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高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通

令和5年度 春期 科目A-1(午前Ⅰ)

令和5年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ(2026年度からの科目A-1)の全30問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:科目A-1(午前Ⅰ・高度試験 共通)について

この年度を解く(受ける試験区分を選ぶ)

問1

0以上255以下の整数 n に対して,

next(n) の定義。0≦n<255 のとき n+1,n=255 のとき 0。

と定義する。next(n)と等しい式はどれか。ここで,x AND y 及び x OR y は,それぞれ x と y を2進数表現にして,桁ごとの論理積及び論理和をとったものとする。

正解 ア

解説

255 は2進数で 11111111(下位8ビットがすべて1)。したがって「AND 255」は下位8ビットだけを残す操作になる。

n が0〜254のときは n+1 が1〜255なので8ビットに収まり,AND 255 をとっても値は変わらず n+1 のまま。n=255 のときは n+1=256=100000000 となり,AND 255 で下位8ビットだけを残すと 0 になる。これは定義どおりの動きなのでアが正しい。

イの AND 256 は9ビット目だけを残すので常に0か256になる。ウとエの OR はビットを立てる操作なので,値が n+1 に一致しない。

AND 255 で下位8ビットだけを残す 255 は2進数で 11111111 なので,AND 255 は下位8ビットだけを残す。n が 0〜254 なら n+1 は8ビットに収まり値は変わらない。n=255 のときは n+1=256=1 0000 0000 で,下位8ビットを残すと 0 になる。これは next(n) の定義どおり。 n+1(2進) AND 1111 1111 結果 n=254 → 255 0 1111 1111 1111 1111 255 n=255 → 256 1 0000 0000 0000 0000 0 9 ビット目(256)は AND 255 で消える AND 256 は 9 ビット目だけ,OR はビットを立てるので違う
(n+1) AND 255 は 255 の次で 0 に戻る

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

平均が60,標準偏差が10の正規分布を表すグラフはどれか。

正解 ア

解説

正規分布のグラフは平均を中心とした左右対称の釣鐘型になり,平均から標準偏差1つ分だけ離れた位置(変曲点)で曲線の曲がり方が変わる。平均60,標準偏差10なら,頂点が60にあり,60から70までが標準偏差1つ分に当たる。アがこれに合う。

イは頂点は60だが,55から65までが10とされており標準偏差は5になる。ウは山が二つあって正規分布ではない。エは左右非対称なので正規分布ではない。

平均60・標準偏差10の正規分布 正規分布は平均を中心に左右対称の釣鐘形。平均から標準偏差1つ分離れた位置で,曲線の曲がり方が変わる(変曲点)。平均60・標準偏差10なら,頂点が60で,50〜70 が平均±標準偏差1つ分。 40 50 60 70 80 標準偏差 10 変曲点 平均 60 を中心に左右対称
頂点が平均,±標準偏差1つ分の所で曲がり方が変わる

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

配列に格納されたデータ 2,3,5,4,1 に対して,クイックソートを用いて昇順に並べ替える。2回目の分割が終わった状態はどれか。ここで,分割は基準値より小さい値と大きい値のグループに分けるものとする。また,分割のたびに基準値はグループ内の配列の左端の値とし,グループ内の配列の値の順番は元の配列と同じとする。

正解 ア

解説

1回目の分割。配列全体 2,3,5,4,1 の左端 2 を基準値とすると,小さい値は 1,大きい値は 3,5,4。グループ内の順番は元のままなので 1|2|3,5,4 となる。

2回目の分割。左のグループ 1 は要素が一つなので分割済み。次のグループ 3,5,4 の左端 3 を基準値にすると,小さい値はなく,大きい値が 5,4。したがって 1|2|3|5,4 となり,並びは 1,2,3,5,4。

クイックソートの分割を2回目まで 1回目の分割は,左端の2を基準値にして,小さい値(1)と大きい値(3,5,4)に分け,1|2|3,5,4 になる。2回目は,要素が1つの左のグループは分割済みなので,右のグループ 3,5,4 の左端3を基準値にし,小さい値はなく大きい値は 5,4 なので,1|2|3|5,4 になる。 はじめ 2 3 5 4 1 基準値 2 1回目の後 1 2 3 5 4 2回目の後 1 2 3 5 4 基準値 3 2回目が終わった状態は 1,2,3,5,4
基準値(塗った箱)より小さいものを左,大きいものを右へ。順番は元のまま

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

問4

動作周波数1.25GHz のシングルコア CPU が1秒間に10億回の命令を実行するとき,この CPU の平均 CPI(Cycles Per Instruction)として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

CPI は1命令の実行に要するクロックサイクル数なので,1秒間のクロック数を1秒間の命令数で割れば求められる。

1.25GHz は1秒間に 1.25×109 サイクル,10億回は 109 命令。したがって CPI=1.25×109÷109=1.25。

アの0.8はこの逆数(1サイクルあたりの命令数,IPC)に当たる。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

スケールインの説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

スケールインは,台数を増減させるスケールアウト/スケールインのうち,余っているサーバの台数を減らして構成を縮小すること。

ウは台数を増やすスケールアウト。アは1台あたりの能力を下げるスケールダウン,エは1台あたりの能力を上げるスケールアップであり,いずれも台数ではなく性能を変える操作。

スケールアウトとスケールアップ スケールアウトはサーバの台数を増やして負荷を分散し,サーバ群として処理能力を上げる。台数を減らすのはスケールイン。スケールアップは1台の CPU やメモリを強くして性能を上げる。1台の性能を下げるのはスケールダウン。 増やす・上げる 減らす・下げる 台数 スケールアウト スケールイン 1台の性能 スケールアップ スケールダウン 台数で(アウト) 1台を強く(アップ)
台数を変えるのがアウト/イン,1台の性能を変えるのがアップ/ダウン

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

ハッシュ表の理論的な探索時間を示すグラフはどれか。ここで,複数のデータが同じハッシュ値になることはないものとする。

正解 エ

解説

ハッシュ表は,キーからハッシュ関数で格納位置を直接計算して求める。衝突(複数のデータが同じハッシュ値になること)がなければ,1回の計算でデータの位置が決まる。

したがって探索時間は表の中のデータの個数に左右されず一定(オーダーは O(1))になり,水平な直線のエが正しい。イは線形探索の O(n),ウは2分探索の O(log n) に近い形。

探索の方法と探索時間の増え方 線形探索は先頭から順に調べるので,データの個数 n に比例して長くなる(O(n))。2分探索は範囲を半分ずつ絞るので,n が増えても log n でゆっくりしか増えない。ハッシュ表探索は,衝突がなければキーから格納位置を計算して1回で見つかるので,個数によらず一定(O(1))。 データの個数 n 探索時間 線形探索 n 2分探索 log n ハッシュ表 一定 ハッシュ表は衝突がなければ,計算で1回で見つかる
ハッシュ表は個数によらず一定,2分探索は緩やかに増え,線形探索は比例して増える

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

用語解説:ハッシュ関数

問7

NAND 素子を用いた次の組合せ回路の出力 Z を表す式はどれか。ここで,論理式中の“・”は論理積,“+”は論理和,“X”は X の否定を表す。

NAND素子3個の組合せ回路。入力Xを1個目のNANDの両入力に,入力Yを2個目のNANDの両入力に接続し,その二つの出力を3個目のNANDに入力して出力Zを得る。

正解 イ

解説

NAND 素子の二つの入力に同じ信号を入れると,否定(NOT)として働く。上の NAND 素子の出力は X,下の NAND 素子の出力は Y になる。

出力段の NAND 素子は X と Y の論理積の否定を出すので,ド・モルガンの法則により NOT(X・Y)=X+Y となる。イが正しい。NAND 素子だけで OR 回路を組み立てられることを示す例である。

NAND 素子で作る論理和 NAND 素子の2つの入力に同じ信号を入れると否定(NOT)になるので,上の素子の出力は X̄,下の素子の出力は Ȳ。最後の NAND 素子は ¬(X̄・Ȳ) を出し,ド・モルガンの法則で X+Y になる。 X Y X Y Z Z = ¬(X・Y) = X + Y
入力をつないだ NAND は NOT になる。最後の NAND はド・モルガンの法則で X+Y

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

コンピュータグラフィックスに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ラジオシティ法は,光が拡散反射面の間で相互に反射し合う効果まで計算に入れて,各面の輝度を求める手法。間接光による柔らかな陰影を表現できる。

アはレイトレーシング,エはテクスチャマッピングの説明で,アとエは入れ替わっている。イのメタボールは,濃度分布をもつ点の集まりで曲面を表現する手法であり,記述はボリュームレンダリングに近い内容。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

UML を用いて表した図のデータモデルの a,b に入れる多重度はどれか。

〔条件〕

UMLのクラス図。部門(部門コード,部門名)と所属履歴(開始日,終了日)が多重度 1 対 a で,所属履歴と社員(社員コード,氏名)が多重度 b 対 1 で関連している。

正解 エ

解説

a は,部門1つに対応する所属履歴の数。条件(1)より部門には1人以上の社員が所属し,その所属は履歴として記録されるので,所属履歴は少なくとも1件ある。よって a は 1..*。

b は,社員1人に対応する所属履歴の数。条件(2)より社員は必ずいずれかの部門に所属し,条件(3)よりその所属が履歴として記録されるので,こちらも少なくとも1件ある。よって b も 1..*。

多重度の読み方 多重度は,関連の相手側の端に書く。部門(1)と社員(*)なら,社員の側から見て部門は必ず1つ(どの社員もちょうど1つの部門に所属し,兼務はない),部門の側から見て社員は0人以上(社員のいない部門もある)。1..* なら1以上,0..1 なら0か1。 部門 社員 1 * 社員から見て部門は 1 つ(必ず,兼務なし) 部門から見て社員は 0 人以上 書き方 意味 1 ちょうど1 0..1 0 か 1 *(0..*) 0 以上 1..* 1 以上
相手から見て何個か,を相手側の端に書く

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

用語解説:UML(統一モデリング言語)

問10

1個の TCP パケットをイーサネットに送出したとき,イーサネットフレームに含まれる宛先情報の,送出順序はどれか。

正解 ウ

解説

上位層のデータは下位層のヘッダで順に包まれていき,送出時は外側(下位層)のヘッダから先に流れる。

イーサネットフレームは先頭からイーサネットヘッダ(宛先 MAC アドレス),IP ヘッダ(宛先 IP アドレス),TCP ヘッダ(宛先ポート番号)の順に並ぶ。したがって送出順序は 宛先 MAC アドレス → 宛先 IP アドレス → 宛先ポート番号。

カプセル化とフレームの中の順番 TCP のデータは TCP ヘッダ(宛先ポート番号)で包まれ,その外側を IP ヘッダ(宛先 IP アドレス),さらに外側をイーサネットヘッダ(宛先 MAC アドレス)で包む。送り出すときは外側(下位の層)のヘッダから先に流れるので,宛先 MAC アドレス → 宛先 IP アドレス → 宛先ポート番号 の順。 イーサネットヘッダ 宛先 MAC IP ヘッダ 宛先 IP TCP ヘッダ 宛先ポート データ 先に送る 後 宛先 MAC → 宛先 IP → 宛先ポート
外側(下位の層)ほど先に送り出される

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

問11

モバイル通信サービスにおいて,移動中のモバイル端末が通信相手との接続を維持したまま,ある基地局経由から別の基地局経由の通信へ切り替えることを何と呼ぶか。

正解 イ

解説

ハンドオーバーは,移動に伴って電波状況が変わったときに,通信を切らずに接続先の基地局を切り替える仕組み。

アのテザリングはスマートフォンを介して他の機器をインターネットに接続させる機能,ウのフォールバックは利用できない機能や回線から下位の方式へ切り替えること,エのローミングは契約している事業者以外の設備を使って接続できるようにする仕組み。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

用語解説:信頼性設計(フェールセーフ・フェールソフト・フールプルーフ)

問12

ボットネットにおいて C&C サーバが担う役割はどれか。

正解 ア

解説

C&C(Command and Control)サーバは,感染させたボット(遠隔操作型マルウェア)に対して,情報を集めさせたり攻撃を仕掛けさせたりする指令を出す司令塔の役割を担う。

イは防御側の対策,ウは認証局への不正な働きかけ,エは CMS の機能に関する記述で,いずれも C&C サーバの役割ではない。

ボットネットと C&C サーバ C&C(Command and Control)サーバは,マルウェアに感染して操られる多数のボットに指令を出す司令塔。ボットは指令に従って,情報を集めたり,標的に DDoS 攻撃をしたりする。 C&C サーバ ボット ボット ボット ボット 標的 指令 一斉に攻撃
C&C サーバがボットに指令を出す

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

用語解説:DDoS 攻撃(リフレクション攻撃・Smurf 攻撃)

問13

デジタルフォレンジックスの手順は収集,検査,分析及び報告から成る。このとき,デジタルフォレンジックスの手順に含まれるものはどれか。

正解 イ

解説

デジタルフォレンジックスは,インシデントが起きた後に,法的な証拠となり得るデータを保全して解析する一連の手続。削除されたログファイルを復元して不正アクセスの痕跡を突き止めるイが,その「検査・分析」に当たる。

アは SIEM によるリアルタイム監視,ウは送信時の情報漏えい対策,エはマルウェア検査であり,いずれも事後の証拠保全・解析ではない。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

用語解説:ハッシュ関数

問14

スパムメール対策として,サブミッションポート(ポート番号587)を導入する目的はどれか。

正解 エ

解説

サブミッションポート(587番)は,利用者がメールサーバへメールを投稿するための専用ポート。ここでは SMTP-AUTH による送信者認証を必須にできるので,認証を通った利用者だけが送信でき,スパムの踏み台にされにくくなる。

アは SPF,イは DKIM による送信ドメイン認証。ウの POP before SMTP はサブミッションポート導入以前に使われた方式で,一定時間は認証なしで送信できてしまうなどの弱点があり,SMTP-AUTH に置き換えられた。

OP25B とサブミッションポート,IP25B ISP A の動的 IP アドレスの PC が,宛先のメールサーバへ25番ポートで直接送る通信は,ISP A の出口で止められる(OP25B)。PC は自分の ISP のメールサーバへサブミッションポート(587番)で接続し,SMTP-AUTH で認証を受けてから送る。メールサーバどうしの転送は25番を使う。IP25B は,他社 ISP の動的 IP アドレスから自社のメールサーバへ入ってくる25番の通信を止める。 ISP A のネットワーク PC 動的 IP アドレス ISP A の メールサーバ 宛先の メールサーバ 587番 SMTP-AUTH 25番 25番で直接送る OP25B IP25B:入ってくる側で止める 他社 ISP の PC 動的 IP アドレス ISP A の メールサーバ 25番で直接届けようとする通信を止める
OP25B は自社の動的 IP から外へ出る25番を,IP25B は他社の動的 IP から入ってくる25番を止める

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

用語解説:ディジタル署名(デジタル署名) 電子メールのプロトコル(SMTP・POP・IMAP) 送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)

問15

次に示すような組織の業務環境において,特定の IP セグメントの IP アドレスを幹部の PC に動的に割り当て,一部のサーバへのアクセスをその IP セグメントからだけ許可することによって,幹部の PC だけが当該サーバにアクセスできるようにしたい。利用するセキュリティ技術として,適切なものはどれか。

〔組織の業務環境〕

正解 エ

解説

認証 VLAN は,接続してきた利用者や端末を認証し,その結果に応じて割り当てる VLAN を動的に決める仕組み。幹部が認証されたときだけ特定の VLAN(IP セグメント)に入れれば,どの席の LAN ポートに挿しても目的の制御ができる。

ウのスタティック VLAN はスイッチのポートごとに VLAN を固定する方式なので,席が日によって変わるフリーアドレス制には適さない。アの IDS は不正侵入の検知であってアクセス制御ではない。イの IP マスカレードはプライベートアドレスとグローバルアドレスを変換する技術。

認証 VLAN スイッチや無線 LAN アクセスポイントにつないだ端末・利用者を認証し,成功したときだけ接続を許す。さらに認証の結果に応じて,所属させる VLAN を決める。席が日によって変わっても,幹部なら幹部用の VLAN(IP セグメント)に入る。ポートで VLAN を固定するスタティック VLAN とは違う。 スイッチ 認証サーバ 幹部の PC 幹部用 VLAN 一般の PC 一般用 VLAN 認証が通らなければつながらない
どのポートにつないでも,認証の結果で VLAN が決まる

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

用語解説:スパニングツリー・VLAN・リンクアグリゲーション WAF・IDS・IPS

問16

モジュールの独立性を高めるには,モジュール結合度を低くする必要がある。モジュール間の情報の受渡し方法のうち,モジュール結合度が最も低いものはどれか。

正解 ウ

解説

モジュール結合度は弱いものから順に,データ結合・スタンプ結合・制御結合・外部結合・共通結合・内容結合と分類される。必要なデータ項目だけを引数で受け渡すウはデータ結合で,この中で最も結合度が低い。

イは相手の内部の動きを指示する制御結合,エは外部結合,アは共通域を介する共通結合で,いずれもウより結合度が高い。

モジュール結合度とモジュール強度 結合度はモジュールどうしのつながりの強さで,弱いほどよい。弱い順に,データ結合(必要な項目だけを引数で),スタンプ結合(データ構造を引数で),制御結合(制御の情報を渡す),外部結合(単一の大域データ),共通結合(共通域のデータ構造),内容結合(相手の内部を直接参照)。強度はモジュールの中のまとまりで,強いほどよい。機能的強度が最も強く,処理コードで機能を選ぶ論理的強度や,関係のない機能を集めた暗合的強度は弱い。 結合度(弱いほどよい) データ結合 項目を引数で スタンプ結合 構造を引数で 制御結合 制御情報を渡す 外部結合 単一の大域データ 共通結合 共通域の構造 内容結合 内部を直接参照 強度(強いほどよい) 機能的強度 1つの機能 情報的強度 同じ情報を扱う 連絡的強度 データを受け渡す 手順的強度 順に実行する 論理的強度 コードで機能を選ぶ 暗合的強度 関係のないものの寄せ集め 上ほど望ましい(時間的強度は手順的と論理的の間)
結合度は弱いほど,強度は強いほどよい

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

サーバプロビジョニングツールを使用する目的として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

サーバプロビジョニングツールは,あるべきシステム構成をコードとして記述しておき,その記述どおりにサーバを自動で構築・設定するためのツール。手作業による設定ミスをなくし,同じ構成のサーバを何台でも再現できる。

アはサービス監視,イは資産管理(ソフトウェア管理),ウは性能監視のためのツールの目的。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

プロジェクトマネジメントにおける“プロジェクト憲章”の説明はどれか。

正解 エ

解説

プロジェクト憲章は,プロジェクトの立ち上げにあたって組織がそれを正式に認可する文書。ビジネスニーズや目標に加え,プロジェクトマネージャを任命してその責任と権限を明示する点が特徴。

アはプロジェクトマネジメント計画書,イはプロジェクトスコープ記述書,ウは WBS の説明。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

問19

過去のプロジェクトの開発実績に基づいて構築した作業配分モデルがある。システム要件定義からシステム内部設計までをモデルどおりに進めて228日で完了し,プログラム開発を開始した。現在,200本のプログラムのうち100本のプログラムの開発を完了し,残りの100本は未着手の状況である。プログラム開発以降もモデルどおりに進捗すると仮定するとき,プロジェクトの完了まで,あと何日掛かるか。ここで,プログラムの開発に掛かる工数及び期間は,全てのプログラムで同一であるものとする。

〔作業配分モデル〕の表。システム要件定義は工数比0.17・期間比0.25,システム外部設計は0.21・0.21,システム内部設計は0.16・0.11,プログラム開発は0.16・0.11,システム結合は0.11・0.11,システムテストは0.19・0.21。

正解 イ

解説

期間比で見ると,システム要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11 の合計 0.57 が 228 日に当たるので,全体の期間は 228÷0.57=400 日。プログラム開発は 400×0.11=44 日で,200 本中 100 本が終わっているので残りは 22 日。システム結合は 400×0.11=44 日,システムテストは 400×0.21=84 日。残りの合計は 22+44+84=150 日。

工数比の列は,人員をどう割り振るかを見るための値で,期間の計算には使わない。工数比で同じ計算をすると別の値になるので,どちらの比を使うかを取り違えないことが要点。

作業配分モデルで残りの日数を求める 期間比で考える。要件定義から内部設計までの期間比は 0.25+0.21+0.11=0.57 で,これが 228 日にあたるので,全体は 228÷0.57=400 日。残りはプログラム開発の半分(0.11÷2),システム結合 0.11,システムテスト 0.21 で,期間比 0.375,つまり 400×0.375=150 日。 要件 0.25 外部 0.21 内部 0.11 PG PG 結合 0.11 テスト 0.21 0.11 0.57 → 228 日(全体 400 日) 残り 0.375 400 × 0.375 = 150 日
日数は期間比で計算する。工数比は使わない

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,組織は,サービスレベル目標に照らしたパフォーマンスを監視し,レビューし,顧客に報告しなければならない。レビューをいつ行うかについて,この規格はどのように規定しているか。

正解 イ

解説

8.3.3(サービスレベル管理)は,サービスレベル目標に照らしたパフォーマンスを「あらかじめ定めた間隔で」監視・レビューし,顧客に報告することを求めている。定期的に確認することで,傾向の変化や目標未達の兆しを早く捉えられる。

ア・ウ・エはいずれも出来事をきっかけとした不定期のレビューであり,規格が求める定期的なレビューには当たらない。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム) SLA(サービスレベル合意書)

問21

システム監査基準(平成30年)における予備調査についての記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

予備調査は,本調査に入る前に監査対象の全体像をつかむ段階。事務手続やマニュアル,組織図などの資料から業務内容や業務分掌の体制を把握し,どこを重点的に調べるかを見定める。

アは誤り。資料の閲覧やヒアリングでもよく,必ず現地に赴く必要はない。ウは監査証拠を集める本調査の話。エは誤り。関連部門も対象に含めてよい。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問22

システム監査基準(平成30年)における監査手続の実施に際して利用する技法に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

インタビュー法は,監査人が関係者に直接口頭で問い合わせて回答を得る技法。アはその定義そのもの。

イは誤り。現地調査は業務の実際を観察するものなので,むしろ業務時間内に行う必要がある。ウは誤り。表計算ソフトや汎用の監査ツールを使ってもよく,専用ソフトウェアに限られない。エは誤り。チェックリストを作成するのは監査人であり,監査対象部門ではない。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問23

情報化投資計画において,投資効果の評価指標である ROI を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割った比率。投じた資金がどれだけの利益を生んだかを表す。

イはベンチマーキング,ウは NPV(正味現在価値)の説明。エは投資評価の指標ではない。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

用語解説:投資評価(NPV・IRR・ROI)

問24

システム要件定義プロセスにおいて,トレーサビリティが確保されていることを説明した記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

トレーサビリティ(追跡可能性)は,利害関係者の要求がどの成果物に対応しているかをたどれる状態のこと。要求の根拠と成果物の相互関係が文書化されていれば,仕様変更が起きたときに元の要求まで立ち返って妥当性を検証できる。

ア・イ・ウはいずれも文書化や決定が済んでいることを述べているだけで,要求と成果物の対応関係をたどれることを示していない。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

情報システムの調達の際に作成される RFI の説明はどれか。

正解 ア

解説

RFI(Request For Information,情報提供依頼書)は,調達の検討段階で,実現手段や技術動向などの情報提供をベンダに依頼する文書。提案を求める前の情報収集が目的。

イは RFP(提案依頼書)の説明。ウとエは契約変更や契約締結に関するもので,いずれも RFI ではない。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

バランススコアカードで使われる戦略マップの説明はどれか。

正解 イ

解説

戦略マップは,バランススコアカードの四つの視点(財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長)に課題・施策・目標を配置し,それらの因果関係を矢印でつないで一枚に表したもの。下位の視点の取組みが上位の成果につながる筋道を可視化する。

アはポジショニングマップ,ウはビジネススクリーン,エはドメインの定義に関する説明。

バランススコアカードの4つの視点と戦略マップ 下から学習と成長,内部ビジネスプロセス,顧客,財務の4つの視点を積み上げる。専門人材を育てると出荷までの日数を縮められ,顧客満足度が上がり,売上高が伸びる,という因果関係を矢印でつないだものが戦略マップ。各視点に目標と指標(KPI)を置く。 財務 売上高を伸ばす 売上高・利益率 顧客 顧客満足度を上げる 顧客満足度・シェア 内部ビジネスプロセス 出荷を速くする 出荷までの日数 学習と成長 専門人材を育てる 育成人数・特許件数
下の視点の成果が上の視点の成果につながる(因果関係)

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

用語解説:バランススコアカードと KPI・KGI・CSF

問27

IoT を支える技術の一つであるエネルギーハーベスティングを説明したものはどれか。

正解 イ

解説

エネルギーハーベスティング(環境発電)は,振動・熱・光・電磁波など身の回りにあるわずかなエネルギーを集めて電力に変え,デバイスの電源に使う技術。電池交換が難しい場所に置く IoT デバイスで注目されている。

アはエネルギーマネジメント,ウは PoE,エは間欠動作による省電力化の説明。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

アグリゲーションサービスに関する記述として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

アグリゲーションサービスは,別々の事業者に分散しているサービスや情報への窓口を一つにまとめ,比較したり,まとめて表示したり,最適な組合せを提示したりして,ワンストップで利用できるようにするサービス。複数の金融機関の口座残高をまとめて表示する家計簿サービスなどが例になる。ウが正しい。

アはオムニチャネル,イはエスクローサービス,エはフランチャイズチェーンの説明。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

原価計算基準に従い製造原価の経費に算入する費用はどれか。

正解 ア

解説

製造原価の経費に算入できるのは,製品の製造に関わって正常に発生した費用のうち,材料費・労務費以外のもの。生産に使っている機械装置の修繕費用はこれに当たる。

イは災害による損失で非原価項目(特別損失)。ウは賃貸という営業外の活動に関わる費用。エは資金調達に伴う支払利息で営業外費用。いずれも製造原価には算入しない。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

労働者派遣法において,派遣元事業主の講ずべき措置等として定められているものはどれか。

正解 エ

解説

派遣元事業主は派遣労働者の雇用主なので,教育訓練の機会を確保するなど福祉の増進を図る義務を負う。

ア・イ・ウはいずれも「派遣先」が講ずべき措置。名称に“派遣先”とある台帳の作成や責任者の選任,そして実際に指揮命令を行う側での契約内容の周知は,派遣先の義務である。

出典:令和5年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)

用語解説:契約の形態(請負・準委任・労働者派遣)