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ITサービスマネージャ試験

令和6年度 春期 科目A-2(午前Ⅱ)

令和6年度 春期に実施されたITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:ITサービスマネージャ試験について

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問1

JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,サービスマネジメントシステム(SMS)の支援に関する要求事項のうち,“意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力”に関するものはどれか。

正解 エ

解説

“意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力”は JIS Q 20000-1:2020 における“力量”の定義。7.2(力量)は,適切な教育,訓練又は経験に基づいて,SMS 及びサービスのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務を組織の管理下で行う人々が力量を備えていることを確実にするよう要求している。

アは 7.1(資源),イは 7.6(知識),ウは 7.3(認識)の要求事項であり,いずれも力量そのものではない。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問2

サービスマネジメントにおける“サービス継続管理”の活動において,組織は,サービス継続計画を作成し,実施し,維持しなければならない。“サービス継続の発動の基準及び責任”や“重大なサービスの停止の場合に実施する手順”と同様に,サービス継続計画に含めなければならない事項はどれか。

正解 エ

解説

サービス継続計画には,発動の基準及び責任,重大なサービス停止時に実施する手順とあわせて,平常業務の状態に復帰するための手順を含めなければならない。復旧して終わりではなく,通常運用に戻すところまでを計画に含める点が要点。

アは変更管理で定める“重大な変更”の判断基準,イは容量・能力管理の計画に含める内容,ウは構成管理やサービスの設計で扱う依存関係であり,いずれもサービス継続計画に必須の事項として規定されているものではない。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

サービスマネジメントの“事業関係管理”において,サービス提供者が実施すべき活動はどれか。

正解 イ

解説

JIS Q 20000-1:2020 の 8.3.2(事業関係管理)は,サービスの顧客,利用者及び他の利害関係者を特定して文書化し,顧客及び他の利害関係者とのコミュニケーションのための取決めを確立することを要求している。顧客との関係を築いて維持することが,この活動の目的。

アは供給者管理(外部供給者との契約),ウとエはサービスレベル管理(SLA や合意文書の作成)の活動。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

用語解説:SLA(サービスレベル合意書)

問4

ITIL4 の可用性管理プラクティスにおいて,障害発生後のサービスの回復の速さを測定する指標はどれか。

正解 イ

解説

MTRS(Mean Time to Restore Service,平均サービス回復時間)は,サービスが停止してから回復するまでに要した時間の平均で,回復の速さを表す指標。

アの MTBF(平均故障間隔)とエの平均サービス・インシデント間隔は障害の起こりにくさ(信頼性)を表す。ウの合計ダウンタイムは停止していた時間の総量であり,1回あたりの回復の速さは表さない。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

用語解説:稼働率(MTBF・MTTR)

問5

JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)によれば,内部監査の要求事項のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

9.2(内部監査)は,各監査について監査の基準及び監査範囲を明確にすることを要求している。何を基準に,どこまでを対象として監査するのかを毎回定める。

イは誤り。内部監査はあらかじめ定めた間隔で計画的に実施する。ウは誤り。監査の客観性・公平性を確保するため,監査員は自らの業務を監査してはならない。エは誤り。監査プログラムの計画では,前回までの監査の結果も考慮しなければならない。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問6

サービス提供時間帯が毎日0時から24時の IT サービスにおいて,ある年の4月1日0時から6月30日24時までのサービス停止状況は表のとおりであった。システムバージョンアップ作業に伴う停止時間は,計画停止時間として顧客との間で合意されている。4月1日から6月30日までの IT サービスのサービス可用性は何%か。ここで,サービス可用性(%)は小数第3位を四捨五入するものとする。

〔サービス停止状況〕の表。システムバージョンアップ作業に伴う停止は5月2日22時から5月6日10時までの84時間。ハードウェア故障に伴う停止は6月26日10時から20時までの10時間。

正解 ウ

解説

4月1日から6月30日までは 30+31+30=91日。毎日0時から24時が提供時間帯なので,合計は 91×24=2,184時間。システムバージョンアップ作業の84時間は,サービス提供時間に含めない計画停止として顧客と合意しているので,分母から除く。分母は 2,184−84=2,100時間,実際の停止はハードウェア故障の10時間だけなので,可用性は (2,100−10)÷2,100=2,090÷2,100=0.99523…,すなわち 99.52% でウになる。

イの 95.70 は,バージョンアップの84時間を除かずに分母を 2,184時間とし,停止時間に含めて計算した値(2,090÷2,184=0.95696…)である。アの 95.52 は,分母から84時間を除いたうえで停止時間にも84時間を数えた値((2,100−94)÷2,100=0.95523…)である。

合意した計画停止を除いた可用性 4月1日〜6月30日は91日で 91×24=2,184時間。バージョンアップの84時間は計画停止として合意しているので分母から除き,2,100時間。実際の停止はハードウェア故障の10時間だけで,(2,100−10)÷2,100≒99.52%。 91日 × 24時間 = 2,184 時間(帯の長さは目安) 提供すべき 2,100 時間 停止 10 計画停止 84 止まった(数える) 提供時間に含めない(分母から除く) 故障の停止 10 時間だけを数える (2,100 − 10) ÷ 2,100 ≒ 99.52% 84 時間を分母に残すと 95.70%,停止にも数えると 95.52%(誤り)
計画停止は分母から除き,停止にも数えない

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

総所有費用(TCO)の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

TCO(Total Cost of Ownership,総所有費用)は,システムの導入から廃棄までのライフサイクル全体で発生する費用の総額。ハードウェア・ソフトウェアの購入や導入といったイニシャルコストだけでなく,運用,保守,サポート,利用者教育,廃棄までのランニングコストを含める。

アとウは導入までの費用しか含んでおらず,エは費目の一部にすぎない。いずれもライフサイクル全体を対象としていない。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

サービスデスクに WFM(Work Force Management)システムを導入する目的として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

WFM(Work Force Management)は,業務量を予測して必要な要員数を算出し,勤務スケジュールを最適に組むための仕組み。サービスデスクでは問合せ件数の実績から今後の件数を予測し,シフトを自動作成する目的で導入する。

アはオートコール(プレディクティブダイヤリング),イは CRM の活用,エは IVR(音声自動応答)の説明。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

運用サービスを提供するデータセンターにおいて,サーバに仮想化技術を用いることによって得られる利点のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

サーバの仮想化では,仮想サーバを稼働させたまま別の物理サーバへ移すライブマイグレーションが使える。少数の物理サーバに集約して消費電力を減らす際も,移行のためにサービスを止めなくてよい。

アは誤り。ピークが重ならないよう集約しても,物理資源を共有する以上,現状の応答時間を保証できるとは限らない。イは誤り。仮想環境でもライセンス条件(CPU コア数など)の確認は必要。エは誤り。分散処理システムの処理能力は複数の物理サーバに分散させてこそ評価できるもので,1台の物理サーバ上に構築しても検証にならない。

ライブマイグレーション 仮想サーバを動かしたまま,OS やソフトウェアを止めずに,別の物理サーバへ移す。物理サーバの保守や負荷の偏りを直すとき,夜間に少数の物理サーバへ集めて電源を切るときにも,サービスを止めなくてよい。 物理サーバ1 物理サーバ2 仮想サーバ 動いたまま 仮想サーバ 動いたまま 仮想サーバ 移す 保守・負荷分散・夜間の集約(省電力)でも止めずに済む
サービスを止めずに,仮想サーバを別の物理サーバへ

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

災害時における復旧対策の説明のうち,ウォームサイトのものはどれか。

正解 ウ

解説

ウォームサイトは,設備を備えた拠点に本番環境とほぼ同じシステムを非稼働状態で待機させておき,災害時にそれを起動して復旧する方式。機器はあるが動いていない点が,常時稼働のホットサイトとの違い。

イは切替えるだけで復旧できるホットサイト,エは場所だけ確保しておき機器は災害後に持ち込むコールドサイトの説明。アは代替手作業による業務継続であり,バックアップサイトの分類ではない。

ホット・ウォーム・コールドスタンバイ ホットスタンバイは別の場所のシステムを常に動かしてデータを同期し,すぐに切り替える。ウォームスタンバイは機器を用意しておくが動かしてはおらず,緊急時に起動してデータを最新にしてから回復する。コールドスタンバイは場所(と電源など)だけを用意し,機器は災害後に持ち込んで立ち上げる。 方式 待機の状態 切替え 費用 ホット 常に稼働・同期 すぐ 高い ウォーム 機器はあるが止めている 起動して最新にする 中 コールド 場所だけ(機器は後から) 持ち込んで立ち上げる 安い 相互援助協定:同じようなシステムの組織どうしで助け合う
常に動かす・用意だけして起動する・場所だけ

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

用語解説:BCP(事業継続計画・RTO・RPO)

問11

基幹業務システムの構築及び運用において,データ管理者(DA)とデータベース管理者(DBA)を別々に任命した場合の DA の役割として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

DA(データ管理者)は,組織全体のデータを資源として捉え,データ項目の標準化や論理データベース設計といった“データそのもの”の管理を担う。

ア・ウ・エはいずれも DBA(データベース管理者)の役割で,容量の管理,性能チューニング,障害時の復旧など,DBMS の運用に関わる業務。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

データセンターの施設効率を測る定量指標である,PUE(Power Usage Effectiveness)の計算式はどれか。

正解 エ

解説

PUE は,データセンター全体で消費した電力を IT 機器が消費した電力で割った値。IT 機器以外(空調や電源設備など)にどれだけ余分に電力を使っているかを表し,1.0 に近いほど施設効率が良い。

アは PUE の逆数で,DCiE と呼ばれる指標。イは床面積当たりの電力,ウは消費電力当たりの処理量であり,いずれも PUE の式ではない。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

用語解説:ISO 14001(環境マネジメントシステム)と環境の規制

問13

空調計画における冷房負荷には,“外気負荷”,“室内負荷”,“伝熱負荷”,“日射負荷”などがある。冷房負荷の軽減策のうち,“伝熱負荷”の軽減策として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

伝熱負荷は,外気と室内の温度差によって,屋根・壁・床・窓などの建物の構造体を通して伝わってくる熱による負荷である。屋根や壁面の断熱をしっかり施して熱の伝わりを抑えるのが直接の軽減策になる。エが正しい。

アは室内の機器の発熱による室内負荷,イは外気の出入りによる外気負荷,ウは窓から差し込む日射による日射負荷の軽減策。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

システム監査基準(令和5年)におけるシステム監査基準の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

システム監査基準は,システム監査が効果的かつ効率的に行われるよう,システム監査のあるべき体制や実施方法などを示した実践規範。監査を「どう行うか」を定めたものである。

ウとエは,監査人が点検・評価の尺度として用いるシステム管理基準の説明。イは監査人の専門能力に関する記述であり,システム監査基準そのものの説明ではない。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問15

デジタル署名のあるソフトウェアをインストールするときに,そのソフトウェアの発行元を確認するために使用する証明書はどれか。

正解 ウ

解説

コードサイニング証明書は,ソフトウェアの開発元又は発行元が署名するために使う証明書。導入前に署名を検証することで,作成者が誰であるかと,配布の途中で改ざんされていないことを確認できる。

アの EV SSL 証明書とエのサーバ証明書は Web サーバの正当性を確認するもの,イのクライアント証明書は利用者や端末を認証するもので,いずれもソフトウェアの発行元の確認には使わない。

コードサイニング証明書 ソフトウェアの発行元は,自分の秘密鍵でソフトウェアに署名し,コードサイニング証明書を付けて配る。利用者はインストールの前に,証明書の公開鍵で署名を検証し,誰が作ったかと,配る途中で改ざんされていないかを確かめる。サーバ証明書や EV SSL 証明書は Web サーバを,クライアント証明書は利用者を確かめるもの。 発行元 秘密鍵で署名 ソフトウェア +署名+証明書 利用者 証明書で検証 分かること:作ったのは誰か,改ざんされていないか サーバ証明書は Web サーバ,クライアント証明書は利用者を確かめる
署名で発行元と改ざんの有無を確かめる

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

用語解説:ディジタル署名(デジタル署名) TLS(SSL)

問16

JIS Q 27000:2019(情報セキュリティマネジメントシステム-用語)における用語の定義として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

リスク評価は,リスク分析の結果をリスク基準と比較して,リスクやその大きさが受容可能・許容可能かどうかを決定するプロセス。ウがその定義そのもの。

アはリスク所有者の定義(トップマネジメントは組織を指揮・管理する人又は集団)。イはリスク対応の定義。エはリスク特定の定義(リスク分析はリスクの性質を理解し,リスクレベルを決定するプロセス)。リスクアセスメントは,リスク特定・リスク分析・リスク評価を合わせたプロセス全体を指す。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 27000 シリーズ(情報セキュリティマネジメント)

問17

IoT 推進コンソーシアム,総務省,経済産業省が策定した“IoT セキュリティガイドライン(Ver 1.0)”における“要点17. 出荷・リリース後も安全安心な状態を維持する”に対策例として挙げられているものはどれか。

正解 イ

解説

“出荷・リリース後も安全安心な状態を維持する”は運用・保守段階の要点で,脆弱性が見つかったときに直せるよう,アップデート方法を検討し,機能を搭載し,実際にアップデートを実施することが対策例として挙げられている。

アは分析段階の“守るべきものを特定する”,ウは方針段階の“つながることによるリスクを想定する”に関連する内容,エは方針段階の“IoT の性質を考慮した基本方針を定める”に当たる。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

ステークホルダ登録簿の作成及び更新に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ステークホルダはプロジェクトの進行に伴って入れ替わり,ニーズや期待も変化する。したがってステークホルダ登録簿は一度作って終わりではなく,継続的に見直して更新する。

アは誤り。社内のステークホルダも登録の対象。イは誤り。限られた労力を適切に配分するため,影響度や関心度に応じた重要度を付けて管理する。エは誤り。要求を早期に把握するため,登録簿はプロジェクトの初期に作成する。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

アローダイアグラムで表される日程のプロジェクトにおいて,現在のクリティカルパスは作業 A,D,I,J である。作業 D を2日,作業 J を1日短縮するとき,作業 F の総余裕日数は何日減少するか。ここで,総余裕日数とは,当該作業に先行する作業が遅れなしに完了したとき,総所要日数を増加させることなく,当該作業が遅れてもよい日数である。

アローダイアグラム。開始点からA(3),B(3),C(7)が分岐する。AのあとD(4),BのあとE(3)とF(6),CのあとG(4)とH(7)。DとEの合流点からI(6)。F,G,Iの合流点からJ(4)で終了点へ。Hは終了点へ直接つながる。

正解 ア

解説

短縮前。総所要日数はクリティカルパス A→D→I→J の 3+4+6+4=17日。F の直前の結合点の最早は B の 3日,F は6日なので最早終了は9日。J の直前の結合点の最遅は 17−4=13日なので,F の総余裕日数は 13−9=4日。

短縮後。D が2日になると D→I の経路は 3+2=5日となり,E 経由の 3+3=6日のほうが遅くなる。J の直前の結合点の最早は max(B+F,C+G,E+I)=max(9,11,12)=12日,総所要日数は 12+3=15日(C→H の 14日より長い)。J の直前の結合点の最遅は 15−3=12日なので,F の総余裕日数は 12−9=3日。

よって 4−3=1日減少する。

短縮で作業 F の総余裕日数はどう変わるか 短縮前:全体 17 日。J の手前の結合点の最遅は 17−4=13 日,F の最早終了は 3+6=9 日なので,F の総余裕は 4 日。短縮後(D を 2 日,J を 3 日):D を通る経路が短くなり,E を通る 3+3+6=12 日が J の手前を決める。全体は 12+3=15 日,J の手前の最遅は 12 日,F の総余裕は 12−9=3 日。1日減る。 A 3 B 3 C 7 D 4 E 3 F 6 G 4 H 7 I 6 J 4 0 / 0 3 / 3 3 / 4 7 / 9 7 / 7 13 / 13 17 / 17 短縮前:F の余裕 13−9=4日 短縮後:12−9=3日
総余裕=後ろの結合点の最遅−その作業の最早終了

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

用語解説:クリティカルパス

問20

品質の定量的評価の指標のうち,ソフトウェアの保守性の評価指標になるものはどれか。

正解 イ

解説

保守性は,不具合を見つけて直すのがどれだけ容易かを表す品質特性。1件あたりの平均修正時間(修正時間の合計÷修正件数)が短いほど保守しやすいので,これが保守性の指標になる。

アは欠陥密度で信頼性の指標,ウは移植に伴う変更量の割合で移植性の指標。エは改良要求の発生頻度であり,ソフトウェアの保守性そのものを測るものではない。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

ネットワークインタフェースカード(NIC)のチーミングの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

チーミングは,複数の NIC を束ねて一つの IP アドレスをもつ論理的なインタフェースとして扱う技術。負荷分散と帯域の有効活用ができ,1 枚が故障しても通信を続けられるので耐障害性も上がる。

アはフロー制御,イはオートネゴシエーション,ウは仮想 NIC の説明である。

NIC のチーミング:複数の NIC を1つの IP アドレスで使う チーミングは,複数の NIC を束ねて,一つの IP アドレスをもつ論理的なインタフェースとして扱う。負荷を分散して帯域を有効に使え,1枚が故障しても残りで通信を続けられる。フロー制御(送信の一時中断)やオートネゴシエーション(速度の自動設定),仮想 NIC とは別の技術。 サーバ 論理 IF(IP は1つ) NIC1 NIC2 スイッチ 負荷分散・帯域の有効活用,1 枚が壊れても続く(エ)
複数の NIC を1つの論理インタフェースに:負荷分散と耐障害性

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

クライアントサーバシステムの3層アーキテクチャを説明したものはどれか。

正解 イ

解説

3層アーキテクチャは,画面表示を担うプレゼンテーション層,業務処理を担うファンクション層(アプリケーション層),データ管理を担うデータ層の3つに分離した構成。層ごとに独立しているので,各層の OS やハードウェアが異なっていてもよい。

アは GUI と API という分け方が3層の定義と異なる。ウはミドルウェアで連係するとしているが,中間はファンクション層である。エはプレゼンテーション層とファンクション層を結合しており,これは2層(クライアントサーバ)の構成。

3層アーキテクチャ システムを,プレゼンテーション層(画面の表示と入力),アプリケーション層(業務の処理),データ層(データベースの管理)の3つに分ける。層ごとに独立して変更や拡張ができ,クライアントには表示の機能だけを置けばよい。 プレゼンテーション層 画面(ブラウザ) アプリケーション層 業務の処理 データ層 データベース 層ごとに変更・拡張できる(業務の処理はサーバ側) 2層(クライアントサーバ)では業務処理がクライアントに載る
表示・業務処理・データを分ける

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

機械学習を用いたビッグデータ分析において使用される JupyterLab の説明はどれか。

正解 イ

解説

JupyterLab は,コードの記述と実行,その結果のグラフや表示を一つのノートブック上で対話的に繰り返せる開発環境。試行錯誤しながら進めるデータ分析や機械学習で広く使われる。

アはジョブスケジューラ,ウは Hadoop や Spark などの分散処理基盤,エは Cassandra のようなマスターレスの分散データベースの説明。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

インターネット上やイントラネット上でのファイル共有サービスなどで用いられ,HTTP を拡張して,ファイルやフォルダの参照,作成,削除,属性変更などを可能にする仕組みはどれか。

正解 ウ

解説

WebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)は,HTTP を拡張してファイルやフォルダの参照・作成・削除・属性変更などを行えるようにしたプロトコル。HTTP を使うのでファイアウォールを越えやすく,オンラインストレージなどで利用される。

アの iSCSI は IP ネットワーク上で SCSI コマンドを転送するブロックストレージ向けの規格,イの NFS は主に UNIX 系で使われるファイル共有プロトコル,エの WebRTC はブラウザ間でリアルタイムに音声・映像・データをやり取りする仕組み。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

NFT の説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

NFT(Non-Fungible Token,非代替性トークン)は,ブロックチェーン上で一意性を付与することによって,ほかのものと取り替えられないこと(代替不可能であること)が担保されたデジタルデータ。デジタル作品の保有者を証明する用途などに使われる。

アはデジタルアートそのものの総称であって NFT の定義ではない。イとエは暗号資産や代用貨幣による決済の話であり,これらは同じものと交換できる代替可能(fungible)なトークン。

出典:令和6年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)

用語解説:ブロックチェーンの応用(スマートコントラクト・DAO・CBDC) 著作権と知的財産権(特許・営業秘密・ライセンス)