平成22年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
午前Ⅰ(2026年度からの科目A-1)の全30問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:科目A-1(午前Ⅰ・高度試験 共通)について
問1
多数のクライアントが,LAN に接続された1台のプリンタを共同利用するときの印刷要求から印刷完了までの所要時間を,待ち行列理論を適用して見積もる場合について考える。プリンタの運用方法や利用状況に関する記述のうち,M/M/1 の待ち行列モデルの条件に反しないものはどれか。
ア 一部のクライアントは,プリンタの空き具合を見ながら印刷要求をする。
イ 印刷の緊急性や印刷量の多少にかかわらず,先着順に印刷する。 正解
ウ 印刷待ち文書の総量がプリンタのバッファサイズを超えるときは,一時的に受付を中断する。
エ 一つの印刷要求から印刷完了までの所要時間は,印刷の準備に要する一定時間と,印刷量に比例する時間の合計である。
正解 イ
解説
M/M/1 の待ち行列モデルは,要求の到着がランダム(ポアソン分布)で,サービス時間が指数分布に従い,窓口が1つで,待ち行列の長さに制限がなく,先着順にサービスするという条件を前提とする。印刷の緊急性や印刷量にかかわらず先着順に印刷するイは,この条件に反しない。
アのプリンタの空き具合を見ながら印刷要求をすると,到着がランダムでなくなる。ウの受付を中断すると,待ち行列の長さに制限があることになる。エの所要時間が一定時間と印刷量に比例する時間の合計になるのは,サービス時間が指数分布に従うという条件に合わない。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
流れ図は,シフト演算と加算の繰返しによって2進整数の乗算を行う手順を表したものである。この流れ図中の a,b の組合せとして,適切なものはどれか。ここで,乗数と被乗数は符号なしの16ビットで表される。X,Y,Z は32ビットのレジスタであり,けた送りには論理シフトを用いる。最下位ビットを第0ビットと記す。
ア a:Y の第0ビット,b:X を1ビット左シフト,Y を1ビット右シフト 正解
イ a:Y の第0ビット,b:X を1ビット右シフト,Y を1ビット左シフト
ウ a:Y の第15ビット,b:X を1ビット左シフト,Y を1ビット右シフト
エ a:Y の第15ビット,b:X を1ビット右シフト,Y を1ビット左シフト
正解 ア
解説
筆算の掛け算と同じく,乗数 Y を下位のけたから1ビットずつ調べ,そのビットが1なら,そのけたの重みに合わせてずらした被乗数 X を Z に加える。毎回 Y の最下位ビットである第0ビットを調べるので,a は Y の第0ビットである。
1回ごとに,次のけたのために X を1ビット左シフトして重みを2倍にし,Y を1ビット右シフトして次のビットを第0ビットに移す。したがって b は“X を1ビット左シフト,Y を1ビット右シフト”で,アが正しい。Y の第15ビットを調べる場合は上位のけたから処理することになり,X の重みの付け方と合わない。
シフトと加算で掛け算をする
筆算と同じく,乗数 Y を下の桁から1ビットずつ調べ,1 なら被乗数 X を Z に足す。毎回見るのは Y の第0ビット。1回ごとに X を1ビット左へずらして重みを2倍にし,Y を1ビット右へずらして次のビットを第0ビットに持ってくる。
例:X=1011(11)× Y=0101(5)
回
Y(右へ)
第0ビット
X(左へ)
Z
1
0101
1 → 足す
1011
1011
2
0010
0
10110
1011
3
0001
1 → 足す
101100
110111
4
0000
0
1011000
110111
Z = 110111 = 55(11 × 5)
a:Y の第0ビット b:X を左シフト,Y を右シフト
Y の第0ビットを見て,X は左へ,Y は右へずらす
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
整形式(well-formed)の XML 文書が妥当(valid)な XML 文書である条件はどれか。
ア DTD に適合している。 正解
イ XML 宣言が完全に記述されている。
ウ XML データを記述するための文法に従っている。
エ エンティティ参照ができる。
正解 ア
解説
整形式(well-formed)の XML 文書は,開始タグと終了タグの対応など XML の文法に従っている文書である。妥当(valid)な XML 文書は,整形式であることに加えて,DTD などで定義された文書の構造(要素の並びや属性など)に適合している文書である。アが正しい。
イの XML 宣言は省略することもでき,妥当性の条件ではない。ウの XML の文法に従っていることは整形式の条件である。エのエンティティ参照ができることは,妥当な XML 文書であるための条件ではない。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
ECC メモリで,2ビットの誤りを検出し,1ビットの誤りを訂正するために用いるものはどれか。
ア 偶数パリティ
イ 垂直パリティ
ウ チェックサム
エ ハミング符号 正解
正解 エ
解説
ECC メモリで用いられるハミング符号は,データビットに複数の検査ビットを付加し,検査ビットの組合せから誤りのあるビットの位置を特定できる符号である。1 ビットの誤りを訂正でき,2 ビットの誤りを検出できるので,エが該当する。
アの偶数パリティとイの垂直パリティは,1 ビットの誤りを検出できるが,誤りの位置は分からないので訂正できない。ウのチェックサムは,データの合計値を比べて誤りの有無を検出する方法で,誤りを訂正することはできない。
パリティとハミング符号でできること
パリティ(偶数・奇数・垂直・水平)は1ビットの誤りがあることは分かるが,どのビットかは分からないので直せない。ハミング符号は複数の検査ビットの組合せで誤りの位置まで分かるので,1ビットの誤りを訂正できる。ECC メモリで使う方式(SECDED)は,さらに2ビットの誤りがあることも検出できる。
方式
1ビット誤りの検出
1ビット誤りの訂正
2ビット誤りの検出
パリティ
○
×
×
ハミング符号(ECC)
○
○
○
検査ビットの組合せで,誤ったビットの位置を指せる
パリティ・チェックサムは誤りの有無が分かるだけ
ハミング符号は誤りの位置まで分かる → 1ビット訂正,2ビット検出
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
あるシステムでは,平均すると 100 時間に2回の故障が発生し,その都度復旧に2時間を要していた。機器を交換することによって,故障の発生が 100 時間で1回になり,復旧に要する時間も1時間に短縮した。機器を交換することによって,このシステムの稼働率は幾ら向上したか。
ア 0.01
イ 0.02
ウ 0.03 正解
エ 0.04
正解 ウ
解説
交換前は,100時間に2回故障し,1回の復旧に2時間かかるので,100時間のうち4時間停止し,稼働率は (100−4)÷100=0.96 である。
交換後は,100時間に1回故障し,復旧に1時間かかるので,停止は1時間で,稼働率は (100−1)÷100=0.99 である。0.99−0.96=0.03 向上したので,ウが正しい。
100時間あたりの停止時間で稼働率を比べる
交換前は100時間に2回故障し,1回2時間で復旧するので停止は4時間,稼働率 0.96。交換後は100時間に1回,1時間で停止は1時間,稼働率 0.99。0.03 向上した。
交換前
停止4時間 → 0.96
交換後
停止1時間 → 0.99
0
100時間
0.99 − 0.96 = 0.03
100時間のうち止まっている時間を数えれば,稼働率がすぐ出る
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
用語解説:稼働率(MTBF・MTTR)
問6
三つの媒体 A〜C に次の条件でファイル領域を割り当てた場合,割り当てた領域の総量が大きい順に媒体を並べたものはどれか。
〔条件〕
(1) ファイル領域を割り当てる際の媒体選択アルゴリズムとして,空き領域が最大の媒体を選択する方式を採用する。 (2) 割当て要求されるファイル領域の大きさは,順に 90,30,40,40,70,30(M バイト)であり,割り当てられたファイル領域は,途中で解放されない。 (3) 各媒体は容量が同一であり,割当て要求に対して十分な大きさをもち,初めはすべて空きの状態である。 (4) 空き領域の大きさが等しい場合には,A,B,C の順に選択する。
ア A,B,C
イ A,C,B
ウ B,A,C
エ C,B,A 正解
正解 エ
解説
空き領域が最大の媒体,つまり割り当てた総量が最小の媒体を選ぶ。等しければ A,B,C の順に選ぶ。90 は全て空きなので A(A 90)。30 は B と C が等しいので B(B 30)。40 は C が最小なので C(C 40)。次の 40 は B(30)が最小なので B(B 70)。70 は C(40)が最小なので C(C 110)。最後の 30 は B(70)が最小なので B(B 100)。
割り当てた総量は A 90,B 100,C 110 となり,大きい順に C,B,A で,エが正しい。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
プログラミングツールの機能の説明のうち,適切なものはどれか。
ア インスペクタは,プログラム実行時にデータの内容を表示する。 正解
イ シミュレータは,プログラム内又はプログラム間の実行経路を表示する。
ウ トレーサは,プログラム単位の機能説明やデータ定義の探索を容易にする。
エ ブラウザは,文字の挿入,削除,置換などの機能によってプログラムのソースコードを編集する。
正解 ア
解説
インスペクタは,デバッグの際に,プログラムの実行を止めた時点での変数やデータ構造の内容を表示するツールである。アが適切である。
イのプログラムの実行経路を表示するのはトレーサ。ウのプログラム単位の機能説明やデータ定義の探索を容易にするのはブラウザ。エの文字の挿入,削除,置換などでソースコードを編集するのはエディタである。シミュレータは,実機がなくても対象のハードウェアなどの動作を模擬してプログラムを実行するツールである。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
SRAM と比較した場合の DRAM の特徴はどれか。
ア SRAM よりも高速なアクセスが実現できる。
イ データを保持するためのリフレッシュ動作が不要である。
ウ 内部構成が複雑になるので,ビット当たりの単価が高くなる。
エ ビット当たりの面積を小さくできるので,高集積化に適している。 正解
正解 エ
解説
DRAM は,1ビットを1個のトランジスタとコンデンサで記憶する。SRAM はフリップフロップ回路で1ビットを記憶し,多くのトランジスタを使う。DRAM は構造が単純でビット当たりの面積を小さくできるので,高集積化に適し,主記憶に使われる。エが正しい。
アの高速なアクセスは SRAM の特徴で,キャッシュメモリに使われる。イは誤りで,DRAM はコンデンサの電荷が漏れるので,定期的にリフレッシュ動作が必要である。ウは誤りで,DRAM は内部構成が単純なので,ビット当たりの単価は SRAM より安い。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
用語解説:キャッシュメモリ
問9
一般的に専門家が,様々なユーザインタフェース設計によく当てはまる経験則を基にして,インタフェースを評価する方法はどれか。
ア 回顧法
イ 思考発話法
ウ 認知的ウォークスルー法
エ ヒューリスティック評価法 正解
正解 エ
解説
ヒューリスティック評価法は,ユーザインタフェースの専門家が,経験則(ヒューリスティックス)に照らしてインタフェースを評価し,使いやすさの問題点を見つける手法である。エが正しい。
アの回顧法は,利用者に操作をしてもらった後に,操作中に考えたことを振り返って話してもらう手法。イの思考発話法は,利用者に考えていることを声に出しながら操作してもらう手法。ウの認知的ウォークスルー法は,評価者が利用者の立場で操作の手順を一つずつたどり,利用者が迷わずに操作できるかを検討する手法である。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
音声などのアナログデータをディジタル化するために用いられる PCM で,音の信号を一定の周期でアナログ値のまま切り出す処理はどれか。
正解 イ
解説
PCM(パルス符号変調)は,標本化,量子化,符号化の順にアナログ信号をディジタル化する。音の信号を一定の周期で切り出し,その時点の値をアナログ値のまま取り出す処理が標本化(サンプリング)で,イが正しい。
エの量子化は,標本化で切り出した値を,決められた段階の離散的な値に近似する処理。ウの符号化は,量子化した値を2進数のビット列に変換する処理である。アの暗号化は,PCM の処理には含まれない。
PCM:標本化・量子化・符号化
アナログの音の波形を,一定の周期で切り出してその時点の値を取り出す(標本化)。取り出した値を決められた段階の値に近づける(量子化)。段階の値を2進数のビット列にする(符号化)。この順でディジタル化する。
0
1
2
3
4
5
6
7
110
111
110
011
001
000
010
100
110
111
標本化:○ を一定の間隔で取り出す
量子化:● 段階の値にそろえる 符号化:下の2進数
一定の周期で切り出すのが標本化。値を段階にそろえるのが量子化
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
顧客は一般に複数の銀行に預金するものとして,顧客と銀行の関連を,E-R 図で次のように表現する。このモデルを関係データベース上に“銀行”表,“口座”表,“顧客”表として実装する場合の記述として,適切なものはどれか。
ア “銀行”表から“口座”表へのカーディナリティは多対1である。
イ “銀行”表中に参照制約を課した外部キーがある。
ウ “口座”表から“顧客”表へのカーディナリティは1対多である。
エ “口座”表には二つ以上の外部キーがある。 正解
正解 エ
解説
銀行と顧客は多対多の関連で,関連“口座”によって結ばれている。関係データベースで多対多の関連を実装するには,関連を表す“口座”表を作り,“銀行”表の主キーを参照する外部キーと,“顧客”表の主キーを参照する外部キーの両方をもたせる。したがって,“口座”表には二つ以上の外部キーがあり,エが適切である。
アは誤りで,一つの銀行には複数の口座があるので,“銀行”表から“口座”表へは1対多である。イは誤りで,外部キーは“口座”表がもち,“銀行”表にはない。ウは誤りで,一人の顧客が複数の口座をもつので,“口座”表から“顧客”表へは多対1である。
多対多の関連を表にする
顧客は複数の銀行に,銀行には複数の顧客が預金するので,銀行と顧客は多対多。関係データベースでは関連“口座”を表にし,銀行の主キーを参照する外部キーと,顧客の主キーを参照する外部キーの2つを“口座”表にもたせる。銀行から口座へは1対多,口座から顧客へは多対1になる。
銀行
口座
顧客
m
n
銀行
銀行コード
口座
銀行コード(外部キー)
顧客番号(外部キー)
顧客
顧客番号
1
多
多
1
“口座”表には外部キーが2つある
多対多は間に関連の表を作り,そこに両方への外部キーを置く
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
用語解説:データベースの設計(正規化・E-R 図・参照制約)
問12
DBMS のロールフォワードを説明したものはどれか。
ア 更新前ログ情報によって,直近の整合性のとれた状態に回復する。
イ 障害のもととなったプログラムを修正し,再実行によって回復する。
ウ チェックポイント情報と更新後ログ情報を使って回復する。 正解
エ データベースのレコードの内容を,SQL を使って直接修正する。
正解 ウ
解説
ロールフォワードは,媒体障害などでデータベースが失われたときに,バックアップやチェックポイントの時点の状態から,更新後ログ(更新後の値)を使ってコミット済みのトランザクションの更新をやり直し,障害直前の状態に回復する方法である。ウが正しい。
アの更新前ログによって整合性のとれた状態に戻すのは,ロールバックの説明である。イのプログラムを修正して再実行することや,エの SQL でレコードを直接修正することは,DBMS の回復機能ではない。
媒体障害からの回復
媒体障害ではディスクの内容そのものが失われる。まずバックアップからデータベースを復元し,バックアップを取った後にコミットしたトランザクションを,ログの更新後情報で順に反映して(ロールフォワードして)障害の直前まで戻す。
バックアップ
T1 コミット
T2 コミット
T3 コミット
媒体障害
② 更新後ログで T1〜T3 をロールフォワード
① 復元
バックアップで「その時点」に戻し,更新後ログで「障害の直前」まで進める
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
用語解説:障害回復(ロールバック・ロールフォワード)
問13
社内ネットワークからインターネット接続を行うときに,インターネットへのアクセスを中継し,Web コンテンツをキャッシュすることによってアクセスを高速にする仕組みで,セキュリティ確保にも利用されるものはどれか。
ア DMZ
イ IP マスカレード(NAPT)
ウ ファイアウォール
エ プロキシ 正解
正解 エ
解説
プロキシ(プロキシサーバ)は,社内のクライアントに代わってインターネットへのアクセスを中継するサーバで,取得した Web コンテンツをキャッシュしておき,同じ要求にはキャッシュから応答してアクセスを高速にする。社内のクライアントが直接インターネットに接続しないので,アクセス制御やログの記録などセキュリティ確保にも利用される。エが正しい。
アの DMZ は,インターネットと社内ネットワークの間に設けて公開サーバを置くネットワーク領域。イの IP マスカレード(NAPT)は,プライベート IP アドレスとポート番号をグローバル IP アドレスとポート番号に変換する仕組み。ウのファイアウォールは,通信を許可するかどうかを判断して不正なアクセスを遮断する仕組みで,いずれもコンテンツをキャッシュするものではない。
フォワードプロキシとリバースプロキシ
フォワードプロキシは,組織内のクライアントの代わりにインターネット上のサーバへアクセスする(クライアント側の代理)。リバースプロキシは,インターネットから来た要求をサーバの手前で受け,内部の Web サーバに振り分ける(サーバ側の代理)。負荷分散や TLS の終端,キャッシュに使う。
フォワードプロキシ
社内 PC
プロキシ
外の Web
クライアント側の代理
リバースプロキシ
外の利用者
リバースプロキシ
社内 Web
サーバ側の代理(振り分け・TLS 終端)
どちら側の代理か。フォワードはクライアント側,リバースはサーバ側
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
用語解説:ファイアウォールと DMZ
問14
ネットワーク障害の原因を調べるために,ミラーポートを用意して,LAN アナライザを使用するときに留意することはどれか。
ア LAN アナライザがパケットを破棄してしまうので,測定中は測定対象外のコンピュータの利用を制限しておく必要がある。
イ LAN アナライザはネットワークを通過するパケットを表示できるので,盗聴などに悪用されないように注意する必要がある。 正解
ウ 障害発生に備えて,ネットワーク利用者に LAN アナライザの保管場所と使用方法を周知しておく必要がある。
エ 測定に当たって,LAN ケーブルを一時的に切断する必要があるので,利用者に対して測定日を事前に知らせておく必要がある。
正解 イ
解説
ミラーポートは,スイッチの特定のポートを通過するパケットを複製して出力するポートで,ここに LAN アナライザを接続すると,ネットワークを流れるパケットの内容を取り込んで表示できる。通信内容を見ることができるので,盗聴などに悪用されないよう,使用する者や保管を管理する必要がある。イが適切である。
アの LAN アナライザはパケットを複製して受け取るだけで,通信中のパケットを破棄しない。ウの保管場所と使用方法を利用者に広く周知すると,悪用の危険が高まる。エのミラーポートを使えば,LAN ケーブルを切断せずに測定できる。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
SQL インジェクションの説明はどれか。
ア Web アプリケーションに悪意のある入力データを与えてデータベースの問合せや操作を行う命令文を組み立てて,データを改ざんしたり不正に情報取得したりする攻撃 正解
イ 悪意のあるスクリプトが埋め込まれた Web ページを訪問者に閲覧させて,別の Web サイトで,その訪問者が意図しない操作を行わせる攻撃
ウ 市販されているデータベース管理システムの脆弱性を利用して,宿主となるデータベースサーバを探して自己伝染を繰り返し,インターネットのトラフィックを急増させる攻撃
エ 訪問者の入力データをそのまま画面に表示する Web サイトに対して,悪意のあるスクリプトを埋め込んだ入力データを送り,訪問者のブラウザで実行させる攻撃
正解 ア
解説
SQL インジェクションは,Web アプリケーションの入力欄などに悪意のある文字列を入力し,データベースへの問合せや操作を行う SQL 文を不正に組み立てさせて,データの改ざんや不正な情報取得を行う攻撃である。アが正しい。
イは,訪問者に意図しない操作を別の Web サイトで行わせるクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)。ウは,データベース管理システムの脆弱性を突いて自己伝染を繰り返すワームの説明。エは,入力データをそのまま表示する Web サイトを悪用して訪問者のブラウザでスクリプトを実行させるクロスサイトスクリプティング(XSS)の説明である。
SQL インジェクションとプレースホルダ
入力を文字列としてつなげて SQL 文を作ると,入力の「' OR '1'='1」が文の一部になり,条件が常に真になって全員の行が返る。プレースホルダを使うと SQL 文の形が先に決まり,入力はまるごと1つの値として当てはめられるので,命令として解釈されない。
文字列をつなげて SQL 文を作ると
入力:' OR '1'='1
SELECT * FROM 会員 WHERE id = '' OR '1'='1 '
入力の引用符で文が閉じ,OR 以下が条件に加わる → 常に真で全員分が返る
プレースホルダを使うと
SELECT * FROM 会員 WHERE id = ?
形が先に決まる
' OR '1'='1
← 1つの値として入る
入力
「id が ' OR '1'='1 の会員」を探すだけになる
根本の対策は,SQL 文の形を先に確定させるプレースホルダ
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
用語解説:インジェクション攻撃(SQL・OS コマンド)
問16
UML 2.0 において,オブジェクト間の相互作用を時間の経過に注目して記述するものはどれか。
ア アクティビティ図
イ コミュニケーション図
ウ シーケンス図 正解
エ ユースケース図
正解 ウ
解説
シーケンス図は,オブジェクト間でやり取りされるメッセージを,縦方向の時間軸に沿って順に並べ,相互作用を時間の経過に注目して記述する図である。ウが正しい。
イのコミュニケーション図も相互作用を表すが,オブジェクト間のつながり(リンク)に注目して記述する。アのアクティビティ図は,処理の流れや分岐を表す図。エのユースケース図は,システムが提供する機能と利用者(アクタ)の関係を表す図である。
UML のおもな図の使い分け
シーケンス図はオブジェクト間のメッセージを時間の順に,コミュニケーション図はオブジェクトのつながりに注目して相互作用を表す。ユースケース図はアクタとシステムの機能の関係(システムの範囲),アクティビティ図は処理の流れ(分岐・並行・同期),状態マシン図は1つのオブジェクトの状態の移り変わり,クラス図は静的な構造,オブジェクト図はある時点のインスタンスのつながりを表す。
図
表すもの
シーケンス図
メッセージを時間の順に
コミュニケーション図
オブジェクトのつながりと相互作用
ユースケース図
アクタと機能,システムの範囲
アクティビティ図
処理の流れ(分岐・並行・同期)
状態マシン図
1つのオブジェクトの状態の遷移
クラス図
クラスと関連(静的な構造)
オブジェクト図
ある時点のインスタンスとリンク
時間の順はシーケンス図,範囲はユースケース図,業務の流れはアクティビティ図
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
用語解説:UML(統一モデリング言語)
問17
ソフトウェアプロセスの標準化と最適化を推進し,製品やサービスの開発,調達及び保守活動において,組織のもつプロセスを改善するためのガイドラインを提供するものはどれか。
ア CMMI 正解
イ COBIT
ウ ITIL
エ ITSS
正解 ア
解説
CMMI(能力成熟度モデル統合)は,ソフトウェアやシステムの開発,調達,保守などの活動において,組織のプロセスの成熟度を段階的に評価し,プロセスを標準化・最適化して改善するためのガイドラインを提供するモデルである。アが正しい。
イの COBIT は IT ガバナンスのためのフレームワーク。ウの ITIL は IT サービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたもの。エの ITSS(ITスキル標準)は,IT サービスの提供に必要な人材のスキルを体系化した指標である。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)
問18
多くのプロジェクトライフサイクルに共通する特性はどれか。
ア プロジェクト完成時のコストに対してステークホルダが及ぼす影響の度合いは,プロジェクトの終盤が最も高い。
イ プロジェクトの開始時は不確実性の度合いが最も高いので,プロジェクト目標が達成できないリスクが最も大きい。 正解
ウ プロジェクト要員の必要人数は,プロジェクトの開始時点が最も多い。
エ 変更やエラー訂正にかかるコストは,プロジェクトの初期段階が最も高い。
正解 イ
解説
PMBOK ガイドは,多くのプロジェクトのライフサイクルに共通する特性として,リスクと不確実性はプロジェクトの開始時が最も高く,進むにつれて下がっていくことを挙げている。イが正しい。
アは誤りで,ステークホルダがコストや成果物に及ぼす影響の度合いは,プロジェクトの開始時が最も高く,進むにつれて低くなる。ウは誤りで,要員の必要人数は開始時には少なく,実行の中盤に最も多くなり,終盤に減っていく。エは誤りで,変更やエラー訂正にかかるコストは,プロジェクトが進むほど高くなる。
プロジェクトの時間と,リスク・変更のコスト
プロジェクトの初めほど,不確実性やリスク,ステークホルダが結果に与える影響は大きく,時間がたつにつれて小さくなる。一方,変更や誤りの修正にかかるコストは,プロジェクトが進むほど大きくなる。
リスク・不確実性・影響力
変更のコスト
時間
影響力・リスクは時間とともに下がり,変更のコストは上がる
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
図のプロジェクトを最短の日数で完了したいとき,作業 E の最遅開始日は何日目か。
正解 ウ
解説
最早開始日を求める。A は0日目から3日,B と C は3日目から始まり,B は9日目,C は8日目に終わる。D は B の後の9日目から3日で12日目に終わる。F は C と D の両方が終わった12日目から5日で17日目に終わる。E は B の後の9日目から4日で13日目に終わる。G は E と F の両方が終わった17日目から3日で,全体は20日で完了する。
最短の20日で完了するには,G を17日目までに始める必要がある。E はその前に4日かかるので,最も遅くても 17−4=13日目に開始すればよい。ウが正しい。E の最早開始日の9(ア)を答えると誤る。
作業 E の最遅開始日
最早は A の後 3,B の後 9,C と D が入る結合点 12,E と F が入る結合点 17,全体 20 日。後ろから最遅を求めると,E の終点(G の手前)は 17 日。E は 4 日かかるので,最も遅くても 17−4=13 日目に始めればよい。最早開始は 9 日目なので余裕は 4 日。
A 3
B 6
C 5
E 4
D 3
F 5
G 3
0 / 0
3 / 3
9 / 9
12 / 12
17 / 17
20 / 20
E の最遅開始 = 17 − 4 = 13 日目
最遅開始=終点の最遅−所要日数。最早開始(9)と取り違えない
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
ITIL v3 における問題管理プロセスの目標はどれか。
ア インシデントに対する既存 IT サービスへの変更や新規サービスの導入を効率的かつ安全に実施する。
イ インシデントによって中断した IT サービスを合意した時間内に復旧する。
ウ インシデントの根本原因を突き止めて排除したり,インシデントの発生を予防したりする。 正解
エ 利用者に単一窓口を提供し,事業への影響を最小限にし,通常サービスへ復帰できるように支援する。
正解 ウ
解説
ITIL v3 の問題管理プロセスは,インシデントの根本原因を突き止めて排除し,インシデントの再発を防止するとともに,まだ起きていないインシデントの発生を予防することを目標とする。ウが正しい。
アの既存サービスへの変更や新規サービスの導入を効率的かつ安全に実施するのは変更管理やリリース管理。イの中断した IT サービスを合意した時間内に復旧するのはインシデント管理。エの利用者に単一窓口を提供して通常サービスへの復帰を支援するのはサービスデスクの目標である。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
用語解説:インシデント管理と問題管理 ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)
問21
データの追加・変更・削除が,少ないながらも一定の頻度で行われるデータベースがある。このデータベースのフルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの2倍にした。このとき,データベースのバックアップ又は復旧に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア ジャーナル情報からの復旧処理時間が平均して約2倍になる。 正解
イ フルバックアップ1回当たりの磁気テープ使用量が約2倍になる。
ウ フルバックアップ1回当たりの磁気テープ使用量が約半分になる。
エ フルバックアップ取得の平均実行時間が約2倍になる。
正解 ア
解説
フルバックアップの間隔を 2 倍にすると,1 回のフルバックアップから次までに蓄積されるジャーナル(更新ログ)の量が約 2 倍になる。復旧時はバックアップを復元してからジャーナルを反映(ロールフォワード)するので,その反映に掛かる平均処理時間が約 2 倍になる。
イ,ウのフルバックアップ1回当たりの磁気テープ使用量と,エのフルバックアップ取得の実行時間は,データベース全体の大きさで決まる。更新の件数は少ないのでデータベースの大きさはほとんど変わらず,これらは取得間隔を変えても変わらない。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
用語解説:障害回復(ロールバック・ロールフォワード)
問22
システム開発委託先(受託者)から委託元(委託者)に納品される成果物に対する受入テストの適切性を確かめるシステム監査の要点はどれか。
ア 委託者が作成した受入テスト計画書に従って,受託者が成果物に対して受入テストを実施していること
イ 受託者が成果物と一緒に受入テスト計画書を納品していること
ウ 受託者から納品された成果物に対して,委託者が受入テストを実施していること 正解
エ 受託者から納品された成果物に対して,監査人が受入テスト計画を策定していること
正解 ウ
解説
受入れテストは,委託者(委託元)が,受託者から納品された成果物が要求したとおりのものになっているかを確かめるために,委託者自身が実施するテストである。成果物に対して委託者が受入れテストを実施していることを確かめるウが,監査の要点として適切である。
アは受入れテストを受託者が実施しており,委託者による確認になっていない。イは受入れテスト計画書を受託者が作成して納品しており,委託者の立場からの計画になっていない。エのシステム監査人が受入れテスト計画を策定すると,監査対象の業務に自ら関与することになり,監査人の独立性を損なう。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)
問23
SaaS を説明したものはどれか。
ア インターネット経由でアプリケーションソフトウェアの機能を,必要なときだけ利用者に提供するサービスのこと 正解
イ 企業の経営資源を有効に活用するために,基幹業務を統合的に管理するためのパッケージソフトウェアのこと
ウ 既存の組織やビジネスプロセスを抜本的に見直し,職務,業務フロー,管理機構,情報システムを再設計すること
エ 発注者とサービス提供者との間で,サービスの品質の内容について合意した文書のこと
正解 ア
解説
SaaS(Software as a Service)は,アプリケーションソフトウェアの機能を,インターネット経由で必要なときに必要な分だけ利用者に提供するサービスである。利用者は自社でソフトウェアを導入・運用せずに利用できる。アが正しい。
イの基幹業務を統合的に管理するパッケージソフトウェアは ERP パッケージ。ウの組織やビジネスプロセスを抜本的に見直して再設計することは BPR。エの発注者とサービス提供者との間でサービスの品質について合意した文書は SLA の説明である。
IaaS・PaaS・SaaS の管理の分担
下からハードウェア・ネットワーク,仮想化,OS,ミドルウェア・実行環境,アプリケーションの層がある。IaaS では利用者が OS から上を,PaaS では自分のアプリケーションだけを管理する。SaaS では全て提供者が管理し,利用者が扱うのは利用者 ID や設定だけ。
IaaS
利用者
利用者
利用者
提供者
提供者
PaaS
利用者
提供者
提供者
提供者
提供者
SaaS
提供者
提供者
提供者
提供者
提供者
アプリケーション
ミドルウェア・実行環境
OS
仮想化
ハードウェア・NW
SaaS で利用者が扱うのは,アプリケーションの利用者 ID や設定だけ
FaaS(サーバレス)は PaaS をさらに進め,関数を置くだけ
上の層に行くほど利用者の自由と責任が大きい。ゲスト OS に手を入れられるのは IaaS だけ
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
用語解説:クラウドのサービスモデル(IaaS・PaaS・SaaS)
問24
情報戦略の投資対効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。
正解 エ
解説
ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割って求める指標で,投資効果を評価するのに使う。エが正しい。
アの EVA(経済的付加価値)は税引後営業利益から資本コストの額を差し引いた金額。イの IRR(内部収益率)は投資の正味現在価値が 0 になる割引率。ウの NPV(正味現在価値)は将来のキャッシュフローの現在価値の合計から投資額を差し引いた金額で,いずれも利益額を投資額で割る比率ではない。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
用語解説:投資評価(NPV・IRR・ROI)
問25
ベンダに対する提案依頼書(RFP)の提示に当たって留意すべきことはどれか。
ア 工程ごとの各種作業の完了時期は,ベンダに一任するよう提示する。
イ 情報提供依頼書(RFI)を提示したすべてのベンダに提示する。
ウ プログラム仕様書を提案依頼書に添付して,ベンダに提示する。
エ 要件定義を機能要件,非機能要件にまとめて,ベンダに提示する。 正解
正解 エ
解説
RFP(提案依頼書)では,ベンダが適切な提案を作成できるように,発注者側で要件定義の結果を機能要件と非機能要件に整理して提示する。エが適切である。
アの工程ごとの完了時期などのスケジュールの条件は,ベンダに一任するのではなく,発注者の要求として提示する。イの RFP は,RFI の回答などを基に選定したベンダに提示すればよく,RFI を提示した全てのベンダに提示する必要はない。ウのプログラム仕様書は,設計の後の工程で受注したベンダが作成するもので,提案依頼の段階で添付するものではない。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
企業の競争戦略におけるチャレンジャ戦略はどれか。
ア 上位企業の市場シェアを奪うことを目標に,製品,サービス,販売促進,流通チャネルなどのあらゆる面での差別化戦略をとる。 正解
イ 潜在的な需要がありながら,大手企業が参入してこないような専門特化した市場に,限られた経営資源を集中する。
ウ 目標とする企業の戦略を観察し,迅速に模倣することで,開発や広告のコストを抑制し,市場での存続を図る。
エ 利潤,名声の維持・向上と最適市場シェアの確保を目標として,市場内のすべての顧客をターゲットにした全方位戦略をとる。
正解 ア
解説
チャレンジャは,業界で2番手や3番手にあり,リーダの地位を狙う企業である。上位企業のシェアを奪うことを目標に,製品,サービス,販売促進,流通チャネルなどあらゆる面でリーダとの差別化を図る。アが該当する。
イの,大手が参入しない専門特化した市場に経営資源を集中するのはニッチャの戦略。ウの,上位企業の戦略を観察して迅速に模倣し,コストを抑えて存続を図るのはフォロワの戦略。エの,利潤や名声の維持と最適シェアの確保を目標に全ての顧客を狙う全方位戦略はリーダの戦略である。
競争地位別の戦略(コトラー)
経営資源の量と質で4つに分ける。リーダは市場全体を広げ,全方位でシェアを守る。チャレンジャはリーダのシェアを奪うため,あらゆる面で差別化する。フォロワは上位企業をすばやく模倣してコストを抑える。ニッチャは大手が狙わない特定の顧客・製品に資源を集中して専門化する。
リーダ
市場拡大・全方位
チャレンジャ
差別化でシェアを奪う
ニッチャ
特定の顧客・製品に集中
フォロワ
模倣してコストを抑える
質 高
質 低
量 大
量 小
経営資源の量(大・小)と質(高・低)
ニッチャは特定のセグメントに集中,フォロワは模倣
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
“技術の S カーブ”の説明として,適切なものはどれか。
ア 技術の期待感の推移を表すものであり,黎明期,流行期,反動期,回復期,安定期に分類される。
イ 技術の進歩の過程を表すものであり,当初は緩やかに進歩するが,やがて急激に進歩し,成熟期を迎えると進歩は停滞気味になる。 正解
ウ 工業製品において生産量と生産性の関係を表すものであり,生産量の累積数が増加するほど生産性は向上する傾向にある。
エ 工業製品の故障発生の傾向を表すものであり,初期故障期間では故障率は高くなるが,その後の偶発故障期間での故障率は低くなり,製品寿命に近づく摩耗故障期間では故障率は高くなる。
正解 イ
解説
技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,初めは研究開発に努力を注いでも性能の向上は緩やかだが,ある時点から急速に進歩し,成熟期に入ると限界に近づいて進歩が停滞する。進歩を時間に対して描くと S 字形になることからこう呼ばれる。イが適切である。
アは技術に対する期待の変化を表すハイプサイクル,ウは累積生産量が増えるほど単位当たりのコストが下がり生産性が向上する経験曲線(学習曲線),エは故障率の時間的変化を表すバスタブ曲線の説明である。
技術の S カーブ
技術の性能は,導入の初めは努力の割に伸びが小さく,ある時点から急に伸び,やがて限界に近づいて伸びが鈍る(S 字)。成熟した技術に努力を続けても伸びは小さいので,新しい技術の S カーブに乗り換える時期を見極める。
研究開発の努力(時間)
性能
導入期
成長期
成熟期
新しい技術
乗り換え
導入期は緩やか,成長期に急伸,成熟期に頭打ち。次の技術へ乗り換える
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
IC タグ(RFID)の特徴はどれか。
ア GPS を利用し,受信地の位置情報や属性情報を表示する。
イ 大量の情報を扱うので,情報の記憶には外部記憶装置を使用する。
ウ プラスチック製のカードに埋め込み,専用の読取り装置に挿入して利用する。
エ 汚れに強く,梱包の外からも記録された情報を読むことができる。 正解
正解 エ
解説
IC タグ(RFID)は,IC チップとアンテナを組み込んだタグで,電波などを使って非接触で情報を読み書きする。バーコードと比べて汚れに強く,梱包の外や離れた場所からでも記録された情報を読み取れる。エが正しい。
アの GPS を利用して位置情報を表示するのは GPS 受信機の機能である。イは誤りで,IC タグは IC チップ内のメモリに情報を記憶し,外部記憶装置は使わない。ウの専用の読取り装置に挿入して利用するのは,接触型の IC カードの説明である。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
期末の決算において,表の損益計算資料が得られた。当期の営業利益は何百万円か。
正解 イ
解説
営業利益は,売上高から売上原価を引いて売上総利益を求め,さらに販売費及び一般管理費を引いて求める。1,500−1,000−200=300 百万円で,イが正しい。
営業外収益と営業外費用は本業以外の損益で,営業利益には含めない。これらを加減した 300+40−30=310(ウ)は経常利益である。エの 500 は売上総利益で,アの 270 は営業外収益を加えずに営業外費用だけを引いた値である。
損益計算書の段階利益
売上高 1,500 から売上原価 1,000 を引いた 500 が売上総利益。そこから販売費及び一般管理費 200 を引いた 300 が営業利益(本業のもうけ)。営業外収益 40 を足して営業外費用 30 を引いた 310 が経常利益。さらに特別損益を加減して税引前当期純利益,税金を引いて当期純利益になる。
1,500
売上高
500
売上総利益
−原価 1,000
300
営業利益
−販管費 200
310
経常利益
+40 −30
営業利益までは本業だけ。営業外の損益は経常利益で入る
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
プログラムの著作物について,著作権法上適法である行為はどれか。
ア 海賊版を複製したプログラムと事前に知りながら入手し,業務で使用した。
イ 業務処理用に購入したプログラムを複製し,社内教育用として各部門に配布した。
ウ 職務著作のプログラムを,作成した担当者が独断で複製し協力会社に貸与した。
エ 処理速度の向上など,購入したプログラムを効果的に利用するために改変した。 正解
正解 エ
解説
著作権法第47条の3第1項は,プログラムの著作物の複製物の所有者が,自ら電子計算機で実行するために必要と認められる限度で,そのプログラムを複製したり翻案(改変)したりすることを認めている。購入したプログラムを処理速度の向上など効果的に利用するために改変することはこれに当たり,エが適法である。
アは,海賊版と知りながら入手したプログラムを業務上電子計算機で使用する行為で,著作権の侵害とみなされる(第113条第5項)。イは,社内教育用に複製して各部門に配布しており,自ら実行するために必要な限度を超えている。ウは,職務著作の著作権は法人などに帰属するので,作成した担当者が独断で複製して貸与することは侵害に当たる。
出典:平成22年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
用語解説:著作権と知的財産権(特許・営業秘密・ライセンス)
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