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高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通

平成28年度 春期 科目A-1(午前Ⅰ)

平成28年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ(2026年度からの科目A-1)の全30問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:科目A-1(午前Ⅰ・高度試験 共通)について

この年度を解く(受ける試験区分を選ぶ)

問1

10 進数 123 を,英字 A〜Z を用いた 26 進数で表したものはどれか。ここで,A=0,B=1,…,Z=25 とする。

正解 ウ

解説

10進数 123 を26で割っていく。123÷26=4 余り 19 で,商の 4 は 26 未満なのでこれ以上割れない。したがって 123=4×26+19 となり,上の桁が 4,下の桁が 19 の2桁の26進数になる。

A=0,B=1,… と対応させると 4 は E,19 は T なので ET と表され,ウが正しい。エの TE は桁の順序を逆にしたもの,アの BCD とイの DCB は 10 進数の各桁 1,2,3 をそのまま英字に置き換えたものである。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

a,b,c,d の4文字から成るメッセージを符号化してビット列にする方法として表のア〜エの4通りを考えた。この表は a,b,c,d の各1文字を符号化するときのビット列を表している。メッセージ中での a,b,c,d の出現頻度は,それぞれ 50%,30%,10%,10%であることが分かっている。符号化されたビット列から元のメッセージが一意に復号可能であって,ビット列の長さが最も短くなるものはどれか。

符号化の表。ア:a=0,b=1,c=00,d=11。イ:a=0,b=01,c=10,d=11。ウ:a=0,b=10,c=110,d=111。エ:a=00,b=01,c=10,d=11。

正解 ウ

解説

一意に復号できるかは,どの符号も他の符号の先頭部分になっていない(接頭符号である)かで確かめる。アは a=0 が c=00 の先頭,b=1 が d=11 の先頭になっており,“00”が c なのか aa なのか区別できない。イも a=0 が b=01 の先頭になっていて一意に復号できない。ウとエは接頭符号で,一意に復号できる。

1文字当たりの平均ビット数は,ウが 0.5×1+0.3×2+0.1×3+0.1×3=1.7 ビット,エは全て2ビットなので2ビットである。ウのほうが短く,ウが正しい。出現頻度の高い文字ほど短い符号を割り当てるハフマン符号の考え方である。

一意に復号できる符号(接頭符号) 符号を木で表すと,a=0,b=10,c=110,d=111 はどの符号も葉にあり,ほかの符号の途中(先頭部分)にならないので,区切りがなくても一意に読める。a=0,c=00 のように a が c の先頭になっていると,“00” が c か aa か区別できない。出現頻度 50%・30%・10%・10% なら,平均の長さは 0.5×1+0.3×2+0.1×3+0.1×3=1.7 ビット。 0 1 0 1 0 1 a 0 b 10 c 110 d 111 平均の長さ 0.5×1 +0.3×2 +0.1×3 +0.1×3 =1.7 ビット a=0,c=00 だと “00” が c か aa か 分からない
符号が全部「葉」にあれば一意に復号できる。よく出る文字ほど短く

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

流れ図に示す処理の動作の記述として,適切なものはどれか。ここで,二重線は並列処理の同期を表す。

流れ図。開始 → A → 並列処理の開始を表す二重線 → B と C が並列に分かれる → 並列処理の同期を表す二重線 → そこから B の入口と C の入口へそれぞれ戻る線がある。

正解 ウ

解説

A を実行した後,上の二重線で B と C が並列に開始され,下の二重線で B と C の両方が終わるまで同期をとる。同期した後は B と C の入口に戻るので,再び B と C を並列に実行する。B と C は並列なので終わる順序は BC にも CB にもなり,A の後に“BC 又は CB”を繰り返して実行することになる。ウが適切である。

アとイは誤り。B と C は同じ資源を奪い合う構造ではなく,同期の後は必ず両方の入口に戻るので,デッドロックにはならない。エは誤り。同期をとるので,B だけ又は C だけが繰り返されることはない。

二重線の同期がある流れ図 A を実行した後,上の二重線で B と C を並行に始め,下の二重線で B と C の両方が終わるのを待つ(同期)。同期した後は B と C の入口に戻るので,再び B と C を並行に実行する。終わる順は BC にも CB にもなり,A の後に“BC 又は CB”を繰り返す。 A B C 戻る 下の二重線で B と C の両方が終わるのを待つ A の後に「BC 又は CB」を繰り返す
二重線で分かれ,二重線で両方を待つ。戻ってまた両方

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

用語解説:排他制御とデッドロック(ACID 特性)

問4

並列処理方式である SIMD の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

SIMD(Single Instruction stream Multiple Data stream)は,一つの命令ストリームで複数のデータストリームを同時に処理する方式で,同じ演算を多数のデータに一度に適用する画像処理や行列演算などに向く。イが適切である。

フリンの分類では,アの単一命令ストリームで単一データストリームを処理するのは SISD(従来の逐次処理),ウの複数の命令ストリームで単一データストリームを処理するのは MISD,エの複数の命令ストリームで複数のデータストリームを処理するのは MIMD(マルチプロセッサなど)である。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

仮想サーバの運用サービスで使用するライブマイグレーションの概念を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

ライブマイグレーションは,仮想サーバを稼働させたまま,その OS やソフトウェアを停止せずに別の物理サーバへ移動させる技術である。物理サーバの保守や負荷分散のときに,サービスを止めずに仮想サーバを移せる。アが該当する。

イはデータの利用頻度などに応じて適したストレージに自動配置するストレージ階層化(階層型ストレージ管理),ウは複数の利用者で同じサーバやデータベースを共有しながら利用者ごとにデータを分離するマルチテナント,エは要求に応じてリソースを動的に割り当て・回収するプロビジョニングなどの説明である。

ライブマイグレーション 仮想サーバを動かしたまま,OS やソフトウェアを止めずに,別の物理サーバへ移す。物理サーバの保守や負荷の偏りを直すとき,夜間に少数の物理サーバへ集めて電源を切るときにも,サービスを止めなくてよい。 物理サーバ1 物理サーバ2 仮想サーバ 動いたまま 仮想サーバ 動いたまま 仮想サーバ 移す 保守・負荷分散・夜間の集約(省電力)でも止めずに済む
サービスを止めずに,仮想サーバを別の物理サーバへ

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

仮想記憶方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

LRU(Least Recently Used)アルゴリズムは,最後に使用されてから最も長い時間が経過したページを置換の対象とするページ置換アルゴリズムである。アが適切である。

イは誤り。インデックス方式のアドレス変換で必要なページテーブルは,主記憶に存在するページ分ではなく,仮想記憶空間の全ページ分である。ウは誤り。ページフォールトが発生したときに必要なのは,補助記憶から該当ページを読み込むページインで,ガーベジコレクション(不要になったメモリ領域の回収)ではない。エは誤り。ページングは固定長のページ単位で割り当てるので,小さな空き領域が細切れに発生する外部フラグメンテーションは起きない。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

用語解説:仮想記憶(ページング)

問7

DRAM の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

DRAM は,コンデンサに電荷を蓄えて1ビットを記憶するメモリで,電荷が時間とともに失われるため定期的にリフレッシュ動作が必要である。構造が単純で集積度が高く安価なので,PC の主記憶に用いられる。エが適切である。

アは1バイト単位で消去・書込みができる不揮発性メモリの EEPROM。イは NAND 型や NOR 型があり SSD などに用いられるフラッシュメモリ。ウはフリップフロップでデータを保持し高速なので,キャッシュメモリに用いられる SRAM の説明である。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

用語解説:キャッシュメモリ

問8

使用性(ユーザビリティ)の規格(JIS Z 8521:1999)では,使用性を,“ある製品が,指定された利用者によって,指定された利用の状況下で,指定された目的を達成するために用いられる際の,有効さ,効率及び利用者の満足度の度合い”と定義している。この定義中の“利用者の満足度”を評価するのに適した方法はどれか。

正解 ア

解説

利用者の満足度は,利用者が製品を使ってどう感じたかという主観的な評価なので,利用者本人に直接意見や感想を聞くインタビュー法(又はアンケート)が適している。アが正しい。

イのヒューリスティック評価は,専門家が経験則(ヒューリスティック)に照らして問題点を洗い出す手法で,利用者自身の満足度は測れない。ウのユーザビリティテストは,利用者に実際に作業をしてもらい,達成できたか(有効さ)や掛かった時間(効率)などを観察する手法。エのログデータ分析法は操作記録から利用の状況を分析する手法で,いずれも主に有効さや効率の評価に向く。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

次の表において,“在庫”表の製品番号に定義された参照制約によって拒否される可能性がある操作はどれか。ここで,実線の下線は主キーを,破線の下線は外部キーを表す。

正解 ウ

解説

“在庫”表の製品番号は,“製品”表の製品番号を参照する外部キーである。参照制約によって,“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に存在しなければ追加が拒否される。ウが正しい。

アの“在庫”表の行削除とイの表削除は,参照する側の行や表を消すだけなので,参照制約に反しない。エの“製品”表への行追加は,参照される側に新しい製品番号を増やすだけなので拒否されない。拒否される可能性があるのは,“在庫”表から参照されている“製品”表の行の削除や製品番号の更新である。

参照制約で拒否される操作 “在庫”表の製品番号は“製品”表の製品番号を参照する外部キー。“在庫”表に行を追加するとき,その製品番号が“製品”表に無ければ拒否される。参照される側の“製品”表から,参照されている行を削除したり製品番号を変えたりするのも拒否されうる。“在庫”表の行や表の削除,“製品”表への行の追加は拒否されない。 在庫(参照する側) 管理番号 製品番号 Z01 P1 Z02 P2 Z03 P9 製品(参照される側) 製品番号 製品名 P1 ねじ P2 ばね P9 は製品に無い → 在庫への追加は拒否 参照されている P1・P2 の削除も拒否されうる 拒否されない:在庫の行・表の削除,製品への行の追加 外部キー → 参照先に同じ値が要る
参照する側への追加と,参照される側からの削除が引っかかる

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

用語解説:データベースの設計(正規化・E-R 図・参照制約)

問10

媒体障害の回復において,最新のデータベースのバックアップをリストアした後に,トランザクションログを用いて行う操作はどれか。

正解 エ

解説

媒体障害で壊れたデータベースは,まずバックアップをリストアしてバックアップ取得時点の状態に戻す。その後,トランザクションログの更新後情報を使って,バックアップ取得後にコミットされた全てのトランザクションの更新を反映し直す(ロールフォワード)ことで,障害直前のコミット済みの状態まで回復する。エが正しい。

アとイのコミット前に中断したトランザクションは,バックアップにはその途中の更新が含まれていないので,ロールバックもロールフォワードも不要である。ウのコミットしたトランザクションをロールバックすると,確定した更新が失われてしまう。

媒体障害からの回復 媒体障害ではディスクの内容そのものが失われる。まずバックアップからデータベースを復元し,バックアップを取った後にコミットしたトランザクションを,ログの更新後情報で順に反映して(ロールフォワードして)障害の直前まで戻す。 バックアップ T1 コミット T2 コミット T3 コミット 媒体障害 ② 更新後ログで T1〜T3 をロールフォワード ① 復元
バックアップで「その時点」に戻し,更新後ログで「障害の直前」まで進める

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

用語解説:障害回復(ロールバック・ロールフォワード)

問11

CSMA/CD 方式の LAN で使用されるスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)は,フレームの蓄積機能,速度変換機能や交換機能をもっている。このようなスイッチングハブと同等の機能をもち,同じプロトコル階層で動作する装置はどれか。

正解 イ

解説

スイッチングハブはデータリンク層(第2層)で MAC アドレスを見てフレームを転送する装置。同じ第2層で動作し,フレームをいったん蓄積してから転送するのがブリッジで,スイッチングハブは多ポートのブリッジといえる。イが正しい。

アのゲートウェイはトランスポート層より上位でプロトコルの変換を行う装置。ウのリピータは物理層(第1層)で信号を増幅・整形するだけで,宛先は見ない。エのルータはネットワーク層(第3層)で IP アドレスを見て経路を選ぶ装置である。

コリジョンドメインとブロードキャストドメイン リピータハブは信号をそのまま全ポートに流すので,つながった機器は1つのコリジョンドメインになる。スイッチ(ブリッジ)はポートごとにコリジョンドメインを分けるが,ブロードキャストは全ポートに中継する。ルータはブロードキャストも中継しないので,ブロードキャストドメインはルータで分かれる。 PC1 PC2 ハブ スイッチ PC3 ルータ PC4 コリジョンドメイン PC1・PC2・ハブ PC3 PC4 ブロードキャストドメイン ルータの手前はすべて同じ 別
コリジョンドメインは4つ(スイッチとルータの間も1つ),ブロードキャストドメインは2つ

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

用語解説:CSMA/CD・CSMA/CA

問12

暗号方式のうち,共通鍵暗号方式はどれか。

正解 ア

解説

AES(Advanced Encryption Standard)は,暗号化と復号に同じ鍵を使う共通鍵暗号方式で,米国の標準暗号として採用され,無線 LAN の WPA2 や TLS など広く使われている。アが正しい。

イの ElGamal 暗号,ウの RSA,エの楕円曲線暗号は,いずれも暗号化に公開鍵,復号に秘密鍵を使う公開鍵暗号方式である。RSA は大きな数の素因数分解の難しさ,ElGamal 暗号と楕円曲線暗号は離散対数問題の難しさを安全性の根拠にしている。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

用語解説:共通鍵暗号と公開鍵暗号

問13

WAF の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

WAF(Web Application Firewall)は,Web アプリケーションとやり取りされる通信の内容を検査し,SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃に特徴的なパターンを含む通信を検知して遮断する仕組みである。エが適切である。

アは実際に侵入を試みて脆弱性を確認するペネトレーションテスト,イは TLS の暗号化と復号を専用機器で肩代わりする SSL アクセラレータ,ウはシステム管理者が質問に答えて情報セキュリティ対策のレベルを診断する自己診断ツール(チェックシートなど)の説明である。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

用語解説:TLS(SSL) WAF・IDS・IPS

問14

Web アプリケーションのセッションが攻撃者に乗っ取られ,攻撃者が乗っ取ったセッションを利用してアクセスした場合でも,個人情報の漏えいなどの被害が拡大しないようにするために,Web アプリケーションが重要な情報を Web ブラウザに送信する直前に行う対策として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

セッションを乗っ取った攻撃者は,正規の利用者として既にログインした状態で操作できる。そこで,重要な情報を Web ブラウザに送信する直前に改めてパスワードによる利用者認証を求めれば,パスワードを知らない攻撃者には重要な情報が送られず,被害の拡大を防げる。エが最も適切である。

アの通信の暗号化は盗聴を防ぐが,既に乗っ取られたセッションでは暗号化された通信で攻撃者に情報が届いてしまう。イとウはセッション ID の格納場所の違いであり,乗っ取られた後の被害は防げない。特にウのように URL にセッション ID を設定すると,Referer などから漏れて乗っ取りの原因になる。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

クラウドのサービスモデルを NIST の定義に従って IaaS,PaaS,SaaS に分類したとき,パブリッククラウドサービスの利用企業が行うシステム管理作業において,PaaS と SaaS では実施できないが,IaaS では実施できるものはどれか。

正解 ウ

解説

NIST の定義では,IaaS の利用者は基盤となるクラウドインフラは管理しないが,OS,ストレージ,配置したアプリケーションを制御できる。そのため,仮想サーバのゲスト OS に係るセキュリティの設定は IaaS では利用企業が行えるが,OS を事業者が管理する PaaS や SaaS では行えない。ウが正しい。

アのアプリケーションの利用者 ID 管理とイのアプリケーションログの取得と分析は,SaaS でも提供される管理機能の範囲で利用企業が行える場合があり,IaaS だけに限られない。エのハイパバイザは IaaS でも事業者が管理する基盤であり,利用企業はどのサービスモデルでも設定できない。

IaaS・PaaS・SaaS の管理の分担 下からハードウェア・ネットワーク,仮想化,OS,ミドルウェア・実行環境,アプリケーションの層がある。IaaS では利用者が OS から上を,PaaS では自分のアプリケーションだけを管理する。SaaS では全て提供者が管理し,利用者が扱うのは利用者 ID や設定だけ。 IaaS 利用者 利用者 利用者 提供者 提供者 PaaS 利用者 提供者 提供者 提供者 提供者 SaaS 提供者 提供者 提供者 提供者 提供者 アプリケーション ミドルウェア・実行環境 OS 仮想化 ハードウェア・NW SaaS で利用者が扱うのは,アプリケーションの利用者 ID や設定だけ FaaS(サーバレス)は PaaS をさらに進め,関数を置くだけ
上の層に行くほど利用者の自由と責任が大きい。ゲスト OS に手を入れられるのは IaaS だけ

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

用語解説:クラウドのサービスモデル(IaaS・PaaS・SaaS)

問16

ソフトウェアの品質特性のうちの保守性に影響するものはどれか。

正解 イ

解説

JIS X 25010 などの品質モデルで,保守性はソフトウェアを修正する際の有効性や効率性を表し,欠陥の診断や故障原因の追究,修正箇所の識別のしやすさ(解析性)を含む。イが保守性に影響する。

アの利用者が理解しやすいかどうかは使用性(理解性),ウの故障が発生しやすいかどうかは信頼性(成熟性),エの資源の量や種類を適切に使用するかどうかは効率性(性能効率性の資源効率性)に関するものである。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

モジュールの結合度が最も低い,データの受渡し方法はどれか。

正解 イ

解説

モジュール結合度は,弱い(望ましい)ものから順に,データ結合,スタンプ結合,制御結合,外部結合,共通結合,内容結合となる。単一のデータ項目を引数で受け渡すのは,必要なデータだけをやり取りするデータ結合で,最も結合度が低い。イが該当する。

エのデータ構造を引数で受け渡すのはスタンプ結合で,受け取る側が使わない項目まで構造に依存する。アの単一のデータ項目を大域的データで受け渡すのは外部結合,ウのデータ構造を大域的データで受け渡すのは共通結合であり,いずれも大域的データを介して多くのモジュールが依存し合うので結合度が高い。

モジュール結合度とモジュール強度 結合度はモジュールどうしのつながりの強さで,弱いほどよい。弱い順に,データ結合(必要な項目だけを引数で),スタンプ結合(データ構造を引数で),制御結合(制御の情報を渡す),外部結合(単一の大域データ),共通結合(共通域のデータ構造),内容結合(相手の内部を直接参照)。強度はモジュールの中のまとまりで,強いほどよい。機能的強度が最も強く,処理コードで機能を選ぶ論理的強度や,関係のない機能を集めた暗合的強度は弱い。 結合度(弱いほどよい) データ結合 項目を引数で スタンプ結合 構造を引数で 制御結合 制御情報を渡す 外部結合 単一の大域データ 共通結合 共通域の構造 内容結合 内部を直接参照 強度(強いほどよい) 機能的強度 1つの機能 情報的強度 同じ情報を扱う 連絡的強度 データを受け渡す 手順的強度 順に実行する 論理的強度 コードで機能を選ぶ 暗合的強度 関係のないものの寄せ集め 上ほど望ましい(時間的強度は手順的と論理的の間)
結合度は弱いほど,強度は強いほどよい

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

システム開発における工数の見積りに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

COCOMO は,プログラムの規模(ステップ数)を基に,開発の種類や要員の能力などの補正係数を掛けて工数を見積もるモデルである。精度を上げるには,係数を自社の実績に合わせて調整する必要があり,自社における生産性に関する蓄積されたデータが必要になる。アが適切である。

イは誤り。過去の工数の実績は,要員の技量の違いを考慮して補正すれば見積りの参考になる。ウは誤り。工数の見積りはレビューやテストに掛ける工数の計画にも使われ,品質管理にも関係する。エは誤り。ファンクションポイント法は,入出力やファイルなどの機能の数と複雑さから規模を見積もる方法で,プログラムステップ数を把握する必要はない。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

問19

IT サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理の説明はどれか。

正解 ア

解説

サービスレベル管理は,顧客と合意したサービス目標に照らして,あらかじめ定めた間隔でサービスの傾向とパフォーマンスを監視し,レビューして報告する活動。合意した目標が守られているかを継続的に見るのがこのプロセスの役割。

イはサービス継続管理,ウはインシデント管理,エは予算業務及び会計業務の活動である。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

用語解説:SLA(サービスレベル合意書)

問20

IT サービスマネジメントのプロセスの一つである構成管理を導入することによって得られるメリットはどれか。

正解 ウ

解説

構成管理は,IT サービスを構成するハードウェア,ソフトウェア,文書などの構成品目(CI)とその関係を識別し,正確な情報を構成管理データベース(CMDB)に記録して維持するプロセスである。正確な構成情報があれば,インシデント管理での影響範囲の把握や,変更管理での影響の評価などを確実に行えるので,他のプロセスの確実な実施を支援できる。ウが該当する。

アは現在と将来の需要を把握・予測する容量・能力(キャパシティ)管理,イは緊急事態でも事業を継続できるようにする IT サービス継続性管理,エは合意した品質のサービスを適正な費用で提供するサービスレベル管理や財務管理のメリットである。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

問21

クラウドサービスの導入検討プロセスに対するシステム監査において,クラウドサービス上に保存されている情報の消失の予防に関するチェックポイントとして,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

問われているのは「情報の消失の予防」なので,情報が失われる原因をあらかじめ断てているかを見る。クラウドでは,事業者が倒産したりサービスを終了したりすると,預けた情報を取り出せなくなる(消失する)ことが大きなリスクになる。したがって,事業者に信頼が置けるか,事業やサービスが継続して提供されるかを導入の検討段階で確かめることが,消失の予防のチェックポイントになる。ウが正しい。

アの ID の一元管理は運用の利便性,イの最大許容停止時間は可用性,エの施設内ネットワークの暗号化は機密性に関するチェックポイントで,いずれも情報の消失の予防とは目的が異なる。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問22

システム監査人が予備調査で実施する監査手続はどれか。

正解 イ

解説

予備調査は,本調査の前に監査対象の実態を概略的に把握し,監査手続を具体化するために行う。関係者へのアンケート調査で,被監査部門の管理者や担当者がリスクをどう認識しているかといった情報を収集するのは,予備調査で行う監査手続に当たる。イが適切である。

アの監査証拠に基づいて指摘事項をまとめるのは,本調査の後の評価・結論の段階。ウの改善提案の実現可能性の確認は,監査の結論をまとめる段階や報告の後のフォローアップで行う。エの監査手続書に従ったヒアリングによる詳細な調査は,本調査で行う監査手続である。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問23

IT 投資評価を,個別プロジェクトの計画,実施,完了に応じて,事前評価,中間評価,事後評価として実施する。事前評価について説明したものはどれか。

正解 エ

解説

事前評価は,プロジェクトの計画段階で行う評価で,投資目的に基づいた効果目標を設定し,投資を実施するかどうかを判断するのに必要な情報を上位マネジメントに提供する。エが該当する。

アの効果目標の達成状況を評価して改善策を検討するのは,プロジェクト完了後の事後評価。イの実施計画と実績の差異を分析して投資額や効果目標の変更の要否を判断するのは,実施段階の中間評価。ウの投資効果の実現時期に合わせた評価も,完了後に効果を測る事後評価の進め方である。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

問24

SOA を説明したものはどれか。

正解 エ

解説

SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務プロセスを構成する機能と,それを支える IT 基盤を,再利用可能なソフトウェア部品(サービス)として提供し,それらを組み合わせてシステムを構築するアーキテクチャである。エが該当する。

アは組織や業務のやり方を抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング),イは基幹業務を統合的に管理する ERP,ウは発注者とサービス提供者の間でサービスの品質を合意する SLA(サービスレベル合意書)の説明である。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

用語解説:SOA(サービス指向アーキテクチャ)

問25

表は,ビジネスプロセスを UML で記述する際に使用される図法とその用途を示している。表中の b に相当する図法はどれか。ここで,ア〜エは,a〜d のいずれかに該当する。

図法と記述用途の表。a:モデル要素の型,内部構造,他のモデル要素との関連を記述する。b:システムが提供する機能単位と利用者との関連を記述する。c:イベントの反応としてオブジェクトの状態遷移を記述する。d:オブジェクト間のメッセージの交信と相互作用を記述する。

正解 エ

解説

b の“システムが提供する機能単位と利用者との関連を記述する”のは,システムの機能(ユースケース)と利用者(アクタ)の関係を表すユースケース図であり,エが正しい。

残りの図法は,a の“モデル要素の型,内部構造,他のモデル要素との関連”を記述するアのクラス図,c の“イベントの反応としてオブジェクトの状態遷移”を記述するウのステートチャート図(状態マシン図),d の“オブジェクト間のメッセージの交信と相互作用”を記述するイのコラボレーション図(コミュニケーション図)である。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

用語解説:UML(統一モデリング言語)

問26

企業の競争戦略におけるチャレンジャ戦略はどれか。

正解 ア

解説

チャレンジャは,業界で2番手や3番手にあり,リーダの地位を狙う企業である。上位企業のシェアを奪うことを目標に,製品,サービス,販売促進,流通チャネルなどあらゆる面でリーダとの差別化を図る。アが該当する。

イの,大手が参入しない専門特化した市場に経営資源を集中するのはニッチャの戦略。ウの,上位企業の戦略を観察して迅速に模倣し,コストを抑えて存続を図るのはフォロワの戦略。エの,利潤や名声の維持と最適シェアの確保を目標に全ての顧客を狙う全方位戦略はリーダの戦略である。

競争地位別の戦略(コトラー) 経営資源の量と質で4つに分ける。リーダは市場全体を広げ,全方位でシェアを守る。チャレンジャはリーダのシェアを奪うため,あらゆる面で差別化する。フォロワは上位企業をすばやく模倣してコストを抑える。ニッチャは大手が狙わない特定の顧客・製品に資源を集中して専門化する。 リーダ 市場拡大・全方位 チャレンジャ 差別化でシェアを奪う ニッチャ 特定の顧客・製品に集中 フォロワ 模倣してコストを抑える 質 高 質 低 量 大 量 小 経営資源の量(大・小)と質(高・低)
ニッチャは特定のセグメントに集中,フォロワは模倣

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

売り手側でのマーケティング要素 4P は,買い手側での要素 4C に対応するという考え方がある。4P の一つであるプロモーションに対応する 4C の構成要素はどれか。

正解 ウ

解説

4P は売り手側からみたマーケティングの要素(Product,Price,Place,Promotion),4C はそれを買い手側からみた要素で,Product は顧客価値(Customer Value),Price は顧客コスト(Customer Cost),Place は利便性(Convenience),Promotion はコミュニケーション(Communication)に対応する。

プロモーション(販売促進)は,売り手から一方的に働きかけるのではなく,買い手との双方向の情報のやり取りと捉えるので,ウのコミュニケーションが正しい。アは製品,イは価格,エは流通に対応する。

4P と 4C の対応 売り手から見た 4P を,買い手から見た 4C に置き換えると,製品(Product)は顧客価値,価格(Price)は顧客コスト,流通(Place)は利便性,プロモーション(Promotion)はコミュニケーションに当たる。 4P(売り手) 4C(買い手) 製品 Product 顧客価値 Customer Value 価格 Price 顧客コスト Customer Cost 流通 Place 利便性 Convenience プロモーション Promotion コミュニケーション Communication
プロモーションに対応するのはコミュニケーション

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

製品開発のスピードアップ手法を次の a〜d に分類した場合,b に相当するものはどれか。ここで,ア〜エは,a〜d のいずれかに該当する。

2×2 の分類図。縦軸は経営資源の確保(上が組織内から,下が組織外から),横軸は実現方法(左が技術的アプローチ,右が組織的アプローチ)。左上が a,右上が b,左下が c,右下が d。

正解 ウ

解説

b は“組織内から”経営資源を確保し,“組織的アプローチ”で実現する手法である。設計部門と生産部門という社内の組織の作業のやり方を見直し,並行して進めるコンカレントエンジニアリングがこれに当たるので,ウが正しい。

アの既に利用している CAD,CAM,CAE の積極的な活用は,組織内の資源を技術的に活用するので a。イの市場調査会社の活用は,組織外の資源を業務の分担という組織的な方法で活用するので d。エの大学との共同研究開発や他社からの技術導入は,組織外から技術を取り入れるので c に当たる。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

内閣府によって取りまとめられた“仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章”及び“仕事と生活の調和推進のための行動指針”では,目指すべき社会の姿ごとに,その実現に向けた指標を設けている。次の表の c に当てはまるものはどれか。

目指すべき社会の姿ごとの実現に向けた指標の例の表。a:就業率,時間当たり労働生産性の伸び率,フリータの数。b:労働時間等の課題について労使が話合いの機会を設けていると回答した企業の割合,週労働時間60時間以上の雇用者の割合,メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所の割合。c:在宅型テレワーカの数,短時間勤務を選択できる事業所の割合,男性の育児休業取得率。
目指すべき社会の姿ごとの実現に向けた指標の例

正解 エ

解説

“仕事と生活の調和推進のための行動指針”は,目指すべき社会の姿を“就労による経済的自立が可能な社会”,“健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会”,“多様な働き方・生き方が選択できる社会”の三つとし,それぞれに数値目標を設けている。在宅型テレワーカの数,短時間勤務を選択できる事業所の割合,男性の育児休業取得率は,働き方の選択肢に関する指標なので,c はエの“多様な働き方・生き方が選択できる社会”である。

就業率やフリータの数などの a はウの“就労による経済的自立が可能な社会”,労働時間やメンタルヘルスケアに関する b はアの“健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会”に当たる。イの“個々の社員のキャリア形成を企業が支援可能な社会”は,三つの社会の姿に含まれていない。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

個人情報保護法で保護される個人情報の条件はどれか。

正解 ウ

解説

個人情報保護法の個人情報は,生存する個人に関する情報であって,氏名や生年月日などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合して識別できるものを含む)や,個人識別符号を含むものをいう。亡くなった人の情報は対象外なので,ウが正しい。

アは誤りで,顧客に限らず従業員や取引先の担当者などの情報も対象になる。イは誤りで,本人が秘密にしている情報に限らず,公開されている氏名なども個人情報に当たる。エは誤りで,国籍は問わず,外国人の情報も対象になる。

出典:平成28年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)