバックアップ又は復旧に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

フルバックアップの間隔を 2 倍にすると,1 回のフルバックアップから次までに蓄積されるログの量が約 2 倍になる。復旧時はバックアップを復元してからログを反映(ロールフォワード)するので,その反映に掛かる平均処理時間が約 2 倍になる。

イとウは誤り。データの追加・変更・削除は少ないのでデータベース自体の大きさはほとんど変わらず,1 回当たりのテープ使用量は変わらない。エも同じ理由で,フルバックアップ取得の処理時間は変わらない。

フルバックアップの間隔を2倍にすると データベースの大きさはほとんど変わらないので,1回のフルバックアップの量や時間は変わらない。間隔が2倍になると,次のバックアップまでにたまるログが約2倍になり,障害のあとバックアップを復元してからログを反映する(ロールフォワードする)時間が平均して約2倍になる。 今まで 2倍の間隔 ■ フルバックアップ △ たまるログ 障害のときに反映するログが平均で約2倍 → 復旧時間も約2倍
変わるのは「たまるログの量」と「復旧の時間」。バックアップ1回の量は同じ

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

“24時間365日”の有人オペレーションサービスを提供する。シフト勤務の条件が次のとき,オペレーターは最少で何人必要か。

〔条件〕

正解 イ

解説

7 日間に必要な延べ勤務回数は,7 日×3 シフト×2 人=42 回。1 人当たりの勤務回数は 7 日間で 5 回以内なので,必要な人数は 42÷5=8.4,すなわち 9 人以上になる。

8 人では 8×5=40 回にしかならず 42 回に届かない。10 人や 16 人でも条件は満たせるが“最少”ではない。

シフト勤務に必要な人数 1日3シフト,各シフト2人以上なので,7日間で必要な延べ勤務は 7×3×2=42 回。1人は7日間に5回までなので,42÷5=8.4 で,9人以上が要る。8人では 8×5=40 回で足りない。 月 火 水 木 金 土 日 シフト1 2 2 2 2 2 2 2 シフト2 2 2 2 2 2 2 2 シフト3 2 2 2 2 2 2 2 延べ 7 × 3 × 2 = 42 回 42 ÷ 5 = 8.4 → 9 人
延べの回数 ÷ 1人の上限,端数は切り上げ

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

データセンターなどで用いられている環境に配慮した空調システムであり,夏季は外気よりも低温になる地中と外気との温度差を熱交換に利用するものはどれか。

正解 イ

解説

クールピットは,建物の地下に設けたピット(空間)に外気を通し,夏季は外気より低温になる地中との温度差で外気を冷やしてから取り込む方式。地中熱を利用して空調の負荷を下げる。

アのアイルキャッピングはサーバラックの通路を覆って冷気と暖気が混ざらないようにする手法,ウのタスクアンビエント空調は作業域と周辺域で空調を分ける方式,エのフリークーリングは外気そのものが低いときに冷凍機を使わずに冷却する方式で,地中との温度差を使うものではない。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

システム管理基準(平成30年)に基づく,IT ガバナンスにおける情報システムの資源管理の監査で判明した経営陣の対応のうち,監査人が,指摘事項として監査報告書に記載すべきものはどれか。

正解 エ

解説

指摘事項として記載すべきなのは,あるべき姿から外れている状態である。資源管理では,内部人材が不足しているなら外部資源の活用を含めて資源をどう確保するかを情報システム戦略で考慮する必要がある。それを検討していないエは,資源管理上の不備として指摘の対象になる。

ア・イ・ウはいずれも資源の有効活用や適切な管理に向けた妥当な対応であり,指摘事項には当たらない。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問15

認証デバイスに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

虹彩の模様は生後2年ほどで完成し,その後は生涯ほとんど変化しない。したがって成人の虹彩認証では,登録したパターンを更新する必要がほとんどない。

アは誤り。持ち運んで使えることが USB 型認証デバイスの利点であり,特定 PC の MAC アドレスを証明書に組み込む必要はない。ウは誤り。静電容量方式は指の凹凸による静電容量の差を読み取るので,照明の影響を受けない(光学式であれば影響を受け得る)。エは誤り。コイルの誘導起電力で動作するのは非接触型 IC カードで,接触型は端子から直接給電される。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

CSIRT の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

CSIRT(Computer Security Incident Response Team)は,企業や行政機関などに設置され,コンピュータセキュリティインシデントが起きたときの対応や,その予防のための情報収集・分析などを行う組織である。アが正しい。

イはプライバシーマーク制度の付与機関,ウは CRYPTREC,エは NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)の説明。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 15001 とプライバシーマーク(個人情報保護マネジメントシステム)

問17

JIS Q 22301:2020 が要求事項を規定している対象はどれか。

正解 ウ

解説

JIS Q 22301 は,事業継続マネジメントシステム(BCMS)の要求事項を規定した規格。

アの IT サービスマネジメントシステムは JIS Q 20000-1,イの個人情報保護マネジメントシステムは JIS Q 15001,エの情報セキュリティマネジメントシステムは JIS Q 27001 が対応する。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

用語解説:BCP(事業継続計画・RTO・RPO) JIS Q 22301(事業継続マネジメントシステム)

問18

プロジェクトマネジメントにおける,プロジェクトスコープのクリープと呼ばれるものはどれか。

正解 ア

解説

スコープクリープとは,時間・コスト・資源の調整を伴わないまま,管理されない状態でプロジェクトスコープが少しずつ拡大していくことをいう。

イはリスク,ウは WBS,エはプロジェクトスコープ記述書の説明。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

ソフトウェアを開発するために,ローコード開発ツールを選定する。ツールを使って作成するプログラムには,ツールが提供する部品を組み合わせるだけで完成するプログラム(タイプ1プログラム)と,ソースコードを記述して作成するプログラム(タイプ2プログラム)とがある。表は,A〜D のツールを使ってソフトウェアを開発する場合の,タイプ1プログラム及びタイプ2プログラムのそれぞれのプログラム本数及び1本当たりの所要工数の見積りである。最も少ない工数で開発できるツールはどれか。

〔ローコード開発ツールごとのプログラム本数と所要工数〕の表。ツールAはタイプ1が50本・0.5人日/本,タイプ2が5本・20人日/本。Bは50本・0.8,4本・20。Cは50本・1.0,3本・20。Dは50本・1.5,2本・20。

正解 ウ

解説

ツールごとに「タイプ1の本数×所要工数+タイプ2の本数×所要工数」を計算する。

A=50×0.5+5×20=25+100=125人日,B=50×0.8+4×20=40+80=120人日,C=50×1.0+3×20=50+60=110人日,D=50×1.5+2×20=75+40=115人日。

最も少ないのは C の110人日。タイプ1の工数が増えても,工数の大きいタイプ2の本数が減るほうが効いてくる点がポイント。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

プロジェクトマネジメントで使用する分析技法のうち,感度分析の説明はどれか。

正解 ア

解説

感度分析は,どの要因(リスク)が変動したときにプロジェクトの目標へ最も大きな影響を与えるかを調べる技法。影響の大きいものから優先して手を打つために使う。結果はトルネード図で表されることが多い。

イはデシジョンツリー分析,ウはトレンド分析,エは特性要因図(フィッシュボーン図)の説明。

トルネード図 感度分析の結果を,結果(例えば利益)への影響の大きい要素から順に横棒で並べた図。上にある要素ほど結果を大きく動かすので,重点的に管理する。棒は,要素を楽観値から悲観値まで動かしたときの結果の幅を表す。 販売数 単価 原材料費 人件費 為替 悲観値のとき 楽観値のとき
上ほど影響が大きい。竜巻(トルネード)のような形になる

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

メモリインタリーブの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

メモリインタリーブは,主記憶を複数のバンクに分け,連続するアドレスを異なるバンクに割り当てることで,CPU からのアクセス要求を複数のバンクで並列に処理し,主記憶へのアクセスを高速にする方式である。エが適切である。

アは仮想記憶,イはディスクキャッシュ,ウは DMA の説明。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:キャッシュメモリ

問22

クラウドサービスに関係するデータのうち,クラウドサービス派生データに関する記述はどれか。

正解 エ

解説

クラウドサービス派生データは,利用者がサービスを使ったことに伴って副次的に生まれるデータのこと。利用時間や操作内容を記録したログデータがこれに当たり,利用者との関わりから生じる点でサービス提供者自身のデータとは区別される。

アはデータポータビリティに関する記述,イはクラウドサービス提供者データ,ウはクラウドサービスカスタマデータ(利用者が入力・作成したデータ)の説明。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

2相ロッキングプロトコルに従うトランザクションで発生する可能性のある現象はどれか。

正解 イ

解説

2相ロッキングプロトコルは,ロックを掛ける段階と外す段階を分け,一度ロックを外したら新たなロックを掛けないという規則。これによって直列化可能性が保証され,ダーティリード・ノンリピータブルリード・ロストアップデートといった矛盾は起こらなくなる。

しかし,複数のトランザクションが互いに相手のロック解除を待ち合う状態は防げない。したがってデッドロックは発生し得る。

2相ロッキング トランザクションは,ロックを掛けていく段階(成長相)と,外していく段階(縮退相)に分け,一度外したら新しいロックは掛けない。これで直列化可能性が保たれ,ダーティリードや変更消失は起きない。ただし,2つのトランザクションが互いのロックの解除を待つデッドロックは防げない。 時間 持っているロックの数 成長相(掛けるだけ) 縮退相(外すだけ) 防げる:ダーティリード・変更消失など 防げない:デッドロック
ロックは「掛けるだけ」→「外すだけ」。デッドロックは起こりうる

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

用語解説:排他制御とデッドロック(ACID 特性)

問24

図のネットワーク構成のシステムにおいて,同じメッセージ長のデータをホストコンピュータとの間で送受信した場合のターンアラウンドタイムは,端末 A では100ミリ秒,端末 B では820ミリ秒であった。上り,下りのメッセージ長は同じ長さで,ホストコンピュータでの処理時間は端末 A,端末 B のどちらから利用しても同じとするとき,端末 A からホストコンピュータへの片道の伝送時間は何ミリ秒か。ここで,ターンアラウンドタイムは,端末がデータを回線に送信し始めてから応答データを受信し終わるまでの時間とし,伝送時間は回線速度だけに依存するものとする。

ネットワーク構成図。ホストコンピュータと端末Aは回線速度1Gビット/秒,ホストコンピュータと端末Bは100Mビット/秒で接続されている。

正解 エ

解説

端末 A の片道の伝送時間を t ミリ秒,ホストの処理時間を P ミリ秒とする。上りと下りでメッセージ長は同じなので,ターンアラウンドタイムは 2t+P で表せる。

端末 B の回線は 100Mビット/秒で,端末 A の 1Gビット/秒の10分の1の速度だから,同じメッセージ長なら伝送時間は10倍の 10t になる。

2t+P=100,20t+P=820 の2式を引き算すると 18t=720,t=40ミリ秒。

2つの端末のターンアラウンドタイムから伝送時間を求める 端末 A の片道の伝送時間を t,ホストの処理時間を P とすると,A は 2t+P=100。端末 B の回線は A の 1/10 の速さなので片道 10t で,20t+P=820。引き算すると 18t=720 で t=40 ミリ秒。 A t P t = 100 B 10t P 10t = 820 A:2t + P = 100,B:20t + P = 820 18t = 720 → t = 40 ミリ秒
2つの式を引き算して P を消す(帯の長さは目安)

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

ユーザーから請け負うソフトウェア開発を下請事業者に委託し,下請代金支払遅延等防止法の適用を受ける場合に禁止されている行為はどれか。

正解 ア

解説

下請代金支払遅延等防止法は,親事業者に対し,発注に当たって下請代金の額を含む必要事項を記載した書面(3条書面)を直ちに交付することを義務付けている。委託する業務内容が決まっているのに,自社とユーザーとの契約が決まるまで下請代金を定めないという進め方は,代金を定められない正当な理由があるとはいえず,この義務に反する。アが禁止されている行為である。

イは実費負担の旨を記載すればよく問題ない。ウは下請事業者の承諾があれば電磁的方法での交付が認められている。エは業務内容そのものが未定という正当な理由があるので,その部分を後から定める(補充書面を交付する)ことが認められている。

出典:令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)

用語解説:契約の形態(請負・準委任・労働者派遣)