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ネットワークスペシャリスト試験

令和6年度 春期 科目A-2(午前Ⅱ)

令和6年度 春期に実施されたネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:ネットワークスペシャリスト試験について

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問1

BGP-4 における AS に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

BGP-4 の AS(Autonomous System,自律システム)は,ISP や大規模な組織など,同一の管理ポリシーによって運用されるネットワーク群であり,2 オクテット又は 4 オクテットの AS 番号で識別される。BGP-4 はこの AS と AS の間で経路情報を交換する。ウが適切である。

アの Router-LSA が伝播する範囲は OSPF のエリアである。イの接続形態によるネットワークの区分と Hello プロトコルによる隣接関係の確立は,OSPF のネットワークタイプの説明である。エのリンクステート型の共通のプロトコルで経路情報を交換するルータの集合も,OSPF などの IGP のルーティングドメインの説明で,AS の定義ではない。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

用語解説:ルーティングプロトコル(RIP・OSPF・BGP)

問2

CS-ACELP(G.729)による 8k ビット/秒の音声符号化を行う VoIP ゲートウェイ装置において,パケットを生成する周期が 20 ミリ秒のとき,1 パケットに含まれる音声ペイロードは何バイトか。

正解 ア

解説

G.729 の符号化速度は 8k ビット/秒なので,20 ミリ秒の間に生成される音声データは 8,000 ビット/秒×0.02 秒=160 ビットになる。バイトに直すと 160÷8=20 バイトであり,アになる。

イの 160 はビットをバイトに直さなかった値である。ウの 200 やエの 1,000 は,周期や速度の換算を誤った値で,1 パケットの音声ペイロードにはならない。

20ミリ秒分の音声は何バイトか G.729 は 8k ビット/秒で音声を符号化する。20 ミリ秒ごとにパケットを作るので,1パケットの音声は 8,000×0.02=160 ビット。バイトに直すと 160÷8=20 バイト。 20 ms 20 ms 20 ms 20 ms 20 ms 音声を 20 ミリ秒ずつに区切ってパケットにする 8,000 ビット/秒 × 0.02 秒 = 160 ビット 160 ÷ 8 = 20 バイト
ビット ÷ 8 = バイト

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

1 時間当たりの平均通話回数が 60 で,平均保留時間は 120 秒である。呼損率を 0.1 にしたいとき,必要な回線数は最低幾らか。ここで,表中の数値は加わる呼量(アーラン)を表す。

呼損率 0.1 のときの加わる呼量(アーラン)。回線数3のとき1.271,回線数4のとき2.045,回線数5のとき2.881,回線数6のとき3.758。
表 即時式完全群負荷表

正解 イ

解説

呼量(アーラン)は,1 時間当たりの平均通話回数×平均保留時間(秒)÷3,600 で求める。60×120÷3,600=2 アーランである。表で呼損率 0.1 のとき,回線数 3 で扱える呼量は 1.271 アーランで 2 に足りず,回線数 4 では 2.045 アーランで 2 を上回る。したがって必要な回線数は最低 4 であり,イになる。

アの 3 回線では呼損率が 0.1 を超えてしまう。ウの 5 回線やエの 6 回線でも条件は満たすが,最低の回線数ではない。

呼損率 0.1 で必要な回線数 呼量は 60回×120秒÷3,600=2 アーラン。呼損率 0.1 の表で,回線数3で扱えるのは 1.271 アーランで足りず,回線数4なら 2.045 アーランで 2 を上回る。必要な回線数は最低4。 呼量 = 60 × 120 ÷ 3,600 = 2 アーラン 回線数 3 4 5 6 扱える呼量 1.271 2.045 2.881 3.758 2 以上か × ○ ○ ○ 回線数4で初めて 2 を超える → 最低4回線 表の数値は呼損率 0.1 のときに加わる呼量
呼量 2 を超えて扱える最小の回線数を表で探す

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

二つのルーティングプロトコル RIP-2 と OSPF とを比較したとき,OSPF だけに当てはまる特徴はどれか。

正解 イ

解説

OSPF はリンクステート型のルーティングプロトコルで,各ルータがリンクの状態を交換して同じリンク状態データベース(LSDB)を作り,それをもとにダイクストラ法で最短経路を計算する。ディスタンスベクタ型の RIP-2 はリンク状態のデータベースをもたないので,イが OSPF だけに当てはまる。

アの可変長サブネットマスク(VLSM)には,サブネットマスクを経路情報に含める RIP-2 も OSPF も対応している。ウのマルチキャストも両方が使う(RIP-2 は 224.0.0.9,OSPF は 224.0.0.5 と 224.0.0.6)。エの 30 秒ごとの定期的な経路情報の更新は RIP-2 の特徴で,OSPF は変化があったときに更新を通知する。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

用語解説:ルーティングプロトコル(RIP・OSPF・BGP) サブネットマスク・CIDR

問5

5 個のノード A~E から構成される図のネットワークにおいて,A をルートノードとするスパニングツリーを構築した。このとき,スパニングツリー上で隣接するノードはどれか。ここで,図中の数値は対応する区間のコストを表すものとする。

ノードA~Eとリンクのコストを示した図。A-B間1,A-E間4,A-D間7,B-E間2,E-D間3,B-C間4,E-C間1,C-D間3。

正解 エ

解説

コストの小さい辺から順に,閉路ができないように選んでいく(クラスカル法)と,A-B(1),E-C(1),B-E(2),E-D(3)の 4 本で 5 個のノードがつながる。C-D(3)は C と D が既に E を介してつながっているので選ばない。A をルートとすると A-B-E と伸び,E から C と D に分かれる木になるので,スパニングツリー上で隣接するのは D と E であり,エになる。

A から各ノードへの最小コストで見ても,E へは A-B-E(3)が A-E(4)より小さく,D へは A-B-E-D(6)が A-D(7)や A-B-E-C-D(7)より小さいので,同じ木になる。アの A と E,イの B と C,ウの C と D の辺はいずれも木に含まれない。

コストの小さい辺から選ぶスパニングツリー コストの小さい辺から順に,輪(閉路)ができないものを選ぶ(クラスカル法)。A−B(1),E−C(1),B−E(2),E−D(3)の4本で5つのノードがつながる。C−D(3)は C と D が E を通じて既につながっているので選ばない。木の上で D と隣り合うのは E。 1① 4 7 2③ 3④ 4 1② 3 A B E C D C−D(3)は輪ができるので選ばない
小さい順に選び,輪ができる辺は飛ばす

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

用語解説:スパニングツリー・VLAN・リンクアグリゲーション

問6

IPv4 における ARP の MAC アドレス解決機能を IPv6 で実現するプロトコルはどれか。

正解 イ

解説

IPv6 では ARP を使わず,ICMPv6 を使う近隣探索プロトコル(NDP)の近隣要請(Neighbor Solicitation)と近隣広告(Neighbor Advertisement)のメッセージによって,IPv6 アドレスに対応する MAC アドレスを解決する。イが該当する。

アの DHCPv6 は IPv6 アドレスなどの設定情報を配布するプロトコル,ウの IGMPv2 は IPv4 でマルチキャストグループへの参加・離脱を管理するプロトコル(IPv6 では ICMPv6 の MLD が相当する),エの RIPng は IPv6 対応の RIP である。

IPv6 での MAC アドレスの解決(ICMPv6) IPv4 では ARP で IP アドレスから MAC アドレスを求める。IPv6 には ARP が無く,ICMPv6 の近隣探索(NDP)を使う。近隣要請(Neighbor Solicitation)で問い合わせ,相手が近隣広告(Neighbor Advertisement)で MAC アドレスを返す。 IPv4 IPv6 MAC を調べる ARP ICMPv6(NDP) 問合せ ARP 要求(ブロードキャスト) 近隣要請(マルチキャスト) 応答 ARP 応答 近隣広告 DHCPv6 は設定の配布,RIPng は経路,IGMP はマルチキャストの参加
IPv6 では ARP の代わりに ICMPv6 の近隣探索

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

用語解説:ARP IPv6

問7

IPv4 の IP マルチキャストアドレスに関する記述として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

IPv4 の IP マルチキャストアドレスは,先頭 4 ビットが 1110 のクラス D のアドレス(224.0.0.0~239.255.255.255)であり,残りの 28 ビットで,同じマルチキャストを受信するホストのグループを識別する。エが適切である。

アの 127.0.0.1 は自分自身を表すループバックアドレス,イの 192.168.1.255 は 192.168.1.0/24 のブロードキャストアドレスである。ウの先頭 4 ビットが 1111 のアドレスはクラス E(240.0.0.0 以降)で,将来のために予約されている。

IPv4 アドレスのクラス 先頭のビットでクラスが決まる。A は 0(1.0.0.0〜127),B は 10(128〜191),C は 110(192〜223),D は 1110(224〜239)でマルチキャスト,E は 1111(240〜)で実験用に予約。B はホスト部が16ビットなので 2¹⁶−2=65,534 台。 クラス 先頭 範囲 使い道・ホスト数 A 0 1〜127 ホスト部24ビット B 10 128〜191 16ビット 65,534 台 C 110 192〜223 8ビット 254 台 D 1110 224〜239 マルチキャスト E 1111 240〜255 実験用(予約) D の残り28ビットは受信するグループを表す
クラス D(先頭 1110,224〜239)はマルチキャスト

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

リモートアクセス環境において,認証情報やアカウンティング情報をやり取りするプロトコルはどれか。

正解 エ

解説

RADIUS は,リモートアクセスサーバや無線 LAN のアクセスポイントなどが RADIUS クライアントになり,RADIUS サーバとの間で利用者の認証情報や,接続時間などのアカウンティング(利用記録)情報をやり取りするプロトコルである。エが該当する。

アの CHAP とイの PAP は,PPP で接続する際に利用者を認証する方式で,アカウンティング情報は扱わない(PAP はパスワードを平文で送り,CHAP はチャレンジレスポンス方式で送る)。ウの PPTP は PPP のフレームをトンネリングして VPN を構成するプロトコルである。

IEEE 802.1X の3つの役割と EAP-TLS 端末(サプリカント)は EAP で無線 LAN のアクセスポイントや LAN スイッチ(オーセンティケータ)に認証を求め,オーセンティケータはそれを RADIUS で認証サーバに取り次ぐ。認証が済むまでポートは閉じたまま。EAP-TLS では,端末がクライアント証明書を,認証サーバがサーバ証明書を出し合って相互に認証する。 サプリカント PC・スマホ オーセンティケータ AP・スイッチ 認証サーバ RADIUS サーバ EAP RADIUS 認証が済むまでポートを閉じておく EAP-TLS:証明書を出し合って相互に認証する クライアント証明書(端末が本物か) サーバ証明書(認証サーバが本物か) 成功するとポートを開ける(利用者ごとに VLAN も割り当てられる)
認証が済むまでポートを閉じておき,成功した端末だけを通す

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

用語解説:IEEE 802.1X・RADIUS(ネットワークの利用者認証)

問9

ホスト A からホスト B に TCP を用いてデータを送信するとき,TCP セグメントのシーケンス番号と受信確認番号(肯定応答番号)に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

TCP のシーケンス番号は,送信するデータの先頭のオクテットが,送信データ全体の何オクテット目に当たるかを示す。応答を待たずに続けて送る場合,次のセグメントのシーケンス番号は,直前のセグメントのシーケンス番号にそのデータのオクテット数を加えた値になるので,アが適切である。

イは誤りで,シーケンス番号と受信確認番号は 32 ビットであり,1 ずつではなくデータのオクテット数だけ増える。また,シーケンス番号の初期値は接続ごとに決められる。ウのように両者の大小で再送を判断することはない。エは誤りで,受信確認番号は次に受け取りたいオクテットの位置を示すので,受け取ったシーケンス番号にデータのオクテット数を加えた値を返す。

シーケンス番号と確認応答番号 A が 100 オクテットのデータをシーケンス番号 1000 で送り,応答を待たずに続けて送るときのシーケンス番号は 1000+100=1100。B は全部受け取ったら,次に受け取りたい位置 1200 を確認応答番号にして返す。シーケンス番号は1ずつではなく,送ったオクテット数だけ増える。 A B seq 1000(100 オクテット) seq 1100(100 オクテット) ack 1200(次は 1200 から) 1000 + 100 = 1100,1100 + 100 = 1200
次のシーケンス番号=今のシーケンス番号+データのオクテット数

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

インターネットプロトコルの TCP と UDP 両方のヘッダーに存在するものはどれか。

正解 エ

解説

TCP ヘッダと UDP ヘッダには,どちらにも送信元ポート番号と宛先ポート番号があり,これによって通信するアプリケーションを識別する。エが該当する。

アの宛先 IP アドレスとウの生存時間(TTL)は IP ヘッダ(IPv6 ではホップリミット)に含まれる。イの宛先 MAC アドレスはイーサネットなどのデータリンク層のフレームヘッダに含まれる。

TCP と UDP のヘッダーの項目 TCP と UDP のどちらのヘッダーにも,送信元ポート番号と宛先ポート番号がある(アプリケーションを見分ける)。TCP にはシーケンス番号・確認応答番号・ウィンドウサイズなどもある。宛先 IP アドレスや TTL は IP ヘッダー,宛先 MAC アドレスはイーサネットのヘッダーにある。 項目 TCP UDP どこにある 送信元・宛先ポート番号 ○ ○ TCP・UDP シーケンス番号・確認応答 ○ TCP 宛先 IP アドレス・TTL IP ヘッダー 宛先 MAC アドレス イーサネット 両方にあるのは送信元ポート番号(と宛先ポート番号)
ポート番号は TCP と UDP の両方にある

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

IPv4 ネットワークで使用される IP アドレス a とサブネットマスク m からホストアドレスを求める式はどれか。ここで,“~”はビット反転の演算子,“|”はビットごとの論理和の演算子,“&”はビットごとの論理積の演算子を表し,ビット反転の演算子の優先順位は論理和,論理積の演算子よりも高いものとする。

正解 ウ

解説

サブネットマスク m はネットワーク部のビットが1,ホスト部のビットが0になっている。ホストアドレスはアドレス a のうちホスト部だけを残したものなので,m を反転してホスト部を1にした ~m と a のビットごとの論理積をとればよい。ウの a & ~m が正しい。

ネットワークアドレスは a & m で求める。アの ~a & m はネットワーク部を反転した値,イの ~a | m やエの a | ~m はビットが 1 に埋まってしまい,ホストアドレスにはならない(a | ~m はそのサブネットのブロードキャストアドレスになる)。

IP アドレスとサブネットマスクのビット演算 212.62.31.90/27(マスク 255.255.255.224)の第4オクテットで考える。90 は 01011010,マスクは 11100000,マスクを反転すると 00011111。a&m(論理積)はネットワーク部だけが残り 64,a&〜m はホスト部だけが残り 26(ホストアドレス),a|〜m はホスト部が全部1になり 95(ブロードキャストアドレス)。 a(90) 0 1 0 1 1 0 1 0 m(224) 1 1 1 0 0 0 0 0 〜m(31) 0 0 0 1 1 1 1 1 ネットワーク部 ホスト部 a & m 0 1 0 0 0 0 0 0 64 ネットワークアドレス a & 〜m 0 0 0 1 1 0 1 0 26 ホストアドレス a | 〜m 0 1 0 1 1 1 1 1 95 ブロードキャスト
& m でネットワーク部,& 〜m でホスト部,| 〜m でブロードキャスト

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

用語解説:サブネットマスク・CIDR

問12

IPv4 ネットワークにおいて,サブネットマスクが 255.255.255.0 である四つのネットワーク 192.168.32.0,192.168.33.0,192.168.34.0,192.168.35.0 を,CIDR を使って最小のスーパーネットにしたときの,ネットワークアドレスとサブネットマスクの組合せとして,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

四つのネットワークの第 3 オクテットは 32=00100000,33=00100001,34=00100010,35=00100011 であり,上位 6 ビット(001000)が共通で,下位 2 ビットだけが異なる。共通部分は第 1・第 2 オクテットの 16 ビットと合わせて 22 ビットなので,最小のスーパーネットは 192.168.32.0/22,サブネットマスクは 255.255.252.0 になる。イが該当する。

アとウの 255.255.248.0(/21)は 192.168.32.0~192.168.39.255 までを含み,必要以上に広い。ウとエの 192.168.35.0 は,第 3 オクテットの下位ビットが 0 になっていないのでネットワークアドレスにならない。

経路の集約:192.168.32〜35.0 集約する範囲の第3オクテットを2進数で並べ,全てで共通している先頭のビットを数える。共通しているのは先頭 6 ビットなので,集約したアドレスは 192.168.32.0/22(255.255.252.0)。 192.168.32 0 0 1 0 0 0 0 0 192.168.33 0 0 1 0 0 0 0 1 192.168.34 0 0 1 0 0 0 1 0 192.168.35 0 0 1 0 0 0 1 1 共通 6 ビット 集約したアドレス:192.168.32.0/22(255.255.252.0)
全てに共通する先頭のビットまでがネットワーク部。それより短いと関係のない範囲まで含む

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

用語解説:サブネットマスク・CIDR

問13

ネットワークを構成するホストの IP アドレスとして用いることができるものはどれか。

正解 イ

解説

172.16.10.255/16 は,ネットワーク部が 172.16,ホスト部が 10.255 であり,ホスト部が全て 0 でも全て 1 でもないので,ホストの IP アドレスとして使える。イが該当する。第 4 オクテットが 255 でも,プレフィックス長によってはブロードキャストアドレスにならない。

アの 127 から始まるアドレスは自分自身を指すループバックアドレスである。ウの 192.168.255.255/24 はホスト部(最後の 8 ビット)が全て 1 のブロードキャストアドレスである。エの 224 から始まるアドレスはクラス D のマルチキャストアドレスで,ホストに割り当てるアドレスではない。

ホストに割り当てられる IP アドレス 127 で始まるアドレスは自分自身を指すループバック,224〜239 で始まるのはマルチキャストで,ホストには割り当てない。192.168.255.255/24 はホスト部(最後の8ビット)が全部1のブロードキャストアドレス。172.16.10.255/16 はホスト部が 10.255 で,全部1ではないので使える。 127.16.10.255/8 ループバック(127.x) 172.16.10.255/16 ホスト部 10.255 は全部1ではない 192.168.255.255/24 ホスト部 255 が全部1(ブロードキャスト) 224.168.10.255/8 マルチキャスト(224〜) 172.16.10.255 → 00001010.11111111:0 が混じるのでホストに使える
/16 ならホスト部は後ろの16ビット。末尾が255でも全部1とは限らない

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

OSPF と RIP の IPv6 対応に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

OSPF は,IPv4 用のバージョン 2(OSPFv2)とは別に,IPv6 に対応したバージョン 3(OSPFv3)が定められている。イが適切である。

RIP の IPv6 対応版は RIPng(RIP next generation)であり,ウの RIP バージョン 1 やエの RIP バージョン 2 は IPv4 用で IPv6 には対応していない。アの OSPF バージョン 2 も IPv4 用である。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

用語解説:IPv6 ルーティングプロトコル(RIP・OSPF・BGP)

問15

IP 電話の音声品質を表す指標のうち,ノイズ,エコー,遅延などから算出されるものはどれか。

正解 イ

解説

R 値は,ITU-T G.107 の E モデルで定義される音声品質の指標で,ノイズ,エコー,遅延,パケット損失などの伝送品質を表すパラメータから計算によって算出する(0~100 の値をとり,大きいほど品質が良い)。イが該当する。

アの MOS 値は,実際に人が音声を聞いて 5 段階で評価した結果を平均した主観評価の指標である。ウのジッタはパケットの到着間隔の揺らぎ,エのパケット損失率は失われたパケットの割合であり,いずれも R 値を算出する要素の一部で,それ自体が総合的な指標ではない。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

Web コンテンツを提供する際に CDN(Content Delivery Network)を利用することによって,副次的に影響を軽減できる脅威はどれか。

正解 ア

解説

CDN は,世界各地に配置したキャッシュサーバからコンテンツを配信する仕組みで,大量のアクセスが多数のサーバに分散される。本来の目的は配信の高速化や負荷分散だが,オリジンサーバに届くトラフィックが減るので,DDoS 攻撃の影響も副次的に軽減できる。アが該当する。

イの Man-in-the-Browser 攻撃は利用者の Web ブラウザ内のマルウェアによる攻撃,ウのパスワードリスト攻撃やエのリバースブルートフォース攻撃は正規の形式でログインを試みる攻撃であり,いずれもコンテンツの配信を分散しても影響は軽減されない。

CDN(コンテンツ配信網) 元のサーバ(オリジン)のコンテンツを,各地のキャッシュサーバにためておき,利用者は近くのキャッシュサーバから受け取る。アクセスが多数のキャッシュサーバに分散され,オリジンに届く通信が減るので,副次的に DDoS 攻撃の影響も軽くなる。 オリジン キャッシュ キャッシュ キャッシュ 利用者は近くのキャッシュから → オリジンの負荷が減る
アクセスを各地のキャッシュサーバに分散する

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

用語解説:DDoS 攻撃(リフレクション攻撃・Smurf 攻撃) MITB 攻撃とトランザクション署名

問17

RLO(Right-to-Left Override)を利用した手口はどれか。

正解 エ

解説

RLO(Right-to-Left Override)は,それ以降の文字列を右から左へ表示させる Unicode の制御文字である。ファイル名の途中に RLO を入れると,例えば実行形式のファイル“abc[RLO]gpj.exe”が“abcexe.jpg”のように表示され,画像ファイルなどに見せかけて利用者に開かせることができる。文字の表示順を変える制御文字で拡張子を偽装するエが正しい。

アは偽の警告で利用者を脅して対策ソフトを買わせるスケアウェア,イは攻撃を観察するためのおとりのシステムであるハニーポットの説明である。ウは SNMP のトラップを利用した監視の設定に関する記述で,RLO とは関係がない。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

用語解説:マルウェア(ルートキット・ポリモーフィック型・ビヘイビア法)

問18

暗号化装置における暗号化処理時の消費電力を測定するなどして,当該装置内部の秘密情報を推定する攻撃はどれか。

正解 イ

解説

暗号化処理中の消費電力や処理時間,電磁波などの物理的な情報を測定し,そこから装置内部の秘密鍵などを推定する攻撃をサイドチャネル攻撃という。消費電力を使うものは電力解析攻撃と呼ばれ,イが該当する。

アのキーロガーはキーボード入力を記録して ID やパスワードを盗むソフトウェアや装置,ウのスミッシングは SMS を使ったフィッシング,エの中間者攻撃は通信の途中に割り込んで盗聴や改ざんを行う攻撃である。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

なりすましメール対策に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

SPF は,ドメインの管理者が,そのドメインを送信元とする電子メールの送信に使うメールサーバの IP アドレスを DNS の SPF レコード(TXT レコード)に記述しておき,受信側がメールの送信元の IP アドレスと照合する送信ドメイン認証の仕組みである。エが適切である。

アは誤りで,DMARC ポリシーで指定できるのは,認証に失敗したメールを受け取る(none),隔離する(quarantine),拒否する(reject)の三つであり,送信元メールサーバに送り返すことは定められていない。イの IP25B は,ISP が他社 ISP の動的 IP アドレスから自社のメールサーバの 25 番ポートへの接続をブロックするもので,向きが逆である。ウの S/MIME では,送信者は自身の秘密鍵で署名を生成し,受信者は送信者の公開鍵で検証するので,鍵が逆である。

SPF・DKIM・DMARC の確かめ方 送信元ドメインの管理者は DNS に,送ってよいメールサーバの IP アドレス(SPF),署名を確かめる公開鍵(DKIM),認証に失敗したメールの扱い(DMARC)を登録する。送信側のメールサーバはメールに DKIM の署名を付ける。受信側のメールサーバは,接続してきたサーバの IP アドレスを SPF と照合し,署名を公開鍵で検証し,失敗したら DMARC の方針に従う。 送信側のメールサーバ DKIM の署名を付ける 受信側のメールサーバ 3つを確かめる メール 送信元ドメインの DNS SPF:送ってよいサーバの IP DKIM:署名を確かめる公開鍵 DMARC:失敗したときの扱い 引く ① 接続してきたサーバの IP アドレスが SPF にあるか ② メールの署名を DNS の公開鍵で検証できるか(DKIM) ③ 失敗したら DMARC の方針で受け取る・隔離・拒否
どれも送信元ドメインの DNS に登録し,受信側が引いて確かめる

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

用語解説:ディジタル署名(デジタル署名) 送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)

問20

マルウェアの検出手法であるビヘイビア法を説明したものはどれか。

正解 エ

解説

ビヘイビア法(動的ヒューリスティック法)は,検査対象のプログラムの振る舞いを監視し,マルウェアの感染や発病によって生じるファイルの書込み動作の異常や通信量の異常な増加などの変化を検知して感染を検出する手法である。未知のマルウェアも検出できる可能性がある。エが正しい。

アの定義ファイルのパターンと照合する手法はパターンマッチング法(シグネチャ法)である。イは感染していないことを保証する情報を付けておき不整合を調べるチェックサム法(インテグリティチェック法),ウは原本と比較するコンペア法の説明である。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

用語解説:ハッシュ関数 マルウェア(ルートキット・ポリモーフィック型・ビヘイビア法)

問21

IPsec に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

IPsec のトンネルモードでは,元の IP パケット全体(元の IP ヘッダーを含む)を暗号化し,新しい IP ヘッダーを付けて送信する。暗号化通信の区間(VPN 装置間など)では,エンドツーエンドの通信で用いる元の IP ヘッダーも暗号化されるので,内部のアドレスを隠せる。アが適切である。

イは誤りで,IKE は UDP のポート番号 500(NAT トラバーサルでは 4500)を使う。ウの HMAC-SHA1 は改ざんの検出(完全性の確認)に使うメッセージ認証のアルゴリズムであり,暗号化のアルゴリズムではない。エの認証や暗号化のアルゴリズムの取り決めは IKE で行うもので,AH は暗号化の機能をもたず認証と改ざん検出だけを提供する。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:VPN・IPsec

問22

PCI Express 3.0,PCI Express 4.0 及び PCI Express 5.0 を比較した記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

PCI Express の 1 レーン当たりの転送速度は,3.0 が 8GT/s,4.0 が 16GT/s,5.0 が 32GT/s で,世代が上がるごとに 2 倍になっている。アが適切である。

イは誤りで,PCI Express 4.0 もそれ以前の世代との後方互換性をもち,接続した機器どうしが対応する速度で動作する。エも誤りで,8b/10b 変換を使うのは 1.x と 2.0 であり,3.0 以降は符号化による損失の少ない 128b/130b 変換を使う。ウの最大レーン数は,実際のスロットでは x16 までの構成が一般的であり,三つの世代を比較した記述として適切なのはアである。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

ジョブの多重度が 1 で,到着順にジョブが実行されるシステムにおいて,表に示すジョブ A~C を処理するとき,ジョブ C が到着してから実行が終了するまでのターンアラウンドタイムは何秒か。ここで,OS のオーバーヘッドは考慮しない。

ジョブの到着時刻と処理時間(単独実行時)の表。単位は秒。ジョブAは到着時刻0・処理時間5,ジョブBは到着時刻2・処理時間6,ジョブCは到着時刻3・処理時間3。

正解 ア

解説

多重度 1 で到着順に実行するので,ジョブ A が時刻 0 から 5 まで実行され,その間に到着したジョブ B が 5 から 11 まで,ジョブ C が 11 から 14 まで実行される。ジョブ C は時刻 3 に到着して時刻 14 に終了するので,ターンアラウンドタイムは 14−3=11 秒であり,アになる。

エの 14 は到着時刻を差し引かずに終了時刻をそのまま答えた値である。イの 12 やウの 13 は,実行の順序や待ち時間を取り違えた値である。

到着順に実行するジョブのターンアラウンドタイム 多重度1で到着順に実行するので,ジョブ A が 0〜5 秒,その間に到着した B が 5〜11 秒,C が 11〜14 秒に実行される。C は 3 秒に到着して 14 秒に終わるので,ターンアラウンドタイムは 14−3=11 秒。 CPU A B C 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 A着 B着 C着 C のターンアラウンドタイム 14−3=11 秒 秒
ターンアラウンドタイムは「到着してから終わるまで」。待っている時間も含む

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

安全性と信頼性について,次の方針でプログラム設計を行う場合,その方針を表す用語はどれか。

〔方針〕

不特定多数の人が使用するプログラムには,自分だけが使用するプログラムに比べて,より多く,データチェックの機能を組み込む。プログラムが処理できるデータの前提条件を文書に書いておくだけでなく,プログラムについては前提条件を満たしていないデータが入力されたときは,エラーメッセージを表示して再入力を促すものとする。

正解 ア

解説

フールプルーフは,利用者が誤った操作をしたり想定外のデータを入力したりしても,システムが異常な動作をしないようにあらかじめ防いでおく考え方である。前提条件を満たさないデータが入力されたらエラーメッセージを出して再入力を促す,という方針はこれに当たる。アが正しい。

イのフェールセーフは故障したときに安全な側に倒す設計,ウのフェールソフトは故障時に機能を落としてでも運転を続ける設計,エのフォールトトレランスは構成要素を多重化して故障が起きても正常な動作を続けられるようにすること。いずれも故障が起きた後の備えであり,誤操作を未然に防ぐフールプルーフとは着眼点が違う。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

用語解説:信頼性設計(フェールセーフ・フェールソフト・フールプルーフ)

問25

バグトラッキングシステムの説明として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

バグトラッキングシステムは,発見された不具合を1件ずつ登録し,内容・発生したバージョン・再現手順・担当者・状態などを記録して,起票から修正完了までを追跡するツールである。名前のとおり「バグを追跡する」ことが役割なので,エが正しい。

アはデバッガの説明で,バグを見つけて原因を突き止める段階の道具。イはテストケースやテストドライバの作成を助けるテスト支援ツール。ウはバグ密度などの品質メトリクスを算出するツールの説明で,いずれもバグの記録と追跡を目的とするものではない。

出典:令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)