平成25年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
桁落ちによる誤差の説明として,適切なものはどれか。
ア 値がほぼ等しい二つの数値の差を求めたとき,有効桁数が減ることによって発生する誤差 正解
イ 指定された有効桁数で演算結果を表すために,切捨て,切上げ,四捨五入などで下位の桁を削除することによって発生する誤差
ウ 絶対値の非常に大きな数値と小さな数値の加算や減算を行ったとき,小さい数値が計算結果に反映されないことによって発生する誤差
エ 無限級数で表される数値の計算処理を有限項で打ち切ったことによって発生する誤差
正解 ア
解説
桁落ちは,値がほぼ等しい二つの数値の差を求めたときに,上位の桁が打ち消し合って有効数字の桁数が少なくなることで生じる誤差である。例えば有効数字4桁の 1.234 と 1.233 の差は 0.001 となり,有効数字が1桁に減ってしまう。アが適切である。
イは有効桁数に合わせて下位の桁を切り捨てたり丸めたりすることで生じる丸め誤差。ウは絶対値の大きな数と小さな数を加減算したときに小さな数が反映されない情報落ち。エは無限に続く計算を途中で打ち切ることで生じる打切り誤差の説明である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を h(x)=x mod n とすると,キー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。
ア a+b が n の倍数
イ a−b が n の倍数 正解
ウ n が a+b の倍数
エ n が a−b の倍数
正解 イ
解説
衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。
例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
未整列の配列 ai (i=1,2,…,n)を,流れ図で示すアルゴリズムによって昇順に整列する。n=6 で a[1]〜a[6] の値がそれぞれ,21,5,53,71,3,17 の場合,流れ図において,a[j−1] と aj の値の入替えは何回行われるか。
正解 ウ
解説
流れ図は,後ろ(j=n)から前へ向かって隣どうしを比べ,前の値が大きければ入れ替える操作を,i=1 から n−1 まで繰り返すバブルソートである。バブルソートの入替え回数は,配列の中で“前にある値が後ろの値より大きい”組(逆転している組)の数に等しい。
21,5,53,71,3,17 で逆転している組を数えると,21 と(5,3,17)で3組,5 と 3 で1組,53 と(3,17)で2組,71 と(3,17)で2組,合わせて8組になる。入替えは8回行われ,ウが正しい。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
容量が a M バイトでアクセス時間が x ナノ秒のキャッシュメモリと,容量が b M バイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPU からみた,主記憶とキャッシュメモリとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで,読み込みたいデータがキャッシュメモリに存在しない確率を r とし,キャッシュメモリ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。
ア {(1−r)・a/(a+b)}・x+{r・b/(a+b)}・y
イ (1−r)・x+r・y 正解
ウ {r・a/(a+b)}・x+{(1−r)・b/(a+b)}・y
エ r・x+(1−r)・y
正解 イ
解説
読み込みたいデータがキャッシュメモリにある確率は 1−r で,このときのアクセス時間は x ナノ秒である。キャッシュメモリにない確率は r で,このときは主記憶から読むので y ナノ秒掛かる。平均アクセス時間は,それぞれのアクセス時間に確率を掛けて足した (1−r)・x+r・y で,イが正しい。
エは r と 1−r を取り違えた式である。アとウは容量の比 a/(a+b),b/(a+b) を掛けているが,平均アクセス時間はデータがどちらにあるかの確率だけで決まり,キャッシュメモリや主記憶の容量は関係しない。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
フェールセーフの考え方として,適切なものはどれか。
ア システムに障害が発生したときでも,常に安全側にシステムを制御する。 正解
イ システムの機能に異常が発生したときに,すぐにシステムを停止しないで機能を縮退させて運用を継続する。
ウ システムを構成する要素のうち,信頼性に大きく影響するものを複数備えることによって,システムの信頼性を高める。
エ 不特定多数の人が操作しても,誤動作が起こりにくいように設計する。
正解 ア
解説
フェールセーフは,システムに障害が発生したときに,被害が広がらないよう常に安全な側に動作するように制御する設計の考え方である。例えば信号機の故障時に赤を点灯させる,踏切の故障時に遮断機を下ろすなどがこれに当たる。アが適切である。
イは機能を縮退させて運用を継続するフェールソフト。ウは重要な構成要素を複数備えて信頼性を高める冗長化(フォールトトレランス)。エは誰が操作しても誤動作が起きにくいようにするフールプルーフの考え方である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
稼働率が α(0<α<1)の装置三つを用いて図のようにシステムを設計するとき,システムの稼働率が装置単体の稼働率を上回るものはどれか。ここで,並列に接続されている部分は,いずれかの経路が稼働していればシステムは稼働しているものとする。
ア A と B
イ A と C 正解
ウ B と C
エ 全て
正解 イ
解説
A は装置三つの並列なので,稼働率は 1−(1−α)3 で,一つでも動けばよいため α より大きくなる。B は装置一つと並列の二つの直列で,α×{1−(1−α)2 }=α×(2α−α2 ) となる。0<α<1 では 2α−α2 <1 なので,α を下回る。
C は装置一つと直列の二つの並列で,1−(1−α)(1−α2 )=α+α2 −α3 となる。α2 >α3 なので α を上回る。単体の稼働率を上回るのは A と C で,イが正しい。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
記憶領域の動的な割当て及び解放を繰り返すことによって,どこからも利用できない記憶領域が発生することがある。このような記憶領域を再び利用可能にする機能はどれか。
ア ガーベジコレクション 正解
イ スタック
ウ ヒープ
エ フラグメンテーション
正解 ア
解説
ガーベジコレクションは,プログラムの実行中に記憶領域の割当てと解放を繰り返すうちに生じる,どこからも参照されなくなった不要な領域を自動的に回収し,再び利用できるようにする機能である。アが正しい。
イのスタックは後入れ先出しで領域を管理するデータ構造,ウのヒープは実行時に動的に割り当てる記憶領域そのもので,領域を回収する機能ではない。エのフラグメンテーションは,空き領域が細切れになって有効に使えなくなる現象である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
SRAM と比較した場合の DRAM の特徴はどれか。
ア 主にキャッシュメモリとして使用される。
イ データを保持するためのリフレッシュ又はアクセス動作が不要である。
ウ メモリセル構成が単純なので,ビット当たりの単価が安くなる。 正解
エ メモリセルにフリップフロップを用いてデータを保存する。
正解 ウ
解説
DRAM は,1ビットをトランジスタ1個とコンデンサ1個という単純な構成のメモリセルで記憶する。集積度を上げやすく,ビット当たりの単価が安いので,主記憶に使われる。ウが正しい。
アは誤り。高速なキャッシュメモリには SRAM が使われる。イは誤り。DRAM はコンデンサの電荷が時間とともに失われるので,定期的なリフレッシュが必要である(リフレッシュが不要なのは SRAM)。エは誤り。フリップフロップでデータを保持するのは SRAM である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
クライアントサーバシステムにおけるストアドプロシージャに関する記述のうち,誤っているものはどれか。
ア 機密性の高いデータに対する処理を特定のプロシージャ呼出しに限定することによって,セキュリティを向上させることができる。
イ システム全体に共通な処理をプロシージャとして格納しておくことによって,処理の標準化を行うことができる。
ウ データベースへのアクセスを細かい単位でプロシージャ化することによって,処理性能(スループット)を向上させることができる。 正解
エ 複数の SQL 文から成る手続を1回の呼出しで実行できるので,クライアントとサーバの間の通信回数を減らすことができる。
正解 ウ
解説
ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をまとめて DBMS に格納しておき,クライアントから名前を指定して呼び出す仕組みである。複数の SQL 文を1回の呼出しで実行できるので通信回数を減らせる。データベースへのアクセスを細かい単位でプロシージャにすると,呼出しの回数が増えて通信の負荷が高まり,処理性能はかえって低下するので,ウが誤りである。
アの機密性の高い処理を特定のプロシージャ経由に限定することによるセキュリティの向上,イの共通処理をプロシージャとして格納することによる処理の標準化,エの複数の SQL 文を1回の呼出しで実行することによる通信回数の削減は,いずれもストアドプロシージャの利点として正しい。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
関係を第2正規形から第3正規形に変換する手順はどれか。
ア 候補キー以外の属性から,候補キーの一部の属性に対して関数従属性がある場合,その関係を分解する。
イ 候補キー以外の属性間に関数従属性がある場合,その関係を分解する。 正解
ウ 候補キーの一部の属性から,候補キー以外の属性への関数従属性がある場合,その関係を分解する。
エ 一つの属性に複数の値が入っている場合,単一の値になるように分解する。
正解 イ
解説
第3正規形は,非キー属性間の関数従属(推移的関数従属)を取り除いた形。第2正規形の関係に非キー属性間の関数従属があれば,その部分を別の関係に分解する。
ウは部分関数従属を取り除く第2正規形への変換,エは繰返し項目をなくす第1正規形への変換。アは非キー属性から候補キーの一部への従属を扱うもので,ボイス・コッド正規形に関する話。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
IPv4 ネットワークで用いられる可変長サブネットマスクとして,正しいものはどれか。
ア 255.255.255.1
イ 255.255.255.32
ウ 255.255.255.64
エ 255.255.255.128 正解
正解 エ
解説
サブネットマスクは,上位のビットから連続して1が並び,その後に連続して0が並ぶ形でなければならない。可変長サブネットマスクは,この1の並びの長さを用途に応じて変えるものである。最後のオクテットが 128=10000000 の 255.255.255.128 は,1が25ビット連続するので正しいサブネットマスクで,エが正しい。
アの 1=00000001,イの 32=00100000,ウの 64=01000000 は,いずれも1の並びの途中に0が入る形になり,サブネットマスクとして使えない。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
IP ネットワークのプロトコルのうち,OSI 基本参照モデルのトランスポート層に位置するものはどれか。
正解 エ
解説
OSI 基本参照モデルのトランスポート層は,端末間でのデータの転送を担う層で,IP ネットワークでは TCP と UDP がこの層のプロトコルである。エの UDP が正しい。
アの HTTP とウの SMTP は Web や電子メールのためのアプリケーション層のプロトコル,イの ICMP は IP の通信のエラー通知や診断に使うネットワーク層のプロトコルである。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
ディジタル署名において,発信者がメッセージのハッシュ値からディジタル署名を生成するのに使う鍵はどれか。
ア 受信者の公開鍵
イ 受信者の秘密鍵
ウ 発信者の公開鍵
エ 発信者の秘密鍵 正解
正解 エ
解説
ディジタル署名では,発信者が自分だけがもつ秘密鍵でメッセージのハッシュ値を暗号化して署名を生成し,受信者は発信者の公開鍵で署名を検証する。秘密鍵を持っているのは発信者本人だけなので,署名が本人によって作られたことを確かめられる。エが正しい。
ウの発信者の公開鍵は署名の検証に使う鍵である。アとイの受信者の鍵は,受信者あてにメッセージを暗号化して秘密にする場合に使うもので,ディジタル署名の生成には使わない。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
ISMS において定義することが求められている情報セキュリティ基本方針に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 重要な基本方針を定めた機密文書であり,社内の関係者以外の目に触れないようにする。
イ 情報セキュリティの基本方針を述べたものであり,ビジネス環境や技術が変化しても変更してはならない。
ウ 情報セキュリティのための経営陣の方向性及び支持を規定する。 正解
エ 特定のシステムについてリスク分析を行い,そのセキュリティ対策とシステム運用の詳細を記述する。
正解 ウ
解説
情報セキュリティ基本方針は,組織が情報セキュリティにどう取り組むかを示す最上位の方針で,JIS Q 27002 はこれを“情報セキュリティのための経営陣の方向性及び支持を規定する”ものとしている。ウが適切である。
アは誤りで,基本方針は従業員や関係する外部の者に周知する必要がある。イは誤りで,ビジネス環境や技術の変化に応じて定期的にレビューし,必要に応じて見直す。エは特定のシステムについてのリスク分析と対策や運用の詳細で,基本方針の下位にある個別の規程や手順書で定める内容である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
クロスサイトスクリプティングの手口はどれか。
ア Web アプリケーションに用意された入力フィールドに,悪意のある JavaScript コードを含んだデータを入力する。 正解
イ インターネットなどのネットワークを通じてサーバに不正にアクセスしたり,データの改ざん・破壊を行ったりする。
ウ 大量のデータを Web アプリケーションに送ることによって,用意されたバッファ領域をあふれさせる。
エ パス名を推定することによって,本来は認証された後にしかアクセスが許可されていないページに直接ジャンプする。
正解 ア
解説
クロスサイトスクリプティングは,Web アプリケーションが入力データを適切に無害化せずに Web ページに出力する脆弱性を突き,入力フィールドなどに悪意のあるスクリプト(JavaScript など)を含むデータを送り込んで,閲覧者の Web ブラウザ上で実行させる攻撃である。アが該当する。
イは不正アクセスによるデータの改ざんや破壊の一般的な説明。ウは大量のデータを送り込んでバッファ領域をあふれさせるバッファオーバフロー攻撃。エはパス名を推測して認証を経ずにページへ直接アクセスする強制ブラウジングの説明である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
E-R 図の解釈として,適切なものはどれか。ここで,* *は多対多の関連を表し,自己参照は除くものとする。
ア ある組織の親組織の数が,子組織の数より多い可能性がある。 正解
イ 全ての組織は必ず子組織をもつ。
ウ 組織は2段階の階層構造である。
エ 組織はネットワーク構造になっていない。
正解 ア
解説
E-R 図は,エンティティ“組織”が自分自身と親子の関連で結ばれ,親の側も子の側も多重度が * になっている。一つの組織が複数の親組織をもつこともでき,複数の子組織をもつこともできるので,親組織の数が子組織の数より多い組織があり得る。アが適切である。
イは誤りで,多重度 * は0以上を表すので子組織をもたない組織もあり得る。ウは誤りで,親子の関連を繰り返しつなげられるので,階層の段数は2段階に限られない。エは誤りで,一つの組織が複数の親をもてるので,単純な木構造ではなくネットワーク構造になり得る。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
流れ図において,分岐網羅を満たし,かつ,条件網羅を満たすテストデータの組はどれか。
ア (x,y)=(2,2),(1,2)
イ (x,y)=(1,2),(0,0)
ウ (x,y)=(1,2),(1,1),(0,1)
エ (x,y)=(1,2),(0,1),(0,2) 正解
正解 エ
解説
分岐網羅は各判定の Yes と No をそれぞれ一度は通ること,条件網羅は判定の中の個々の条件(x≧1,y=1,y>1)がそれぞれ真と偽の両方をとることを求める。エの3組で調べると,(1,2) は x≧1 が真で1つ目の判定が Yes,y>1 が真,(0,1) は y=1 が真で1つ目が Yes,y>1 が偽,(0,2) は x≧1 と y=1 がともに偽で1つ目が No,y>1 が真となる。全ての判定の Yes と No,全ての条件の真と偽がそろうので,エが正しい。
アは x≧1 が偽になる組がなく,1つ目の判定の No も通らない。イは y=1 が真になる組がない。ウは1つ目の判定がいつも Yes で No を通らない。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
過去のプロジェクトの開発実績から構築した作業配分モデルがある。要件定義からシステム内部設計までをモデルどおりに 228 日で完了してプログラム開発を開始した。現在,200 本のプログラムのうち 100 本のプログラム開発を完了し,残りの 100 本は未着手の状況である。プログラム開発以降もモデルどおりに進捗すると仮定するとき,プロジェクト全体の完了まで,あと何日掛かるか。
正解 イ
解説
期間比で見ると,システム要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11 の合計 0.57 が 228 日に当たるので,全体の期間は 228÷0.57=400 日。プログラム開発は 400×0.11=44 日で,200 本中 100 本が終わっているので残りは 22 日。システム結合は 400×0.11=44 日,システムテストは 400×0.21=84 日。残りの合計は 22+44+84=150 日。
工数比の列は,人員をどう割り振るかを見るための値で,期間の計算には使わない。工数比で同じ計算をすると別の値になるので,どちらの比を使うかを取り違えないことが要点。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
プロジェクトマネジメントにおけるリスクの対応例のうち,PMBOK の分類における転嫁に該当するものはどれか。
ア あるサブプロジェクトの損失を,他のサブプロジェクトの利益で相殺する。
イ 個人情報の漏えいが起こらないように,システムテストで使用する本番データの個人情報部分はマスキングする。
ウ 損害の発生に備えて,損害賠償保険を掛ける。 正解
エ 取引先の業績が悪化して,信用に不安があるので,新規取引を止める。
正解 ウ
解説
リスクの転嫁は,リスクによるマイナスの影響とその対応の責任を第三者に移す戦略で,保険の購入や契約による責任の移転が代表例である。損害に備えて損害賠償保険を掛けるウが該当する。
アの損失を他のサブプロジェクトの利益で相殺するのは,リスクの影響を受け入れたうえでの対処で転嫁ではない。イの本番データの個人情報部分をマスキングして漏えいが起きないようにするのは,リスクの発生確率や影響を下げる軽減。エの信用に不安のある取引先との新規取引を止めるのは,リスクの原因そのものを取り除く回避である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
ミッションクリティカルシステムの意味として,適切なものはどれか。
ア OS などのように,業務システムを稼働させる上で必要不可欠なシステム
イ システム運用条件が,性能の限界に近い状態の下で稼働するシステム
ウ 障害が起きると,企業活動に重大な影響を及ぼすシステム 正解
エ 先行して試験導入され,成功すると本格的に導入されるシステム
正解 ウ
解説
ミッションクリティカルシステムは,障害が発生して停止すると,企業活動や社会に重大な影響を及ぼすシステムである。銀行の勘定系システムや交通機関の運行管理システムなどが該当し,高い信頼性と可用性が求められる。ウが適切である。
アは業務システムの基盤となる OS などの基本ソフトウェア,イは性能の限界に近い高負荷で稼働するシステムの説明である。エは試験的に導入されるパイロットシステムの説明である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
販売管理システムにおいて,起票された受注伝票が漏れなく,重複することなく入力されていることを確かめる監査手続のうち,適切なものはどれか。
ア 受注データから値引取引データなどの例外取引データを抽出し,承認の記録を確かめる。
イ 受注伝票の入力時に論理チェック及びフォーマットチェックが行われているか,テストデータ法で確かめる。
ウ プルーフリストと受注伝票との照合が行われているか,プルーフリスト又は受注伝票上の照合印を確かめる。 正解
エ 並行シミュレーション法を用いて,受注伝票を処理するプログラムの論理の正当性を確かめる。
正解 ウ
解説
受注伝票が漏れなく重複なく入力されているかは,入力結果の一覧(プルーフリスト)と元の伝票を突き合わせているかを確かめれば分かる。照合が行われた証跡として,プルーフリストや受注伝票に押された照合印を確認するのが適切な監査手続になる。ウが正しい。
アの例外取引の承認記録の確認は,取引が正当に認められたかという承認の妥当性を見るもの。イの論理チェックやフォーマットチェックの確認は入力データの正確性を見るもの。エの並行シミュレーション法はプログラムの処理ロジックの正しさを検証する技法で,いずれも入力の網羅性を確かめるものではない。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
システム開発計画の策定におけるコントロールのうち,適切なものはどれか。
ア システムの機能が利用者の立場に基づいて実装されるよう,全体最適よりも業務上の利便性を優先し,利用部門の要望に基づいて策定する。
イ 状況の変化に合わせて柔軟に内容の変更が行えるよう,開発計画は開発作業に着手してから組織内での承認を得て策定する。
ウ 不必要なシステム開発コストを抑制するよう,情報システムの目的を達成するための複数の代替案を作成し,比較検討する。 正解
エ 利用部門,システム部門の分け隔てなく自由な議論が行われるよう,開発計画の策定は,利用部門とシステム部門の役割分担を決めずに実行する。
正解 ウ
解説
システム開発計画の策定では,情報システムの目的を達成するための手段を一つに決め打ちせず,複数の代替案を作って費用や効果を比較検討し,最適な案を選ぶことで,不必要な開発コストを抑えられる。ウが適切である。
アは誤りで,計画は組織全体の最適化を踏まえて策定する必要があり,利用部門の要望だけで決めると全体最適を損なう。イは誤りで,開発計画は開発作業に着手する前に承認を得る必要がある。エは誤りで,利用部門とシステム部門の役割分担を明確にしてから計画を策定しないと,責任が曖昧になる。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
IT ポートフォリオの説明はどれか。
ア 管理費などの間接コストを,業務区分ごとのアクティビティの種別に着目して,製品やサービスの原価に割り振る手法である。
イ 企業の経営戦略を,多面的な視点で体系立てて立案し,実行を管理し,業績を評価する手法である。
ウ 業界ごとなどで統一的に策定された評価尺度(指標値群)を用いて,企業全体の投資効果を測定する手法である。
エ 情報化投資をリスクや投資価値の類似性で幾つかのカテゴリに整理し,ビジネス戦略実現のための最適な資源配分を管理する手法である。 正解
正解 エ
解説
IT ポートフォリオは,情報化投資をリスクや期待する投資価値の性質が似たもので幾つかのカテゴリ(戦略投資,業務効率化投資,インフラ投資など)に分け,ビジネス戦略の実現に向けてカテゴリごとの資源配分を最適化する手法である。エが該当する。
アは間接コストをアクティビティの種別に基づいて原価に配賦する ABC(活動基準原価計算)。イは多面的な視点で戦略を立案し業績を評価するバランススコアカード。ウは業界などで統一した指標値群を使って企業の投資効果を他社と比べて測定するベンチマーキングの説明である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
業務のあるべき姿を表す論理モデルを説明したものはどれか。
ア 企業における主要機能を明確にして,現状の業務機能を分析し,体系化したもの
イ 経営目標の達成に必要な業務機能を定義し,体系化したもの 正解
ウ 現状の業務機能と情報システムでの処理を分析し,相互の関係を明確化したもの
エ 本来あるべき業務機能と現状を比較して,その差異を分析し,評価したもの
正解 イ
解説
業務のあるべき姿を表す論理モデル(To-Be モデル)は,経営目標を達成するために必要な業務機能を定義し,体系化したものである。現在のやり方にとらわれず,本来必要な機能を明らかにする。イが該当する。
アとウは,現状の業務機能や情報システムでの処理を分析したもので,現状を表すモデル(As-Is モデル)である。エは,あるべき姿と現状を比較してその差異を分析するギャップ分析の結果である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
現在の動向から未来を予測したり,システム分析に使用したりする手法であり,専門的知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い,その結果を互いに参照した上で調査を繰り返して,集団としての意見を収束させる手法はどれか。
ア 因果関係分析法
イ クロスセクション法
ウ 時系列回帰分析法
エ デルファイ法 正解
正解 エ
解説
デルファイ法は,専門的な知識や経験をもつ複数の人に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら答え直してもらうことで,集団としての意見を収束させる予測手法。匿名で行うため,立場や声の大きさに引きずられにくい。エが正しい。
アの因果関係分析法は原因と結果の関係をたどって分析する手法,イのクロスセクション法は同時点の複数のデータを横断的に比較する手法,ウの時系列回帰分析法は過去の時系列データに回帰式を当てはめて先を読む手法である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
売り手側でのマーケティング要素 4P は,買い手側での要素 4C に対応するという考え方がある。4P の一つであるプロモーションに対応する 4C の構成要素はどれか。
ア 顧客価値(Customer Value)
イ 顧客コスト(Customer Cost)
ウ コミュニケーション(Communication) 正解
エ 利便性(Convenience)
正解 ウ
解説
4P は売り手側からみたマーケティングの要素(Product,Price,Place,Promotion),4C はそれを買い手側からみた要素で,Product は顧客価値(Customer Value),Price は顧客コスト(Customer Cost),Place は利便性(Convenience),Promotion はコミュニケーション(Communication)に対応する。
プロモーション(販売促進)は,売り手から一方的に働きかけるのではなく,買い手との双方向の情報のやり取りと捉えるので,ウのコミュニケーションが正しい。アは製品,イは価格,エは流通に対応する。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
プロダクトイノベーションの例として,適切なものはどれか。
ア シックスシグマの工程管理を導入し,製品品質を向上する。
イ ジャストインタイム方式を採用し,部品在庫を減らす。
ウ 製造方法を見直し,コストを下げた製品を製造する。
エ マルチコア CPU を採用した,高性能で低消費電力の製品を開発する。 正解
正解 エ
解説
プロダクトイノベーションは,これまでにない新しい機能や性能をもつ製品・サービスを生み出すことによる革新である。マルチコア CPU を採用して高性能で低消費電力の製品を開発するエが該当する。
ア,イ,ウは,工程管理,部品在庫の削減,製造方法の見直しなど,製品を作り出す過程を改善するものであり,プロセスイノベーションの例である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。
ア 企業間の取引の契約内容
イ システムの運用時間
ウ 伝送制御手順
エ メッセージの形式 正解
正解 エ
解説
EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。
アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
サーバ機器(取得価額 800 千円,耐用年数5年)を3年間利用した後に 115 千円で売却したときの固定資産売却損は何千円か。ここで,減価償却は定額法で行うものとし,残存価額は0円とする。また,機器の購入及び売却時期は全て期首であるとみなす。
正解 ア
解説
定額法で残存価額0円なので,1年当たりの減価償却費は 800÷5=160 千円である。3年間利用したので減価償却累計額は 160×3=480 千円となり,売却時点の帳簿価額は 800−480=320 千円になる。
これを 115 千円で売却したので,固定資産売却損は 320−115=205 千円となり,アが正しい。エの 320 は帳簿価額そのもの,イとウは減価償却の年数や計算を取り違えたときの値である。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
Web ページの著作権に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 営利目的ではなく趣味として,個人が開設している Web ページに他人の著作物を無断掲載しても,私的使用であるから著作権の侵害とはならない。
イ 作成したプログラムをインターネット上でフリーウェアとして公開した場合,配布されたプログラムは,著作権法による保護の対象とはならない。
ウ 試用期間中のシェアウェアを使用して作成したデータを,試用期間終了後も Web ページに掲載することは,著作権の侵害に当たる。
エ 特定の分野ごとに Web ページの URL を収集し,簡単なコメントをつけたリンク集は,著作権法で保護される。 正解
正解 エ
解説
特定の分野ごとに Web ページの URL を収集し,コメントを付けて整理したリンク集は,どの URL を選び,どう分類して並べるかに創作性が認められれば,著作権法第12条の編集著作物として保護される。この問題ではエが適切とされている。
アは誤りで,Web ページへの掲載は不特定多数が閲覧できる公衆送信に当たり,趣味で営利目的がなくても私的使用の範囲を超えるので,無断掲載は著作権の侵害になる。イは誤りで,フリーウェアとして無償で公開しても著作権は作成者に残る。ウは誤りで,シェアウェアを使って利用者が作成したデータの著作権は利用者にあり,ソフトウェアの著作権の侵害には当たらない。
出典:平成25年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
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