令和2年度 10月に実施されたプロジェクトマネージャ試験
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問1
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネジメントのプロセス群には,立ち上げ,計画,実行,管理及び終結の五つがある。これらのうち,“変更要求”の提出を契機に相互作用するプロセス群の組みはどれか。
ア 計画,実行
イ 実行,管理 正解
ウ 実行,終結
エ 管理,終結
正解 イ
解説
JIS Q 21500:2018 は,五つのプロセス群が互いに作用し合う様子を図で示している。プロジェクトの作業を実際に進める実行のプロセス群で変更の必要が生じると“変更要求”が出され,管理のプロセス群がそれを評価して,承認された変更を実行のプロセス群へ返す。変更要求を契機に相互作用するのは実行と管理の組みで,イが正しい。
管理のプロセス群は変更を扱う要で,承認された変更に合わせて計画を更新することはあるが,変更要求を出す側と受ける側の組みとしては実行と管理である。立ち上げと終結は,プロジェクトやフェーズの始まりと終わりを扱うプロセス群で,変更要求のやり取りの中心にはない。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“プロジェクト作業の管理”の目的はどれか。
ア 確定したプロジェクトの目標,品質要求事項及び規格を満たしそうかどうかを明らかにし,不満足なパフォーマンスの原因及びそれを取り除くための方法を特定すること
イ チームのパフォーマンスを最大限に引き上げ,フィードバックを提供し,課題を解決し,コミュニケーションを促し,変更を調整して,プロジェクトの成功を達成すること
ウ プロジェクト及び成果物に加えられる変更を管理し,次の実施の前に,これらの変更の受け入れ又は棄却を公式にすること
エ プロジェクト全体計画に従って,統合的な方法でプロジェクト活動を完了すること 正解
正解 エ
解説
JIS Q 21500:2018 の対象群“統合”のうち,管理のプロセス群に属する“プロジェクト作業の管理”は,プロジェクト全体計画に従って,統合的な方法でプロジェクト活動を完了することを目的とする。実行の側の“プロジェクト作業の指揮”が計画に沿って作業を進めるのに対し,こちらは進み具合を計画と照らし合わせ,全体として計画どおりに完了させる側である。エが正しい。
アは対象群“品質”の“品質管理の遂行”,イは対象群“資源”の“プロジェクトチームのマネジメント”,ウは同じ対象群“統合”の“変更の管理”の目的である。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
プロジェクトマネジメントにおけるプロジェクト憲章の説明として,適切なものはどれか。
ア 組織のニーズ,目標ベネフィットなどを記述することによって,プロジェクトの目標について,またプロジェクトがどのように事業目的に貢献するかについて明確にした文書
イ どのようにプロジェクトを実施し,監視し,管理するのかを定めるために,プロジェクトを実施するためのベースライン,並びにプロジェクトの実行,管理,及び終結する方法を明確にした文書
ウ プロジェクトの最終状態を定義することによって,プロジェクトの目標,成果物,要求事項及び境界を含むプロジェクトスコープを明確にした文書
エ プロジェクトを正式に許可する文書であり,プロジェクトマネージャを特定して適切な責任と権限を明確にし,ビジネスニーズ,目標,期待される結果などを明確にした文書 正解
正解 エ
解説
プロジェクト憲章は,プロジェクトを正式に許可する文書で,プロジェクトマネージャを任命してその責任と権限を明らかにし,ビジネスニーズ,目標,期待される結果などを記す。立ち上げの段階で作られ,以後の計画の出発点になる。エが正しい。
アはプロジェクトが事業目的にどう貢献するかを示すビジネスケースやベネフィットの計画,イはプロジェクトの実行・監視・管理・終結の方法とベースラインを定めるプロジェクトマネジメント計画書,ウはプロジェクトの最終状態と境界を定めるプロジェクトスコープ記述書の説明である。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
プロジェクトマネジメントで使用する責任分担マトリックス(RAM)の一つに,RACI チャートがある。RACI チャートで示す4種類の役割及び責任の組合せのうち,適切なものはどれか。
ア 実行責任,情報提供,説明責任,相談対応 正解
イ 実行責任,情報提供,説明責任,リスク管理
ウ 実行責任,情報提供,相談対応,リスク管理
エ 実行責任,説明責任,相談対応,リスク管理
正解 ア
解説
RACI チャートは,作業ごとに誰がどの役割を担うかを表す責任分担マトリックスで,Responsible(実行責任),Accountable(説明責任),Consulted(相談対応),Informed(情報提供)の頭文字から名付けられている。四つがそろったアが正しい。
Accountable は作業の結果に最終的な責任を負う人で,一つの作業につき1人に絞るのが原則である。イ・ウ・エに含まれる“リスク管理”は RACI の役割ではなく,プロジェクトマネジメントで扱う対象の一つである。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
プロジェクト期間の80%を経過した時点での出来高が全体の70%,発生したコストは8,500万円であった。完成時総予算は1億円であり,プランドバリューはプロジェクトの経過期間に比例する。このときの状況の説明のうち,正しいものはどれか。
ア アーンドバリューは8,500万円である。
イ コスト差異は−1,500万円である。 正解
ウ 実コストは7,000万円である。
エ スケジュール差異は−500万円である。
正解 イ
解説
完成時総予算(BAC)が1億円なので,出来高70%のアーンドバリュー(EV)は7,000万円,期間の80%が経過した時点のプランドバリュー(PV)は8,000万円,実コスト(AC)は発生したコストの8,500万円である。コスト差異は EV−AC=7,000−8,500=−1,500万円で,イが正しい。
アの8,500万円は AC の値,ウの7,000万円は EV の値で,それぞれ取り違えている。エのスケジュール差異は EV−PV=7,000−8,000=−1,000万円で,−500万円ではない。差異がマイナスなら,コストは超過,スケジュールは遅延を表す。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
プロジェクトの工程管理や進捗管理に使用されるガントチャートの特徴はどれか。
ア 各作業の開始時点と終了時点が一目で把握できる。 正解
イ 各作業の構成要素を示しているので,管理がしやすい。
ウ 各作業の前後関係が明確になり,クリティカルパスが把握できる。
エ 各作業の余裕日数が容易に把握できる。
正解 ア
解説
ガントチャートは,縦に作業を並べ,横軸の時間に沿って各作業の予定期間を横棒で表す図である。各作業をいつ始めていつ終えるかが一目で分かり,実績の棒を重ねれば進捗も把握できる。アが正しい。
イの作業の構成要素を示すのは WBS。ウの作業の前後関係とクリティカルパスが分かるのは,アローダイアグラム(PERT 図)などのネットワーク図である。エの余裕日数も,ネットワーク図で最早・最遅の日程を計算して求めるもので,ガントチャートでは作業どうしの依存関係が表れないため容易には把握できない。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
あるプロジェクトの作業が図のとおり計画されているとき,最短日数で終了するためには,作業 H はプロジェクトの開始から遅くとも何日経過した後に開始しなければならないか。
正解 エ
解説
まず最短日数を求める。作業を最も早く始められる日を順にたどると,A は8日目,B は5日目に終わる。D と E が合流する結合点は,A→D の 8+10=18日と B→E の 5+9=14日のうち遅い18日。H の手前の結合点には C の12日とダミー作業経由の18日が入るので18日で,H が終わるのは 18+5=23日。終了の結合点には F 経由 8+8=16日,G 経由 18+12=30日,I 経由 23+4=27日が入り,最短日数は最も遅い30日になる。
次に,30日で終えるための H の最も遅い開始日を終点から逆にたどる。30日から I の4日を引くと H は26日目までに終えればよく,さらに H の5日を引くと H の開始は21日目まで遅らせられる。エが正しい。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
PMBOK ガイド 第6版によれば,プロジェクト・スケジュール・マネジメントにおけるプロセス“スケジュールの作成”のツールと技法の特徴のうち,資源平準化の特徴はどれか。
ア アクティビティの開始日と終了日を調整するので,クリティカル・パスが変わる原因になることが多い。 正解
イ アクティビティは,属しているフリー・フロート及びトータル・フロートの大きさの範囲内に限って遅らせることができる。
ウ アクティビティを調整しても,クリティカル・パスが変わることはなく,完了日を遅らせるようなこともない。
エ スケジュール・モデル内で,論理ネットワーク・パスにおけるスケジュールの柔軟性が評価できる。
正解 ア
解説
PMBOK ガイド第6版の資源平準化は,資源の需要と供給の釣り合いを取るために,資源の制約に合わせてアクティビティの開始日と終了日を調整する技法である。資源が足りない期間の作業を後ろにずらすので,当初のクリティカル・パスが変わることが多く,完了日が延びることもある。アが正しい。
イとウは資源円滑化の特徴で,アクティビティはフリー・フロートやトータル・フロートの範囲内でしか遅らせないので,クリティカル・パスも完了日も変わらない。エは,論理ネットワーク・パス上のフロート(余裕)を求めてスケジュールの柔軟性を評価するクリティカル・パス法の説明である。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
COCOMO には,システム開発の工数を見積もる式の一つとして次式がある。
開発工数=3.0×(開発規模)1.12 この式を基に,開発規模と開発生産性(開発規模/開発工数)の関係を表したグラフはどれか。ここで,開発工数の単位は人月,開発規模の単位はキロ行とする。
正解 エ
解説
開発生産性は開発規模 ÷ 開発工数なので,式を代入すると 規模 ÷(3.0×規模1.12 )= 規模−0.12 ÷ 3.0 となる。指数がマイナスなので,規模が大きくなるほど生産性は下がる。さらに,指数の絶対値が小さい累乗の曲線なので,規模が小さいうちは大きく下がり,規模が大きくなるにつれて下がり方は緩やかになる。この形はエである。
指数が1を超える(1.12)ことは,規模が大きくなると工数がそれ以上の割合で増える,つまり大規模ほど調整や管理の負担で効率が落ちることを表している。アとイは生産性が上がるグラフで逆。ウは下がり方が次第に急になっており,曲線の曲がり方が逆である。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
プロジェクトにどのツールを導入するかを,EMV(期待金額価値)を用いて検討する。デシジョンツリーが次の図のとき,ツール A を導入する EMV がツール B を導入する EMV を上回るのは,X が幾らよりも大きい場合か。
正解 ウ
解説
EMV は,機会ノードの先の効果額を確率で重み付けして足し,導入費用を引いて求める。ツール B は 120×0.6+60×0.4−60=72+24−60=36万円。ツール A は X×0.6+90×0.4−120=0.6X−84万円である。
ツール A の EMV が B を上回る条件は 0.6X−84>36 なので,0.6X>120,X>200。X が200万円より大きい場合で,ウが正しい。X=200 のときは両方とも36万円で等しい。費用を引き忘れると,A が 0.6X+36,B が 96 となり X>100 と誤るので,決定ノードの枝の費用も必ず差し引く。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
PMBOK ガイド 第6版によれば,リスクにはプロジェクト目標にマイナスの影響を及ぼす“脅威”と,プラスの影響を及ぼす“好機”がある。リスクに対応する戦略のうち,“好機”に対する戦略である“強化”に該当するものはどれか。
ア アクティビティを予定よりも早く終了させるために,計画よりも多くの資源を投入する。 正解
イ リスク共有のパートナーシップ,チーム,ジョイント・ベンチャーなどを形成する。
ウ リスクに対処するために,時間,資金,資源の量などに関してコンティンジェンシー予備を設ける。
エ リスクを定期的にレビューする以外の行動はとらず,リスクが顕在化したときにプロジェクト・チームが対処する。
正解 ア
解説
PMBOK ガイド第6版は,好機(プラスのリスク)への対応戦略として,エスカレーション,活用,共有,強化,受容を挙げている。強化は,好機の発生確率や影響を高める戦略で,アクティビティを早く終えるために計画より多くの資源を投入するアがこれに当たる。
イのリスク共有のパートナーシップやジョイント・ベンチャーの形成は“共有”。ウのコンティンジェンシー予備を設けるのは“受容”のうち能動的な受容。エの定期的なレビュー以外の行動をとらず顕在化してから対処するのは“受容”のうち受動的な受容である。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
品質の定量的評価の指標のうち,ソフトウェアの保守性の評価指標になるものはどれか。
ア (最終成果物に含まれる誤りの件数)÷(最終成果物の量)
イ (修正時間の合計)÷(修正件数) 正解
ウ (変更が必要となるソースコードの行数)÷(移植するソースコードの行数)
エ (利用者からの改良要求件数)÷(出荷後の経過月数)
正解 イ
解説
保守性は,不具合を見つけて直すのがどれだけ容易かを表す品質特性。1件あたりの平均修正時間(修正時間の合計÷修正件数)が短いほど保守しやすいので,これが保守性の指標になる。
アは欠陥密度で信頼性の指標,ウは移植に伴う変更量の割合で移植性の指標。エは改良要求の発生頻度であり,ソフトウェアの保守性そのものを測るものではない。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
次の契約条件でコストプラスインセンティブフィー契約を締結した。完成時の実コストが8,000万円の場合,受注者のインセンティブフィーは何万円か。
〔契約条件〕
(1) 目標コスト 9,000万円 (2) 目標コストで完成したときのインセンティブフィー 1,000万円 (3) 実コストが目標コストを下回ったときのインセンティブフィー 目標コストと実コストとの差額の70%を1,000万円に加えた額。 (4) 実コストが目標コストを上回ったときのインセンティブフィー 実コストと目標コストとの差額の70%を1,000万円から減じた額。ただし,1,000万円から減じる額は,1,000万円を限度とする。
ア 700
イ 1,000
ウ 1,400
エ 1,700 正解
正解 エ
解説
実コスト8,000万円は目標コスト9,000万円を下回っているので,条件(3)を当てはめる。差額は 9,000−8,000=1,000万円で,その70%の700万円を1,000万円に加えるので,インセンティブフィーは1,700万円。エが正しい。
コストプラスインセンティブフィー契約は,発注者が実コストを支払ったうえで,目標コストより安く仕上げれば受注者の報酬を増やし,高くつけば減らす契約である。受注者にコストを抑える動機を与えるのが狙いで,アの700万円は差額の70%だけを答えた値,イの1,000万円は目標コストちょうどで完成した場合の値である。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“コミュニケーションの計画”の目的はどれか。
ア プロジェクトに影響されるか,又は影響を及ぼす個人,集団又は組織を明らかにし,その利害及び関係に関連する情報を文書化すること
イ プロジェクトのステークホルダに対し要求した情報を利用可能にすること及び情報に対する予期せぬ具体的な要求に対応すること
ウ プロジェクトのステークホルダのコミュニケーションニーズを確実に満足し,コミュニケーションの問題が発生したときにそれを解決すること
エ プロジェクトのステークホルダの情報及びコミュニケーションのニーズを決定すること 正解
正解 エ
解説
JIS Q 21500:2018 の 4.3.38(コミュニケーションの計画)は,「コミュニケーションの計画の目的は,プロジェクトのステークホルダの情報及びコミュニケーションのニーズを決定することである」と規定している。エが原文どおりである。
アはステークホルダの特定,イは情報の配布,ウはコミュニケーションのマネジメントの目的で,いずれも別のプロセスの記述である。計画で「誰に何をどれだけ伝えるか」を決め,配布で実際に届け,マネジメントで過不足や問題に対処する,という役割分担になっている。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
新システムの受入れ支援において,利用者への教育訓練に対する教育効果の測定を,カークパトリックモデルの4段階評価を用いて行う。レベル1(Reaction),レベル2(Learning),レベル3(Behavior),レベル4(Results)の各段階にそれぞれ対応した a〜d の活動のうち,レベル2のものはどれか。
a 受講者にアンケートを実施し,教育訓練プログラムの改善に活用する。 b 受講者に行動計画を作成させ,後日,新システムの活用状況を確認する。 c 受講者の行動による組織業績の変化を分析し,ROI などを算出する。 d 理解度確認テストを実施し,テスト結果を受講者にフィードバックする。
正解 エ
解説
カークパトリックモデルは,教育の効果を,レベル1 反応(受講者の満足度),レベル2 学習(知識や技能の習得度),レベル3 行動(職場での行動の変化),レベル4 成果(組織の業績への影響)の4段階で評価する。理解度確認テストで習得の度合いを測る d がレベル2に当たり,エが正しい。
a の受講後アンケートはレベル1,b の行動計画を作らせて後日の活用状況を確認するのはレベル3,c の組織業績の変化を分析し ROI を算出するのはレベル4である。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
SOA でシステムを設計する際の注意点のうち,適切なものはどれか。
ア 可用性を高めるために,ステートフルなインタフェースとする。
イ 業務からの独立性を確保するために,サービスの名称は抽象的なものとする。
ウ 業務の変化に対応しやすくするために,サービス間の関係は疎結合にする。 正解
エ セキュリティを高めるために,一度提供したサービスの設計は再利用しない。
正解 ウ
解説
SOA(サービス指向アーキテクチャ)は,業務の機能をサービスとして部品化し,それを組み合わせてシステムを構築する考え方である。業務が変わっても,サービスの組合せを変えるだけで対応できるよう,サービス間は互いの内部に依存しない疎結合にする。ウが正しい。
アは誤りで,サービスは状態を持たないステートレスなインタフェースにするのが基本であり,そのほうが特定のサーバに依存せず可用性や拡張性を確保しやすい。イは誤りで,サービスは業務の単位で定義し,名称も業務の内容が分かる具体的なものにする。エは誤りで,サービスを再利用して開発の効率を上げるのが SOA の狙いである。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
ユースケース駆動開発の利点はどれか。
ア 開発を反復するので,新しい要求やビジネス目標の変化に柔軟に対応しやすい。
イ 開発を反復するので,リスクが高い部分に対して初期段階で対処しやすく,プロジェクト全体のリスクを減らすことができる。
ウ 基本となるアーキテクチャをプロジェクトの初期に決定するので,コンポーネントを再利用しやすくなる。
エ ひとまとまりの要件を1単位として設計からテストまで実施するので,要件ごとに開発状況が把握できる。 正解
正解 エ
解説
ユースケース駆動開発は,利用者から見たひとまとまりの要件であるユースケースを単位として,分析・設計・実装・テストを進める開発の進め方である。ユースケースごとに設計からテストまでが対応付くので,どの要件がどこまでできているかを把握しやすい。エが正しい。
ユースケース駆動は,統一プロセス(UP)の特徴である“ユースケース駆動”“アーキテクチャ中心”“反復的かつ漸進的”の一つに当たる。アとイは開発を反復することによる利点で“反復的かつ漸進的”の側,ウは初期にアーキテクチャを決める“アーキテクチャ中心”の利点であり,ユースケース駆動の利点ではない。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
基幹業務システムの構築及び運用において,データ管理者(DA)とデータベース管理者(DBA)を別々に任命した場合の DA の役割として,適切なものはどれか。
ア 業務データ量の増加傾向を把握し,ディスク装置の増設などを計画して実施する。
イ システム開発の設計工程では,主に論理データベース設計を行い,データ項目を管理して標準化する。 正解
ウ システム開発のテスト工程では,主にパフォーマンスチューニングを担当する。
エ システム障害が発生した場合には,データの復旧や整合性のチェックなどを行う。
正解 イ
解説
DA(データ管理者)は,組織全体のデータを資源として捉え,データ項目の標準化や論理データベース設計といった“データそのもの”の管理を担う。
ア・ウ・エはいずれも DBA(データベース管理者)の役割で,容量の管理,性能チューニング,障害時の復旧など,DBMS の運用に関わる業務。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
空調計画における冷房負荷には,“外気負荷”,“室内負荷”,“伝熱負荷”,“日射負荷”などがある。冷房負荷の軽減策のうち,“伝熱負荷”の軽減策として,最も適切なものはどれか。
ア 使用を終えたら,その都度 PC の電源を切る。
イ 隙間風や換気による影響を少なくする。
ウ 日光が当たる南に面したガラス窓をむやみに大きなものにしない。
エ 屋根や壁面の断熱をおろそかにしない。 正解
正解 エ
解説
伝熱負荷は,外気と室内の温度差によって,屋根・壁・床・窓などの建物の構造体を通して伝わってくる熱による負荷である。屋根や壁面の断熱をしっかり施して熱の伝わりを抑えるのが直接の軽減策になる。エが正しい。
アの PC の電源を切るのは,室内の機器や人が出す熱による室内負荷の軽減策。イの隙間風や換気の影響を減らすのは,外から入り込む空気による外気負荷の軽減策。ウの南向きの窓を大きくしないのは,窓から差し込む日光による日射負荷の軽減策である。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
スタンフォード大学ハッソ・プラットナー・デザイン研究所によるデザイン思考の説明はどれか。
ア 与えられた問題に対して一つの正しい解決策を見つけるために,アイディア出しの段階で,テーマに制限を設けてアイディアが発散しないようにする手法
イ 本質的な問題がどこにあるのかを絞り込むために,利用者との対話よりも,過去のデータや経験を分析することを重視する手法
ウ 利用者の立場から問題解決に取り組む方法論であり,現場を観察することによって利用者を理解し,共感することから始め,問題定義,アイディア出し,試作,試行を繰り返す手法 正解
エ 類似の問題が発生した場合に,迅速に解決策を探り当てるために,過去の問題とその解決策をナレッジデータベースとして蓄積する手法
正解 ウ
解説
スタンフォード大学ハッソ・プラットナー・デザイン研究所(d.school)が示すデザイン思考は,利用者の立場から問題解決に取り組む方法論で,共感(Empathize),問題定義(Define),アイディア創出(Ideate),プロトタイプ(Prototype),テスト(Test)の段階を繰り返す。現場で利用者を観察して共感することから始める点が特徴で,ウが正しい。
アは誤りで,デザイン思考ではアイディア出しの段階でむしろ発想を広げる。イは誤りで,過去のデータよりも利用者の観察や対話を重視する。エは過去の問題と解決策を蓄積するナレッジマネジメントの説明である。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
個人情報保護法が保護の対象としている個人情報に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 企業が管理している顧客に関する情報に限られる。
イ 個人が秘密にしているプライバシに関する情報に限られる。
ウ 生存している個人に関する情報に限られる。 正解
エ 日本国籍を有する個人に関する情報に限られる。
正解 ウ
解説
個人情報保護法の個人情報は,生存する個人に関する情報であって,氏名や生年月日などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合して識別できるものを含む)や,個人識別符号を含むものをいう。亡くなった人の情報は対象外なので,ウが正しい。
アは誤りで,顧客に限らず従業員や取引先の担当者などの情報も対象になる。イは誤りで,本人が秘密にしている情報に限らず,公開されている氏名なども個人情報に当たる。エは誤りで,国籍は問わず,外国人の情報も対象になる。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
労働者派遣事業における派遣労働者の労働時間,休日,休暇などの具体的な就業に関する枠組み設定のうち,労働関連の法に照らして適切なものはどれか。
ア 派遣元と派遣先との間で設定し,派遣労働者はその条件に従わなければならない。
イ 派遣先が設定し,それを派遣元と派遣労働者に通知することになっている。
ウ 派遣先と派遣労働者との間で設定し,両者の間の労働契約に盛り込む必要がある。
エ 派遣元と派遣労働者との間で設定し,派遣先はその範囲内で派遣労働者を指揮命令の下に労働させなければならない。 正解
正解 エ
解説
派遣労働者と雇用関係にあるのは派遣元であり,労働時間,休日,休暇などの労働条件は,派遣元と派遣労働者の間の労働契約や派遣元の就業規則,36協定などで定まる。派遣先は派遣労働者を指揮命令して働かせるが,その枠組みを超えて働かせることはできない。エが正しい。
アは誤りで,派遣元と派遣先が結ぶのは労働者派遣契約であり,雇用主ではない派遣先との合意で派遣労働者の労働条件が決まるわけではない。イは誤りで,派遣先には雇用関係がなく,労働条件を設定する立場にない。ウは誤りで,派遣先と派遣労働者の間に労働契約は存在しない。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
シングルサインオンの実装方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア cookie を使ったシングルサインオンの場合,サーバごとの認証情報を含んだ cookie をクライアントで生成し,各サーバ上で保存,管理する。
イ cookie を使ったシングルサインオンの場合,認証対象のサーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。
ウ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,認証対象の Web サーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。
エ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,利用者認証においてパスワードの代わりにディジタル証明書を用いることができる。 正解
正解 エ
解説
リバースプロキシ型のシングルサインオンでは全ての通信がリバースプロキシを経由するので,そこで利用者認証を行う。認証方式はパスワードに限られず,クライアント証明書(デジタル証明書)を用いることもできる。
アは誤り。cookie を生成するのはクライアントではなく認証を行うサーバ側。イは誤り。cookie は発行元ドメインにしか送られないので,cookie 方式では同一ドメインに配置する必要がある。ウは誤り。リバースプロキシ方式ではドメインを分ける必要はない。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
共通脆弱性評価システム(CVSS)の特徴として,適切なものはどれか。
ア CVSS v2 と CVSS v3.0 は,脆弱性の深刻度の算出方法が同じであり,どちらのバージョンで算出しても同じ値になる。
イ 脆弱性の深刻度に対するオープンで汎用的な評価手法であり,特定ベンダに依存しない評価方法を提供する。 正解
ウ 脆弱性の深刻度を0から100の数値で表す。
エ 脆弱性を評価する基準は,現状評価基準と環境評価基準の二つである。
正解 イ
解説
CVSS(共通脆弱性評価システム)は,情報システムの脆弱性の深刻度を,特定のベンダに依存しない共通の基準で評価するための,オープンで汎用的な評価手法である。同じ基準で評価するので,異なる製品の脆弱性の深刻度を比べることができる。イが正しい。
アは誤りで,CVSS v2 と v3.0 では評価項目や算出方法が異なり,同じ脆弱性でも値が変わることがある。ウは誤りで,深刻度は0.0から10.0の数値で表す。エは誤りで,評価基準は脆弱性そのものの特性を評価する基本評価基準,時間とともに変化する現状評価基準,利用者の環境に応じた環境評価基準の三つである。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
脆弱性検査手法の一つであるファジングはどれか。
ア 既知の脆弱性に対するシステムの対応状況に注目し,システムに導入されているソフトウェアのバージョン及びパッチの適用状況の検査を行う。
イ ソフトウェアの,データの入出力に注目し,問題を引き起こしそうなデータを大量に多様なパターンで入力して挙動を観察し,脆弱性を見つける。 正解
ウ ベンダや情報セキュリティ関連機関が提供するセキュリティアドバイザリなどの最新のセキュリティ情報に注目し,ソフトウェアの脆弱性の検査を行う。
エ ホワイトボックス検査の一つであり,ソフトウェアの内部構造に注目し,ソースコードの構文をチェックすることによって脆弱性を見つける。
正解 イ
解説
ファジング(fuzzing)は,極端に長い文字列や想定外の値など,問題を引き起こしそうなデータを大量に多様なパターンで入力し,異常終了や想定外の動作が起きないかを観察して脆弱性を見つける手法。仕様やソースコードが分からなくても実施できる。イが正しい。
アは導入済みソフトウェアのバージョンやパッチ適用状況を調べる既知脆弱性の検査。ウはセキュリティアドバイザリなどの情報を基に該当する脆弱性を調べるもの。エはソースコードを解析する静的検査で,いずれも入力を与えて挙動を見るファジングとは異なる。
出典:令和2年度 10月 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
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