平成30年度 秋期 午前Ⅱ

平成30年度 秋期に実施されたITサービスマネージャ試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

ITIL 2011 edition において,良い目標値を設定するための条件として“SMART”がある。“S”は Specific(具体的),“M”は Measurable(測定可能),“R”は Relevant(適切),“T”は Time-bound(適時)の頭文字である。“A”は何の頭文字か。

正解 

解説

SMART は Specific(具体的),Measurable(測定可能),Achievable(達成可能),Relevant(適切),Time-bound(適時)の頭文字。“A”は Achievable で,努力すれば手が届く水準に目標を置くことを求める。

イの Ambitious(意欲的)は,高すぎて達成できない目標を許すことになるので SMART の考え方と合わない。ウの Analyzable とエの Auditable は SMART の要素ではない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

“IT サービスが必要とされるときに,合意した条件の下で要求された機能を果たせる状態にある能力”について,定義し,分析し,計画し,測定し,改善する活動を行う ITIL 2011 edition の管理プロセスはどれか。

正解 

解説

設問の“IT サービスが必要とされるときに,合意した条件の下で要求された機能を果たせる状態にある能力”は可用性の定義。これを定義し,分析し,計画し,測定し,改善するのが可用性管理。

アの IT サービス継続性管理は災害などの重大な中断に備えて復旧を計画するプロセス,イのインシデント管理は発生した中断を早く復旧させるプロセス,エの問題管理はインシデントの根本原因を取り除くプロセスであり,可用性そのものを管理するプロセスではない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

JIS Q 20000-1:2012(サービスマネジメントシステム要求事項)においては,サービスマネジメントシステム(SMS)の一般要求事項として経営者の責任が規定されている。SMS に対する経営者のコミットメントの証拠を提供する活動として,適切なものはどれか。

正解 

解説

JIS Q 20000-1:2012 は,SMS に対する経営者のコミットメントの証拠として,トップマネジメントが行う事項を列挙している。その筆頭が,サービスマネジメントの適用範囲,方針及び目的を確立し,組織に周知することである。何をどこまでやるのかを経営者自身が定めて示すことが,コミットメントの表れになる。

アの管理責任者の任命,イの権限及び責任の明確化,エの方針の適切性の確保は,いずれも経営者の責任として別に規定されている事項であり,設問が問うコミットメントの証拠として挙げられているものではない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

ITIL 2011 edition における“7 ステップの改善プロセス”の“測定するものを定義する”活動のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

“7 ステップの改善プロセス”の“測定するものを定義する”では,測定できるものを何でも測るのではなく,経済的に測れて定量的で,求める結果に結び付く重要な指標を少数に絞る。測定は目的ではなく改善の手段なので,絞り込みが要点になる。

アは誤りで,何を測るかは顧客や事業の視点を入れて決める。ウは順序が逆で,何を測るかを決めてから収集する。エも誤りで,測定項目を増やすほど収集と分析の負荷が上がり,かえって改善につながらない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

IT サービスマネジメントにおける,インシデント及びサービス要求管理プロセスと問題管理プロセスとのインタフェースに関する要件のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

問題管理は,既知の誤り(根本原因が判明し回避策が分かっている問題)と問題解決策の最新情報を,インシデント及びサービス要求管理に提供しなければならない。この情報があるので,同じ症状のインシデントが起きたときに回避策で早く復旧できる。

アは誤りで,インシデント解決の進捗を伝える相手は顧客や利用者である。イも誤りで,根本原因の調査は問題管理の役割で,インシデント管理は復旧を優先する。エも誤りで,問題を正すための変更要求は変更管理に伝える。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

IT サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理の説明はどれか。

正解 

解説

サービスレベル管理は,顧客と合意したサービス目標に照らして,あらかじめ定めた間隔でサービスの傾向とパフォーマンスを監視し,レビューして報告する活動。合意した目標が守られているかを継続的に見るのがこのプロセスの役割。

イはサービス継続管理,ウはインシデント管理,エは予算業務及び会計業務の活動である。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

JIS X 0164-1:2010(ソフトウェア資産管理─第 1 部:プロセス)は,ソフトウェア資産管理のための統合された一連のプロセスの基準を定めた規格である。この規格の適用範囲に関する説明のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

JIS X 0164-1:2010 は,ソフトウェア資産に加えて,適用範囲内のソフトウェアを使用する上で必要となる特性をもつハードウェア資産(ライセンスがそのハードウェアに結び付いている場合など)も適用範囲に含める。逆に,その特性をもたないハードウェア資産は含めない。

イは誤りで,ソースコードもソフトウェア資産として対象になる。ウも誤りで,自社開発ソフトウェアも対象。エも誤りで,無償で提供されているソフトウェアも,使用条件の管理が必要なので対象になる。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

IT サービスマネジメントにおける変更要求に対する活動のうち,リリース及び展開管理プロセスに含まれるものはどれか。

正解 

解説

リリース及び展開管理は,稼働環境へ展開する変更済みの構成品目(CI)をまとめてリリースパッケージとして構築し,計画に沿って展開するプロセス。設問の選択肢のうち,この“集合の構築”がリリース及び展開管理に当たる。

イの影響を受ける CI の識別,ウの変更要求(RFC)の記録,エの変更諮問委員会(CAB)の召集は,いずれも変更管理プロセスの活動である。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

ITIL 2011 edition によれば,“サービス資産管理および構成管理”のプロセスにおける,構成コントロールが適切に行われないことによって発生する事象として,最も適切なものはどれか。

正解 

解説

構成コントロールは,構成品目(CI)の追加・変更・撤去が正式な承認と記録を伴って行われることを確実にする活動。これが機能していないと構成管理データベースの内容が実態とずれ,ソフトウェアが何本導入されているかを把握できなくなるので,保有ライセンス数を超えた利用に気づけない。

アの無許可のリリース展開,イの修正中のプログラムを含むリリースの展開,ウの不具合のあるリリースの展開は,いずれも変更管理やリリース管理および展開管理で防ぐべき事象である。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

図は,IT サービスを提供するサプライチェーン関係の例である。JIS Q 20000-1:2012(サービスマネジメントシステム要求事項)の供給者管理プロセスにおける,サービス提供者の統括供給者に対する管理責任に関する記述のうち,適切なものはどれか。

顧客とサービス提供者が双方向の矢印で結ばれ,サービス提供者の下に供給者と統括供給者が並ぶ。統括供給者の下にさらに再請負契約先供給者がつながる階層図。

正解 

解説

供給者管理では,サービス提供者は統括供給者とだけ契約を結び,その先の再請負契約先供給者とは直接の契約関係をもたない。したがってサービス提供者が行うのは,再請負契約先が契約上の義務を果たすよう統括供給者が管理していることを検証することである。

イは要員名簿の提出まで求める点が過剰である。ウは再請負契約先を選定するのが統括供給者ではなくサービス提供者になっており,契約関係と合わない。エも誤りで,再請負契約先のパフォーマンスを直接検証するのではなく,統括供給者を通じて管理させる。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

IT サービスマネジメントの容量・能力管理において,将来のコンポーネント,並びにサービスの容量・能力及びパフォーマンスの予想は,採用する技法及び技術に応じて様々な方法で行われる。予想するに当たって,モデル化の第一段階として,現在達成されているパフォーマンスを正確に反映したモデルを作成することを何と呼ぶか。

正解 

解説

予想のためのモデル化は,まず現状を正しく写し取るところから始める。現在達成されているパフォーマンスを正確に反映したモデルを作ることをベースラインのモデル化といい,これができて初めて,条件を変えたときの結果を比べられる。

アの傾向分析は過去のデータから将来の変化の向きを読む手法,イのシミュレーションのモデル化は取引などを模擬して挙動を調べる手法,ウの分析モデル化は待ち行列理論などの数式でシステムを表す手法であり,いずれも第一段階として現状を写し取る作業ではない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

バックアップサイトの説明のうち,ウォームスタンバイの説明として,最も適切なものはどれか。

正解 

解説

ウォームスタンバイは,別の場所にバックアップシステムを用意しておくが常時は動かしておらず,緊急時に起動してデータを最新の状態にしてからサービスを再開する方式。準備の手間と復旧の速さの中間に位置する。

アは相互バックアップ(他組織との相互援助協定),イは機材を持ち込んでから立ち上げるコールドスタンバイ,ウは常時同期していて直ちに切り替えられるホットスタンバイである。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

データ管理者(DA)とデータベース管理者(DBA)を別々に任命した場合の DA の役割として,適切なものはどれか。

正解 

解説

DA(データ管理者)は,組織全体のデータを資源として捉え,データ項目の標準化や論理データベース設計といった“データそのもの”の管理を担う。

ア・ウ・エはいずれも DBA(データベース管理者)の役割で,容量の管理,性能チューニング,障害時の復旧など,DBMS の運用に関わる業務。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

データセンタなどで用いられている環境に配慮した空調システムであり,夏季は外気よりも低温になる地中の自然冷熱を熱交換に利用するものはどれか。

正解 

解説

クールピットは,建物の地下に設けたピット(空間)に外気を通し,夏季は外気より低温になる地中との温度差で外気を冷やしてから取り込む方式。地中熱を利用して空調の負荷を下げる。

アのアイルキャッピングはサーバラックの通路を覆って冷気と暖気が混ざらないようにする手法,ウのタスクアンビエント空調は作業域と周辺域で空調を分ける方式,エのフリークーリングは外気そのものが低いときに冷凍機を使わずに冷却する方式で,地中との温度差を使うものではない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

内部統制報告制度において,原材料購買業務に係る取引の正当性を確保するための業務処理統制はどれか。

正解 

解説

業務処理統制は,個々の業務処理が正確かつ正当に行われることを確保する統制。定められた金額以上の購入依頼に権限をもつ上司の承認を求めるのは,権限のない発注や架空取引を防ぐもので,取引の正当性を確保する統制に当たる。

アは購入条件を見直して原価を下げるための分析,イは購買リードタイムを縮める業務改善,エは納品遅延を防ぐための督促であり,いずれも業務の効率や有効性を高める仕組みであって,取引が正当であることを確かめる統制ではない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

プロジェクトの開始を公式に許可する文書の作成を依頼された者の行動として,適切なものはどれか。

正解 

解説

プロジェクトの開始を公式に許可する文書はプロジェクト憲章。プロジェクト憲章はプロジェクトマネージャの任命と権限の付与を含むので,プロジェクトマネージャではなく,資金と権限をもつプロジェクトスポンサ(または外部の権限者)が承認する。

アの契約書は組織間の取決めであってプロジェクトの開始を許可する文書ではない。ウのプロジェクト作業規定書とエのプロジェクトマネジメント計画書は,いずれも憲章の承認後に作る文書である。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

システム開発のプロジェクトにおいて,EVM を活用したパフォーマンス管理をしている。開発途中のある時点で EV−PV の値が負であるとき,どのような状況を示しているか。

正解 

解説

EV−PV はスケジュール差異(SV)。EV(出来高)が PV(計画価値)を下回っている,つまりその時点で完了しているはずの作業量に実績が届いていないので,進捗が計画より遅れている状態を示す。

アとエは SV が正のときの状態。イは将来の見通しの話で,SV が負でも以降で挽回できる可能性があるため,この時点で完了が遅れるとは断定できない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

プロジェクトマネジメントにおけるクラッシングの例として,適切なものはどれか。

正解 

解説

クラッシングは,コストの追加を受け入れてでもアクティビティの所要期間を短くする技法。クリティカルパス上のアクティビティに人的資源を追加するのがその典型である。

エは,本来は順に行う作業を重ねて進めるファストトラッキング。イはコスト削減策,ウは完了予定日を動かしただけで,どちらも期間短縮の技法ではない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

ネットワークインタフェースカード(NIC)のチーミングの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

チーミングは,複数の NIC を束ねて一つの IP アドレスをもつ論理的なインタフェースとして扱う技術。負荷分散と帯域の有効活用ができ,1 枚が故障しても通信を続けられるので耐障害性も上がる。

アはフロー制御,イはオートネゴシエーション,ウは仮想 NIC の説明である。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

信頼性設計においてフールプルーフを実現する仕組みの一つであるインタロックの例として,適切なものはどれか。

正解 

解説

インタロックは,危険な状態では機器が動かないようにして,人が誤った操作をしても事故に至らないようにする仕組み。動作中の機械の一定範囲に人が入ったことをセンサが感知して停止させるのがこれに当たる。

アはフェールオーバ(待機系への切替え),ウはフェールソフト(機能を縮小して運転を続ける)である。イはアクセス制御であり,誤操作による危険を防ぐインタロックとは目的が違う。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

“社員”表から,役割名がプログラマである社員が 3 人以上所属している部門の部門名を取得する SQL 文はどれか。ここで,実線の下線は主キーを表す。

社員(社員番号,部門名,社員名,役割名)。社員番号に実線の下線が引かれている。

正解 

解説

SQL の句は SELECT,FROM,WHERE,GROUP BY,HAVING の順に書く。まず WHERE で行を役割名がプログラマのものに絞り,GROUP BY 部門名 でグループ化し,HAVING COUNT(*) >= 3 でグループの件数によって絞る。この順序どおりのエが正しい。

アは HAVING の後ろに WHERE があり,句の順序が誤っている。イとウは WHERE に COUNT(*) を書いているが,集約関数はグループ化した後でないと評価できないので WHERE には書けない。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

スイッチングハブ同士を接続する際に,複数のポートを束ねて一つの論理ポートとして扱う技術はどれか。

正解 

解説

リンクアグリゲーションは,スイッチ間の複数の物理ポートを束ねて1つの論理ポートとして扱う技術。帯域を増やせるうえ,一部のリンクが切れても通信を継続できる。

アの MIME は電子メールで多様なデータを扱うための規格,イの MIMO は無線通信で複数のアンテナを使う技術,ウのマルチパートは MIME で複数の本文を含める形式。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

CSIRT の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

CSIRT(Computer Security Incident Response Team)は,企業や行政機関などに置かれ,コンピュータセキュリティインシデントの受付,分析,対応,再発防止といった活動を担う組織。

イは JIPDEC などのプライバシーマークの付与機関,ウは CRYPTREC(電子政府推奨暗号リストを作成する検討会),エは NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)の説明である。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

JIS Q 22301:2013 が要求事項を規定している対象はどれか。

正解 

解説

JIS Q 22301 は,事業継続マネジメントシステム(BCMS)の要求事項を規定した規格。

アの IT サービスマネジメントシステムは JIS Q 20000-1,イの個人情報保護マネジメントシステムは JIS Q 15001,エの情報セキュリティマネジメントシステムは JIS Q 27001 が対応する。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

フェアユースの説明はどれか。

正解 

解説

フェアユースは,批評,解説,報道,教育,研究などの公正な目的であれば,一定の範囲で著作物を利用しても著作権侵害に当たらないと評価する考え方。米国著作権法などが採用している包括的な権利制限の枠組みで,日本の著作権法は個別の権利制限規定を並べる方式をとっている。

アのような公的機関を一律に免除する考え方はない。イは著作権等管理事業の説明,ウは著作者人格権のうちの同一性保持権の説明である。

出典:平成30年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)