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ITサービスマネージャ試験

平成28年度 秋期 科目A-2(午前Ⅱ)

平成28年度 秋期に実施されたITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:ITサービスマネージャ試験について

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問1

ITIL において,良い目標値を設定するための条件として“SMART”がある。“S”は Specific(具体的),“M”は Measurable(測定可能),“R”は Relevant(適切),“T”は Time-bound(適時)の頭文字である。“A”は何の頭文字か。

正解 ア

解説

SMART は Specific(具体的),Measurable(測定可能),Achievable(達成可能),Relevant(適切),Time-bound(適時)の頭文字。“A”は Achievable で,努力すれば手が届く水準に目標を置くことを求める。

イの Ambitious(意欲的)は,高すぎて達成できない目標を許すことになるので SMART の考え方と合わない。ウの Analyzable とエの Auditable は SMART の要素ではない。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問2

ITIL において,インシデントに対する一連の活動のうち,イベント管理プロセスが分担する活動はどれか。

正解 エ

解説

イベント管理は,構成品目やサービスの状態変化(イベント)を監視して検知し,意味を判断したうえで,対応が必要なものを関連するプロセスへ通知するプロセス。インシデントの検知と通知がこれに当たる。

アは問題管理で作成する既知のエラー記録,イも問題管理の根本原因分析,ウはインシデント管理によるサービスの復旧であり,いずれもイベント管理の分担ではない。

イベント管理 イベント管理は,構成品目やサービスの状態の変化(イベント)を監視して検知し,その意味を判断して,対応が要るものを関係するプロセスへ通知する。インシデントになるものはインシデント管理へ渡す。サービスの復旧はインシデント管理,根本原因の分析や既知のエラーの記録は問題管理の役目。 監視 イベント検知 状態の変化 判断 意味・重要度 通知 関係先へ インシデント管理(復旧) 根本原因の分析は問題管理 イベント管理が担うのは検知と通知
検知して判断し,関係するプロセスへ知らせる

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問3

“IT サービスが必要とされるときに,合意した条件の下で要求された機能を果たせる状態にある能力”について,定義し,分析し,計画し,測定し,改善する活動を行う ITIL の管理プロセスはどれか。

正解 ウ

解説

設問の“IT サービスが必要とされるときに,合意した条件の下で要求された機能を果たせる状態にある能力”は可用性の定義。これを定義し,分析し,計画し,測定し,改善するのが可用性管理。

アの IT サービス継続性管理は災害などの重大な中断に備えて復旧を計画するプロセス,イのインシデント管理は発生した中断を早く復旧させるプロセス,エの問題管理はインシデントの根本原因を取り除くプロセスであり,可用性そのものを管理するプロセスではない。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理 ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問4

JIS Q 20000-1 の“サービスマネジメントシステムの監視及びレビュー”の要求事項のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

監査の客観性と公平性を確保するため,監査員は自らが関わった業務を監査してはならない。自分の仕事を自分で監査しては,不備を見つけても指摘しにくくなる。

イは逆で,監査の基準や範囲は文書化した手順の中に定義する。ウも逆で,特定された不適合や懸念事項は該当する利害関係者に開示して是正につなげる。エも逆で,レビューはあらかじめ定めた間隔で実施する。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問5

ITIL によれば,7 ステップの改善プロセスにおける a,b 及び c の適切な組合せはどれか。

〔7ステップの改善プロセス〕と題した循環図。ステップ1“改善の戦略を識別する”,ステップ2“測定するものを定義する”,ステップ3“データを収集する”,ステップ4は空欄 a,ステップ5は空欄 b,ステップ6は空欄 c,ステップ7“改善を実施する”と進み,ステップ1へ戻る。

正解 ウ

解説

7 ステップの改善プロセスは,①改善の戦略を識別する,②測定するものを定義する,③データを収集する,④データを処理する,⑤情報とデータを分析する,⑥情報を提示して利用する,⑦改善を実施する,の順に回る。よって a はデータを処理する,b は情報とデータを分析する,c は情報を提示して利用する。

集めたままのデータを整形・集計してから(④)分析し(⑤),その結果を関係者に示して意思決定に使い(⑥),実際の改善につなげる(⑦),という流れを押さえると順序を取り違えない。

ITIL の7ステップの改善プロセス ①改善の戦略を識別する ②測定するものを定義する ③データを収集する ④データを処理する ⑤情報とデータを分析する ⑥情報を提示して利用する ⑦改善を実施する,の順に回し,①へ戻る。集めたデータをまず整えて(④)から分析し(⑤),結果を示して使う(⑥)。 1 戦略を識別 2 測定するもの 3 データを収集 4 データを処理 5 分析する 6 提示して利用 7 改善を実施 回す 空欄 a・b・c は④処理・⑤分析・⑥提示と利用
収集 → 処理 → 分析 → 提示・利用 → 実施

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問6

IT サービスマネジメントにおける,インシデント及びサービス要求管理プロセスと問題管理プロセスとのインタフェースに関する要件のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

問題管理は,既知の誤り(根本原因が判明し回避策が分かっている問題)と問題解決策の最新情報を,インシデント及びサービス要求管理に提供しなければならない。この情報があるので,同じ症状のインシデントが起きたときに回避策で早く復旧できる。

アは誤りで,インシデント解決の進捗を伝える相手は顧客や利用者である。イも誤りで,根本原因の調査は問題管理の役割で,インシデント管理は復旧を優先する。エも誤りで,問題を正すための変更要求は変更管理に伝える。

障害が起きてから本格的に直るまで インシデント管理はサービスをできるだけ早く元に戻し,原因が分からなくても再起動や回避策で戻ればよしとする。問題管理は根本原因を突き止め,原因と回避策を既知の誤りとして記録してインシデント管理に渡す。恒久的な解決策は変更要求(RFC)として変更管理に出され,リリース管理を経て本番に展開される。 インシデント管理 早く元に戻す 問題管理 根本原因を探す 変更管理 変更を評価・承認 リリース管理 本番に展開 RFC 既知の誤り・回避策 時間をかけずに戻す 時間をかけてでも再発を防ぐ 原因を調べるのはインシデント管理ではなく問題管理
既知の誤り(原因と回避策)の情報は,問題管理からインシデント管理へ渡る

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理

問7

目標復旧時点(RPO)を 24 時間に定めているのはどれか。

正解 ウ

解説

目標復旧時点(RPO)は,障害が起きたときに,どの時点までさかのぼったデータを復旧するかの目標で,許容できるデータの損失の範囲を表す。RPO を24時間とするのは,障害発生時点の24時間前までの業務データを復旧できることを保証するウである。

イの“24 時間以内に完了させる”とエの“24 時間以内に復旧させる”は,復旧までの時間を定めた RTO(目標復旧時間)。アはリリースの展開に伴う計画的な中断時間の上限であり,復旧目標ではない。

RPO・RTO・MTPD の関係 障害が起きた時点を中心に,RPO(目標復旧時点)は過去に向かって,どの時点のデータまで戻すか(失ってよいデータの範囲)を表す。RTO(目標復旧時間)は未来に向かって,どれだけの時間で戻すかを表す。MTPD(最大許容停止時間)は止まっていられる限界で,RTO はこれより短く置く。 時間 最後のバックアップ 障害発生 復旧 RPO どこまで戻すか RTO 何時間で戻すか MTPD:これ以上止まると事業が立ち行かない ← 過去(データ) 未来(時間)→
RPO は障害の前(データ),RTO は障害の後(時間)を向く。RTO は MTPD より短く

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

用語解説:BCP(事業継続計画・RTO・RPO)

問8

IT サービスマネジメントにおける変更要求に対する活動のうち,リリース及び展開管理プロセスに含まれるものはどれか。

正解 ア

解説

リリース及び展開管理は,稼働環境へ展開する変更済みの構成品目(CI)をまとめてリリースパッケージとして構築し,計画に沿って展開するプロセス。設問の選択肢のうち,この“集合の構築”がリリース及び展開管理に当たる。

イの影響を受ける CI の識別,ウの変更要求(RFC)の記録,エの変更諮問委員会(CAB)の召集は,いずれも変更管理プロセスの活動である。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

図は,IT サービスを提供するサプライチェーン関係の例である。JIS Q 20000-1 の供給者管理プロセスにおける,サービス提供者の統括供給者に対する管理責任に関する記述のうち,適切なものはどれか。

顧客とサービス提供者が双方向の矢印で結ばれ,サービス提供者の下に供給者と統括供給者が並ぶ。統括供給者の下にさらに再請負契約先供給者がつながる階層図。

正解 ア

解説

供給者管理では,サービス提供者は統括供給者とだけ契約を結び,その先の再請負契約先供給者とは直接の契約関係をもたない。したがってサービス提供者が行うのは,再請負契約先が契約上の義務を果たすよう統括供給者が管理していることを検証することである。

イは要員名簿の提出まで求める点が過剰である。ウは再請負契約先を選定するのが統括供給者ではなくサービス提供者になっており,契約関係と合わない。エも誤りで,再請負契約先のパフォーマンスを直接検証するのではなく,統括供給者を通じて管理させる。

統括供給者と再請負先 サービス提供者が契約するのは統括供給者だけで,その先の再請負契約先供給者とは直接の契約関係がない。サービス提供者は,再請負先が義務を果たすよう統括供給者が管理していることを確かめる。再請負先を選んだり直接管理したりはしない。 顧客 サービス提供者 供給者 統括供給者 契約 再請負先 直接の契約はない
サービス提供者は統括供給者を通じて管理させる

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

用語解説:契約の形態(請負・準委任・労働者派遣) JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問10

IT サービスマネジメントの容量・能力管理において,将来のコンポーネント,並びにサービスの容量・能力及びパフォーマンスの予測は,採用する技法及び技術に応じて様々な方法で行われる。予測に当たり,現在達成されているパフォーマンスを正確に反映したモデルを作成し,モデル化の第 1 段階とするものはどれか。

正解 エ

解説

予想のためのモデル化は,まず現状を正しく写し取るところから始める。現在達成されているパフォーマンスを正確に反映したモデルを作ることをベースラインのモデル化といい,これができて初めて,条件を変えたときの結果を比べられる。

アの傾向分析は過去のデータから将来の変化の向きを読む手法,イのシミュレーションのモデル化は取引などを模擬して挙動を調べる手法,ウの分析モデル化は待ち行列理論などの数式でシステムを表す手法であり,いずれも第一段階として現状を写し取る作業ではない。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

バックアップサイトの説明のうち,ウォームスタンバイの説明として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ウォームスタンバイは,別の場所にバックアップシステムを用意しておくが,常にデータを同期させて動かしているわけではなく,緊急時にバックアップシステムを起動し,データを最新の状態にしてからサービスを回復する方式である。エが該当する。

アは相互バックアップ(他組織との相互援助協定),イは機材を持ち込んでから立ち上げるコールドスタンバイ,ウは常時同期していて直ちに切り替えられるホットスタンバイである。

ホット・ウォーム・コールドスタンバイ ホットスタンバイは別の場所のシステムを常に動かしてデータを同期し,すぐに切り替える。ウォームスタンバイは機器を用意しておくが動かしてはおらず,緊急時に起動してデータを最新にしてから回復する。コールドスタンバイは場所(と電源など)だけを用意し,機器は災害後に持ち込んで立ち上げる。 方式 待機の状態 切替え 費用 ホット 常に稼働・同期 すぐ 高い ウォーム 機器はあるが止めている 起動して最新にする 中 コールド 場所だけ(機器は後から) 持ち込んで立ち上げる 安い 相互援助協定:同じようなシステムの組織どうしで助け合う
常に動かす・用意だけして起動する・場所だけ

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

ITIL では,可用性管理における KPI の例として,保守性の指標である平均サービス回復時間(MTRS)の短縮を挙げている。年間 5,020 時間提供するサービスにおいて,6 時間のサービス停止が 1 回と 14 時間のサービス停止が 1 回の合計 2 回のサービス停止があった。MTRS は何時間か。

正解 ア

解説

MTRS(平均サービス回復時間)は,サービスが停止してから回復するまでに要した時間の平均。停止は 6 時間と 14 時間の 2 回なので,(6+14)÷2=10 時間。

イの 20 は停止時間の合計そのもの。ウの 2,500 はサービスを提供できた時間 (5,020−20)÷2 で求まる MTBF(平均故障間隔)。エの 2,510 は 5,020÷2 で求まる MTBSI(平均サービス・インシデント間隔)であり,いずれも回復に要した時間ではない。

MTBSI・MTBF・MTRS を数値で求める 5,020時間のうち停止は 6時間と14時間の2回(合計20時間)。MTRS は停止の平均で 20÷2=10時間,MTBF は動いていた時間の平均で 5,000÷2=2,500時間,MTBSI は障害の間隔の平均で 5,020÷2=2,510時間。MTBSI=MTBF+MTRS になる。 6h 14h 動いている 動いている 0 5,020時間 MTRS = 20 ÷ 2 = 10 MTBF = 5,000 ÷ 2 = 2,500 MTBSI = 5,020 ÷ 2 = 2,510 (MTBSI = MTBF + MTRS)
MTRS は停止時間の平均。合計(20)でも MTBF(2,500)でもない

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

用語解説:バランススコアカードと KPI・KGI・CSF ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問13

データベースのロールバック処理の説明はどれか。

正解 エ

解説

ロールバックは,異常終了したトランザクションが加えた更新を取り消す処理。ログに記録しておいた更新前情報(更新前の値)を使って,そのトランザクションを開始する直前の状態までデータを戻す。

アはログの更新後情報で障害直前まで進めるロールフォワードの説明。イとウは,使うログの情報と戻す先の組合せが入れ替わっており,どちらも成り立たない。

障害の種類と回復に使うログ トランザクション障害(実行中の異常終了)では,更新前ログを使ってロールバックし,トランザクション開始前の状態に戻す。システム障害では,チェックポイント以降にコミットしたものを更新後ログでロールフォワードし,未コミットのものを更新前ログでロールバックする。媒体障害では,バックアップから復元し,バックアップ以降にコミットしたものを更新後ログでロールフォワードする。 ロールバック 更新前ログ → 開始前に戻す ロールフォワード 更新後ログ → 障害直前まで進める トランザクション障害 異常終了したものを戻す — システム障害 未コミットを戻す チェックポイント後のコミット 媒体障害 — バックアップを復元してから
ロールバックは更新前ログで戻す,ロールフォワードは更新後ログで進める

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

用語解説:障害回復(ロールバック・ロールフォワード)

問14

データセンタにおけるコールドアイルの説明として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

コールドアイルは,ラックの前面(吸気面)同士を向かい合わせに配置したときに,その間にできる冷気の通り道。背面同士が向かい合う側がホットアイルになり,冷気と熱排気が混ざらないので冷却効率が上がる。

アはブランクパネル(ブランクプレート),イは外気冷房での外気の取入れ口,エは個別空調の冷媒配管の説明であり,いずれもコールドアイルではない。

コールドアイルとホットアイル ラックの前面(吸気面)どうしを向かい合わせに並べると,その間が空調機からの冷気の通り道(コールドアイル)になり,背面(排気面)どうしが向かい合う側が熱い排気の通り道(ホットアイル)になる。冷気と熱気が混ざらないので冷却の効率が上がる。 ラック ラック ラック ラック コールド アイル ホット アイル 冷気が下から 前面→ ←前面 背面→ ←背面
前面どうしの間がコールドアイル,背面どうしの間がホットアイル

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

金融庁の“財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準”における,内部統制に関係を有する者の役割と責任の記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

内部監査人は,モニタリングの一環として内部統制の整備及び運用状況を検討・評価し,必要に応じて経営者や取締役会に報告して改善を促す職務を担う。

アは誤りで,内部統制の整備及び運用について最終的な責任を負うのは経営者である。イも誤りで,基本方針を決定するのは取締役会。ウは役割が入れ替わっており,取締役の職務の執行に対する監査の一環として独立した立場から監視・検証するのは監査役である。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

用語解説:内部統制(全般統制・業務処理統制) システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問16

プログラム 160 本の開発に期間 40 日間,総工数 800 人日を予定している。10 日目終了時点の予定と実績は表のとおりであった。EVM による進捗状況分析結果のうち,適切なものはどれか。ここで,各プログラムの作成に要する工数は同一とする。

〔10日目終了時点の予定と実績〕と題した表。プログラム作成本数(本)は予定 40,実績 30。工数(人日)は予定 200,実績 150。

正解 ウ

解説

総工数 800 人日をプログラム 160 本で割ると 1 本当たり 5 人日。10 日目終了時点の PV(出来高計画値)は予定工数の 200 人日,EV(出来高実績値)は完成した 30 本分で 30×5=150 人日,AC(実コスト)は実績工数の 150 人日。

CPI=EV÷AC=150÷150=1.0 なのでコスト効率は計画どおり,SPI=EV÷PV=150÷200=0.75 なのでスケジュール効率は計画より低い。実績工数と実績本数がどちらも予定より少ないので一見コストも遅れているように見えるが,作った分に見合う工数しか使っていないのでコスト効率は落ちていない。

CPI と SPI で見通しを読む コスト効率指数 CPI=EV÷AC,スケジュール効率指数 SPI=EV÷PV。1 より小さいとそれぞれ悪い。現時点で PV>AC>EV なら CPI も SPI も1未満で,このまま進めばコストは計画を超え,完了は遅れる。残作業効率指数 TCPI が1を超えるときは,残りを計画より高い効率で進めないと予算に収まらない。 指数 式 1 未満なら CPI EV ÷ AC コストが超過 SPI EV ÷ PV 進捗が遅れ TCPI 残りの作業 ÷ 残りの予算 (1 超)残りを効率よく PV>AC>EV → CPI<1,SPI<1 → コスト増・完了は遅れる 例:EV 150,AC 150,PV 200 なら CPI=1.0,SPI=0.75
CPI=EV÷AC,SPI=EV÷PV。1 未満なら悪い

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

用語解説:EVM(アーンドバリューマネジメント)

問17

リスクマネジメントに使用する EMV(期待金額価値)の算出式はどれか。

正解 ア

解説

EMV(期待金額価値)は,リスク事象が起きたときの影響金額に,その事象の発生確率を掛けた値。確率で重み付けした金額なので,起こりやすさと大きさの両方を 1 つの数値で比べられる。

イのように確率で割ったり,ウ・エのようにリスク対応のコストを掛けたり割ったりしても,期待値にはならない。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

PMBOK によれば,プロジェクト調達マネジメントにおける契約タイプのうち,納入者にとってのリスクが最も高いものはどれか。

正解 ア

解説

完全定額契約は,成果物に対して支払額をあらかじめ固定する契約。実際のコストが見積りを超えても増額されないので,超過分は納入者がすべて負担することになり,納入者にとってのリスクが最も高い。

イのコスト・プラス・インセンティブ・フィー契約とウのコスト・プラス定額フィー契約は実費が償還されるので納入者のリスクは小さい。エのタイム・アンド・マテリアル契約も実際に要した時間と材料に応じて支払われるため,リスクは完全定額契約より小さい。

契約のタイプとコストのリスクの持ち方 定額契約は,決めた金額で引き受けるので,コストが膨らむリスクは受注者が負う。実費償還契約は,掛かったコストを発注者が払うので,リスクは発注者が負う。インセンティブフィー付きの契約はその間で,目標コストとの差を分け合う。 完全定額 インセンティブ 付き定額 コスト・プラス インセンティブ 実費償還 (定額フィー) 受注者のリスク大 発注者のリスク大 インセンティブ付きは目標コストとの差を分け合う
定額は受注者,実費償還は発注者がリスクを負う

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問19

RAID 1〜5 の方式の違いは,何に基づいているか。

正解 エ

解説

RAID 1〜5 は,データと冗長ビット(ミラーやパリティ)をどのように作り,どのディスクのどこに置くかの組合せで区別される。RAID 1 はミラーリング,RAID 3・4 はパリティを専用ディスクに置き,RAID 5 はパリティを各ディスクに分散させる,といった違いである。

アのアクセス性能,イのインタフェース,ウの MTBF は,どれも構成する装置側の性質であって,RAID の方式を分ける基準ではない。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

用語解説:稼働率(MTBF・MTTR) RAID(ディスクアレイ)

問20

シングルジョブで動作するコンピュータシステムがある。平均ターンアラウンドタイム A とスループット T の関係として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

シングルジョブの環境では,ジョブは 1 件ずつ順に処理される。スループット T は単位時間当たりに処理できるジョブ数,平均ターンアラウンドタイム A は 1 件当たりに掛かる時間なので,両者は互いの逆数の関係になり,A×T ≒ 1 が成り立つ。

ア・ウのように 1−T を使う根拠はなく,エの A÷T ≒ 1 は A と T が等しいという意味になり,逆数の関係と合わない。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

システム障害発生時には,データベースの整合性を保ち,かつ,最新のデータベース状態に復旧する必要がある。このために,DBMS がトランザクションのコミット処理を完了とするタイミングとして,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

コミットを完了とみなしてよいのは,コミット情報が不揮発の記憶媒体,すなわちログファイルに書き終わった時点。ここまで進んでいれば,直後にシステムが停止してもログからロールフォワードして最新の状態に復旧できる。

アの更新命令完了時点やウのログバッファへの書込み完了時点では,情報はまだ主記憶上にあり,障害で失われる。イのチェックポイント処理はバッファの内容をまとめて書き出す処理で,個々のトランザクションのコミットの成立とは関係がない。

コミットが完了するのはログファイルに書いた時点 トランザクションの更新は,まず主記憶のバッファで行い,その更新内容をログバッファを経てログファイル(ディスク)に書き出す。コミット情報がログファイルに書けた時点でコミット完了とする(WAL:データベースより先にログを書く)。データベース本体への書出しは後のチェックポイントでよく,その前に止まってもログからロールフォワードして回復できる。 主記憶(障害で消える) 更新命令の完了 ログバッファに書く ディスク(残る) ログファイルに書く ここでコミット完了 データベースに書く 後のチェックポイントでよい ログをデータベースより先に書く(WAL) 止まっても,ログにあるコミット済みの更新は ロールフォワードで回復できる
主記憶の上にある間は障害で消える。ディスクのログに書けたら完了

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:障害回復(ロールバック・ロールフォワード)

問22

スイッチングハブ同士を接続する際に,複数のポートを束ねて一つの論理ポートとして扱う技術はどれか。

正解 エ

解説

リンクアグリゲーションは,スイッチ間の複数の物理ポートを束ねて1つの論理ポートとして扱う技術。帯域を増やせるうえ,一部のリンクが切れても通信を継続できる。

アの MIME は電子メールで多様なデータを扱うための規格,イの MIMO は無線通信で複数のアンテナを使う技術,ウのマルチパートは MIME で複数の本文を含める形式。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

用語解説:スパニングツリー・VLAN・リンクアグリゲーション

問23

軽微な不正や犯罪を放置することによって,より大きな不正や犯罪が誘発されるという考え方はどれか。

正解 エ

解説

割れ窓理論は,割れた窓を直さずに放置すると,誰も気に留めない場所だと見なされてより大きな不正や犯罪を招く,という考え方。軽微な違反も見逃さずに正すことが,重大な不正の抑止につながる。

アの CPTED は,見通しや動線を工夫した環境設計によって犯罪の機会そのものを減らす理論。イの日常活動理論は,動機をもつ加害者・格好の標的・監視者の不在が同時にそろうと犯罪が起きるとする理論。ウの不正のトライアングル理論は,機会・動機(プレッシャー)・正当化の三つがそろうと不正が起きるとする理論である。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

無線 LAN のセキュリティ方式として WPA2 を選択するとき,利用される暗号化アルゴリズムはどれか。

正解 ア

解説

WPA2 は暗号化方式として CCMP を採用しており,その基盤となる暗号化アルゴリズムは AES である。

ウの RC4 は WEP や WPA の TKIP で使われたストリーム暗号で,WPA2 では使わない。イの ECC(楕円曲線暗号)とエの RSA はいずれも公開鍵暗号であり,無線 LAN のフレームの暗号化には用いない。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

用語解説:無線 LAN(WPA2・WPA3・CSMA/CA)

問25

紙型,IC カード型又はサーバ型の前払式支払手段(プリペイドカード,電子マネーなど)の発行者に対し,その発行業務に係る情報の漏えい,滅失又は毀損の防止措置を求める法律はどれか。

正解 ア

解説

資金決済法(資金決済に関する法律)は,紙型・IC カード型・サーバ型の前払式支払手段の発行者に対して,発行業務に係る情報の漏えい,滅失又は毀損の防止のために必要な措置を講じることを求めている。

イの消費者契約法は消費者と事業者の契約における不当な条項などを扱う法律,ウの電子帳簿保存法は国税関係帳簿書類の電子的な保存を認める法律,エの特定商取引法は通信販売や訪問販売などの取引を規制する法律であり,いずれも前払式支払手段の発行業務の情報管理を定めたものではない。

出典:平成28年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)