令和4年度 春期に実施されたITサービスマネージャ試験
午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,サービスマネジメントシステム(SMS)の支援に関する要求事項のうち,“意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力”に対するものはどれか。
- アサービスの運用に必要な人,技術,情報及び財務に関する資源を決定し,提供する。
- イサービスの運用を支援するために必要な知識を決定し,維持する。
- ウ組織の要員がサービスマネジメントの方針及び目的に関する認識をもつようにする。
- エ適切な教育,訓練又は経験に基づいて,組織の管理下で SMS 及びサービスのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務を行う人々が力量を備えていることを確実にする。正解
正解 エ
解説
“意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力”は JIS Q 20000-1:2020 における“力量”の定義。7.2(力量)は,適切な教育,訓練又は経験に基づいて,SMS 及びサービスのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務を組織の管理下で行う人々が力量を備えていることを確実にするよう要求している。
アは 7.1(資源),イは 7.6(知識),ウは 7.3(認識)の要求事項であり,いずれも力量そのものではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
サービスマネジメントのプロセス改善におけるベンチマーキングはどれか。
- アIT サービスのパフォーマンスを財務,顧客,内部プロセス,学習と成長の観点から測定し,戦略的な活動をサポートする。
- イ業界内外の優れた業務方法(ベストプラクティス)と比較して,サービス品質及びパフォーマンスのレベルを評価する。正解
- ウサービスのレベルで可用性,信頼性,パフォーマンスを測定し,顧客に報告する。
- エ強み,弱み,機会,脅威の観点から IT サービスマネジメントの現状を分析する。
正解 イ
解説
ベンチマーキングは,自組織のプロセスやサービスの水準を,業界内外の優れた実践(ベストプラクティス)と比較して,どこがどれだけ劣っているかを明らかにする手法。比較によって改善の目標値と優先順位を決められる。
アはバランススコアカード(財務・顧客・内部プロセス・学習と成長の4視点),ウはサービスレベル管理やサービスの報告で行う測定と報告,エはSWOT分析であり,いずれも外部の優れた実践との比較ではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
ITIL 2011 edition では,可用性管理における KPI の例として,平均サービス・インシデント間隔(MTBSI)の改善を挙げている。ある IT サービスでサービス開始から 2,020 時間経過した時点までに,サービスの使用可能な時間は 2,000 時間あり,5 時間の停止 1 回と 15 時間の停止 1 回の合計 2 回の停止があった。MTBSI,平均故障間隔(MTBF)及び平均サービス回復時間(MTRS)の値の大小関係のうち,正しいものはどれか。ここで,MTBF とは,IT サービスが合意済みの機能を中断なく実行できる時間の平均値であり,MTRS とは,障害の後,IT サービスを回復させるために掛かる時間の平均値である。
- アMTBF>MTBSI>MTRS
- イMTBSI>MTBF>MTRS正解
- ウMTBSI>MTRS>MTBF
- エMTRS>MTBSI>MTBF
正解 イ
解説
経過時間 2,020 時間,使用可能時間 2,000 時間,停止 2 回(5 時間と 15 時間で計 20 時間)。MTBSI はインシデント発生から次の発生までの平均なので 2,020÷2=1,010 時間,MTBF は中断なく実行できた時間の平均なので 2,000÷2=1,000 時間,MTRS は回復に掛かった時間の平均なので 20÷2=10 時間。よって MTBSI>MTBF>MTRS となる。
MTBSI=MTBF+MTRS の関係があるので,MTBSI は必ず MTBF より大きく,MTRS は 3 つの中で最も小さい。この関係に反するア(MTBF>MTBSI),ウ・エ(MTRS>MTBF)は成り立たない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
ITIL 2011 edition によれば,サービス・ポートフォリオとサービス・カタログとの関係の説明のうち,適切なものはどれか。
- アサービス・カタログは,サービス・ポートフォリオで管理するサービスのうち,稼働中の全てのサービスを記載したものである。正解
- イサービス・カタログは,一つのサービス・ポートフォリオに対して一つであり,1 対 1 に対応している。
- ウサービス・ポートフォリオで管理するサービスのうち,稼働中及び開発中のサービスをサービス・カタログに記載する。
- エ廃止済みサービスは,顧客への告知のためにサービス・カタログには残すが,サービス・ポートフォリオからは削除する。
正解 ア
解説
サービス・ポートフォリオは,構想・開発中のサービス(サービス・パイプライン),稼働中のサービス(サービス・カタログ),廃止済みサービスの三つからなる。このうち顧客に公開するのがサービス・カタログで,稼働中の全てのサービスが載る。
イは誤り。カタログはポートフォリオの一部であって 1 対 1 の対応ではない。ウの開発中のサービスはサービス・パイプラインに属し,カタログには載せない。エは逆で,廃止済みサービスはカタログから外し,ポートフォリオには記録として残す。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
サービスマネジメントにおいて,中断したサービスを復旧させるときの目標を定めた指標に,RPO(目標復旧時点),RTO(目標復旧時間)及び RLO(目標復旧レベル)がある。RTO と RLO を定めた例として,適切なものはどれか。
- アサービスの中断から 1 時間以内に,中断発生時点の 1 時間前の状態に復旧する。
- イサービスの中断から 1 日以内に,中断発生時点に提供していた基幹サービスと付帯サービスのうちの基幹サービスを復旧する。正解
- ウサービスの中断発生時点の 3 時間前の状態にシステムを復旧し,利用者の 50%以上にサービスを提供できるようにする。
- エディスクの容量不足によるサービスの中断から 3 日以内に,ディスクの容量を中断発生時点の 2 倍に増強する。
正解 イ
解説
RTO(目標復旧時間)は中断からどれだけの時間で復旧させるか,RLO(目標復旧レベル)はどの水準まで復旧させるかを定める。イは“1 日以内”が RTO,“基幹サービスを復旧する”が RLO に当たり,両方を定めている。
アは“1 時間以内”が RTO だが,“1 時間前の状態”は復旧時点を示す RPO。ウは“3 時間前の状態”が RPO,“利用者の 50%以上”が RLO で,RTO がない。エは復旧目標ではなく設備増強の話であり,いずれの指標にも当たらない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
サービスマネジメントの“事業関係管理”において,サービス提供者が実施すべき活動はどれか。
- ア外部供給者が提供又は運用するサービス,サービスコンポーネント,プロセス又はプロセスの一部に関する適用範囲を含めた契約文書を作成し,各外部供給者と合意する。
- イサービスの顧客,利用者及び他の利害関係者を特定し,文書化し,顧客及び他の利害関係者との間にコミュニケーションのための取決めを確立する。正解
- ウ提供する各サービスについて,文書化したサービスの要求事項に基づいて,一つ以上の SLA を顧客と合意する。
- エ内部供給者又は供給者として行動する顧客に対して,サービスレベル目標,他のコミットメント,活動及び関係者間のインタフェースを定義するための合意文書を作成し,合意し,維持する。
正解 イ
解説
JIS Q 20000-1:2020 の 8.3.2(事業関係管理)は,サービスの顧客,利用者及び他の利害関係者を特定して文書化し,顧客及び他の利害関係者とのコミュニケーションのための取決めを確立することを要求している。顧客との関係を築いて維持することが,この活動の目的。
アは 8.3.4.1(外部供給者の管理),ウは 8.3.3(サービスレベル管理)の SLA の合意,エは 8.3.4.2(内部供給者及び供給者として行動する顧客の管理)の合意文書に当たる。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
ITIL 2011 edition によれば,インシデント管理において,インシデント・モデルを定義しておくことによって得られるメリットはどれか。
- アインシデント管理プロセス及びその運用の,効率性と有効性を判断するための基準を明確にできる。
- イ過去のインシデントについて,履歴,カテゴリ,及び解決するために取られた処置を容易に参照できる。
- ウ繰り返し発生するインシデントに対して,事前に定義された経路で,事前に定義された時間枠内に対応できる。正解
- エ根本原因が判明していない問題に対する解決策を提供できる。
正解 ウ
解説
インシデント・モデルは,繰り返し発生する種類のインシデントについて,取るべき手順とその順序,責任者,エスカレーション経路,解決までの時間枠をあらかじめ定めておくもの。定義しておけば,担当者の力量に左右されずに,決めた経路と時間枠の中で処理できる。
アはインシデント管理の KPI や測定基準の話,イはインシデント記録や既知のエラーデータベースの効用,エは根本原因が未判明の問題に対するワークアラウンド(問題管理)であり,いずれもモデルを定義したことによる直接のメリットではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)を適用している組織において,サービスマネジメントシステム(SMS)が次の要求事項に適合している状況にあるか否かの情報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で組織が実施するものはどれか。
〔要求事項〕
- SMS に関して,組織自体が規定した要求事項
- JIS Q 20000-1:2020 の要求事項
- ア監視,測定,分析及び評価
- イサービスの報告
- ウ内部監査正解
- エマネジメントレビュー
正解 ウ
解説
JIS Q 20000-1:2020 の 9.2(内部監査)は,SMS が“組織自体が規定した SMS に関する要求事項”及び“この規格の要求事項”に適合しているか,並びに有効に実施され維持されているかに関する情報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施することを要求している。設問の〔要求事項〕は,この二つをそのまま挙げたもの。
アは 9.1(監視,測定,分析及び評価)で,SMS 及びサービスのパフォーマンスを測る活動。イは 9.4(サービスの報告)。エは 9.3(マネジメントレビュー)で,トップマネジメントが SMS の適切性・妥当性・有効性を評価するものであり,要求事項への適合を確かめる監査とは目的が異なる。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
サービスマネジメントにおいて,構成ベースラインを確立することによって可能になることはどれか。
- アIT サービスの存続期間を通したパフォーマンスの変化の測定
- イインシデントが発生したときの問題管理プロセスでの状況証拠の分析
- ウ構成監査及び切り戻しのための基準となる情報の提供正解
- エサービスを機能させるために必要な最低限の利用可能レベルの定義
正解 ウ
解説
構成ベースラインは,ある時点の構成品目(CI)の状態を正式に承認して固定した記録。これがあるので,実際の構成が記録どおりかを照合する構成監査ができ,リリースで問題が起きたときに戻すべき状態(切り戻しの基準)も分かる。
アはサービスの測定と報告,イはインシデント記録やログから行う原因分析,エはサービス継続で定める目標復旧レベル(RLO)に当たり,いずれも構成ベースラインを確立したことで可能になるものではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
総所有費用(TCO)の説明として,適切なものはどれか。
- ア自社に導入した業務システムに対する開発総費用とハードウェアの購入費用
- イハードウェア及びソフトウェアの導入から廃棄までの総費用正解
- ウハードウェア及びソフトウェアを導入から稼働させるまでの総費用
- エハードウェアの購入費用とヘルプデスク及び利用者教育などのテクニカルサポートに要する総費用
正解 イ
解説
TCO(Total Cost of Ownership,総所有費用)は,システムの導入から廃棄までのライフサイクル全体で発生する費用の総額。ハードウェア・ソフトウェアの購入や導入といったイニシャルコストだけでなく,運用,保守,サポート,利用者教育,廃棄までのランニングコストを含める。
アは開発費とハードウェア購入費だけで運用段階の費用が抜けている。ウは稼働開始までなのでイニシャルコストにとどまる。エはランニングコストの一部を取り上げたもので,いずれも“総所有”には足りない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
サービスマネジメントの容量・能力管理における,オンラインシステムの容量・能力の利用の監視についての注意事項のうち,適切なものはどれか。
- アSLA の目標値を監視しきい値に設定し,しきい値を超過した場合には対策を講ずる。
- イ応答時間や CPU 使用率などの複数の測定項目を定常的に監視する。正解
- ウオンライン時間帯に性能を測定することはサービスレベルの低下につながるので,測定はオンライン停止時間帯に行う。
- エ容量・能力及びパフォーマンスに関するインシデントを記録する。
正解 イ
解説
容量・能力の利用の監視では,応答時間や CPU 使用率など複数の測定項目を平常時から継続して測る。単発の測定では判断できないが,定常的に測っていれば傾向がつかめ,容量・能力が不足する時期を予測して先手を打てる。
アは誤り。SLA の目標値をしきい値にすると,検知した時点で既に SLA 違反になっている。しきい値は目標値より手前に置く。ウは誤り。実際の負荷が掛かるオンライン時間帯こそ測定が必要で,停止時間帯では利用実態が分からない。エはインシデント管理の活動であり,利用の監視そのものではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
プロジェクトマネジメントの進捗管理や課題管理だけでなく,サービスマネジメントのインシデント管理やサービス要求管理でも利用できる,次の特徴をもつ OSS のツールはどれか。
〔特徴〕
- 実施すべきタスクをチケットとして扱い,起票,調査,解決,クローズなどの状態と進捗が管理できる。
- チケットに関連する部署に対して,権限を設定し,ワークフローが定義できる。
- アAnsible
- イJenkins
- ウRedmine正解
- エZabbix
正解 ウ
解説
実施すべき作業をチケットとして扱い,起票から解決・クローズまでの状態と進捗を管理でき,ロールごとの権限とワークフローを定義できる OSS は Redmine。プロジェクトの進捗・課題管理に加えて,インシデントやサービス要求のチケット管理にも使われる。
アの Ansible は構成管理・自動化ツール,イの Jenkins は CI(ビルドやテストの自動実行)ツール,エの Zabbix は監視ツールであり,いずれもチケットのワークフロー管理を目的としたものではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
JDCC(日本データセンター協会)が制定する“データセンターファシリティスタンダード”において,UPS 設備の冗長性に関するティア基準がある。ティア 3 に該当する構成はどれか。ここで,ティア 3 は機器のメンテナンスなどによる一部設備の一時停止時においても,コンピューティングサービスを継続して提供できる冗長構成の設備を有するレベルである。また,システム構成として必要となる常用 UPS の台数は N とする。
正解 ウ
解説
ティア 3 は,機器のメンテナンスなどで一部の設備を止めてもサービスを継続できるレベル。常用に必要な N 台に予備を 1 台加えた N+1 構成にすれば,1 台を停止しても残る N 台で必要な容量をまかなえる。
イの N は予備がなく,1 台の停止がそのままサービス停止につながる。アの 2N は系統ごと二重化して障害時にも無停止で切り替えられる構成で,より上位のティアが求める水準。エの N+2 はティア 3 の要件を超える過剰な構成である。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
入出金管理システムから出力された入金データファイルを,売掛金管理システムが読み込んでマスタファイルを更新する。入出金管理システムから売掛金管理システムに受け渡されたデータの正確性及び網羅性を確認するコントロールはどれか。
- ア売掛金管理システムにおける入力データと出力結果とのランツーランコントロール
- イ売掛金管理システムのマスタファイル更新におけるタイムスタンプ機能
- ウ入金額及び入金データ件数のコントロールトータルのチェック正解
- エ入出金管理システムへの入力のエディットバリデーションチェック
正解 ウ
解説
受け渡したデータの正確性と網羅性を確かめるには,送信側で集計した入金額の合計と件数(コントロールトータル)を受信側でも算出して突き合わせる。両者が一致すれば,途中でデータが欠落・重複・改変していないことを確認できる。
アのランツーランコントロールは前後の処理の整合を確認する統制だが,選択肢は売掛金管理システム内で完結しており,システム間の受渡しを検証していない。イのタイムスタンプは更新時刻の記録にすぎない。エのエディットバリデーションチェックは入出金管理システムへの入力時点の妥当性検査であり,その後の受渡しは対象外。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
サイバーセキュリティ基本法に基づき,内閣にサイバーセキュリティ戦略本部が設置されたのと同時に,内閣官房に設置された組織はどれか。
- アIPA
- イJIPDEC
- ウJPCERT/CC
- エNISC正解
正解 エ
解説
サイバーセキュリティ基本法に基づいて内閣にサイバーセキュリティ戦略本部が置かれ,その事務を処理する組織として内閣官房に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が設置された。政府機関の情報セキュリティ対策の総合調整を担う。
アの IPA は経済産業省所管の独立行政法人,イの JIPDEC はプライバシーマーク制度などを運営する一般財団法人,ウの JPCERT/CC はインシデント対応の調整を行う一般社団法人であり,いずれも内閣官房に置かれた組織ではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
クラウドサービスのセキュリティ評価制度である ISMAP に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- アPaaS,SaaS 事業者が求めるセキュリティ要求を満たしている IaaS を登録する制度であるので,IaaS だけが ISMAP クラウドサービスリストに登録される。
- イクラウドサービス事業者自らが情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言したクラウドサービスは ISMAP クラウドサービスリストに登録される。
- ウ政府が求めるセキュリティ要求を満たしていることが確認されたクラウドサービスが ISMAP クラウドサービスリストに登録される。正解
- エ政府機関がクラウドサービスを利用するに当たり,適切にクラウドサービス事業者を選定しているかどうかを監査機関が審査し,認定された政府機関は ISMAP クラウドサービスリストに登録される。
正解 ウ
解説
ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)は,政府が求めるセキュリティ要求を満たしていることを監査を通じて確認したクラウドサービスを ISMAP クラウドサービスリストに登録する制度。政府機関などは,原則としてこのリストに載ったサービスから調達する。
アは誤りで,IaaS・PaaS・SaaS のいずれも登録の対象になる。イも誤りで,事業者の自己宣言では登録されず,監査機関による監査と登録審査を経る必要がある。エは登録される対象を取り違えており,リストに載るのはクラウドサービスであって政府機関ではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
経済産業省と IPA が策定した“サイバーセキュリティ経営ガイドライン(Ver 2.0)”に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア経営者が,実施するサイバーセキュリティ対策を投資ではなくコストとして捉えることを重視し,コストパフォーマンスの良いサイバーセキュリティ対策をまとめたものである。
- イ経営者が認識すべきサイバーセキュリティに関する原則と,経営者がリーダシップを発揮して取り組むべき項目を取りまとめたものである。正解
- ウ事業の規模やビジネスモデルによらず,全ての経営者が自社に適用すべきサイバーセキュリティ対策を定めたものである。
- エ製造業のサプライチェーンを構成する小規模事業者の経営者が,サイバー攻撃を受けた際に行う事後対応をまとめたものである。
正解 イ
解説
経済産業省と IPA の“サイバーセキュリティ経営ガイドライン(Ver 2.0)”は,経営者が認識すべき 3 原則と,経営者がリーダシップを発揮して CISO などに指示すべき重要 10 項目で構成されている。
アは逆で,同ガイドラインはセキュリティ対策をコストではなく投資と捉えるよう求めている。ウは誤りで,一律の対策を定めたものではなく,事業の規模やビジネスモデルに応じて取り組むことを前提としている。エも誤りで,対象は小規模事業者に限らず,事後対応だけでなく平時のリスク把握・体制整備・サプライチェーン対策までを扱う。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
プロジェクトのコスト見積り手法の説明のうち,ボトムアップ見積りのものはどれか。
- ア関連する過去のデータとその他の変数との間に統計的関係がある場合に使われ,プログラムのステップ数,プロダクトの複雑度,チームの開発能力などを見積りモデルの式に当てはめることによって,工数を見積もる。
- イ作業の内容を十分に把握している場合に使われ,作業の構成要素の工数を見積もり,それを積み上げることによって全体の工数を見積もる。正解
- ウ生産性の標準値が過去のプロジェクトの実績値から求められる場合に使われ,見積りモデルの式を適用して工数を見積もる。
- エプロジェクトの初期の見積りに使われ,過去の類似プロジェクトの実績値から類推して,工数を見積もる。
正解 イ
解説
ボトムアップ見積りは,WBS で分解した個々の作業の工数を積み上げて全体を見積もる方法。作業の内容を十分に把握できている場合に使え,精度は高いが手間が掛かる。
アとウはパラメトリック見積り(係数見積り)で,過去の実績から得た統計的関係や生産性の標準値を見積りモデルの式に当てはめる。エは類推見積りで,情報が乏しいプロジェクト初期に,過去の類似プロジェクトの実績から類推する。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
プロジェクトマネジメントにおけるリスク対応の例のうち,転嫁に該当するものはどれか。
- ア完了時期は守れるが,実コストは予定コストを超過することが分かったので,予備費を充てる。
- イ個人情報の漏えいが起こらないように,システムテストで使用する本番データの個人情報部分はマスキングする。
- ウ損害の発生に備えて,損害賠償保険を契約する。正解
- エ取引先の業績が悪化して,信用リスクが高まっているので,新規取引をやめる。
正解 ウ
解説
転嫁は,リスクが顕在化したときの影響を第三者に移す対応。損害賠償保険を契約すれば,損害が発生したときの金銭的な負担を保険会社に移すことになるので,これが転嫁に当たる。
アの予備費を充てるのは受容(コンティンジェンシー予備の使用),イのマスキングは漏えいそのものが起こらないようにする軽減,エの新規取引をやめるのはリスクにさらされる状況自体をなくす回避である。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
PMBOK ガイド 第 6 版によれば,プロジェクト品質マネジメントは,“品質マネジメントの計画”,“品質のマネジメント”,“品質のコントロール”の三つのプロセスで構成されている。プロセス“品質マネジメントの計画”のアウトプットであって,プロセス“品質のマネジメント”及び“品質のコントロール”のインプットになるものはどれか。
- ア検証済み成果物
- イ作業パフォーマンス情報
- ウ品質尺度正解
- エ変更要求
正解 ウ
解説
プロセス“品質マネジメントの計画”のアウトプットは,品質マネジメント計画書と品質尺度など。品質尺度はプロジェクトやプロダクトの属性を何でどう測り,どうなれば要求を満たしたと判断するかを定めたもので,“品質のマネジメント”と“品質のコントロール”の両方のインプットになる。
アの検証済み成果物とイの作業パフォーマンス情報は“品質のコントロール”のアウトプット。エの変更要求は“品質のマネジメント”及び“品質のコントロール”のアウトプットであり,計画プロセスから出るものではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
メモリインタリーブの説明はどれか。
- アCPU と磁気ディスク装置との間に半導体メモリによるデータバッファを設けて,磁気ディスクアクセスの高速化を図る。
- イ主記憶のデータの一部をキャッシュメモリにコピーすることによって,CPU と主記憶とのアクセス速度のギャップを埋め,メモリアクセスの高速化を図る。
- ウ主記憶へのアクセスを高速化するために,アクセス要求,データの読み書き及び後処理が終わってから,次のメモリアクセスの処理に移る。
- エ主記憶を複数の独立したグループに分けて,CPU からのアクセス要求を並列に処理することによって,主記憶へのアクセスの高速化を図る。正解
正解 エ
解説
メモリインタリーブは,主記憶を複数の独立したバンクに分け,連続するアドレスを異なるバンクに割り当てる方式。あるバンクが読み書きとその後処理を行っている間に別のバンクへアクセスできるので,アクセス要求を並列に処理でき,実効的なアクセス速度が上がる。
アはディスクキャッシュ,イはキャッシュメモリの説明。ウは一つのアクセスが完全に終わってから次に移る逐次的な動作で,並列化しないため高速化にならず,インタリーブとはむしろ逆である。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
故障発生率が 1.0×10-6 回/秒である機器 10,000 台が稼働している。330 時間経過後に,故障していない機器の台数はおよそ何台か。ここで,故障発生率は経過時間によらず一定で,故障した機器は修理しない。また,必要であれば,故障発生率をλ回/秒,稼働時間を t 秒とする次の指数関数のグラフから値を読み取って,計算に使用してよい。
- ア3,000正解
- イ5,000
- ウ7,000
- エ9,000
正解 ア
解説
故障していない機器の割合は F(t)=exp(−λt)。λ=1.0×10-6 回/秒,t=330 時間=330×3,600=1,188,000 秒なので λt=1.188。グラフで λt が 1.2 のあたりを読むと F(t) はおよそ 0.3 なので,10,000×0.3=3,000 台が残る。
単位をそろえずに 330 をそのまま t に入れると λt=3.3×10-4 となり,F(t) がほぼ 1,すなわち 9,000 台以上が残る(エ)と読み違える。故障発生率が“回/秒”で与えられているので,時間を秒に直してから λt を求めるのが要点。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
図は,分散システムにおける 2 相コミットプロトコルの正常処理の流れを表している。③の動作はどれか。
- アアンロック実行指示
- イコミット可否問合せ
- ウコミット実行指示正解
- エログ取得指示
正解 ウ
解説
2 相コミットでは,まず調整者(システム A)が各参加者にコミット可否を問い合わせ(①),参加者が可否を回答する(②)。全員が“可”であれば第 2 相に進み,調整者がコミットの実行を指示し(③),参加者が完了を報告する(④)。したがって③はコミット実行指示。
イのコミット可否問合せは①に当たる。エのログ取得は,①を受けた参加者がコミットできる状態を確保するために自サイトで行う処理。アのアンロックは,コミット又はロールバックの完了に伴って各サイトが解放するものであり,いずれも③として指示されるものではない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
図は,組織内の TCP/IP ネットワークに接続しているクライアントが,プロキシサーバ,ルータ,インターネットを経由して組織外の Web サーバを利用するときの経路を示している。この通信の TCP コネクションが設定される場所はどれか。
- アクライアントと Web サーバの間,クライアントとプロキシサーバの間
- イクライアントとプロキシサーバの間,プロキシサーバと Web サーバの間正解
- ウクライアントとプロキシサーバの間,プロキシサーバとルータの間,ルータと Web サーバの間
- エクライアントとルータの間,ルータと Web サーバの間
正解 イ
解説
プロキシサーバはクライアントに代わって Web サーバへアクセスする。このためコネクションはクライアントとプロキシサーバの間で一度終端され,プロキシサーバと Web サーバの間で改めて張られる。TCP コネクションはこの 2 本になる。
アは誤りで,プロキシを経由する以上クライアントと Web サーバが直接コネクションを張ることはない。ウとエのルータは IP パケットを中継するネットワーク層の装置であり,TCP コネクションの終端にはならない。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
技術者倫理における集団思考の問題点として,アーヴィング・ジャニスが指摘した八つの兆候のうち,“心の警備”の説明として,適切なものはどれか。
- ア自分の所属している集団は失敗することがなく,又は万が一失敗しても集団は存続すると考える。
- イ集団に新しく加わったメンバなどが異議を唱える場合には,それを阻止して,集団を保護しようとする。正解
- ウ他のメンバから特に意見が出されず,発言者以外の全メンバが沈黙している場合は,その意見を集団組織の一致した意見とみなす。
- エ反対する少数メンバがいる場合は,そのメンバに圧力を加えて統一した意見にさせる。
正解 イ
解説
“心の警備”(マインドガード)は,集団の結束や決定を守るために,都合の悪い情報や異論が集団に届かないよう,一部のメンバが自発的に遮断してしまう兆候。新しく加わったメンバの異議を阻止して集団を保護しようとする行為がこれに当たる。
アは“無敵幻想”,ウは沈黙を同意とみなす“満場一致の幻想”,エは“反対者への直接的圧力”であり,いずれもジャニスの挙げた別の兆候である。
出典:令和4年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)