平成29年度 春期 午前Ⅰ

平成29年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

(1+α)n の計算を,1+n×α で近似計算ができる条件として,適切なものはどれか。

正解 

解説

二項定理により (1+α)n=1+nα+{n(n−1)/2}α2+… と展開できる。|α| が1に比べて非常に小さければ,α2 以降の項は nα に比べて無視できるほど小さくなるので,1+n×α で近似できる。アが適切である。

イのように |α| が大きいと α2 以降の項が大きくなり,近似が成り立たない。ウの |α÷n| が1より大きい場合やエの |n×α| が1より大きい場合も,α が十分に小さいことが保証されず,2次以降の項を無視できない。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

あるプログラム言語において,識別子(identifier)は,先頭が英字で始まり,それ以降に任意個の英数字が続く文字列である。これを BNF で定義したとき,a に入るものはどれか。

BNF の定義。<digit> ::= 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9。<letter> ::= A | B | C | … | X | Y | Z | a | b | c | … | x | y | z。<identifier> ::= [ a ]。

正解 

解説

識別子は“英字1文字”から始まり,その後ろに英字又は数字を任意個つなげたものである。<identifier> ::= <letter> | <identifier><digit> | <identifier><letter> と定義すると,まず英字1文字が識別子になり,識別子の後ろに数字又は英字を付けたものも識別子になるので,先頭が英字で以降に任意個の英数字が続く文字列を全て表せる。エが正しい。

アとイは <digit> 単独も識別子としているので,数字1文字や数字で始まる文字列を許してしまう。ウは識別子の後ろに数字しか付けられないので,“ab”のように2文字目以降に英字を含む識別子を表せない。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

次の流れ図の処理で,終了時の x に格納されているものはどれか。ここで,与えられた a,b は正の整数であり,mod(x,y) は x を y で割った余りを返す。

流れ図。開始 → x ← a,y ← b → ループ1(y=0 になるまで繰り返す)の中で t ← mod(x,y),x ← y,y ← t → ループ1 の終わり → 終了。

正解 

解説

流れ図は y が0になるまで,x を y で割った余りを t とし,x に y,y に t を入れる操作を繰り返している。これは,二つの数の最大公約数は“小さいほうの数”と“大きいほうを小さいほうで割った余り”の最大公約数に等しいことを使うユークリッドの互除法である。余りが0になった時点の x が最大公約数になるので,イが正しい。

例えば a=12,b=8 のとき,(x,y) は (12,8)→(8,4)→(4,0) と変わり,x=4 は12と8の最大公約数になる。最小公倍数は a×b÷最大公約数で求めるもので,この流れ図の結果ではない。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

問4

15 M バイトのプログラムを圧縮した状態でフラッシュメモリに格納している。プログラムの圧縮率が 40%,フラッシュメモリから主記憶への転送速度が 20 M バイト/秒であり,1 M バイトに圧縮されたデータの展開に主記憶上で 0.03 秒が掛かるとき,このプログラムが主記憶に展開されるまでの時間は何秒か。ここで,フラッシュメモリから主記憶への転送と圧縮データの展開は同時には行われないものとする。

正解 

解説

圧縮率 40%なので,フラッシュメモリに格納されている圧縮後のプログラムは 15×0.4=6 M バイトである。これを 20 M バイト/秒で主記憶に転送するのに 6÷20=0.3 秒掛かる。

1 M バイトの圧縮データの展開に 0.03 秒掛かるので,6 M バイトの展開には 6×0.03=0.18 秒掛かる。転送と展開は同時に行われないので,合計は 0.3+0.18=0.48 秒となり,アが正しい。圧縮前の 15 M バイトで計算すると 0.75+0.45=1.20 秒(エ)となる。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

図に示す二つの装置から構成される並列システムの稼働率は幾らか。ここで,どちらか一つの装置が稼働していればシステムとして稼働しているとみなし,装置 A,B とも,MTBF は 450 時間,MTTR は 50 時間とする。

装置 A と装置 B が並列に接続された図。

正解 

解説

装置1台の稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR)=450÷(450+50)=0.9 である。

並列システムはどちらか一方が稼働していればよいので,稼働率は 1−(両方とも停止している確率)=1−(1−0.9)×(1−0.9)=1−0.01=0.99 となる。エが正しい。アの 0.81 は 0.9×0.9 で,両方が稼働していなければならない直列システムの稼働率である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

4ブロックのキャッシュメモリ C0〜C3 が表に示す状態である。ここで,新たに別のブロックの内容をキャッシュメモリにロードする必要が生じたとき,C2 のブロックを置換の対象とするアルゴリズムはどれか。

キャッシュメモリの状態の表。列はキャッシュメモリ,ロード時刻(分:秒),最終参照時刻(分:秒),参照回数。C0 はロード時刻 0:00,最終参照時刻 0:08,参照回数 10。C1 は 0:03,0:06,1。C2 は 0:04,0:05,3。C3 は 0:05,0:10,5。

正解 

解説

C2 のブロックに当てはまる特徴を表から探す。最終参照時刻が 0:05 で4ブロックの中で最も古いので,最も長い間参照されていないブロックを置き換える LRU(Least Recently Used)なら C2 が対象になる。エが正しい。

アの FIFO は最も早くロードされたブロックを置き換えるので,ロード時刻 0:00 の C0 が対象。イの LFU は参照回数が最も少ないブロックを置き換えるので,参照回数1の C1 が対象。ウの LIFO は最も新しくロードされたブロックを置き換えるので,ロード時刻 0:05 の C3 が対象となる。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

問7

図の回路が実現する論理式はどれか。ここで,論理式中の“・”は論理積,“+”は論理和を表す。

論理回路。A を否定したものと B を論理積素子に入れ,A と B を別の論理積素子に入れ,二つの論理積素子の出力を論理和素子に入れて F とする。

正解 

解説

上の論理積素子には A の否定と B が入るので出力は Ā・B,下の論理積素子には A と B が入るので出力は A・B になる。これらの論理和をとると F=Ā・B+A・B=(Ā+A)・B=B となり,イが正しい。

A の値に関係なく,B が1なら上下どちらかの論理積素子が1を出力し,B が0ならどちらも0を出力する。アの F=A,ウの F=A・B,エの F=A+B は,いずれも A=1,B=0 のときに1になる場合や A=0,B=1 のときに0になる場合があり,回路の出力と一致しない。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

トランザクション A と B が,共通の資源であるテーブル a と b を表に示すように更新するとき,デッドロックとなるのはどの時点か。ここで,表中の①〜⑧は処理の実行順序を示す。また,ロックはテーブルの更新直前にテーブル単位で行い,アンロックはトランザクション終了時に行うものとする。

処理の実行順序の表。トランザクション A:①トランザクション開始,③テーブル a 更新,⑤テーブル b 更新,⑦トランザクション終了。トランザクション B:②トランザクション開始,④テーブル b 更新,⑥テーブル a 更新,⑧トランザクション終了。

正解 

解説

ロックは更新直前に取得し,トランザクション終了まで解放しない。③でトランザクション A がテーブル a をロックし,④でトランザクション B がテーブル b をロックする。⑤で A はテーブル b を更新しようとするが,B がロックしているので解放を待つ。

⑥で B はテーブル a を更新しようとするが,A がロックしているので解放を待つ。この時点で A は B を,B は A を待ち合う状態になり,どちらも終了できないのでデッドロックとなる。エが正しい。⑤の時点では A が待たされているだけで,B は処理を続けられるのでまだデッドロックではない。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

ビッグデータの利用におけるデータマイニングを説明したものはどれか。

正解 

解説

データマイニングは,蓄積された大量のデータを統計や機械学習の手法で分析し,条件を指定した検索では見つからない規則性や相関関係を掘り出す(mining)ことをいう。アがこれに当たる。

イはデータウェアハウスから特定の用途向けに切り出したデータマートの説明。ウはデータの構造や意味を規定したデータモデルの説明。エは複数サーバにデータの複製を置くレプリケーションの説明である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

問10

イーサネットで使用されるメディアアクセス制御方式である CSMA/CD に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 

解説

CSMA/CD は,送信前に伝送路が使われていないかを調べ(Carrier Sense),空いていれば送信する。同時に送信されて衝突が起きたことを検出したら(Collision Detection)送信を中断し,ランダムな時間だけ待ってから再送する。アが正しい。

イはタイムスロットで分割する TDMA(時分割多元接続)。ウは無線 LAN の CSMA/CA で,無線では衝突を検出できないため RTS/CTS で事前に調整し,ACK で受信を確認する。エはトークンパッシング方式の説明である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

問11

OpenFlow を使った SDN(Software-Defined Networking)の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

SDN(Software-Defined Networking)は,ネットワーク機器のデータを転送する機能(データプレーン)と経路などを制御する機能(コントロールプレーン)を分離し,コントローラと呼ばれるソフトウェアによってネットワーク全体を集中的に制御・管理するアーキテクチャである。OpenFlow はコントローラとスイッチの間で制御情報をやり取りする代表的なプロトコル。イが適切である。

アは物理サーバ内の仮想スイッチによる仮想サーバ同士の通信で,SDN の説明ではない。ウは通信プロトコルの形式的な記述方法に関する規格の説明。エは機器内部のソフトウェアをオープンソースで実装する方式で,制御機能を機器から分離して集中管理する SDN の考え方とは異なる。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

問12

A 社の Web サーバは,サーバ証明書を使って TLS 通信を行っている。PC から A 社の Web サーバへの TLS を用いたアクセスにおいて,当該 PC がサーバ証明書を入手した後に,認証局の公開鍵を利用して行う動作はどれか。

正解 

解説

サーバ証明書には,認証局がサーバの公開鍵などの情報に対して自身の秘密鍵で付けたデジタル署名が含まれている。PC はあらかじめ持っている認証局の公開鍵でこの署名を検証し,サーバ証明書が正当な認証局から発行され改ざんされていないことを確かめる。ウが正しい。

アとエは誤り。共通鍵の元になる情報や秘匿データを暗号化するときに使うのは,サーバ証明書に含まれるサーバの公開鍵であり,認証局の公開鍵ではない。イは誤り。公開鍵で暗号化されたデータを復号できるのは対になる秘密鍵を持つ側で,PC が認証局の公開鍵で共通鍵を復号することはない。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

問13

暗号方式に関する説明のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

共通鍵暗号方式で相手ごとに秘密の通信をするには,通信相手ごとに別々の鍵を用意して安全に共有・保管しなければならない。n 人が互いに秘密の通信をするには n(n−1)/2 個の鍵が必要になり,相手が増えるほど鍵管理の手間が増える。アが適切である。

イは誤り。共通鍵暗号方式は送信者と受信者が同じ鍵を使うので,相手にその鍵を安全に渡す必要がある。ウは誤り。内容を秘密にする通信では,暗号化鍵(公開鍵)を公開し,復号鍵(秘密鍵)は受信者だけが秘密に保管する。エは誤り。署名に用いる鍵は署名者の秘密鍵で,公開するのは署名を検証するための公開鍵である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

問14

経済産業省と IPA が策定した“サイバーセキュリティ経営ガイドライン(Ver 1.1)”の説明はどれか。

正解 

解説

サイバーセキュリティ経営ガイドライン(Ver 1.1)は,経営者が認識すべき“3原則”と,経営者がサイバーセキュリティ対策を実施する上での責任者となる担当幹部(CISO など)に指示すべき“重要10項目”をまとめたものである。アが該当する。

イは情報セキュリティマネジメントシステムの要求事項を定めた JIS Q 27001(ISMS)の説明。ウは IT ガバナンスと IT マネジメントに分けてプロセスを定義した COBIT の説明。エはサイバーセキュリティに関する施策を推進するための国の責務などを定めたサイバーセキュリティ基本法の説明である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

無線 LAN 環境における WPA2-PSK の機能はどれか。

正解 

解説

WPA2-PSK は,アクセスポイントと端末に同じ事前共有鍵(Pre-Shared Key,パスワード)を設定し,それを基に認証と暗号化を行う方式である。アクセスポイントと同じ SSID とパスワードが設定された端末だけが接続できるので,イが適切である。

アは誤り。SSID は無線 LAN を識別する名前で,暗号化の鍵ではない。ウは誤り。WPA2 はセキュリティの規格で,IEEE 802.11ac などの通信規格で接続を制限するものではない。エは誤り。利用者ごとに認証してアクセス権限を識別するのは IEEE 802.1X を使う WPA2-Enterprise で,SSID を利用者ごとに付与するものでもない。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

問16

汎化の適切な例はどれか。

正解 

解説

汎化は,複数のクラスに共通する性質をまとめて上位のクラスとする関係で,下位のクラスは“上位のクラスの一種である(is-a)”といえる。人,犬,猫はいずれも哺乳類の一種なので,アが汎化の適切な例である。

イのアクセル,ブレーキ,ハンドルは自動車の一種ではなく,自動車を構成する部品なので,全体と部分の関係(集約)である。ウの受注,在庫,出荷は商品の一種ではなく,商品に関連する業務や情報である。エの会社名,住所,電話番号は取引先の一種ではなく,取引先がもつ属性である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

アジャイル開発で“イテレーション”を行う目的のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

アジャイル開発のイテレーションは,設計から実装・テストまでを短い期間で1周させ,動くソフトウェアを繰り返し顧客に見せる進め方。早い段階で顧客の要求との食い違いに気付いて直せるうえ,途中で要求が変わっても次の周回で取り込める。アが正しい。

イのタスクの実施状況の可視化はタスクボード(かんばん),ウのドライバとナビゲータを交代させるのはペアプログラミング,エの毎日決まった時刻の状況共有はデイリースクラム(朝会)の目的である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

図のアローダイアグラムから読み取ったことのうち,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日は0日目とする。

アローダイアグラム(矢印の上が作業名,下が所要日数)。開始から A(5日)と B(10日)。B の後からダミー作業で A の後の結合点につながる。その結合点から C(20日),D(30日),E(10日)。C の後に G(20日)。B の後に F(10日)。E と F は同じ結合点に入り,そこからダミー作業で G と D が入る結合点につながる。その結合点の後に H(10日)で終了。

正解 

解説

開始日を0日目として,各結合点に最も早く到達できる日数を求める。A の後の結合点には,A 経由の5日と,B からのダミー作業経由の10日のうち遅い10日で到達する。そこから C の後が30日,E の後と F の後が合流する結合点は 10+10=20日,H の手前は G 経由 30+20=50日,D 経由 10+30=40日,ダミー作業経由20日のうち50日で,全体は60日になる。

逆に最も遅く到達すればよい日数は,H の手前が50日,E と F の合流点も(ダミー作業でつながるので)50日である。E は最も早く10日目に開始でき,最も遅くは 50−10=40日目に開始すればよいので,余裕日数は30日となり,ウが正しい。

アの C の最早開始は5日目ではなく10日目。イの D は 10+30=40日で H の手前に着くが最も遅くは50日でよく,余裕が10日あるのでクリティカルパス上にない(クリティカルパスは B,ダミー,C,G,H)。エの F の最遅開始は 50−10=40日目である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

問19

PMBOK ガイド 第5版によれば,定量的リスク分析で実施することはどれか。

正解 

解説

PMBOK ガイド第5版は,定量的リスク分析を,特定したリスクがプロジェクト全体の目標に与える影響を数量的に分析するプロセスとしている。モンテカルロ・シミュレーションや感度分析,デシジョンツリー分析などの手法を用いる。アが該当する。

イの発生確率や影響度を評価してリスクに優先順位を付けるのは定性的リスク分析。ウのリスクへの対応計画を策定するのはリスク対応計画。エのプロジェクトに影響を与える可能性があるリスクを洗い出すのはリスクの特定である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

ITIL 2011 edition の可用性管理プロセスにおいて,IT サービスの可用性と信頼性の管理に関わる KPI として用いるものはどれか。

正解 

解説

ITIL 2011 edition の可用性管理プロセスは,IT サービスが合意した可用性を満たすように管理する。可用性と信頼性の管理に関わる KPI としては,サービスの中断の回数やその影響(インパクト)をどれだけ減らせたかを示す削減率が用いられる。アが適切である。

イの災害を想定した復旧テストの回数は IT サービス継続性管理,ウの処理能力不足に起因するインシデント数の削減率はキャパシティ管理,エの目標を達成できなかった SLA の項目数はサービスレベル管理の KPI である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

問21

IT サービスマネジメントにおける問題管理プロセスの活動はどれか。

正解 

解説

問題管理は,インシデントの根本原因を特定し,再発を防ぐための恒久的な解決策を見いだすプロセスである。根本原因の特定は問題管理の中心となる活動なので,アが該当する。

イのサービス要求の優先度付けはインシデント及びサービス要求管理(サービス要求の実現),ウの変更要求の記録は変更管理,エのリリースの試験はリリース及び展開管理の活動である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

問22

システム監査人が監査報告書に記載する改善勧告に関する説明のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

改善勧告は,監査証拠に基づいて監査人が改善の必要があると判断した事項を記載するもので,その前提となる事実に誤認がないことを被監査部門に確認しておく必要がある。事実確認を経ずに報告すると,監査報告書の信頼性が損なわれる。エが適切である。

アは誤り。改善勧告は被監査部門が実行できなければ意味がないので,実現可能性も考慮する。イは誤り。監査の結論や指摘は十分かつ適切な監査証拠による裏付けが必要である。ウは誤り。記載する事項は監査人が独立した立場で判断するもので,被監査部門の責任者の承認を条件にすると監査の独立性が損なわれる。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

問23

事業目標達成のためのプログラムマネジメントの考え方として,適切なものはどれか。

正解 

解説

プログラムマネジメントは,事業目標の達成という共通の目的に向けて,互いに関連する複数のプロジェクトをまとめて管理する考え方。個々のプロジェクトの成果を足し合わせるだけでなく,プロジェクト間の連携や統合,相互作用を通じて全体の価値を高め,組織の戦略を実現する。アが適切である。

イは個々のプロジェクト管理を細かくする話で,複数のプロジェクトを束ねる視点がない。ウは一つのシステム開発の技術選定によるリスク低減の話。エはプロジェクトマネジメントを組織的に支援する PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の説明である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

問24

IT 投資に対する評価指標の設定に際し,バランススコアカードの手法を用いて KPI を設定する場合に,内部ビジネスプロセスの視点に立った KPI の例はどれか。

正解 

解説

バランススコアカードの内部ビジネスプロセスの視点は,顧客や株主の期待に応えるために社内の業務プロセスをどう良くするかを測る。注文受付から製品出荷までの日数を短縮するというのは,業務プロセスそのものの効率を測る指標なのでエが正しい。

アの売上高営業利益率は財務の視点,イの顧客クレーム件数は顧客の視点,ウの利用者研修会の受講率は人材育成に関わる学習と成長の視点の指標である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

業務要件定義において,業務フローを記述する際に,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図はどれか。

正解 

解説

アクティビティ図は,業務や処理の流れを表す UML の図で,条件による分岐,並行処理への分割(フォーク)とその同期(ジョイン)などを表現できる。業務要件定義で業務フローを記述するのに適しているので,アが正しい。

イのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の静的な関係,ウの状態遷移図は一つの対象が取る状態とイベントによる状態の遷移,エのユースケース図は利用者(アクタ)とシステムが提供する機能の関係を表す図で,いずれも業務の流れそのものを表すものではない。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

事業戦略のうち,浸透価格戦略に該当するものはどれか。

正解 

解説

浸透価格戦略は,新製品の発売時に価格を低く設定し,積極的なプロモーションと組み合わせて短期間に多くの顧客を獲得し,マーケットシェアを拡大する価格戦略である。エが該当する。発売時に高い価格を設定して早期に投資を回収する上澄み吸収価格戦略(スキミング価格戦略)と対比される。

アはコストを引き下げて短期的なキャッシュフローを最大化する収穫戦略,イは事業を分社化して売却し資金を回収する撤退(売却)の戦略,ウは新規事業に進出して成長を図る多角化戦略の説明である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

他の技法では答えが得られにくい,未来予測のような問題に多く用いられ,(1)〜(3)の手順に従って行われる予測技法はどれか。

正解 

解説

デルファイ法は,複数の専門家に同じ質問のアンケートを行い,回答結果を集約してフィードバックしたうえで再度回答してもらうことを繰り返し,意見を収束させて統計的に処理する予測技法である。他の技法では答えにくい長期的な未来予測などに用いられる。(1)〜(3)の手順はこれに当たり,エが正しい。

アのクロスセクション法は同じ時点の複数のデータを比較して分析する手法。イのシナリオライティング法は将来起こり得る状況を複数のシナリオとして記述し,その影響を検討する手法。ウの親和図法は多くの事実やアイディアを内容の近さでグループにまとめて整理する手法である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

セル生産方式の特徴はどれか。

正解 

解説

セル生産方式は,部品の組立てから完成検査までのほとんどの工程を,1人又は少人数の作業者がセルと呼ばれる作業場所で受け持つ生産方式である。多品種少量生産や需要の変化に柔軟に対応しやすい。エが該当する。

アのかんばんを使って作業指示と現場管理を見える化するのと,ウの必要な部品,仕様,数量を後工程から前工程へ伝えるのは,かんばん方式(ジャストインタイム生産方式)の特徴である。イの生産ライン上を流れるに従って加工が進むのは,ライン生産方式(流れ作業)の特徴である。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

損益分岐点の特性を説明したものはどれか。

正解 

解説

損益分岐点は利益がちょうど0になる売上高で,このとき売上高は費用の合計,すなわち固定費と変動費の和に等しい。ウが適切である。

損益分岐点売上高は 固定費÷(1−変動費率) で求められる。アは誤りで,変動費率が低くなると分母が大きくなり損益分岐点は低くなる。イは誤りで,変動費率は分母の (1−変動費率) の中にあるので,損益分岐点は変動費率に正比例しない。エは誤りで,固定費が小さくなると損益分岐点は低くなる。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

Web ページの著作権に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

著作権法第12条は,素材の選択又は配列によって創作性を有する編集物を編集著作物として保護している。特定の分野ごとに URL を収集し,独自の解釈を付けて整理したリンク集は,その選択や配列,解釈に創作性があれば編集著作物として保護され得るので,エが適切である。

アは誤り。Web ページへの掲載は不特定多数が閲覧できる公衆送信に当たり,営利目的でなくても私的使用の範囲を超えるので,無断掲載は著作権の侵害になる。イは誤り。フリーウェアとして無償で公開しても,著作権は作成者に残り,著作権法による保護の対象である。ウは誤り。シェアウェアを使って利用者が作成したデータの著作権は作成した利用者にあり,試用期間の終了後に掲載してもソフトウェアの著作権の侵害には当たらない(試用条件に反して使い続けることは使用許諾契約の問題になる)。

出典:平成29年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)