平成24年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
全体集合 S 内に異なる部分集合 A と B があるとき,A̅∩B̅ に等しいものはどれか。ここで,A∪B は A と B の和集合,A∩B は A と B の積集合,A̅ は S における A の補集合,A−B は A から B を除いた差集合を表す。
ア A̅−B 正解
イ (A̅∪B̅)−(A∩B)
ウ (S−A)∪(S−B)
エ S−(A∩B)
正解 ア
解説
ド・モルガンの法則により,A̅∩B̅ は A∪B の補集合,つまり A にも B にも属さない要素の集合になる。アの A̅−B は「A に属さない要素から,さらに B に属するものを除いたもの」なので A̅ かつ B でない,すなわち A̅∩B̅ と同じ集合を表す。アが正しい。
イの (A̅∪B̅)−(A∩B) は,A̅∪B̅ がド・モルガンの法則で A∩B の補集合になり,そこから A∩B を引いても変わらないので A∩B の補集合のまま。ウの (S−A)∪(S−B) は A̅∪B̅ で,これも A∩B の補集合。エの S−(A∩B) も同じ集合で,イ・ウ・エはいずれも「A と B の少なくとも一方に属さない要素」を表しており,求める集合より広い。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
4ビットから成る情報ビット x1 x2 x3 x4 に対して,次の式を満たす冗長ビット x5 x6 x7 を付加した符号 x1 x2 x3 x4 x5 x6 x7 を送信する。受信符号 y1 y2 y3 y4 y5 y6 y7 が,送信符号と高々1ビットしか異ならないとき,(y1 +y2 +y3 +y5 ) mod 2,(y1 +y2 +y4 +y6 ) mod 2,(y2 +y3 +y4 +y7 ) mod 2 がそれぞれ 0 になるかどうかによって,正しい情報ビット x1 x2 x3 x4 を求めることが可能である。y1 y2 y3 y4 y5 y6 y7 =1100010 であるとき,正しい情報ビットはどれか。ここで,a mod b は,a を b で割った余りを表す。
(x₁+x₂+x₃+x₅) mod 2=0
(x₁+x₂+x₄+x₆) mod 2=0
(x₂+x₃+x₄+x₇) mod 2=0
ア 0100
イ 1000
ウ 1100
エ 1101 正解
正解 エ
解説
受信符号 1100010 を y1 〜y7 に当てはめると,y1 =1,y2 =1,y3 =0,y4 =0,y5 =0,y6 =1,y7 =0。三つの検査式は,(1+1+0+0) mod 2=0,(1+1+0+1) mod 2=1,(1+0+0+0) mod 2=1 となり,2番目と3番目の式だけが0にならない。
誤りが1ビットなら,2番目と3番目の式にだけ現れ,1番目の式に現れないビットが誤っている。該当するのは y4 だけなので,y4 を0から1に訂正すると情報ビットは 1101 になり,エが正しい。ウの 1100 は受信した情報ビットをそのまま答えたもので,誤りを訂正していない。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
配列を用いてスタックを実現する場合の構成要素として,最低限必要なものはどれか。
ア スタックに最後に入った要素を示す添字の変数 正解
イ スタックに最初に入った要素と最後に入った要素を示す添字の変数
ウ スタックに一つ前に入った要素を示す添字の変数を格納する配列
エ スタックの途中に入っている要素を示す添字の変数
正解 ア
解説
スタックは後入れ先出しのデータ構造で,要素の追加(プッシュ)も取出し(ポップ)も,最後に入った要素の位置で行う。配列でスタックを実現するには,要素を格納する配列と,最後に入った要素(スタックの頂上)の位置を示す添字の変数が一つあれば足りる。アが正しい。
イの最初に入った要素の位置は,先入れ先出しのキューで取出し位置を管理するのに必要なもので,スタックには不要である。ウの一つ前の要素を示す添字を格納する配列は,連結リストでスタックを作る場合の考え方で,配列では要素が連続して並ぶので要らない。エの途中の要素を示す添字は,スタックの操作では使わない。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
命令を並列実行するためのアーキテクチャであって,複数の命令を同時に実行するとき,命令を実行する演算器をハードウェアによって動的に割り当てる方式はどれか。
ア SMP
イ VLIW
ウ スーパスカラ 正解
エ スーパパイプライン
正解 ウ
解説
スーパスカラは,プロセッサ内に複数の演算器(実行ユニット)を備え,同時に実行できる複数の命令を,実行時にハードウェアが空いている演算器へ動的に割り当てて並列に実行する方式である。ウが正しい。
イの VLIW は,並列に実行できる命令の組合せをコンパイラが事前に解析して一つの長い命令にまとめる方式で,演算器の割当てはハードウェアではなくコンパイル時に決まる。アの SMP は,複数のプロセッサが主記憶を共有して対等に処理を分担するマルチプロセッサの構成。エのスーパパイプラインは,パイプラインの段数を増やして1段当たりの処理を細かくし,動作周波数を上げる方式である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
キャッシュメモリへの書込み動作には,ライトスルー方式とライトバック方式がある。それぞれの特徴のうち,適切なものはどれか。
ア ライトスルー方式では,データをキャッシュメモリだけに書き込むので,高速に書込みができる。
イ ライトスルー方式では,データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,主記憶の内容は常に最新である。 正解
ウ ライトバック方式では,データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,速度が遅い。
エ ライトバック方式では,読出し時にキャッシュミスが発生してキャッシュメモリの内容が追い出されるときに,主記憶に書き戻す必要が生じることはない。
正解 イ
解説
ライトスルー方式は,書込みのたびにキャッシュメモリと主記憶の両方へ書くので,主記憶の内容が常に最新に保たれる。イが正しい。キャッシュだけを見て主記憶が古いという状態にならないため,複数のプロセッサや DMA から主記憶を参照する構成でも整合性を取りやすい。
アはライトバック方式の特徴で,キャッシュだけに書くから速い。ウはライトスルー方式の説明を「ライトバック方式」として書いているので誤り。エはライトバック方式では主記憶が古いままなので,追い出されるときに書き戻しが必要になる。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
図の回線網における福岡・東京間の回線の稼働率はおよそ幾らか。ここで,隣接するノード間の回線の稼働率は,全て 0.9 とする。
ア 0.81
イ 0.88 正解
ウ 0.89
エ 0.98
正解 イ
解説
福岡と大阪の間は1本の回線だけで,稼働率は 0.9 である。大阪と東京の間は,直通の回線(0.9)と,名古屋を経由する経路(0.9×0.9=0.81)の並列になるので,稼働率は 1−(1−0.9)×(1−0.81)=1−0.1×0.19=0.981 となる。
福岡・東京間はこの二つの部分の直列なので,0.9×0.981≒0.883,およそ 0.88 となり,イが正しい。名古屋経由の経路を考えずに 0.9×0.9 とすると 0.81(ア)になる。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
プログラム実行時の主記憶管理に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 主記憶の空き領域を結合して一つの連続した領域にすることを,可変区画方式という。
イ プログラムが使用しなくなったヒープ領域を回収して再度使用可能にすることを,ガーベジコレクションという。 正解
ウ プログラムの実行中に主記憶内でモジュールの格納位置を移動させることを,動的リンキングという。
エ プログラムの実行中に必要になった時点でモジュールをロードすることを,動的再配置という。
正解 イ
解説
ガーベジコレクションは,プログラムが動的に確保したヒープ領域のうち,どこからも参照されなくなった領域を自動的に見つけて回収し,再び割当てに使えるようにする仕組み。イが正しい。
アの空き領域を結合して連続領域にすることはコンパクション(ガーベジコレクションの一部として行われることもある)。ウの実行中にモジュールの格納位置を移動させることは動的再配置。エの必要になった時点でモジュールをロードすることは動的リンキング(動的ロード)で,ウとエは用語が入れ替わっている。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
ページング方式の仮想記憶を用いることによって,フラグメンテーションの問題を解決できる理由はどれか。
ア 一連のプログラムやデータを,不連続な主記憶に割り付けることができる。 正解
イ 仮想記憶のページ数を主記憶のページ数よりも多くすることができる。
ウ プログラム全体を1ページに割り付けることができる。
エ プログラムのローディング時に主記憶を割り付けることができる。
正解 ア
解説
ページング方式では,プログラムやデータを固定長のページに分け,主記憶上の空いているページ枠であれば場所を問わずに割り付けられる。連続した空き領域を必要としないので,空き領域が細切れになって大きな領域を確保できなくなるフラグメンテーションの問題を解決できる。アが正しい。
イの仮想記憶のページ数を主記憶より多くできることは,主記憶より大きなプログラムを実行できるという仮想記憶の利点で,フラグメンテーションの解決とは別の話である。ウのプログラム全体を1ページに割り付けることはページング方式の特徴ではない。エのローディング時に主記憶を割り付けることは,ページングを使わない方式でも行える。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
ストアドプロシージャの利点はどれか。
ア アプリケーションプログラムからネットワークを介して DBMS にアクセスする場合,両者間の通信量を減少させる。 正解
イ アプリケーションプログラムからの一連の要求を一括して処理することによって,DBMS 内の実行計画の数を減少させる。
ウ アプリケーションプログラムからの一連の要求を一括して処理することによって,DBMS 内の必要バッファ数を減少させる。
エ データが格納されているディスク装置への I/O 回数を減少させる。
正解 ア
解説
ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をあらかじめ DBMS 側に登録しておき,呼出し1回で実行させる仕組み。SQL 文を1文ずつ送る必要がなくなるので,アプリケーションと DBMS の間の通信量(ネットワーク負荷)が減る。
イ・ウ・エはいずれもストアドプロシージャによって直接減るものではない。処理する内容が同じである以上,実行計画の数やバッファ数,ディスクへの I/O 回数が減るわけではない。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
データウェアハウスに業務データを取り込むとき,データを抽出して加工し,データベースに書き出すツールはどれか。
ア ETL ツール 正解
イ OLAP ツール
ウ データマイニングツール
エ 統計ツール
正解 ア
解説
ETL ツールは,業務システムなどのデータベースからデータを抽出(Extract)し,データウェアハウスで使えるように形式をそろえるなどの変換・加工(Transform)を行い,データウェアハウスのデータベースに書き出す(Load)ツールである。アが正しい。
イの OLAP ツールは,データウェアハウスに蓄積されたデータを多次元的に集計・分析するツール。ウのデータマイニングツールは,大量のデータから規則性や相関関係を見つけ出すツール。エの統計ツールは,データに統計的な手法を適用して分析するツールで,いずれもデータを取り込む前段の処理を担うものではない。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
JavaScript などのスクリプト言語を使って,Web ブラウザに組み込まれているサーバとの非同期通信機能を利用する技術であり,地図の高速なスクロールや,キーボード入力に合わせた検索候補の逐次表示などを実現するものはどれか。
正解 ア
解説
Ajax(Asynchronous JavaScript and XML)は,JavaScript から Web ブラウザの非同期通信機能(XMLHttpRequest など)を使ってサーバとデータをやり取りし,ページ全体を再読込みせずに画面の一部だけを書き換える技術である。地図のスクロールに応じた画像の読込みや,入力途中での検索候補の表示に使われ,アが該当する。
イの CSS は Web ページのレイアウトや装飾を指定する言語,ウの DOM は HTML や XML の文書をプログラムから木構造として操作するための API である。エの SAX は XML 文書を先頭から読み進め,要素の開始や終了をイベントとして通知するパーサの API である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
SSL によるクライアントと Web サーバ間の通信手順(1)〜(5)において,a,b に入る適切な語句の組合せはどれか。ここで,記述した手順は,一部簡略化している。
(1) クライアントからの SSL による接続要求に対し,Web サーバはサーバ証明書をクライアントに送付する。 (2) クライアントは,保持している a を用いてこのサーバ証明書の正当性を確認する。 (3) クライアントは,共通鍵生成用のデータを作成し,サーバ証明書に添付された b を用いてこの共通鍵生成用データを暗号化し,Web サーバに送付する。 (4) 暗号化された共通鍵生成用データを受け取った Web サーバは,自らの秘密鍵を用いてこれを復号する。 (5) クライアントと Web サーバの両者は,同一の共通鍵生成用データによって共通鍵を作成し,これ以降の両者間の通信は,この共通鍵による暗号化通信を行う。
ア a:クライアントの公開鍵,b:Web サーバの秘密鍵
イ a:クライアントの秘密鍵,b:Web サーバの公開鍵
ウ a:認証局の公開鍵,b:Web サーバの公開鍵 正解
エ a:認証局の公開鍵,b:Web サーバの秘密鍵
正解 ウ
解説
SSL(TLS)では,(2) でクライアントは,サーバ証明書に付けられた認証局のディジタル署名を,あらかじめ保持している認証局の公開鍵で検証し,証明書が正当であることを確認する。よって a は認証局の公開鍵である。
(3) でクライアントは,サーバ証明書に含まれる Web サーバの公開鍵で共通鍵生成用データを暗号化して送る。(4) で Web サーバが自らの秘密鍵で復号できるのは,対になる公開鍵で暗号化されているからで,b は Web サーバの公開鍵となる。ウが正しい。
ア,イのクライアントの鍵はこの手順では使わない。エの Web サーバの秘密鍵はサーバだけが持つもので,サーバ証明書に添付されることはない。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
シングルサインオンの説明のうち,適切なものはどれか。
ア クッキーを使ったシングルサインオンの場合,サーバごとの認証情報を含んだクッキーをクライアントで生成し,各サーバ上で保存,管理する。
イ クッキーを使ったシングルサインオンの場合,認証対象のサーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。
ウ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,認証対象の Web サーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。
エ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,利用者認証においてパスワードの代わりにディジタル証明書を用いることができる。 正解
正解 エ
解説
リバースプロキシ型のシングルサインオンでは全ての通信がリバースプロキシを経由するので,そこで利用者認証を行う。認証方式はパスワードに限られず,クライアント証明書(デジタル証明書)を用いることもできる。
アは誤り。cookie を生成するのはクライアントではなく認証を行うサーバ側。イは誤り。cookie は発行元ドメインにしか送られないので,cookie 方式では同一ドメインに配置する必要がある。ウは誤り。リバースプロキシ方式ではドメインを分ける必要はない。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
暗号方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア AES は公開鍵暗号方式,RSA は共通鍵暗号方式の一種である。
イ 共通鍵暗号方式では,暗号化及び復号に使用する鍵が同一である。 正解
ウ 公開鍵暗号方式を通信内容の秘匿に使用する場合は,暗号化に使用する鍵を秘密にして,復号に使用する鍵を公開する。
エ ディジタル署名に公開鍵暗号方式が使用されることはなく,共通鍵暗号方式が使用される。
正解 イ
解説
共通鍵暗号方式は,暗号化と復号に同じ鍵を使う方式である。イが適切である。
アは誤りで,AES は共通鍵暗号方式,RSA は公開鍵暗号方式である。ウも誤りで,公開鍵暗号方式を通信内容の秘匿に使う場合は,受信者の公開鍵で暗号化し,受信者だけがもつ秘密鍵で復号する。暗号化鍵を公開し,復号鍵を秘密にする。エも誤りで,デジタル署名では,送信者が自分の秘密鍵で署名を作り,受信者が送信者の公開鍵で検証するので,公開鍵暗号方式が使われる。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
安全な Web アプリケーションの作り方について,攻撃と対策の適切な組合せはどれか。
ア 攻撃:SQL インジェクション 対策:SQL 文の組立てに静的プレースホルダを使用する。 正解
イ 攻撃:クロスサイトスクリプティング 対策:任意の外部サイトのスタイルシートを取り込めるようにする。
ウ 攻撃:クロスサイトリクエストフォージェリ 対策:リクエストに GET メソッドを使用する。
エ 攻撃:セッションハイジャック 対策:利用者ごとに固定のセッション ID を使用する。
正解 ア
解説
SQL インジェクションは,入力値に SQL の一部を紛れ込ませて意図しない SQL 文を実行させる攻撃である。静的プレースホルダを使うと,SQL 文の構造があらかじめ確定し,入力値は常に値として扱われるので,攻撃を根本的に防げる。アが適切である。
イは誤りで,任意の外部サイトのスタイルシートを取り込めるようにすると,かえってクロスサイトスクリプティングなどの危険が増す。ウは誤りで,クロスサイトリクエストフォージェリの対策は秘密のトークンの確認などであり,GET メソッドを使うことは対策にならない。エは誤りで,セッション ID を固定するとセッションハイジャックの危険が高まり,ログイン後に新しいセッション ID を発行するなどの対策が必要である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
ソフトウェアの要件定義や分析・設計で用いられる技法に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 決定表は,条件と処理を対比させた表形式で論理を表現したものであり,複雑な条件判定を伴う要件定義の記述手段として有効である。 正解
イ 構造化チャートは,システムの“状態”の種別とその状態が遷移するための“要因”との関係を分かりやすく表現する手段として有効である。
ウ 状態遷移図は,DFD に“コントロール変換とコントロールフロー”を付加したものであり,制御系システムに特有な処理を表現する手段として有効である。
エ 制御フロー図は,データの“源泉,吸収,流れ,処理,格納”を基本要素としており,システム内のデータの流れを表現する手段として有効である。
正解 ア
解説
決定表(デシジョンテーブル)は,条件とその組合せ,それに対応する処理を表形式で対比させて論理を表現するもので,複雑な条件判定を漏れなく整理できるため,要件定義の記述手段として有効である。アが適切である。
イの“状態”とその遷移の“要因”との関係を表すのは状態遷移図で,構造化チャートはプログラムの階層構造を表す図である。ウの DFD にコントロール変換とコントロールフローを付加したものは,リアルタイムシステムの分析に使う制御フロー図(拡張 DFD)で,状態遷移図ではない。エのデータの源泉,吸収,流れ,処理,格納を基本要素とするのは DFD(データフロー図)である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
プログラムの著作権侵害に該当するものはどれか。
ア A 社が開発したソフトウェアの公開済プロトコルに基づいて,A 社が販売しているソフトウェアと同等の機能をもつソフトウェアを独自に開発して販売した。
イ ソフトウェアハウスと使用許諾契約を締結し,契約上は複製権の許諾は受けていないが,使用許諾を受けたソフトウェアにはプロテクトがかけられていたので,そのプロテクトを外し,バックアップのために複製した。 正解
ウ 他人のソフトウェアを正当な手段で入手し,逆コンパイルを行った。
エ 複製及び改変する権利が付与されたソース契約の締結によって,許諾されたソフトウェアを改造して製品に組み込み,ソース契約の範囲内で製品を販売した。
正解 イ
解説
使用許諾契約で複製権の許諾を受けていないのに,ソフトウェアにかけられていたプロテクト(技術的保護手段)を外して複製すると,著作権の侵害になる。著作権法第30条第1項第2号は,技術的保護手段を回避して行う複製を,私的使用の目的であっても認めていない。イが該当する。
アの公開されたプロトコルに基づいて同等の機能をもつソフトウェアを独自に開発することは,プログラムの表現を複製していないので侵害にならない(プロトコルは著作権法第10条第3項により保護の対象外)。ウの正当に入手したソフトウェアの逆コンパイルは,解析のための行為として直ちに侵害とはされない。エは契約で許諾された複製や改変の範囲内での改造と販売で,侵害にならない。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
図のアローダイアグラムから読み取れることのうち,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日は0日目とする。
ア 作業 C を最も早く開始できるのは5日目である。
イ 作業 D はクリティカルパス上の作業である。
ウ 作業 E の余裕日数は30日である。 正解
エ 作業 F を最も遅く開始できるのは10日目である。
正解 ウ
解説
開始日を0日目として,各結合点に最も早く到達できる日数を求める。A の後の結合点には,A 経由の5日と,B からのダミー作業経由の10日のうち遅い10日で到達する。そこから C の後が30日,E の後と F の後が合流する結合点は 10+10=20日,H の手前は G 経由 30+20=50日,D 経由 10+30=40日,ダミー作業経由20日のうち50日で,全体は60日になる。
逆に最も遅く到達すればよい日数は,H の手前が50日,E と F の合流点も(ダミー作業でつながるので)50日である。E は最も早く10日目に開始でき,最も遅くは 50−10=40日目に開始すればよいので,余裕日数は30日となり,ウが正しい。
アの C の最早開始は5日目ではなく10日目。イの D は 10+30=40日で H の手前に着くが最も遅くは50日でよく,余裕が10日あるのでクリティカルパス上にない(クリティカルパスは B,ダミー,C,G,H)。エの F の最遅開始は 50−10=40日目である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
プロジェクト管理においてパフォーマンス測定に使用する EVM の管理対象の組みはどれか。
ア コスト,スケジュール 正解
イ コスト,リスク
ウ スケジュール,品質
エ 品質,リスク
正解 ア
解説
EVM(Earned Value Management)は,作業の出来高を金額に換算した EV(アーンドバリュー)を軸に,計画値 PV と実コスト AC を比べることで,スケジュールの進み遅れとコストの超過・節約を同じ土俵で測る手法。管理対象はコストとスケジュールなのでアが正しい。
EV と PV の差がスケジュール差異,EV と AC の差がコスト差異になる。イ・ウ・エに含まれるリスクや品質は,EVM の数値からは直接測れず,別の手法で管理する対象である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
IT サービスマネジメントにおけるインシデント管理の主な活動はどれか。
ア インシデントから発生する問題の解決策の評価
イ インシデントの解決とサービスの復旧 正解
ウ インシデントの根本原因の究明
エ インシデントのトレンド分析と予防措置
正解 イ
解説
インシデント管理は,サービスの中断や品質の低下(インシデント)が発生したときに,合意したサービスレベルに従ってできるだけ早くインシデントを解決し,サービスを復旧させることを目的とするプロセスである。イが主な活動に当たる。
アの問題の解決策の評価,ウのインシデントの根本原因の究明,エのインシデントのトレンド分析と予防措置は,いずれもインシデントの根本原因を取り除いて再発を防ぐ問題管理の活動である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
IT サービスマネジメントの可用性管理の KPI として用いるものはどれか。
ア 災害を想定した復旧テストの回数
イ サービスの中断回数 正解
ウ 性能不足に起因するインシデントの数
エ 目標を達成できなかった SLA の項目数
正解 イ
解説
可用性管理は,IT サービスが合意した可用性の目標を満たすように管理するプロセスで,KPI にはサービスの中断回数や停止時間などが用いられる。イが適切である。
アの災害を想定した復旧テストの回数は IT サービス継続性管理,ウの性能不足に起因するインシデントの数はキャパシティ管理,エの目標を達成できなかった SLA の項目数はサービスレベル管理の KPI である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
システム監査人が負う責任はどれか。
ア 監査結果の外部への開示
イ 監査対象システムの管理
ウ 監査報告会で指摘した問題点の改善
エ 監査報告書に記載した監査意見 正解
正解 エ
解説
システム監査人は,監査の結果に基づいて監査報告書に記載した監査意見(結論,指摘事項,改善提案など)について責任を負う。エが正しい。
アの監査結果を外部に開示するかどうかは,監査を依頼した経営者などが判断する。イの監査対象システムの管理と,ウの指摘した問題点の改善は,監査対象部門(被監査部門)の責任であり,監査人がこれらを行うと独立性を損なう。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
BPO を説明したものはどれか。
ア 企業内の業務全体を対象として,業務プロセスを抜本的に見直すことによって,品質・コスト・スピードを改善し,競争優位性を確保すること
イ 災害や事故で被害を受けても,重要事業を中断させない,又は可能な限り中断期間を短くする仕組みを構築すること
ウ 社内業務のうちコアビジネス以外の業務の一部又は全部を,情報システムと併せて外部に委託することによって,経営資源をコアビジネスに集中させること 正解
エ プロジェクトを,戦略との適合性や費用対効果,リスクといった観点から評価を行い,情報化投資のバランスを管理し,最適化を図ること
正解 ウ
解説
BPO(Business Process Outsourcing)は,自社の業務プロセスのうち,コアビジネス以外の業務の一部又は全部を,それを支える情報システムと併せて外部の専門事業者に委託することである。経営資源をコアビジネスに集中させることができる。ウが該当する。
アは業務プロセスを抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)。イは災害や事故でも重要事業を中断させない,又は早期に復旧させる仕組みを作る BCP(事業継続計画)や BCM。エはプロジェクトを評価して情報化投資の配分を最適化する IT ポートフォリオマネジメントの説明である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
非機能要件に該当するものはどれか。
ア 新しい業務の在り方をまとめた上で,業務上実現すべき要件
イ 業務の手順や入出力情報,ルールや制約などの要件
ウ 業務要件を実現するために必要なシステムの機能に関する要件
エ ソフトウェアの信頼性,効率性など品質に関する要件 正解
正解 エ
解説
非機能要件は,システムが提供する機能そのものではなく,信頼性,効率性(性能),使用性,保守性,セキュリティなど,品質や性能,運用に関する要件である。ソフトウェアの信頼性や効率性など品質に関する要件のエが該当する。
アの新しい業務の在り方と業務上実現すべき要件,イの業務の手順や入出力情報,ルールや制約は業務要件。ウの業務要件を実現するために必要なシステムの機能に関する要件は機能要件である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
RFI を説明したものはどれか。
ア サービス提供者と顧客との間で,提供するサービスの内容,品質などに関する保証範囲やペナルティについてあらかじめ契約としてまとめた文書
イ システムの調達に際して,調達側から技術的要件やサービスレベル要件を提示し,ベンダに対して,指定した期限内で効果的な実現策の提案を依頼する文書
ウ ユーザ要件を実現するために,現在の状況において利用可能な技術・製品,ベンダにおける導入実績など実現手段に関する情報提供をベンダに依頼する文書 正解
エ 要件定義との整合性を図り,ユーザと開発要員及び運用要員の共有物とするために,業務処理の概要,入出力情報の一覧,データフローなどをまとめた文書
正解 ウ
解説
RFI(Request For Information,情報提供依頼書)は,システム化を検討する段階で,ユーザ要件を実現するために利用可能な技術や製品,ベンダの導入実績など,実現手段に関する情報の提供をベンダに依頼する文書である。ウが該当する。
アはサービスの内容や品質の保証範囲,ペナルティを取り決める SLA(サービスレベル合意書)。イは要件を提示して期限内に実現策の提案を依頼する RFP(提案依頼書)。エは業務処理の概要や入出力情報,データフローをまとめ,ユーザと開発・運用の要員が共有する設計書(外部設計書など)の説明である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
企業の競争戦略におけるフォロワ戦略はどれか。
ア 上位企業の市場シェアを奪うことを目標に,製品,サービス,販売促進,流通チャネルなどのあらゆる面での差別化戦略をとる。
イ 潜在的な需要がありながら,大手企業が参入してこないような専門特化した市場に,限られた経営資源を集中する。
ウ 目標とする企業の戦略を観察し,迅速に模倣することで,開発や広告のコストを抑制し,市場での存続を図る。 正解
エ 利潤,名声の維持・向上と最適市場シェアの確保を目標として,市場内の全ての顧客をターゲットにした全方位戦略をとる。
正解 ウ
解説
フォロワは,市場で上位企業に追随する立場の企業である。目標とする企業の戦略を観察して迅速に模倣することで,開発や広告に掛かるコストを抑え,市場での存続を図る。ウが該当する。
アの上位企業のシェアを奪うことを目標にあらゆる面で差別化を図るのはチャレンジャの戦略。イの大手が参入しない専門特化した市場に経営資源を集中するのはニッチャの戦略。エの利潤や名声の維持と最適シェアの確保を目標に全ての顧客を狙う全方位戦略はリーダの戦略である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
技術は,理想とする技術を目指す過程において,導入期,成長期,成熟期,衰退期,そして次の技術フェーズに移行するという進化の過程をたどる。この技術進化過程を表すものとして,適切なものはどれか。
ア 技術の S カーブ 正解
イ 需要曲線
ウ バスタブ曲線
エ ラーニングカーブ
正解 ア
解説
技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,導入期には努力の割に性能の向上が緩やかだが,成長期に急速に進歩し,成熟期には限界に近づいて進歩が鈍り,やがて衰退して次の技術に移行していく。進歩を時間などに対して描くと S 字形になる。アが適切である。
イの需要曲線は価格と需要量の関係を表す曲線。ウのバスタブ曲線は時間の経過に対する故障率の変化を表す曲線。エのラーニングカーブ(学習曲線)は経験を積むほど作業効率が上がりコストが下がる関係を表す曲線である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
PLM(Product Lifecycle Management)の目的はどれか。
ア NC 工作機械,自動搬送装置,倉庫などを有機的に結合し,コンピュータで集中管理することで多品種少量生産に対応できる生産の自動化を実現する。
イ 製品開発,製造,販売,保守,リサイクルに至る製造業のプロセスにおいて,製品に関連する情報を一元管理し,商品力向上やコスト低減を図る。 正解
ウ 製品の生産計画に基づいてその生産に必要な資材の所要量を展開し,これを基準にして資材の需要とその発注時期を算出する。
エ 部品の供給から製品の販売までの一連のプロセスの情報をリアルタイムで交換することによって,在庫の削減とリードタイムの短縮を実現する。
正解 イ
解説
PLM(Product Lifecycle Management,製品ライフサイクル管理)は,製品の企画・開発から製造,販売,保守,リサイクル(廃棄)に至るライフサイクル全体にわたって,設計データや部品構成などの製品に関連する情報を一元管理し,開発期間の短縮,商品力の向上,コストの低減を図る考え方である。イが該当する。
アは工作機械や搬送装置などをコンピュータで集中管理して多品種少量生産を自動化する FMS(フレキシブル生産システム)。ウは生産計画から資材の所要量と発注時期を算出する MRP(資材所要量計画)。エは部品の供給から販売までの情報を共有して在庫削減とリードタイム短縮を図る SCM(サプライチェーンマネジメント)の目的である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
親和図の特徴はどれか。
ア 原因と結果を対比させた図式表現であり,不良原因の追及に用いられる。
イ 錯綜した問題点や,まとまっていない意見,アイディアなどを整理し,まとめるために用いられる。 正解
ウ 二つ以上の変数の相互関係を表すのに役立つ。
エ 分布の形,目標値からのばらつき状態などから,製品の品質の状態が規格値に対して満足いくものかなどを判断するために用いられる。
正解 イ
解説
親和図は,新 QC 七つ道具の一つである。錯綜した問題点や,まとまっていない意見,アイディアなどの言語データを,内容の似たもの(親和性のあるもの)同士でグループにまとめて整理し,問題の構造を明らかにするために用いる。KJ 法と同様の考え方の手法である。イが該当する。
アは原因と結果の関係を表す特性要因図,ウは二つの変数の関係を点で表す散布図,エはデータの分布の形やばらつきを表すヒストグラムの特徴である。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
国際的な標準として取り決められた会計基準であり,資本市場の国際化に対し,利害関係者からみた会計情報の比較可能性や均質性を担保するものはどれか。
正解 ウ
解説
IFRS(International Financial Reporting Standards,国際財務報告基準)は,国際的な標準として定められた会計基準で,国をまたいで企業の財務情報を比較しやすくし,会計情報の比較可能性や均質性を確保するためのものである。ウが正しい。
アの GAAP は“一般に公正妥当と認められた会計原則”を指し,米国基準(US GAAP)など国ごとの会計基準を表すのに使われる。イの IASB は IFRS を策定する国際会計基準審議会という組織,エの SEC は米国証券取引委員会という規制当局で,いずれも会計基準そのものではない。
出典:平成24年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
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