平成23年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
式 A+B×C の逆ポーランド表記法による表現として,適切なものはどれか。
- ア+×CBA
- イ×+ABC
- ウABC×+正解
- エCBA+×
正解 ウ
解説
逆ポーランド表記法(後置記法)では,演算子を被演算子の後ろに書く。A+B×C は乗算を先に行うので,まず B×C を BC× とし,それと A の加算を A(BC×)+ として ABC×+ となる。ウが正しい。
イの ×+ABC は演算子を前に置く前置記法のつもりでも,正しくは +A×BC である。アの +×CBA は正解の並びを逆にしただけで,式として成り立たない。エの CBA+× は C×(B+A) を表し,演算の優先順位が異なる。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
符号長7ビット,情報ビット数4ビットのハミング符号による誤り訂正の方法を,次のとおりとする。
受信した7ビットの符号語 x1 x2 x3 x4 x5 x6 x7(xk=0 又は 1)に対して
を計算し,c0,c1,c2 の中に少なくとも一つは 0 でないものがある場合には,
i = c₀+c₁×2+c₂×4
を求めて,左から i ビット目を反転することによって誤りを訂正する。
受信した符号語が 1000101 であった場合,誤り訂正後の符号語はどれか。
- ア1000001
- イ1000101
- ウ1001101
- エ1010101正解
正解 エ
解説
受信語 1000101 は x1=1,x2=0,x3=0,x4=0,x5=1,x6=0,x7=1。
c0=x1+x3+x5+x7=1+0+1+1=3→1,c1=x2+x3+x6+x7=0+0+0+1=1,c2=x4+x5+x6+x7=0+1+0+1=2→0(mod 2)。
i=1+1×2+0×4=3 なので,左から3ビット目を反転する。1000101 の3ビット目 0 を 1 にして 1010101 となる。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を h(x)=x mod n とすると,キー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。
- アa+b が n の倍数
- イa−b が n の倍数正解
- ウn が a+b の倍数
- エn が a−b の倍数
正解 イ
解説
衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。
例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
メモリインタリーブの説明として,適切なものはどれか。
- ア新しい情報をキャッシュメモリに取り出すとき,キャッシュ上では不要になった情報を主記憶に書き込む。
- イ主記憶のアクセス時間と磁気ディスクのアクセス時間とのギャップを補う。
- ウ主記憶の更新と同時にキャッシュメモリの更新を行う。
- エ主記憶を幾つかの区画に分割し,連続したメモリへのアクセスを高速化する。正解
正解 エ
解説
メモリインタリーブは,主記憶を幾つかの区画(バンク)に分割し,連続したアドレスを異なる区画に割り当てることで,連続したメモリへのアクセス要求を複数の区画で並行して処理し,アクセスを高速化する方式である。エが適切である。
アはキャッシュメモリから追い出す情報を主記憶に書き戻すライトバック方式の動作。イは主記憶と磁気ディスクのアクセス時間の差を補うディスクキャッシュ。ウは主記憶とキャッシュメモリを同時に更新するライトスルー方式の説明である。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
ジョブの多重度が1で,到着順にジョブが実行されるシステムにおいて,表に示す状態のジョブ A〜C を処理するとき,ジョブ C が到着してから実行が終了するまでのターンアラウンドタイムは何秒か。ここで,OS のオーバヘッドは考慮しないものとする。
正解 ア
解説
多重度 1 で到着順に実行するので,ジョブ A が時刻 0 から 5 まで実行され,その間に到着したジョブ B が 5 から 11 まで,ジョブ C が 11 から 14 まで実行される。ジョブ C は時刻 3 に到着して時刻 14 に終了するので,ターンアラウンドタイムは 14−3=11 秒であり,アになる。
エの 14 は到着時刻を差し引かずに終了時刻をそのまま答えた値である。イの 12 やウの 13 は,実行の順序や待ち時間を取り違えた値である。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
MTBF が x 時間,MTTR が y 時間のシステムがある。使用条件が変わったので,MTBF,MTTR がともに従来の 1.5 倍になった。新しい使用条件での稼働率はどうなるか。
- アx,y の値によって変化するが,従来の稼働率よりは大きい値になる。
- イ従来の稼働率と同じ値である。正解
- ウ従来の稼働率の1.5倍になる。
- エ従来の稼働率の2/3倍になる。
正解 イ
解説
稼働率は MTBF/(MTBF+MTTR) で求められる。MTBF と MTTR がともに 1.5 倍になると 1.5x/(1.5x+1.5y)=x/(x+y) となり,1.5 が約分されて元の稼働率と変わらない。
稼働率は MTBF と MTTR の比だけで決まるため,比が変わらない限り値も変わらない。よってア・ウ・エはいずれも誤り。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
タスクのディスパッチの説明として,適切なものはどれか。
- アあるタスクの実行中に,別のタスクに切り替え,かつ実行権を渡すこと正解
- イ各タスクの実行順序を決定すること
- ウタスクの内部状態,置かれた状況,与えられた条件など,タスクの実行に必要な各種情報のこと
- エ複数のタスクを同時に実行しているかのように見せかけた状態のこと
正解 ア
解説
ディスパッチは,OS がスケジューリングによって選んだ実行可能状態のタスクに CPU を割り当て,実行権を渡して実行状態にすることである。実行中のタスクから別のタスクに切り替えて実行権を渡すアが適切である。
イの各タスクの実行順序を決定するのはスケジューリング。ウのタスクの実行に必要な内部状態などの情報はコンテキスト(タスク制御ブロックに保持される情報)。エの複数のタスクを同時に実行しているように見せかけることはマルチタスク(時分割処理)の説明である。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
図の論理回路において,S=1,R=1,X=0,Y=1 のとき,S を一旦 0 にした後,再び1に戻した。この操作を行った後の X,Y の値はどれか。
- アX=0,Y=0
- イX=0,Y=1
- ウX=1,Y=0正解
- エX=1,Y=1
正解 ウ
解説
X=NOT(S・Y),Y=NOT(R・X) で動くラッチ回路である。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で,X=NOT(1・1)=0,Y=NOT(1・0)=1 と安定している。
S を 0 にすると X=NOT(0・Y)=1 になり,これを受けて Y=NOT(1・1)=0 に変わる。次に S を 1 に戻しても,Y=0 なので X=NOT(1・0)=1 のままで,Y=NOT(1・1)=0 も変わらない。操作後は X=1,Y=0 で,ウが正しい。S を一時的に 0 にすることで状態が反転し,戻した後もその状態が保持される(セット)。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
フールプルーフに該当するものはどれか。
- ア更新の対象となるデータをコピーして保存する。
- イ入力したデータの取消し操作を行うことができるようにする。
- ウメニュー画面上の使用権限のない機能は,実行できないようにする。正解
- エ利用者の操作内容をログとして保存する。
正解 ウ
解説
フールプルーフは,利用者が誤った操作をしても,システムが不適切な動作をしないように,あらかじめ誤りを起こせない仕組みにしておく考え方である。使用権限のない機能をメニュー画面から実行できないようにしておけば,誤って実行することを防げるので,ウが該当する。
アの更新対象データのコピーの保存とイの入力の取消し操作は,誤りが起きた後に元に戻すための対策。エの操作内容のログの保存は,誤りや不正を後から追跡するための対策で,いずれも誤りそのものを起こさせない仕組みではない。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
価格設定年月日に NULL を含む“商品”表に対して,次の問合せを行った。この検索結果の行数は幾つか。
SELECT 商品コード FROM 商品 WHERE 価格設定年月日<'2011-12-01'
正解 イ
解説
WHERE 句の条件“価格設定年月日<'2011-12-01'”を満たす行を数える。S001 の 2009-12-31 と S002 の 2008-03-31 は条件を満たす。S004 の 2011-12-01 は等しいので“より小さい”を満たさない。
S003 の価格設定年月日は NULL で,NULL との比較の結果は真でも偽でもない“不明”になり,WHERE 句では真のときだけ行が選ばれるので,検索結果に含まれない。したがって行数は2で,イが正しい。NULL を小さい値とみなすと3(ウ)と誤る。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
元のデータベースと同じ内容の複製データベースをあらかじめ用意しておき,元のデータベースの更新に対し,非同期にその内容を複製データベースに反映する手法はどれか。
- ア2相コミットメント
- イクラスタリング
- ウミラーリング
- エレプリケーション正解
正解 エ
解説
レプリケーションは,元のデータベースと同じ内容の複製データベースを用意し,元のデータベースの更新内容を非同期に(又は同期して)複製データベースに反映する手法である。エが正しい。
アの2相コミットメントは,分散データベースで複数のサイトの更新を全て確定するか全て取り消すかにそろえる手法で,複製を作るものではない。イのクラスタリングは,複数のコンピュータを連携させて一つのシステムとして動かし,可用性や性能を高める手法。ウのミラーリングは,同じデータを複数のディスクに同時に書き込む手法で,更新を同期して反映する。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
ルータの機能に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- アMAC アドレステーブルの登録情報によって,データフレームをあるポートだけに中継するか,全てのポートに中継するかを判断する。
- イOSI 基本参照モデルのデータリンク層において,ネットワーク同士を接続する。
- ウOSI 基本参照モデルのトランスポート層からアプリケーション層までの階層で,プロトコル変換を行う。
- エ伝送媒体やアクセス制御方式の異なるネットワークの接続が可能であり,送信データの IP アドレスを識別し,データの転送経路を決定する。正解
正解 エ
解説
ルータは,OSI 基本参照モデルのネットワーク層で動作し,パケットの宛先 IP アドレスを見て経路表からデータの転送経路を決定する。データリンク層より下の伝送媒体やアクセス制御方式が異なるネットワーク同士も接続できる。エが適切である。
アの MAC アドレステーブルによってポートへの中継を判断するのはスイッチングハブ(ブリッジ)。イのデータリンク層でネットワーク同士を接続するのはブリッジ。ウのトランスポート層からアプリケーション層までの階層でプロトコル変換を行うのはゲートウェイの説明である。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
電子メールの内容の機密性を高めるために用いられるプロトコルはどれか。
- アIMAP4
- イPOP3
- ウSMTP
- エS/MIME正解
正解 エ
解説
S/MIME は,電子メールの本文や添付ファイルを暗号化したり,ディジタル署名を付けたりするための標準で,電子メールの内容の機密性を高めるのに用いられる。エが正しい。
アの IMAP4 とイの POP3 は,メールサーバから電子メールを受信するためのプロトコル。ウの SMTP は,電子メールを送信・転送するためのプロトコルで,いずれも内容を暗号化する機能はもたない。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
ディジタル署名を生成するときに,発信者がメッセージのハッシュ値をディジタル署名に変換するのに使う鍵はどれか。
- ア受信者の公開鍵
- イ受信者の秘密鍵
- ウ発信者の公開鍵
- エ発信者の秘密鍵正解
正解 エ
解説
ディジタル署名では,発信者が自分だけがもつ秘密鍵でメッセージのハッシュ値を暗号化して署名を生成し,受信者は発信者の公開鍵で署名を検証する。秘密鍵を持っているのは発信者本人だけなので,署名が本人によって作られたことを確かめられる。エが正しい。
ウの発信者の公開鍵は署名の検証に使う鍵である。アとイの受信者の鍵は,受信者あてにメッセージを暗号化して秘密にする場合に使うもので,ディジタル署名の生成には使わない。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
パケットフィルタリング型ファイアウォールのフィルタリングルールを用いて,本来必要なサービスに影響を及ぼすことなく防げるものはどれか。
- ア外部に公開していないサービスへのアクセス正解
- イサーバで動作するソフトウェアのセキュリティの脆弱性を突く攻撃
- ウ電子メールに添付されたファイルに含まれるマクロウイルスの侵入
- エ電子メール爆弾などの DoS 攻撃
正解 ア
解説
パケットフィルタリング型ファイアウォールは,パケットのヘッダにある IP アドレスやポート番号などを見て通過の可否を判断する。外部に公開しないサービスのポート番号宛てのパケットを遮断すれば,公開している必要なサービスに影響を与えずに,そのサービスへのアクセスを防げる。アが適切である。
イの脆弱性を突く攻撃は,公開しているサービスの正規のポートへの通信に紛れて届くので,ヘッダの情報だけでは区別できない。ウのマクロウイルスは電子メールの添付ファイルの中身にあり,パケットのヘッダでは判断できない。エの電子メール爆弾も正規のメールの通信として届くので,メールサービスを止めずに遮断することはできない。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
ブラックボックステストにおけるテストケースの設計に関する記述として,適切なものはどれか。
- ア実データからテストデータを無作為に抽出して,テストケースを設計する。
- イ実データのうち使用頻度が高いものを重点的に抽出して,テストケースを設計する。
- ウプログラムがどのような機能を果たすのかを仕様書で調べて,テストケースを設計する。正解
- エプログラムの全命令が少なくとも1回は実行されるように,テストケースを設計する。
正解 ウ
解説
ブラックボックステストは,プログラムの内部構造を考慮せず,仕様書に記述された機能に基づいて,入力と出力の関係が正しいかを確認するテストである。プログラムが果たすべき機能を仕様書で調べてテストケースを設計するウが適切である。
エのプログラムの全命令が少なくとも1回は実行されるように設計するのは,内部構造に着目するホワイトボックステストの命令網羅である。アの無作為な抽出やイの使用頻度が高い実データの抽出だけでは,仕様の境界値や異常な入力を網羅的に確かめることができない。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
知的財産権戦略として,特許化されていない技術を特許出願せずにノウハウとして秘匿することが適切な例はどれか。
- ア社内の秘密保持体制が構築できない場合
- イセキュリティ分野のソフトウェアで,アルゴリズムを公開したくない場合正解
- ウ他社に積極的に技術使用許諾して,ライセンス収入を得たい場合
- エリバースエンジニアリングによって技術が容易に明らかになる場合
正解 イ
解説
特許を出願すると,その内容は公開される。セキュリティ分野のソフトウェアでアルゴリズムを公開すると,その仕組みを知った攻撃者に破られる手掛かりを与えるおそれがあるので,特許出願せずにノウハウとして秘匿するのが適切である。イが該当する。
アの社内の秘密保持体制を構築できない場合は,秘密が漏れて他社に先に権利化されるおそれがあるので,特許出願して権利を確保するほうがよい。ウのライセンス収入を得たい場合は,特許権を取得して使用許諾するのが適している。エのリバースエンジニアリングで技術が容易に明らかになる場合は,秘匿しても守れないので特許で保護するほうがよい。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
プロジェクトの工程管理や進捗管理に使用されるガントチャートの特徴はどれか。
- ア各作業の開始時点と終了時点が一目で把握できる。正解
- イ各作業の前後関係が明確になり,クリティカルパスが把握できる。
- ウ各作業の余裕日数が容易に把握できる。
- エ各作業を要素に分解することによって,管理がしやすくなる。
正解 ア
解説
ガントチャートは,縦軸に作業項目,横軸に時間をとり,各作業の予定や実績を横棒で表した図である。各作業の開始時点と終了時点,期間が一目で把握でき,進捗を管理しやすい。アが該当する。
一方で,ガントチャートでは作業間の前後関係が表しにくいので,イのクリティカルパスの把握や,ウの各作業の余裕日数の把握には,アローダイアグラム(PERT 図)が適している。エの作業を要素に分解して管理しやすくするのは WBS の特徴である。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
アプリケーションにおける外部入力,外部出力,内部論理ファイル,外部インタフェースファイル,外部照会の五つの要素の個数を求め,それぞれを重み付けして集計する。集計した値がソフトウェア開発の規模に相関するという考え方に基づいて,開発規模の見積りに利用されるものはどれか。
- アCOCOMO
- イDoty モデル
- ウPutnam モデル
- エファンクションポイント法正解
正解 エ
解説
ファンクションポイント法は,アプリケーションの外部入力,外部出力,内部論理ファイル,外部インタフェースファイル,外部照会の五つの要素の個数を数え,複雑さに応じて重み付けして集計した値(ファンクションポイント)がソフトウェアの規模に相関するという考え方で,開発規模を見積もる手法である。エが正しい。
アの COCOMO は,プログラムの規模(ステップ数)から開発工数を見積もるモデル。イの Doty モデルもプログラムの規模(ステップ数)から工数を算出するモデル。ウの Putnam モデルは,開発規模と期間,工数の関係をソフトウェアの生産性を表す方程式でとらえるモデルで,いずれも五つの要素の個数を数える方法ではない。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
SLA を策定する際の方針のうち,適切なものはどれか。
- ア考えられる全ての項目に対し,サービスレベルを設定する。
- イ顧客の要望とコストとの兼ね合いで,サービスレベルを設定する。正解
- ウサービスレベルを設定する全ての項目に対し,ペナルティとしての補償を設定する。
- エ将来にわたって変更が不要なサービスレベルを設定する。
正解 イ
解説
SLA(サービスレベル合意書)では,顧客が求めるサービスの水準と,それを実現するために必要なコストとの兼ね合いを考え,双方が合意できる現実的なサービスレベルを設定する。イが適切である。
アの考えられる全ての項目に対して設定すると,管理の負担やコストが過大になるので,重要な項目に絞って設定する。ウの全ての項目にペナルティとしての補償を設定する必要はない。エは誤りで,サービスレベルは業務の変化などに応じて定期的に見直す必要がある。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
IT サービスマネジメントの変更管理プロセスにおける変更要求の扱いのうち,適切なものはどれか。
- ア緊急の変更要求に対応するために,変更による影響範囲などについてのアセスメントを実施せずに実装した。
- イ顧客からの変更要求だったので,他の変更要求より無条件に優先して実装した。
- ウ変更要求を漏れなく管理するために,承認されなかった変更要求も記録した。正解
- エ法改正への対応だったので,変更に要するコストは見積もらずに実装した。
正解 ウ
解説
変更管理プロセスでは,変更要求を受け付けたら,承認されたかどうかにかかわらず記録し,その後の評価,承認,実装,レビューの状況を追跡できるようにする。承認されなかった変更要求も記録しておくことで,変更要求を漏れなく管理できる。ウが適切である。
アの緊急の変更要求であっても,影響範囲などのアセスメントは必要で,緊急変更の手順に従って速やかに評価する。イの顧客からの変更要求でも,無条件に優先するのではなく,影響や緊急度を評価して優先度を決める。エの法改正への対応であっても,変更に要するコストは見積もって評価する必要がある。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
ドキュメント管理において,稼働しているシステムの仕様とドキュメントの内容が一致しないリスクを低減するコントロールのチェックポイントはどれか。
- ア開発工程において,ドキュメント一覧をあらかじめ決めておくこと
- イドキュメント作成計画に基づき,その進捗管理を行うこと
- ウドキュメントの機密性を確保するための対策を講じること
- エプログラム変更に伴い,ドキュメントを遅滞なく更新すること正解
正解 エ
解説
稼働しているシステムの仕様とドキュメントの内容が一致しなくなるのは,プログラムを変更したのにドキュメントを更新しないことが主な原因である。プログラムを変更したら遅滞なくドキュメントを更新していることは,このリスクを低減するコントロールのチェックポイントになる。エが該当する。
アのドキュメント一覧をあらかじめ決めておくことと,イのドキュメント作成計画に基づく進捗管理は,開発時にドキュメントを漏れなく作成するためのもので,稼働後の変更への追従を確かめるものではない。ウのドキュメントの機密性の確保は,情報漏えいのリスクへの対策である。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
情報化投資計画において,投資価値の評価指標である ROI を説明したものはどれか。
- ア売上増やコスト削減などによって創出された利益額を投資額で割ったもの正解
- イ売上高投資金額比,従業員当たりの投資金額などを他社と比較したもの
- ウ現金流入の現在価値から,現金流出の現在価値を差し引いたもの
- エプロジェクトを実施しない場合の,市場での競争力を表したもの
正解 ア
解説
ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割った比率。投じた資金がどれだけの利益を生んだかを表す。
イはベンチマーキング,ウは NPV(正味現在価値)の説明。エは投資評価の指標ではない。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
情報戦略における全体最適化計画策定の段階で,業務モデルを定義する目的はどれか。
- ア企業の全体業務と使用される情報の関連を整理し,情報システムのあるべき姿を明確化すること正解
- イシステム化の範囲や開発規模を把握し,システム化に要する期間,開発工数,開発費用を見積もること
- ウ情報システムの構築のために必要なハードウェア,ソフトウェア,ネットワークなどの構成要素を洗い出すこと
- エ情報システムを実際に運用するために必要なユーザマニュアルや運用マニュアルを作成するために,業務手順を確認すること
正解 ア
解説
全体最適化計画の策定では,企業の全体業務とそこで使われる情報の関連を業務モデルとして整理し,組織全体として情報システムがどうあるべきかを明確にする。業務モデルを定義する目的はアである。
イのシステム化の範囲や開発規模を把握して期間,工数,費用を見積もるのは,個別の開発計画(システム化計画)の段階で行う。ウのハードウェアやソフトウェアなどの構成要素の洗い出しは,システムの設計の段階で行う。エのユーザマニュアルや運用マニュアルの作成に向けた業務手順の確認は,導入や運用の準備の段階で行う。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
“提案評価方法の決定”に始まる調達プロセスを,調達先との契約締結,調達先の選定,提案依頼書(RFP)の発行,提案評価に分類して順番に並べたとき,c に入るものはどれか。
- ア調達先との契約締結
- イ調達先の選定正解
- ウ提案依頼書(RFP)の発行
- エ提案評価
正解 イ
解説
調達プロセスは,提案評価方法を決めた後,提案依頼書(RFP)を発行してベンダに提案を求め(a),提出された提案を評価し(b),評価の結果に基づいて調達先を選定し(c),最後に調達先と契約を締結する(d)という順に進む。c に入るのは調達先の選定で,イが正しい。
アの調達先との契約締結は d,ウの提案依頼書(RFP)の発行は a,エの提案評価は b に入る。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
現在の動向から未来を予測したり,システム分析に使用したりする手法であり,専門的知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い,その結果を互いに参照した上で調査を繰り返して,集団としての意見を収束させる手法はどれか。
- ア因果関係分析法
- イクロスセクション法
- ウ時系列回帰分析法
- エデルファイ法正解
正解 エ
解説
デルファイ法は,専門的な知識や経験をもつ複数の人に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら答え直してもらうことで,集団としての意見を収束させる予測手法。匿名で行うため,立場や声の大きさに引きずられにくい。エが正しい。
アの因果関係分析法は原因と結果の関係をたどって分析する手法,イのクロスセクション法は同時点の複数のデータを横断的に比較する手法,ウの時系列回帰分析法は過去の時系列データに回帰式を当てはめて先を読む手法である。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
“技術の S カーブ”の説明として,適切なものはどれか。
- ア技術の期待感の推移を表すものであり,黎明期,流行期,反動期,回復期,安定期に分類される。
- イ技術の進歩の過程を表すものであり,当初は緩やかに進歩するが,やがて急激に進歩し,成熟期を迎えると進歩は停滞気味になる。正解
- ウ工業製品において生産量と生産性の関係を表すものであり,生産量の累積数が増加するほど生産性は向上する傾向にある。
- エ工業製品の故障発生の傾向を表すものであり,初期故障期間では故障率は高くなるが,その後の偶発故障期間での故障率は低くなり,製品寿命に近づく摩耗故障期間では故障率は高くなる。
正解 イ
解説
技術の S カーブは,技術の進歩の過程を表す曲線で,初めは研究開発に努力を注いでも性能の向上は緩やかだが,ある時点から急速に進歩し,成熟期に入ると限界に近づいて進歩が停滞する。進歩を時間に対して描くと S 字形になることからこう呼ばれる。イが適切である。
アは技術に対する期待の変化を表すハイプサイクル,ウは累積生産量が増えるほど単位当たりのコストが下がり生産性が向上する経験曲線(学習曲線),エは故障率の時間的変化を表すバスタブ曲線の説明である。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
電機メーカの A 社は,GPL が適用されたオープンソースソフトウェアの一部を改変した二次的著作物を搭載してテレビの新製品を開発した。この製品を販売するに当たり,A 社が求められる GPL のルールに則した適切な対応はどれか。
- ア請求があれば A 社が修正した部分を含む全ての二次的著作物のソースコードを公開しなければならない。正解
- イ二次的著作物に静的にリンクしている,別のアプリケーションのソースコードは公開しなくてもよい。
- ウ二次的著作物のソースコードを公開する際には,諸費用などの対価を請求してはならない。
- エ二次的著作物を入手した購入者が,その複製を再配布することを禁止しなければならない。
正解 ア
解説
GPL(GNU General Public License)では,GPL が適用されたソフトウェアを改変した二次的著作物を配布する場合,その二次的著作物にも GPL を適用し,入手した者の求めに応じて,改変した部分を含むソースコードを提供しなければならない。アが適切である。
イは誤りで,GPL のソフトウェアに静的にリンクして一体となったプログラムは二次的著作物とみなされ,そのソースコードも公開の対象になる。ウは誤りで,GPL は配布や複製に掛かる実費などの対価を請求することを認めている。エは誤りで,GPL は受け取った者が複製して再配布する自由を保障しており,それを禁止することはできない。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
経営会議で来期の景気動向を議論したところ,景気は悪化する,横ばいである,好転するという三つの意見に完全に分かれてしまった。来期の投資計画について,積極的投資,継続的投資,消極的投資のいずれかに決定しなければならない。表の予想利益については意見が一致した。意思決定に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア混合戦略に基づく最適意思決定は,積極的投資と消極的投資である。
- イ純粋戦略に基づく最適意思決定は,積極的投資である。
- ウマクシマックス原理に基づく最適意思決定は,継続的投資である。
- エマクシミン原理に基づく最適意思決定は,消極的投資である。正解
正解 エ
解説
マクシミン原理は,各案について最悪の場合の利益を求め,その中で最も大きいものを選ぶ考え方。景気が悪化したときの利益は積極的投資50万円,継続的投資100万円,消極的投資400万円で,最も大きいのは消極的投資の400万円。したがってマクシミン原理での最適意思決定は消極的投資になり,エが正しい。
ウのマクシマックス原理は各案の最良の場合を比べる考え方で,最大値は積極的投資の500万円なので,継続的投資とするのは誤り。ア・イの混合戦略や純粋戦略は,相手の出方によって利得が決まるゲーム理論の用語で,景気動向のように意思をもたない自然を相手にする不確実性下の意思決定には当てはまらない。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
特段の措置をとらずになされた個人情報取扱事業者の行為のうち,個人情報保護法に照らして適法な行為はどれか。
- ア開催したセミナで回収した,商品企画立案を目的としたアンケートに記載された参加者の氏名及び住所を,自社の販売促進セミナ案内用ダイレクトメール発送先住所録に登録した。
- イ開設している Web サイトの問合せページで自社製品販売促進ダイレクトメール送付可否欄に可と記入した依頼者の氏名及び住所を,自社の製品販売促進用ダイレクトメール発送先住所録に登録した。正解
- ウ自社が主催した市場動向に関する勉強会の参加者リストの内容を,自社の子会社の製品販売促進用メールマガジン発送先アドレスリストに登録した。
- エ従業員が参加した同窓会で配布された同窓生名簿に記載されている,同窓生の氏名及び電話番号を,自社製品販売促進用コールセンタのアウトバウンド用電話番号リストに登録した。
正解 イ
解説
個人情報保護法は,個人情報を取得するときに利用目的を特定して本人に通知又は公表し,その範囲を超えて利用することや,本人の同意なく第三者に提供することを制限している。Web サイトの問合せページでダイレクトメールの送付を“可”と記入した依頼者の氏名と住所を,そのダイレクトメールの発送先住所録に登録することは,本人が同意した目的の範囲内での利用なので適法である。イが該当する。
アは商品企画立案という利用目的で取得した情報を,販売促進のダイレクトメールという別の目的に使っており,目的外利用に当たる。ウは自社の勉強会の参加者の情報を子会社に渡しており,子会社は別の法人なので本人の同意のない第三者提供に当たる。エは従業員が私的に入手した同窓生名簿を,本人に利用目的を通知せずに販売促進に使っており,適正な取得や利用目的の通知の定めに反する。
出典:平成23年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)