平成22年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
後置表記法(逆ポーランド表記法)では,例えば,式 Y=(A−B)×C を YAB−C×= と表現する。次の式を後置表記法で表現したものはどれか。
Y=(A+B)×(C−(D÷E))
ア YAB+C−DE÷×=
イ YAB+CDE÷−×= 正解
ウ YAB+EDC÷−×=
エ YBA+CD−E÷×=
正解 イ
解説
後置表記法では,演算の優先順位に従って,演算子を二つの被演算子の後ろに置く。括弧の内側から変換すると,D÷E は DE÷,C−(D÷E) は CDE÷−,A+B は AB+ となる。
これらを掛けた (A+B)×(C−(D÷E)) は AB+CDE÷−× となり,最後に Y と代入の=を例と同じように付けて YAB+CDE÷−×= となる。イが正しい。アは (A+B)−C に D÷E を掛ける式,ウは D と E の順序が逆で E÷D になっている。エは A と B が逆で,C−D を E で割る式になっている。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
a,b,c,d の4文字から成るメッセージを符号化してビット列にする方法として表のア〜エの4通りを考えた。この表は a,b,c,d の各1文字を符号化するときのビット列を表している。メッセージ中での a,b,c,d の出現頻度は,それぞれ 50%,30%,10%,10%であることが分かっている。符号化されたビット列から元のメッセージが一意に復号可能であって,ビット列の長さが最も短くなるものはどれか。
正解 ウ
解説
一意に復号できるかは,どの符号も他の符号の先頭部分になっていない(接頭符号である)かで確かめる。アは a=0 が c=00 の先頭,b=1 が d=11 の先頭になっており,“00”が c なのか aa なのか区別できない。イも a=0 が b=01 の先頭になっていて一意に復号できない。ウとエは接頭符号で,一意に復号できる。
1文字当たりの平均ビット数は,ウが 0.5×1+0.3×2+0.1×3+0.1×3=1.7 ビット,エは全て2ビットなので2ビットである。ウのほうが短く,ウが正しい。出現頻度の高い文字ほど短い符号を割り当てるハフマン符号の考え方である。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
探索表の構成法を例とともに a〜c に示す。探索の平均計算量が最も小さい探索手法の組合せはどれか。ここで,探索表のコードの空欄は表の空きを示す。
ア a:2分探索,b:線形探索,c:ハッシュ表探索 正解
イ a:2分探索,b:ハッシュ表探索,c:線形探索
ウ a:線形探索,b:2分探索,c:ハッシュ表探索
エ a:線形探索,b:ハッシュ表探索,c:2分探索
正解 ア
解説
a のようにコード順に並べた表は,中央の要素と比べて探索範囲を半分ずつ絞り込む2分探索が使える。b のように使用頻度順に並べた表は,コードの大小順になっていないので2分探索は使えないが,よく使うコードほど先頭にあるので,先頭から順に調べる線形探索で平均比較回数が少なくなる。
c のようにコードから一意に決まる場所に格納した表は,コードからハッシュ関数で格納位置を計算して直接参照するハッシュ表探索が最も速い。したがって,アが正しい。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
容量が a M バイトでアクセス時間が x ナノ秒のキャッシュメモリと,容量が b M バイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPU からみた,主記憶とキャッシュメモリとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで,読み込みたいデータがキャッシュメモリに存在しない確率を r とし,キャッシュメモリ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。
正解 イ
解説
読み込みたいデータがキャッシュメモリにある確率は 1−r で,このときのアクセス時間は x ナノ秒である。キャッシュメモリにない確率は r で,このときは主記憶を読むので y ナノ秒かかる。
平均アクセス時間はそれぞれの時間に確率を掛けて足した (1−r)・x+r・y となり,イが正しい。平均アクセス時間は,キャッシュメモリにあるかどうかの確率で決まり,容量 a,b の比は関係しないので,ア,ウは誤り。エは確率 r と 1−r を逆に対応させている。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
システムの信頼性向上技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 故障が発生したときに,あらかじめ指定された安全な状態にシステムを保つことをフェールソフトという。
イ 故障が発生したときに,あらかじめ指定されている縮小した範囲のサービスを提供することをフォールトマスキングという。
ウ 故障が発生したときに,その影響が誤りとなって外部に出ないように訂正することをフェールセーフという。
エ 故障が発生したときに対処するのではなく,品質管理などを通じてシステム構成要素の信頼性を高めることをフォールトアボイダンスという。 正解
正解 エ
解説
フォールトアボイダンス(故障回避)は,故障が起きてから対処するのではなく,品質管理や高信頼の部品の採用などによって,システムの構成要素そのものの信頼性を高め,故障の発生を防ぐ考え方である。エが適切である。
アの故障時に安全な状態にシステムを保つのはフェールセーフ。イの故障時に縮小した範囲のサービスを提供するのはフェールソフト。ウの故障の影響が誤りとなって外部に出ないように訂正するのはフォールトマスキングの説明で,いずれも用語と説明の組合せが入れ替わっている。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
ほとんどのプログラムの大きさがページサイズの半分以下のシステムにおいて,ページサイズを半分にしたときに予想されるものはどれか。ここで,このシステムは主記憶が不足しがちで,多重度やスループットなどはシステム性能の限界で運用しているものとする。
ア ページサイズが小さくなるので,領域管理などのオーバヘッドが減少する。
イ ページ内に余裕がなくなるので,ページ置換えによってシステム性能が低下する。
ウ ページ内の無駄な空き領域が減少するので,主記憶不足が緩和される。 正解
エ ページフォールトの回数が増加するので,システム性能が低下する。
正解 ウ
解説
ほとんどのプログラムの大きさがページサイズの半分以下なので,ページサイズを半分にしても,多くのプログラムは1ページに収まったままで,使用するページ数は増えない。一方,1ページに割り付けた主記憶のうち使われない部分(ページ内の無駄な空き領域)は半分になるので,主記憶不足が緩和される。ウが適切である。
イ,エのように,ページ数が増えてページ置換えやページフォールトが増えるのは,プログラムがページサイズより大きい場合である。アのページサイズを小さくすると,管理するページの数が増えるので,ページテーブルなどの領域管理のオーバヘッドは増える。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
デュアルライセンスのソフトウェアを利用する条件のうち,適切なものはどれか。
ア 複数のライセンスが設定されているので,利用者はすべてのライセンスに同意する。
イ 複数のライセンスが設定されているので,利用者はそのうちの一つのライセンスを選択して同意する。 正解
ウ 複数のライセンスが設定されているので,利用者はそのうちの二つのライセンスを選択して同意する。
エ 複数のライセンスを組み合わせた一つのライセンスが設定されているので,利用者はそのライセンスに同意する。
正解 イ
解説
デュアルライセンスは,同じソフトウェアに二つのライセンス(例えば,GPL などのオープンソースライセンスと,ソースコードの公開義務のない商用ライセンス)を設定して提供する方式である。利用者は,そのうちの一つを選択し,そのライセンスの条件に同意して利用する。イが適切である。
アのように全てのライセンスに同意する必要はなく,ウのように二つを選ぶものでもない。エの複数のライセンスを組み合わせた一つのライセンスが設定されているわけではない。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
図の論理回路と等価な回路はどれか。
正解 ウ
解説
1段目の NAND 素子の出力を P=¬(A・B) とする。2段目の上の素子の出力は ¬(A・P),下の素子の出力は ¬(B・P) で,最後の NAND 素子の出力は Y=¬(¬(A・P)・¬(B・P))=A・P+B・P=(A+B)・¬(A・B) となる。
これは A と B のどちらか一方だけが1のときに1になる排他的論理和である。実際に,A=B=0 なら Y=0,A=1,B=0 なら Y=1,A=B=1 なら P=0 で Y=0 となる。したがって,排他的論理和素子のウが等価である。アは論理和,イは論理積,エは否定論理和の素子で,A=B=1 や A=B=0 のときの出力が合わない。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
ヤコブ・ニールセンのユーザインタフェースに関する10か条のヒューリスティックスの一つである“システム状態の視認性”に該当するものはどれか。
ア 異なる画面間でも,操作は類似の手順で実行できる。
イ 実行中に処理の進捗度を表示する。 正解
ウ 入力フォームの必須項目に印を付けて目立たせる。
エ 表示する文字の大きさや色が適切で,効果的に画像も使用する。
正解 イ
解説
ヤコブ・ニールセンのヒューリスティックスの“システム状態の視認性”は,システムが今何をしているのかを,適切な時間内に適切なフィードバックによって利用者に常に知らせることである。実行中に処理の進捗度を表示するイが該当する。
アの異なる画面間でも類似の手順で操作できることは“一貫性と標準”。ウの必須項目に印を付けて入力漏れを防ぐことは“エラーの防止”。エの文字の大きさや色を適切にし,効果的に画像を使うことは“美的で最小限のデザイン”に関するものである。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
コンピュータグラフィックスに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア テクスチャマッピングは,すべてのピクセルについて,視線とすべての物体との交点を計算し,その中から視点に最も近い交点を選択することによって,隠面消去を行う。
イ メタボールは,反射・透過方向への視線追跡を行わず,与えられた空間中のデータから輝度を計算する。
ウ ラジオシティ法は,拡散反射面間の相互反射による効果を考慮して拡散反射面の輝度を決める。 正解
エ レイトレーシング法は,形状が定義された物体の表面に,別に定義された模様を張り付けて画像を作成する。
正解 ウ
解説
ラジオシティ法は,光が拡散反射面の間で相互に反射し合う効果まで計算に入れて,各面の輝度を求める手法。間接光による柔らかな陰影を表現できる。
アはレイトレーシング,エはテクスチャマッピングの説明で,アとエは入れ替わっている。イのメタボールは,濃度分布をもつ点の集まりで曲面を表現する手法であり,記述はボリュームレンダリングに近い内容。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
次の表定義において,“在庫”表の製品番号に定義された参照制約によって拒否される可能性のある操作はどれか。ここで,実線は主キーを,破線は外部キーを表す。
在庫(在庫管理番号(主キー),製品番号(外部キー),在庫量) 製品(製品番号(主キー),製品名,型,単価)
ア “在庫”表の行削除
イ “在庫”表の表削除
ウ “在庫”表への行追加 正解
エ “製品”表への行追加
正解 ウ
解説
“在庫”表の製品番号は,“製品”表の製品番号を参照する外部キーである。参照制約によって,“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に存在しなければ追加が拒否される。ウが正しい。
アの“在庫”表の行削除とイの表削除は,参照する側の行や表を消すだけなので,参照制約に反しない。エの“製品”表への行追加は,参照される側に新しい製品番号を増やすだけなので拒否されない。拒否される可能性があるのは,“在庫”表から参照されている“製品”表の行の削除や製品番号の更新である。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
図のような IP ネットワークの LAN 環境で,ホスト A からホスト B にパケットを送信する。LAN1 において,パケット内のイーサネットフレームのあて先と IP データグラムのあて先の組合せとして,適切なものはどれか。ここで,図中の MACn/IPm はホスト又はルータがもつインタフェースの MAC アドレスと IP アドレスを示す。
ア イーサネットフレームのあて先:MAC2,IP データグラムのあて先:IP2
イ イーサネットフレームのあて先:MAC2,IP データグラムのあて先:IP3
ウ イーサネットフレームのあて先:MAC3,IP データグラムのあて先:IP2 正解
エ イーサネットフレームのあて先:MAC3,IP データグラムのあて先:IP3
正解 ウ
解説
ホスト A からみてホスト B は別のネットワークにあるので,パケットはデフォルトゲートウェイであるルータに渡す。LAN1 の中を流れるイーサネットフレームの宛先は,次に受け取る機器であるルータの LAN1 側のインタフェースの MAC3 になる。一方,IP データグラムの宛先は最終的な宛先であるホスト B の IP2 のままで,ルータを経由しても変わらない。ウが正しい。
アとイはイーサネットフレームの宛先をホスト B の MAC2 としているが,ホスト B は LAN1 上にないので直接届けられない。イとエは IP データグラムの宛先をルータの IP3 としており,ルータ自身が宛先になってしまう。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
ほかのコンピュータ上にあるデータやサービスを呼び出すためのプロトコルで,メッセージ記述が XML のヘッダとボディで構成されているものはどれか。
ア CORBA
イ DCOM
ウ SIP
エ SOAP 正解
正解 エ
解説
SOAP は,ほかのコンピュータ上にあるデータやサービスを呼び出すためのプロトコルで,メッセージを XML で記述し,エンベロープの中にヘッダとボディをもつ構造になっている。主に HTTP の上で使われ,Web サービスの呼出しに用いられる。エが正しい。
アの CORBA は,異なる環境のオブジェクト間の通信を実現する分散オブジェクト技術の仕様で,メッセージは XML で記述しない。イの DCOM は,マイクロソフトの分散オブジェクト技術。ウの SIP は,IP 電話などでセッションの確立や切断を行うためのプロトコルで,テキスト形式のメッセージを用いる。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
公開鍵暗号方式によって,暗号を使って n 人が相互に通信する場合,異なる鍵は全体で幾つ必要になるか。ここで,公開鍵,秘密鍵をそれぞれ一つと数える。
ア n+1
イ 2n 正解
ウ n(n−1)/2
エ log2 n
正解 イ
解説
公開鍵暗号方式では,一人ひとりが自分用の公開鍵と秘密鍵の組を一つ持てばよい。相手に送るときは相手の公開鍵で暗号化し,受け取った相手は自分の秘密鍵で復号するので,通信の相手が何人いても鍵の組を増やす必要はない。n 人なら n 組で,1組を2個と数えるので 2n 個。イが正しい。
ウの n(n−1)/2 は,共通鍵暗号方式で n 人が相互に通信する場合に必要な鍵の数で,2人1組ごとに別々の鍵が要るためである。人数が多いほど,公開鍵暗号方式のほうが必要な鍵の数を大幅に減らせる。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
プログラム実行中の特定の時点で成立する変数間の関係や条件を記述した論理式を埋め込んで,そのプログラムの正当性を検証する手法はどれか。
ア アサーションチェック 正解
イ コード追跡
ウ スナップショットダンプ
エ テストカバレッジ分析
正解 ア
解説
アサーションチェックは,プログラムの特定の位置に,その時点で成り立つべき変数間の関係や条件を論理式(アサーション)として埋め込み,実行時にその式が成り立つかを確かめることで,プログラムの正当性を検証する手法である。アが該当する。
イのコード追跡(トレース)は実行した命令の順序や変数の値の変化を追跡する手法,ウのスナップショットダンプはプログラムの実行中の指定した時点で主記憶やレジスタの内容を出力する手法である。エのテストカバレッジ分析は,テストによってプログラムの命令や分岐がどれだけ実行されたかの網羅率を測る手法である。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
マッシュアップに該当するものはどれか。
ア 既存のプログラムから,そのプログラムの仕様を導き出す。
イ 既存のプログラムを部品化し,それらの部品を組み合わせて,新規プログラムを開発する。
ウ クラスライブラリを利用して,新規プログラムを開発する。
エ 公開されている複数のサービスを利用して,新たなサービスを提供する。 正解
正解 エ
解説
マッシュアップは,Web API などで公開されている複数のサービスを組み合わせて,新しいサービスを作り出す手法である。例えば地図サービスと店舗情報のサービスを組み合わせて,店舗の場所を地図に示すサービスを作る。エが正しい。
アは既存のプログラムを解析して仕様を導き出すリバースエンジニアリング。イは既存のプログラムを部品化して組み合わせるソフトウェア部品の再利用,ウはクラスライブラリを使った開発で,いずれも自組織のプログラム資産を再利用する方法であり,外部に公開されたサービスを組み合わせるマッシュアップとは異なる。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
特許権に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア A 社が特許を出願するより前に独自に開発して発売した製品は,A 社の特許権の侵害にならない。 正解
イ 組込み機器におけるハードウェアは特許権で保護されるが,ソフトウェアは保護されない。
ウ 審査を受けて特許権を取得した後に,特許権が無効となることはない。
エ 先行特許と同一の技術であっても,独自に開発した技術であれば特許権の侵害にならない。
正解 ア
解説
特許法では,他社の特許出願の際に,その発明の内容を知らずに自ら発明し,既に国内でその発明を実施する事業をしていた者には,先使用による通常実施権が認められる(特許法第79条)。A 社が特許を出願する前に独自に開発して発売した製品は,その後も実施を続けることができ,A 社の特許権の侵害にならない。アが適切である。
イは誤りで,ソフトウェアも,自然法則を利用した技術的思想の創作であれば,プログラムの発明として特許権で保護される。ウは誤りで,特許権の取得後でも,無効審判によって特許が無効とされることがある。エは誤りで,特許権は,独自に開発した技術であっても,特許発明と同一の技術を業として実施すれば侵害になる。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
WBS の構成要素であるワークパッケージに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア ワークパッケージは,OBS のチームに,担当する人員を割り当てたものである。
イ ワークパッケージは,関連のある要素成果物をまとめたものである。
ウ ワークパッケージは,更にアクティビティに分解される。 正解
エ ワークパッケージは,一つ上位の要素成果物と1対1に対応する。
正解 ウ
解説
WBS は,プロジェクトの作業と成果物を階層的に分解したもので,その最下位の要素がワークパッケージである。ワークパッケージは,コストや期間を見積もって管理できる単位であり,スケジュールを作成する段階で,更に具体的な作業であるアクティビティに分解される。ウが適切である。
アの OBS(組織ブレークダウンストラクチャ)は組織の構造を表すもので,担当者を割り当てたものがワークパッケージではない。イの関連のある要素成果物をまとめたものは,ワークパッケージより上位の階層の要素である。エのワークパッケージは,一つ上位の要素を分解したものなので,上位の要素成果物に対して複数ある場合もあり,1対1に対応するとは限らない。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
アローダイアグラムで表される作業 A〜H を見直したところ,作業 D だけが短縮可能であり,その所要日数を6日間に短縮できることが分かった。作業全体の所要日数は何日間短縮できるか。
正解 ウ
解説
最早結合点時刻を順に求める。A の終点は5日目。C の終点は 5+5=10日目。E の始点は,B 経由の 5+3=8日目と D 経由の 10+10=20日目のうち遅いほうで20日目。E の終点は25日目で,ダミー作業があるので H の始点も F 経由の22日目と25日目のうち25日目になる。最終結合点は G 経由の28日目と H 経由の31日目で31日。D を6日にすると E の始点が 10+6=16日目,E の終点が21日目,H の始点は F 経由の22日目と21日目のうち22日目となり,最終は G 経由24日目と H 経由28日目で28日。31−28=3日短縮できるのでウが正しい。
D を4日縮めても全体が4日縮まらないのは,D を通らない経路 A→C→F→H(5+5+12+6=28日)が下限として残るため。作業を短縮するときは,短縮後に別の経路がクリティカルパスに変わらないかを必ず確かめる。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
次の処理条件でサーバ上のファイルを磁気テープにバックアップするとき,バックアップの運用に必要な磁気テープは何本か。
〔処理条件〕
(1) 毎月初日(1日)にフルバックアップを取る。フルバックアップは1回につき1本の磁気テープを必要とする。 (2) フルバックアップを取った翌日から次のフルバックアップまでは,毎日,差分バックアップを取る。差分バックアップは,差分バックアップ用として別の磁気テープに追記し,1か月分が1本に記録できる。 (3) 常に6か月前の同一日までのデータについて,指定日の状態にファイルを復元できることを保証する。ただし,6か月前の同一日が存在しない場合は,当該月の月末日以降のデータについて,指定日の状態にファイルを復元できることを保証する(例:10月31日の場合は,4月30日以降のデータについて,指定日の状態にファイルを復元できることを保証する)。
正解 ウ
解説
処理条件 (3) から,常に 6 か月前の同一日以降の任意の日の状態に復元できなければならない。ある日の状態に復元するには,その月の 1 日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が必要である。
例えば本日が 10 月 31 日なら,4 月 30 日以降の日を復元できる必要があるので,4 月から 10 月までの 7 か月分のフルバックアップと差分バックアップを保管しておかなければならない。本日が 10 月 1 日でフルバックアップを取った後でも,4 月 1 日以降の復元のために同じく 4 月から 10 月までの 7 か月分が必要になる。
フルバックアップ用が 7 本,差分バックアップ用が 7 本で,合計 14 本となり,ウになる。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
サービス提供の時間帯を 7:00〜19:00 としているシステムにおいて,16:00 にシステム故障が発生し,サービスが停止した。修理は 21:00 までかかり,当日中にサービスは再開されなかった。この日の可用性は何%か。
正解 エ
解説
可用性は,サービスを提供すべき時間のうち,実際にサービスを提供できた時間の割合である。サービス提供の時間帯は 7:00〜19:00 の12時間で,16:00 に停止してその日は再開されなかったので,提供できたのは 7:00〜16:00 の9時間である。
9÷12=0.75 で 75%となり,エが正しい。修理が終わった 21:00 はサービス提供の時間帯の外なので,停止時間は 16:00〜19:00 の3時間として数える。1日24時間を分母にしたり,修理時間の5時間を停止時間としたりすると誤る。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
“システム管理基準”の説明はどれか。
ア コンピュータウイルスに対する予防,発見,駆除,復旧などについて実効性の高い対策をとりまとめたもの
イ コンピュータ不正アクセスによる被害の予防,発見,再発防止などについて,組織及び個人が実行すべき対策をとりまとめたもの
ウ 情報戦略を立案し,効果的な情報システム投資とリスクを低減するためのコントロールを適切に整備・運用するための事項をとりまとめたもの 正解
エ ソフトウェアの違法複製を防止するため,法人,団体などを対象として,ソフトウェアを使用するに当たって実行されるべき事項をとりまとめたもの
正解 ウ
解説
システム管理基準は,経済産業省が策定したもので,組織体が情報戦略を立案し,効果的な情報システム投資と,リスクを低減するためのコントロールを適切に整備・運用するための実践規範をとりまとめたものである。ウが該当する。
アはコンピュータウイルス対策基準,イはコンピュータ不正アクセス対策基準,エはソフトウェアの違法複製の防止を目的としたソフトウェア管理ガイドラインの説明である。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
エンタープライズアーキテクチャを説明したものはどれか。
ア 企業が競争優位性の構築を目的に IT 戦略の策定・実行をコントロールし,あるべき方向へ導く組織能力のことである。
イ 業務を管理するシステムにおいて,承認された業務がすべて正確に処理,記録されることを確保するために,業務プロセスに組み込まれた内部統制のことである。
ウ 組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し,業務とシステムを同時に改善することを目的とした,業務とシステムの最適化手法である。 正解
エ プロジェクトの進捗や作業のパフォーマンスを,出来高の価値によって定量化し,プロジェクトの現在及び今後の状況を評価する手法である。
正解 ウ
解説
エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織全体の業務とシステムを統一的な手法でモデル化し,業務とシステムを同時に改善することを目的とした,業務とシステムの最適化手法である。政策・業務体系,データ体系,適用処理体系,技術体系の四つの体系で現状(As-Is)と理想(To-Be)を整理する。ウが正しい。
アは IT ガバナンス,イは業務処理統制(業務プロセスに組み込まれた内部統制),エは EVM(アーンドバリューマネジメント)の説明である。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
SOA を説明したものはどれか。
ア 企業改革において既存の組織やビジネスルールを抜本的に見直し,業務フロー,管理機構,情報システムを再構築する手法のこと
イ 企業の経営資源を有効に活用して経営の効率を向上させるために,基幹業務を部門ごとではなく統合的に管理するための業務システムのこと
ウ 発注者と IT アウトソーシングサービス提供者との間で,サービスの品質について合意した文書のこと
エ ビジネスプロセスの構成要素とそれを支援する IT 基盤を,ソフトウェア部品であるサービスとして提供するシステムアーキテクチャのこと 正解
正解 エ
解説
SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務プロセスを構成する機能と,それを支える IT 基盤を,再利用可能なソフトウェア部品(サービス)として提供し,それらを組み合わせてシステムを構築するアーキテクチャである。エが該当する。
アは組織や業務のやり方を抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング),イは基幹業務を統合的に管理する ERP,ウは発注者とサービス提供者の間でサービスの品質を合意する SLA(サービスレベル合意書)の説明である。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
サプライチェーンマネジメントの改善指標となるものはどれか。
ア 残業時間の減少率
イ 販売単価下落の防止率
ウ 不良在庫の減少率 正解
エ 優良顧客数の増加率
正解 ウ
解説
サプライチェーンマネジメント(SCM)は,資材の調達から生産,物流,販売までの一連の流れを企業や部門の枠を越えて統合的に管理し,全体の在庫を適正化してリードタイムの短縮やコストの削減を図る手法である。売れ残りや過剰生産による不良在庫が減ったかどうかは,SCM の改善の度合いを示す指標になる。ウが該当する。
アの残業時間の減少率は労働環境や業務効率の指標,イの販売単価下落の防止率は価格戦略の指標,エの優良顧客数の増加率は CRM(顧客関係管理)の改善指標である。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
観測データを類似性によって集団や群に分類し,その特徴となる要因を分析する手法はどれか。
ア クラスタ分析法 正解
イ 指数平滑法
ウ デルファイ法
エ モンテカルロ法
正解 ア
解説
クラスタ分析法は,観測データを互いの類似性に基づいて集団(クラスタ)に分け,各集団に共通する特徴から要因を読み取る手法。アが正しい。
イの指数平滑法は過去の実績に指数的な重みを付けて将来を予測する手法,ウのデルファイ法は専門家の意見を匿名で繰り返し集約して見通しを立てる手法,エのモンテカルロ法は乱数を使って数値的に解を求める手法である。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
ワンチップマイコンの内蔵メモリとしてフラッシュメモリが採用されている理由として,適切なものはどれか。
ア ソフトウェアのコードサイズを小さくできる。
イ マイコン出荷後もソフトウェアの書換えが可能である。 正解
ウ マイコンの処理性能が向上する。
エ マスク ROM よりも信頼性が向上する。
正解 イ
解説
フラッシュメモリは,電源を切っても内容が消えない不揮発性メモリで,電気的に内容を消去して書き換えることができる。ワンチップマイコンの内蔵メモリにフラッシュメモリを使えば,マイコンを出荷した後や機器に組み込んだ後でもソフトウェアを書き換えられ,不具合の修正や機能の追加に対応できる。イが適切である。
アのソフトウェアのコードサイズは,メモリの種類によって変わらない。ウのマイコンの処理性能は,メモリの種類によって向上するものではない。エのマスク ROM は製造時に内容を書き込んで書き換えられないもので,フラッシュメモリのほうが信頼性が高いわけではない。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。
ア 企業間の取引の契約内容
イ システムの運用時間
ウ 伝送制御手順
エ メッセージの形式 正解
正解 エ
解説
EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。
アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
表の事業計画案に対して,新規設備投資に伴う減価償却費(固定費)の増加 1,000 万円を織り込み,かつ,売上総利益を 3,000 万円とするようにしたい。変動費率に変化がないとすると,売上高の増加を何万円にすればよいか。
ア 2,000
イ 3,000
ウ 4,000 正解
エ 5,000
正解 ウ
解説
表の事業計画案では,売上高 20,000 万円に対して変動費が 10,000 万円なので,変動費率は 10,000÷20,000=0.5 である。減価償却費の増加を織り込むと,固定費は 8,000+1,000=9,000 万円になる。
売上高を S 万円とすると,売上総利益は S−0.5S−9,000=0.5S−9,000 となる。これを 3,000 万円にするには,0.5S=12,000 より S=24,000 万円が必要である。
売上高の増加は 24,000−20,000=4,000(万円)であり,ウになる。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
A 社は,B 社と著作物の権利に関する特段の取決めをせず,A 社の要求仕様に基づいて,販売管理システムのプログラム作成を B 社に依頼した。この場合のプログラム著作権の原始的帰属は,どのようになるか。
ア A 社と B 社が話し合って決定する。
イ A 社と B 社で共有する。
ウ A 社に帰属する。
エ B 社に帰属する。 正解
正解 エ
解説
著作権は,原則としてその著作物を実際に創作した者に原始的に帰属する。法人に帰属するのは著作権法第15条の職務著作に当たる場合で,これは法人等の業務に従事する者が職務上作成したときの規定である。今回プログラムを作成したのは受託した B 社なので,特段の取決めがなければ著作権は B 社に帰属する。エが正しい。
アのように後から話し合って決めるのは原始的帰属ではなく,譲渡の取決めの話になる。イの共有帰属となるのは両社が共同で創作し,各人の寄与を分離して利用できない場合。ウのように委託した A 社に帰属させるには,契約で著作権の譲渡を定めておく必要がある。
出典:平成22年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
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