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ITサービスマネージャ試験

令和元年度 秋期 科目A-2(午前Ⅱ)

令和元年度 秋期に実施されたITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:ITサービスマネージャ試験について

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問1

ITIL 2011 edition によれば,サービス・ポートフォリオの構成要素のうちのサービス・パイプラインに収録されるサービスはどれか。

正解 エ

解説

サービス・ポートフォリオは,サービス・パイプライン,サービス・カタログ,廃止済みサービスの三つからなる。このうちサービス・パイプラインは,構想中や開発中で,将来提供する予定のサービスを収めた部分。顧客には公開しない。

アの提供可能なサービスとウの稼働中のサービスはサービス・カタログ,イの段階的に停止・取消しをするサービスは廃止済みサービスに当たる。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問2

JIS Q 20000-1:2012(サービスマネジメントシステム要求事項)が規定しているものはどれか。

正解 イ

解説

JIS Q 20000-1:2012 は,サービス提供者が SMS を計画,確立,導入,運用,監視,レビュー,維持及び改善するために満たすべき要求事項を規定した規格。認証の基準になるのはこの要求事項である。

アのようなツールの仕様は規定していない。ウは JIS Q 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)の内容。エのサービスの形態,規模及び性質は,規格が適用範囲として規定するものではなく,適用する組織が自ら定めるものである。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問3

ITIL 2011 edition によれば,サービス・ポートフォリオとサービス・カタログの関係の説明のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

サービス・ポートフォリオは,構想・開発中のサービス(サービス・パイプライン),稼働中のサービス(サービス・カタログ),廃止済みサービスの三つからなる。このうち顧客に公開するのがサービス・カタログで,稼働中の全てのサービスが載る。

イは誤り。カタログはポートフォリオの一部であって 1 対 1 の対応ではない。ウの開発中のサービスはサービス・パイプラインに属し,カタログには載せない。エは逆で,廃止済みサービスはカタログから外し,ポートフォリオには記録として残す。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問4

JIS Q 20000-2:2013(サービスマネジメントシステムの適用の手引)によれば,サービスレベル合意書(SLA)の作成指針のうち,最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

JIS Q 20000-2:2013 は,ある顧客に複数のサービスを提供する場合に,一つの SLA でそれらをまとめて扱ってもよいとしている。サービスごとに必ず SLA を分けなければならないわけではない。

アは誤りで,SLA には顧客側の責任も規定する。イも誤りで,目標は顧客の視点から意味のあるものを選ぶべきで,提供者の視点で数を増やすものではない。エも誤りで,サービスカタログに載っている情報を SLA に重複して書く必要はなく,参照すればよい。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム) SLA(サービスレベル合意書)

問5

システムの改善に向けて提出された案 1〜4 について,評価項目を設定して採点した結果を,採点結果表に示す。効果及びリスクについては 5 段階評価とし,それぞれの評価項目の重要度に応じて,重み付け表に示すとおりの重み付けを行った上で,次の式で総合評価点を算出する。総合評価点が最も高い改善案はどれか。

〔総合評価点の算出式〕

総合評価点 = 効果の総評価点 - リスクの総評価点
改善案 案1〜案4 を評価項目ごとに 5 段階で採点した表。効果の作業コスト削減は 5,4,2,4。システム運用品質向上は 2,4,2,5。セキュリティ強化は 3,4,5,2。リスクの技術リスクは 4,1,5,1。スケジュールリスクは 2,4,1,5。
評価項目ごとの重み。効果の作業コスト削減は 3,システム運用品質向上は 2,セキュリティ強化は 4。リスクの技術リスクは 3,スケジュールリスクは 8。

正解 ウ

解説

各評価項目の点数に重みを掛けて合計する。効果の総評価点は,案1が 5×3+2×2+3×4=31,案2が 4×3+4×2+4×4=36,案3が 2×3+2×2+5×4=30,案4が 4×3+5×2+2×4=30。リスクの総評価点は,案1が 4×3+2×8=28,案2が 1×3+4×8=35,案3が 5×3+1×8=23,案4が 1×3+5×8=43。

総合評価点は,案1が 31−28=3,案2が 36−35=1,案3が 30−23=7,案4が 30−43=−13 で,最も高いのは案3。ウが正しい。効果だけを比べると案2が最も高いが,重みの大きいスケジュールリスクの点数が高いため総合では伸びない。

効果とリスクを重み付けして総合評価点を出す 効果の総評価点は 案1 31,案2 36,案3 30,案4 30。リスクの総評価点は 案1 28,案2 35,案3 23,案4 43(スケジュールリスクの重み 8 が大きい)。総合評価点=効果−リスクで,案1 3,案2 1,案3 7,案4 −13。最も高いのは案3。効果だけなら案2 が最も高い。 案1 案2 案3 案4 効果(重み 4・2・3) 31 36 30 30 リスク(重み 8・3) 28 35 23 43 総合(効果−リスク) 3 1 7 −13 案3:効果は 30 だが,重み 8 のスケジュールリスクが 1 と低い 案2:効果は最高の 36 でも,リスクが 35 で総合は 1 点数 × 重み を項目ごとに足してから,効果からリスクを引く
総合評価点=効果の総評価点−リスクの総評価点。最も高いのは案3

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

IT サービスマネジメントにおけるインシデントの段階的取扱い(エスカレーション)の種類のうち,階層的エスカレーションに該当するものはどれか。

正解 イ

解説

階層的エスカレーションは,対応に必要な権限や資源が足りないときに,指揮命令系統の上位へ引き上げること。関係者を招集する権限をもつ上級マネージャに委ねるのがこれに当たる。

アはより高い技術力をもつグループへ渡す機能的エスカレーション。ウのシフト交代時の引継ぎと,エの中央からローカルのサービスデスクへの割り振りは,担当の移動であってエスカレーションの種類ではない。

機能的エスカレーションと階層的エスカレーション 機能的エスカレーションは,担当者では解決できないインシデントを,より高い専門知識をもつサポートグループ(2次・3次サポート)に引き継ぐ(横の方向)。階層的エスカレーションは,権限や資源が足りないときに,広く関係者を招集できる上級の管理者へ引き上げる(縦の方向)。 サービスデスク 2次サポート 3次サポート 機能的:専門知識のあるグループへ(横) 上級管理者 階層的:権限のある上位へ(縦)
機能的は専門家へ(横),階層的は上の管理者へ(縦)

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

目標復旧時点(RPO)を 24 時間に定めているのはどれか。

正解 ウ

解説

目標復旧時点(RPO)は,障害が起きたときに,どの時点までさかのぼったデータを復旧するかの目標で,許容できるデータの損失の範囲を表す。RPO を24時間とするのは,障害発生時点の24時間前までの業務データを復旧できることを保証するウである。

イの“24 時間以内に完了させる”とエの“24 時間以内に復旧させる”は,復旧までの時間を定めた RTO(目標復旧時間)。アはリリースの展開に伴う計画的な中断時間の上限であり,復旧目標ではない。

RPO・RTO・MTPD の関係 障害が起きた時点を中心に,RPO(目標復旧時点)は過去に向かって,どの時点のデータまで戻すか(失ってよいデータの範囲)を表す。RTO(目標復旧時間)は未来に向かって,どれだけの時間で戻すかを表す。MTPD(最大許容停止時間)は止まっていられる限界で,RTO はこれより短く置く。 時間 最後のバックアップ 障害発生 復旧 RPO どこまで戻すか RTO 何時間で戻すか MTPD:これ以上止まると事業が立ち行かない ← 過去(データ) 未来(時間)→
RPO は障害の前(データ),RTO は障害の後(時間)を向く。RTO は MTPD より短く

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

用語解説:BCP(事業継続計画・RTO・RPO)

問8

ITIL 2011 edition によれば,サプライヤをカテゴリ化するに当たっては,サプライヤの利用に関連する“リスクとインパクト”,及び事業に対するサプライヤとそのサービスの“価値と重要性”に着目する方法がある。“リスクとインパクト”と“価値と重要性”を評価して,サプライヤをカテゴリ①〜④に分けた図の,カテゴリ④を説明するものはどれか。

横軸が“リスクとインパクト”(低・中・高),縦軸が“価値と重要性”(低・中・高)のマトリックス。左下(ともに低)がカテゴリ①,リスクが低く価値が中〜高の領域とリスクが中〜高で価値が低い領域がカテゴリ②,中央から右下にかけての L 字の領域がカテゴリ③,右上(ともに高)がカテゴリ④。

正解 ウ

解説

図のカテゴリ④は,リスクとインパクトが高く,事業に対する価値と重要性も高い領域で,戦略的サプライヤに当たる。長期的な計画を一緒に進めるために戦略の機密情報まで共有し,上級マネジメントが関与する。

エはカテゴリ①の商品的サプライヤ,アはカテゴリ②の運用的サプライヤ,イはカテゴリ③の戦術的サプライヤの説明である。

サプライヤのカテゴリ(ITIL) サプライヤを“リスクとインパクト”と“価値と重要性”の2つで分ける。どちらも高いのは戦略的サプライヤ(長期の計画を一緒に進め,上級マネジメントが関わる),中ほどは戦術的,片方だけが高いのは運用的,どちらも低いのはコモディティ(商品的)サプライヤ。 運用的② 戦術的③ 戦略的④ 運用的② 戦術的③ 戦術的③ コモディティ① 運用的② 運用的② 高 低 価値と 重要性 リスクとインパクト(低 → 高) 図の区分は概略。④は長期の計画と機密の共有
両方高いのが戦略的,両方低いのがコモディティ

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問9

JIS Q 20000-2:2013(サービスマネジメントシステムの適用の手引)によれば,構成管理プロセスの活動として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

JIS Q 20000-2:2013 の構成管理は,構成品目(CI)を特定し,管理・記録・追跡・報告・検証を行い,その情報を構成管理データベース(CMDB)で維持する活動。CI の情報を正確に保つことがこのプロセスの役割。

アの費用計算は資産管理や財務管理,ウの正しい場所・時間への配付はリリース及び展開管理,エの変更要求の管理は変更管理の活動である。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問10

JIS Q 20000-2:2013(サービスマネジメントシステムの適用の手引)によれば,IT サービスマネジメントの変更管理の要求事項に基づいて策定する変更管理規程に記載する規則として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

変更管理規程には,重大なインシデントを解決するために早急な変更が必要なときの緊急変更の手順を定めておく。通常の承認手順をたどっていては間に合わない場合に備え,簡略化した承認と事後の記録の手順をあらかじめ決めておくのが要点。

アは誤りで,サービスの廃止(除去)は重大な影響を及ぼす可能性のあるサービスの変更として扱う。ウも誤りで,CMDB は変更を展開した後に実態に合わせて更新する。エも誤りで,変更が失敗したときの切戻しは元の変更要求の計画にあらかじめ含めておくものであり,新たな変更要求として起票し直すものではない。

変更管理の CAB と緊急変更 変更要求(RFC)は,影響度と緊急度から優先度を決め,変更諮問委員会(CAB)が評価・優先度付け・許可について変更マネージャに助言する。緊急の変更は CAB を集める時間がないので,緊急時に決定できる小さな組織(ECAB)を前もって決め,簡略化した承認と事後の記録の手順を規程に定めておく。 変更要求 RFC CAB 評価・助言 許可・実施 緊急の変更 ECAB 少人数ですぐ決める 緊急変更の手順は変更管理規程に前もって定める 標準変更(事前承認済み)は CAB にかけない
通常は CAB,緊急は ECAB と簡略化した手順

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問11

ITIL 2011 edition のインシデント管理において,インシデント・モデルを定義しておくことによって得られるメリットはどれか。

正解 ウ

解説

インシデント・モデルは,繰り返し発生する種類のインシデントについて,取るべき手順とその順序,責任者,エスカレーション経路,解決までの時間枠をあらかじめ定めておくもの。定義しておけば,担当者の力量に左右されずに,決めた経路と時間枠の中で処理できる。

アはインシデント管理の KPI や測定基準の話,イはインシデント記録や既知のエラーデータベースの効用,エは根本原因が未判明の問題に対するワークアラウンド(問題管理)であり,いずれもモデルを定義したことによる直接のメリットではない。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理 ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問12

システム運用サービスを提供するデータセンタにおいて,サーバに仮想化技術を用いることによって得られる利点のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

サーバの仮想化では,仮想サーバを稼働させたまま別の物理サーバへ移すライブマイグレーションが使える。少数の物理サーバに集約して消費電力を減らす際も,移行のためにサービスを止めなくてよい。

アは誤りで,CPU の性能や数に応じて課金されるライセンスでは見直しが必要になる。イも誤りで,Hadoop は複数ノードでの分散処理を前提とするので,1 台の物理サーバ上に作った環境では実際の処理能力を検証できない。エも誤りで,集約すれば物理資源の競合が起きるため,現状の応答時間を保証することはできない。

ライブマイグレーション 仮想サーバを動かしたまま,OS やソフトウェアを止めずに,別の物理サーバへ移す。物理サーバの保守や負荷の偏りを直すとき,夜間に少数の物理サーバへ集めて電源を切るときにも,サービスを止めなくてよい。 物理サーバ1 物理サーバ2 仮想サーバ 動いたまま 仮想サーバ 動いたまま 仮想サーバ 移す 保守・負荷分散・夜間の集約(省電力)でも止めずに済む
サービスを止めずに,仮想サーバを別の物理サーバへ

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

入出力データの管理方針のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

出力帳票には重要な情報が含まれることがあるので,受渡しは授受管理表などで記録して確実に行い,重要度の高いものは業務部門の管理者に直接手渡しするなど,紛失や漏えいを防ぐ管理が必要である。イが適切である。

アは誤りで,帳票の出力停止は利用している業務部門と協議して決めるべきで,情報システム部門の独断では業務に支障が出る。ウも誤りで,入力データの誤りは原票を作成した業務部門に差し戻して確認・修正してもらう。エも誤りで,入力原票や EDI 受信ファイルは後の照合や追跡のために一定期間保存する。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

“24 時間 365 日”の有人オペレーションサービスを提供する。シフト勤務の条件が次のとき,オペレータは最少で何人必要か。

〔条件〕

正解 イ

解説

7 日間に必要な延べ勤務回数は,7 日×3 シフト×2 人=42 回。1 人当たりの勤務回数は 7 日間で 5 回以内なので,必要な人数は 42÷5=8.4,すなわち 9 人以上になる。

8 人では 8×5=40 回にしかならず 42 回に届かない。10 人や 16 人でも条件は満たせるが“最少”ではない。

シフト勤務に必要な人数 1日3シフト,各シフト2人以上なので,7日間で必要な延べ勤務は 7×3×2=42 回。1人は7日間に5回までなので,42÷5=8.4 で,9人以上が要る。8人では 8×5=40 回で足りない。 月 火 水 木 金 土 日 シフト1 2 2 2 2 2 2 2 シフト2 2 2 2 2 2 2 2 シフト3 2 2 2 2 2 2 2 延べ 7 × 3 × 2 = 42 回 42 ÷ 5 = 8.4 → 9 人
延べの回数 ÷ 1人の上限,端数は切り上げ

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

データセンタにおけるコールドアイルの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

コールドアイルは,ラックの前面(吸気面)同士を向かい合わせに配置したときに,その間にできる冷気の通り道。背面同士が向かい合う側がホットアイルになり,冷気と熱排気が混ざらないので冷却効率が上がる。

アはブランクパネル(ブランクプレート),イは外気冷房での外気の取入れ口,エは個別空調の冷媒配管の説明であり,いずれもコールドアイルではない。

コールドアイルとホットアイル ラックの前面(吸気面)どうしを向かい合わせに並べると,その間が空調機からの冷気の通り道(コールドアイル)になり,背面(排気面)どうしが向かい合う側が熱い排気の通り道(ホットアイル)になる。冷気と熱気が混ざらないので冷却の効率が上がる。 ラック ラック ラック ラック コールド アイル ホット アイル 冷気が下から 前面→ ←前面 背面→ ←背面
前面どうしの間がコールドアイル,背面どうしの間がホットアイル

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

システム監査基準(平成 30 年)に基づくシステム監査において,リスクの評価に基づく監査計画の策定(リスクアプローチ)で考慮すべき事項として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

システム監査基準(平成30年)は,リスクに基づく監査計画の策定(リスクアプローチ)の解釈指針で,“情報システムリスクは常に一定のものではないため,システム監査人は,その特性の変化及び変化がもたらす影響に留意する必要がある”としている。エがこれに当たる。

アは誤りで,監査は時間,要員,費用等の制約のもとで行われるので監査リスクを完全に回避することはできず,合理的に低い水準に抑えるように監査計画を策定する。イも誤りで,リスクアプローチは,リスクが顕在化した場合の影響が大きい監査対象領域に重点的に監査資源を配分し,影響の小さい領域には相応の監査資源を配分する考え方である。ウも誤りで,情報システムリスクは,情報システムに係るリスク,情報に係るリスク,情報システム及び情報の管理に係るリスクの三つに大別される。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問17

JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)において,“変更要求”によって“管理のプロセス群”に作用し,その結果である“承認された変更”によって“管理のプロセス群”から作用されるプロセス群がある。図中の a に入れる適切な字句はどれか。

上下 2 つの角丸の箱を矢印が往復する図。上の箱は“管理のプロセス群”,下の箱は空欄 a。下から上へ“変更要求”,上から下へ“承認された変更”の矢印が向かう。

正解 イ

解説

JIS Q 21500:2018 のプロセス群は,立ち上げ,計画,実行,管理,終結の五つ。プロジェクトの作業を実際に行う実行のプロセス群から,管理のプロセス群へ変更要求が上がり,管理のプロセス群で承認された変更が実行のプロセス群へ戻される。よって a は実行のプロセス群。

アの計画のプロセス群は計画を作るプロセス群で,承認された変更を受けて計画を更新することはあるが,図の“変更要求”の出どころではない。ウの終結とエの立ち上げは,プロジェクトやフェーズの終わりと始まりを扱うプロセス群である。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 21500(プロジェクトマネジメントの手引)

問18

過去のプロジェクトの開発実績から構築した作業配分モデルがある。システム要件定義からシステム内部設計までをモデルどおりに進めて 228 日で完了し,プログラム開発を開始した。現在,200 本のプログラムのうち 100 本のプログラムの開発を完了し,残りの 100 本は未着手の状況である。プログラム開発以降もモデルどおりに進捗すると仮定するとき,プロジェクトの完了まで,あと何日掛かるか。ここで,プログラムの開発に掛かる工数及び期間は,全てのプログラムで同一であるものとする。

〔作業配分モデル〕と題した,工程ごとの工数比と期間比の表。システム要件定義は工数比 0.17・期間比 0.25,システム外部設計は 0.21・0.21,システム内部設計は 0.16・0.11,プログラム開発は 0.16・0.11,システム結合は 0.11・0.11,システムテストは 0.19・0.21。

正解 イ

解説

期間比で見ると,システム要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11 の合計 0.57 が 228 日に当たるので,全体の期間は 228÷0.57=400 日。プログラム開発は 400×0.11=44 日で,200 本中 100 本が終わっているので残りは 22 日。システム結合は 400×0.11=44 日,システムテストは 400×0.21=84 日。残りの合計は 22+44+84=150 日。

工数比の列は,人員をどう割り振るかを見るための値で,期間の計算には使わない。工数比で同じ計算をすると別の値になるので,どちらの比を使うかを取り違えないことが要点。

作業配分モデルで残りの日数を求める 期間比で考える。要件定義から内部設計までの期間比は 0.25+0.21+0.11=0.57 で,これが 228 日にあたるので,全体は 228÷0.57=400 日。残りはプログラム開発の半分(0.11÷2),システム結合 0.11,システムテスト 0.21 で,期間比 0.375,つまり 400×0.375=150 日。 要件 0.25 外部 0.21 内部 0.11 PG PG 結合 0.11 テスト 0.21 0.11 0.57 → 228 日(全体 400 日) 残り 0.375 400 × 0.375 = 150 日
日数は期間比で計算する。工数比は使わない

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

図はプロセッサによってフェッチされた命令の格納順序を表している。a に該当するプロセッサの構成要素はどれか。

主記憶から矢印が伸び,プロセッサの中の空欄 a に入り,そこから命令デコーダへ矢印が向かう図。

正解 エ

解説

主記憶からフェッチした命令をいったん保持し,命令デコーダへ渡すのは命令レジスタ。図の a は主記憶と命令デコーダの間にあるので,これに当たる。

アのアキュムレータは演算の対象や結果を保持するレジスタ,イのデータキャッシュは命令ではなくデータを保持する高速メモリ,ウのプログラムレジスタ(プログラムカウンタ)は次に実行する命令のアドレスを保持するレジスタである。

命令の取出しと解読 プログラムカウンタが次に実行する命令のアドレスを示し,そのアドレスの命令を主記憶から取り出して命令レジスタに入れる。命令デコーダは命令レジスタの命令を解読し,演算装置などに指示を出す。演算の対象や結果はアキュムレータなどのレジスタに置く。 主記憶 プロセッサ プログラム カウンタ 命令レジスタ 命令デコーダ 演算装置 アキュムレータ アドレス 命令
取り出した命令は,まず命令レジスタに入ってから命令デコーダへ

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

複数台の物理サーバで多数の仮想サーバを提供しているシステムがある。次の条件で運用する場合,物理サーバが 8 台停止してもリソースの消費を平均 80%以内にするには,物理サーバが 1 台も停止していないときは最低何台必要か。ここで,各物理サーバは同一の性能と同一のリソースを有しているものとする。

〔条件〕

正解 ア

解説

物理サーバが N 台のとき,全体で消費しているリソースは 60N(%×台)に相当する。8 台停止すると,これを N−8 台で分け合うことになるので,1 台当たりの消費は 60N/(N−8)。これが 80 以内であればよいので 60N ≦ 80(N−8),すなわち 640 ≦ 20N から N ≧ 32。

最低 32 台あれば,8 台停止したときの消費は 60×32/24=80%でちょうど条件を満たす。34 台や 36 台でも条件は満たせるが“最低”ではない。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

トランザクション T1,T2 の同時実行制御が適切に行われない場合に起こり得る,レコード X,Y の変更消失問題(lost update anomaly)に該当する処理はどれか。

正解 エ

解説

変更消失(lost update)は,二つのトランザクションが同じ値を読んでから,それぞれの計算結果で順番に書き戻したときに,先の更新が後の更新に上書きされて消えてしまう現象。T1 と T2 がほぼ同時に X を参照し,その値に基づいて順に X を更新するのがこれに当たる。

アは集計の途中で値が変わってしまう非再現読取り(不整合分析),イはコミット前の値を読んだ後にロールバックされるダーティリード,ウもコミット前に追加されたレコードを読むダーティリード(ファントムリード)であり,いずれも更新が消えるわけではない。

変更消失とデッドロック 在庫が10個のとき,T1 と T2 がほぼ同時に在庫を読む(どちらも10)。T1 が1個引いて9を書き,T2 も10から1個引いて9を書くと,本当は8になるはずが9になり,T1 の更新が消える(変更消失)。これをロックで防ぐ。ロックの取り方によっては,A が B の持つ資源を待ち,B が A の持つ資源を待つ輪ができ,どちらも進めなくなる(デッドロック)。 T1 T2 在庫 1 在庫を読む(10) 10 2 在庫を読む(10) 10 3 10−1=9 を書く 9 4 10−1=9 を書く 9 本当は8なのに9。T1 の更新が消えた(変更消失) 待ちグラフ A B 資源2を待つ 資源1を待つ 閉路があれば デッドロック A は資源1 を持っている
防ぐにはロックを掛ける順番を全てのトランザクションでそろえる

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:障害回復(ロールバック・ロールフォワード) 排他制御とデッドロック(ACID 特性)

問22

図は,組織内の TCP/IP ネットワークに接続しているクライアントが,プロキシサーバ,ルータ,インターネットを経由して組織外の Web サーバを利用するときの経路を示している。この通信の TCP コネクションが設定される場所はどれか。

組織内ネットワークの中にクライアントとプロキシサーバが同じ LAN に接続され,その LAN がルータ,インターネットを経由して組織外の Web サーバにつながる構成図。

正解 イ

解説

プロキシサーバはクライアントに代わって Web サーバへアクセスする。このためコネクションはクライアントとプロキシサーバの間で一度終端され,プロキシサーバと Web サーバの間で改めて張られる。TCP コネクションはこの 2 本になる。

アは誤りで,プロキシを経由する以上クライアントと Web サーバが直接コネクションを張ることはない。ウとエのルータは IP パケットを中継するネットワーク層の装置であり,TCP コネクションの終端にはならない。

プロキシを通ると TCP コネクションは2本 クライアントはプロキシサーバと TCP コネクションを張り,プロキシサーバが改めて Web サーバと TCP コネクションを張る。ルータは IP パケットを中継するネットワーク層の装置なので,TCP コネクションの終点にはならない。 クライアント プロキシ ルータ Web TCP ① TCP ② IP パケットを中継するだけ TCP コネクションは クライアント⇔プロキシ,プロキシ⇔Web の2本
TCP の終点はクライアント・プロキシ・Web サーバ。ルータは素通り

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

DNS 水責め攻撃(ランダムサブドメイン攻撃)はどれか。

正解 イ

解説

DNS 水責め攻撃は,標的のドメインについて存在しないサブドメイン名をランダムに大量生成して問い合わせる攻撃。キャッシュに載っていないので問合せが必ず権威 DNS サーバまで届き,その処理能力を使い果たさせる。

アは偽の情報をキャッシュに覚え込ませる DNS キャッシュポイズニング,ウとエは大量の,あるいはサイズの大きい DNS レスポンスを送り付ける DNS リフレクション攻撃(DNS amp 攻撃)である。

DNS 水責め攻撃 攻撃者はボットなどから,「abc123.example.jp」「x9k7.example.jp」のように存在しないランダムなサブドメインの問合せを大量にキャッシュ DNS サーバへ送らせる。存在しない名前はキャッシュにないので,毎回 example.jp の権威 DNS サーバまで問い合わせが届き,権威サーバが過負荷になる。 ボット群 キャッシュ DNS 権威 DNS abc123.example.jp x9k7.example.jp … キャッシュに無い → 全部転送 過負荷 存在しない名前は毎回違う → キャッシュが効かない
毎回違う存在しない名前なので,キャッシュが効かず権威サーバに全部届く

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

用語解説:DNS のセキュリティ(DNSSEC・キャッシュポイズニング)

問24

メールサーバ(SMTP サーバ)の不正利用を防止するために,メールサーバにおいて行う設定はどれか。

正解 イ

解説

SMTP サーバが自組織と無関係な送信元から無関係な宛先へのメールを中継してしまう状態(オープンリレー)だと,迷惑メールの踏み台にされる。これを防ぐには第三者中継を禁止し,自組織に関係する送信元・宛先だけを中継するように設定する。

アの DNS サーバのゾーン転送の制限,ウの Web サーバのディレクトリリスティングの禁止,エの Web サーバでの CGI 実行場所の制限は,いずれも別のサーバに対する設定である。

第三者中継(オープンリレー)の禁止 自組織と関係ない送信元から,関係ない宛先へのメールまで中継してしまう SMTP サーバ(オープンリレー)は,迷惑メールの踏み台にされる。送信元か宛先のどちらかが自組織のメールだけを中継し,第三者中継を禁止する。 自組織の SMTP サーバ 外部 → 外部 自組織が関係 中継する 外部から外部へのメールは中継を禁止
自組織に関係のないメールは中継しない

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

用語解説:電子メールのプロトコル(SMTP・POP・IMAP)

問25

労働基準法で定める制度のうち,36 協定が根拠としている制度はどれか。

正解 ウ

解説

36 協定は,労働基準法 36 条に基づき,時間外労働や休日労働について労使協定を書面で締結して労働基準監督署長に届け出ることで,法定労働時間を超える労働が認められる制度。届出をしていなければ法定労働時間を超えて働かせることはできない。

アは裁量労働制(みなし労働時間制),イは 1 か月単位の変形労働時間制,エはフレックスタイム制であり,いずれも別の条文に基づく制度である。

出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)