平成30年度 秋期 午前Ⅰ

平成30年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

任意のオペランドに対するブール演算 A の結果とブール演算 B の結果が互いに否定の関係にあるとき,A は B の(又は,B は A の)相補演算であるという。排他的論理和の相補演算はどれか。

選択肢ごとに,二つの円が重なるベン図で演算の結果が塗り分けられている。ア 等価演算は,二つの円の重なり部分と,二つの円の外側が塗られている。イ 否定論理和は,二つの円の外側だけが塗られている。ウ 論理積は,二つの円の重なり部分だけが塗られている。エ 論理和は,二つの円の全体が塗られている。

正解 

解説

排他的論理和は,二つの入力が異なるときに真になる演算。その否定は「二つの入力が同じときに真」となり,これが等価演算(一致演算,XNOR)である。図でも,等価演算は二つの円の重なり部分(両方が真)と円の外側(両方が偽)が塗られていて,排他的論理和が真になる範囲とちょうど裏返しの関係になっている。アが正しい。

イの否定論理和は二つの円の外側だけなので,両方が真の場合が抜けており,相補にはならない。ウの論理積は重なり部分だけ,エの論理和は二つの円の全体で,いずれも排他的論理和の否定とは一致しない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

コンピュータによる伝票処理システムがある。このシステムは,伝票データをためる待ち行列をもち,M/M/1 の待ち行列モデルが適用できるものとする。平均待ち時間が T 秒以上となるのは,システムの利用率が少なくとも何%以上となったときか。ここで,伝票データをためる待ち行列の特徴は次のとおりである。

正解 

解説

M/M/1 では平均待ち時間=平均処理時間×ρ/(1−ρ)(ρ は利用率)で表せる。1件の処理時間の平均が T 秒なので,平均待ち時間が T 秒以上になるのは ρ/(1−ρ)≧1 のとき。これを解くと ρ≧1−ρ,すなわち ρ≧0.5 となり,利用率50%以上。イが正しい。

利用率が50%のとき待ち時間はちょうど T と等しくなり,それを超えると待つ時間のほうが処理時間より長くなる。ウの67%では 0.67/0.33 で約2倍,エの80%では0.8/0.2 で4倍まで伸びる。アの33%では約0.5倍で T に届かない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

受験者1,000人の4教科のテスト結果は表のとおりであり,いずれの教科の得点分布も正規分布に従っていたとする。90点以上の得点者が最も多かったと推定できる教科はどれか。

教科・平均点・標準偏差の表。教科 A は平均点45,標準偏差18。教科 B は60と15。教科 C は70と8。教科 D は75と5。

正解 

解説

正規分布では,ある点が平均から標準偏差の何個分離れているか(=(90−平均点)/標準偏差)が小さいほど,その点以上の割合が大きくなる。各教科で計算すると A は (90−45)/18=2.5,B は (90−60)/15=2.0,C は (90−70)/8=2.5,D は (90−75)/5=3.0。最も小さいのは B なので,90点以上の得点者が最も多いと推定できる。イが正しい。

A と C はどちらも2.5で同じ割合になり,D は3.0で最も少ない。平均点が高いほど有利とは限らず,ばらつき(標準偏差)との組合せで決まる点がこの問題の要点である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

問4

2次元配列 A[i,j](i,j はいずれも 0〜99 の値をとる)の i>j である要素 A[i,j] は全部で幾つか。

正解 

解説

配列の要素は全部で 100×100=10,000 個。このうち i=j である対角線上の要素が100個あり,残る9,900個は i>j と i<j に同じ数ずつ分かれる。したがって i>j である要素は 9,900÷2=4,950 個。イが正しい。

エの5,050は i≧j として対角線上の100個も含めた個数(4,950+100)。アの4,851は添字の範囲を0〜98の99個と取り違えて 99×98/2 を求めた値。ウの4,999はこの数え方からは出てこない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

メモリの誤り制御方式で,2ビットの誤り検出機能と,1ビットの誤り訂正機能をもたせるのに用いられるものはどれか。

正解 

解説

ハミング符号は,データビットに複数の検査ビットを付加し,どの検査式が成り立たないかの組合せで誤りの位置を特定する方式。付加のしかたによって1ビットの誤りを訂正でき,さらに2ビットの誤りの検出まで行える。エが正しい。

アの奇数パリティとイの水平パリティは,1ビットの誤りがあったことは分かるが,どのビットかは分からないので訂正できない。ウのチェックサムはデータの合計値を付けて誤りの有無を調べる方式で,こちらも訂正はできない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

ページング方式の仮想記憶において,あるプログラムを実行したとき,1回のページフォールトの平均処理時間は30ミリ秒であった。ページフォールト発生時の処理時間が次の条件であったとすると,ページアウトを伴わないページインだけの処理の割合は幾らか。

〔ページフォールト発生時の処理時間〕

正解 

解説

ページアウトを伴わない処理の割合を p とすると,平均処理時間は 20p+60(1−p)=30 と表せる。展開すると 20p+60−60p=30 なので −40p=−30,p=0.75。エが正しい。

20ミリ秒と60ミリ秒を混ぜた平均が30ミリ秒なので,短いほうに大きく偏っていることが分かる。60と30の差が30,30と20の差が10で,重みは3対1。3/(3+1)=0.75 と考えても同じ答えになる。アの0.25はページアウトを伴う処理のほうの割合である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

問7

1桁の2進数 A,B を加算し,X に桁上がり,Y に桁上げなしの和(和の1桁目)が得られる論理回路はどれか。

正解 

解説

1桁どうしの加算では,桁上がり X は A と B が両方1のときだけ1になるので論理積,和の1桁目 Y は A と B が異なるときだけ1になるので排他的論理和で表せる。X に AND 素子,Y に排他的論理和素子を使っているアが正しい。この回路を半加算器という。

イとウは X に OR 素子を使っているので,A=1,B=0 のときに桁上がりが立ってしまう。エは Y に OR 素子を使っているので,A=1,B=1 のときに和の1桁目が1になってしまう(正しくは0で桁上がりが1)。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

バーチャルリアリティにおけるモデリングに関する記述のうち,レンダリングの説明はどれか。

正解 

解説

レンダリングは,3次元のモデルとして表現された仮想世界の情報を,光源や視点の位置を踏まえて,ディスプレイに表示できる2次元の画像に変換する処理。イが正しい。

アはウェアラブルカメラや慣性センサで人の動きなどを取り込むモーションキャプチャなどの処理。ウは現実世界と仮想世界の座標系を合わせるレジストレーション(位置合わせ)。エはモデル化した対象を物理法則に従って時間変化させるシミュレーションの説明である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

自然数を除数とした剰余を返すハッシュ関数がある。値がそれぞれ571,1168,1566である三つのレコードのキー値を入力値としてこのハッシュ関数を施したところ,全てのハッシュ値が衝突した。このとき使用した除数は幾つか。

正解 

解説

三つの値のハッシュ値が全て同じということは,どの二つの差も除数で割り切れるということ。差を求めると 1168−571=597,1566−1168=398,1566−571=995。それぞれ 597=3×199,398=2×199,995=5×199 なので,共通の約数は199。ウが正しい。

実際に確かめると,571÷199=2余り173,1168÷199=5余り173,1566÷199=7余り173 で,いずれも剰余が173になり衝突する。ア・イ・エの193,197,211ではこれらの差を割り切れないので,三つ全てが同じ値になることはない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

問10

データベースシステムにおいて,二つのプログラムが同一データへのアクセス要求を行うとき,後続プログラムのアクセス要求に対する並行実行の可否の組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,表中の○は二つのプログラムが並行して実行されることを表し,×は先行プログラムの実行終了まで後続プログラムは待たされることを表す。

正解 

解説

共用ロック(読取り)は複数のプログラムが同時にかけられるが,排他ロック(更新)は他のどのロックとも同時にかけられない。したがって並行実行できるのは,先行・後続がともに共用の場合だけで,残る三つの組合せでは後続が待たされる。この形になっているエが正しい。

アは後続が排他でも先行が共用なら並行実行できるとしており,読んでいる最中に更新されてしまう。イも後続が排他で先行が共用のとき並行としており同じ問題がある。ウは後続が共用で先行が排他のときも並行としており,更新途中の値を読めてしまう。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

問11

CSMA/CD 方式の LAN で使用されるスイッチングハブ(レイヤ2スイッチ)は,フレームの蓄積機能,速度変換機能や交換機能をもっている。このようなスイッチングハブと同等の機能をもち,同じプロトコル階層で動作する装置はどれか。

正解 

解説

スイッチングハブはデータリンク層(第2層)で MAC アドレスを見てフレームを転送する装置。同じ第2層で動作し,フレームをいったん蓄積してから転送するのがブリッジで,スイッチングハブは多ポートのブリッジといえる。イが正しい。

アのゲートウェイはトランスポート層より上位でプロトコルの変換を行う装置。ウのリピータは物理層(第1層)で信号を増幅・整形するだけで,宛先は見ない。エのルータはネットワーク層(第3層)で IP アドレスを見て経路を選ぶ装置である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

問12

インターネットに接続された利用者の PC から,DMZ 上の公開 Web サイトにアクセスし,利用者の個人情報を入力すると,その個人情報が内部ネットワークのデータベース(DB)サーバに蓄積されるシステムがある。このシステムにおいて,利用者個人のディジタル証明書を用いた TLS 通信を行うことによって期待できるセキュリティ上の効果はどれか。

正解 

解説

TLS は PC と接続先の Web サーバとの間の通信を暗号化する。さらに利用者個人のディジタル証明書を使うと,サーバ側は接続してきた相手が誰であるかを証明書で確かめられるので,暗号化に加えて利用者の認証ができるようになる。エが正しい。

このシステムで TLS を張るのは PC と DMZ 上の Web サーバの間であって,PC と内部の DB サーバの間ではないので,アとイは対象とする区間が違う。ウは区間は正しいが,利用者個人の証明書で確かめられるのは利用者であって,DB サーバが正当かどうかではない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

問13

クロスサイトスクリプティング対策に該当するものはどれか。

正解 

解説

クロスサイトスクリプティングは,利用者が入力した文字列がそのまま Web ページに埋め込まれ,スクリプトとして実行されてしまう脆弱性。出力するときに不等号などの記号を実体参照に置き換え,HTML タグとして解釈されないようにするエスケープ処理が基本の対策になる。ウが正しい。

アの SNMP はネットワーク機器の監視に使うプロトコルで,攻撃の検知には使わない。イの OS へのパッチ適用は OS の脆弱性への対策であって,Web アプリケーションの実装に起因する XSS は防げない。エの入力サイズの制限はバッファオーバフロー対策に近く,短いスクリプトなら通ってしまう。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

問14

ブルートフォース攻撃に該当するものはどれか。

正解 

解説

ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)は,使える文字のあらゆる組合せを片端からパスワードとして試し,ログインできるまで繰り返す攻撃。ウが正しい。パスワードを長く複雑にする,一定回数の失敗でアカウントをロックするといった対策がとられる。

アは通信中のセッション情報を盗んで成りすますセッションハイジャック。イはキー入力を記録して外部へ送るキーロガー。エは盗聴したログインのやり取りをそのまま送り直すリプレイ攻撃である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

脆弱性検査手法の一つであるファジングはどれか。

正解 

解説

ファジング(fuzzing)は,極端に長い文字列や想定外の値など,問題を引き起こしそうなデータを大量に多様なパターンで入力し,異常終了や想定外の動作が起きないかを観察して脆弱性を見つける手法。仕様やソースコードが分からなくても実施できる。イが正しい。

アは導入済みソフトウェアのバージョンやパッチ適用状況を調べる既知脆弱性の検査。ウはセキュリティアドバイザリなどの情報を基に該当する脆弱性を調べるもの。エはソースコードを解析する静的検査で,いずれも入力を与えて挙動を見るファジングとは異なる。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

問16

安全性と信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。

〔方針〕

不特定多数の人が使用するプログラムには,自分だけが使用するプログラムに比べて,より多く,データチェックの機能を組み込む。プログラムが処理できるデータの前提条件を文書に書いておくだけでなく,プログラムについても前提条件を満たしていないデータが入力されたときは,エラーメッセージを表示して再入力を促すようなものとする。

正解 

解説

フールプルーフは,利用者が誤った操作をしたり想定外のデータを入力したりしても,システムが異常な動作をしないようにあらかじめ防いでおく考え方。前提条件を満たさないデータが入力されたらエラーメッセージを出して再入力を促す,という方針はまさにこれに当たる。アが正しい。

イのフェールセーフは故障したときに安全な側に倒す設計,ウのフェールソフトは故障時に機能を落としてでも運転を続ける設計,エのフォールトトレランスは構成要素を多重化して故障が起きても正常な動作を続けられるようにすること。いずれも故障が起きた後の備えであり,誤操作を未然に防ぐフールプルーフとは着眼点が違う。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

アジャイル開発で“イテレーション”を行う目的のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

アジャイル開発のイテレーションは,設計から実装・テストまでを短い期間で1周させ,動くソフトウェアを繰り返し顧客に見せる進め方。早い段階で顧客の要求との食い違いに気付いて直せるうえ,途中で要求が変わっても次の周回で取り込める。アが正しい。

イのタスクの実施状況の可視化はタスクボード(かんばん),ウのドライバとナビゲータを交代させるのはペアプログラミング,エの毎日決まった時刻の状況共有はデイリースクラム(朝会)の目的である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

システム開発の進捗管理などに用いられるトレンドチャートの説明はどれか。

正解 

解説

トレンドチャートは,作業の進捗率と予算(コスト)の消費率を同じ図に折れ線で描き,両者の関係から進捗の良否を読み取る図。進捗に対してコストを使い過ぎていないかが一目で分かる。ウが正しい。

アは責任分担マトリックス(RACI チャートなど),イはガントチャート,エはアローダイアグラム(PERT 図)の説明である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

問19

ソフトウェアの機能量に着目して開発規模を見積もるファンクションポイント法で,調整前 FP を求めるために必要となる情報はどれか。

正解 

解説

ファンクションポイント法は,外部入力,外部出力,外部照会,内部論理ファイル,外部インタフェースファイルという5種類の機能の数を数え,複雑度で重み付けして調整前 FP を求める。画面数は外部入力・外部出力・外部照会の数を把握する手掛かりになるので,この算出に必要な情報になる。イが正しい。

アの開発者数とエの利用者数は,ソフトウェアがもつ機能の量とは関係がない。ウのプログラムステップ数は言語や書き方といった実装の手段に左右される情報で,機能量に着目するファンクションポイント法では使わない(ステップ数を使うのは LOC 法)。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

図は,ITIL 2011 edition のサービスライフサイクルの各段階の説明と流れである。a〜d の段階名の適切な組合せはどれか。

5 段階を上から順に並べた流れ図。a は「IT サービス及び IT サービスマネジメントに対する全体的な戦略を確立する。」,b は「事業要件を取り入れ,事業が求める品質,信頼性及び柔軟性に応えるサービスと,それを支えるプラクティス及び管理ツールを作り出す。」,c は「サービス及びサービス変更を運用に利用できるようにするために,前の段階の成果を受け取り,事業のニーズを満たすかどうかをテストし,本番環境に展開する。」,d は「顧客とサービス提供者にとっての価値を確保できるように,IT サービスを効果的かつ効率的に提供しサポートする。」,最後が「継続的サービス改善」で「IT サービスマネジメントプロセスと IT サービスに対する改善の管理を責務とし,効率性,有効性及び費用対効果を向上するために,サービス提供者のパフォーマンスを継続的に測定して,プロセス,IT サービス,インフラストラクチャに改善を加える。」。

正解 

解説

ITIL のサービスライフサイクルは,サービスストラテジ,サービスデザイン,サービストランジション,サービスオペレーション,継続的サービス改善の順に並ぶ。a の“全体的な戦略を確立する”がサービスストラテジ,b の“事業要件に応えるサービスを作り出す”がサービスデザイン,c の“テストして本番環境に展開する”がサービストランジション,d の“効果的かつ効率的に提供しサポートする”がサービスオペレーションに当たる。

戦略を決めてから設計し,移行させてから運用する,という流れを押さえておけば,設計と運用が入れ替わっているアや,戦略が後ろにあるウ・エは選ばない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

問21

システム監査における,サンプリング(試査)に関する用語の説明のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

許容逸脱率は,所定の内部統制から外れている割合として受け入れられる上限のこと。この値を小さく設定するほど多くのサンプルを調べる必要があるので,監査人がサンプル件数を決めるときの指標として使われる。アが正しい。

イのサンプリングリスクは,抽出した標本が母集団を代表していないために誤った結論を導いてしまうリスクで,固有リスクと統制リスクを掛け合わせたものではない。ウの統計的サンプリングは無作為抽出と確率論に基づく方法で,特定の例外取引を全て抜き出すのは特定項目抽出という別の方法。エの母集団は評価対象となるデータ全体であって,リスクが高いものに限った集合ではない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

問22

情報システムの可監査性を説明したものはどれか。

正解 

解説

可監査性は,情報システムに組み込まれたコントロールが有効に働いているかどうかを,監査人が確かめられるようにシステムが設計・運用されている度合いをいう。処理の記録が残る,取引をさかのぼって追跡できるといった作りがこれに当たる。アが正しい。

イはシステム監査人の側の能力の話,ウは入手した監査証拠や監査報告書という監査の成果物の品質の話,エは被監査部門の協力体制の話で,いずれも情報システムそのものがもつ性質ではない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

問23

業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。

正解 

解説

UML はオブジェクト指向のモデリングのために標準化された記法で,クラス図・アクティビティ図・シーケンス図など目的の異なる複数の図を使い分け,同じ対象を複数の観点から表現する。ウが正しい。

アはエンティティと関連で捉える E-R 図によるデータ中心アプローチ,イはデータの流れで表す DFD(データフロー図),エは条件分岐の形で網羅的に記述するデシジョンツリーや決定表の説明で,いずれも UML の図法ではない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

問24

IT 投資に対する評価指標の設定に際し,バランススコアカードの手法を用いて KPI を設定する場合に,内部ビジネスプロセスの視点に立った KPI の例はどれか。

正解 

解説

バランススコアカードの内部ビジネスプロセスの視点は,顧客や株主の期待に応えるために社内の業務プロセスをどう良くするかを測る。注文受付から製品出荷までの日数を短縮するというのは,業務プロセスそのものの効率を測る指標なのでエが正しい。

アの売上高営業利益率は財務の視点,イの顧客クレーム件数は顧客の視点,ウの利用者研修会の受講率は人材育成に関わる学習と成長の視点の指標である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

ある企業が,AI などの情報技術を利用した自動応答システムを導入して,コールセンタにおける顧客対応を無人化しようとしている。この企業が,システム化構想の立案プロセスで行うべきことはどれか。

正解 

解説

システム化構想の立案は,経営上の課題やニーズを整理し,情報技術の動向を踏まえて,どのような形でシステム化するかという全体の構想をまとめる段階。個別の要件やシステム機能を決める前に,競争優位につながる情報技術の使い方を分析するアがこれに当たる。

イの品質に関する要件の定義とエのソフトウェア要件定義・実現方式やインタフェースの設計は,構想が固まった後の要件定義やシステム設計の作業。ウのシステム要件の定義とシステム要素への割当ても,システム要件定義プロセスで行うことである。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

観測データを類似性によって集団や群に分類し,その特徴となる要因を分析する手法はどれか。

正解 

解説

クラスタ分析法は,観測データを互いの類似性に基づいて集団(クラスタ)に分け,各集団に共通する特徴から要因を読み取る手法。アが正しい。

イの指数平滑法は過去の実績に指数的な重みを付けて将来を予測する手法,ウのデルファイ法は専門家の意見を匿名で繰り返し集約して見通しを立てる手法,エのモンテカルロ法は乱数を使って数値的に解を求める手法である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

IoT がもたらす効果を“監視”,“制御”,“最適化”,“自律化”の4段階に分類すると,IoT によって工場の機械の監視や制御などを行っているシステムにおいて,“自律化”の段階に達している例はどれか。

正解 

解説

4段階のうち“自律化”は,機器が集めた情報を自ら分析し,人手を介さずに判断して動く段階。クラウドサービスを介して機械同士が互いの状態を常時監視・分析し,目標に合わせた協調動作を自動で行うウがこれに当たる。

イはセンサでデータを集めて蓄積するだけの“監視”の段階。アは人が遠隔から操作命令を送る“制御”の段階。エは収集した稼働情報を基に保守員が故障部位を分析するもので,判断の主体が人である点で“自律化”には達していない。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

ある期間の生産計画において,表の部品表で表される製品 A の需要量が10個であるとき,部品 D の正味所要量は何個か。ここで,ユニット B の在庫残が5個,部品 D の在庫残が25個あり,他の在庫残,仕掛残,注文残,引当残などはないものとする。

部品表。レベル0は製品 A が1個。レベル1は,製品 A に対してユニット B が4個とユニット C が1個。レベル2は,ユニット B に対して部品 D が3個と部品 E が1個,ユニット C に対して部品 D が1個と部品 F が2個。

正解 

解説

製品 A が10個なので,ユニット B は 10×4=40個必要だが在庫が5個あるので正味35個,ユニット C は 10×1=10個必要で在庫はないので10個。部品 D はユニット B から 35×3=105個,ユニット C から 10×1=10個で合計115個必要になる。部品 D の在庫が25個あるので,正味所要量は 115−25=90個。イが正しい。

上位のユニット B の在庫を引かずに40個のまま計算すると,部品 D は 40×3+10=130個必要となり,在庫25個を引いて105個(エ)になってしまう。在庫は上位の品目から順に引き当てていく点に注意する。アの80とウの95は,この部品表からは導けない値である。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

売上高が 7,000 万円のとき,200 万円の損失,売上高が 9,000 万円のとき,600 万円の利益と予想された。売上高が 8,000 万円のときの変動費は何万円か。ここで,売上高が変わっても変動費率は変わらないものとする。

正解 

解説

変動費率が一定なので,売上高の増加分に対する利益の増加分から限界利益率が求められる。売上高が 7,000万円→9,000万円 と 2,000万円増えたとき,利益は −200万円→600万円 と 800万円増えている。

限界利益率=800÷2,000=0.4 なので,変動費率=1−0.4=0.6。売上高が 8,000万円のときの変動費は 8,000×0.6=4,800万円。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

ユーザから請け負うソフトウェア開発を下請業者に委託する場合,下請代金支払遅延等防止法で禁止されている行為はどれか。

正解 

解説

下請代金支払遅延等防止法は,親事業者に対し,発注に当たって下請代金の額を含む必要事項を記載した書面(3条書面)を直ちに交付することを義務付けている。委託する業務内容が決まっているのに,自社とユーザとの契約が決まるまで下請代金を定めないという進め方は,代金を定められない正当な理由があるとはいえず,この義務に反する。イが禁止されている行為である。

アは,具体的な金額を書くことが難しいやむを得ない事情がある場合,金額を定めることとなる算定方法を記載すれば足りるとされているので問題ない。ウは,下請事業者の承諾を得れば電磁的方法(電子メールなど)による提供が認められている。エは,正当な理由で内容を定められない事項について,その理由と内容を定めることとなる予定期日を書いたうえで,定まり次第あらためて書面を交付することが認められている。

出典:平成30年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)