令和4年度 春期 午前Ⅰ

令和4年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

この年度を解いてみる

問1

ハミング符号とは,データに冗長ビットを付加して,1ビットの誤りを訂正できるようにしたものである。ここでは,X1,X2,X3,X4 の4ビットから成るデータに,3ビットの冗長ビット P3,P2,P1 を付加したハミング符号 X1X2X3P3X4P2P1 を考える。付加したビット P1,P2,P3 は,それぞれ

となるように決める。ここで,⊕ は排他的論理和を表す。

ハミング符号 1110011 には1ビットの誤りが存在する。誤りビットを訂正したハミング符号はどれか。

正解 

解説

符号 1110011 を X1X2X3P3X4P2P1 の順に読むと,X1=1,X2=1,X3=1,P3=0,X4=0,P2=1,P1=1。三つの検査式に当てはめると,X1⊕X3⊕X4⊕P1=1,X1⊕X2⊕X4⊕P2=1,X1⊕X2⊕X3⊕P3=1 となり,三つとも0にならない。三つの式すべてに現れるビットは X1 だけなので,誤っているのは X1。これを1から0に直した 0110011 が答えになる。

誤りが1ビットなら,成立しない式の組合せで位置を特定できる。1番目の式だけが成立しなければ誤りは P1,1番目と2番目だけなら X4,というように対応する。イは X2,ウは X3,エは X4 を反転した符号で,いずれも検査式を満たさない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

リストには,配列で実現する場合とポインタで実現する場合とがある。リストを配列で実現した場合の特徴として,適切なものはどれか。ここで,配列を用いたリストは配列に要素を連続して格納することによってリストを構成し,ポインタを用いたリストは要素と次の要素へのポインタを用いることによってリストを構成するものとする。

正解 

解説

配列でリストを実現すると,要素を連続した領域に並べるため,あらかじめ入れられる最大個数分の領域を確保しておく必要がある。実際の要素数がそれより少ないと,使われない領域がそのまま残る。アがこの特徴に当たる。

イ・ウ・エはいずれもポインタで実現した場合の特徴。イの「先頭から順にたどる」必要があるのはポインタ方式で,配列なら添字で直接参照できる。ウの次の要素を指し示す領域が要るのもポインタ方式。エの挿入が一定時間で済むのもポインタ方式で,配列では挿入位置より後ろの要素をずらすので要素数に比例した時間がかかる。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

プログラム言語のうち,ブロックの範囲を指定する方法として特定の記号や予約語を用いず,等しい文字数の字下げを用いるという特徴をもつものはどれか。

正解 

解説

Python は,ブロックの範囲を字下げ(インデント)の深さで表す。これはオフサイドルールと呼ばれる方式で,同じ深さに字下げされた文が一つのブロックになる。エが正しい。

アの C とイの Java はブロックを中括弧 { } で囲み,ウの PHP も同じく中括弧を使う。これらの言語では字下げは読みやすさのためのもので,意味をもたない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

問4

キャッシュメモリのアクセス時間が主記憶のアクセス時間の 1/30 で,ヒット率が95%のとき,実効メモリアクセス時間は,主記憶のアクセス時間の約何倍になるか。

正解 

解説

主記憶のアクセス時間を1とすると,キャッシュのアクセス時間は 1/30。実効メモリアクセス時間はヒット時とミス時の重み付き平均なので,0.95×(1/30)+0.05×1=0.0317+0.05=0.0817 となり,約0.08倍。イが答えになる。

アの0.03はキャッシュのアクセス時間 1/30 そのもので,ヒット率が100%の場合の値。ウの0.37は 1/30 を 1/3 と読み違えたときの値(0.95×1/3+0.05=0.37)。エの0.95はヒット率をそのまま答えにしたもの。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

プロセッサ数と,計算処理におけるプロセスの並列化が可能な部分の割合とが,性能向上へ及ぼす影響に関する記述のうち,アムダールの法則に基づいたものはどれか。

正解 

解説

アムダールの法則では,並列化できる部分の割合を p,プロセッサ数を n とすると,速度向上比は 1/((1−p)+p/n) になる。並列化できない部分 (1−p) は n をいくら増やしても縮まないので,速度向上比は 1/(1−p) という上限に漸近的に近づく。ウがこれを述べている。

アは「全ての計算処理が並列化できる場合」なので p=1 となり,速度向上比はプロセッサ数に比例して増え,ある水準に頭打ちにはならない。イは並列化できない処理があるのに比例して増えるとしており,法則と逆。エは並列化できる割合が増えれば速度向上比は大きくなるので,減少するというのは逆である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

一つの I2C バスに接続された二つのセンサがある。それぞれのセンサ値を読み込む二つのタスクで排他的に制御したい。利用するリアルタイム OS の機能として,適切なものはどれか。

正解 

解説

一つのバスは同時に一つのタスクしか使えない共有資源なので,二つのタスクが同時に触らないようにする排他制御が要る。リアルタイム OS では,値が1のセマフォ(バイナリセマフォ)を使い,バスを使う前に獲得し,使い終わったら解放することでこれを実現する。イが正しい。

アのキューはタスク間でメッセージやデータを受け渡すための機能。ウのマルチスレッドは一つのプロセスの中で複数の処理を並行させる方式そのもので,排他制御の機能ではない。エのラウンドロビンは各タスクに順番に一定時間ずつプロセッサを割り当てるスケジューリング方式である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

問7

アクチュエータの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

アクチュエータは,電気や油圧などのエネルギーを,回転や直進といった機械的な動きに変換する装置。モータやソレノイド,油圧シリンダなどがこれに当たる。ウが正しい。

アは目標量と制御量を比べて操作量を決める制御器(コントローラ)の説明。イは物理量を電気信号に変換するセンサ。エは微小な電気信号を増幅するアンプ(増幅器)の説明である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

第1,第2,第3正規形とリレーションの特徴 a,b,c の組合せのうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

第1正規形は,一つの欄に複数の値が入る繰返し属性をなくした形なので c。第2正規形は,第1正規形であって,非キー属性が主キーの一部(真部分集合)だけで決まる部分関数従属をなくした形なので a。第3正規形は,第2正規形であって,非キー属性が別の非キー属性を介して主キーに従属する推移的関数従属をなくした形なので b。よってウの組合せになる。

正規化は,繰返しをなくす(c)→ 複合キーの一部だけで決まる属性を分離する(a)→ 非キー属性どうしの従属を分離する(b)の順に進む。ア・イ・エはこの対応が入れ替わっている。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

ビッグデータの利用におけるデータマイニングを説明したものはどれか。

正解 

解説

データマイニングは,蓄積された大量のデータを統計や機械学習の手法で分析し,条件を指定した検索では見つからない規則性や相関関係を掘り出す(mining)ことをいう。アがこれに当たる。

イはデータウェアハウスから特定の用途向けに切り出したデータマートの説明。ウはデータの構造や意味を規定したデータモデルの説明。エは複数サーバにデータの複製を置くレプリケーションの説明である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

問10

UDP を使用しているものはどれか。

正解 

解説

NTP(Network Time Protocol)は時刻を問い合わせて応答を受け取るだけの単純なやり取りで完結し,取りこぼしても次の機会に取り直せばよいので,コネクションを張らない UDP(ポート123番)を使う。イが正しい。

アの FTP はデータの確実な転送が要るので TCP(20番・21番),ウの POP3 も TCP(110番),エの TELNET も TCP(23番)を使う。いずれも順序どおり欠落なく届くことが前提のプロトコルである。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

問11

OpenFlow を使った SDN(Software-Defined Networking)に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 

解説

SDN は,パケットを実際に転送する機能(データプレーン)と,どう転送するかを決める機能(コントロールプレーン)を論理的に分離し,後者をコントローラに集約してソフトウェアからネットワーク全体を制御できるようにするアーキテクチャ。OpenFlow は,コントローラとスイッチの間でフローテーブルをやり取りするための代表的なプロトコルである。エが正しい。

アは DNS,イは VoLTE,ウは SAN(Storage Area Network)の説明である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

問12

メッセージの送受信における署名鍵の使用に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

署名鍵は署名する本人だけがもつ秘密の鍵で,これでメッセージから署名を作り,メッセージに添えて送る。受信者は対応する検証鍵(公開鍵)で署名を確かめることで,送信者本人が署名したこと,途中で改ざんされていないことを確認できる。アが正しい。

イとウは署名鍵を守秘のための暗号化に使うとしている点が誤り。内容を秘密にする暗号化は受信者の公開鍵で行い,受信者だけが自分の秘密鍵で復号する。エはディジタル署名で改ざんの有無は検知できるが,どこが改ざんされたかまでは特定できない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

問13

クライアント証明書で利用者を認証するリバースプロキシサーバを用いて,複数の Web サーバにシングルサインオンを行うシステムがある。このシステムに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

この方式では,クライアント証明書はあらかじめ利用者の PC に導入しておき,認証のときに PC からリバースプロキシサーバへ提示する。リバースプロキシサーバは利用者を認証したうえで,利用者 ID などの情報を HTTP ヘッダなどに載せて背後の Web サーバへ渡すので,各 Web サーバは改めて認証しなくてよい。これがシングルサインオンになる。エが正しい。

アとイはクライアント証明書をサーバから PC へ送信するとしているが,向きが逆である。ウは利用者の PC が Web サーバへ直接情報を送るとしているが,この構成では PC はリバースプロキシサーバとしか通信せず,Web サーバとは直接やり取りしない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

問14

内部ネットワークの PC からインターネット上の Web サイトを参照するときに,DMZ に設置した VDI(Virtual Desktop Infrastructure)サーバ上の Web ブラウザを利用すると,未知のマルウェアが PC にダウンロードされるのを防ぐというセキュリティ上の効果が期待できる。この効果を生み出す VDI サーバの動作の特徴はどれか。

正解 

解説

VDI では Web ブラウザは DMZ 上のサーバで動き,Web サイトから受け取ったデータの処理もそのサーバ内で完結する。PC に送られるのは描画済みのデスクトップ画面の画像だけなので,ダウンロードされたファイルやスクリプトが PC に届くことがない。未知のマルウェアであっても PC 側では実行されない。ウが正しい。

アの IPsec によるカプセル化は通信路を保護するだけで,中身のマルウェアは防げない。イの実行ファイルの削除やエの不正なコード列の検知は,内容を検査して問題がなければ通す方式なので,パターンの分からない未知のマルウェアには効きにくい。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

ファジングに該当するものはどれか。

正解 

解説

ファジング(fuzzing)は,極端に長い文字列や想定外の値など,問題を引き起こしそうなデータを大量に入力し,異常終了や想定外の動作が起きないかを監視して脆弱性を洗い出す手法。仕様やソースコードが分からなくても実施できる。ウが正しい。

アはサーバに FIN パケットを送って応答から稼働中のサービスを探る FIN スキャン。イはログを解析するファイル改ざんの検知。エはあらかじめ登録した攻撃パターンと照合するシグネチャ型の IDS/IPS の説明である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

問16

次の流れ図において,判定条件網羅(分岐網羅)を満たす最少のテストケースの組みはどれか。

流れ図。開始のあと 1→C。判定「A>0 かつ B=0」が Yes なら A×C→C,No なら 2→C を実行して合流する。次に判定「A>0 かつ C=1」が Yes ならそのまま,No なら C<sup>2</sup>→C を実行して合流し,終了する。

正解 

解説

判定条件網羅(分岐網羅)は,それぞれの判定について,真と偽の両方を1回以上通ればよい。イの (1) A=1,B=0 では1番目の判定「A>0 かつ B=0」が Yes になり,C は 1×1=1 のままなので2番目の判定「A>0 かつ C=1」も Yes になる。(2) A=1,B=1 では B が0でないので1番目は No となり C=2 になり,2番目も C が1でないので No。この2件で両方の判定の Yes と No がそろう。

アは (1)(2) とも A>0 かつ B=0 が成り立たず,1番目の判定が No にしかならない。ウとエは網羅こそ満たすが,テストケースが3件あり最少ではない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

問題は発生していないが,プログラムの仕様書と現状のソースコードとの不整合を解消するために,リバースエンジニアリングの手法を使って仕様書を作成し直す。これはソフトウェア保守のどの分類に該当するか。

正解 

解説

JIS X 0161:2008 はソフトウェア保守を是正保守・予防保守・適応保守・完全化保守の四つに分類しており,完全化保守は引渡し後のソフトウェア製品の性能又は保守性を改善するための修正と定義されている。仕様書と実装の食い違いを直して文書を整え直す作業は,以後の変更をしやすくする=保守性の改善に当たるので,アの完全化保守になる。

イの是正保守は引渡し後に発見された問題を訂正する受身の修正,ウの適応保守は変化した環境で使い続けられるようにするための修正,エの予防保守は潜在的な障害が運用障害になる前に発見して是正する修正である。この設問では障害も環境変化も起きていない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

ある組織では,プロジェクトのスケジュールとコストの管理にアーンドバリューマネジメントを用いている。期間10日間のプロジェクトの,5日目の終了時点の状況は表のとおりである。この時点でのコスト効率が今後も続くとしたとき,完成時総コスト見積り(EAC)は何万円か。

管理項目と金額(万円)の表。完成時総予算(BAC)100,プランドバリュー(PV)50,アーンドバリュー(EV)40,実コスト(AC)60。

正解 

解説

コスト効率指数 CPI は EV/AC で求めるので,40/60=2/3。この効率が完成まで続くとみると,完成時総コスト見積り EAC=BAC/CPI=100÷(2/3)=150万円になる。エが正しい。

数値で見ると,40万円分の出来高に60万円かかっている=予定の1.5倍の費用がかかっているので,総予算100万円の作業を終えるにも1.5倍の150万円が必要になる,と読める。イの120は EAC=AC+(BAC−EV)=60+60 で求めた値で,残りの作業は予定どおりの効率で進むとみなした場合の見積り。アの110とウの135は,この表の数値からは導けない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

問19

ソフトウェア開発プロジェクトにおいて,表の全ての作業を完了させるために必要な期間は最短で何日間か。

作業,作業の開始条件,所要日数(日)の表。要件定義は開始条件なしで30日,設計は要件定義の完了後20日,製造は設計の完了後25日,テストは製造の完了後15日,利用者マニュアル作成は設計の完了後20日,利用者教育はテストの完了及び利用者マニュアル作成の完了後10日。

正解 

解説

依存関係をたどると,要件定義30日 → 設計20日で累計50日。ここから2本に分かれ,製造25日 → テスト15日の経路は累計90日,利用者マニュアル作成20日の経路は累計70日になる。利用者教育はテストと利用者マニュアル作成の両方の完了が条件なので,遅い方の90日目から始まり10日かかる。合計100日でウが正しい。

並行して進められる作業は足し合わせず,最も長い経路(クリティカルパス)の長さが全体の最短期間になる。アの80は利用者マニュアル作成を通る経路(30+20+20+10)だけを見た値,エの120は全ての作業の所要日数を単純に合計した値である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

ITIL 2011 edition では,可用性管理における重要業績評価指標(KPI)の例として,“保守性を表す指標値”の短縮を挙げている。保守性を表す指標に該当するものはどれか。

正解 

解説

可用性管理では,故障しにくさを表す信頼性と,故障してから復旧するまでの速さを表す保守性を分けて扱う。ITIL 2011 edition が保守性の指標として挙げているのは MTRS(平均サービス回復時間)で,サービスが停止してから復旧するまでの平均時間を指す。エが正しい。

アの一定期間内での中断の数,イの平均故障間隔(MTBF),ウの平均サービス・インシデント間隔(MTBSI)は,いずれもどれだけ故障しにくいかを表す信頼性の指標である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

問21

基幹業務システムの構築及び運用において,データ管理者(DA)とデータベース管理者(DBA)を別々に任命した場合の DA の役割として,適切なものはどれか。

正解 

解説

DA(データ管理者)は,組織全体のデータを資源として捉え,データ項目の標準化や論理データベース設計といった“データそのもの”の管理を担う。

ア・ウ・エはいずれも DBA(データベース管理者)の役割で,容量の管理,性能チューニング,障害時の復旧など,DBMS の運用に関わる業務。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

問22

監査証拠の入手と評価に関する記述のうち,システム監査基準(平成30年)に照らして,適切でないものはどれか。

正解 

解説

システム監査基準(平成30年)の基準8は,監査手続の適用に当たり,十分かつ適切な監査証拠を入手し評価することを求めている。その解釈指針では,アジャイル型開発のように管理用ドキュメントとしての体裁が整っていない記録であっても監査証拠として利用できるとしており,監査対応のためだけに文書を作らせて負荷をかけないよう求めている。体裁が整っているものだけに限るとするアが,基準に照らして適切でない。

イは,委託先から入手した第三者の保証報告書に依拠できると判断すれば現地調査に代えられるという考え方で,基準に沿う。ウの予備調査は,本調査の前に監査対象の実態を把握する手続として基準に定められている。エも,一つの監査目的に対して複数の監査手続を組み合わせるという基準の考え方どおりである。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

問23

BPO の説明はどれか。

正解 

解説

BPO(Business Process Outsourcing)は,自社の中核ではない業務プロセスを,その分野を専門とする外部企業にまとめて委託すること。人事・経理・コールセンターなどが対象になりやすい。イが正しい。

アは事業継続計画(BCP)や事業継続管理(BCM)の説明。ウは MRP(資材所要量計画)の説明。エはプロジェクトポートフォリオマネジメントの説明である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

問24

IT 投資効果の評価方法において,キャッシュフローベースで初年度の投資によるキャッシュアウトを何年後に回収できるかという指標はどれか。

正解 

解説

PBP(Pay Back Period,回収期間法)は,投資によって出ていったキャッシュを,その後のキャッシュインで何年後に回収できるかを見る指標。金額ではなく期間で評価する点が特徴で,ウが正しい。

アの IRR は正味現在価値がゼロになる割引率を求めるもの。イの NPV は将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて投資額を差し引いた金額。エの ROI は投資額に対する利益の割合で,いずれも回収までの期間を表す指標ではない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

UML の図のうち,業務要件定義において,業務フローを記述する際に使用する,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図はどれか。

正解 

解説

アクティビティ図は,処理の流れを開始から終了まで順に表す UML の図で,条件による分岐(デシジョンノード),並行処理への分割と同期(フォーク・ジョイン),担当者ごとのレーン分け(パーティション)を書ける。業務フローの記述に向くのでアが正しい。

イのクラス図はクラスと関連による静的な構造,ウの状態マシン図は一つのオブジェクトが取る状態とその遷移,エのユースケース図は利用者(アクタ)とシステムが提供する機能の関係を表す図で,いずれも処理の流れそのものは表現しない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

PPM において,投資用の資金源として位置付けられる事業はどれか。

正解 

解説

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)では,市場成長率と相対的市場占有率の2軸で事業を四つに分ける。市場成長率が低く相対的市場占有率が高い「金のなる木」は,追加投資が少なくて済むうえ大きな資金を生むので,他の事業への投資用の資金源として位置付けられる。ウが正しい。

アは「花形」で,資金は生むが成長に合わせた投資も必要になる。イは「問題児」で,資金を投入して花形に育てるか撤退するかを判断する対象。エは「負け犬」で,撤退を検討する対象である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

半導体産業において,ファブレス企業と比較したファウンドリ企業のビジネスモデルの特徴として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ファウンドリ企業は自社ブランドの製品をもたず,他社から設計データを受け取って半導体の製造だけを専門に請け負う。多くの企業の注文をまとめて自社の製造設備を高い稼働率で回すことで,低コストでの生産を成り立たせている。エが正しい。

アとイはファブレス企業の特徴で,工場をもたず設計やマーケティングに注力し,生産は外部に委託する。ウの自社製品の販売への注力は,自社製品をもたないファウンドリ企業には当てはまらない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

XBRL で主要な取扱いの対象とされている情報はどれか。

正解 

解説

XBRL(eXtensible Business Reporting Language)は,財務諸表などの企業の財務情報を記述するための XML ベースの言語。項目に意味付けをして記述するので,開示された財務情報をそのまま機械処理して比較・分析できる。日本でも有価証券報告書などの電子開示に使われている。ウが正しい。

アの医療機関のカルテ情報,イの企業の顧客情報,エの自治体の住民情報は,いずれも XBRL が対象とする情報ではない。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

リーダシップ論のうち,PM 理論の特徴はどれか。

正解 

解説

PM 理論は三隅二不二が提唱したリーダシップ論で,リーダの行動を P 機能(Performance=目標達成機能)と M 機能(Maintenance=集団維持機能)の二つの次元でとらえ,両方が高い PM 型を最も望ましいとする。イがこの特徴を述べている。

アはリーダ個人の資質に注目する特性理論(資質論)。ウは部下の成熟度に応じてリーダの取るべき行動が変わるとする SL 理論。エはリーダのパーソナリティと状況の統制しやすさの組合せで有効性が決まるとするフィードラーのコンティンジェンシー理論である。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

A 社は,B 社と著作物の権利に関する特段の取決めをせず,A 社の要求仕様に基づいて,販売管理システムのプログラム作成を B 社に委託した。この場合のプログラム著作権の原始的帰属に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

著作権は,原則としてその著作物を実際に創作した者に原始的に帰属する。法人に帰属するのは著作権法第15条の職務著作に当たる場合で,これは法人等の業務に従事する者が職務上作成したときの規定である。今回プログラムを作成したのは受託した B 社なので,特段の取決めがなければ著作権は B 社に帰属する。エが正しい。

アのように後から話し合って決めるのは原始的帰属ではなく,譲渡の取決めの話になる。イの共有帰属となるのは両社が共同で創作し,各人の寄与を分離して利用できない場合。ウのように委託した A 社に帰属させるには,契約で著作権の譲渡を定めておく必要がある。

出典:令和4年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)