令和元年度 秋期に実施されたITサービスマネージャ試験
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問1
ITIL 2011 edition によれば,サービス・ポートフォリオの構成要素のうちのサービス・パイプラインに収録されるサービスはどれか。
- ア開発が完了し,顧客に提供することが可能なサービス
- イ今後,段階的に停止されたり,取り消されたりするサービス
- ウサービスオペレーション段階で実行されているサービス
- エ将来提供する予定である開発中のサービス正解
正解 エ
解説
サービス・ポートフォリオは,サービス・パイプライン,サービス・カタログ,廃止済みサービスの三つからなる。このうちサービス・パイプラインは,構想中や開発中で,将来提供する予定のサービスを収めた部分。顧客には公開しない。
アの提供可能なサービスとウの稼働中のサービスはサービス・カタログ,イの段階的に停止・取消しをするサービスは廃止済みサービスに当たる。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
JIS Q 20000-1:2012(サービスマネジメントシステム要求事項)が規定しているものはどれか。
- アサービスの計画から運用,維持,改善までを支援する製品又はツールの仕様
- イサービスマネジメントシステムを計画,確立,導入,運用,監視,レビュー,維持及び改善するための,サービス提供者に対する要求事項正解
- ウ情報セキュリティマネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,継続的に改善するための要求事項
- エ当該規格の要求事項を適用するサービスの形態,規模及び性質
正解 イ
解説
JIS Q 20000-1:2012 は,サービス提供者が SMS を計画,確立,導入,運用,監視,レビュー,維持及び改善するために満たすべき要求事項を規定した規格。認証の基準になるのはこの要求事項である。
アのようなツールの仕様は規定していない。ウは JIS Q 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)の内容。エのサービスの形態,規模及び性質は,規格が適用範囲として規定するものではなく,適用する組織が自ら定めるものである。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
ITIL 2011 edition によれば,サービス・ポートフォリオとサービス・カタログの関係の説明のうち,適切なものはどれか。
- アサービス・カタログは,サービス・ポートフォリオで管理するサービスのうち,稼働中の全てのサービスを記載したものである。正解
- イサービス・カタログは,一つのサービス・ポートフォリオに対して一つであり,1 対 1 に対応している。
- ウサービス・ポートフォリオで管理するサービスのうち,稼働中及び開発中のサービスをサービス・カタログに記載する。
- エ廃止済みサービスは,顧客への告知のためにサービス・カタログには残すが,サービス・ポートフォリオからは削除する。
正解 ア
解説
サービス・ポートフォリオは,構想・開発中のサービス(サービス・パイプライン),稼働中のサービス(サービス・カタログ),廃止済みサービスの三つからなる。このうち顧客に公開するのがサービス・カタログで,稼働中の全てのサービスが載る。
イは誤り。カタログはポートフォリオの一部であって 1 対 1 の対応ではない。ウの開発中のサービスはサービス・パイプラインに属し,カタログには載せない。エは逆で,廃止済みサービスはカタログから外し,ポートフォリオには記録として残す。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
JIS Q 20000-2:2013(サービスマネジメントシステムの適用の手引)によれば,サービスレベル合意書(SLA)の作成指針のうち,最も適切なものはどれか。
- アSLA では,顧客の責任は規定せずに,サービス提供者の責任を規定する。
- イSLA において設定する目標は,サービス提供者の視点でできるだけ多く定義する。
- ウある顧客に対して複数のサービスを提供する際に,一つの SLA で複数のサービスに対処してもよい。正解
- エ利用するサービスに関する情報は,サービスカタログに収録されている情報についても,必ず SLA に記載する。
正解 ウ
解説
JIS Q 20000-2:2013 は,ある顧客に複数のサービスを提供する場合に,一つの SLA でそれらをまとめて扱ってもよいとしている。サービスごとに必ず SLA を分けなければならないわけではない。
アは誤りで,SLA には顧客側の責任も規定する。イも誤りで,目標は顧客の視点から意味のあるものを選ぶべきで,提供者の視点で数を増やすものではない。エも誤りで,サービスカタログに載っている情報を SLA に重複して書く必要はなく,参照すればよい。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
システムの改善に向けて提出された案 1〜4 について,評価項目を設定して採点した結果を,採点結果表に示す。効果及びリスクについては 5 段階評価とし,それぞれの評価項目の重要度に応じて,重み付け表に示すとおりの重み付けを行った上で,次の式で総合評価点を算出する。総合評価点が最も高い改善案はどれか。
〔総合評価点の算出式〕
総合評価点 = 効果の総評価点 - リスクの総評価点
正解 ウ
解説
効果の重みは作業コスト削減 3,システム運用品質向上 2,セキュリティ強化 4,リスクの重みは技術リスク 3,スケジュールリスク 8。案ごとに重み付けして計算すると,案 1 は効果 5×3+2×2+3×4=31,リスク 4×3+2×8=28 で総合 3。案 2 は効果 36,リスク 35 で総合 1。案 3 は効果 2×3+2×2+5×4=30,リスク 5×3+1×8=23 で総合 7。案 4 は効果 30,リスク 43 で総合 −13。
最も高いのは案 3。効果の素点だけを見ると案 2 が高いが,スケジュールリスクの重みが 8 と大きいため,そこが 4 の案 2 と 5 の案 4 は総合点を大きく下げる。重み付けをしてから引き算する点が要点。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
IT サービスマネジメントにおけるインシデントの段階的取扱い(エスカレーション)の種類のうち,階層的エスカレーションに該当するものはどれか。
- ア一次サポートグループでは解決できなかったインシデントの対応を,より専門的な知識をもつ二次サポートグループに委ねる。
- イ現在の担当者では解決できなかったインシデントの対応を,広範にわたる関係者を招集する権限をもつ上級マネージャに委ねる。正解
- ウ自分のシフト勤務時間内に完了しなかったインシデントの対応を,次のシフト勤務者に委ねる。
- エ中央サービスデスクで受け付けたインシデントの対応を,利用者が属する地域のローカルサービスデスクに委ねる。
正解 イ
解説
階層的エスカレーションは,対応に必要な権限や資源が足りないときに,指揮命令系統の上位へ引き上げること。関係者を招集する権限をもつ上級マネージャに委ねるのがこれに当たる。
アはより高い技術力をもつグループへ渡す機能的エスカレーション。ウのシフト交代時の引継ぎと,エの中央からローカルのサービスデスクへの割り振りは,担当の移動であってエスカレーションの種類ではない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
目標復旧時点(RPO)を 24 時間に定めているのはどれか。
- アアプリケーションソフトウェアのリリースを展開するための中断時間を,24 時間以内とする。
- イ業務データの復旧を,障害発生時点から 24 時間以内に完了させる。
- ウ業務データを,障害発生時点の 24 時間前以降の状態に復旧させる。正解
- エ中断した IT サービスを 24 時間以内に復旧させる。
正解 ウ
解説
RPO(目標復旧時点)は,障害からいつの時点のデータに戻せればよいかを定めた目標。“障害発生時点の 24 時間前以降の状態に復旧させる”は,失ってよいデータを 24 時間分までとする指定なので RPO に当たる。
イの“24 時間以内に完了させる”とエの“24 時間以内に復旧させる”は,復旧までの時間を定めた RTO(目標復旧時間)。アはリリースの展開に伴う計画的な中断時間の上限であり,復旧目標ではない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
ITIL 2011 edition によれば,サプライヤをカテゴリ化するに当たっては,サプライヤの利用に関連する“リスクとインパクト”,及び事業に対するサプライヤとそのサービスの“価値と重要性”に着目する方法がある。“リスクとインパクト”と“価値と重要性”を評価して,サプライヤをカテゴリ①〜④に分けた図の,カテゴリ④を説明するものはどれか。
- ア運用上の製品,又はサービスのサプライヤに対して,下級運用マネジメントによって管理するカテゴリである。
- イ顕著な商業活動及び事業とのやり取りがあり,中級マネジメントが関与するカテゴリである。
- ウ長期的な計画を促進するために,戦略の機密情報を共有する上級マネジメントが関与するカテゴリである。正解
- エ比較的容易に代替ソーシングされ得る,価値が低く容易に入手できる製品とサービスを提供するサプライヤに対するカテゴリである。
正解 ウ
解説
図のカテゴリ④は,リスクとインパクトが高く,事業に対する価値と重要性も高い領域で,戦略的サプライヤに当たる。長期的な計画を一緒に進めるために戦略の機密情報まで共有し,上級マネジメントが関与する。
エはカテゴリ①の商品的サプライヤ,アはカテゴリ②の運用的サプライヤ,イはカテゴリ③の戦術的サプライヤの説明である。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
JIS Q 20000-2:2013(サービスマネジメントシステムの適用の手引)によれば,構成管理プロセスの活動として,適切なものはどれか。
- ア構成品目の総所有費用及び総減価償却費用の計算
- イ構成品目の特定,管理,記録,追跡,報告及び検証,並びに CMDB での CI 情報の管理正解
- ウ正しい場所及び時間での構成品目の配付
- エ変更管理方針で定義された構成品目に対する変更要求の管理
正解 イ
解説
JIS Q 20000-2:2013 の構成管理は,構成品目(CI)を特定し,管理・記録・追跡・報告・検証を行い,その情報を構成管理データベース(CMDB)で維持する活動。CI の情報を正確に保つことがこのプロセスの役割。
アの費用計算は資産管理や財務管理,ウの正しい場所・時間への配付はリリース及び展開管理,エの変更要求の管理は変更管理の活動である。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
JIS Q 20000-2:2013(サービスマネジメントシステムの適用の手引)によれば,IT サービスマネジメントの変更管理の要求事項に基づいて策定する変更管理規程に記載する規則として,適切なものはどれか。
- アサービスの廃止は,顧客への影響及びリスクの大きさを考慮して,重大な影響を及ぼす可能性のあるサービス変更として分類するかどうかを決定する。
- イ重大なインシデントを解決するために早急な変更の実施が望まれるときは,緊急変更の手順を利用する。正解
- ウ変更が失敗した場合に差異を識別し,原因究明を行えるようにするために,変更の展開前に CMDB を更新する。
- エ変更が失敗した場合には,失敗した変更を元に戻す処置を新たな変更要求とする。
正解 イ
解説
変更管理規程には,重大なインシデントを解決するために早急な変更が必要なときの緊急変更の手順を定めておく。通常の承認手順をたどっていては間に合わない場合に備え,簡略化した承認と事後の記録の手順をあらかじめ決めておくのが要点。
アは誤りで,サービスの廃止(除去)は重大な影響を及ぼす可能性のあるサービスの変更として扱う。ウも誤りで,CMDB は変更を展開した後に実態に合わせて更新する。エも誤りで,変更が失敗したときの切戻しは元の変更要求の計画にあらかじめ含めておくものであり,新たな変更要求として起票し直すものではない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
ITIL 2011 edition のインシデント管理において,インシデント・モデルを定義しておくことによって得られるメリットはどれか。
- アインシデント管理プロセス及びその運用の,効率性と有効性を判断するための基準を明確にできる。
- イ過去のインシデントについて,履歴,カテゴリ,及び解決するために取られた処置を容易に参照できる。
- ウ繰り返し発生するインシデントに対して,事前に定義された経路で,事前に定義された時間枠内に対応できる。正解
- エ根本原因が判明していない問題に対する解決策を提供できる。
正解 ウ
解説
インシデント・モデルは,繰り返し発生する種類のインシデントについて,取るべき手順とその順序,責任者,エスカレーション経路,解決までの時間枠をあらかじめ定めておくもの。定義しておけば,担当者の力量に左右されずに,決めた経路と時間枠の中で処理できる。
アはインシデント管理の KPI や測定基準の話,イはインシデント記録や既知のエラーデータベースの効用,エは根本原因が未判明の問題に対するワークアラウンド(問題管理)であり,いずれもモデルを定義したことによる直接のメリットではない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
システム運用サービスを提供するデータセンタにおいて,サーバに仮想化技術を用いることによって得られる利点のうち,適切なものはどれか。
- アサーバクラスタリングシステムの処理能力を増強する場合,より高速な CPU に変更すれば,ソフトウェアの基本ライセンスの見直しをしなくてよい。
- イ大規模データの分散処理を実現するソフトウェア Apache Hadoop を用いて構築したシステムの場合,1 台の物理サーバ上に構築した環境を用いて,処理能力を検証できる。
- ウデータセンタ全体の電力消費量を削減するために少数の物理サーバに処理を集約する場合,ライブマイグレーションを行えば,移行する際にサービスを停止しなくてよい。正解
- エ物理サーバの台数を削減する場合,仮想サーバを,応答時間の長い時間帯が重ならないようにして,少数の物理サーバ上に再配置すれば,現状の応答時間を保証できる。
正解 ウ
解説
サーバの仮想化では,仮想サーバを稼働させたまま別の物理サーバへ移すライブマイグレーションが使える。少数の物理サーバに集約して消費電力を減らす際も,移行のためにサービスを止めなくてよい。
アは誤りで,CPU の性能や数に応じて課金されるライセンスでは見直しが必要になる。イも誤りで,Hadoop は複数ノードでの分散処理を前提とするので,1 台の物理サーバ上に作った環境では実際の処理能力を検証できない。エも誤りで,集約すれば物理資源の競合が起きるため,現状の応答時間を保証することはできない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
入出力データの管理方針のうち,適切なものはどれか。
- ア出力帳票の利用状況を定期的に点検し,利用されていないと判断したものは,情報システム部門の判断で出力を停止する。
- イ出力帳票は授受管理表などを用いて確実に受渡しを行い,情報の重要度によっては業務部門の管理者に手渡しする。正解
- ウチェックによって発見された入力データの誤りは,情報システム部門の判断で迅速に修正する。
- エ入力原票や EDI 受信ファイルなどの取引情報は,機密性を確保するために,データをシステムに取り込んだ後に速やかに廃棄する。
正解 イ
解説
出力帳票には機密性の高い情報が含まれることがあるので,授受管理表などで受渡しを記録し,重要度に応じて業務部門の管理者に直接手渡す。誰にいつ渡したかを追跡できるようにしておくのが要点。
アは誤りで,帳票の出力停止は利用している業務部門と協議して決めるべきで,情報システム部門の独断では業務に支障が出る。ウも誤りで,入力データの誤りは原票を作成した業務部門に差し戻して確認・修正してもらう。エも誤りで,入力原票や EDI 受信ファイルは後の照合や追跡のために一定期間保存する。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
“24 時間 365 日”の有人オペレーションサービスを提供する。シフト勤務の条件が次のとき,オペレータは最少で何人必要か。
〔条件〕
- (1) 1 日に 3 シフトの交代勤務とする。
- (2) 各シフトで勤務するオペレータは 2 人以上とする。
- (3) 各オペレータの勤務回数は 7 日間当たり 5 回以内とする。
正解 イ
解説
7 日間に必要な延べ勤務回数は,7 日×3 シフト×2 人=42 回。1 人当たりの勤務回数は 7 日間で 5 回以内なので,必要な人数は 42÷5=8.4,すなわち 9 人以上になる。
8 人では 8×5=40 回にしかならず 42 回に届かない。10 人や 16 人でも条件は満たせるが“最少”ではない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
データセンタにおけるコールドアイルの説明として,適切なものはどれか。
- アIT 機器の冷却を妨げる熱気をラックの前面(吸気面)に回り込ませないための板であり,IT 機器がマウントされていないラックの空き部分に取り付ける。
- イ寒冷な外気をデータセンタ内に直接導入して IT 機器を冷却するときの,データセンタへの外気の吸い込み口である。
- ウ空調機からの冷気と IT 機器からの熱排気を分離するために,ラックの前面(吸気面)同士を対向配置したときの,ラックの前面同士に挟まれた冷気が通る部分である。正解
- エ発熱量が多い特定の領域に対して,全体空調とは別に個別空調装置を設置するときの,個別空調用の冷媒を通すパイプである。
正解 ウ
解説
コールドアイルは,ラックの前面(吸気面)同士を向かい合わせに配置したときに,その間にできる冷気の通り道。背面同士が向かい合う側がホットアイルになり,冷気と熱排気が混ざらないので冷却効率が上がる。
アはブランクパネル(ブランクプレート),イは外気冷房での外気の取入れ口,エは個別空調の冷媒配管の説明であり,いずれもコールドアイルではない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
システム監査基準(平成 30 年)に基づくシステム監査において,リスクの評価に基づく監査計画の策定(リスクアプローチ)で考慮すべき事項として,適切なものはどれか。
- ア監査対象の不備を見逃して監査の結論を誤る監査リスクを完全に回避する監査計画を策定する。
- イ情報システムリスクの大小にかかわらず,監査対象に対して一律に監査資源を配分する。
- ウ情報システムリスクは,情報システムに係るリスクと,情報の管理に係るリスクの二つに大別されることに留意する。
- エ情報システムリスクは常に一定ではないことから,情報システムリスクの特性の変化及び変化がもたらす影響に留意する。正解
正解 エ
解説
システム監査基準(平成30年)は,リスクに基づく監査計画の策定(リスクアプローチ)の解釈指針で,“情報システムリスクは常に一定のものではないため,システム監査人は,その特性の変化及び変化がもたらす影響に留意する必要がある”としている。エがこれに当たる。
アは誤りで,監査は時間,要員,費用等の制約のもとで行われるので監査リスクを完全に回避することはできず,合理的に低い水準に抑えるように監査計画を策定する。イも誤りで,リスクアプローチは,リスクが顕在化した場合の影響が大きい監査対象領域に重点的に監査資源を配分し,影響の小さい領域には相応の監査資源を配分する考え方である。ウも誤りで,情報システムリスクは,情報システムに係るリスク,情報に係るリスク,情報システム及び情報の管理に係るリスクの三つに大別される。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)において,“変更要求”によって“管理のプロセス群”に作用し,その結果である“承認された変更”によって“管理のプロセス群”から作用されるプロセス群がある。図中の a に入れる適切な字句はどれか。
- ア計画のプロセス群
- イ実行のプロセス群正解
- ウ終結のプロセス群
- エ立ち上げのプロセス群
正解 イ
解説
JIS Q 21500:2018 のプロセス群は,立ち上げ,計画,実行,管理,終結の五つ。プロジェクトの作業を実際に行う実行のプロセス群から,管理のプロセス群へ変更要求が上がり,管理のプロセス群で承認された変更が実行のプロセス群へ戻される。よって a は実行のプロセス群。
アの計画のプロセス群は計画を作るプロセス群で,承認された変更を受けて計画を更新することはあるが,図の“変更要求”の出どころではない。ウの終結とエの立ち上げは,プロジェクトやフェーズの終わりと始まりを扱うプロセス群である。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
過去のプロジェクトの開発実績から構築した作業配分モデルがある。システム要件定義からシステム内部設計までをモデルどおりに進めて 228 日で完了し,プログラム開発を開始した。現在,200 本のプログラムのうち 100 本のプログラムの開発を完了し,残りの 100 本は未着手の状況である。プログラム開発以降もモデルどおりに進捗すると仮定するとき,プロジェクトの完了まで,あと何日掛かるか。ここで,プログラムの開発に掛かる工数及び期間は,全てのプログラムで同一であるものとする。
正解 イ
解説
期間比で見ると,システム要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11 の合計 0.57 が 228 日に当たるので,全体の期間は 228÷0.57=400 日。プログラム開発は 400×0.11=44 日で,200 本中 100 本が終わっているので残りは 22 日。システム結合は 400×0.11=44 日,システムテストは 400×0.21=84 日。残りの合計は 22+44+84=150 日。
工数比の列は,人員をどう割り振るかを見るための値で,期間の計算には使わない。工数比で同じ計算をすると別の値になるので,どちらの比を使うかを取り違えないことが要点。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
図はプロセッサによってフェッチされた命令の格納順序を表している。a に該当するプロセッサの構成要素はどれか。
- アアキュムレータ
- イデータキャッシュ
- ウプログラムレジスタ(プログラムカウンタ)
- エ命令レジスタ正解
正解 エ
解説
主記憶からフェッチした命令をいったん保持し,命令デコーダへ渡すのは命令レジスタ。図の a は主記憶と命令デコーダの間にあるので,これに当たる。
アのアキュムレータは演算の対象や結果を保持するレジスタ,イのデータキャッシュは命令ではなくデータを保持する高速メモリ,ウのプログラムレジスタ(プログラムカウンタ)は次に実行する命令のアドレスを保持するレジスタである。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
複数台の物理サーバで多数の仮想サーバを提供しているシステムがある。次の条件で運用する場合,物理サーバが 8 台停止してもリソースの消費を平均 80%以内にするには,物理サーバが 1 台も停止していないときは最低何台必要か。ここで,各物理サーバは同一の性能と同一のリソースを有しているものとする。
〔条件〕
- (1) ある物理サーバが停止すると,その物理サーバ内の全ての仮想サーバを,稼働中の物理サーバに,リソースの消費が均等になるように再配分する。
- (2) 物理サーバが 1 台も停止していないときのリソースの消費は,平均 60%である。
- (3) その他の条件は考慮しない。
正解 ア
解説
物理サーバが N 台のとき,全体で消費しているリソースは 60N(%×台)に相当する。8 台停止すると,これを N−8 台で分け合うことになるので,1 台当たりの消費は 60N/(N−8)。これが 80 以内であればよいので 60N ≦ 80(N−8),すなわち 640 ≦ 20N から N ≧ 32。
最低 32 台あれば,8 台停止したときの消費は 60×32/24=80%でちょうど条件を満たす。34 台や 36 台でも条件は満たせるが“最低”ではない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
トランザクション T1,T2 の同時実行制御が適切に行われない場合に起こり得る,レコード X,Y の変更消失問題(lost update anomaly)に該当する処理はどれか。
- アT1 が X と Y を参照しながら値の集計を行っている最中に,T2 が X を更新した。
- イT1 が X を更新した後,コミットする前に,T2 が X を参照したが,T1 がロールバックした。
- ウT1 が X を追加した後,コミットする前に,T2 が X を参照し,その値を使って Y を更新した。
- エT1 と T2 が X をほぼ同時に参照し,その値に基づいて X を T1,T2 の順番に更新した。正解
正解 エ
解説
変更消失(lost update)は,二つのトランザクションが同じ値を読んでから,それぞれの計算結果で順番に書き戻したときに,先の更新が後の更新に上書きされて消えてしまう現象。T1 と T2 がほぼ同時に X を参照し,その値に基づいて順に X を更新するのがこれに当たる。
アは集計の途中で値が変わってしまう非再現読取り(不整合分析),イはコミット前の値を読んだ後にロールバックされるダーティリード,ウもコミット前に追加されたレコードを読むダーティリード(ファントムリード)であり,いずれも更新が消えるわけではない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
図は,組織内の TCP/IP ネットワークに接続しているクライアントが,プロキシサーバ,ルータ,インターネットを経由して組織外の Web サーバを利用するときの経路を示している。この通信の TCP コネクションが設定される場所はどれか。
- アクライアントと Web サーバの間,クライアントとプロキシサーバの間
- イクライアントとプロキシサーバの間,プロキシサーバと Web サーバの間正解
- ウクライアントとプロキシサーバの間,プロキシサーバとルータの間,ルータと Web サーバの間
- エクライアントとルータの間,ルータと Web サーバの間
正解 イ
解説
プロキシサーバはクライアントに代わって Web サーバへアクセスする。このためコネクションはクライアントとプロキシサーバの間で一度終端され,プロキシサーバと Web サーバの間で改めて張られる。TCP コネクションはこの 2 本になる。
アは誤りで,プロキシを経由する以上クライアントと Web サーバが直接コネクションを張ることはない。ウとエのルータは IP パケットを中継するネットワーク層の装置であり,TCP コネクションの終端にはならない。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
DNS 水責め攻撃(ランダムサブドメイン攻撃)はどれか。
- ア標的の DNS キャッシュサーバに,ランダムかつ大量に生成した偽のサブドメインの DNS 情報を注入する。
- イ標的の権威 DNS サーバに,ランダムかつ大量に生成した存在しないサブドメイン名を問い合わせる。正解
- ウ標的のサーバに,ランダムに生成したサブドメインの DNS 情報を格納した,大量の DNS レスポンスを送り付ける。
- エ標的のサーバに,ランダムに生成したサブドメインの DNS 情報を格納した,データサイズが大きい DNS レスポンスを送り付ける。
正解 イ
解説
DNS 水責め攻撃は,標的のドメインについて存在しないサブドメイン名をランダムに大量生成して問い合わせる攻撃。キャッシュに載っていないので問合せが必ず権威 DNS サーバまで届き,その処理能力を使い果たさせる。
アは偽の情報をキャッシュに覚え込ませる DNS キャッシュポイズニング,ウとエは大量の,あるいはサイズの大きい DNS レスポンスを送り付ける DNS リフレクション攻撃(DNS amp 攻撃)である。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
メールサーバ(SMTP サーバ)の不正利用を防止するために,メールサーバにおいて行う設定はどれか。
- アゾーン転送のアクセス元を制御する。
- イ第三者中継を禁止する。正解
- ウディレクトリに存在するファイル名の表示を禁止する。
- エ特定のディレクトリ以外での CGI プログラムの実行を禁止する。
正解 イ
解説
SMTP サーバが自組織と無関係な送信元から無関係な宛先へのメールを中継してしまう状態(オープンリレー)だと,迷惑メールの踏み台にされる。これを防ぐには第三者中継を禁止し,自組織に関係する送信元・宛先だけを中継するように設定する。
アの DNS サーバのゾーン転送の制限,ウの Web サーバのディレクトリリスティングの禁止,エの Web サーバでの CGI 実行場所の制限は,いずれも別のサーバに対する設定である。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
労働基準法で定める制度のうち,36 協定が根拠としている制度はどれか。
- ア業務遂行の手段,時間配分の決定などを大幅に労働者に委ねる業務に適用され,労働時間の算定は,労使協定で定めた労働時間の労働とみなす制度
- イ業務の繁閑に応じた労働時間の配分などを行い,労使協定によって 1 か月以内の期間を平均して 1 週の法定労働時間を超えないようにする制度
- ウ時間外労働,休日労働についての労使協定を書面で締結し,労働基準監督署に届け出ることによって,法定労働時間外の労働が認められる制度正解
- エ労使協定によって 1 か月以内の一定期間の総労働時間を定め,1 日の固定勤務時間以外では,労働者に始業・終業時刻の決定を委ねる制度
正解 ウ
解説
36 協定は,労働基準法 36 条に基づき,時間外労働や休日労働について労使協定を書面で締結して労働基準監督署長に届け出ることで,法定労働時間を超える労働が認められる制度。届出をしていなければ法定労働時間を超えて働かせることはできない。
アは裁量労働制(みなし労働時間制),イは 1 か月単位の変形労働時間制,エはフレックスタイム制であり,いずれも別の条文に基づく制度である。
出典:令和元年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)