平成25年度 春期 午前Ⅰ

平成25年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

この年度を解いてみる

問1

ハミング符号とは,データに冗長ビットを付加して,1ビットの誤りを訂正できるようにしたものである。ここでは,X1,X2,X3,X4 の4ビットから成るデータに,3ビットの冗長ビット P3,P2,P1 を付加したハミング符号 X1X2X3P3X4P2P1 を考える。付加ビット P1,P2,P3 は,それぞれ次の式となるように決める。ここで,⊕ は排他的論理和を表す。ハミング符号 1110011 には1ビットの誤りが存在する。誤りビットを訂正したハミング符号はどれか。

X₁ ⊕ X₃ ⊕ X₄ ⊕ P₁ = 0
X₁ ⊕ X₂ ⊕ X₄ ⊕ P₂ = 0
X₁ ⊕ X₂ ⊕ X₃ ⊕ P₃ = 0

正解 

解説

符号 1110011 を X1X2X3P3X4P2P1 の順に読むと,X1=1,X2=1,X3=1,P3=0,X4=0,P2=1,P1=1。三つの検査式に当てはめると,X1⊕X3⊕X4⊕P1=1,X1⊕X2⊕X4⊕P2=1,X1⊕X2⊕X3⊕P3=1 となり,三つとも0にならない。三つの式すべてに現れるビットは X1 だけなので,誤っているのは X1。これを1から0に直した 0110011 が答えになる。

誤りが1ビットなら,成立しない式の組合せで位置を特定できる。1番目の式だけが成立しなければ誤りは P1,1番目と2番目だけなら X4,というように対応する。イは X2,ウは X3,エは X4 を反転した符号で,いずれも検査式を満たさない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

fact(n) は,非負の整数 n に対して n の階乗を返す。fact(n) の再帰的な定義はどれか。

正解 

解説

階乗は 0!=1,n!=n×(n−1)! と定義される。したがって再帰の終了条件では 1 を返し,それ以外では n×fact(n−1) を返す。ウが正しい。

アとイは n=0 のときに 0 を返すので,どの値を与えても最終的に0が掛かって結果が0になってしまう。イとエは fact(n+1) と引数を増やしており,終了条件に近づかないので無限に再帰して停止しない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

流れ図に示す処理の動作の記述として,適切なものはどれか。ここで,二重線は並列処理の同期を表す。

流れ図。開始 → A → 並列処理の開始を表す二重線 → B と C が並列に分かれる → 並列処理の同期を表す二重線 → そこから B の入口と C の入口へそれぞれ戻る線がある。

正解 

解説

A を実行した後,上の二重線で B と C が並列に開始され,下の二重線で B と C の両方が終わるまで同期をとる。同期した後は B と C の入口に戻るので,再び B と C を並列に実行する。B と C は並列なので終わる順序は BC にも CB にもなり,A の後に“BC 又は CB”を繰り返して実行することになる。ウが適切である。

アとイは誤り。B と C は同じ資源を奪い合う構造ではなく,同期の後は必ず両方の入口に戻るので,デッドロックにはならない。エは誤り。同期をとるので,B だけ又は C だけが繰り返されることはない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

問4

キャッシュの書込み方式には,ライトスルー方式とライトバック方式がある。ライトバック方式を使用する目的として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ライトバック方式は,書込みをまずキャッシュだけに行い,主記憶(書込み先の記憶装置)への反映は後でまとめて行う方式である。書き込むたびに主記憶へ書き込む必要がないので,プロセッサから主記憶への書込み頻度を減らせる。エが適切である。

アのキャッシュと主記憶の一貫性を保ちながら書き込むのは,キャッシュと主記憶の両方に同時に書き込むライトスルー方式の特徴で,ライトバック方式は反映までの間に一貫性が崩れる。イは誤りで,ライトバック方式ではキャッシュの内容を置き換える前に主記憶へ書き戻す必要がある。ウのように回路構成を簡単にすることは,ライトバック方式の目的ではない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

密結合マルチプロセッサの性能が,1台当たりのプロセッサの性能とプロセッサ数の積に等しくならない要因として,最も適切なものはどれか。

正解 

解説

密結合マルチプロセッサは,複数のプロセッサが一つの主記憶を共有して処理する方式である。プロセッサを増やしても,共有する主記憶へのアクセスが競合して待ちが生じるため,性能はプロセッサ数に比例して伸びない。アが最も適切である。

イの通信回線を介したプロセッサ間通信は,主記憶を共有せずにプロセッサ間で通信する疎結合マルチプロセッサで性能が伸びない要因である。ウのディスパッチ処理やエの割込み処理は,プロセッサが1台でも発生する処理で,台数を増やしたときに性能が比例しない主な要因ではない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

システムの信頼性向上技術に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

フォールトアボイダンス(故障回避)は,故障が起きてから対処するのではなく,品質管理や高信頼の部品の採用などによって,システムの構成要素そのものの信頼性を高め,故障の発生を防ぐ考え方である。エが適切である。

アの故障時に安全な状態にシステムを保つのはフェールセーフ。イの故障時に縮小した範囲のサービスを提供するのはフェールソフト。ウの故障の影響が誤りとなって外部に出ないように訂正するのはフォールトマスキングの説明で,いずれも用語と説明の組合せが入れ替わっている。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

問7

メインプログラムを実行した後,メインプログラムの変数 X,Y の値は幾つになるか。ここで,仮引数 X は値呼出し(call by value),仮引数 Y は参照呼出し(call by reference)であるとする。

メインプログラム:X=2; Y=2; add(X,Y); 手続 add(X,Y):X=X+Y; Y=X+Y; return;

正解 

解説

値呼出しの X は,手続に値のコピーが渡されるので,手続の中で X を変えてもメインプログラムの X は 2 のまま変わらない。参照呼出しの Y は,メインプログラムの変数 Y そのものを参照するので,手続の中での変更がメインプログラムの Y に反映される。

手続では X=X+Y=2+2=4(手続内の X だけが変わる),続いて Y=X+Y=4+2=6 となり,この 6 がメインプログラムの Y に反映される。実行後は X=2,Y=6 で,イが正しい。両方とも参照呼出しとみなすと X=4,Y=6(エ)と誤る。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

RFID のパッシブ方式 RF タグの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

パッシブ方式の RF タグは電池をもたず,読取り装置(リーダ)のアンテナから送られる電波を受けて,その電力で動作し,タグに記録された情報を返す。アンテナから電力が供給されるアが適切である。

イの可視光による通信は可視光通信,エの赤外線による通信は IrDA などの赤外線通信で,RFID は電波を使う。ウの静電容量の変化を捉えて位置を検出するのは,静電容量方式のタッチパネルなどの仕組みである。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

音声などのアナログデータをディジタル化するために用いられる PCM で,音の信号を一定の周期でアナログ値のまま切り出す処理はどれか。

正解 

解説

PCM(パルス符号変調)は,標本化,量子化,符号化の順にアナログ信号をディジタル化する。音の信号を一定の周期で切り出し,その時点の値をアナログ値のまま取り出す処理が標本化(サンプリング)で,イが正しい。

エの量子化は,標本化で取り出したアナログ値を段階的な離散値に近似する処理。ウの符号化は,量子化した値を2進数のビット列に置き換える処理。アの逆量子化は,ディジタル値を元のアナログ値に近い値へ戻す処理である。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

問10

クライアントサーバシステムにおいて,クライアント側からストアドプロシージャを利用したときの利点として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をまとめてサーバ側の DBMS に格納しておき,クライアントからは名前を指定して呼び出すだけで実行できる仕組みである。SQL 文を一つずつ送って結果を受け取る必要がなくなるので,クライアントとサーバの間の通信量を削減できる。アが適切である。

イのデータベースファイルへのアクセス量は,同じ処理を行う以上サーバ内では変わらない。ウのサーバのメモリ使用量は,プロシージャを格納・実行するためにむしろ増えることがある。エのデータの格納領域は,処理の呼出し方とは関係がない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

問11

“プログラマは全て社員であり,社員の約 10%を占める。社員は社員番号と氏名をもち,職種がプログラマである場合は,使用できるプログラム言語を一つ以上もつ。”という状況を記録するデータベース設計案として,適切なものはどれか。ここで,実線の下線は主キーを,破線の下線は外部キーを表す。

正解 

解説

プログラマは社員の約10%だけなので,社員表にプログラム言語の列を置くと大半の社員で空欄になり,また一人が複数の言語をもつと繰返し項目になって第1正規形にならない。社員の情報とプログラマの言語は別の表に分ける必要がある。

プログラマ表では,一人の社員が複数のプログラム言語をもつので,社員番号だけでは行を一意に特定できない。社員番号とプログラム言語の組を主キーとし,社員番号を社員表への外部キーとするエが適切である。ウは社員番号だけを主キーにしており,一人のプログラマが複数の言語をもてない。アとイは社員表にプログラム言語をもたせている。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

問12

HTTPS 通信において,暗号化とサーバ認証に使用されるものはどれか。

正解 

解説

HTTPS は,HTTP の通信を SSL/TLS で保護するものである。SSL/TLS は,サーバ証明書によるサーバの認証と,通信内容の暗号化の両方を行う。ウが正しい。

アの Cookie は Web サーバが Web ブラウザに状態を保存させる仕組みで,暗号化や認証の機能はもたない。イの S/MIME は電子メールの暗号化とディジタル署名の標準。エのダイジェスト認証は HTTP の利用者認証の方式で,通信の暗号化は行わない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

問13

公開鍵暗号を使って n 人が相互に通信する場合,全体で何個の異なる鍵が必要になるか。ここで,一組の公開鍵と秘密鍵は2個と数える。

正解 

解説

公開鍵暗号方式では,一人ひとりが自分用の公開鍵と秘密鍵の組を一つ持てばよい。相手に送るときは相手の公開鍵で暗号化し,受け取った相手は自分の秘密鍵で復号するので,通信の相手が何人いても鍵の組を増やす必要はない。n 人なら n 組で,1組を2個と数えるので 2n 個。イが正しい。

ウの n(n−1)/2 は,共通鍵暗号方式で n 人が相互に通信する場合に必要な鍵の数で,2人1組ごとに別々の鍵が要るためである。人数が多いほど,公開鍵暗号方式のほうが必要な鍵の数を大幅に減らせる。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

問14

ソーシャルエンジニアリング手法を利用した標的型攻撃メールの特徴はどれか。

正解 

解説

標的型攻撃メールは,特定の組織や個人を狙い,ウイルス付きのファイルを開かせたり不正なサイトに誘導したりするために送られる。受信者を信用させて開かせるため,件名や本文に受信者の業務に関係がありそうな内容を記述するなど,ソーシャルエンジニアリングの手法が使われる。イが該当する。

アの件名に“未承諾広告※”と表示するのは,特定電子メール法で広告宣伝メールに求められていた表示で,標的型攻撃メールの特徴ではない。ウの架空請求メールやエのフィッシングメールは,無差別に大量に送信される点で,特定の相手を狙う標的型攻撃とは異なる。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

パケットフィルタリング型ファイアウォールのフィルタリングルールを用いて,本来必要なサービスに影響を及ぼすことなく防げるものはどれか。

正解 

解説

パケットフィルタリング型ファイアウォールは,パケットのヘッダにある IP アドレスやポート番号などを見て通過の可否を判断する。外部に公開しないサービスのポート番号宛てのパケットを遮断すれば,公開している必要なサービスに影響を与えずに,そのサービスへのアクセスを防げる。アが適切である。

イの脆弱性を突く攻撃は,公開しているサービスの正規のポートへの通信に紛れて届くので,ヘッダの情報だけでは区別できない。ウのマクロウイルスは電子メールの添付ファイルの中身にあり,パケットのヘッダでは判断できない。エの電子メール爆弾も正規のメールの通信として届くので,メールサービスを止めずに遮断することはできない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

問16

図は“顧客が商品を注文する”を表現した UML のクラス図である。“顧客が複数の商品をまとめて注文する”を表現したクラス図はどれか。ここで,“注文明細”は一つの注文に含まれる1種類の商品に対応し,“注文”は複数の“注文明細”を束ねた一つの注文に対応する。

クラス図と凡例。顧客(1)と注文(0..*)が関連し,注文(0..*)と商品(1)が関連する。凡例:クラスは四角,関連は線,コンポジションはひし形付きの線。多重度 1 は必ず1,0..* は0以上,1..* は1以上。

正解 

解説

“注文”は複数の“注文明細”を束ねたもので,注文明細は注文の一部として存在する。このような全体と部分の関係は,全体の側(注文)にひし形を付けたコンポジションで表し,1件の注文に1件以上の注文明細が含まれるので,注文側の多重度は 1,注文明細側は 1..* となる。注文明細はそれぞれ1種類の商品に対応し,顧客は注文を0件以上行う。この関係をすべて満たすアが正しい。

イはひし形が注文明細の側にあり,注文明細が全体,注文が部分となって関係が逆になっている。ウとエは顧客が注文ではなく注文明細と,注文が商品と直接関連しており,“注文明細は1種類の商品に対応する”という条件に合わない(エはコンポジションの向きも逆)。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

ソフトウェアの使用性を評価する指標の目標設定の例として,適切なものはどれか。

正解 

解説

使用性は,利用者が製品を理解し,習得し,操作しやすい度合いを表す品質特性である。“使用方法を1時間以内に習得できる”は,使い方の覚えやすさ(習得性)の目標で,使用性の指標に当たる。エが適切である。

アの障害発生から1時間以内に使用できることは信頼性(回復性),イの機能の改善を1週間以内に実装できることは保守性,ウの利用者が使用したい機能を100%提供できていることは機能性(機能適合性)に関する目標である。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

プロジェクトで発生している品質問題を解決するために,図を作成して原因の傾向を分析したところ,発生した問題の 80%以上が少数の原因で占められていることが判明した。作成した図はどれか。

正解 

解説

パレート図は,問題の件数を原因別に多い順の棒グラフで並べ,その累積比率を折れ線で重ねた図である。“発生した問題の80%以上が少数の原因で占められている”といった,影響の大きい原因の偏りを見つけるのに使う。エが正しい。

アの管理図は,工程のデータを時系列に並べて管理限界線と比べ,工程が安定しているかを見る図。イの散布図は,二つの特性の値を点で打ち,相関の有無を見る図。ウの特性要因図は,結果とそれに影響する要因の関係を魚の骨の形に整理する図である。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

問19

プロジェクト要員がインフルエンザに感染することを予防するために,“ワクチン接種”費用をプロジェクトで負担し,また“アルコール製剤”をプロジェクトルームの入り口やトイレに配備する。このリスク対応策は,どのリスク対応戦略に該当するか。ここで,リスク対応戦略の分類は PMBOK に従うものとする。

正解 

解説

リスクの軽減は,リスクの発生確率や発生したときの影響を許容できる程度まで小さくする戦略である。ワクチン接種やアルコール製剤の配備は,インフルエンザに感染する確率を下げる対策なので,軽減に当たる。イが正しい。

アの回避は,計画を変更するなどしてリスクそのものを取り除く戦略。ウの受容は,リスクを認識したうえで特別な対策をとらない戦略。エの転嫁は,保険や契約によってリスクの影響と責任を第三者に移す戦略である。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

SLA を説明したものはどれか。

正解 

解説

SLA(サービスレベル合意書)は,提供するサービスとその目標値(可用性,応答時間など)について,サービス提供者と顧客の間で合意した内容をまとめたものである。ウが該当する。

アの IT サービスマネジメントのベストプラクティスを集めたフレームワークは ITIL。イの開発から保守までのソフトウェアライフサイクルプロセスは,共通フレームなどで定める SLCP。エの品質マネジメントシステムに関する国際規格は ISO 9001 である。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

問21

情報セキュリティに関する従業員の責任について,“情報セキュリティ管理基準”に基づいて監査を行った。指摘事項に該当するものはどれか。

正解 

解説

情報セキュリティ管理基準では,雇用の終了又は変更の後もなお有効な情報セキュリティに関する責任及び義務を定め,要員に伝達することを求めている。情報の秘密保持の責任は雇用の終了後も引き続き有効とすべき責任の代表である。雇用の終了をもって守秘責任が解消されると雇用契約に定めていると,退職者による情報の漏えいを防げないので,指摘事項に該当する。アが該当する。

イの勤務時間外にも守秘責任を負うこと,ウの守秘責任を果たさなかった場合の措置(懲戒手続)を定めること,エの守秘義務契約書への署名を求めることは,いずれも管理基準が求める適切な取決めであり,指摘事項にはならない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

問22

特権 ID(システムの設定やデータの追加,変更,削除及びそれらの権限の設定が可能な ID)の不正使用を発見するコントロールはどれか。

正解 

解説

特権 ID の不正使用を“発見する”には,実際に特権 ID が使われた記録(ログ)を,正規に貸し出された記録(管理簿)と突き合わせ,貸出しのない時間帯や承認されていない者による使用がないかを確かめる必要がある。アが発見的コントロールに当たる。

イの通常の操作では一般利用者 ID を使うこと,ウの使用の都度貸出しを受けること,エの設定内容や使用範囲の細分化は,いずれも特権 ID の不正使用が起きないようにする予防的コントロールで,起きた不正使用を見つけるものではない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

問23

物流業務において,10%の物流コストの削減の目標を立てて,図のような業務プロセスの改善活動を実施している。図中の c に相当する活動はどれか。

〔改善活動〕の流れ図と〔目標の設定例〕。物流コストの削減 → a(設定例:10%の物流コストの削減)→ b(設定例:在庫の削減,誤出荷の削減)→ c(設定例:在庫日数7日以内,誤出荷率3%以内)→ 改善活動の実施 → 成果の計測と目標値とのギャップ分析 → a に戻る。

正解 

解説

図の流れでは,a で最終的な目標“10%の物流コストの削減”を定め,b でそれを達成するための重要な成功要因“在庫の削減,誤出荷の削減”を挙げ,c でその達成度合いを測る具体的な数値目標“在庫日数7日以内,誤出荷率3%以内”を決めている。c は KPI(重要業績評価指標)の設定に当たり,ウが正しい。

イの KGI(重要目標達成指標)の設定は最終目標を定める a に,アの CSF(重要成功要因)の抽出は b に相当する。エの MBO(目標による管理)は,従業員が自ら目標を設定して達成度で評価する人事管理の手法で,この流れのどの段階にも当たらない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

問24

スマートグリッドの説明はどれか。

正解 

解説

スマートグリッドは,通信技術と情報処理技術を使って,発電所から家庭などの需要家までの電力網を制御し,発電と電力消費を総合的に調整する次世代の電力網である。再生可能エネルギーの活用,安定的な電力供給,需給の最適な調整を図る。エが該当する。

アは健康情報を分析して個人に助言するヘルスケアシステム,イは多様な働き方を支えるコミュニケーション基盤,ウは自動車の情報機器を使ったテレマティクスの説明である。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

業務要件定義において,業務フローを記述する際に,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図はどれか。

正解 

解説

アクティビティ図は,業務や処理の流れを表す UML の図で,条件による分岐,並行処理への分割(フォーク)とその同期(ジョイン)などを表現できる。業務要件定義で業務フローを記述するのに適しているので,アが正しい。

イのクラス図はクラスの属性や操作とクラス間の静的な関係,ウの状態遷移図は一つの対象が取る状態とイベントによる状態の遷移,エのユースケース図は利用者(アクタ)とシステムが提供する機能の関係を表す図で,いずれも業務の流れそのものを表すものではない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)において,投資用の資金源と位置付けられる事業はどれか。

正解 

解説

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)では,市場成長率と相対的市場占有率の2軸で事業を四つに分ける。市場成長率が低く相対的市場占有率が高い「金のなる木」は,追加投資が少なくて済むうえ大きな資金を生むので,他の事業への投資用の資金源として位置付けられる。ウが正しい。

アは「花形」で,資金は生むが成長に合わせた投資も必要になる。イは「問題児」で,資金を投入して花形に育てるか撤退するかを判断する対象。エは「負け犬」で,撤退を検討する対象である。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

MRP の特徴はどれか。

正解 

解説

MRP(資材所要量計画)は,製品の基準生産計画(いつ何をいくつ作るか)と部品構成表を基に,必要な部品や資材の総所要量を求め,在庫量などを差し引いて手配数量と時期を算出する手法である。エが正しい。

アの顧客の注文を受けてから生産するのは受注生産方式。イの作業指示票(かんばん)を使って作業指示や運搬指示をするのはかんばん方式。ウの開発,設計,生産準備を同時並行で行うのはコンカレントエンジニアリングである。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

ある会社の生産計画部では,毎月 25 日に次の手続で翌月分の計画生産量を決定している。8月分の計画生産量を求める式はどれか。

〔手続〕

記号の一覧。I6:6月末実在庫量,I7:7月末予想在庫量,I8:8月末予想在庫量,P7:7月分計画生産量,P8:8月分計画生産量(求めるもの),S7〜S11:7月分〜11月分の予想販売量。In は n 月の月末在庫量,Pn は n 月分の生産量,Sn は n 月分の販売量を表す。

正解 

解説

手続(1)により,7月末の予想在庫量 I7 は 6月末の実在庫量に7月分の計画生産量を足し,7月分の予想販売量を引いた I6+P7−S7 で求まる。手続(2)により,8月末の予想在庫量 I8=I7+P8−S8 が,翌々月の9月から3か月間の予想販売量 S9+S10+S11 と等しくなるように P8 を決める。

I7+P8−S8=S9+S10+S11 を P8 について解くと,P8=S8+S9+S10+S11−I7 となり,イが正しい。ウは I8 を使っているが,I8 は P8 が決まってから求まる値なので式に使えない。エは8月分の予想販売量 S8 を加え忘れている。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

経営会議で来期の景気動向を議論したところ,景気は悪化する,横ばいである,好転するという三つの意見に完全に分かれてしまった。来期の投資計画について,積極的投資,継続的投資,消極的投資のいずれかに決定しなければならない。表の予想利益については意見が一致した。意思決定に関する記述のうち,適切なものはどれか。

予想利益(万円)の表。景気動向が悪化・横ばい・好転のとき,積極的投資は 50,150,500。継続的投資は 100,200,300。消極的投資は 400,250,200。

正解 

解説

マクシミン原理は,各案について最悪の場合の利益を求め,その中で最も大きいものを選ぶ考え方。景気が悪化したときの利益は積極的投資50万円,継続的投資100万円,消極的投資400万円で,最も大きいのは消極的投資の400万円。したがってマクシミン原理での最適意思決定は消極的投資になり,エが正しい。

ウのマクシマックス原理は各案の最良の場合を比べる考え方で,最大値は積極的投資の500万円なので,継続的投資とするのは誤り。ア・イの混合戦略や純粋戦略は,相手の出方によって利得が決まるゲーム理論の用語で,景気動向のように意思をもたない自然を相手にする不確実性下の意思決定には当てはまらない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

発注者と受注者の間でソフトウェア開発における請負契約を締結した。ただし,発注者の事業所で作業を実施することになっている。この場合,指揮命令権と雇用契約に関して,適切なものはどれか。

正解 

解説

請負契約では,受注者が仕事の完成を請け負い,作業者の指揮命令は受注者が行う。作業場所が発注者の事業所であっても,発注者が受注者の作業者に直接指揮命令をすると,実態が労働者派遣となる偽装請負になる。また,作業者は受注者との雇用関係のまま作業を行い,発注者と新たな雇用契約を結ぶ必要はない。エが適切である。

アとイは発注者に指揮命令権があるとしている点が誤りである。アとウは作業者が発注者と新たな雇用契約を結ぶとしている点も誤りで,作業場所が発注者の事業所であることは雇用契約を結ぶ理由にならない。

出典:平成25年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)