平成26年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
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問1
A,B,C,D を論理変数とするとき,次のカルノー図と等価な論理式はどれか。ここで,・は論理積,+は論理和,X̄ は X の否定を表す。
ア A・B・C̄・D+B̄・D̄
イ Ā・B̄・C̄・D̄+B・D
ウ A・B・D+B̄・D̄
エ Ā・B̄・D̄+B・D 正解
正解 エ
解説
カルノー図の1のマスをまとめる。AB=01 と 11 の行(B=1)で,CD=01 と 11 の列(D=1)にある四つの1は,A と C の値に関係なく B=1,D=1 のときなので B・D にまとまる。残る AB=00 の行の CD=00 と CD=10 の1は,左右の端が隣接しているとみなして一つにまとめられ,A=0,B=0,D=0 のときなので Ā・B̄・D̄ となる。
よって論理式は Ā・B̄・D̄+B・D で,エが正しい。アとウの B̄・D̄ は AB=10 の行の CD=00,10 にも1を置くことになるが,その行はすべて0なので誤り。イの Ā・B̄・C̄・D̄ は AB=00,CD=10 のマスの1を表していない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
コンピュータによる伝票処理システムがある。このシステムは,伝票データをためる待ち行列をもち,M/M/1 の待ち行列モデルが適用できるものとする。平均待ち時間が T 秒以上となるのは,処理装置の利用率が少なくとも何%以上となったときか。ここで,伝票データをためる待ち行列の特徴は次のとおりである。
伝票データは,ポアソン分布に従って発生する。 伝票データのたまる数に制限はない。 1件の伝票データの処理時間は,平均 T 秒の指数分布に従う。
正解 イ
解説
M/M/1 では平均待ち時間=平均処理時間×ρ/(1−ρ)(ρ は利用率)で表せる。1件の処理時間の平均が T 秒なので,平均待ち時間が T 秒以上になるのは ρ/(1−ρ)≧1 のとき。これを解くと ρ≧1−ρ,すなわち ρ≧0.5 となり,利用率50%以上。イが正しい。
利用率が50%のとき待ち時間はちょうど T と等しくなり,それを超えると待つ時間のほうが処理時間より長くなる。ウの67%では 0.67/0.33 で約2倍,エの80%では0.8/0.2 で4倍まで伸びる。アの33%では約0.5倍で T に届かない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
グラフに示される頂点 V1 から V4 ,V5 ,V6 の各点への最短所要時間を求め,短い順に並べたものはどれか。ここで,グラフ中の数値は各区間の所要時間を表すものとし,最短所要時間が同一の場合には添字の小さい順に並べるものとする。
ア V4 ,V5 ,V6
イ V4 ,V6 ,V5 正解
ウ V5 ,V4 ,V6
エ V5 ,V6 ,V4
正解 イ
解説
ダイクストラ法の考え方で,V1 から近い頂点から順に最短所要時間を確定していく。V3 は直接 1。V2 は直接なら 4 だが,V3 経由で 1+1=2。V4 は V2 経由で 2+1=3(V3 から直接だと 1+4=5)。V6 は V4 経由で 3+1=4。V5 は V4 経由 3+2=5,V2 経由 2+4=6,V3 経由 1+5=6,V6 経由 4+2=6 のうち最小の 5 となる。
したがって V4 (3),V6 (4),V5 (5)の順で,イが正しい。V3 を経由して V2 に行く近道を見落とし,V1 –V2 を 4 として計算すると順序を誤りやすい。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
キャッシュの書込み方式には,ライトスルー方式とライトバック方式がある。ライトバック方式を使用する目的として,適切なものはどれか。
ア キャッシュと主記憶の一貫性(コヒーレンシ)を保ちながら,書込みを行う。
イ キャッシュミスが発生したときに,キャッシュの内容の主記憶への書き戻しを不要にする。
ウ 個々のプロセッサがそれぞれのキャッシュをもつマルチプロセッサシステムにおいて,キャッシュ管理をライトスルー方式よりも簡単な回路構成で実現する。
エ プロセッサから主記憶への書込み頻度を減らす。 正解
正解 エ
解説
ライトバック方式は,書込みをまずキャッシュだけに行い,主記憶(書込み先の記憶装置)への反映は後でまとめて行う方式である。書き込むたびに主記憶へ書き込む必要がないので,プロセッサから主記憶への書込み頻度を減らせる。エが適切である。
アのキャッシュと主記憶の一貫性を保ちながら書き込むのは,キャッシュと主記憶の両方に同時に書き込むライトスルー方式の特徴で,ライトバック方式は反映までの間に一貫性が崩れる。イは誤りで,ライトバック方式ではキャッシュの内容を置き換える前に主記憶へ書き戻す必要がある。ウのように回路構成を簡単にすることは,ライトバック方式の目的ではない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
2台のプリンタがあり,それぞれの稼働率が 0.7 と 0.6 である。この2台のいずれか一方が稼働していて,他方が故障している確率は幾らか。ここで,2台のプリンタの稼働状態は独立であり,プリンタ以外の要因は考慮しないものとする。
ア 0.18
イ 0.28
ウ 0.42
エ 0.46 正解
正解 エ
解説
いずれか一方だけが稼働している確率は,“1台目が稼働して2台目が故障”と“1台目が故障して2台目が稼働”の和になる。0.7×(1−0.6)+(1−0.7)×0.6=0.28+0.18=0.46 となり,エが正しい。
アの 0.18 とイの 0.28 はそれぞれ片方の場合だけを求めた値,ウの 0.42 は両方とも稼働している確率 0.7×0.6 である。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
Linux カーネルの説明として,適切なものはどれか。
ア GUI が組み込まれていて,マウスを使った直感的な操作が可能である。
イ Web ブラウザ,ワープロソフト,表計算ソフトなどが含まれており,Linux カーネルだけで多くの業務が行える。
ウ シェルと呼ばれる CUI が組み込まれていて,文字での操作が可能である。
エ プロセス管理やメモリ管理などの,アプリケーションが動作するための基本機能を提供する。 正解
正解 エ
解説
カーネルは OS の中核部分で,プロセス管理,メモリ管理,ファイルシステム,デバイス制御など,アプリケーションが動作するための基本機能を提供する。Linux カーネルもこれに当たるので,エが適切である。
アの GUI(X Window System やデスクトップ環境)や,ウのシェル(CUI)は,カーネルの上で動くソフトウェアで,カーネル自体には組み込まれていない。イの Web ブラウザや表計算ソフトなどのアプリケーションを含めて提供されるのは Linux ディストリビューションであり,カーネルではない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
図の論理回路において,S=1,R=1,X=0,Y=1 のとき,S を一旦 0 にした後,再び1に戻した。この操作を行った後の X,Y の値はどれか。
ア X=0,Y=0
イ X=0,Y=1
ウ X=1,Y=0 正解
エ X=1,Y=1
正解 ウ
解説
X=NOT(S・Y),Y=NOT(R・X) で動くラッチ回路である。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で,X=NOT(1・1)=0,Y=NOT(1・0)=1 と安定している。
S を 0 にすると X=NOT(0・Y)=1 になり,これを受けて Y=NOT(1・1)=0 に変わる。次に S を 1 に戻しても,Y=0 なので X=NOT(1・0)=1 のままで,Y=NOT(1・1)=0 も変わらない。操作後は X=1,Y=0 で,ウが正しい。S を一時的に 0 にすることで状態が反転し,戻した後もその状態が保持される(セット)。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
顧客に,英大文字 A〜Z の 26 種類を用いた顧客コードを割り当てたい。現在の顧客総数は 8,000 人であって,新規顧客が毎年2割ずつ増えていくものとする。3年後まで顧客全員にコードを割り当てられるようにするための,顧客コードの最も少ない桁数は幾つか。
正解 ア
解説
3年後の顧客数は 8,000×1.2×1.2×1.2=13,824 人になる。英大文字26種類を n 桁並べると 26n 通りのコードが作れる。
262 =676 では足りず,263 =17,576 なら 13,824 人全員に割り当てられるので,少なくとも3桁必要で,アが正しい。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
関係 R(A,B,C,D,E,F)において,関数従属 A→B,C→D,C→E,{A,C}→F が成立するとき,関係 R の候補キーはどれか。
正解 ウ
解説
候補キーは,その属性の組の値が決まれば関係の全ての属性の値が決まる,極小の属性の組である。A から B,C から D と E,{A,C} から F が決まるので,{A,C} が決まれば B,D,E,F の全てが決まる。
A だけでは C,D,E,F が,C だけでは A,B,F が決まらないので,ア,イは候補キーではない。エの {A,C,E} も全ての属性を決められるが,E を除いた {A,C} でも決まるので極小ではなく,候補キーではない(スーパーキー)。よってウが正しい。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
IP の上位階層のプロトコルとして,コネクションレスのデータグラム通信を実現し,信頼性のための確認応答や順序制御などの機能をもたないプロトコルはどれか。
正解 エ
解説
UDP は,トランスポート層で IP の上に位置し,コネクションを確立せずにデータグラムを送るプロトコルである。確認応答,再送,順序制御などの機能をもたない代わりに処理が軽く,リアルタイム性が求められる音声や動画,DNS の問合せなどに使われる。エが正しい。
ウの TCP はコネクション型で,確認応答や順序制御,再送制御によって信頼性を確保する。アの ICMP は IP の通信のエラー通知や診断(ping など)に使うネットワーク層のプロトコルで,データグラム通信を提供するものではない。イの PPP は2点間を接続するデータリンク層のプロトコルで,IP より下位にある。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
サブネットマスクが 255.255.252.0 のとき,IP アドレス 172.30.123.45 のホストが属するサブネットワークのアドレスはどれか。
ア 172.30.3.0
イ 172.30.120.0 正解
ウ 172.30.123.0
エ 172.30.252.0
正解 イ
解説
サブネットワークのアドレスは,IP アドレスとサブネットマスクのビットごとの論理積で求める。第3オクテットは 123=01111011,252=11111100 なので,論理積は 01111000=120。第4オクテットはマスクが 0 なので 0 になり,サブネットワークのアドレスは 172.30.120.0 となる。イが正しい。
ウの 172.30.123.0 は第3オクテットをそのまま残しており,サブネットマスクの 252 を適用していない。アとエは第3オクテットにマスクの値や別の値を当てはめたもので,論理積の結果とは異なる。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
SMTP-AUTH(SMTP Service Extension for Authentication)における認証の動作を説明したものはどれか。
ア SMTP サーバは,クライアントがアクセスしてきた場合に利用者認証を行い,認証が成功したとき電子メールを受け付ける。 正解
イ サーバは認証局のディジタル証明書をもち,クライアントから送信された認証局の署名付きクライアント証明書の妥当性を確認する。
ウ 電子メールを受信した際にパスワード認証が成功したクライアントの IP アドレスは,一定時間だけ SMTP サーバへの電子メールの送信が許可される。
エ パスワードを秘匿するために,パスワードからハッシュ値を計算して,その値で利用者が電子メールを受信する際の利用者認証を行う。
正解 ア
解説
SMTP-AUTH は,SMTP サーバが電子メールを送信しようとするクライアントに利用者 ID とパスワードなどによる利用者認証を求め,認証に成功した場合だけ電子メールの送信(受付)を許可する仕組みである。第三者による不正な中継や迷惑メールの送信を防ぐ。アが該当する。
イはクライアント証明書による認証(TLS のクライアント認証など)。ウは POP3 などで受信時にパスワード認証に成功したクライアントの IP アドレスに一定時間だけ送信を許す POP before SMTP。エは受信時のパスワードをハッシュ値にして送る APOP の説明である。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
企業の DMZ 上で1台の DNS サーバを,インターネット公開用と,社内の PC,サーバからの名前解決の問合せに対応する社内用とで共用している。この DNS サーバが,DNS キャッシュポイズニングの被害を受けた結果,直接引き起こされ得る現象はどれか。
ア DNS サーバのハードディスク上に定義されている DNS サーバ名が書き換わり,外部からの参照者が,DNS サーバに接続できなくなる。
イ DNS サーバのメモリ上にワームが常駐し,DNS 参照元に対して不正プログラムを送り込む。
ウ 社内の利用者が,インターネット上の特定の Web サーバを参照する場合に,本来とは異なる Web サーバに誘導される。 正解
エ 社内の利用者間の電子メールについて,宛先メールアドレスが書き換えられ,送受信ができなくなる。
正解 ウ
解説
DNS キャッシュポイズニングは,DNS サーバのキャッシュに偽の名前解決情報を注入する攻撃である。この DNS サーバは社内からの名前解決にも使われているので,キャッシュが汚染されると,社内の利用者がインターネット上の Web サーバを参照したときに偽の IP アドレスが返され,本来とは異なる Web サーバに誘導される。ウが正しい。
アのハードディスク上の定義の書換えや,イのメモリ上へのワームの常駐は,キャッシュに偽の情報を入れる攻撃では直接起きない。エの電子メールの宛先メールアドレスの書換えは,名前解決の結果とは関係がなく,社内の利用者間のメールの送受信にも直接の影響はない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
Web アプリケーションにおけるセキュリティ上の脅威と対策の適切な組合せはどれか。
ア OS コマンドインジェクションを防ぐために,Web アプリケーションが発行するセッション ID を推測困難なものにする。
イ SQL インジェクションを防ぐために,Web アプリケーション内でデータベースへの問合せを作成する際にバインド機構を使用する。 正解
ウ クロスサイトスクリプティングを防ぐために,外部から渡す入力データを Web サーバ内のファイル名として直接指定しない。
エ セッションハイジャックを防ぐために,Web アプリケーションからシェルを起動できないようにする。
正解 イ
解説
SQL インジェクションは,入力データに SQL の命令の一部を紛れ込ませ,意図しない SQL 文を実行させる攻撃である。バインド機構(プレースホルダ)を使えば,入力値は常に値として扱われ SQL 文の構造が変わらないので,有効な対策になる。イが適切である。
アのセッション ID を推測困難にするのはセッションハイジャックの対策。ウの入力データをファイル名として直接指定しないのはディレクトリトラバーサルの対策。エのシェルを起動できないようにするのは OS コマンドインジェクションの対策で,いずれも脅威と対策の組合せが入れ替わっている。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
無線 LAN を利用するとき,セキュリティ方式として WPA2 を選択することで利用される暗号化アルゴリズムはどれか。
正解 ア
解説
WPA2 は暗号化方式として CCMP を採用しており,その基盤となる暗号化アルゴリズムは AES である。
ウの RC4 は WEP や WPA の TKIP で使われたストリーム暗号で,WPA2 では使わない。イの ECC(楕円曲線暗号)とエの RSA はいずれも公開鍵暗号であり,無線 LAN のフレームの暗号化には用いない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
ブラックボックステストのテストデータの作成方法のうち,最も適切なものはどれか。
ア 稼働中のシステムから実データを無作為に抽出し,テストデータを作成する。
イ 機能仕様から同値クラスや限界値を識別し,テストデータを作成する。 正解
ウ 業務で発生するデータの発生頻度を分析し,テストデータを作成する。
エ プログラムの流れ図から,分岐条件に基づいたテストデータを作成する。
正解 イ
解説
ブラックボックステストは,プログラムの内部構造を考慮せず,仕様に基づいて入力と出力の関係を確かめるテストである。機能仕様から,同じ処理になる入力の範囲(同値クラス)や,その境目の値(限界値)を識別してテストデータを作るのが代表的な方法で,イが最も適切である。
エのプログラムの流れ図の分岐条件に基づくテストデータの作成は,内部構造に着目するホワイトボックステストの方法。アの実データの無作為抽出やウのデータの発生頻度の分析では,仕様の境界や例外条件を網羅的に確認できない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
組込み機器用のソフトウェアを開発委託する契約書に開発成果物の著作権の帰属先が記載されていない場合,委託元であるソフトウェア発注者に発生するおそれがある問題はどれか。ここで,ソフトウェアは委託先が全て自主開発するものとする。
ア 開発成果物を,委託元で開発する別のソフトウェアに適用できなくなる。 正解
イ ソースコードを公開することが義務付けられる。
ウ ソフトウェアをバイナリ形式でしか販売できなくなる。
エ ハードウェアと合わせて,アルゴリズムに関する特許を取得できなくなる。
正解 ア
解説
開発委託契約に著作権の帰属の定めがなければ,著作権はプログラムを作成した委託先に残る。委託元は契約の目的の範囲で成果物を利用できても,著作権をもたないので,別のソフトウェアに流用するなど,自由に複製や改変をして使うことができなくなるおそれがある。アが正しい。
イのソースコードの公開義務は,GPL などのライセンスのソフトウェアを組み込んだ場合に生じるもので,著作権の帰属の定めがないことからは生じない。ウの販売形式や,エのアルゴリズムの特許取得は,プログラムの著作権の帰属とは関係がない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
ソフトウェア開発プロジェクトで行う構成管理の対象項目として,適切なものはどれか。
ア 開発作業の進捗状況
イ 成果物に対するレビューの実施結果
ウ プログラムのバージョン 正解
エ プロジェクト組織の編成
正解 ウ
解説
ソフトウェア開発の構成管理は,プログラムのソースコードや設計書などの成果物(構成品目)を識別し,そのバージョンや変更履歴を管理して,どの時点の成果物の組合せが正しいかを把握できるようにする活動である。プログラムのバージョンが対象になるので,ウが適切である。
アの進捗状況は進捗管理(スケジュール管理),イのレビューの実施結果は品質管理,エのプロジェクト組織の編成は資源管理(体制管理)の対象である。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
工期を短縮させるために,クリティカルパス上の作業に“ファストトラッキング”技法を適用した対策はどれか。
ア 時間外勤務を実施する。
イ 生産性を高められる開発ツールを導入する。
ウ 全体の設計が完了する前に,仕様が固まっているモジュールの開発を開始する。 正解
エ 要員を追加投入する。
正解 ウ
解説
ファストトラッキングは,本来は順番に行う作業を並行して進めることで,期間を短縮する技法である。全体の設計が終わる前に,仕様が固まっているモジュールの開発を始めるウが該当する。手戻りが生じるリスクは高まる。
アの時間外勤務の実施とエの要員の追加投入は,資源を追加して作業期間を短縮するクラッシング。イの開発ツールの導入は作業の生産性を高める施策で,作業を並行させるものではない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
SLA に記載する内容として,適切なものはどれか。
ア サービス及びサービス目標を特定した,サービス提供者と顧客との間の合意事項 正解
イ サービス提供者が提供する全てのサービスの特徴,構成要素,料金
ウ サービスデスクなどの内部グループとサービス提供者との間の合意事項
エ 利用者から出された IT サービスに対する業務要件
正解 ア
解説
SLA(サービスレベル合意書)は,提供するサービスとサービス目標(可用性,応答時間など)を特定し,サービス提供者と顧客との間で合意した内容を文書にしたものである。アが適切である。
イのサービス提供者が提供する全てのサービスの特徴,構成要素,料金をまとめたものはサービスカタログ。ウのサービスデスクなどの内部グループとの合意事項は OLA(運用レベル合意書)。エの利用者から出されたサービスに対する業務要件は,SLA を取り決める前の要求事項である。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
目標復旧時点(RPO)を 24 時間に定めているのはどれか。
ア 業務アプリケーションをリリースするための中断時間は,24 時間以内とする。
イ 業務データの復旧は,障害発生時点から 24 時間以内に完了させる。
ウ 障害発生時点の 24 時間前の業務データの復旧を保証する。 正解
エ 中断した IT サービスを 24 時間以内に復旧させる。
正解 ウ
解説
目標復旧時点(RPO)は,障害が起きたときに,どの時点までさかのぼったデータを復旧するかの目標で,許容できるデータの損失の範囲を表す。RPO を24時間とするのは,障害発生時点の24時間前までの業務データを復旧できることを保証するウである。
イとエの,障害発生から24時間以内に復旧を完了させることは,復旧に掛かる時間の目標である目標復旧時間(RTO)。アのリリースのための中断時間は,計画停止時間の取決めであり,RPO ではない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
在庫管理システムを対象とするシステム監査において,当該システムに記録された在庫データの網羅性のチェックポイントとして,適切なものはどれか。
ア 設定された選定基準に従って,自動的に購入業者を選定していること
イ 適正在庫高であることを,責任者が承認していること
ウ 適正在庫量を維持するための発注点に達したときに,自動的に発注していること
エ 入庫及び出庫記録に対して,自動的に連番を付与していること 正解
正解 エ
解説
網羅性は,記録されるべき取引が漏れなく記録されているかという観点。入庫・出庫の記録に自動で連番を付与しておけば,番号の飛びを調べることで記録漏れを検出できるので,網羅性のチェックポイントになる。エが正しい。
アの購入業者の自動選定とウの発注点による自動発注は,業務処理の適切さや効率性に関する項目。イの適正在庫高の承認は,在庫の量が妥当かどうかの正確性・妥当性に関する項目で,記録の漏れを見るものではない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
IT 投資の評価手法のうち,バランススコアカードを用いた手法を説明したものはどれか。
ア IT 投資の効果を正味現在価値などのキャッシュフローを用いて評価することによって,他の投資案件との整合性を確保する。
イ IT 投資をその性質やリスクの共通性によってカテゴリに分類し,カテゴリ単位での投資割合を評価することによって,経営戦略と IT 投資の整合性を確保する。
ウ 財務,顧客,内部業務プロセスなど複数の視点ごとに業績評価の指標を設定し,経営戦略との適合性を評価することによって,IT 投資の効果を多面的に把握する。 正解
エ 初期投資の価値に加えて,後続のプロジェクトにおいて選択可能な収益やリスクの期待値を,金融市場で使われるオプション価格付け理論に基づいて評価する。
正解 ウ
解説
バランススコアカードは,財務,顧客,内部業務プロセス,学習と成長の四つの視点ごとに業績評価の指標を設定し,経営戦略との適合性を評価する手法である。IT 投資の評価に用いると,財務的な効果だけでなく多面的に投資効果を把握できる。ウが該当する。
アは NPV などのキャッシュフローで評価する財務的手法。イは投資を性質やリスクでカテゴリに分けて配分を評価する IT ポートフォリオ。エは後続の投資の選択の価値をオプション価格付け理論で評価するリアルオプションの説明である。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
SOA を説明したものはどれか。
ア 企業改革において既存の組織やビジネスルールを抜本的に見直し,業務フロー,管理機構,情報システムを再構築する手法のこと
イ 企業の経営資源を有効に活用して経営の効率を向上させるために,基幹業務を部門ごとではなく統合的に管理するための業務システムのこと
ウ 発注者と IT アウトソーシングサービス提供者との間で,サービスの品質について合意した文書のこと
エ ビジネスプロセスの構成要素とそれを支援する IT 基盤を,ソフトウェア部品であるサービスとして提供するシステムアーキテクチャのこと 正解
正解 エ
解説
SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務プロセスを構成する機能と,それを支える IT 基盤を,再利用可能なソフトウェア部品(サービス)として提供し,それらを組み合わせてシステムを構築するアーキテクチャである。エが該当する。
アは組織や業務のやり方を抜本的に見直す BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング),イは基幹業務を統合的に管理する ERP,ウは発注者とサービス提供者の間でサービスの品質を合意する SLA(サービスレベル合意書)の説明である。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
“情報システム・モデル取引・契約書”によれば,ユーザ(取得者)とベンダ(供給者)間で請負型の契約が適切であるとされるフェーズはどれか。
ア システム化計画フェーズから導入・受入支援フェーズまで
イ 要件定義フェーズから導入・受入支援フェーズまで
ウ 要件定義フェーズからシステム結合フェーズまで
エ システム内部設計フェーズからシステム結合フェーズまで 正解
正解 エ
解説
“情報システム・モデル取引・契約書”は,ユーザが主体となって進める工程には準委任型を,ベンダが成果物の完成に責任を負える工程には請負型の契約を適切としている。システム化計画と要件定義はユーザの業務や要望を固める工程なので準委任型,システム外部設計は準委任型又は請負型,システム内部設計からソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテスト,システム結合までは請負型,システムテストは準委任型又は請負型,導入・受入支援は準委任型とされる。請負型が適切とされるのはシステム内部設計からシステム結合までで,エが正しい。
ア,イ,ウは,いずれも準委任型が適切とされる要件定義や導入・受入支援などのフェーズを含んでいる。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
部品や資材の調達から製品の生産,流通,販売までの,企業間を含めたモノの流れを適切に計画・管理し,最適化して,リードタイムの短縮,在庫コストや流通コストの削減などを実現しようとする考え方はどれか。
正解 エ
解説
SCM(サプライチェーンマネジメント)は,部品や資材の調達から生産,流通,販売までの一連の流れを,企業の枠を越えて全体として計画・管理し最適化する考え方で,リードタイムの短縮や在庫・流通コストの削減を目指す。エが正しい。
アの CRM は顧客との関係を管理して顧客満足と収益を高める考え方。イの ERP は企業内の基幹業務を統合的に管理する仕組み。ウの MRP は製品の生産計画から必要な部品や資材の量と時期を算出する資材所要量計画で,いずれも企業間を含むモノの流れ全体の最適化ではない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
コア技術の事例として適切なものはどれか。
ア アライアンスを組んでインタフェースなどを策定し,共通で使うことを目的とした技術
イ 競合他社がまねできないような,自動車エンジンのアイドリングストップ技術 正解
ウ 競合他社と同じ CPU コアを採用し,ソフトウェアの移植性を生かす技術
エ 製品の早期開発,早期市場投入を目的として,汎用部品を組み合わせて開発する技術
正解 イ
解説
コア技術は,企業の競争力の源泉となる中核的な技術で,競合他社が簡単にまねできないものである。競合他社がまねできないような自動車エンジンのアイドリングストップ技術は,この条件に当てはまるので,イが適切である。
アの複数企業でアライアンスを組んで共通で使う技術や,ウの競合他社と同じ CPU コアを採用する技術は,他社も同じように使えるので差別化の源泉にならない。エの汎用部品を組み合わせる技術も,他社が同じ部品で容易に再現できる。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
CE(コンカレントエンジニアリング)を説明したものはどれか。
ア CAD で設計された図形データを基に,NC データを作成すること
イ 生産時点で収集した情報を基に問題を分析し,生産活動の効率の向上を図ること
ウ 製品の開発や生産に関係する情報の中身や表現形式を標準化すること
エ 製品の企画・設計・製造を同時並行処理し,全体のリードタイムを短縮すること 正解
正解 エ
解説
コンカレントエンジニアリング(CE)は,製品の企画,設計,製造などの工程を順番に進めるのではなく,関係する部門が協力して同時並行で進めることで,手戻りを減らし全体のリードタイムを短縮する手法である。エが該当する。
アの CAD の図形データから NC データを作成するのは CAM。イの生産時点で収集した情報を分析して生産活動の効率向上を図るのは POP(生産時点情報管理)。ウの製品の開発や生産に関係する情報の中身や表現形式を標準化するのは,STEP などの製品データ交換の標準化である。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
分析対象としている問題に数多くの要因が関係し,それらが相互に絡み合っているとき,原因と結果,目的と手段といった関係を追求していくことによって,因果関係を明らかにし,解決の糸口をつかむための図はどれか。
ア アローダイアグラム
イ パレート図
ウ マトリックス図
エ 連関図 正解
正解 エ
解説
連関図は,複雑に絡み合った原因と結果,目的と手段の関係を矢印でつないで図示し,因果関係を明らかにして問題解決の糸口をつかむための新 QC 七つ道具の一つである。エが正しい。
アのアローダイアグラムは作業の順序関係と日程を表す図,イのパレート図は項目を件数の多い順に並べて重点を見つける図,ウのマトリックス図は行と列に要素を並べて要素間の関連を表す図で,いずれも因果関係を追求するための図ではない。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
不正競争防止法において,営業秘密となる要件は,“秘密として管理されていること”,“事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること”と,もう一つはどれか。
ア 営業譲渡が可能なこと
イ 期間が10年を超えないこと
ウ 公然と知られていないこと 正解
エ 特許出願をしていること
正解 ウ
解説
不正競争防止法第2条第6項は,営業秘密を“秘密として管理されている生産方法,販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって,公然と知られていないもの”と定義している。秘密管理性,有用性,非公知性の三つが要件で,ウが正しい。
アの営業譲渡が可能なこと,イの期間が10年を超えないこと,エの特許出願をしていることは,いずれも要件ではない。特許出願をすると出願内容が公開されるので,むしろ非公知性を失うことになる。
出典:平成26年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
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