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高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通

平成26年度 春期 科目A-1(午前Ⅰ)

平成26年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ(2026年度からの科目A-1)の全30問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:科目A-1(午前Ⅰ・高度試験 共通)について

この年度を解く(受ける試験区分を選ぶ)

問1

2進数で表現すると無限小数になる10進小数はどれか。

正解 イ

解説

10進小数を2進数で有限桁に表せるのは,分母が2のべき乗の分数に直せる場合だけである。0.375=3/8,0.625=5/8,0.75=3/4 はいずれも分母が2のべき乗なので,それぞれ 0.011,0.101,0.11 と有限小数になる。

0.45=9/20 は分母に5が残り,2のべき乗にできない。2倍して整数部を取り出す操作を続けると 0.45→0.9→1.8→1.6→1.2→0.4→0.8→1.6… と繰り返しになり,0.0111001100… の無限小数になる。イが正しい。

2進数で有限桁になる小数,ならない小数 10進小数を2進数で有限桁に表せるのは,分母が2のべき乗の分数に直せるときだけ。0.375=3/8,0.625=5/8,0.75=3/4 は有限で,0.011・0.101・0.11 になる。0.45=9/20 は分母に5が残るので,2倍して整数部を取り出すと 0.4→0.8→1.6→1.2→0.4… と繰り返し,無限小数になる。 10進 分数 2進 0.375 3/8 0.011 有限 0.625 5/8 0.101 有限 0.75 3/4 0.11 有限 0.45 9/20 0.0111001100… 無限(イ) 0.45 を2倍していく:0.9 → 1.8 → 1.6 → 1.2 → 0.4 → 0.8 → 1.6 … 1.6 から先が繰り返しになる 分母に 2 以外の素因数(5 など)が残ると有限にならない
分母が 2 のべき乗にならない 0.45=9/20 が無限小数

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

表は,入力記号の集合が {0,1},状態集合が {a,b,c,d} である有限オートマトンの状態遷移表である。長さ3以上の任意のビット列を左(上位ビット)から順に読み込んで最後が 110 で終わっているものを受理するには,どの状態を受理状態とすればよいか。

状態遷移表。行が現在の状態,列が入力記号。状態 a は入力0で a,入力1で b。状態 b は0で c,1で d。状態 c は0で a,1で b。状態 d は0で c,1で d。

正解 ウ

解説

初期状態 a から 110 を読むと,1 で b,1 で d,0 で c へ遷移して c にたどり着く。d や c の状態から読み始めても,1,1,0 の3文字を読めば同じく c に到達する。110 を読み終えたときに必ず入る状態は c だけなので,受理状態とすべきはウの c になる。

他の選択肢では 110 で終わる列を受理できない。表で 0 を読んで到達できるのは a と c だけなので,末尾が 0 の列を受理するにはこの二つのどちらかである必要があり,イの b とエの d は初めから当てはまらない。アの a に 0 で入るのは直前が a のときで,これは 110 の並びとは対応しない。

どこから読み始めても 110 で c に着く 状態遷移表は,a:0→a,1→b/b:0→c,1→d/c:0→a,1→b/d:0→c,1→d。どの状態から 1,1,0 を読んでも,最後は c に着く(a→b→d→c,b→d→d→c,c→b→d→c,d→d→d→c)。だから c を受理状態にすれば,最後が 110 の列を受理できる。 読み始め 1 を読む 1 を読む 0 を読む a b d c b d d c c b d c d d d c 最後はいつも c → 受理状態は c 表:a 0→a 1→b/b 0→c 1→d/c 0→a 1→b/d 0→c 1→d
1,1,0 の3文字を読むと,どこから始めても c で終わる

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

記憶領域を管理するアルゴリズムのうち,ベストフィット方式の特徴として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ベストフィット方式は,要求された大きさを満たす空きブロックのうち,最も小さいものを割り当てる方式である。無駄になる部分は少なくて済むが,割り当てた後に残るすき間はごく小さくなるので,使い道のない小さな空きブロックが多数残る傾向がある。イが適切である。

アは空きブロックを先頭(下位アドレス)から探して最初に見つかったものを割り当てるファーストフィット方式の特徴。ウのハッシュ関数による検索や,エのアドレスの昇順での管理による隣接ブロックの統合は,ベストフィット方式そのものの特徴ではない。

空き領域の選び方(ファースト・ベスト・ワーストフィット) 空き領域が 30・12・50・15 の順にあり,14 の領域を求められた例。ファーストフィットは先頭から探して最初に足りる 30 を,ベストフィットは足りる中で最も小さい 15 を,ワーストフィットは最も大きい 50 を使う。ベストフィットは残りが 1 のようなごく小さな空きになりやすく,小さな空きが多数たまる。 空き領域(要求は 14) ファーストフィット 14 16 12 50 15 ベストフィット 30 12 50 14 残り1 ワーストフィット 30 12 14 36 15 ベストフィットの残り 1 は小さすぎて使い道がない
ベストフィットは無駄が小さいが,使えない小さな空きが残りやすい

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

用語解説:ハッシュ関数

問4

メイン処理,及び表に示す二つの割込み A,B の処理があり,多重割込みが許可されている。割込み A,B が図のタイミングで発生するとき,0ミリ秒から5ミリ秒までの間にメイン処理が利用できる CPU 時間は何ミリ秒か。ここで,割込み処理の呼出し及び復帰に伴うオーバヘッドは無視できるものとする。

割込みの表:割込み A は処理時間 0.5 ミリ秒,割込み優先度は高。割込み B は処理時間 1.5 ミリ秒,優先度は低。タイミング図:割込み A は 1,2.5,3.5 ミリ秒に発生。割込み B は 0,5 ミリ秒に発生。

正解 ア

解説

優先度の高い割込み A は,割込み B の処理中でも割り込んで先に実行される。0ミリ秒に B が発生し 0〜1 ミリ秒を処理したところで,1ミリ秒に A が割り込み 1〜1.5 ミリ秒を処理する。B は残りの 0.5 ミリ秒を 1.5〜2 ミリ秒で処理して終わる。

続いて 2〜2.5 ミリ秒はメイン処理,2.5〜3 ミリ秒は A,3〜3.5 ミリ秒はメイン処理,3.5〜4 ミリ秒は A,4〜5 ミリ秒はメイン処理となり,5ミリ秒に B が発生する。メイン処理が利用できる時間は 0.5+0.5+1=2 ミリ秒で,アが正しい。多重割込みを考えずに処理時間を単純に引くと,5−(1.5+0.5×3)=2 となり結果は同じだが,途中の順序を追うと割込みの重なりを確かめられる。

多重割込みとメイン処理の時間 0 ミリ秒に割込み B(1.5ミリ秒,優先度低)が始まり,1 ミリ秒に割込み A(0.5ミリ秒,優先度高)が割り込む。A が 1〜1.5 で終わると B の残りが 1.5〜2 で終わる。その後はメイン 2〜2.5,A 2.5〜3,メイン 3〜3.5,A 3.5〜4,メイン 4〜5。メイン処理が使えるのは 0.5+0.5+1=2 ミリ秒。 割込み A A A A 割込み B B B メイン メイン 0 1 2 3 4 5 メイン処理 0.5 + 0.5 + 1 = 2 ミリ秒 B は A に中断され,A が終わってから残りを処理する
優先度の高い A は,B の処理中でも割り込む

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

システムの信頼性指標に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR) で求める。MTBF=MTTR なら MTBF÷(2×MTBF)=0.5 となるので,稼働率 0.5 のとき MTBF と MTTR は等しい。アが適切である。

イは誤りで,故障から復旧までの平均時間は MTTR(平均修理時間)。エは誤りで,故障と故障の間隔の平均は MTBF(平均故障間隔)であり,イとエは説明が入れ替わっている。ウは誤りで,MTBF に稼働率を掛けても MTTR にはならない(MTTR=MTBF×(1−稼働率)÷稼働率 の関係になる)。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

用語解説:稼働率(MTBF・MTTR)

問6

OS のプロセス制御におけるプリエンプティブ方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

プリエンプティブ方式は,実行中のプロセスから OS が強制的に CPU を取り上げ,優先度の高いプロセスなどに切り替える方式である。そのため,タイマ割込みなどを使って OS がプロセスを強制的に切り替える機構が必要になる。エが適切である。

アは誤りで,資源を管理するのは OS であり,各プロセスが自主的に CPU を明け渡すのはノンプリエンプティブ方式の考え方である。イは誤りで,強制的な切替えが多い分,コンテキスト切替えのオーバヘッドは大きくなる。ウは誤りで,特定のプロセスが CPU を独占しやすいのは,プロセスが自ら明け渡すまで切り替わらないノンプリエンプティブ方式である。

タスクの3つの状態 実行可能状態のタスクは,CPU を割り当てられる(ディスパッチ)と実行状態になる。実行状態のタスクは,入出力の完了などを自分で待つと待ち状態に,優先度の高いタスクに CPU を取り上げられる(プリエンプション)と実行可能状態に移る。待ち状態のタスクは,待っていた事象が起きると実行可能状態に移り,直接は実行状態に移らない。 実行 CPU を使っている 実行可能 CPU の割当て待ち 待ち 入出力の完了待ち ディスパッチ プリエンプション 入出力など を待つ 待っていた事象が起きた 待ち → 実行 へ直接は移らない(一度,実行可能に並ぶ)
プリエンプションで移るのは実行可能状態。待ち状態から実行状態へは直接移らない

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

問7

NAND 素子を用いた次の組合せ回路の出力 Z を表す式はどれか。ここで,論理式中の“・”は論理積,“+”は論理和,“X”は X の否定を表す。

組合せ回路。X を二つの入力に分けて NAND 素子に入れ,Y も同様に二つの入力に分けて別の NAND 素子に入れる。二つの NAND 素子の出力をさらに NAND 素子に入れて Z とする。

正解 イ

解説

NAND 素子の二つの入力に同じ信号を入れると,否定(NOT)として働く。上の NAND 素子の出力は X,下の NAND 素子の出力は Y になる。

出力段の NAND 素子は X と Y の論理積の否定を出すので,ド・モルガンの法則により NOT(X・Y)=X+Y となる。イが正しい。NAND 素子だけで OR 回路を組み立てられることを示す例である。

NAND 素子で作る論理和 NAND 素子の2つの入力に同じ信号を入れると否定(NOT)になるので,上の素子の出力は X̄,下の素子の出力は Ȳ。最後の NAND 素子は ¬(X̄・Ȳ) を出し,ド・モルガンの法則で X+Y になる。 X Y X Y Z Z = ¬(X・Y) = X + Y
入力をつないだ NAND は NOT になる。最後の NAND はド・モルガンの法則で X+Y

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

UML を用いて表した部門と社員の関係を表すデータモデルの説明のうち,適切なものはどれか。

クラス図。部門と社員が関連“所属する”で結ばれ,部門側の多重度は 1,社員側の多重度は *(0 以上)。

正解 ウ

解説

UML の多重度は,関連の相手側から見て何個のインスタンスが対応するかを表す。社員から見た部門側の多重度が 1 なので,社員は必ずちょうど一つの部門に所属する。したがって,どの部門にも所属しない社員は登録できず,ウが適切である。

部門から見た社員側の多重度は *(0以上)なので,社員が1人もいない部門も登録でき,一つの部門に複数の社員が所属することもできる。ア,エは誤り。イは部門側が 1 なので,社員が複数の部門に所属することはできず誤りである。

多重度の読み方 多重度は,関連の相手側の端に書く。部門(1)と社員(*)なら,社員の側から見て部門は必ず1つ(どの社員もちょうど1つの部門に所属し,兼務はない),部門の側から見て社員は0人以上(社員のいない部門もある)。1..* なら1以上,0..1 なら0か1。 部門 社員 1 * 社員から見て部門は 1 つ(必ず,兼務なし) 部門から見て社員は 0 人以上 書き方 意味 1 ちょうど1 0..1 0 か 1 *(0..*) 0 以上 1..* 1 以上
相手から見て何個か,を相手側の端に書く

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

用語解説:UML(統一モデリング言語)

問9

分散データベースにおいて図のようなコマンドシーケンスがあった。調停者がシーケンス a で発行したコマンドはどれか。ここで,コマンドシーケンスの記述に UML のシーケンス図の記法を用いる。

シーケンス図。要求者から調停者へ UPDATE 要求,UPDATE 要求,COMMIT 要求。調停者からシステム1とシステム2へそれぞれ UPDATE 要求。調停者からシステム1とシステム2へ COMMIT 可否問合せ。システム1は“可”,システム2は“否”を返す。その後,調停者からシステム1とシステム2へコマンド a を送る。

正解 イ

解説

図は分散データベースの2相コミットの手順を表している。第1相で調停者が各システムに COMMIT の可否を問い合わせ,全てのシステムから“可”が返れば第2相で COMMIT を,一つでも“否”があれば全てのシステムに ROLLBACK を指示して,更新の結果をそろえる。

システム2から“否”が返っているので,調停者がシーケンス a で発行するのは ROLLBACK の実行要求であり,イが正しい。アの COMMIT の実行要求は,全てのシステムが“可”と応答した場合に発行する。ウの判定レコードの書出しやエのログ書出しは,各システムや調停者が内部で行う処理で,a のコマンドではない。

2相コミット 第1相で,調停者は各システムに COMMIT できるか問い合わせる。全てのシステムから“可”が返れば第2相で COMMIT を指示し,1つでも“否”があれば全てのシステムに ROLLBACK を指示して,結果をそろえる。この例ではシステム2が“否”なので ROLLBACK。 調停者 システム1 システム2 第1相 COMMIT できるか 可 否 第2相 ROLLBACK 全部“可”なら COMMIT,1つでも“否”なら ROLLBACK
1つでも“否”があれば,全部 ROLLBACK。全部“可”のときだけ COMMIT

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

用語解説:UML(統一モデリング言語)

問10

トランザクションの原子性(atomicity)の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

トランザクションの原子性(Atomicity)は,トランザクション内の処理が全て実行されるか,全く実行されないかのどちらかであるという性質で,終了したときの状態は“処理済み”か“未処理”のいずれかになる。イが適切である。

アはデータの格納場所や実行場所を意識せずに処理できる分散データベースの透過性。ウのデータベースの一貫性が保たれるのは一貫性(Consistency)。エの複数のトランザクションを同時に処理しても個々の結果が正しいのは独立性(Isolation)の説明である。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

用語解説:排他制御とデッドロック(ACID 特性)

問11

TCP/IP の環境で使用されるプロトコルのうち,構成機器や障害時の情報収集を行うために使用されるネットワーク管理プロトコルはどれか。

正解 エ

解説

SNMP(Simple Network Management Protocol)は,ルータやスイッチなどのネットワーク機器の構成情報や稼働状況を収集し,障害を検知すると通知(トラップ)を受け取れるようにするネットワーク管理プロトコルである。エが正しい。

アの NNTP はネットニュースの記事を配信・取得するプロトコル,イの NTP は機器の時刻を同期させるプロトコル,ウの SMTP は電子メールを送信・転送するプロトコルである。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

用語解説:電子メールのプロトコル(SMTP・POP・IMAP)

問12

認証局が侵入され,攻撃者によって不正な Web サイト用のディジタル証明書が複数発行されたおそれがある。どのディジタル証明書が不正に発行されたものか分からない場合,誤って不正に発行されたディジタル証明書を用いた Web サイトにアクセスしないために利用者側で実施すべき対策はどれか。

正解 エ

解説

認証局が侵入されて不正な証明書が発行されると,その証明書は正規の認証局の署名をもつので,ブラウザは正当な証明書として扱ってしまう。どれが不正なものか分からない場合は,ブラウザでその認証局を信頼しない設定にすれば,その認証局が発行した証明書を使う Web サイトにアクセスしたときに証明書のエラーが表示されるので,アクセスを中止できる。エが適切である。

アの有効期限による判断では,期限内の不正な証明書を見分けられない。イの Whois データベースへの登録の有無は,証明書が不正に発行されたかどうかとは関係がない。ウの CP の内容は認証局の運用方針を示すもので,侵入によって発行された個々の証明書の正当性を確かめる手段にならない。

証明書の連鎖 サーバ証明書は中間 CA が署名し,中間 CA の証明書はルート CA が署名している。受け取った側は,サーバ証明書から中間 CA,ルート CA へと署名をたどって検証し,ブラウザや OS に組み込まれているルート CA に行き着けば信頼できると判断する。署名の検証には,署名した CA の公開鍵を使う。 ルート CA の証明書 ブラウザ・OS に組み込み済み 中間 CA の証明書 ルート CA が署名 サーバ証明書 中間 CA が署名 署名 たどって 検証 署名は,署名した CA の公開鍵で確かめる
上の CA が下の証明書に署名し,受け取った側は下から上へたどって検証する

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

用語解説:PKI(認証局・CRL・OCSP)

問13

安全な Web アプリケーションの作り方について,攻撃と対策の適切な組合せはどれか。

正解 ア

解説

SQL インジェクションは,入力値に SQL の一部を紛れ込ませて意図しない SQL 文を実行させる攻撃である。静的プレースホルダを使うと,SQL 文の構造があらかじめ確定し,入力値は常に値として扱われるので,攻撃を根本的に防げる。アが適切である。

イは誤りで,任意の外部サイトのスタイルシートを取り込めるようにすると,かえってクロスサイトスクリプティングなどの危険が増す。ウは誤りで,クロスサイトリクエストフォージェリの対策は秘密のトークンの確認などであり,GET メソッドを使うことは対策にならない。エは誤りで,セッション ID を固定するとセッションハイジャックの危険が高まり,ログイン後に新しいセッション ID を発行するなどの対策が必要である。

SQL インジェクションとプレースホルダ 入力を文字列としてつなげて SQL 文を作ると,入力の「' OR '1'='1」が文の一部になり,条件が常に真になって全員の行が返る。プレースホルダを使うと SQL 文の形が先に決まり,入力はまるごと1つの値として当てはめられるので,命令として解釈されない。 文字列をつなげて SQL 文を作ると 入力:' OR '1'='1 SELECT * FROM 会員 WHERE id = '' OR '1'='1' 入力の引用符で文が閉じ,OR 以下が条件に加わる → 常に真で全員分が返る プレースホルダを使うと SELECT * FROM 会員 WHERE id = ? 形が先に決まる ' OR '1'='1 ← 1つの値として入る 入力 「id が ' OR '1'='1 の会員」を探すだけになる
根本の対策は,SQL 文の形を先に確定させるプレースホルダ

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

用語解説:インジェクション攻撃(SQL・OS コマンド) XSS・CSRF・クリックジャッキング

問14

ディジタルフォレンジックスの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ディジタルフォレンジックスは,不正アクセスや情報漏えいなどのコンピュータに関する事件・事故が起きたときに,法的な証拠として使えるように,ログや記憶媒体などの情報を改変しない形で保全・収集し,分析して原因を究明する技術や手続である。エが適切である。

アは送受信メールのフィルタリング,イはファイアウォールや IDS などによる攻撃の防御,ウは記憶媒体のデータを復元できないように上書きするデータ消去の説明である。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

SSH の説明はどれか。

正解 エ

解説

SSH(Secure Shell)は,ネットワークを介したリモートログインやファイルのコピーを,暗号化と認証によって安全に行うためのツール及びプロトコルである。telnet や rlogin,rcp などの代わりに使われる。エが正しい。

アは電子メールの暗号化とディジタル署名の標準である S/MIME,イはクレジット決済を安全に行うための仕様である SET,ウは共通鍵暗号と公開鍵暗号を併用して電子メールを暗号化するソフトウェアである PGP の説明である。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

用語解説:ディジタル署名(デジタル署名)

問16

ソフトウェアの使用性を向上させる施策として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

使用性(ユーザビリティ)は,利用者がソフトウェアを理解し,習得し,操作しやすい度合いを表す品質特性である。オンラインヘルプを充実させて利用方法を理解しやすくすることは使用性の向上に当たるので,アが適切である。

イの連携できる他システムを増やすことは相互運用性(互換性),ウの機能を追加して利用できる範囲を広げることは機能性(機能適合性),エのファイルを分散配置して障害時の停止リスクを減らすことは信頼性(可用性)を向上させる施策である。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

マッシュアップに該当するものはどれか。

正解 エ

解説

マッシュアップは,Web API などで公開されている複数のサービスを組み合わせて,新しいサービスを作り出す手法である。例えば地図サービスと店舗情報のサービスを組み合わせて,店舗の場所を地図に示すサービスを作る。エが正しい。

アは既存のプログラムを解析して仕様を導き出すリバースエンジニアリング。イは既存のプログラムを部品化して組み合わせるソフトウェア部品の再利用,ウはクラスライブラリを使った開発で,いずれも自組織のプログラム資産を再利用する方法であり,外部に公開されたサービスを組み合わせるマッシュアップとは異なる。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

システム開発のプロジェクトにおいて,EVM を活用したパフォーマンス管理をしている。開発途中のある時点で CV(コスト差異)の値が正,SV(スケジュール差異)の値が負であるとき,プロジェクトはどのような状況か。

正解 ウ

解説

EVM では,CV(コスト差異)=EV−AC,SV(スケジュール差異)=EV−PV で求める。CV が正なら,出来高の価値に対して実際に掛かったコストが少なく,コストは予算内に収まっている。SV が負なら,出来高が計画に届いておらず,進捗が遅れている。

したがって,開発コストは問題ないが進捗が遅れており,その改善策が必要な状況で,ウが正しい。アは CV も負の場合,イは CV と SV がともに正の場合,エは CV が負で SV が正の場合の状況である。

EVM の3本の線と SV・CV PV(計画の出来高)・EV(実際の出来高)・AC(実際のコスト)を累積で描く。現時点の EV と PV の縦の差がスケジュール差異 SV=EV−PV で,負なら進捗の遅れを金額で表したもの。EV と AC の差がコスト差異 CV=EV−AC で,負ならコスト超過。EV が PV 以上なら納期に遅れず,EV が AC 以上ならコストは超過しない。 時間 金額(累積) 現時点 PV EV AC SV CV SV=EV−PV(進捗) CV=EV−AC(コスト)
EV と PV の差は進捗の遅れ(金額),EV と AC の差はコストの超過

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

用語解説:EVM(アーンドバリューマネジメント)

問19

スコープを縮小せずにプロジェクト全体のスケジュールを短縮する技法の一つである“クラッシング”では,メンバの時間外勤務を増やしたり,業務内容に精通したメンバを新たに増員したりする。“クラッシング”を行う際に,優先的に資源を投入すべきスケジュールアクティビティはどれか。

正解 イ

解説

クラッシングは,資源を追加して作業期間を短縮する技法である。プロジェクト全体の所要期間はクリティカルパスの長さで決まるので,クリティカルパス上にない作業を短縮しても全体の期間は縮まらない。資源はクリティカルパス上のスケジュールアクティビティに優先的に投入すべきで,イが正しい。

アの難易度が最も高いアクティビティ,ウの資源を確保できる時期に始まるアクティビティ,エの所要期間が最も長いアクティビティは,いずれもクリティカルパス上にあるとは限らず,短縮しても全体の期間が変わらないことがある。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

用語解説:クリティカルパス

問20

データの追加・変更・削除が,少ないながらも一定の頻度で行われるデータベースがある。このデータベースのフルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの2倍にした。このとき,データベースのバックアップ又は復旧に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

フルバックアップの間隔を 2 倍にすると,1 回のフルバックアップから次までに蓄積されるログの量が約 2 倍になる。復旧時はバックアップを復元してからログを反映(ロールフォワード)するので,その反映に掛かる平均処理時間が約 2 倍になる。

アとイは誤り。データの追加・変更・削除は少ないのでデータベース自体の大きさはほとんど変わらず,1 回当たりのテープ使用量は変わらない。ウも同じ理由で,フルバックアップの取得時間も変わらない。

フルバックアップの間隔を2倍にすると データベースの大きさはほとんど変わらないので,1回のフルバックアップの量や時間は変わらない。間隔が2倍になると,次のバックアップまでにたまるログが約2倍になり,障害のあとバックアップを復元してからログを反映する(ロールフォワードする)時間が平均して約2倍になる。 今まで 2倍の間隔 ■ フルバックアップ △ たまるログ 障害のときに反映するログが平均で約2倍 → 復旧時間も約2倍
変わるのは「たまるログの量」と「復旧の時間」。バックアップ1回の量は同じ

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

問21

システム監査人が負う責任はどれか。

正解 エ

解説

システム監査人は,監査の結果に基づいて監査報告書に記載した監査意見(結論,指摘事項,改善提案など)について責任を負う。エが正しい。

アの監査結果を外部に開示するかどうかは,監査を依頼した経営者などが判断する。イの監査対象システムの管理と,ウの指摘した問題点の改善は,監査対象部門(被監査部門)の責任であり,監査人がこれらを行うと独立性を損なう。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問22

営業債権管理業務に関する内部統制のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

内部統制では,不正や誤りを防ぐために,業務を担当する部門と,その業務を牽制する部門の職務を分離することが重要である。売掛金の回収条件を,販売を担当する営業部門ではなく審査部門が設定していれば,営業部門が売上を優先して不利な条件で取引することを牽制できる。アが適切である。

イの消込み入力と承認処理,ウの与信限度の決定,エの値引きや割戻しの処理を,いずれも取引を担当する営業部門が自ら行っていると,担当者による不正や誤りを他の部門が発見できず,職務の分離がなされていない。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

用語解説:内部統制(全般統制・業務処理統制)

問23

業務プロセスを可視化する手法として UML を採用した場合の活用シーンはどれか。

正解 ウ

解説

UML はオブジェクト指向のモデリングのために標準化された記法で,クラス図,アクティビティ図,シーケンス図など目的の異なる複数の図を使い分け,同じ対象を複数の観点から表現する。ウが正しい。

アはエンティティと関連で捉える E-R 図によるデータ中心アプローチ,イはデータの流れで表す DFD(データフロー図),エは条件分岐の形で網羅的に記述するデシジョンツリーや決定表の説明で,いずれも UML の図法ではない。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

用語解説:UML(統一モデリング言語)

問24

IT 投資効果の評価に用いられる手法のうち,ROI によるものはどれか。

正解 エ

解説

ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた収益を投資額で割った比率で,投資に見合う効果があるかを評価する指標である。エが該当する。

アはキャッシュフローを割引率で現在価値に換算して合計する NPV(正味現在価値)法。イは投資額を何年で回収できるかで評価する PBP(回収期間)法。ウは現在価値の合計がゼロになる割引率を求める IRR(内部収益率)法の説明である。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

用語解説:投資評価(NPV・IRR・ROI)

問25

BABOK の説明はどれか。

正解 ウ

解説

BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)は,IIBA がまとめたビジネスアナリシスの知識体系で,ビジネスアナリシスの計画とモニタリング,引き出し,要求アナリシス,基礎コンピテンシなどの知識エリアから成る(出題当時の第2版は七つの知識エリア)。ウが正しい。

アはソフトウェア品質の知識体系である SQuBOK,イはソフトウェアエンジニアリングの知識体系である SWEBOK,エはプロジェクトマネジメントの知識体系である PMBOK の説明である。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

ダイバーシティマネジメントの説明はどれか。

正解 イ

解説

ダイバーシティマネジメントは,性別,年齢,国籍,障害の有無,価値観など,従業員の多様性を尊重して積極的に生かすことで,組織の創造性や活力を高めようとする取組みである。イが該当する。

アは仕事と生活の調和を図るワークライフバランス,ウは自ら設定した目標の達成度で評価する目標管理制度(MBO),エは労使が協調して労働条件を合意し収益の増大を目指す労使協調の説明である。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

バリューチェーンによる分類はどれか。

正解 イ

解説

バリューチェーン(価値連鎖)は,M.E.ポーターが提唱した考え方で,企業の活動を購買物流,製造,出荷物流,販売・マーケティング,サービスの五つの主活動と,全般管理,人事・労務管理,技術開発,調達の四つの支援活動に分類し,どの活動で価値が生み出されているかを分析する。イが正しい。

アは業界の競争要因を五つに分けるファイブフォース分析,ウは製品と市場の2軸で成長戦略を分類するアンゾフの成長マトリクス,エは製品や事業を4象限に分類する PPM の考え方(軸を市場の魅力度と自社の強みとするのは GE のビジネススクリーンの軸)である。

バリューチェーン 企業の活動を,製品やサービスが顧客に届くまでの主活動(購買物流・製造・出荷物流・販売とマーケティング・サービス)と,それを支える支援活動(全般管理・人事労務管理・技術開発・調達)に分け,どの活動で価値(利益,マージン)が生まれているかを分析する。 全般管理(インフラストラクチャ) 人事・労務管理 技術開発 調達活動 購買物流 製造 出荷物流 販売・マーケ サービス マージン 上:支援活動 下:主活動
主活動5つと支援活動4つ。右端のマージンが生み出した価値

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

“技術の S カーブ”の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,初めは研究開発に努力を注いでも性能の向上は緩やかだが,ある時点から急速に進歩し,成熟期に入ると限界に近づいて進歩が停滞する。進歩を時間に対して描くと S 字形になることからこう呼ばれる。イが適切である。

アは技術に対する期待の変化を表すハイプサイクル,ウは累積生産量が増えるほど単位当たりのコストが下がり生産性が向上する経験曲線(学習曲線),エは故障率の時間的変化を表すバスタブ曲線の説明である。

技術の S カーブ 技術の性能は,導入の初めは努力の割に伸びが小さく,ある時点から急に伸び,やがて限界に近づいて伸びが鈍る(S 字)。成熟した技術に努力を続けても伸びは小さいので,新しい技術の S カーブに乗り換える時期を見極める。 研究開発の努力(時間) 性能 導入期 成長期 成熟期 新しい技術 乗り換え
導入期は緩やか,成長期に急伸,成熟期に頭打ち。次の技術へ乗り換える

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

職能部門別組織を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

職能部門別組織(機能別組織)は,購買,生産,販売,財務など,仕事の機能(職能)ごとに部門を編成した組織である。専門性を高めやすく規模の経済を生かせるが,部門間の調整に手間が掛かる。ウが正しい。

アは製品別,顧客別,地域別に利益責任をもつ事業部を置く事業部制組織,イは職能部門と事業部門の両方に所属するマトリックス組織,エは特定の課題のために各部門から専門家を集めて一時的に編成するプロジェクト組織の説明である。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

労働者派遣法に基づいた労働者の派遣において,労働者派遣契約の関係が存在するのはどの当事者の間か。

正解 ウ

解説

労働者派遣では,派遣元事業主と派遣先事業主の間で労働者派遣契約を結び,派遣元事業主と派遣労働者の間には雇用関係,派遣先事業主と派遣労働者の間には指揮命令関係がある(労働者派遣法第2条,第26条)。労働者派遣契約の関係が存在するのは派遣元事業主と派遣先事業主の間で,ウが正しい。

エの派遣元事業主と派遣労働者の間にあるのは雇用契約である。アの派遣先事業主と派遣労働者の間には,契約関係はなく指揮命令関係だけがある。イの派遣先責任者は,派遣先で派遣労働者の管理などを行うために選任される者で,契約の当事者ではない。

出典:平成26年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)

用語解説:契約の形態(請負・準委任・労働者派遣)