令和7年度 秋期 午前Ⅰ

令和7年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

コンピュータによる伝票処理システムがある。このシステムは,伝票データをためる待ち行列をもち,M/M/1 の待ち行列モデルが適用できるものとする。平均待ち時間が T 秒以上となるのは,システムの利用率が少なくとも何%以上となったときか。ここで,伝票データをためる待ち行列の特徴は次のとおりである。

正解 

解説

M/M/1 では平均待ち時間=平均処理時間×ρ/(1−ρ)(ρ は利用率)で表せる。1件の処理時間の平均が T 秒なので,平均待ち時間が T 秒以上になるのは ρ/(1−ρ)≧1 のとき。これを解くと ρ≧1−ρ,すなわち ρ≧0.5 となり,利用率50%以上。イが正しい。

利用率が50%のとき待ち時間はちょうど T と等しくなり,それを超えると待つ時間のほうが処理時間より長くなる。ウの67%では 0.67/0.33 で約2倍,エの80%では0.8/0.2 で4倍まで伸びる。アの33%では約0.5倍で T に届かない。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

AI における機械学習において,2クラス分類モデルの評価方法の一つである ROC 曲線で用いられる偽陽性率の説明として,最も適切なものはどれか。ここで,分類されるデータには正しいものと間違っているものが含まれるものとする。

正解 

解説

ROC 曲線は,横軸に偽陽性率,縦軸に真陽性率をとって分類モデルの性能を表す。“正しい”を陽性とすると,偽陽性率は,実際には“間違い”(陰性)であるデータのうち,誤って“正しい”(陽性)と予測したものの割合で,偽陽性の件数÷(偽陽性+真陰性の件数) で求める。イが該当する。

アは“間違い”と予測したデータを分母にしており,偽陽性率ではない(陰性と予測したものに含まれる見逃しの割合)。ウは実際に“間違い”のデータを正しく“間違い”と予測した割合で,特異度(真陰性率)に当たり,1 から引くと偽陽性率になる。エは全データに対する予測の誤りの割合で,誤分類率(1−正解率)である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

異なる n 個のデータが昇順に整列された表がある。この表を m 個のデータごとのブロックに分割し,各ブロックの最後尾のデータだけを線形探索することによって,目的のデータの存在するブロックを探し出す。次に,当該ブロック内を線形探索して目的のデータを探し出す。このときの平均比較回数を表す式はどれか。ここで,m は十分に大きく,n は m の倍数とし,目的のデータは必ず表の中に存在するものとする。

正解 

解説

表は n/m 個のブロックに分かれる。まず各ブロックの最後尾を先頭から線形探索するので,目的のブロックに着くまでの比較回数は平均で (n/m)/2=n/(2m) 回になる。次にそのブロック内の m 個を線形探索するので,平均 m/2 回の比較が加わる。

合計の平均比較回数は m/2+n/(2m) で,イが正しい。m が十分に大きいので,線形探索の平均回数を (個数+1)/2 ではなく 個数/2 で近似している。アとウはブロック内・ブロック間の探索を平均でなく全件の回数で数えたもの,エはブロック内の探索を数えていない。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

問4

プロセッサの高速化技法の一つとして,同時に実行可能な複数の動作を,コンパイルの段階でまとめて一つの複合命令とし,高速化を図る方式はどれか。

正解 

解説

VLIW(Very Long Instruction Word)は,同時に実行できる複数の命令をコンパイラが解析し,一つの長い複合命令にまとめておく方式。並列に実行できるかどうかの判断を実行時ではなくコンパイル時に済ませるので,プロセッサの制御回路を単純にしたまま並列実行による高速化を図れる。エが該当する。

アの CISC は複雑で多機能な命令を多数備えるアーキテクチャ,ウの RISC は命令を単純な固定長のものに絞り,パイプライン処理で高速化するアーキテクチャで,いずれも命令をコンパイル時にまとめる方式ではない。イの MIMD は複数のプロセッサがそれぞれ別の命令を別のデータに対して実行する並列処理の分類(フリンの分類)である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

キャパシティプランニングの目的の一つに関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

正解 

解説

キャパシティプランニングは,将来の業務量の増加を見込んで必要な資源をあらかじめ計画する活動。現在の応答時間を把握して長期的に監視し,将来にわたって必要な性能を保てるようにするのが目的の一つになる。イが正しい。

アのボトルネックだけに着目した変更や,ウのチューニングによるスループット向上は,いま起きている性能問題を改善する活動であって,先を見越した計画ではない。エは「パフォーマンスの問題はリソースの過剰使用によって発生する」と原因を一つに決めつけており,キャパシティプランニングの目的の説明としては適切でない。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

4ブロックのキャッシュメモリ C0〜C3 が表に示す状態である。ここで,新たに別のブロックの内容をキャッシュメモリにロードする必要が生じたとき,C2 のブロックを置換の対象とするアルゴリズムはどれか。

キャッシュメモリの状態の表。列はキャッシュメモリ,ロード時刻(分:秒),最終参照時刻(分:秒),参照回数。C0 はロード時刻 0:00,最終参照時刻 0:08,参照回数 10。C1 は 0:03,0:06,1。C2 は 0:04,0:05,3。C3 は 0:05,0:10,5。

正解 

解説

C2 のブロックに当てはまる特徴を表から探す。最終参照時刻が 0:05 で4ブロックの中で最も古いので,最も長い間参照されていないブロックを置き換える LRU(Least Recently Used)なら C2 が対象になる。エが正しい。

アの FIFO は最も早くロードされたブロックを置き換えるので,ロード時刻 0:00 の C0 が対象。イの LFU は参照回数が最も少ないブロックを置き換えるので,参照回数1の C1 が対象。ウの LIFO は最も新しくロードされたブロックを置き換えるので,ロード時刻 0:05 の C3 が対象となる。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

問7

組込みシステムのプログラムで,放された状態では 0 になり,押された状態では 1 になるスイッチの値を読み込んでいる。このプログラムによって,スイッチの値は周期的に適切なタイミングで読み込まれ,チャタリング処理などの適切な処理が行われるものとし,a が今回の値で,b が前回の値とする。このスイッチが放された状態から押された状態に変化したことを検出するための論理式はどれか。ここで,“・”は論理積,“+”は論理和,“ ̄”は論理否定を表す。

正解 

解説

放された状態から押された状態への変化は,前回の値 b が 0 で,今回の値 a が 1 のときである。b が 0 のとき b̄ が 1 になるので,a と b̄ の論理積 a・b̄ はこのときだけ 1 になる。アが正しい。

イの ā・b は前回 1・今回 0 のときに 1 になり,押された状態から放された状態への変化を検出する。ウの a+b̄ とエの ā+b は論理和なので,変化がなくても 1 になる場合がある。例えば a+b̄ は押し続けている(a=1,b=1)ときや放し続けている(a=0,b=0)ときにも 1 になる。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

BASE 特性を満たし,次の特徴をもつ NoSQL データベースシステムに関する記述のうち,適切なものはどれか。

〔NoSQL データベースシステムの特徴〕

正解 

解説

BASE は,Basically Available(基本的に可用),Soft state(状態は厳密でなくてよい),Eventually consistent(結果整合性)の頭文字で,分散した NoSQL データベースが整合性より可用性を優先するときの特性を表す。更新はすぐに全ノードへそろわなくても,障害がなければいずれ全ノードに反映されればよいとする結果整合性の考え方で,イが該当する。

アの2相コミットで全ノードに同時に反映するのは,ACID 特性を満たす強い整合性の仕組みである。ウの,どのノードも常に同じ結果を返すのも強い整合性で,結果整合性では更新の反映途中にノードごとに異なる結果を返すことがある。エのように分断時に要求を受け付けなくするのは可用性を犠牲にして整合性を守る動作で,可用性を優先する BASE とは逆である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

関係データベースのビューに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

ビューは CREATE VIEW ビュー名(列名, …) AS SELECT … のように列名を指定したり,SELECT 句で別名を付けたりして,基の表とは異なる列名で定義できる。アが適切である。

イは誤り。WHERE 句で条件を指定すれば,行を抜き出すビューも定義できる。ウは誤り。結合で定義したビューは,更新が基の表のどの行に対応するかを一意に決められない場合があり,結合の仕方などによって更新できないことがある。エは誤り。和両立(列の数と各列のドメインが対応する)な二つの表なら,UNION を使った和集合のビューを定義できる。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

問10

100M ビット/秒の LAN と 1G ビット/秒の LAN がある。ヘッダーを含めて 1,250 バイトのパケットを N 個送信するときに,100M ビット/秒の LAN の送信時間が 1G ビット/秒の LAN より9ミリ秒多く掛かった。N は幾らか。ここで,いずれの LAN においても,パケットの送信間隔(パケットの送信が完了してから次のパケットを送信開始するまでの時間)は1ミリ秒であり,パケット送信間隔も送信時間に含める。

正解 

解説

1,250 バイトは 1,250×8=10,000 ビット。1パケットの送信に掛かる時間は,100M ビット/秒の LAN で 10,000÷(100×106)=0.1 ミリ秒,1G ビット/秒の LAN で 10,000÷109=0.01 ミリ秒であり,1パケット当たり 0.09 ミリ秒の差がある。

パケットの送信間隔はどちらの LAN も1ミリ秒で同じなので,送信時間の差には影響しない。差の合計が9ミリ秒なので,N=9÷0.09=100 となり,ウが正しい。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

問11

リバースプロキシの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

リバースプロキシは,インターネット側からの要求をいったん受け付け,内部ネットワークにある公開 Web サーバへ中継する。Web サーバを直接インターネットにさらさずに済み,負荷分散や TLS 処理の肩代わり,キャッシュなどにも使われる。アが該当する。

イは通信を監視して攻撃を検知する IDS(侵入検知システム),ウはインターネットなどの上に仮想的な専用回線を作る VPN の説明。エは内部の PC からインターネットへの通信を中継する,通常の(フォワード)プロキシの説明である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

問12

サイバー攻撃の攻撃段階をモデル化したサイバーキルチェーンにおいて,“エクスプロイト”に該当する行為はどれか。

正解 

解説

サイバーキルチェーンは,標的型攻撃の段階を“偵察”,“武器化”,“デリバリ”,“エクスプロイト”,“インストール”,“コマンドとコントロール(C&C)”,“目的の実行”の七つに分けたモデル。エクスプロイトは,届いた攻撃コードが標的の脆弱性を突いて実行される段階で,OS の脆弱性を悪用して攻撃ツールを実行させるイが該当する。

アは標的の情報を集める“偵察”,ウは秘密情報を窃取して外部に送る“目的の実行”,エはマルウェアを添付した電子メールで攻撃コードを送り届ける“デリバリ”の段階である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

問13

デジタル署名が付与されたソフトウェアをインストールするときに,そのソフトウェアの発行元を確認するために使用する証明書はどれか。

正解 

解説

コードサイニング証明書は,ソフトウェアやドライバに署名して,配布元が正当であることと,配布後に改ざんされていないことを利用者が検証できるようにするための証明書。

アの EV SSL 証明書とエのサーバ証明書は Web サーバの身元を証明するもの,イのクライアント証明書は利用者や端末を認証するためのもの。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

問14

JIS Q 27000:2019(情報セキュリティマネジメントシステム−用語)における真正性及び信頼性に対する定義 a〜d の組みのうち,適切なものはどれか。

〔定義〕

正解 

解説

JIS Q 27000:2019 は,真正性を“エンティティは,それが主張するとおりのものであるという特性”(b),信頼性を“意図する行動と結果とが一貫しているという特性”(a)と定義している。よって真正性 b,信頼性 a のアが適切である。

残りの定義のうち,c の“認可されたエンティティが要求したときに,アクセス及び使用が可能であるという特性”は可用性,d の“認可されていない個人,エンティティ又はプロセスに対して,情報を使用させず,また,開示しないという特性”は機密性の定義である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

電子メールの送信時に,送信側メールサーバでデジタル署名を電子メールヘッダーに付与し,受信側メールサーバでそれを検証することで,送信元ドメインのなりすましや電子メールの改ざんを検知できる技術はどれか。

正解 

解説

DKIM(DomainKeys Identified Mail)は,送信側のメールサーバが電子メールにデジタル署名を付けて DKIM-Signature ヘッダーに入れ,受信側のメールサーバが DNS で公開された送信ドメインの公開鍵を使って署名を検証する仕組み。送信元ドメインのなりすましと,途中での改ざんを検知できる。アが該当する。

イの OP25B は,ISP が動的 IP アドレスの利用者から外部の 25 番ポートへの接続を遮断し,迷惑メールの直接送信を防ぐ対策。ウの S/MIME は送信者のメールソフトなどで本文に署名や暗号化を施すもので,メールサーバがヘッダーに署名を付ける技術ではない。エの SPF は,送信元ドメインが DNS に登録した送信サーバの IP アドレスと,実際に送ってきたサーバの IP アドレスを照合する仕組みで,デジタル署名は使わず,本文の改ざんも検知できない。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

問16

UML のダイアグラムのうち,インスタンス間の関係を表現するものはどれか。

正解 

解説

オブジェクト図は,ある時点で存在するインスタンス(オブジェクト)と,インスタンス同士のつながり(リンク)を表す UML のダイアグラムで,クラス図の具体例を示すのに使う。イが該当する。

アのアクティビティ図は処理や業務の流れ,ウのコンポーネント図はソフトウェアを構成する部品とそのインタフェースや依存関係,エのユースケース図はアクターとシステムが提供する機能(ユースケース)の関係を表すダイアグラムである。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

委託元への著作権の移転に関する条項を含むソフトウェア開発委託契約書に,“委託先は著作者人格権を行使しない”という記載があった。これはどのような問題の発生を防ぐためのものか。

正解 

解説

著作者人格権(公表権,氏名表示権,同一性保持権)は著作者の一身に専属し,譲渡できない(著作権法第59条)。そのため,契約で著作権を委託元に移転しても,著作者人格権は委託先に残る。委託先が同一性保持権を行使すれば,委託元がソフトウェアを改変することに異議を唱えられるので,委託元が自社で修正したり他社に修正を依頼したりできなくなるおそれがある。これを防ぐために“行使しない”と定めるので,エが正しい。

アの技術者倫理上の責任,イの開発者の雇用,ウの不具合に対する金銭的補償(契約不適合責任など)は,いずれも著作者人格権とは関係がなく,この条項で防ぐ問題ではない。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

チームの発展段階を五つに区分したタックマンモデルによれば,メンバーの異なる考え方や価値観が明確になり,メンバーがそれぞれの意見を主張し合う段階はどれか。

正解 

解説

タックマンモデルは,チームが成立期(Forming)→ 動乱期(Storming)→ 安定期(Norming)→ 遂行期(Performing)→ 散会期(Adjourning)の順に発展すると考える。メンバーの考え方や価値観の違いが表に出て,互いに意見を主張し合い衝突が起きるのは動乱期で,エが正しい。

ウの成立期はメンバーが集まったばかりで互いに様子を見ている段階。アの安定期は衝突を経てチームの規範や役割が固まる段階。イの遂行期はチームが成熟して高い成果を出す段階である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

問19

あるプロジェクトは4月から9月までの6か月間で開発を進めており,現在のメンバー全員が9月末まで作業すれば完了する見込みである。しかし,他のプロジェクトで発生した緊急の案件に対応するために,8月初めから,4人のメンバーがプロジェクトから外れることになった。9月末に予定どおり開発を完了させるために,7月の半ばからメンバーを増員する。条件に従うとき,人件費は何万円増加するか。

〔条件〕

正解 

解説

開発を予定どおり終えるには,外れる4人が8・9月に行うはずだった作業 4人×2か月=8人月に加え,引継ぎで元のメンバ4人が作業できない0.5か月分 4人×0.5か月=2人月も取り戻す必要がある。合わせて10人月の作業を8・9月の2か月で行うので,増員するメンバは 10÷2=5人。この5人は7月後半の引継ぎから9月末まで2.5か月在籍するので,人件費は 5人×2.5か月=12.5人月で1,250万円になる。

一方,外れる4人の8・9月分 4人×2か月=8人月,800万円はこのプロジェクトに計上しなくなる。増加額は 1,250−800=450万円で,ウが正しい。引継ぎ期間中に元のメンバの作業が止まる分を見落とすと,増員は4人で 4×2.5=10人月,増加額は200万円(ア)と誤る。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

サービスマネジメントにおける問題管理の活動はどれか。

正解 

解説

問題管理は,インシデントの根本原因を特定し,再発を防ぐための恒久的な解決策を見いだすプロセスである。根本原因が分かるまでの暫定的な回避策(ワークアラウンド)の記録も含まれる。アが該当する。

イのサービス要求の優先度付けはインシデント及びサービス要求管理,ウの変更要求の記録は変更管理,エのリリースの検証はリリース及び展開管理の活動である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

問21

システム監査基準(令和5年)において,システム監査で使用される用語の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

システム監査基準(令和5年)の用語の定義では,独立性を“第三者から不当な影響や圧力等を受けていない状態を指し,精神的独立性と外観的独立性から構成される”としている。エが適切である。

アは再現性の定義。所見は“監査で発見したこと,又は発見したことに基づく考えや意見”を指し,ウの説明が所見に当たる。イは精神的独立性の定義で,正当な懐疑心は“何事をも当然のこととせず,疑ってみる,又は確認してみる心”をいう。正当な注意は“監査の実施過程で監査人として当然払うべき注意”である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

問22

システム監査基準(令和5年)に従い,監査目的に基づいて,ガバナンス,マネジメント,コントロールの視点から検証・評価を行う。“コントロールの視点”から行う項目はどれか。

正解 

解説

システム監査基準(令和5年)は,コントロールの視点での監査を,業務プロセス等においてリスクに応じたコントロールが適切に組み込まれ機能しているかを確かめるものとし,例として“異常なアクセスを検出した際に適時に対処及び報告がなされているかどうか”を挙げている。イが該当する。

アの IT 投資の結果が適切なリターンを生んでいるか,エの新技術や技術革新を経営戦略推進のために適時適切に利活用できているかは,ガバナンスの視点の例。ウの情報セキュリティ対策が PDCA サイクルに基づいて適切に管理されているかは,マネジメントの視点の例として示されている。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

問23

事業目標達成のためのプログラムマネジメントの考え方として,適切なものはどれか。

正解 

解説

プログラムマネジメントは,事業目標の達成という共通の目的に向けて,互いに関連する複数のプロジェクトをまとめて管理する考え方。個々のプロジェクトの成果を足し合わせるだけでなく,プロジェクト間の連携や統合,相互作用を通じて全体の価値を高め,組織の戦略を実現する。アが適切である。

イは個々のプロジェクト管理を細かくする話で,複数のプロジェクトを束ねる視点がない。ウは一つのシステム開発の技術選定によるリスク低減の話。エはプロジェクトマネジメントを組織的に支援する PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の説明である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

問24

SOA の説明はどれか。

正解 

解説

SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務システムの機能を利用者から見た意味のある単位(サービス)に分割し,それらを組み合わせてシステムを構築する考え方。業務プロセスの変更に合わせてサービスを組み替えやすく,他システムとの連携も容易になる。

アは ERP,イはフィット&ギャップ分析,ウは BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の説明。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

投資の意思決定手法の一つである PBP 法に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 

解説

PBP(Payback Period)法は,投資額を毎年のキャッシュフローで回収するまでの期間を求め,期間が短い投資ほど有利と評価する手法である。ウが適切である。

アは誤り。PBP 法は各年のキャッシュフローを割り引かずにそのまま足すので,時間的価値を考慮しない(割り引く方法は割引回収期間法と呼んで区別する)。イは誤り。回収が済んだ後のキャッシュフローは評価に含まれない。エは誤り。割引率を用いるのは NPV(正味現在価値)法や IRR(内部収益率)法で,PBP 法は割引率を用いない。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

バランススコアカードで使われる戦略マップの説明はどれか。

正解 

解説

戦略マップは,バランススコアカードの四つの視点(財務,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長)に課題・施策・目標を配置し,それらの因果関係を矢印でつないで一枚に表したもの。下位の視点の取組みが上位の成果につながる筋道を可視化する。

アはポジショニングマップ,ウはビジネススクリーン,エはドメインの定義に関する説明。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

図のアンゾフの成長マトリクスのうち,市場浸透戦略の例として,適切なものはどれか。

アンゾフの成長マトリクス。横軸は製品(既存・新規),縦軸は市場(既存・新規)。既存市場×既存製品は市場浸透戦略,既存市場×新規製品は新製品開発戦略,新規市場×既存製品は新市場開拓戦略,新規市場×新規製品は多角化戦略。

正解 

解説

アンゾフの成長マトリクスで,市場浸透戦略は既存の市場に既存の製品を投入し,販売量やシェアを伸ばす戦略である。すでに販売している地域で,同じ商品を特別価格によって知名度を上げてより多くの住民に売るイが該当する。

アは既存のユーザー(既存市場)に上位機種という新しい製品を売るので新製品開発戦略。ウは長年の商品(既存製品)を他の地方という新しい市場で売るので新市場開拓戦略。エは販売実績のない国(新規市場)に一から開発した製品(新規製品)を売るので多角化戦略である。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

生産事業所のシステムを,生産計画などの計画層,各指示や工程管理・製造管理などの実行層,機械・機器の制御を行う制御層の三つの層に大きく分けたとき,MES が運用される層はどれか。

正解 

解説

MES(Manufacturing Execution System,製造実行システム)は,生産計画に基づいて現場に作業を指示し,工程の進捗や品質,設備の稼働状況などを管理・記録するシステム。計画と機器制御の間をつなぐ実行層で運用されるので,イが正しい。

計画層では ERP(統合基幹業務システム)などが生産計画や資材所要量を扱い,制御層では PLC(プログラマブルロジックコントローラ)などが機械や機器を直接制御する。MES は三つの層のすべてにまたがるものではないので,エも誤り。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

表のような製品 A,B を製造,販売する場合,考えられる利益は最大で何円になるか。ここで,機械の年間使用可能時間は延べ 15,000 時間とし,年間の固定費は製品 A,B に関係なく 15,000,000 円とする。

製品の表。列は製品,販売単価,変動費,製造時間。製品 A は販売単価 30,000 円,変動費 18,000 円/個,製造時間 8 時間/個。製品 B は販売単価 25,000 円,変動費 10,000 円/個,製造時間 12 時間/個。

正解 

解説

製造時間の上限 15,000 時間を,どちらの製品に使えば利益が最大になるかを考える。1個当たりの限界利益(販売単価−変動費)は A が 12,000 円,B が 15,000 円で,製造時間1時間当たりに直すと A が 12,000÷8=1,500 円,B が 15,000÷12=1,250 円となり,A のほうが大きい。

販売数量に制約はないので,全ての時間を A に使う。15,000÷8=1,875 個を製造し,限界利益は 1,875×12,000=22,500,000 円。固定費 15,000,000 円を引いた利益は 7,500,000 円で,イが正しい。1個当たりの限界利益だけで B を選ぶと,15,000÷12=1,250 個で 1,250×15,000−15,000,000=3,750,000 円(ア)となる。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

意匠法において,保護の対象となり得るものはどれか。

正解 

解説

意匠法第2条第1項は,意匠を物品の形状等,建築物の形状等,又は“画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り…)”であって,視覚を通じて美感を起こさせるものと定義している。機器の操作に使う画面である GUI の画像は保護の対象となり得るので,アが該当する。

イのアルゴリズム,ウの通信プロトコル,エのビジネスモデルは,いずれも視覚を通じて美感を起こさせる形ではなく,意匠には当たらない。アルゴリズムや通信プロトコルは著作権法でも保護されない(第10条第3項は,プログラムの著作物に対する保護が解法や規約に及ばないと定める)。ソフトウェアによる処理やビジネスの仕組みは,要件を満たせば特許で保護される可能性がある。

出典:令和7年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)