平成21年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
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問1
2進数の表現で,2の補数を使用する理由はどれか。
ア 値が1のビット数を数えることで,ビット誤りを検出できる。
イ 減算を,負数の作成と加算処理で行うことができる。 正解
ウ 除算を,減算の組合せで行うことができる。
エ ビットの反転だけで,負数を求めることができる。
正解 イ
解説
2の補数で負数を表すと,減算 A−B を,B の2の補数(−B)を作って A に加える加算 A+(−B) として計算できる。減算のための専用の回路を用意せずに,加算回路で減算を処理できることが2の補数を使う理由である。イが正しい。
アの値が1のビット数を数えて誤りを検出するのはパリティチェック。ウの除算を減算の組合せで行うことは,2の補数を使う理由ではない。エのビットの反転だけで負数を求めるのは1の補数で,2の補数はビットを反転した後に1を加えて求める。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
誤り検出方式である CRC に関する記述として,適切なものはどれか。
ア 検査用のデータは,検査対象のデータを生成多項式で処理して得られる1ビットの値である。
イ 受信側では,付加されてきた検査用のデータで検査対象のデータを割り,余りがなければ送信が正しかったと判断する。
ウ 送信側では,生成多項式を用いて検査対象のデータから検査用のデータを作り,これを検査対象のデータに付けて送信する。 正解
エ 送信側と受信側では,異なる生成多項式が用いられる。
正解 ウ
解説
CRC(巡回冗長検査)では,送信側で,検査対象のデータを生成多項式で割った余りを検査用のデータとして作り,これを検査対象のデータに付けて送信する。ウが適切である。
アは誤りで,検査用のデータは生成多項式の次数に応じた複数ビットの値で,1ビットではない。イは誤りで,受信側では,受信したデータ全体を送信側と同じ生成多項式で割り,余りが0なら誤りがないと判断する。エは誤りで,送信側と受信側では同じ生成多項式を用いる。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
n 個の要素 x1 ,x2 ,…,xn から成る連結リストに対して,新たな要素 xn+1 の末尾への追加に要する時間を f(n) とし,末尾の要素 xn の削除に要する時間を g(n) とする。n が非常に大きいとき,実装方法1と実装方法2における g(n)/f(n) の挙動として,適切なものはどれか。
〔実装方法1〕
先頭のセルを指すポインタ型の変数 front だけをもつ。
〔実装方法2〕
先頭のセルを指すポインタ型の変数 front と,末尾のセルを指すポインタ型の変数 rear を併せもつ。
ア 実装方法1:ほぼ1になる。,実装方法2:ほぼ1になる。
イ 実装方法1:ほぼ1になる。,実装方法2:ほぼ n に比例する。 正解
ウ 実装方法1:ほぼ n に比例する。,実装方法2:ほぼ1になる。
エ 実装方法1:ほぼ n に比例する。,実装方法2:ほぼ n に比例する。
正解 イ
解説
実装方法1では,末尾に追加するにも末尾を削除するにも,front から順にたどって末尾(削除では末尾の一つ前)のセルを探す必要があり,f(n) も g(n) も n に比例する。その比 g(n)/f(n) はほぼ1になる。
実装方法2では,rear が末尾のセルを指すので,追加は rear から直接行え,f(n) は n によらず一定になる。一方,削除では末尾の一つ前のセルのポインタを空にし,rear をそのセルに付け替える必要があるが,単方向の連結リストでは一つ前のセルを rear からたどれないので,front から順にたどる必要があり,g(n) は n に比例する。比はほぼ n に比例し,イが正しい。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
パイプラインの深さを D,パイプラインピッチを P 秒とすると,I 個の命令をパイプラインで実行するのに要する時間を表す式はどれか。ここで,パイプラインの各ステージは1ピッチで処理されるものとし,パイプラインハザードについては,考慮しなくてよい。
ア (I+D)×P
イ (I+D−1)×P 正解
ウ (I×D)+P
エ (I×D−1)+P
正解 イ
解説
パイプラインでは,最初の命令が D 個のステージを通り終えるのに D ピッチかかる。その後は,1ピッチごとに次の命令が1個ずつ完了するので,残りの I−1 個の命令には I−1 ピッチかかる。
合計は D+(I−1) ピッチで,1ピッチが P 秒なので,所要時間は (I+D−1)×P 秒となり,イが正しい。アは最後に1ピッチ余分に数えている。ウ,エは時間の単位であるピッチ P を掛けずに足しており,式として成り立たない。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
フェールセーフの考え方として,適切なものはどれか。
ア システムに障害が発生したときでも,常に安全側にシステムを制御する。 正解
イ システムの機能に異常が発生したときに,すぐにシステムを停止しないで機能を縮退させて運用を継続する。
ウ システムを構成する要素のうち,信頼性に大きく影響するものを複数備え,システムの信頼性を高める。
エ 不特定多数の人が操作しても,誤動作が起こりにくいように設計する。
正解 ア
解説
フェールセーフは,システムに障害が発生したときに,被害が広がらないよう常に安全な側に動作するように制御する設計の考え方である。例えば信号機の故障時に赤を点灯させる,踏切の故障時に遮断機を下ろすなどがこれに当たる。アが適切である。
イは機能を縮退させて運用を継続するフェールソフト。ウは重要な構成要素を複数備えて信頼性を高める冗長化(フォールトトレランス)。エは誰が操作しても誤動作が起きにくいようにするフールプルーフの考え方である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
2台のプリンタがあり,それぞれの稼働率が 0.7 と 0.6 である。この2台のいずれか一方が稼働していて,他方が故障している確率は幾らか。ここで,2台のプリンタの稼働状態は独立であり,プリンタ以外の要因は考慮しないものとする。
ア 0.18
イ 0.28
ウ 0.42
エ 0.46 正解
正解 エ
解説
いずれか一方だけが稼働している確率は,“1台目が稼働して2台目が故障”と“1台目が故障して2台目が稼働”の和になる。0.7×(1−0.6)+(1−0.7)×0.6=0.28+0.18=0.46 となり,エが正しい。
アの 0.18 とイの 0.28 はそれぞれ片方の場合だけを求めた値,ウの 0.42 は両方とも稼働している確率 0.7×0.6 である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
OSI(Open Source Initiative)が定義している OSS の性質はどれか。
ア OSS とともに頒布される,ほかのソフトウェアのソースコードも公開しなければならない。
イ OSS を再頒布する場合は,無料にしなければならない。
ウ 営利目的の企業での使用や,研究分野での使用も許可される。 正解
エ ソースコードを改変した場合の再頒布条件に,制約があってはならない。
正解 ウ
解説
OSI(Open Source Initiative)が定義するオープンソースの定義(OSD)では,利用する分野による差別を禁止しており,営利目的の企業での使用や研究分野での使用も制限してはならない。ウが適切である。
アは誤りで,OSS とともに頒布されるほかのソフトウェアに制限を加えてはならないとされ,ほかのソフトウェアのソースコードの公開を求めるものではない。イは誤りで,再頒布を有償で行うことは妨げられない。エは誤りで,作者のソースコードの完全性を保つために,改変したものを別の名前や版番号で頒布するよう求めるなどの条件を付けることが認められている。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
図の論理回路において,S=1,R=1,X=0,Y=1 のとき,S をいったん 0 にした後,再び1に戻した。この操作を行った後の X,Y の値はどれか。
ア X=0,Y=0
イ X=0,Y=1
ウ X=1,Y=0 正解
エ X=1,Y=1
正解 ウ
解説
X=NOT(S・Y),Y=NOT(R・X) で動くラッチ回路である。初めは S=1,R=1,X=0,Y=1 で,X=NOT(1・1)=0,Y=NOT(1・0)=1 と安定している。
S を 0 にすると X=NOT(0・Y)=1 になり,これを受けて Y=NOT(1・1)=0 に変わる。次に S を 1 に戻しても,Y=0 なので X=NOT(1・0)=1 のままで,Y=NOT(1・1)=0 も変わらない。操作後は X=1,Y=0 で,ウが正しい。S を一時的に 0 にすることで状態が反転し,戻した後もその状態が保持される(セット)。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
Web アクセシビリティに配慮した画面の設計方針のうち,適切なものはどれか。
ア head 要素の中の title 要素を同一にして,各ページに同じ表題を付ける。
イ 確認は緑,取消しは赤などのように,共通に使用されるボタンは色だけで判別できるようにする。
ウ 仮名入力欄の前には,“フリガナ(カタカナで入力)”のように,仮名の種類も明記する。 正解
エ ハイパリンク及びボタンは,操作性を良くするために隣り合うものとの間隔を狭くとる。
正解 ウ
解説
仮名入力欄の前に“フリガナ(カタカナで入力)”のように入力すべき仮名の種類を明記すれば,入力の誤りが減り,画面読上げソフトの利用者にも入力の条件が伝わる。ウが適切である。
アは誤りで,title 要素はページの内容を表すようにページごとに異なる表題を付けるべきで,同じ表題ではページの区別がつかない。イは誤りで,色の違いを見分けにくい利用者もいるので,色だけでなく文字などでも判別できるようにする。エは誤りで,隣り合うハイパリンクやボタンの間隔が狭いと押し間違えやすいので,十分な間隔をとる。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
コンピュータグラフィックスの要素技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア アンチエイリアシングは,周辺の画素との平均化演算などを施すことで,斜め線や曲線のギザギザを目立たなくする。 正解
イ メタボールは,光の相互反射を利用して物体表面の光のエネルギーを算出することで,表面の明るさを決定する。
ウ ラジオシティは,光源からの光線の経路を計算することで光の反射や透過などを表現し,物体の形状を描画する。
エ レイトレーシングは,物体を球やだ円体の集合として疑似的にモデル化する。
正解 ア
解説
アンチエイリアシングは,画素の境界に生じる斜め線や曲線のギザギザ(ジャギー)を,周辺の画素との平均化演算などで中間の色を付けることによって目立たなくする技術である。アが適切である。
イの光の相互反射から物体表面の光のエネルギーを算出して明るさを決めるのはラジオシティ。ウの光線の経路を計算して反射や透過を表現するのはレイトレーシング。エの物体を球やだ円体などの集合として疑似的にモデル化するのはメタボールの説明で,それぞれ用語と説明が入れ替わっている。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
分散トランザクション処理で利用される2相コミットプロトコルでは,コミット処理を開始する調停者(coordinator)と,調停者からの指示を受信してから必要なアクションを開始する参加者(participant)がいる。この2相コミットプロトコルに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 参加者は,フェーズ1で調停者にコミット了承の応答を返してしまえば,フェーズ2のコミット要求を受信していなくても,ローカルにコミット処理が進められる。
イ 調停者に障害が発生するタイミングによっては,その回復処理が終わらない限り,参加者全員がコミットもロールバックも行えない事態が起こる。 正解
ウ 一つの分散トランザクションに複数の調停者及び参加者が存在し得る。例えば,5個のシステム(プログラム)が関与している場合,調停者の数が2,参加者の数が3となり得る。
エ フェーズ1で返答のない参加者が存在しても,調停者は強制的にそのトランザクションをコミットすることができる。
正解 イ
解説
2相コミットプロトコルでは,参加者がフェーズ1でコミット可能と応答した後は,調停者からのフェーズ2の指示(コミット又はロールバック)を待つ状態になる。このときに調停者に障害が発生すると,その回復処理が終わるまで,参加者はコミットもロールバックも行えない状態(ブロッキング)になる。イが適切である。
アは誤りで,参加者はフェーズ2のコミット要求を受け取るまでコミット処理を進められない。ウは誤りで,一つの分散トランザクションの調停者は1つである。エは誤りで,フェーズ1で返答のない参加者がいれば,調停者はトランザクション全体をロールバックする。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
データベースの障害回復処理に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 異なるトランザクション処理プログラムが,同一データベースを同時更新することによって生じる論理的な矛盾を防ぐために,データのブロック化が必要となる。
イ システムが媒体障害以外の原因によって停止した場合,チェックポイントの取得以前に終了したトランザクションについての回復作業は不要である。 正解
ウ データベースの媒体障害に対して,バックアップファイルをリストアした後,ログファイルの更新前情報を使用してデータの回復処理を行う。
エ トランザクション処理プログラムがデータベースの更新中に異常終了した場合には,ログファイルの更新後情報を使用してデータの回復処理を行う。
正解 イ
解説
システム障害(媒体障害以外)では,チェックポイントの時点で主記憶上の更新内容はディスクに書き出されている。チェックポイントの取得以前に終了したトランザクションの更新はデータベースに反映済みなので,回復作業は要らない。イが適切である。
アの同時更新による矛盾を防ぐのはブロック化ではなく排他制御(ロック)。ウの媒体障害では,バックアップをリストアした後にログの更新後情報を使ってロールフォワードする。エのトランザクションの異常終了では,ログの更新前情報を使ってロールバックし,更新前の状態に戻す。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
図は,既存の電話機を使用した企業内 PBX の内線網を,IP ネットワークに統合する場合の接続構成を示している。図中の a〜c に該当する装置の適切な組合せはどれか。
ア a:PBX,b:VoIP ゲートウェイ,c:ルータ 正解
イ a:PBX,b:ルータ,c:VoIP ゲートウェイ
ウ a:VoIP ゲートウェイ,b:PBX,c:ルータ
エ a:VoIP ゲートウェイ,b:ルータ,c:PBX
正解 ア
解説
既存の電話機はまず内線交換機である PBX に接続する。PBX が扱う電話の音声信号を IP パケットに変換して IP ネットワークでやり取りできるようにするのが VoIP ゲートウェイであり,そのパケットをルータを通して IP ネットワークへ送る。電話機から順に PBX,VoIP ゲートウェイ,ルータとなるので,アが適切である。
イは PBX の出す電話の信号を IP 化しないままルータに渡すことになり,ルータは IP パケットしか中継できないので通信できない。ウは VoIP ゲートウェイで IP 化した後に PBX を置き,エは IP ネットワークの直前に PBX を置いているが,既存の PBX は電話の信号を交換する装置で IP パケットを扱えないので,どちらも成り立たない。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
公開鍵暗号方式を用いて送信者が文書にディジタル署名を行う場合,文書が間違いなく送信者のものであることを受信者が確認できるものはどれか。
ア 送信者は自分の公開鍵を使用して署名処理を行い,受信者は自分の秘密鍵を使用して検証処理を行う。
イ 送信者は自分の秘密鍵を使用して署名処理を行い,受信者は送信者の公開鍵を使用して検証処理を行う。 正解
ウ 送信者は受信者の公開鍵を使用して署名処理を行い,受信者は自分の秘密鍵を使用して検証処理を行う。
エ 送信者は受信者の秘密鍵を使用して署名処理を行い,受信者は自分の公開鍵を使用して検証処理を行う。
正解 イ
解説
ディジタル署名では,送信者は自分の秘密鍵を使って署名を生成し,受信者は送信者の公開鍵を使って署名を検証する。送信者の公開鍵で正しく検証できれば,対になる秘密鍵を持つ送信者本人が署名したことが確認できる。イが正しい。
アの送信者の公開鍵は誰でも入手できるので,署名に使っても本人の証明にならない。ウの受信者の公開鍵を使って受信者の秘密鍵で復号するのは,内容を秘密にする暗号化の手順で,送信者の確認にはならない。エの受信者の秘密鍵は受信者だけが持つもので,送信者は使えない。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
JIS Q 2001:2001 に規定されたリスク算定の定量的評価を,組織のセキュリティ対策の優先度を検討するリスク分析に適用したものはどれか。
ア 過去に発生した被害件数と対策の難易度で評価する。
イ 攻撃に対する対処時間と被害の顕在性で評価する。
ウ 攻撃元の特定可否と攻撃手法の新しさで評価する。
エ 被害が発生する確率と被害額で評価する。 正解
正解 エ
解説
JIS Q 2001:2001 のリスク算定では,リスクを,事象が発生する確率(発生頻度)と,発生したときの結果の大きさ(影響度)の組合せとしてとらえる。定量的評価では,これを数値で表し,セキュリティのリスク分析に適用すると,被害が発生する確率と被害額で評価することになる。エが該当する。
アの対策の難易度,イの対処時間,ウの攻撃元の特定可否や攻撃手法の新しさは,被害の発生確率や被害の大きさを表すものではなく,リスク算定の定量的評価には当たらない。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
JIS X 0129-1 で規定されたソフトウェア製品の品質副特性の説明のうち,信頼性に分類されるものはどれか。
ア 故障時に,指定された達成水準を再確立し,直接に影響を受けたデータを回復するソフトウェア製品の能力 正解
イ ソフトウェアにある欠陥の診断又は故障原因の追及,及びソフトウェアの修正箇所の識別を行うためのソフトウェア製品の能力
ウ 一つ以上の指定されたシステムと相互作用するソフトウェア製品の能力
エ 利用者がソフトウェアの運用及び運用管理を行うことができるソフトウェア製品の能力
正解 ア
解説
JIS X 0129-1 では,信頼性の品質副特性として,成熟性,障害許容性,回復性などを定めている。故障時に指定された達成水準を再確立し,直接に影響を受けたデータを回復する能力は回復性で,信頼性に分類される。アが該当する。
イの欠陥の診断や故障原因の追及,修正箇所の識別を行う能力は,保守性の副特性である解析性。ウの指定されたシステムと相互作用する能力は,機能性の副特性である相互運用性。エの利用者が運用及び運用管理を行うことができる能力は,使用性の副特性である運用性である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
取得者(発注者)と供給者(受注者)の二者間取引を明確化するためのものであり,業務分析,業務設計,ソフトウェアを中心としたシステムの企画,要件定義,開発,運用,保守及びそれらにかかわる諸活動を対象としており,国際規格に適合しているものはどれか。
ア CMMI
イ PMBOK
ウ 共通フレーム 正解
エ ソフトウェア保守規格
正解 ウ
解説
共通フレームは,取得者(発注者)と供給者(受注者)がソフトウェアに関する取引の内容を共通の言葉で理解できるよう,企画,要件定義,開発,運用,保守などの作業項目を定義した枠組みで,国際規格(ISO/IEC 12207)に適合している。ウが正しい。
アの CMMI は,組織のプロセスの成熟度を評価して改善するためのモデル。イの PMBOK は,プロジェクトマネジメントの知識体系をまとめたもの。エのソフトウェア保守規格は,ソフトウェアの保守のプロセスを定めた規格で,開発や運用を含む取引全体を対象とするものではない。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
期間10日のプロジェクトを5日目の終了時にアーンドバリュー分析したところ,表のとおりであった。現在のコスト効率が今後も続く場合,完成時総コスト見積り(EAC)は何万円か。
正解 エ
解説
現在のコスト効率が今後も続く場合の完成時総コスト見積りは EAC=BAC÷CPI で求める。CPI=EV÷AC=40÷60=2/3 なので,EAC=100÷(2/3)=150 万円。
イの 120 は,残りの作業は予算どおりに進むと仮定した EAC=AC+(BAC−EV)=60+60 の値で,設問の“現在のコスト効率が今後も続く”という条件には合わない。アの 110 とウの 135 は,いずれの EAC の式からも出てこない。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
ソフトウェアの開発規模と開発工数の関係を表すグラフはどれか。
正解 エ
解説
ソフトウェアの開発規模が大きくなると,要員間のコミュニケーションや調整,インタフェースの確認などの作業が増えるので,開発工数は規模に比例する以上の割合で増加する。COCOMO でも,開発工数は規模の1より大きいべき乗に比例するとしている。規模が大きくなるほど増え方が急になるエが適切である。
ウは規模が大きくなるほど工数の増え方が緩やかになるので,規模の効果が逆になっている。ア,イは途中で増え方が緩やかになる部分があり,開発規模と開発工数の一般的な関係を表していない。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
システムの移行方式のうち,パイロット移行方式について説明したものはどれか。
ア 機能的に閉じたサブシステム単位に,短期間で順次移行していくので,運用部門の負荷が少なく,問題が発生しても当該サブシステム内に抑えることができる。
イ 限定した部門で新システムを導入・観察した後にほかの全部門を移行するので,移行に関する問題が発生しても影響範囲を局所化できる。 正解
ウ 新・旧両システム分のリソースを用意し,並行稼働させるので,新システムで問題が発生しても業務への影響を最小にできる。
エ ほかの移行方式に比べると移行期間は短くできるが,事前に全部門との間で詳細な計画を立てるとともに,新システムに高い信頼性が要求される。
正解 イ
解説
パイロット移行方式は,特定の部門や拠点など限定した範囲で先に新システムを導入し,稼働状況を観察して問題がないことを確かめた後に,ほかの全部門を移行する方式である。問題が発生しても影響範囲を局所化できる。イが正しい。
アのサブシステム単位に順次移行するのは段階移行方式。ウの新旧両システムを並行稼働させるのは並行移行方式。エの移行期間は短いが詳細な計画と新システムの高い信頼性が求められるのは,全部門を一度に移行する一斉移行方式の説明である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
ITIL において,問題管理でエラーの根本原因を識別した後に RFC を出す対象となるプロセスはどれか。
ア インシデント管理
イ 可用性管理
ウ 構成管理
エ 変更管理 正解
正解 エ
解説
ITIL では,問題管理でエラーの根本原因を識別し,解決のためにサービスやシステムの変更が必要になった場合,変更要求(RFC)を変更管理プロセスに提出する。変更管理では,RFC を評価して承認し,変更の実施を管理する。エが正しい。
アのインシデント管理は,サービスを速やかに復旧させるプロセス。イの可用性管理は,サービスの可用性を目標どおりに維持するプロセス。ウの構成管理は,構成アイテムの情報を管理するプロセスで,いずれも RFC を受け付けて変更を管理するものではない。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
システム監査人が行った監査業務の実施記録であり,監査意見表明の根拠となるべき監査証拠,その他関連資料などをまとめたものはどれか。
ア 監査チェックリスト
イ 監査調書 正解
ウ 監査手続書
エ 監査報告書
正解 イ
解説
監査調書は,システム監査人が行った監査業務の実施記録で,監査意見を表明する根拠となる監査証拠や,その他の関連資料をまとめたものである。イが正しい。
アの監査チェックリストは,監査で確認する項目を一覧にしたもの。ウの監査手続書は,監査の手順を具体的に記述したもの。エの監査報告書は,監査の結果として監査意見や改善提言を記載して監査の依頼者などに報告する文書である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
エンタープライズアーキテクチャを構成する四つの体系のうち,ビジネスアーキテクチャを策定する場合の成果物はどれか。
ア 業務流れ図 正解
イ 実体関連ダイアグラム
ウ 情報システム関連図
エ ソフトウェア構成図
正解 ア
解説
エンタープライズアーキテクチャは,ビジネスアーキテクチャ(政策・業務体系),データアーキテクチャ(データ体系),アプリケーションアーキテクチャ(適用処理体系),テクノロジアーキテクチャ(技術体系)の四つの体系で構成される。ビジネスアーキテクチャでは業務の内容や流れを整理するので,成果物は業務流れ図になる。アが正しい。
イの実体関連ダイアグラムはデータアーキテクチャ,ウの情報システム関連図はアプリケーションアーキテクチャ,エのソフトウェア構成図はテクノロジアーキテクチャの成果物である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
“システム管理基準”によれば,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にする計画はどれか。
ア 開発計画
イ 事業継続計画
ウ 全体最適化計画 正解
エ 年間運用計画
正解 ウ
解説
システム管理基準では,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にし,情報システムの全体最適化を図るための計画を全体最適化計画としている。個々の開発計画は,この全体最適化計画に基づいて策定する。ウが正しい。
アの開発計画は個別の情報システムの開発に関する計画,イの事業継続計画は災害や事故の際に重要な業務を継続・復旧するための計画,エの年間運用計画は情報システムの運用を年度単位で計画するもので,組織全体の情報システムのあるべき姿を明確にするものではない。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
RFI を説明したものはどれか。
ア サービス提供者と顧客との間で,提供するサービスの内容,品質などに関する保証範囲やペナルティについてあらかじめ契約としてまとめた文書
イ システムの調達に際して,調達側から技術的要件やサービスレベル要件を提示し,ベンダに対して,指定した期限内で効果的な実現策の提案を依頼する文書
ウ ユーザ要件を実現するために,現在の状況において利用可能な技術・製品,ベンダにおける導入実績など実現手段に関する情報提供をベンダに依頼する文書 正解
エ 要求定義との整合性を図り,ユーザと開発要員及び運用要員の共有物とするために,業務処理の概要,入出力情報の一覧,データフローなどをまとめた文書
正解 ウ
解説
RFI(Request For Information,情報提供依頼書)は,システム化を検討する段階で,ユーザ要件を実現するために利用可能な技術や製品,ベンダの導入実績など,実現手段に関する情報の提供をベンダに依頼する文書である。ウが該当する。
アはサービスの内容や品質の保証範囲,ペナルティを取り決める SLA(サービスレベル合意書)。イは要件を提示して期限内に実現策の提案を依頼する RFP(提案依頼書)。エは業務処理の概要や入出力情報,データフローをまとめ,ユーザと開発・運用の要員が共有する設計書(外部設計書など)の説明である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
デルファイ法を説明したものはどれか。
ア 会議の参加者に自由にアイディアを出させ,出されたアイディアに批判や評価を加えないようにする。
イ 将来にわたる意思決定の各段階を樹木構造で示した図に基づいて,最適な意思決定の経路を求める。
ウ 専門家にアンケートを何度か繰り返し,その結果をフィードバックして意見を収束させる。 正解
エ 予測項目間の影響を定量化してマトリックスを使って示し,予測項目間の波及効果をシミュレーションして定量的に示す。
正解 ウ
解説
デルファイ法は,複数の専門家にアンケートを行い,その集計結果をフィードバックして再びアンケートに答えてもらうことを何度か繰り返し,意見を収束させて将来を予測する手法である。ウが正しい。
アの参加者に自由にアイディアを出させ,批判や評価を加えないのはブレーンストーミング。イの意思決定の各段階を樹木構造で示して最適な経路を求めるのはデシジョンツリー(決定木)。エの予測項目間の影響をマトリックスで示し,波及効果をシミュレーションするのはクロスインパクト分析の説明である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
ラディカルイノベーションの説明として,適切なものはどれか。
ア 革新的な新製品を開発するといった,製品そのものに関する技術革新である。
イ 既存製品の細かな部分改良を積み重ねる技術革新である。
ウ 経営構造の全面的な変革を必要とする技術革新である。 正解
エ 研究開発過程,製造工程,及び物流過程の技術革新である。
正解 ウ
解説
ラディカルイノベーションは,既存の技術や事業の延長線上にない,根本的に新しい技術革新で,これを取り込むには組織や事業の仕組みなど経営構造の全面的な変革を必要とする。ウが適切である。
イの既存製品の細かな部分改良を積み重ねるのはインクリメンタルイノベーション。アの製品そのものに関する技術革新はプロダクトイノベーション。エの研究開発過程,製造工程,物流過程などの技術革新はプロセスイノベーションの説明である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
セル生産方式の利点が生かせる対象はどれか。
ア 生産性を上げるために,大量生産が必要なもの
イ 製品の仕様が長期間変わらないもの
ウ 多種類かつフレキシブルな生産が求められるもの 正解
エ 標準化,単純化,専門化による分業が必要なもの
正解 ウ
解説
セル生産方式は,1人又は少人数の作業者が,部品の取付けから組立て,検査までの複数の工程を受け持って製品を完成させる生産方式である。作業者の組合せや作業内容を柔軟に変えられるので,多品種少量で需要の変化に応じたフレキシブルな生産が求められるものに向いている。ウが正しい。
アの大量生産,イの長期間仕様が変わらない製品,エの標準化,単純化,専門化による分業は,作業を細かく分けて流れ作業で行うライン生産方式が利点を生かせる対象である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
表の条件で喫茶店を開業したい。月10万円の利益を出すためには,1客席当たり1日何人の客が必要か。
正解 エ
解説
客1人当たりの利益への貢献(限界利益)は,売上高 500円から変動費 100円を引いた 400円である。月10万円の利益を出すには,固定費 300,000円と目標利益 100,000円の合計 400,000円を限界利益で賄う必要があるので,1か月に 400,000÷400=1,000人の客が必要になる。
1か月の営業日数は20日,客席数は10席なので,1客席当たり1日 1,000÷(20×10)=5人となり,エが正しい。目標利益を含めずに固定費だけで計算すると 3.75人(ア)になる。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
利用権限をもたない第三者が,他人の ID やパスワードを使ってネットワークに接続されたコンピュータを利用可能にする行為及びその助長行為を処罰の対象にしている法律はどれか。
ア 刑法
イ 通信傍受法
ウ 電気通信事業法
エ 不正アクセス禁止法 正解
正解 エ
解説
不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)は,利用権限をもたない者が,他人の ID やパスワード(識別符号)を入力して,ネットワークに接続されたコンピュータを利用可能にする不正アクセス行為と,他人の識別符号を無断で第三者に提供するなどの助長行為を処罰の対象としている。エが正しい。
アの刑法は,電子計算機損壊等業務妨害罪や電磁的記録不正作出罪などを定めるが,他人の ID やパスワードを使ってコンピュータを利用可能にすること自体を処罰の対象とはしていない。イの通信傍受法は,犯罪捜査のための通信の傍受の手続を定めた法律。ウの電気通信事業法は,電気通信事業の運営や通信の秘密の保護などを定めた法律である。
出典:平成21年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
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