平成27年度 春期に実施されたプロジェクトマネージャ試験
午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
ISO 21500 によれば,プロジェクトガバナンスを維持する責任は誰にあるか。
ア プロジェクトの管理面でプロジェクトマネージャを支援するプロジェクトマネジメントチーム
イ プロジェクトの立上げから終結までのプロセスを指揮するプロジェクトマネージャ
ウ プロジェクトの要求事項を明確にし,プロジェクトの成果を享受する顧客
エ プロジェクトを承認して経営的判断を下すプロジェクトスポンサ,又は上級経営レベルでの指導をするプロジェクト運営委員会 正解
正解 エ
解説
ISO 21500(プロジェクトマネジメントの手引,のちに JIS Q 21500 として制定)は,プロジェクトガバナンスを維持する責任を,一般にプロジェクトスポンサ又はプロジェクト運営委員会に割り当てるとしている。ガバナンスはプロジェクトを動かす側ではなく,プロジェクトを承認し方向付ける側の責任である。エが正しい。
アのプロジェクトマネジメントチームはプロジェクトマネージャを補佐して日々のマネジメント作業を担う集まり,イのプロジェクトマネージャはガバナンスの枠組みの中でプロジェクトを指揮する立場であり,どちらも枠組みそのものを維持する責任は負わない。ウの顧客は要求事項を出し成果を受け取る側のステークホルダである。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
工程別の生産性が次のとおりのとき,全体の生産性を表す式はどれか。
〔工程別の生産性〕
設計工程:X ステップ/人月 製造工程:Y ステップ/人月 試験工程:Z ステップ/人月
正解 エ
解説
全体の生産性は,全工程を通した開発規模を,全工程の工数の合計で割った値である。規模を S ステップとすると,各工程の工数は S÷X,S÷Y,S÷Z 人月なので,全体の生産性は S÷(S÷X+S÷Y+S÷Z)=1÷(1÷X+1÷Y+1÷Z)となる。エが正しい。
同じ S ステップを三つの工程が順に扱うので,工程ごとの生産性を足し合わせる(ア)ことも,単純に平均する(イ)こともできない。ウは全工程の工数を規模で割った“1ステップ当たりの人月”で,生産性の逆数に当たる。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
PMBOK によれば,組織のプロセス資産に分類されるものはどれか。
ア 課題と欠陥のマネジメントの手順 正解
イ ステークホルダのリスク許容度
ウ 組織のインフラストラクチャ
エ 組織の文化,体制,ガバナンス
正解 ア
解説
PMBOK ガイド第5版は,プロジェクトに影響を与える組織側の要素を,組織のプロセス資産と組織体の環境要因に分けている。組織のプロセス資産は,組織が使う計画,プロセス,方針,手順と,過去の実績などを蓄えた知識ベースで,課題と欠陥をマネジメントする手順はこれに含まれる。アが正しい。
イのステークホルダのリスク許容度,ウの組織のインフラストラクチャ,エの組織の文化・体制・ガバナンスは,プロジェクトチームが直接は変えられない条件で,組織体の環境要因に分類される。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
過去のプロジェクトの開発実績から構築した作業配分モデルがある。システム要件定義からシステム内部設計までをモデルどおりに進め,228日で完了してプログラム開発を開始した。現在,200本のプログラムのうち100本のプログラム開発を完了し,残りの100本は未着手の状況である。プログラム開発以降もモデルどおりに進捗すると仮定するとき,プロジェクト全体の完了まで,あと何日掛かるか。
正解 イ
解説
期間比で見ると,システム要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11 の合計 0.57 が 228 日に当たるので,全体の期間は 228÷0.57=400 日。プログラム開発は 400×0.11=44 日で,200 本中 100 本が終わっているので残りは 22 日。システム結合は 400×0.11=44 日,システムテストは 400×0.21=84 日。残りの合計は 22+44+84=150 日。
工数比の列は,人員をどう割り振るかを見るための値で,期間の計算には使わない。工数比で同じ計算をすると別の値になるので,どちらの比を使うかを取り違えないことが要点。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
表は RACI チャートを用いた,あるプロジェクトの責任分担マトリックスである。設計アクティビティにおいて,説明責任をもつ要員は誰か。
正解 エ
解説
RACI チャートでは,R(Responsible)が実行責任,A(Accountable)が説明責任,C(Consulted)が相談対応,I(Informed)が情報提供を表す。設計アクティビティの行で A が付いているのは野村なので,説明責任をもつのは野村で,エが正しい。
同じ行の阿部は R で実際に設計を行う担当,鈴木と田中は C で相談を受ける立場,伊藤と佐藤は I で結果を知らされる立場である。A は作業の結果に最終的な責任を負う人で,一つのアクティビティにつき1人に絞るのが原則なので,選択肢のように2人組になることはない。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
プロジェクトの人的資源マネジメントに関して,“ブルックスの法則”で述べられていることはどれか。
ア エンゲージメントが高まると,プロジェクトメンバは問題に対して自律的に対応するようになる。
イ 技術が発展し,高度な技術の利用が進むほど,人を中心にしたプロジェクトマネジメントが重要になる。
ウ 担当者の業務を可視化しなければ,いかに優秀なプロジェクトマネージャでも適切な管理はできない。
エ 遅延しているプロジェクトへの新規要員の追加は,更なる遅れをもたらすだけである。 正解
正解 エ
解説
ブルックスの法則は,F.P.ブルックスが著書“人月の神話”で述べた“遅れているソフトウェアプロジェクトに要員を追加すると,さらに遅れる”という経験則である。新しい要員が戦力になるまでの教育や引継ぎに既存の要員の時間が取られ,人数が増えるほどコミュニケーションの経路も増えるためである。エが正しい。
ア・イ・ウは,要員の主体性,人を中心にしたマネジメント,業務の可視化についての一般的な考え方で,ブルックスの法則の内容ではない。スケジュールの遅れを要員の追加だけで取り戻そうとするのは危険だ,というのがこの法則の教訓である。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
クリティカルチェーン法におけるタスクのスケジューリングとバッファの設定方法のうち,適切なものはどれか。
ア クリティカルパス上にないタスクのチェーンには,バッファを設定しない。
イ クリティカルパス上の最後のタスクの終了期と納期の間に,プロジェクト全体で使用するバッファを設定する。 正解
ウ クリティカルパス上の全てのタスクに,バッファを設定する。
エ なるべく前倒しでタスクを開始するように計画し,バッファを少しでも多く確保する。
正解 イ
解説
クリティカルチェーン法では,各タスクの見積りに含まれていた余裕を取り上げてまとめ,クリティカルチェーン(資源の制約まで考えた最長の経路)の最後のタスクの後,つまり終了期と納期の間に,プロジェクト全体で共有するプロジェクトバッファを置く。イが正しい。
アは誤りで,クリティカルチェーンに合流するタスクのチェーンには,合流点の手前に合流バッファ(フィーディングバッファ)を設定する。ウは誤りで,個々のタスクに余裕を持たせるとその余裕を使い切ってしまいやすいので,バッファはタスクごとではなくまとめて管理する。エは誤りで,前倒しで始めてもバッファが増えるわけではなく,余裕の管理はバッファの消費状況で行う。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
工程管理図表の特徴に関する記述のうち,ガントチャートのものはどれか。
ア 計画と実績の時間的推移を表現するのに適し,進み具合及びその傾向がよく分かり,プロジェクト全体の費用と進捗の管理に利用される。
イ 作業の順序や作業相互の関係を表現したり,重要作業を把握したりするのに適しており,プロジェクトの作業計画などに利用される。
ウ 作業の相互関係の把握には適さないが,作業計画に対する実績を把握するのに適しており,個人やグループの進捗管理に利用される。 正解
エ 進捗管理上のマイルストーンを把握するのに適しており,プロジェクト全体の進捗管理などに利用される。
正解 ウ
解説
ガントチャートは,作業を縦に並べ,各作業の予定期間と実績を横棒で表す図である。計画に対して実績がどこまで進んでいるかが一目で分かるので,個人やグループの作業の進捗管理に向く。一方で,作業どうしの前後関係は図に表れないため,相互関係の把握には適さない。ウが正しい。
アは計画と実績の累積値の推移を曲線で表す S 字カーブなど。イは作業の順序や相互関係を表し重要作業(クリティカルパス)を把握するアローダイアグラム(PERT 図)。エはマイルストーンの予定と実績を示すマイルストーンチャートの説明である。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
プロジェクトマネジメントにおけるクラッシングの例として,適切なものはどれか。
ア クリティカルパス上の遅れているアクティビティに人員を増強した。 正解
イ コストを削減するために,これまで承認されていた残業を禁止した。
ウ 仕様の確定が大幅に遅れたので,プロジェクトの完了予定日を延期した。
エ 設計が終わったモジュールから順に並行してプログラム開発を実施するように,スケジュールを変更した。
正解 ア
解説
クラッシングは,コストの追加を受け入れてでもアクティビティの所要期間を短くする技法。クリティカルパス上のアクティビティに人的資源を追加するのがその典型である。
エは,本来は順に行う作業を重ねて進めるファストトラッキング。イはコスト削減策,ウは完了予定日を動かしただけで,どちらも期間短縮の技法ではない。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
EVM を採用しているプロジェクトにおける,ある時点の CPI が1.0を下回っていた場合の対処として,適切なものはどれか。
ア 実コストが予算コストを下回っているので,CPI に基づいて完成時総コストを下方修正する。
イ 実コストを CPI で割った値を使って,完成時総コストを見積もり,予想値とする。
ウ 超過コストの原因を明確にし,CPI の改善策に取り組むとともに,CPI の値を監視する。 正解
エ プロジェクトの完成時には CPI が1.0となることを利用して,CPI が1.0となる完成時期を予測し,スケジュールを見直す。
正解 ウ
解説
CPI(コスト効率指数)は EV÷AC で,1.0 を下回るのは出来高に比べて実コストが多く掛かっている,つまりコストが超過している状態である。まず超過の原因を明らかにし,効率を上げる対策を打ち,その効果を CPI の推移で監視するのが適切な対処で,ウが正しい。
アは逆で,CPI が 1.0 未満なら実コストは予算コストを上回っている。イの完成時総コストの予測は,今の効率が続くとみれば BAC を CPI で割って求める(EAC=BAC÷CPI)のであり,実コストを CPI で割っても意味のある値にならない。エのように,CPI が完成時に必ず 1.0 になるという性質はない。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
ファンクションポイント法の一つである IFPUG 法では,機能を機能種別に従ってデータファンクションとトランザクションファンクションとに分類する。機能種別を適切に分類したものはどれか。
〔機能種別〕
EI:外部入力 EIF:外部インタフェースファイル EO:外部出力 EQ:外部照会 ILF:内部論理ファイル
ア データファンクション:EI,EO,EQ/トランザクションファンクション:EIF,ILF
イ データファンクション:EIF,EQ,ILF/トランザクションファンクション:EI,EO
ウ データファンクション:EIF,ILF/トランザクションファンクション:EI,EO,EQ 正解
エ データファンクション:ILF/トランザクションファンクション:EI,EIF,EO,EQ
正解 ウ
解説
IFPUG 法のファンクションポイントでは,アプリケーションが保持・参照するデータのまとまりをデータファンクション,データを出し入れする処理をトランザクションファンクションとして数える。データファンクションは,アプリケーション内で維持する内部論理ファイル(ILF)と,他のアプリケーションが維持し参照だけする外部インタフェースファイル(EIF)の2種類。トランザクションファンクションは,外部入力(EI),外部出力(EO),外部照会(EQ)の3種類である。ウが正しい。
ア・イ・エは,処理である EI・EO・EQ をデータファンクションに含めたり,ファイルである EIF や ILF をトランザクションファンクションに含めたりしている。“ファイル”と付くものがデータ,“入力・出力・照会”がトランザクションと覚えるとよい。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
PMBOK のリスクマネジメントでは,定性的リスク分析でリスク対応計画の優先順位を設定し,定量的リスク分析で数値によるリスクの等級付けを行う。定性的リスク分析で使用されるものはどれか。
ア 感度分析
イ 期待金額価値分析
ウ デシジョンツリー分析
エ 発生確率・影響度マトリックス 正解
正解 エ
解説
発生確率・影響度マトリックスは,各リスクの発生確率と影響度をそれぞれ段階で評価し,その組合せの位置からリスクの優先順位を決める表で,定性的リスク分析で使う。エが正しい。
アの感度分析,イの期待金額価値分析,ウのデシジョン・ツリーは,リスクがプロジェクトの目標に与える影響を金額や日数などの数値で求める技法で,いずれも定量的リスク分析で使う。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
プロジェクトの品質コストを適合コストと不適合コストに分類するとき,適合コストに属するものはどれか。
ア クレーム調査費
イ 損害賠償費
ウ 品質保証教育訓練費 正解
エ プログラム不具合修正費
正解 ウ
解説
品質コストは,品質を確保するために掛ける適合コストと,品質が確保できなかったために生じる不適合コストに分けられる。適合コストには,不良を未然に防ぐための予防コスト(教育訓練,品質計画など)と,評価コスト(テスト,検査など)が含まれる。品質保証の教育訓練費は予防コストで,適合コストに属する。ウが正しい。
アのクレーム調査費,イの損害賠償費,エのプログラム不具合修正費は,いずれも不良が発生したことによって生じる失敗コストで,不適合コストに属する。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
品質の定量的評価の指標のうち,ソフトウェアの保守性の評価指標になるものはどれか。
ア (最終成果物に含まれる誤りの件数)÷(最終成果物の量)
イ (修正時間の合計)÷(修正件数) 正解
ウ (変更が必要となるソースコードの行数)÷(移植するソースコードの行数)
エ (利用者からの改良要求件数)÷(出荷後の経過月数)
正解 イ
解説
保守性は,不具合を見つけて直すのがどれだけ容易かを表す品質特性。1件あたりの平均修正時間(修正時間の合計÷修正件数)が短いほど保守しやすいので,これが保守性の指標になる。
アは欠陥密度で信頼性の指標,ウは移植に伴う変更量の割合で移植性の指標。エは改良要求の発生頻度であり,ソフトウェアの保守性そのものを測るものではない。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
次の調達の要領で,ソフトウェア開発を外部に委託した。ほぼ計画どおりの日程で全工程を終了して受入れテストを実施したところ,委託した範囲の設計不良によるソフトウェアの欠陥が多数発見された。プロジェクト調達マネジメントの観点から,取得者が実施すべき再発防止の施策として,最も適切なものはどれか。
〔調達の要領〕
委託の範囲はシステム開発の一部分であり,ソフトウェア方式設計からソフトウェア結合までを一括して発注する。 前年度の実績評価を用いて,ソフトウェア開発の評点が最も高い供給者を選定する。 毎月1回の進捗確認を実施して,進捗報告書に記載されたソフトウェア構成品目ごとの進捗を確認する。 成果物は,委託した全工程が終了したときに一括して検査する。
ア 同じ供給者を選定しないように,当該供給者のソフトウェア開発の実績評価の評点を下げる。
イ 各開発工程の区切りで工程の成果物を提出させて検査し,品質に問題がある場合は原因を特定させて,是正させる。 正解
ウ 進捗確認で,作成した設計書のページ数,作成したプログラムの行数,実施したテストケース数など,定量的な報告を求める。
エ 進捗確認の頻度を毎月1回から毎週1回に変更して,進捗をより短い周期で確認する。
正解 イ
解説
欠陥の原因は委託した範囲の設計不良であり,全工程が終わってから一括して検査していたために,問題が最後の受入れテストまで見つからなかった。各開発工程の区切りで成果物を提出させて検査し,問題があれば原因を特定させて是正させれば,設計の不良を早い段階で見つけて後工程への影響を防げる。イが正しい。
アは供給者を替えるだけで,同じ検査のやり方では次の供給者でも同じことが起こり得る。ウの定量的な報告やエの進捗確認の頻度の変更は,進捗の把握を細かくするだけで,成果物の品質を確かめる仕組みにはならない。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
安全性と信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。
〔方針〕
不特定多数の人が使用するプログラムには,自分だけが使用するプログラムに比べて,より多くのデータチェックの機能を組み込む。プログラムが処理できるデータの前提条件を文書に書いておくだけでなく,その前提条件を満たしていないデータが実際に入力されたときは,エラーメッセージを表示して再入力を促すようにプログラムを作る。
ア フールプルーフ 正解
イ フェールセーフ
ウ フェールソフト
エ フォールトトレラント
正解 ア
解説
フールプルーフは,利用者が誤った操作をしたり想定外のデータを入力したりしても,システムが異常な動作をしないようにあらかじめ防いでおく考え方である。前提条件を満たさないデータが入力されたらエラーメッセージを出して再入力を促す,という方針はこれに当たる。アが正しい。
イのフェールセーフは故障したときに安全な側に倒す設計,ウのフェールソフトは故障時に機能を落としてでも運転を続ける設計,エのフォールトトレラントは構成要素を多重化するなどして故障が起きても正常な動作を続けられるようにする設計である。いずれも故障への備えで,利用者の誤りを防ぐ考え方ではない。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
リーンソフトウェア開発の説明として,適切なものはどれか。
ア 経験に基づいたプロセス制御や複雑適応系理論を基本としており,スプリントと呼ばれる周期で“検査と適応”を繰り返しながら開発を進める。
イ 製造業の現場から生まれた手法をソフトウェア開発に適用したものであり,“ムダをなくす”,“品質を作り込む”など,七つの原則を提示している。 正解
ウ 比較的小規模な開発に適した,プログラミング中心の開発アプローチであり,“コミュニケーション”など五つの価値を定義し,それらを高めるように開発を進める。
エ 利用者から見て価値があるまとまりを一つの機能単位とし,その単位ごとに,設計や構築などの五つのプロセスを繰り返しながら開発を進める。
正解 イ
解説
リーンソフトウェア開発は,トヨタ生産方式などの製造業のリーン生産の手法をソフトウェア開発に適用したもので,“ムダをなくす”“品質を作り込む”“知識を作り出す”“決定を遅らせる”“速く提供する”“人を尊重する”“全体を最適化する”の七つの原則を提示している。イが正しい。
アは経験に基づくプロセス制御を基本に,スプリントで検査と適応を繰り返すスクラム。ウは“コミュニケーション”などの五つの価値を定義する XP(エクストリームプログラミング)。エは利用者にとって価値のある機能単位ごとに五つのプロセスを回す FDD(ユーザ機能駆動開発)の説明である。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
マッシュアップを利用して Web コンテンツを表示している例として,最も適切なものはどれか。
ア Web ブラウザにプラグインを組み込み,動画やアニメーションを表示する。
イ 地図上のカーソル移動に伴い,Web ページを切り替えずにスクロール表示する。
ウ 鉄道経路の探索結果上に,各鉄道会社の Web ページへのリンクを表示する。
エ 店舗案内の Web ページ上に,他のサイトが提供する地図検索機能を利用して出力された情報を表示する。 正解
正解 エ
解説
マッシュアップは,Web API などで公開されている他のサービスの機能や情報を組み合わせて,新しいサービスやコンテンツを作ることである。店舗案内のページに,他のサイトが提供する地図検索機能の結果を取り込んで表示するエがこれに当たる。
アは Web ブラウザにプラグインを組み込んで表示できる内容を広げるもの。イは Ajax などを使ってページを切り替えずに表示を更新する技術。ウは他社のページへのリンクを置いているだけで,他のサービスの機能を利用して情報を組み合わせているわけではない。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
IT サービスマネジメントにおける,インシデント及びサービス要求管理の主な活動はどれか。
ア インシデントの影響を最小限にするための既知の誤り記録の作成
イ インシデントの解決とサービスの復旧 正解
ウ インシデントの傾向分析と予防処置
エ インシデントの未知の根本原因の特定
正解 イ
解説
インシデント及びサービス要求管理の目的は,合意したサービス目標の時間内にサービスを回復させること。原因の究明よりも,まず復旧を優先する点がこのプロセスの特徴。
アの既知の誤り記録の作成,ウの傾向分析と予防処置,エの未知の根本原因の特定は,いずれも問題管理の活動である。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
新システムの開発を計画している。提案された4案の中で,TCO(総所有費用)が最小のものはどれか。ここで,このシステムは開発後,3年間使用されるものとする。
正解 ウ
解説
TCO は,導入時の費用に,使用期間中に毎年掛かる費用を3年分足して求める。導入時の費用(ハードウェア導入+開発+教育)と年間の費用(通信+保守+運用)はそれぞれ,A案が65と32,B案が85と29,C案が75と26,D案が85と24。3年間の TCO は,A案 65+32×3=161,B案 85+29×3=172,C案 75+26×3=153,D案 85+24×3=157 となり,C案の153百万円が最小。ウが正しい。
導入時の費用が最も安いのは A案,年間の費用が最も安いのは D案だが,どちらも3年通すと C案に及ばない。片方だけで比べず,使用期間全体の合計で比べるのが TCO の考え方である。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
非機能要件の使用性に該当するものはどれか。
ア 4時間以内のトレーニングを受けることで,新しい画面を操作できるようになること 正解
イ 業務量がピークの日であっても,8時間以内で夜間バッチ処理を完了できること
ウ 現行のシステムから新システムに72時間以内で移行できること
エ 地震などの大規模災害時であっても,144時間以内にシステムを復旧できること
正解 ア
解説
非機能要件の使用性(ユーザビリティ)は,利用者がシステムをどれだけ使いやすく,覚えやすいかに関する要件である。“4時間以内のトレーニングで新しい画面を操作できるようになる”という操作の習得のしやすさの要件は使用性に当たる。アが正しい。
イの夜間バッチ処理を8時間以内に終える要件は性能・効率性。ウの72時間以内の移行は移行性。エの大規模災害時に144時間以内に復旧する要件は可用性(事業継続性)に関する非機能要件である。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
不正競争防止法で保護されるものはどれか。
ア 特許権を取得した発明
イ 頒布されている独自のシステム開発手順書
ウ 秘密として管理している,事業活動用の非公開の顧客名簿 正解
エ 秘密として管理していない,自社システムを開発するための重要な設計書
正解 ウ
解説
不正競争防止法は,営業秘密を不正に取得・使用・開示する行為などを不正競争として規制する。営業秘密として保護されるのは,秘密として管理されていること(秘密管理性),事業活動に有用な情報であること(有用性),公然と知られていないこと(非公知性)の三つを満たす情報である。秘密として管理している非公開の顧客名簿はこれを満たすので,ウが正しい。
アの特許権を取得した発明は特許法で保護される。イの頒布されている手順書は公然と知られており非公知性を満たさない。エの設計書は重要ではあっても秘密として管理されていないので,秘密管理性を満たさない。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
広告宣伝のメールを送信する場合,特定電子メール法に照らして適切なものはどれか。
ア 送信の許諾を通知する手段をメールに表示していれば,同意を得ていない不特定多数の人にメールを送信することができる。
イ 送信の同意を得ていない不特定多数の人にメールを送信する場合は,メールの表題部分に未承諾広告であることを明示する。
ウ 取引関係にあるなどの一定の場合を除き,あらかじめ送信に同意した者だけに対して送信するオプトイン方式をとる。 正解
エ メールアドレスを自動的に生成するプログラムを利用してメールを送信する場合は,送信者の氏名・連絡先をメールに明示する。
正解 ウ
解説
特定電子メール法は,広告宣伝のメールについて,あらかじめ送信に同意した者だけに送ることができるオプトイン方式を原則としている。取引関係にある者や,名刺などで自らメールアドレスを通知してきた者など,一定の場合は例外として同意がなくても送信できる。ウが正しい。
アとイは,同意を得ていない相手に送ってよいとしている点で誤りである。以前は表題に“未承諾広告”と表示すれば送れるオプトアウト方式だったが,法改正でオプトイン方式に改められた。エは誤りで,プログラムで自動生成したアドレスへの送信は,氏名や連絡先を表示しても禁止されている。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
米国 NIST が制定した,AES における鍵長の条件はどれか。
ア 128ビット,192ビット,256ビットから選択する。 正解
イ 256ビット未満で任意に指定する。
ウ 暗号化処理単位のブロック長よりも32ビット長くする。
エ 暗号化処理単位のブロック長よりも32ビット短くする。
正解 ア
解説
AES(Advanced Encryption Standard)は,NIST が米国の標準暗号として制定した共通鍵暗号方式で,ブロック長は128ビット,鍵長は128ビット,192ビット,256ビットの三つから選ぶ。アが正しい。鍵長が長いほど暗号化の繰返し処理(ラウンド)の回数が増え,安全性も高くなる。
イのように256ビット未満で任意に決めることはできない。ウとエのように鍵長をブロック長から32ビット増減させるという決まりもなく,ブロック長は鍵長にかかわらず128ビットで一定である。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
テンペスト技術の説明とその対策として,適切なものはどれか。
ア ディスプレイなどから放射される電磁波を傍受し,表示内容などを盗み見る技術であり,その対策としては,電磁波を遮断する。 正解
イ データ通信の途中でパケットを横取りし,内容を改ざんする技術であり,その対策としては,ディジタル署名を利用して改ざんを検知する。
ウ マクロウイルスにおいて使われる技術であり,その対策としては,ウイルス対策ソフトを導入し,最新の定義ファイルを適用する。
エ 無線 LAN の信号を傍受し,通信内容を解析する技術であり,その対策としては,通信パケットを暗号化する。
正解 ア
解説
テンペスト技術は,ディスプレイやケーブルなどの機器から放射される微弱な電磁波を離れた場所で傍受し,画面の表示内容などを再現して盗み見る技術である。対策は,電磁波を遮断するシールドを施した機器や部屋を使うなどして,電磁波が外に漏れないようにすることである。アが正しい。
イは通信経路上でパケットを改ざんする中間者攻撃などの説明,ウはマクロ機能を悪用するマクロウイルスの説明,エは無線 LAN の電波を傍受する盗聴の説明で,いずれもテンペスト技術ではない。
出典:平成27年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
ほかの年度
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 秋期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 秋期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 秋期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 秋期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和2年度 10月 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
平成31年度 春期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 春期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 春期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅰ
平成27年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 春期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 春期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 春期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 特別試験 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 春期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅰ