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高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通

令和元年度 秋期 科目A-1(午前Ⅰ)

令和元年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ(2026年度からの科目A-1)の全30問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:科目A-1(午前Ⅰ・高度試験 共通)について

この年度を解く(受ける試験区分を選ぶ)

問1

全体集合 S 内に異なる部分集合 A と B があるとき,A∩B に等しいものはどれか。ここで,A∪B は A と B の和集合,A∩B は A と B の積集合,A は S における A の補集合,A−B は A から B を除いた差集合を表す。

正解 ア

解説

ド・モルガンの法則により,A∩B は A∪B の補集合,つまり A にも B にも属さない要素の集合になる。アの A−B は「A に属さない要素から,さらに B に属するものを除いたもの」なので A かつ B でない,すなわち A∩B と同じ集合を表す。アが正しい。

イの (A∪B)−(A∩B) は,A∪B がド・モルガンの法則で A∩B の補集合になり,そこから A∩B を引いても変わらないので A∩B の補集合のまま。ウの (S−A)∪(S−B) は A∪B で,これも A∩B の補集合。エの S−(A∩B) も同じ集合で,イ・ウ・エはいずれも「A と B の少なくとも一方に属さない要素」を表しており,求める集合より広い。

Ā∩B̄(A にも B にも入らない部分) 塗った部分は,A にも B にも属さない要素で,Ā∩B̄。これは A∪B の補集合で(ド・モルガンの法則),「A に属さないものから,B に属するものを除いた」Ā−B とも同じ。一方,Ā∪B̄ や S−(A∩B) は「少なくとも一方に属さない」部分で,A と B の重なり以外を全部含む。 A B A∩B = A−B A B A∪B = S−(A∩B)
A にも B にも入らない部分は Ā−B と同じ。「少なくとも一方に入らない」部分はもっと広い

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

通信回線を使用したデータ伝送システムに M/M/1 の待ち行列モデルを適用すると,平均回線待ち時間,平均伝送時間,回線利用率の関係は,次の式で表すことができる。

平均回線待ち時間 = 平均伝送時間 × 回線利用率/(1−回線利用率)

回線利用率が0から徐々に増加していく場合,平均回線待ち時間が平均伝送時間よりも最初に長くなるのは,回線利用率が幾つを超えたときか。

正解 イ

解説

平均回線待ち時間が平均伝送時間より長くなるのは,掛かっている係数 回線利用率/(1−回線利用率) が1を超えるとき。回線利用率を ρ とすると ρ/(1−ρ)>1 を解いて ρ>1−ρ,すなわち ρ>0.5 となる。回線利用率が0.5を超えたときに初めて待ち時間が伝送時間を上回るので,イが正しい。

ρ=0.5 のとき係数はちょうど1で,待ち時間と伝送時間が等しくなる。ρ=0.6 なら1.5倍,ρ=0.7 なら約2.33倍で,利用率が1に近づくと係数は際限なく大きくなる。待ち行列を扱うときに利用率を上げすぎてはいけないのは,この非線形な伸びのためである。

M/M/1 の待ち時間と利用率 M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。 0.5 → 1倍 0.8 → 4倍 0.9 → 9倍 1 利用率 ρ ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

AI の機械学習における教師なし学習で用いられる手法として,最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

教師なし学習は,正解ラベルの付いていないデータから構造や規則性を見つけ出す学習方法。クラスタリングは,データ同士の類似度だけを手掛かりに似たもの同士をまとめる手法なので,これに当たる。ウが正しい。

アは既にグループ分けされた(ラベル付きの)データから分離境界を学ぶ判別分析やサポートベクタマシンの説明で,教師あり学習。エの回帰分析も正解となる値を与えて学習するので教師あり学習である。イのモンテカルロ法は乱数を使った数値計算の手法で,機械学習の分類には当たらない。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

問4

先頭ポインタと末尾ポインタをもち,多くのデータがポインタでつながった単方向の線形リストの処理のうち,先頭ポインタ,末尾ポインタ又は各データのポインタをたどる回数が最も多いものはどれか。ここで,単方向のリストは先頭ポインタからつながっているものとし,追加するデータはポインタをたどらなくても参照できるものとする。

正解 エ

解説

単方向リストでは各データが次のデータへのポインタだけをもつ。末尾のデータを削除するには,新たな末尾になる「元の末尾の一つ前」のデータのポインタを書き換える必要があるが,その位置は前へさかのぼれないので先頭からたどるしかない。データ数に比例した回数のポインタ参照が要るので,エが最も多くなる。

アの先頭への追加は,追加するデータのポインタを現在の先頭に向けて先頭ポインタを書き換えるだけ。イの先頭の削除も先頭のデータのポインタを読んで付け替えるだけ。ウの末尾への追加は末尾ポインタから直接たどり着ける。いずれもデータ数に関係なく一定回数で済む。

単方向の連結リストで末尾を追加・削除する front だけをもつ実装では,末尾への追加も末尾の削除も,front から順にたどって末尾を探すので,どちらも n に比例する時間がかかる。rear も併せもつ実装では,末尾への追加は rear から直接できるので一定時間で済む。しかし末尾の削除では,一つ前のセル(x n−1)のポインタを空にして rear を付け替える必要があり,単方向のリストでは前へ戻れないので front からたどるしかなく,n に比例する。 実装方法1(front だけ) x1 x2 xn−1 xn … / front 追加も削除も先頭からたどる → どちらも n に比例 実装方法2(front と rear) x1 x2 xn−1 xn … / front rear 削除では x n−1 を先頭から探す(n に比例)。追加は rear から直接(一定)
単方向のリストは前へ戻れない。末尾の削除には「一つ前」を先頭から探す必要がある

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

容量が a M バイトでアクセス時間が x ナノ秒の命令キャッシュと,容量が b M バイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPU からみた,主記憶と命令キャッシュとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで,読み込みたい命令コードがキャッシュに存在しない確率を r とし,キャッシュ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。

正解 イ

解説

平均アクセス時間は,キャッシュに当たったときの時間とキャッシュに外れて主記憶を読むときの時間を,それぞれの確率で重み付けした平均になる。r は「キャッシュに存在しない確率」=ミス率なので,ヒット率は 1−r。したがって (1−r)·x + r·y となり,イが正しい。

エは r と 1−r を取り違えており,ミス率が高いほど速くなるという逆の式になっている。アとウは容量 a,b の比で重み付けしているが,平均アクセス時間を決めるのはアクセスがどちらに向かうかの確率であって,容量の比ではない。

キャッシュに無い確率 r のときの平均アクセス時間 読みたいデータがキャッシュにある確率は 1−r で,そのときはキャッシュのアクセス時間 x で読める。無い確率 r のときは主記憶から y で読む。平均は (1−r)・x + r・y。容量 a・b は関係しない。 CPU キャッシュ 時間 x 主記憶 時間 y 1−r r (1−r)・x r・y 平均 = (1−r)・x + r・y
r は「無い」確率なので,主記憶の側に掛ける

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

ジョブ群と実行の条件が次のとおりであるとき,一時ファイルを作成する磁気ディスクに必要な容量は最低何 M バイトか。

〔ジョブ群〕

ジョブの先行関係を表す図。A から B と C へ,B から D と E へ,C から E へ,D から F へ,E から F へ矢印が引かれている。

〔実行の条件〕

正解 ウ

解説

処理時間が同じで多重度が2なので,時間の刻みごとに走るジョブを追う。まず A が単独で実行され一時ファイルを1個作る(50M バイト)。A の終了で B と C が生起し,多重度2で同時に実行されてそれぞれ一時ファイルを作るので,A・B・C の3個で150M バイト。次に B と C が終わると,B の一時ファイルは D が,C の一時ファイルは E が参照するので残り,A の一時ファイルだけが削除される。そこへ D と E が同時に実行されて一時ファイルを作るため,B・C・D・E の4個で200M バイトになる。これが最大なのでウが正しい。

その後 D と E が終わると B・C の一時ファイルが消え,F が実行されて D・E・F の3個(150M バイト)に減る。多重度が2なので同時に走るジョブは二つまでで,一時ファイルが5個以上同時に存在することはない。したがってエの250M バイトは要らず,アの100M バイトやイの150M バイトでは D と E を同時に実行する時点で足りなくなる。

ジョブの実行と一時ファイルの数 多重度2で処理時間は同じ。1つ目の時間は A だけが動き一時ファイルは A の1個。2つ目は B と C が動き,A・B・C の3個(150M バイト)。3つ目は D と E が動く。A のファイルは B が使い終えて消えるが,B のファイルは D が,C のファイルは E が使うので残り,B・C・D・E の4個(200M バイト)で最大になる。4つ目は F が動き,D・E・F の3個に減る。 1つ目 実行:A A のファイル 50M 2つ目 実行:B・C A のファイル B のファイル C のファイル 150M 3つ目 実行:D・E B のファイル C のファイル D のファイル E のファイル 200M 4つ目 実行:F D のファイル E のファイル F のファイル 150M 一時ファイル1個=50M バイト
ファイルは「直後のジョブが終わるまで」残る。最大は D と E が動く時点の4個=200M バイト

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

問7

キャパシティプランニングの目的の一つに関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

正解 イ

解説

キャパシティプランニングは,将来の業務量の増加を見込んで必要な資源をあらかじめ計画する活動。現在の応答時間を把握して長期的に監視し,将来にわたって必要な性能を保てるようにするのが目的の一つになる。イが正しい。

アのボトルネックだけに着目した変更や,ウのチューニングによるスループット向上は,いま起きている性能問題を改善する活動であって,先を見越した計画ではない。エは「パフォーマンスの問題はリソースの過剰使用によって発生する」と原因を一つに決めつけており,キャパシティプランニングの目的の説明としては適切でない。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

エネルギーハーベスティングの適用例として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

エネルギーハーベスティング(環境発電)は,身の回りにある光・熱・振動・電波などのわずかなエネルギーを電力に変換して利用する技術。スイッチを押す力を電力に変えて動く RF リモコンは,電池も外部電源も要らなくなる典型的な適用例である。ウが正しい。

アの AC 電源で充電したバッテリや,エの無停電電源装置は,外部から供給された電力を蓄えて使うもの。イのインバータ制御は電力の使い方を効率化する技術で,いずれも周囲に散在するエネルギーを収穫しているわけではない。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

データベースに媒体障害が発生したときのデータベースの回復法はどれか。

正解 エ

解説

媒体障害は記憶媒体そのものが壊れる障害で,データベースの内容が失われる。回復するには,まずバックアップコピーから復元し,その後にログを使って,バックアップ取得以降にコミットされたトランザクションをロールフォワードして障害直前の状態まで進める。エが正しい。

アはトランザクション障害での回復,ウはシステム障害での回復に当たり,どちらも媒体は無事なのでロールバックで済む。イもシステム障害での回復で,バックアップからの復元を伴わない点が媒体障害の場合と異なる。

媒体障害からの回復 媒体障害ではディスクの内容そのものが失われる。まずバックアップからデータベースを復元し,バックアップを取った後にコミットしたトランザクションを,ログの更新後情報で順に反映して(ロールフォワードして)障害の直前まで戻す。 バックアップ T1 コミット T2 コミット T3 コミット 媒体障害 ② 更新後ログで T1〜T3 をロールフォワード ① 復元
バックアップで「その時点」に戻し,更新後ログで「障害の直前」まで進める

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

用語解説:障害回復(ロールバック・ロールフォワード)

問10

イーサネットで使用されるメディアアクセス制御方式である CSMA/CD に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

CSMA/CD は,送信前に伝送路が使われていないかを調べ(Carrier Sense),空いていれば送信する。同時に送信されて衝突が起きたことを検出したら(Collision Detection)送信を中断し,ランダムな時間だけ待ってから再送する。アが正しい。

イはタイムスロットで分割する TDMA(時分割多元接続)。ウは無線 LAN の CSMA/CA で,無線では衝突を検出できないため RTS/CTS で事前に調整し,ACK で受信を確認する。エはトークンパッシング方式の説明である。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

用語解説:CSMA/CD・CSMA/CA

問11

TCP/IP ネットワークのフォワードプロキシに関する説明のうち,最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

フォワードプロキシは,内部のクライアント(Web ブラウザ)の代理として,外部の Web サーバへリクエストを送る中継サーバ。ブラウザ側に立つ代理なのでウが正しい。アクセス制御やログ取得,キャッシュによる高速化に使われる。

アはリバースプロキシの説明で,こちらはサーバ側に置かれてサーバの代理として応答する。イは,フォワードプロキシは同じ組織内に置くのが普通だが,インターネット上のプロキシを経由することもできるので「なければならない」とは言えない。エは電子メールを中継する MTA の説明である。

フォワードプロキシとリバースプロキシ フォワードプロキシは,組織内のクライアントの代わりにインターネット上のサーバへアクセスする(クライアント側の代理)。リバースプロキシは,インターネットから来た要求をサーバの手前で受け,内部の Web サーバに振り分ける(サーバ側の代理)。負荷分散や TLS の終端,キャッシュに使う。 フォワードプロキシ 社内 PC プロキシ 外の Web クライアント側の代理 リバースプロキシ 外の利用者 リバースプロキシ 社内 Web サーバ側の代理(振り分け・TLS 終端)
どちら側の代理か。フォワードはクライアント側,リバースはサーバ側

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

問12

インターネットとの接続において,ファイアウォールの NAPT 機能によるセキュリティ上の効果はどれか。

正解 エ

解説

NAPT は,内部の複数の PC のプライベート IP アドレスとポート番号を,グローバル IP アドレスと別のポート番号の組に対応付けて変換する。この対応表は内部から外へ通信を始めたときに作られるので,インターネット側から内部の PC を名指しで指定して接続を仕掛けることが難しくなる。エが正しい。

アの公開 Web サーバの脆弱性を突く攻撃への防御は WAF の役割。イの侵入検知と遮断は IPS,ウの特定の Web サービスを使う HTTP 通信の検知・遮断はプロキシや URL フィルタリングの役割で,いずれも NAPT の機能ではない。

NAPT のアドレス変換 PC(192.168.1.10,ポート 5000)から Web サーバへの要求は,ルータで送信元が 203.0.113.1,ポート 60001 に書き換えられ,その組合せが対応表に残る。Web サーバからの応答は宛先が 203.0.113.1:60001 なので,ルータは表を見て宛先 IP アドレスと宛先ポート番号を 192.168.1.10:5000 に書き戻す。外から先に届いたパケットは表に対応がないので,内側へ転送できない。 PC 192.168.1.10 ルータ NAPT Web 198.51.100.5 送信元 .10:5000 送信元 .1:60001 宛先 203.0.113.1:60001 宛先 .10:5000 対応表 内側(プライベート) 外側(グローバル) 192.168.1.10 : 5000 203.0.113.1 : 60001 応答で書き換えるのは「宛先 IP アドレス」と「宛先ポート番号」 外から始まる通信は表に対応がないので,内側に届かない
要求では送信元を,応答では宛先を書き換える。対応は IP アドレスとポート番号の組

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

用語解説:ファイアウォールと DMZ

問13

チャレンジレスポンス認証方式に該当するものはどれか。

正解 エ

解説

チャレンジレスポンス認証では,サーバが毎回異なるランダムなデータ(チャレンジ)をクライアントに送り,クライアントはチャレンジと利用者が入力したパスワードからハッシュ関数などで計算した値(レスポンス)を返す。サーバも登録されたパスワードで同じ計算をして結果を照合する。パスワードそのものはネットワークに流れず,レスポンスも毎回変わるので,盗聴や再送攻撃に強い。エが適切である。

アは通信路を暗号化して固定パスワードを送るだけで,チャレンジを使っていない。イは端末のシリアル番号を暗号化して送るもので,毎回同じ値になる。ウは時刻同期方式のワンタイムパスワードで,値は毎回変わるがサーバからのチャレンジを受け取っていない点が異なる。

チャレンジレスポンス認証 サーバは毎回違うランダムな値(チャレンジ)を送り,クライアントはチャレンジとパスワードからハッシュ値(レスポンス)を計算して返す。サーバも同じ計算をして一致すれば認証する。パスワードそのものはネットワークに流れず,チャレンジが毎回違うので,盗聴したレスポンスを使い回しても通らない。 クライアント サーバ ① チャレンジ(毎回違う乱数) ② レスポンス=hash(チャレンジ+パスワード) ③ サーバも同じ計算をして一致すれば認証 パスワードそのものは流れない
パスワードは流れない。チャレンジが毎回違うので,盗んだ値は使い回せない

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

用語解説:TLS(SSL)

問14

ファジングに該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

ファジング(fuzzing)は,極端に長い文字列や想定外の値など,問題を引き起こしそうなデータを大量に入力し,異常終了や想定外の動作が起きないかを監視して脆弱性を洗い出す手法。仕様やソースコードが分からなくても実施できる。ウが正しい。

アはサーバに FIN パケットを送って応答から稼働中のサービスを探る FIN スキャン。イはログを解析するファイル改ざんの検知。エはあらかじめ登録した攻撃パターンと照合するシグネチャ型の IDS/IPS の説明である。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

用語解説:脆弱性の管理と検査(CVE・CVSS・ファジング)

問15

虹彩認証に関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

虹彩は瞳孔の周りにある模様で,個人差が非常に大きく,読み取れる情報量も多い。そのため他人を誤って本人と認めてしまう割合(他人受入率)を,顔認証より低く抑えることができる。ウが正しい。

アは,虹彩の模様は生後2年ほどで安定した後はほとんど変化しないので,定期的な登録し直しは要らない。イは,照度を高くすると目に負担がかかるうえ瞳孔が縮んで虹彩の見え方が変わるので,精度が上がるとは限らない。エは指紋認証で問題になる話で,虹彩認証は装置に接触しないため遺留物は残らない。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

問16

作業成果物の作成者以外の参加者がモデレータとしてレビューを主導する役割を受け持つこと,並びに公式な記録及び分析を行うことが特徴のレビュー技法はどれか。

正解 ア

解説

インスペクションは,成果物の作成者以外の参加者がモデレータとなって進行を主導し,指摘事項を公式に記録して欠陥の件数や種類を分析する,最も公式度の高いレビュー技法。分析結果を以後の開発の改善につなげる点も特徴になる。アが正しい。

イのウォークスルーは作成者自身が主催し,参加者に説明しながら進める非公式なレビュー。ウのパスアラウンドは成果物を回覧してコメントを集める方法。エのペアプログラミングは2人で1台の端末を使って一緒にコードを書く手法で,モデレータも公式な記録もない。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

用語解説:アジャイル開発(スクラム・XP)

問17

自社開発したソフトウェアの他社への使用許諾に関する説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

使用許諾(ライセンス)は,著作権者が自分の著作物を他人に使わせることを認める行為。特許で保護された技術を使っているかどうかとは関係なく,著作権をもっていれば使用を許諾できる。エが正しい。

アは,自社製品に組み込んで販売していてもソフトウェアの著作権は自社にあるので,単体でも許諾できる。イも,ハードウェアと組み合わせた特許を取得していることと,ソフトウェアの著作権を許諾することとは別の話。ウは,ソースコードを無償で提供しただけではオープンソースソフトウェアにはならず,改変や再頒布の自由を認めるライセンスを付けて初めてそう呼べる。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

用語解説:著作権と知的財産権(特許・営業秘密・ライセンス)

問18

PMBOK ガイド第6版によれば,プロジェクト・マネジャー,プログラム・マネジャー,ポートフォリオ・マネジャー,プロジェクトマネジメント・オフィス(PMO)は,それぞれ他と異なる役割を担っている。それぞれに対応した役割の説明のうち,PMO のものはどれか。

正解 ウ

解説

PMBOK ガイドでは PMO(プロジェクトマネジメント・オフィス)を,プロジェクトに関連するガバナンスのプロセスを標準化し,資源・方法論・ツール・技法の共有を促進する組織構造と位置付けている。個々のプロジェクトを動かすのではなく,組織全体でやり方をそろえて支援するのが役割である。ウが正しい。

アは複数のプロジェクトをまとめて扱うプログラム・マネジャー,イは戦略目標に沿って何をやるかを選ぶポートフォリオ・マネジャー,エは担当プロジェクトを完遂させるプロジェクト・マネジャーの役割である。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問19

アローダイアグラムで表される作業 A〜H を見直したところ,作業 D だけが短縮可能であり,その所要日数は6日に短縮できることが分かった。作業全体の所要日数は何日短縮できるか。

アローダイアグラム。作業と所要日数は A5,B3,C5,D10,E5,F12,G3,H6。A の終点から B と C に分かれ,B の終点から E,C の終点から F へ進む。C の終点から B の終点へ D が入る。E の終点から G,F の終点から H が出て同じ終点に入り,E の終点から F の終点へダミー作業が引かれている。

正解 ウ

解説

最早結合点時刻を順に求める。A の終点は5日目。C の終点は 5+5=10日目。E の始点は,B 経由の 5+3=8日目と D 経由の 10+10=20日目のうち遅いほうで20日目。E の終点は25日目で,ダミー作業があるので H の始点も F 経由の22日目と25日目のうち25日目になる。最終結合点は G 経由の28日目と H 経由の31日目で31日。D を6日にすると E の始点が 10+6=16日目,E の終点が21日目,H の始点は F 経由の22日目と21日目のうち22日目となり,最終は G 経由24日目と H 経由28日目で28日。31−28=3日短縮できるのでウが正しい。

D を4日縮めても全体が4日縮まらないのは,D を通らない経路 A→C→F→H(5+5+12+6=28日)が下限として残るため。作業を短縮するときは,短縮後に別の経路がクリティカルパスに変わらないかを必ず確かめる。

作業 D を短縮したときの全体の短縮 当初は A→C→D→E→(ダミー)→H が 5+5+10+5+6=31 日でクリティカルパス。D を 10 日から 6 日に4日縮めると,D を通る経路は 27 日になるが,D を通らない A→C→F→H が 5+5+12+6=28 日で残るので,全体は 31 日から 28 日の3日しか縮まらない。 A 5 B 3 C 5 D 10 E 5 F 12 G 3 H 6 0 / 0 5 / 5 10 / 10 20 / 20 25 / 25 25 / 25 31 / 31 D を6日に → A→C→F→H(28日)が残り,31→28日(3日短縮)
短縮後は別の経路がクリティカルパスに変わらないかを確かめる

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

IT サービスマネジメントの活動のうち,インシデント及びサービス要求管理として行うものはどれか。

正解 エ

解説

インシデント及びサービス要求管理は,サービスの中断や品質低下(インシデント)と,利用者からの依頼(サービス要求)を受け付けて記録・分類し,合意した水準へできるだけ早く戻す活動。障害報告を受けて既知の誤りに該当するか照合するのは,登録済みの回避策を素早く適用するための典型的な手順なのでエが正しい。

アはサービスの報告やレビューに関する活動。イのしきい値に近づいた資源への対策はキャパシティ管理。ウの変更による影響度の調査は変更管理の活動である。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理

問21

クラウドサービスの導入検討プロセスに対するシステム監査において,クラウドサービス上に保存されている情報の消失の予防に関するチェックポイントとして,最も適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

問われているのは「情報の消失の予防」なので,情報が失われる原因をあらかじめ断てているかを見る。クラウドでは,事業者が倒産したりサービスを終了したりすると,預けた情報を取り出せなくなる(消失する)ことが大きなリスクになる。したがって,事業者に信頼が置けるか,事業やサービスが継続して提供されるかを導入の検討段階で確かめることが,消失の予防のチェックポイントになる。ウが正しい。

アの ID の一元管理は運用の利便性,イの最大許容停止時間は可用性,エの施設内ネットワークの暗号化は機密性に関するチェックポイントで,いずれも情報の消失の予防とは目的が異なる。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問22

システム監査基準(平成30年)における監査手続の実施に際して利用する技法に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

インタビュー法は,監査人が関係者に直接口頭で問い合わせて回答を得る技法。アはその定義そのもの。

イは誤り。現地調査は業務の実際を観察するものなので,むしろ業務時間内に行う必要がある。ウは誤り。表計算ソフトや汎用の監査ツールを使ってもよく,専用ソフトウェアに限られない。エは誤り。チェックリストを作成するのは監査人であり,監査対象部門ではない。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問23

BCP の説明はどれか。

正解 エ

解説

BCP(事業継続計画)は,災害や事故などで事業が中断・阻害されたときに,事業を復旧し,再開して,あらかじめ定めた水準まで回復させるための手順を文書にしたもの。事業継続マネジメントシステムの規格 JIS Q 22301 でもこの趣旨で定義されている。エが正しい。

アは財務・顧客・内部ビジネスプロセス・学習と成長の四つの視点から戦略を検討するバランススコアカード。イは業務プロセスを可視化して継続的に改善する BPM。ウは業務プロセスを外部に委託する BPO の説明である。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

用語解説:BCP(事業継続計画・RTO・RPO)

問24

定性的な評価項目を定量化するために評価点を与える方法がある。表に示す4段階評価を用いた場合,重み及び4段階評価の結果から評価されたシステム全体の目標達成度は,評価項目が全て目標どおりだった場合の評価点に対し,何%となるか。

システムの評価項目・重み・4段階評価の結果の表。省力化効果は重み5で目標どおり,期間の短縮は重み8で変わらず,情報の統合化は重み12で部分改善。4段階評価点は,3が目標どおり,2がほぼ目標どおり,1が部分改善,0が変わらず。

正解 イ

解説

評価点は,省力化効果が「目標どおり」で3点,期間の短縮が「変わらず」で0点,情報の統合化が「部分改善」で1点。これに重みを掛けて合計すると 5×3+8×0+12×1=27 になる。評価項目が全て目標どおりだった場合は (5+8+12)×3=75 なので,27/75=0.36 で36%。イが正しい。

アの27は重み付けした評価点の合計そのもので,割合ではない。分母を全項目の重みの合計25と取り違えたり,重みを掛けずに評価点だけで計算したりすると別の値になるが,ウの43やエの52はこの表の数値からは導けない。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

半導体メーカが行っているファウンドリサービスの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ファウンドリサービスは,他社が設計した半導体を製造だけ請け負う事業。自社ブランドの製品はもたず,多くの企業からの注文をまとめて製造設備の稼働率を高めることで成り立っている。エが正しい。

アは商号や商標の使用権と独占販売権を与えるフランチャイズ。イは企画から製造・販売まで自社で一貫して行う IDM(垂直統合型メーカ)。ウは製造設備をもたず設計・開発に特化するファブレス企業の説明である。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)における“花形”を説明したものはどれか。

正解 ア

解説

PPM の“花形”は,市場成長率も市場占有率もともに高い製品。売上が大きく資金を多く生む一方で,成長する市場で地位を保つための投資も多く必要になるので,差引きの資金創出効果は大きいとは限らない。アが正しい。

イは市場成長率・占有率がともに低い“負け犬”。ウは成長率は高いが占有率が低い“問題児”。エは成長率は低いが占有率が高い“金のなる木”の説明である。

PPM の4つの区分 縦軸に市場成長率,横軸に相対的市場シェア(左が高い)をとる。成長率もシェアも高い花形,成長率が高くシェアが低い問題児,成長率が低くシェアが高い金のなる木,どちらも低い負け犬に分ける。金のなる木が生んだ資金を,花形や問題児に回す。 花形 成長に合わせた投資も要る 問題児 シェアを取るには投資が要る 金のなる木 投資が少なく資金を生む 負け犬 撤退を考える 高 低 成長率 市場 高 低 相対的市場シェア 金のなる木の資金を,花形と問題児へ回す
金のなる木が生む資金を,花形と問題児に回す

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

CRM を説明したものはどれか。

正解 ウ

解説

CRM(Customer Relationship Management)は,営業・サポート・Web など企業内の全ての顧客チャネルで顧客情報を共有し,一貫した質の高い対応によって顧客満足度を高め,長期的な顧客ロイヤルティにつなげる考え方。ウが正しい。

アは卸売業者やメーカが小売店を支援するリテールサポート。イは企業全体の経営資源を統合的に管理する ERP。エはサプライチェーン全体の情報をリアルタイムに共有して効率を上げる SCM の説明である。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

RPA(Robotic Process Automation)の説明はどれか。

正解 ア

解説

RPA(Robotic Process Automation)は,人が画面を操作して行っている定型的な事務作業を,ソフトウェアのロボットに代行させる仕組み。ルールエンジンによる決まった手順の処理から始まり,OCR や AI といった認知技術と組み合わせて対象を広げてきた。アが正しい。

イは産業用ロボット,ウは自動運転関連機器,エは生活支援ロボットの説明で,いずれも物理的に動くロボットの話であり,ソフトウェアで事務作業を自動化する RPA とは異なる。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

損益分岐点分析で A 社と B 社を比較した記述のうち,適切なものはどれか。

A 社と B 社の損益の表(単位 万円)。売上高は A 社2,000,B 社2,000。変動費は A 社800,B 社1,400。固定費は A 社900,B 社300。営業利益は A 社300,B 社300。

正解 ア

解説

限界利益は売上高−変動費なので,A 社は 2,000−800=1,200万円(限界利益率0.6),B 社は 2,000−1,400=600万円(同0.3)。損益分岐点売上高は固定費÷限界利益率なので,A 社が 900÷0.6=1,500万円,B 社が 300÷0.3=1,000万円。安全余裕率は (売上高−損益分岐点売上高)÷売上高 なので,A 社が (2,000−1,500)/2,000=25%,B 社が (2,000−1,000)/2,000=50%で,B 社の方が高い。アが正しい。

ウの限界利益率は A 社0.6,B 社0.3で A 社の方が高い。エの損益分岐点売上高も A 社1,500万円,B 社1,000万円で A 社の方が高い。イは売上高3,000万円のときの営業利益を求めると,A 社が 3,000×0.6−900=900万円,B 社が 3,000×0.3−300=600万円で A 社の方が高くなる。固定費の大きい A 社は,売上が損益分岐点を超えた後の利益の伸びも大きい。

損益分岐点図表 横軸に売上高,縦軸に金額をとる。固定費は売上高に関係なく一定で,総費用は固定費に変動費を足したもの。売上高の線と総費用の線が交わる点が損益分岐点で,それより右は利益,左は損失になる。損益分岐点売上高は 固定費 ÷(1 − 変動費率)で求める。 売上高 金額 固定費 総費用 売上高 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益 損失 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1 − 変動費率)
売上高の線が総費用の線を越えたところから利益が出る

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

プログラムの著作物について,著作権法上,適法である行為はどれか。

正解 エ

解説

著作権法第47条の3第1項は,プログラムの著作物の複製物の所有者が,自ら電子計算機で実行するために必要と認められる限度で,そのプログラムを複製したり翻案(改変)したりすることを認めている。購入したプログラムを処理速度の向上など効果的に利用するために改変することはこれに当たり,エが適法である。

アは,海賊版と知りながら入手したプログラムを業務で使用する行為で,同法第113条により著作権を侵害する行為とみなされる。イは,購入したプログラムを社内教育用に複製して各部門へ配布する行為で,自ら利用するために必要な限度を超えるので許されない。ウは職務著作なので著作権は法人に帰属しており,作成した担当者が独断で複製・貸与することはできない。

出典:令和元年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)

用語解説:著作権と知的財産権(特許・営業秘密・ライセンス)