平成28年度 秋期に実施されたITサービスマネージャ試験
午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
ITIL において,良い目標値を設定するための条件として“SMART”がある。“S”は Specific(具体的),“M”は Measurable(測定可能),“R”は Relevant(適切),“T”は Time-bound(適時)の頭文字である。“A”は何の頭文字か。
- アAchievable(達成可能)正解
- イAmbitious(意欲的)
- ウAnalyzable(分析可能)
- エAuditable(監査可能)
正解 ア
解説
SMART は Specific(具体的),Measurable(測定可能),Achievable(達成可能),Relevant(適切),Time-bound(適時)の頭文字。“A”は Achievable で,努力すれば手が届く水準に目標を置くことを求める。
イの Ambitious(意欲的)は,高すぎて達成できない目標を許すことになるので SMART の考え方と合わない。ウの Analyzable とエの Auditable は SMART の要素ではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
ITIL において,インシデントに対する一連の活動のうち,イベント管理プロセスが分担する活動はどれか。
- アインシデントの発生後に,その原因などをエラーレコードとして記録する。
- イインシデントの発生後に,問題の根本原因を分析して記録する。
- ウインシデントの発生時に,IT サービスを迅速に復旧するための対策を講じる。
- エインシデントの発生を検出して,関連するプロセスに通知する。正解
正解 エ
解説
イベント管理は,構成品目やサービスの状態変化(イベント)を監視して検知し,意味を判断したうえで,対応が必要なものを関連するプロセスへ通知するプロセス。インシデントの検知と通知がこれに当たる。
アは問題管理で作成する既知のエラー記録,イも問題管理の根本原因分析,ウはインシデント管理によるサービスの復旧であり,いずれもイベント管理の分担ではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
“IT サービスが必要とされるときに,合意した条件の下で要求された機能を果たせる状態にある能力”について,定義し,分析し,計画し,測定し,改善する活動を行う ITIL の管理プロセスはどれか。
- アIT サービス継続性管理
- イインシデント管理
- ウ可用性管理正解
- エ問題管理
正解 ウ
解説
設問の“IT サービスが必要とされるときに,合意した条件の下で要求された機能を果たせる状態にある能力”は可用性の定義。これを定義し,分析し,計画し,測定し,改善するのが可用性管理。
アの IT サービス継続性管理は災害などの重大な中断に備えて復旧を計画するプロセス,イのインシデント管理は発生した中断を早く復旧させるプロセス,エの問題管理はインシデントの根本原因を取り除くプロセスであり,可用性そのものを管理するプロセスではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
JIS Q 20000-1 の“サービスマネジメントシステムの監視及びレビュー”の要求事項のうち,適切なものはどれか。
- ア監査員は,自らの仕事を監査してはならない。正解
- イ監査の基準は,文書化された手順の中に定義してはならない。
- ウ特定された不適合,懸念事項は,該当する利害関係者であっても開示してはならない。
- エレビューの間隔は,あらかじめ定めてはならない。
正解 ア
解説
監査の客観性と公平性を確保するため,監査員は自らが関わった業務を監査してはならない。自分の仕事を自分で監査しては,不備を見つけても指摘しにくくなる。
イは逆で,監査の基準や範囲は文書化した手順の中に定義する。ウも逆で,特定された不適合や懸念事項は該当する利害関係者に開示して是正につなげる。エも逆で,レビューはあらかじめ定めた間隔で実施する。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
ITIL によれば,7 ステップの改善プロセスにおける a,b 及び c の適切な組合せはどれか。
- アa:情報を提示して利用する,b:情報とデータを分析する,c:データを処理する
- イa:情報を提示して利用する,b:データを処理する,c:情報とデータを分析する
- ウa:データを処理する,b:情報とデータを分析する,c:情報を提示して利用する正解
- エa:データを処理する,b:情報を提示して利用する,c:情報とデータを分析する
正解 ウ
解説
7 ステップの改善プロセスは,①改善の戦略を識別する,②測定するものを定義する,③データを収集する,④データを処理する,⑤情報とデータを分析する,⑥情報を提示して利用する,⑦改善を実施する,の順に回る。よって a はデータを処理する,b は情報とデータを分析する,c は情報を提示して利用する。
集めたままのデータを整形・集計してから(④)分析し(⑤),その結果を関係者に示して意思決定に使い(⑥),実際の改善につなげる(⑦),という流れを押さえると順序を取り違えない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
IT サービスマネジメントにおける,インシデント及びサービス要求管理プロセスと問題管理プロセスとのインタフェースに関する要件のうち,適切なものはどれか。
- アインシデント及びサービス要求管理プロセスでは,インシデント解決の進捗状況を問題管理プロセスに伝えなければならない。
- イインシデント及びサービス要求管理プロセスでは,インシデントの根本原因を調査して,その結果を問題管理プロセスに伝えなければならない。
- ウ問題管理プロセスでは,既知の誤り及び問題解決策に関する最新の情報を,インシデント及びサービス要求管理プロセスに提供しなければならない。正解
- エ問題管理プロセスでは,問題の根本原因を正すために要求される変更を,インシデント及びサービス要求管理プロセスに伝えなければならない。
正解 ウ
解説
問題管理は,既知の誤り(根本原因が判明し回避策が分かっている問題)と問題解決策の最新情報を,インシデント及びサービス要求管理に提供しなければならない。この情報があるので,同じ症状のインシデントが起きたときに回避策で早く復旧できる。
アは誤りで,インシデント解決の進捗を伝える相手は顧客や利用者である。イも誤りで,根本原因の調査は問題管理の役割で,インシデント管理は復旧を優先する。エも誤りで,問題を正すための変更要求は変更管理に伝える。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
目標復旧時点(RPO)を 24 時間に定めているのはどれか。
- ア業務アプリケーションのリリースを展開するための中断時間を,24 時間以内とする。
- イ業務データの復旧を,障害発生時点から 24 時間以内に完了させる。
- ウ業務データを,障害発生時点の 24 時間前以降の状態に復旧させる。正解
- エ中断した IT サービスを 24 時間以内に復旧させる。
正解 ウ
解説
RPO(目標復旧時点)は,障害からいつの時点のデータに戻せればよいかを定めた目標。“障害発生時点の 24 時間前以降の状態に復旧させる”は,失ってよいデータを 24 時間分までとする指定なので RPO に当たる。
イの“24 時間以内に完了させる”とエの“24 時間以内に復旧させる”は,復旧までの時間を定めた RTO(目標復旧時間)。アはリリースの展開に伴う計画的な中断時間の上限であり,復旧目標ではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
IT サービスマネジメントにおける変更要求に対する活動のうち,リリース及び展開管理プロセスに含まれるものはどれか。
- ア稼働環境に展開される変更された構成品目(CI)の集合の構築正解
- イ変更の影響を受ける構成品目(CI)の識別
- ウ変更要求(RFC)の記録
- エ変更要求を評価するための変更諮問委員会(CAB)の召集
正解 ア
解説
リリース及び展開管理は,稼働環境へ展開する変更済みの構成品目(CI)をまとめてリリースパッケージとして構築し,計画に沿って展開するプロセス。設問の選択肢のうち,この“集合の構築”がリリース及び展開管理に当たる。
イの影響を受ける CI の識別,ウの変更要求(RFC)の記録,エの変更諮問委員会(CAB)の召集は,いずれも変更管理プロセスの活動である。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
図は,IT サービスを提供するサプライチェーン関係の例である。JIS Q 20000-1 の供給者管理プロセスにおける,サービス提供者の統括供給者に対する管理責任に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- アサービス提供者は,再請負契約先供給者が統括供給者との契約上の義務を果たすよう,統括供給者が管理していることを検証する。正解
- イサービス提供者は,再請負契約先供給者の要員名簿を統括供給者に提出させた上で,統括供給者と再請負契約先供給者の関係及び契約,並びに統括供給者のパフォーマンスを検証する。
- ウサービス提供者は,統括供給者が再請負契約先供給者を選定するための基準及び評価方法を統括供給者に提示させた上で再請負契約先供給者を選定し,基準の達成度を検証する。
- エサービス提供者は,統括供給者がパフォーマンス要件を満たせたかどうかを確認するために,再請負契約先供給者のパフォーマンスを直接検証する。
正解 ア
解説
供給者管理では,サービス提供者は統括供給者とだけ契約を結び,その先の再請負契約先供給者とは直接の契約関係をもたない。したがってサービス提供者が行うのは,再請負契約先が契約上の義務を果たすよう統括供給者が管理していることを検証することである。
イは要員名簿の提出まで求める点が過剰である。ウは再請負契約先を選定するのが統括供給者ではなくサービス提供者になっており,契約関係と合わない。エも誤りで,再請負契約先のパフォーマンスを直接検証するのではなく,統括供給者を通じて管理させる。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
IT サービスマネジメントの容量・能力管理において,将来のコンポーネント,並びにサービスの容量・能力及びパフォーマンスの予測は,採用する技法及び技術に応じて様々な方法で行われる。予測に当たり,現在達成されているパフォーマンスを正確に反映したモデルを作成し,モデル化の第 1 段階とするものはどれか。
- ア傾向分析
- イシミュレーションのモデル化
- ウ分析モデル化
- エベースラインのモデル化正解
正解 エ
解説
予想のためのモデル化は,まず現状を正しく写し取るところから始める。現在達成されているパフォーマンスを正確に反映したモデルを作ることをベースラインのモデル化といい,これができて初めて,条件を変えたときの結果を比べられる。
アの傾向分析は過去のデータから将来の変化の向きを読む手法,イのシミュレーションのモデル化は取引などを模擬して挙動を調べる手法,ウの分析モデル化は待ち行列理論などの数式でシステムを表す手法であり,いずれも第一段階として現状を写し取る作業ではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
バックアップサイトの説明のうち,ウォームスタンバイの説明として,最も適切なものはどれか。
- ア同じようなシステムを運用する外部の企業や組織と協定を結び,緊急時には互いのシステムを貸し借りして,サービスを復旧する。
- イ緊急時にはバックアップシステムを持ち込んでシステムを再開し,サービスを復旧する。
- ウ別の場所に常にデータの同期が取れているバックアップシステムを用意しておき,緊急時にはバックアップシステムに切り換えて直ちにサービスを復旧する。
- エ別の場所にバックアップシステムを用意しておき,緊急時にはバックアップシステムを起動してデータを最新状態にする処理を行った後にサービスを復旧する。正解
正解 エ
解説
ウォームスタンバイは,別の場所にバックアップシステムを用意しておくが常時は動かしておらず,緊急時に起動してデータを最新の状態にしてからサービスを再開する方式。準備の手間と復旧の速さの中間に位置する。
アは相互バックアップ(他組織との相互援助協定),イは機材を持ち込んでから立ち上げるコールドスタンバイ,ウは常時同期していて直ちに切り替えられるホットスタンバイである。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
ITIL では,可用性管理における KPI の例として,保守性の指標である平均サービス回復時間(MTRS)の短縮を挙げている。年間 5,020 時間提供するサービスにおいて,6 時間のサービス停止が 1 回と 14 時間のサービス停止が 1 回の合計 2 回のサービス停止があった。MTRS は何時間か。
正解 ア
解説
MTRS(平均サービス回復時間)は,サービスが停止してから回復するまでに要した時間の平均。停止は 6 時間と 14 時間の 2 回なので,(6+14)÷2=10 時間。
イの 20 は停止時間の合計そのもの。ウの 2,500 はサービスを提供できた時間 (5,020−20)÷2 で求まる MTBF(平均故障間隔)。エの 2,510 は 5,020÷2 で求まる MTBSI(平均サービス・インシデント間隔)であり,いずれも回復に要した時間ではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
データベースのロールバック処理の説明はどれか。
- アログの更新後情報を用いて,トランザクション開始後の障害直前の状態にデータを復元させる。
- イログの更新後情報を用いて,トランザクション開始直前の状態にデータを復元させる。
- ウログの更新前情報を用いて,トランザクション開始後の障害直前の状態にデータを復元させる。
- エログの更新前情報を用いて,トランザクション開始直前の状態にデータを復元させる。正解
正解 エ
解説
ロールバックは,異常終了したトランザクションが加えた更新を取り消す処理。ログに記録しておいた更新前情報(更新前の値)を使って,そのトランザクションを開始する直前の状態までデータを戻す。
アはログの更新後情報で障害直前まで進めるロールフォワードの説明。イとウは,使うログの情報と戻す先の組合せが入れ替わっており,どちらも成り立たない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
データセンタにおけるコールドアイルの説明として,適切なものはどれか。
- アIT 機器の冷却を妨げる熱気をラックの前面(吸気面)に回り込ませないための板であり,IT 機器がマウントされていないラックの空き部分に取り付ける。
- イ寒冷な外気をデータセンタ内に直接導入して IT 機器を冷却するときの,データセンタへの外気の吸い込み口である。
- ウ空調機からの冷気と IT 機器からの熱排気を分離するために,ラックの前面(吸気面)同士を対向配置したときの,ラックの前面同士に挟まれた冷気の通る部分である。正解
- エ発熱量が多い特定の領域に対して,全体空調とは別に個別空調装置を設置するときの,個別空調用の冷媒を通すパイプである。
正解 ウ
解説
コールドアイルは,ラックの前面(吸気面)同士を向かい合わせに配置したときに,その間にできる冷気の通り道。背面同士が向かい合う側がホットアイルになり,冷気と熱排気が混ざらないので冷却効率が上がる。
アはブランクパネル(ブランクプレート),イは外気冷房での外気の取入れ口,エは個別空調の冷媒配管の説明であり,いずれもコールドアイルではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
金融庁の“財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準”における,内部統制に関係を有する者の役割と責任の記述のうち,適切なものはどれか。
- ア株主は,内部統制の整備及び運用について最終的な責任を有する。
- イ監査役は,内部統制の整備及び運用に係る基本方針を決定する。
- ウ経営者は,取締役の職務の執行に対する監査の一環として,独立した立場から,内部統制の整備及び運用状況を監視,検証する役割と責任を有する。
- エ内部監査人は,モニタリングの一環として,内部統制の整備及び運用状況を検討,評価し,必要に応じて,その改善を促す職務を担っている。正解
正解 エ
解説
内部監査人は,モニタリングの一環として内部統制の整備及び運用状況を検討・評価し,必要に応じて経営者や取締役会に報告して改善を促す職務を担う。
アは誤りで,内部統制の整備及び運用について最終的な責任を負うのは経営者である。イも誤りで,基本方針を決定するのは取締役会。ウは役割が入れ替わっており,取締役の職務の執行に対する監査の一環として独立した立場から監視・検証するのは監査役である。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
プログラム 160 本の開発に期間 40 日間,総工数 800 人日を予定している。10 日目終了時点の予定と実績は表のとおりであった。EVM による進捗状況分析結果のうち,適切なものはどれか。ここで,各プログラムの作成に要する工数は同一とする。
- アコスト効率,スケジュール効率がともに計画どおりである。
- イコスト効率,スケジュール効率がともに計画よりも低い。
- ウコスト効率は計画どおりだが,スケジュール効率が計画よりも低い。正解
- エスケジュール効率は計画どおりだが,コスト効率が計画よりも低い。
正解 ウ
解説
総工数 800 人日をプログラム 160 本で割ると 1 本当たり 5 人日。10 日目終了時点の PV(出来高計画値)は予定工数の 200 人日,EV(出来高実績値)は完成した 30 本分で 30×5=150 人日,AC(実コスト)は実績工数の 150 人日。
CPI=EV÷AC=150÷150=1.0 なのでコスト効率は計画どおり,SPI=EV÷PV=150÷200=0.75 なのでスケジュール効率は計画より低い。実績工数と実績本数がどちらも予定より少ないので一見コストも遅れているように見えるが,作った分に見合う工数しか使っていないのでコスト効率は落ちていない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
リスクマネジメントに使用する EMV(期待金額価値)の算出式はどれか。
- アリスク事象発生時の影響金額 × リスク事象の発生確率正解
- イリスク事象発生時の影響金額 ÷ リスク事象の発生確率
- ウリスク事象発生時の影響金額 × リスク対応に掛かるコスト
- エリスク事象発生時の影響金額 ÷ リスク対応に掛かるコスト
正解 ア
解説
EMV(期待金額価値)は,リスク事象が起きたときの影響金額に,その事象の発生確率を掛けた値。確率で重み付けした金額なので,起こりやすさと大きさの両方を 1 つの数値で比べられる。
イのように確率で割ったり,ウ・エのようにリスク対応のコストを掛けたり割ったりしても,期待値にはならない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
PMBOK によれば,プロジェクト調達マネジメントにおける契約タイプのうち,納入者にとってのリスクが最も高いものはどれか。
- ア完全定額契約正解
- イコスト・プラス・インセンティブ・フィー契約
- ウコスト・プラス定額フィー契約
- エタイム・アンド・マテリアル契約
正解 ア
解説
完全定額契約は,成果物に対して支払額をあらかじめ固定する契約。実際のコストが見積りを超えても増額されないので,超過分は納入者がすべて負担することになり,納入者にとってのリスクが最も高い。
イのコスト・プラス・インセンティブ・フィー契約とウのコスト・プラス定額フィー契約は実費が償還されるので納入者のリスクは小さい。エのタイム・アンド・マテリアル契約も実際に要した時間と材料に応じて支払われるため,リスクは完全定額契約より小さい。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
RAID 1〜5 の方式の違いは,何に基づいているか。
- ア構成する磁気ディスク装置のアクセス性能
- イコンピュータ本体とのインタフェース
- ウ磁気ディスク装置の信頼性を示す MTBF の値
- エデータ及び冗長ビットの記録方法と記録位置との組合せ正解
正解 エ
解説
RAID 1〜5 は,データと冗長ビット(ミラーやパリティ)をどのように作り,どのディスクのどこに置くかの組合せで区別される。RAID 1 はミラーリング,RAID 3・4 はパリティを専用ディスクに置き,RAID 5 はパリティを各ディスクに分散させる,といった違いである。
アのアクセス性能,イのインタフェース,ウの MTBF は,どれも構成する装置側の性質であって,RAID の方式を分ける基準ではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
シングルジョブで動作するコンピュータシステムがある。平均ターンアラウンドタイム A とスループット T の関係として,適切なものはどれか。
- アA×(1−T) ≒ 1
- イA×T ≒ 1正解
- ウA÷(1−T) ≒ 1
- エA÷T ≒ 1
正解 イ
解説
シングルジョブの環境では,ジョブは 1 件ずつ順に処理される。スループット T は単位時間当たりに処理できるジョブ数,平均ターンアラウンドタイム A は 1 件当たりに掛かる時間なので,両者は互いの逆数の関係になり,A×T ≒ 1 が成り立つ。
ア・ウのように 1−T を使う根拠はなく,エの A÷T ≒ 1 は A と T が等しいという意味になり,逆数の関係と合わない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
システム障害発生時には,データベースの整合性を保ち,かつ,最新のデータベース状態に復旧する必要がある。このために,DBMS がトランザクションのコミット処理を完了とするタイミングとして,適切なものはどれか。
- アアプリケーションの更新命令完了時点
- イチェックポイント処理完了時点
- ウログバッファへのコミット情報書込み完了時点
- エログファイルへのコミット情報書込み完了時点正解
正解 エ
解説
コミットを完了とみなしてよいのは,コミット情報が不揮発の記憶媒体,すなわちログファイルに書き終わった時点。ここまで進んでいれば,直後にシステムが停止してもログからロールフォワードして最新の状態に復旧できる。
アの更新命令完了時点やウのログバッファへの書込み完了時点では,情報はまだ主記憶上にあり,障害で失われる。イのチェックポイント処理はバッファの内容をまとめて書き出す処理で,個々のトランザクションのコミットの成立とは関係がない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
スイッチングハブ同士を接続する際に,複数のポートを束ねて一つの論理ポートとして扱う技術はどれか。
- アMIME
- イMIMO
- ウマルチパート
- エリンクアグリゲーション正解
正解 エ
解説
リンクアグリゲーションは,スイッチ間の複数の物理ポートを束ねて1つの論理ポートとして扱う技術。帯域を増やせるうえ,一部のリンクが切れても通信を継続できる。
アの MIME は電子メールで多様なデータを扱うための規格,イの MIMO は無線通信で複数のアンテナを使う技術,ウのマルチパートは MIME で複数の本文を含める形式。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
軽微な不正や犯罪を放置することによって,より大きな不正や犯罪が誘発されるという考え方はどれか。
- ア環境設計による犯罪予防理論(CPTED)
- イ日常活動理論
- ウ不正のトライアングル理論
- エ割れ窓理論正解
正解 エ
解説
割れ窓理論は,割れた窓を直さずに放置すると,誰も気に留めない場所だと見なされてより大きな不正や犯罪を招く,という考え方。軽微な違反も見逃さずに正すことが,重大な不正の抑止につながる。
アの CPTED は,見通しや動線を工夫した環境設計によって犯罪の機会そのものを減らす理論。イの日常活動理論は,動機をもつ加害者・格好の標的・監視者の不在が同時にそろうと犯罪が起きるとする理論。ウの不正のトライアングル理論は,機会・動機(プレッシャー)・正当化の三つがそろうと不正が起きるとする理論である。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
無線 LAN のセキュリティ方式として WPA2 を選択するとき,利用される暗号化アルゴリズムはどれか。
正解 ア
解説
WPA2 は暗号化方式として CCMP を採用しており,その基盤となる暗号化アルゴリズムは AES である。
ウの RC4 は WEP や WPA の TKIP で使われたストリーム暗号で,WPA2 では使わない。イの ECC(楕円曲線暗号)とエの RSA はいずれも公開鍵暗号であり,無線 LAN のフレームの暗号化には用いない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
紙型,IC カード型又はサーバ型の前払式支払手段(プリペイドカード,電子マネーなど)の発行者に対し,その発行業務に係る情報の漏えい,滅失又は毀損の防止措置を求める法律はどれか。
- ア資金決済法正解
- イ消費者契約法
- ウ電子帳簿保存法
- エ特定商取引法
正解 ア
解説
資金決済法(資金決済に関する法律)は,紙型・IC カード型・サーバ型の前払式支払手段の発行者に対して,発行業務に係る情報の漏えい,滅失又は毀損の防止のために必要な措置を講じることを求めている。
イの消費者契約法は消費者と事業者の契約における不当な条項などを扱う法律,ウの電子帳簿保存法は国税関係帳簿書類の電子的な保存を認める法律,エの特定商取引法は通信販売や訪問販売などの取引を規制する法律であり,いずれも前払式支払手段の発行業務の情報管理を定めたものではない。
出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)