‹ ぱすてく

高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通

平成27年度 秋期 科目A-1(午前Ⅰ)

平成27年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ(2026年度からの科目A-1)の全30問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:科目A-1(午前Ⅰ・高度試験 共通)について

この年度を解く(受ける試験区分を選ぶ)

問1

集合 A,B,C に対して A∪B∪C の補集合が空集合であるとき,包含関係として適切なものはどれか。ここで,∪ は和集合を,∩ は積集合を,X は X の補集合を,また,X⊆Y は X が Y の部分集合であることを表す。

正解 エ

解説

A∪B∪C の補集合が空集合ということは,A∪B∪C が全体集合に等しいということ。つまりどの要素も A,B,C の少なくとも一つには属する。言い換えると,A にも B にも属さない要素は必ず C に属するので,(A∩B)⊆C が成り立つ。エが正しい。

ア・イ・ウの左辺は,A か B のどちらかには属する要素の集合なので,C に含まれる保証はない。例えば A と B の両方に属して C には属さない要素があっても,A∪B∪C は全体集合になり得るので,アの (A∩B)⊆C は必ずしも成り立たない。イの (A∩B) とウの (A∩B) についても同じことがいえる。

A∪B∪C が全体になるとき A∪B∪C の補集合が空集合なら,どの要素も A・B・C の少なくとも1つに入る。だから A にも B にも入らない部分(Ā∩B̄,塗った部分)は,必ず C に入る。よって (Ā∩B̄)⊆C が成り立つ。 A B S A∩B ここは C に 入るしかない (A∩B) ⊆ C
A にも B にも入らない要素は,C に入るしかない

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

図のように16ビットのデータを 4×4 の正方形状に並べ,行と列にパリティビットを付加することによって何ビットまでの誤りを訂正できるか。ここで,図の網掛け部分はパリティビットを表す。

16ビットのデータを4行4列に並べ,各行の右端と各列の下端にパリティビットを付けた図。データは1行目が1,0,0,0で行パリティが1。2行目が0,1,1,0で行パリティが0。3行目が0,0,1,0で行パリティが1。4行目が1,1,0,1で行パリティが1。列パリティは左から0,0,0,1。

正解 ア

解説

行と列にパリティビットを付けた水平垂直パリティでは,1ビットの誤りが起きると,その誤りを含む行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなる。合わない行と列の交点が誤りの位置なので,特定して反転すれば訂正できる。訂正できるのは1ビットまでで,アが正しい。

2ビットの誤りが同じ行や同じ列に並ぶと,その行(列)のパリティは偶数個の反転で元に戻ってしまい,誤りがあることすら分からなくなる。離れた位置の2ビットなら合わない行と列が2つずつ出るが,どの組合せが誤りかを決められないので,やはり訂正はできない。

水平垂直パリティで1ビットの誤りを見つける 4×4 のデータに行ごと・列ごとのパリティ(1の数を偶数にするビット)を付ける。1ビットが反転すると,その行のパリティと列のパリティの両方が合わなくなるので,合わない行と列の交点が誤りの位置と分かり,反転して訂正できる。2ビットの誤りは,位置を決められないので訂正できない。 1 0 0 0 1 0 1 0 0 0 ← 合わない 0 0 1 0 1 1 1 0 1 1 0 0 0 1 ↑ 合わない 列のパリティ パリティ
合わない行と合わない列の交わるところが誤り。訂正できるのは1ビットまで

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

キーが小文字のアルファベット1文字(a,b,…,z のいずれか)であるデータを,大きさが10のハッシュ表に格納する。ハッシュ関数として,アルファベットの ASCII コードを10進表記法で表したときの1の位の数を用いることにする。衝突が起こるキーの組合せはどれか。ASCII コードでは,昇順に連続した2進数が,アルファベット順にコードとして割り当てられている。

正解 エ

解説

ASCII では a が10進で97,以降 b が98,c が99……とアルファベット順に1ずつ増える。1の位が同じになる組合せを探すと,d は 97+3=100 で1の位が0,x は 97+23=120 で1の位が0となり一致する。したがって d と x が衝突する。エが正しい。

アの a は7,i は 97+8=105 で5。イの b は8,r は 97+17=114 で4。ウの c は9,l は 97+11=108 で8。いずれも1の位が異なるので衝突しない。

ASCII コードの1の位で決まる格納位置 a は 10進で 97 で,b,c,…と1ずつ増える。1の位で箱を決めると,d(100)と x(120)はどちらも 0 の箱に入って衝突する。a(97)は 7,i(105)は 5,b(98)は 8,r(114)は 4,c(99)は 9,l(108)は 8 で,ほかの組は1の位がそろわない。 d x 0 1 2 3 r 4 i 5 6 a 7 b l 8 c 9 衝突 d = 97 + 3 = 100,x = 97 + 23 = 120 → どちらも 0 a 97→7 i 105→5 b 98→8 r 114→4 c 99→9 l 108→8 箱の下の数字が1の位(格納位置)
1の位が同じ ⇔ ASCII コードの差が 10 の倍数(d と x の差は 20)

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

用語解説:ハッシュ関数

問4

複数のデータに対して1個の命令で同一の操作を同時並列に行う方式で,マルチメディアデータなどを扱う CPU に採用されているものはどれか。

正解 ウ

解説

SIMD(Single Instruction Multiple Data)は,1個の命令で複数のデータに同じ操作を同時に施す方式。画像や音声のように同じ処理を大量の要素へ繰り返し適用する場面で効率がよく,CPU のマルチメディア拡張命令に採用されている。ウが正しい。

アの MIMD は複数の命令流が複数のデータを扱う方式でマルチプロセッサが該当する。エの SISD は1命令1データの一般的な逐次処理。イの MISD は1つのデータに複数の命令流を適用する方式で,実用例はほとんどない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

クラスタリングシステムで,ノード障害が発生したときに信頼性を向上させる機能のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

クラスタリングシステムでは,あるノードに障害が起きると,そのノードをクラスタから切り離し,待機していた代替ノードでアプリケーションを引き継いで実行する。これをフェールオーバという。ウが正しい。

アのホットプラグは電源を入れたまま機器を抜き差しする機能で,アプリケーションの転送とは関係がない。イは代替ノードを再起動するとしているが,代替ノードは正常なので再起動は不要。エのフェールバックは,復旧した元のノードへ処理を戻すことを指し,障害発生時の動作ではない。

フェールオーバとフェールバック クラスタリングシステムで稼働中のノードに障害が起きると,そのノードを切り離し,待機していた代替ノードでアプリケーションを引き継いで実行する(フェールオーバ)。障害のノードが復旧したあとに処理を元のノードへ戻すのがフェールバック。代替ノードは正常なので再起動は要らない。 ① 障害が起きた ノード1 障害 ノード2 待機 フェールオーバ ② 復旧したあと ノード1 復旧 ノード2 稼働中 フェールバック フェールオーバ:障害のノードを切り離し,代替ノードで引き継ぐ(ウ) ホットプラグ:電源を入れたまま機器を抜き差しする(別の話)
障害時はフェールオーバ,復旧後に戻すのがフェールバック

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

用語解説:信頼性設計(フェールセーフ・フェールソフト・フールプルーフ)

問6

デマンドページング方式による仮想記憶の利点はどれか。

正解 ア

解説

デマンドページング方式は,ページが実際に参照された時点で初めて主記憶へ読み込む方式。プログラムのうち使われない部分は読み込まれないので,主記憶を無駄に占有せずに済む。アが正しい。

イは,仮想記憶の容量比を大きくするほど主記憶に載りきらない部分が増えるので,ページフォールトはむしろ増える。ウは,前もってまとめて読み込むプリページングの説明で,デマンドページングとは逆の考え方。エは,ページフォールトが多発する状態こそがスラッシングなので,記述が矛盾している。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

用語解説:仮想記憶(ページング)

問7

ワンチップマイコンにおける内部クロック発生器のブロック図を示す。15MHz の発振器と,内部の PLL1,PLL2 及び分周器の組合せで CPU に 240MHz,シリアル通信(SIO)に 115kHz のクロック信号を供給する場合の分周器の値は幾らか。ここで,シリアル通信のクロック精度は ±5% 以内に収まればよいものとする。

内部クロック発生器のブロック図。15MHz の発振器の出力が 8 逓倍の PLL1 に入り,その出力が 2 逓倍の PLL2 と分周器に分岐する。PLL2 の出力 240MHz が CPU へ,分周器の出力 115kHz(±5%)が SIO へ供給される。

正解 エ

解説

分周器に入るのは PLL1 の出力で,15MHz×8=120MHz。ここを 1/2n に分周して 115kHz に近づける。1/210 なら 120,000÷1,024≒117.2kHz で,115kHz との差は約1.9%なので ±5% 以内に収まる。エが正しい。

ウの 1/28 では 120,000÷256≒468.8kHz と4倍以上ずれ,イやアの分周比ではさらに大きく外れる。CPU 向けの 240MHz は PLL1 の出力を PLL2 で2逓倍して得ており,分周器はその手前の 120MHz から分岐している点に注意する。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

コードの値からデータの対象物が連想できるものはどれか。

正解 ウ

解説

ニモニックコードは,対象物の名称の一部や略号をそのままコードに使う方式。例えば東京を TKY,鉛筆を PEN とするように,コードの値を見れば何を指しているかが連想できる。ウが正しい。

アのシーケンスコードは発生順に番号を振るだけ,イのデシマルコードは10進の桁ごとに分類を割り当てるもの,エのブロックコードは分類ごとに番号の範囲を区切って割り当てるもので,いずれも値そのものから対象物を思い浮かべることはできない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

ディジタルハイビジョン対応のビデオカメラやワンセグの映像圧縮符号化方式として採用されているものはどれか。

正解 ウ

解説

H.264/AVC は,MPEG-2 に比べて約2倍の圧縮効率をもつ映像圧縮符号化方式。ハイビジョン映像から携帯端末向けのワンセグまで幅広いビットレートに対応でき,ディジタルハイビジョン対応のビデオカメラやワンセグ放送に採用されている。ウが正しい。

アの AC-3 とイの G.729 はいずれも音声の符号化方式。エの MPEG-1 は Video CD などに使われた古い方式で,ハイビジョンの画質には対応していない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

問10

チェックポイントを取得する DBMS において,図のような時間経過でシステム障害が発生した。前進復帰(ロールフォワード)によって障害回復できるトランザクションだけを全て挙げたものはどれか。

5 本のトランザクションの実行期間を時間軸に沿って示した図。T1 はチェックポイントより前に開始してコミットしている。T2 はチェックポイントより前に開始し,システム障害発生時点でまだコミットしていない。T3 はチェックポイントの後に開始し,システム障害発生時点でまだコミットしていない。T4 はチェックポイントより前に開始し,チェックポイントの後にコミットしている。T5 はチェックポイントの後に開始し,システム障害発生前にコミットしている。

正解 ウ

解説

前進復帰(ロールフォワード)は,チェックポイント以降にコミットされたトランザクションについて,ログを使って更新を進め直す処理。チェックポイントの時点でバッファの内容はディスクへ書き出されているので,その後にコミットしたものだけが対象になる。図では T4 と T5 が該当し,ウが正しい。

T1 はチェックポイントより前にコミットしており,更新は既にディスクに反映されているので何もしなくてよい。T2 と T3 は障害発生時点で未コミットなので,中途半端な更新を取り消す後退復帰(ロールバック)の対象になる。

システム障害からの回復:トランザクションの振り分け T1 はチェックポイントより前にコミットしているので何もしない。T4 と T5 は障害までにコミットしているので,更新後ログでロールフォワードする。T2 と T3 は障害の時点でコミットしていないので,更新前ログでロールバックする。 チェックポイント 障害 T1 何もしない T2 ロールバック T3 ロールバック T4 ロールフォワード T5 ロールフォワード コミット 破線:障害の時点でまだ終わっていない
ロールフォワードの対象は「チェックポイントの後,障害の前にコミットしたもの」

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

用語解説:障害回復(ロールバック・ロールフォワード)

問11

図のようなネットワーク構成のシステムにおいて,同じメッセージ長のデータをホストコンピュータとの間で送受信した場合のターンアラウンドタイムは,端末 A では100ミリ秒,端末 B では820ミリ秒であった。上り,下りのメッセージ長は同じ長さで,ホストコンピュータでの処理時間は端末 A,端末 B のどちらから利用しても同じとするとき,端末 A からホストコンピュータへの片道の伝送時間は何ミリ秒か。ここで,ターンアラウンドタイムは,端末がデータを回線に送信し始めてから応答データを受信し終わるまでの時間とし,伝送時間は回線速度だけに依存するものとする。

ネットワーク構成図。ホストコンピュータから端末 A へは回線速度 1G ビット/秒,端末 B へは 100M ビット/秒で接続されている。

正解 エ

解説

端末 A の片道の伝送時間を t ミリ秒,ホストの処理時間を P ミリ秒とする。上りと下りでメッセージ長は同じなので,ターンアラウンドタイムは 2t+P で表せる。

端末 B の回線は 100Mビット/秒で,端末 A の 1Gビット/秒の10分の1の速度だから,同じメッセージ長なら伝送時間は10倍の 10t になる。

2t+P=100,20t+P=820 の2式を引き算すると 18t=720,t=40ミリ秒。

2つの端末のターンアラウンドタイムから伝送時間を求める 端末 A の片道の伝送時間を t,ホストの処理時間を P とすると,A は 2t+P=100。端末 B の回線は A の 1/10 の速さなので片道 10t で,20t+P=820。引き算すると 18t=720 で t=40 ミリ秒。 A t P t = 100 B 10t P 10t = 820 A:2t + P = 100,B:20t + P = 820 18t = 720 → t = 40 ミリ秒
2つの式を引き算して P を消す(帯の長さは目安)

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

問12

公開鍵暗号方式の暗号アルゴリズムはどれか。

正解 ウ

解説

RSA は,大きな合成数の素因数分解が難しいことを安全性の根拠とする公開鍵暗号方式の代表的なアルゴリズム。暗号化と復号に別々の鍵を使い,ディジタル署名にも利用される。ウが正しい。

アの AES とイの KCipher-2 はいずれも共通鍵暗号方式のアルゴリズム。エの SHA-256 はハッシュ関数で,そもそも暗号化のアルゴリズムではない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

用語解説:ハッシュ関数 共通鍵暗号と公開鍵暗号

問13

ゼロデイ攻撃の特徴はどれか。

正解 ア

解説

ゼロデイ攻撃は,脆弱性が公表されてから修正プログラム(セキュリティパッチ)が提供されるまでの,あるいは提供されても適用が済んでいない期間を狙って,その脆弱性を突く攻撃。パッチがまだない状態を突かれるので防ぎにくい。アが正しい。

イは DDoS 攻撃,ウは標的型のフィッシング(スピアフィッシング),エはメールサーバを踏み台にした大量送信の説明である。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

用語解説:脆弱性の管理と検査(CVE・CVSS・ファジング)

問14

ブルートフォース攻撃に該当するものはどれか。

正解 イ

解説

ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)は,使える文字のあらゆる組合せを片端からパスワードとして試し,ログインできるまで繰り返す攻撃。イが正しい。パスワードを長く複雑にする,一定回数の失敗でアカウントをロックするといった対策がとられる。

アは通信中のセッション情報を盗んで成りすますセッションハイジャック。ウはキー入力を記録して外部へ送るキーロガー。エは盗聴したログインのやり取りをそのまま送り直すリプレイ攻撃である。

ブルートフォース・リバースブルートフォース・パスワードスプレー ブルートフォース攻撃は,1つの ID に対してパスワードを総当たりする。リバースブルートフォース攻撃は,よく使われる1つのパスワードを固定して ID を総当たりする。パスワードスプレー攻撃は,よく使われる少数のパスワードを多数の ID に順に試し,1つの ID への失敗回数を少なく抑えてアカウントロックを避ける。 ブルートフォース ID は1つ,パスワードを全部 1つの ID に失敗が集中 リバース パスワードは1つ,ID を全部 ID ごとの失敗は1回 パスワードスプレー よく使う数個の,パスワードを多数の ID に 時間をあけ,ロックを避ける
何を固定し,何を変えるか。スプレーは1つの ID への失敗を少なくする

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

ペネトレーションテストの目的はどれか。

正解 エ

解説

ペネトレーションテスト(侵入テスト)は,実際に攻撃者の立場でファイアウォールや公開サーバへ侵入を試み,防御を破れるかどうかを確かめるテスト。設定の不備や既知の脆弱性が実害につながるかを実地で確認する。エが正しい。

アの暗号方式と鍵長の確認は設計仕様との照合,イの入出力の照合は機能テスト,ウの処理できるセッション数の確認は性能テストで,いずれも侵入の可否を確かめるものではない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

用語解説:ファイアウォールと DMZ 脆弱性の管理と検査(CVE・CVSS・ファジング)

問16

DFD におけるデータストアの性質として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

DFD では,データストアはデータを保管するだけの受動的な存在で,データを読み書きするのは必ずプロセス(処理)である。したがってデータストアどうしが直接データフローで結ばれることはなく,間に必ず処理が入る。エが正しい。

アは,DFD は論理的なモデルなので,データストアが必ず物理ファイルになるとは限らない。イは,データストア自体がデータを作ったり変えたりすることはなく,それを行うのは処理。ウは,データストアに出入りするデータは必ずデータフローとして表す。

DFD の作り方と図形要素 既存のシステムを基に新しいシステムをモデル化するときは,現物理モデル(担当者や媒体を含む今の姿)→現論理モデル(実装に依らない本質)→新論理モデル(新しい要求を入れる)→新物理モデル(実現手段を当てはめる)の順に作る。図形要素は,プロセス(円),データフロー(矢印),データストア(二本線),源泉と吸収(外部実体,四角)の4つ。データストアどうしを直接つなぐことはなく,間に必ずプロセスが入る。 現物理 現論理 新論理 新物理 図形要素 源泉・吸収 プロセス データストア データフロー データストアどうしは直接つながらない(間にプロセス) 実体(エンティティ)・関連は E-R 図の要素
現物理 → 現論理 → 新論理 → 新物理。実体や関連は E-R 図の要素

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

共通フレームをプロジェクトに適用する場合の考え方のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

共通フレームは,システム開発や取引で使う作業内容と用語をそろえるための「共通のものさし」であって,そのまま順番どおりに実施することを求める手順書ではない。プロジェクトの特性や採用する開発モデルに合わせて,必要なアクティビティやタスクを選び,不要なものを外して使う(テーラリング)ことが前提になっている。エが正しい。

アは変えずに適用するとしている点,イは規定された実施順序に合わせるとしている点が,このテーラリングの考え方に反する。ウは開発モデルや技法・ツールの取捨選択に触れているが,共通フレームは特定の開発モデルや技法を推奨するものではない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

プロジェクト管理においてパフォーマンス測定に使用する EVM の管理対象の組みはどれか。

正解 ア

解説

EVM(Earned Value Management)は,作業の出来高を金額に換算した EV(アーンドバリュー)を軸に,計画値 PV と実コスト AC を比べることで,スケジュールの進み遅れとコストの超過・節約を同じ土俵で測る手法。管理対象はコストとスケジュールなのでアが正しい。

EV と PV の差がスケジュール差異,EV と AC の差がコスト差異になる。イ・ウ・エに含まれるリスクや品質は,EVM の数値からは直接測れず,別の手法で管理する対象である。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

用語解説:EVM(アーンドバリューマネジメント)

問19

図に示すとおりに作業を実施する予定であったが,作業 A で1日の遅れが生じた。各作業の費用増加率を表の値とするとき,当初の予定日数で終了するために掛かる増加費用を最も少なくするには,どの作業を短縮すべきか。ここで,費用増加率とは,作業を1日短縮するために要する増加費用のことである。

アローダイアグラムと費用増加率の表。作業と標準日数は A が4日,B が6日,C が8日,D が4日,E が5日,F が4日,G が5日。A の後に B,C,D が分かれ,B の後に E,D の後に F が続き,C,E,F が合流したあとに G がある。費用増加率は A が4,B が6,C が3,D が2,E が2.5,F が2.5,G が5。

正解 エ

解説

まず各経路の日数を求める。A→B→E→G は 4+6+5+5=20日,A→C→G は 4+8+5=17日,A→D→F→G は 4+4+4+5=17日。最長の20日がクリティカルパスで,A が1日遅れると21日になる。20日に戻すには,クリティカルパス上の作業(A,B,E,G)のどれかを1日短縮する必要がある。費用増加率はそれぞれ4,6,2.5,5なので,最も安い E を短縮するのがよい。エが正しい。

E を1日短縮すると A→B→E→G は遅れを含めて20日になり,他の経路は 17+1=18日なので新たなクリティカルパスは生まれない。イの C とウの D はクリティカルパス上にないので,短縮しても全体の日数は縮まらない。

遅れを取り戻すのに最も安い作業 クリティカルパスは A→B→E→G(4+6+5+5=20 日)。A が1日遅れて 21 日になったので,クリティカルパス上の作業を1日縮める。費用増加率は A 4,B 6,E 2.5,G 5 で,E が最も安い。E を縮めても他の経路(A→C→G,A→D→F→G は遅れ込みで 18 日)を超えない。 A 4 B 6 C 8 D 4 E 5 F 4 G 5 0 / 0 4 / 4 10 / 10 8 / 11 15 / 15 20 / 20 費用増加率:A 4,B 6,E 2.5,G 5 → E を縮める
縮めるのはクリティカルパス上で,1日あたりの費用が最も安い作業

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

IT サービスマネジメントにおける問題管理プロセスにおいて実施することはどれか。

正解 イ

解説

問題管理は,インシデントの背後にある根本原因を突き止め,同じインシデントが再び起きないように恒久的な解決策を立てるプロセス。原因がまだ分かっていないものを調査して既知の誤りとして登録し,恒久対策につなげる。イが正しい。

アの暫定的な復旧とエのインシデントの記録・連絡はインシデント管理の活動。ウの復旧のための設計は,サービス継続及び可用性管理などで行うことである。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理

問21

システム監査人が,予備調査において実施する作業として,“システム監査基準”に照らして適切なものはどれか。

正解 エ

解説

予備調査は,本調査に入る前に監査対象の実態をつかむための段階。被監査部門から事前に資料を入手して閲覧し,業務やシステムの概要,管理体制を把握しておくことで,本調査で何をどう確かめるかを具体化できる。エが正しい。

アの監査項目の設定と監査手続の策定,個別監査計画書への記載は,予備調査の結果を踏まえて行う本調査の準備。イの経営トップへのヒアリングによる監査テーマの設定は,個別監査より前の監査計画の段階。ウの監査スケジュールの調整も個別監査計画の策定に関わる作業である。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問22

販売管理システムにおいて,起票された受注伝票が漏れなく,重複することなく入力されていることを確かめる監査手続のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

受注伝票が漏れなく重複なく入力されているかは,入力結果の一覧(プルーフリスト)と元の伝票を突き合わせているかを確かめれば分かる。照合が行われた証跡として,プルーフリストや受注伝票に押された照合印を確認するのが適切な監査手続になる。ウが正しい。

アの例外取引の承認記録の確認は,取引が正当に認められたかという承認の妥当性を見るもの。イの論理チェックやフォーマットチェックの確認は入力データの正確性を見るもの。エの並行シミュレーション法はプログラムの処理ロジックの正しさを検証する技法で,いずれも入力の網羅性を確かめるものではない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問23

“システム管理基準”によれば,情報戦略における情報システム全体の最適化目標を設定する際の留意事項はどれか。

正解 ウ

解説

“システム管理基準”では,情報システム全体の最適化目標は経営戦略に基づいて策定するものとされている。情報システムは経営目標を達成するための手段なので,目標を設定する際は経営戦略との整合性を考慮しなければならない。ウが正しい。

アの費用の算出基礎の明確化は投資計画や予算の段階,イの開発手順の決定は開発計画の段階,エの要員・予算・設備・期間の確保は個別の計画を実行に移す段階で考えることで,いずれも全体最適化目標そのものの設定における留意事項ではない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

問24

情報システムの調達の際に作成される RFI の説明はどれか。

正解 ア

解説

RFI(Request For Information,情報提供依頼書)は,調達の検討段階で,実現手段や技術動向などの情報提供をベンダに依頼する文書。提案を求める前の情報収集が目的。

イは RFP(提案依頼書)の説明。ウとエは契約変更や契約締結に関するもので,いずれも RFI ではない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

環境省の環境表示ガイドラインによれば,環境表示の説明はどれか。

正解 ウ

解説

環境省の環境表示ガイドラインでは,環境表示を,製品やサービスについて環境に配慮した点や環境負荷の低減効果などの特徴,事業者の環境配慮への姿勢を,説明文やシンボルマーク,図表などを通じて主張したものと位置付けている。ウが正しい。

アは排出量取引,イはグリーン購入法,エはグリーン電力証書の説明である。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

用語解説:ISO 14001(環境マネジメントシステム)と環境の規制

問26

多角化戦略のうち,M&A による垂直統合に該当するものはどれか。

正解 ウ

解説

垂直統合は,原材料の調達から製造・販売まで続く流れ(サプライチェーン)の川上や川下の企業を取り込むこと。製鉄メーカが原料である鉄鉱石の採掘会社を買収するのは,川上へ広げる典型的な垂直統合に当たる。ウが正しい。

イの自動車メーカによる軽自動車メーカの買収は,同じ段階の同業を取り込む水平統合。アの銀行による保険会社の買収は関連する事業分野への集中型多角化,エの電機メーカによる不動産会社の買収は関連のない分野への集成型(コングロマリット型)多角化である。

垂直統合と水平統合 原材料の調達から製造,販売へと続く流れの,川上や川下の企業を取り込むのが垂直統合(例:製鉄メーカが鉄鉱石の採掘会社を買収する)。同じ段階の企業(同業他社)を取り込むのが水平統合。 原料 企業 企業 企業 製造 自社 企業 企業 卸・販売 企業 企業 企業 垂直統合 (色の列) ← 水平統合:同じ段階の他社 →
流れの上下をつなぐのが垂直,同じ段階を広げるのが水平

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

現在の動向から未来を予測したり,システム分析に使用したりする手法であり,専門的知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い,その結果を互いに参照した上で調査を繰り返して,集団としての意見を収束させる手法はどれか。

正解 エ

解説

デルファイ法は,専門的な知識や経験をもつ複数の人に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら答え直してもらうことで,集団としての意見を収束させる予測手法。匿名で行うため,立場や声の大きさに引きずられにくい。エが正しい。

アの因果関係分析法は原因と結果の関係をたどって分析する手法,イのクロスセクション法は同時点の複数のデータを横断的に比較する手法,ウの時系列回帰分析法は過去の時系列データに回帰式を当てはめて先を読む手法である。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

用語解説:デルファイ法と問題分析の技法

問28

かんばん方式の運用方法はどれか。

正解 イ

解説

かんばん方式では,後工程が必要な分だけを前工程へ「かんばん」で引き取りに行き,前工程はその指示量を補充するように生産する。前工程は次にどれだけ引き取られるか分からないので,指示量に応えられるだけの在庫を,過剰にならない最小限にとどめて持っておく必要がある。イが正しい。

アは前工程が作った分を押し出す押込み方式で,後工程が引き取るかんばん方式とは逆。ウは,かんばん方式では生産を平準化して指示量の変動を抑えることが前提なので,大きな変動に備えた余力を持つという考え方はとらない。エの故障に備えて余分に加算して供給するのも,在庫を最小にする方針に反する。

かんばん方式(後工程引取り) 後工程が,使った分だけの部品を前工程へ引き取りに行き,その指示(かんばん)を受けた前工程は,引き取られた分だけを作って補充する。必要なものを必要なときに必要な量だけ作る JIT の考え方で,作り過ぎの在庫を減らす。 前工程 後工程 出荷 部品 かんばん かんばん 使った分だけ引き取り,引き取られた分だけ作る
物は前から後へ,かんばん(指示)は後から前へ

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

経営会議で来期の景気動向を議論したところ,景気は悪化する,横ばいである,好転するという三つの意見に完全に分かれてしまった。来期の投資計画について,積極的投資,継続的投資,消極的投資のいずれかに決定しなければならない。表の予想利益については意見が一致した。意思決定に関する記述のうち,適切なものはどれか。

予想利益(万円)の表。景気動向が悪化・横ばい・好転のとき,積極的投資は50,150,500。継続的投資は100,200,300。消極的投資は400,250,200。

正解 エ

解説

マクシミン原理は,各案について最悪の場合の利益を求め,その中で最も大きいものを選ぶ考え方。景気が悪化したときの利益は積極的投資50万円,継続的投資100万円,消極的投資400万円で,最も大きいのは消極的投資の400万円。したがってマクシミン原理での最適意思決定は消極的投資になり,エが正しい。

ウのマクシマックス原理は各案の最良の場合を比べる考え方で,最大値は積極的投資の500万円なので,継続的投資とするのは誤り。ア・イの混合戦略や純粋戦略は,相手の出方によって利得が決まるゲーム理論の用語で,景気動向のように意思をもたない自然を相手にする不確実性下の意思決定には当てはまらない。

マクシミン原理(投資計画) マクシミン原理では,各案の最悪の場合(ここではどれも景気悪化のとき)の利益を比べ,その中で最も大きい案を選ぶ。積極的投資 50,継続的投資 100,消極的投資 400 なので,消極的投資。最良の場合を比べるマクシマックス原理なら,500 の積極的投資になる。 悪化 横ばい 好転 最悪 積極的投資 50 150 500 50 継続的投資 100 200 300 100 消極的投資 400 250 200 400 最悪のうち最大は 400 → 消極的投資 単位 万円。最良の最大(マクシマックス)なら積極的投資
各案の最悪の値を比べ,いちばん大きい案を選ぶ

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

サイバーセキュリティ基本法において,サイバーセキュリティの対象として規定されている情報の説明はどれか。

正解 エ

解説

サイバーセキュリティ基本法第2条は,サイバーセキュリティを,電子的方式,磁気的方式その他人の知覚では認識できない方式(電磁的方式)により記録され,又は発信され,伝送され,若しくは受信される情報の漏えい・滅失・毀損の防止などの措置が講じられ,その状態が適切に維持管理されていることと定義している。対象となる情報は電磁的方式で扱われるものに限られるので,エが正しい。

アの外交・国家安全に関する機密情報やウの個人のプライバシー情報は,電磁的方式で扱われていれば対象に含まれるが,それだけに限られるわけではない。イの手書きの書類は電磁的方式によるものではないので対象に含まれない。

出典:平成27年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)