令和6年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
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問1
ATM(現金自動預払機)が1台ずつ設置してある二つの支店を統合し,統合後の支店には ATM を1台設置する。統合後の ATM の平均待ち時間を求める式はどれか。ここで,待ち時間は M/M/1 の待ち行列モデルに従い,平均待ち時間にはサービス時間を含まず,ATM を1台に統合しても十分に処理できるものとする。
〔条件〕
- (1) 統合後の平均サービス時間:Ts
- (2) 統合前の ATM の利用率:両支店とも ρ
- (3) 統合後の利用者数:統合前の両支店の利用者数の合計
- アρ/(1−ρ)×Ts
- イρ/(1−2ρ)×Ts
- ウ2ρ/(1−ρ)×Ts
- エ2ρ/(1−2ρ)×Ts正解
正解 エ
解説
M/M/1 モデルの平均待ち時間(サービス時間を含まない)は,利用率を ρ,平均サービス時間を Ts として ρ/(1−ρ)×Ts で表される。
統合すると利用者数は2倍になる一方,平均サービス時間 Ts は変わらない。利用率は「到着率×サービス時間」なので統合後は 2ρ になる。これを式に代入して 2ρ/(1−2ρ)×Ts となる。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
符号長7ビット,情報ビット数4ビットのハミング符号による誤り訂正の方法を,次のとおりとする。
受信した7ビットの符号語 x1 x2 x3 x4 x5 x6 x7(xk=0 又は 1)に対して
を計算し,c0,c1,c2 の中に少なくとも一つは 0 でないものがある場合には,
i = c₀+c₁×2+c₂×4
を求めて,左から i ビット目を反転することによって誤りを訂正する。
受信した符号語が 1000101 であった場合,誤り訂正後の符号語はどれか。
- ア1000001
- イ1000101
- ウ1001101
- エ1010101正解
正解 エ
解説
受信語 1000101 は x1=1,x2=0,x3=0,x4=0,x5=1,x6=0,x7=1。
c0=x1+x3+x5+x7=1+0+1+1=3→1,c1=x2+x3+x6+x7=0+0+0+1=1,c2=x4+x5+x6+x7=0+1+0+1=2→0(mod 2)。
i=1+1×2+0×4=3 なので,左から3ビット目を反転する。1000101 の3ビット目 0 を 1 にして 1010101 となる。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
各ノードがもつデータを出力する再帰処理 f(ノード n)を定義した。この処理を,図の2分木の根(最上位のノード)から始めたときの出力はどれか。
〔f(ノード n)の定義〕
- 1. ノード n の右に子ノード r があれば,f(ノード r)を実行
- 2. ノード n の左に子ノード l があれば,f(ノード l)を実行
- 3. 再帰処理 f(ノード r),f(ノード l)を未実行の子ノード,又は子ノードがなければ,ノード自身がもつデータを出力
- 4. 終了
- ア+÷-ED×CBA
- イABC×DE-÷+
- ウE-D÷C×B+A
- エED-CB×÷A+正解
正解 エ
解説
定義は「右の子→左の子→自分自身」の順に処理する後行順走査(右優先)。根の+から順に展開すると次のようになる。
+の右の子 ÷ へ。÷ の右の子 − へ。− の右 E を出力,左 D を出力,− 自身を出力(E D -)。次に ÷ の左の子 × へ。右 C,左 B,自身 ×(C B ×)。ここで ÷ 自身を出力。最後に + の左の子 A を出力し,+ 自身を出力する。
つなげると ED-CB×÷A+ となる。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
量子ゲート方式の量子コンピュータの説明として,適切なものはどれか。
- ア演算は2進数で行われ,結果も2進数で出力される。
- イ特定のアルゴリズムによる演算だけができ,加算演算はできない。
- ウ複数の状態を同時に表現する量子ビットと,その重ね合わせを利用する。正解
- エ量子状態を変化させながら観測するので,100℃以上の高温で動作する。
正解 ウ
解説
量子コンピュータは,0と1の状態を同時に表現できる量子ビット(qubit)と,その重ね合わせや量子もつれを利用して並列的に計算する。量子ゲート方式は,この量子ビットに量子ゲートを組み合わせて演算を行う汎用的な方式。
アは誤り。演算の途中は重ね合わせ状態であり,0か1かに定まる古典的な2進数の演算ではない。イは誤り。量子ゲート方式は汎用であり,加算を含む任意の演算を組み立てられる(特定用途向けなのは量子アニーリング方式)。エは誤り。量子状態を保つため,絶対零度近くの極低温で動作させる必要がある。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
システムの信頼性設計に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- アフェールセーフとは,利用者の誤操作によってシステムが異常終了してしまうことのないように,単純なミスを発生させないようにする設計方法である。
- イフェールソフトとは,故障が発生した場合でも機能を縮退させることなく稼働を継続する概念である。
- ウフォールトアボイダンスとは,システム構成要素の個々の品質を高めて故障が発生しないようにする概念である。正解
- エフォールトトレランスとは,故障が生じてもシステムに重大な影響が出ないように,あらかじめ定められた安全状態にシステムを固定し,全体として安全が維持されるような設計方法である。
正解 ウ
解説
フォールトアボイダンス(故障回避)は,構成要素の品質や信頼性そのものを高めることで,故障の発生を未然に防ごうとする考え方。
アはフールプルーフ(利用者の誤操作を防ぐ)の説明。イは誤りで,フェールソフトは機能を縮退させてでも稼働を継続する考え方。エはフェールセーフ(故障時に安全側に倒す)の説明で,フォールトトレランスは故障が起きても冗長性によって機能を維持する考え方。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
三つの資源 X〜Z を占有して処理を行う四つのプロセス A〜D がある。各プロセスは処理の進行に伴い,表中の数値の順に資源を占有し,実行終了時に三つの資源を一括して解放する。プロセス A と同時にもう一つプロセスを動かした場合に,デッドロックを起こす可能性があるプロセスはどれか。
- アB,C,D
- イC,D正解
- ウC だけ
- エD だけ
正解 イ
解説
デッドロックは,複数のプロセスが資源を異なる順序で確保しようとして,互いに相手が持つ資源の解放を待ち合うことで起こる。逆に,すべてのプロセスが同じ順序で資源を確保すれば待ち合いの輪はできない。
A の占有順序は X→Y→Z。B も X→Y→Z で A と同じ順序なのでデッドロックしない。C は Z→X→Y,D は Z→Y→X で,どちらも A と順序が異なるため,A が X を確保して Z を待つ一方で相手が Z を確保して X を待つ,という状況が起こり得る。よって C と D。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
入力が A と B,出力が Y の論理回路を動作させたとき,図のタイムチャートが得られた。この論理回路として,適切なものはどれか。
正解 ウ
解説
タイムチャートを読むと,A と B がともに 1 のときだけ Y が 0 になり,それ以外(0と0,0と1,1と0)では Y が 1 になっている。これは論理積を反転した動作,すなわち NAND である。
アの XOR は入力が異なるとき 1,イの XNOR は入力が同じとき 1,エの NOR は両方 0 のときだけ 1 になるので,いずれもタイムチャートと合わない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
ビットマップフォントよりも,アウトラインフォントの利用が適している場合はどれか。
- ア英数字だけでなく,漢字も表示する。
- イ各文字の幅を一定にして表示する。
- ウ画面上にできるだけ高速に表示する。
- エ文字を任意の倍率に拡大して表示する。正解
正解 エ
解説
アウトラインフォントは,文字の輪郭を数式(曲線)で表現しておき,表示時に必要なサイズで描画する。したがって任意の倍率に拡大・縮小しても輪郭が滑らかなまま保たれる。
アとイはどちらの方式でも実現できる。ウはあらかじめ点の配置が決まっているビットマップフォントのほうが有利で,アウトラインフォントは描画時に展開処理が必要なぶん不利になる。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
ストアドプロシージャの利点はどれか。
- アアプリケーションプログラムからネットワークを介して DBMS にアクセスする場合,両者間の通信量を減少させる。正解
- イアプリケーションプログラムからの一連の要求を一括して処理することによって,DBMS 内の実行計画の数を減少させる。
- ウアプリケーションプログラムからの一連の要求を一括して処理することによって,DBMS 内の必要バッファ数を減少させる。
- エデータが格納されているディスク装置への I/O 回数を減少させる。
正解 ア
解説
ストアドプロシージャは,一連の SQL 文をあらかじめ DBMS 側に登録しておき,呼出し1回で実行させる仕組み。SQL 文を1文ずつ送る必要がなくなるので,アプリケーションと DBMS の間の通信量(ネットワーク負荷)が減る。
イ・ウ・エはいずれもストアドプロシージャによって直接減るものではない。処理する内容が同じである以上,実行計画の数やバッファ数,ディスクへの I/O 回数が減るわけではない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
CSMA/CD 方式の LAN に接続されたノードの送信動作として,適切なものはどれか。
- ア各ノードに論理的な順位付けを行い,送信権を順次受け渡し,これを受け取ったノードだけが送信を行う。
- イ各ノードは伝送媒体が使用中かどうかを調べ,使用中でなければ送信を行う。衝突を検出したらランダムな時間の経過後に再度送信を行う。正解
- ウ各ノードを環状に接続して,送信権を制御するための特殊なフレームを巡回させ,これを受け取ったノードだけが送信を行う。
- エタイムスロットを割り当てられたノードだけが送信を行う。
正解 イ
解説
CSMA/CD は,送信前に伝送路が空いているか確認し(キャリア検知),空いていれば送信する。同時に送信して衝突が起きたら,それを検出してランダムな時間だけ待ってから再送する方式。
アはトークンバス,ウはトークンリングの動作。エは TDMA(時分割多重アクセス)の説明。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
ビット誤り率が0.0001%の回線を使って,1,500バイトのパケットを10,000個送信するとき,誤りが含まれるパケットの個数の期待値はおよそ幾らか。
正解 エ
解説
ビット誤り率 0.0001% は 1×10−6。1パケットは 1,500バイト=12,000ビットなので,1パケットに含まれる誤りビット数の期待値は 12,000×10−6=0.012。誤り率が十分小さいため,これはそのまま「そのパケットに誤りが含まれる確率」とみなせる。
10,000個のパケットを送るので,誤りを含むパケット数の期待値は 10,000×0.012=120個。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
3D セキュア2.0(EMV 3-D セキュア)は,オンラインショッピングにおけるクレジットカード決済時に,不正取引を防止するための本人認証サービスである。3D セキュア2.0で利用される本人認証の特徴はどれか。
- ア利用者がカード会社による本人認証に用いるパスワードを忘れた場合でも,安全にパスワードを再発行することができる。
- イ利用者の過去の取引履歴や決済に用いているデバイスの情報から不正利用や高リスクと判断される場合に,カード会社が追加の本人認証を行う。正解
- ウ利用者の過去の取引履歴や決済に用いているデバイスの情報にかかわらず,カード会社がパスワードと生体認証を併用した本人認証を行う。
- エ利用者の過去の取引履歴や決済に用いているデバイスの情報に加えて,操作しているのが人間であることを確認した上で,カード会社が追加の本人認証を行う。
正解 イ
解説
3D セキュア2.0 の特徴は,取引ごとにリスクを判定する「リスクベース認証」を採用したこと。過去の取引履歴や利用デバイスの情報から不正利用の疑いが低いと判断されれば追加認証を求めず(利用者の手間を減らし),高リスクと判断された場合にだけワンタイムパスワードなどの追加認証を行う。
アはパスワード再発行の話で 3D セキュア2.0 の特徴ではない。ウは全件で追加認証を行うことになり,リスクベース認証の考え方に反する。エの「人間であることの確認」(CAPTCHA など)は 3D セキュア2.0 の認証の要素ではない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
公開鍵暗号方式を使った暗号通信を n 人が相互に行う場合,全部で何個の異なる鍵が必要になるか。ここで,一組の公開鍵と秘密鍵は2個と数える。
正解 イ
解説
公開鍵暗号方式では,相手ごとに鍵を用意するのではなく,各人が自分の公開鍵と秘密鍵の組を一つだけ持てばよい。送信者は受信者の公開鍵で暗号化し,受信者は自分の秘密鍵で復号する。
1人あたり2個なので,n 人では 2n 個。ウの n(n−1)/2 は,通信する組合せごとに共通鍵が必要になる共通鍵暗号方式の場合の鍵の個数。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
自社製品の脆弱性に起因するリスクに対応するための社内機能として,最も適切なものはどれか。
- アCSIRT
- イPSIRT正解
- ウSOC
- エWHOIS データベースの技術連絡担当
正解 イ
解説
PSIRT(Product Security Incident Response Team)は,自社が提供する製品やサービスの脆弱性を受け付けて対応し,修正や情報公開を行う組織。“Product”の頭文字が示すとおり,製品の脆弱性に特化している。
アの CSIRT は自組織で発生したセキュリティインシデントに対応する組織,ウの SOC はネットワークや機器を常時監視して脅威を検知する組織。エは WHOIS 上の連絡先であって,リスク対応を行う機能ではない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
PC からサーバに対し,IPv6 を利用した通信を行う場合,ネットワーク層で暗号化を行うときに利用するものはどれか。
正解 ア
解説
IPsec は IP パケット自体を暗号化・認証するプロトコルで,OSI 基本参照モデルのネットワーク層(第3層)で動作する。IPv6 では標準的に組み込まれている。
イの PPP はデータリンク層のプロトコル。ウの SSH とエの TLS はトランスポート層より上位で動作し,ネットワーク層の暗号化には当たらない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
オブジェクト指向におけるクラス間の関係のうち,適切なものはどれか。
- アクラス間の関連は,二つのクラス間でだけ定義できる。
- イサブクラスではスーパークラスの操作を再定義することができる。正解
- ウサブクラスのインスタンスが,スーパークラスで定義されている操作を実行するときは,スーパークラスのインスタンスに操作を依頼する。
- エ二つのクラスに集約の関係があるときには,集約オブジェクトは部分となるオブジェクトと,属性及び操作を共有する。
正解 イ
解説
サブクラスはスーパークラスから操作を継承するが,同じ名前の操作を独自に定義し直すことができる。これをオーバーライド(再定義)といい,ポリモーフィズムを実現する仕組みになる。
アは誤り。3つ以上のクラス間の関連(多項関連)も定義できる。ウは誤り。継承した操作はサブクラスのインスタンス自身が実行するのであって,スーパークラスのインスタンスに依頼するわけではない。エは誤り。集約は「全体と部分」の関係であり,属性や操作を共有するものではない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
ソフトウェア信頼度成長モデルの一つであって,テスト工程においてバグが収束したと判定する根拠の一つとして使用するゴンペルツ曲線はどれか。
正解 ウ
解説
ゴンペルツ曲線は,テスト初期はバグの検出が少なく,中盤で急増し,終盤には新たなバグが出にくくなって頭打ちになる S 字形(シグモイド形)を描く。曲線が水平に近づいたことをもって,バグが収束したと判断する根拠の一つにする。
アは増加が加速し続けており収束しない。イは一定のペースで検出され続ける直線。エは初めから急に増えて緩やかになる形で,序盤の立ち上がりが緩やかな S 字にはなっていない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
EVM で管理しているプロジェクトがある。図は,プロジェクトの開始から完了予定までの期間の半分が経過した時点での状況である。コスト効率,スケジュール効率がこのままで推移すると仮定した場合の見通しのうち,適切なものはどれか。
- ア計画に比べてコストは多くなり,プロジェクトの完了は遅くなる。正解
- イ計画に比べてコストは多くなり,プロジェクトの完了は早くなる。
- ウ計画に比べてコストは少なくなり,プロジェクトの完了は遅くなる。
- エ計画に比べてコストは少なくなり,プロジェクトの完了は早くなる。
正解 ア
解説
図の現時点では PV>AC>EV となっている。
コスト効率指数 CPI=EV÷AC は EV<AC なので1未満。かけた費用に見合う出来高が得られておらず,このまま進むと完成時のコストは計画を超える。スケジュール効率指数 SPI=EV÷PV も EV<PV なので1未満で,計画より出来高が遅れている。
したがって「コストは多くなり,完了は遅くなる」が適切。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
工場の生産能力を増強する方法として,新規システムを開発する案と既存システムを改修する案とを検討している。次の条件で,期待金額価値の高い案を採用するとき,採用すべき案と期待金額価値との組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,期待金額価値は,収入と投資額との差で求める。
〔条件〕
- 新規システムを開発する場合の投資額は100億円であって,既存システムを改修する場合の投資額は50億円である。
- 需要が拡大する確率は70%であって,需要が縮小する確率は30%である。
- 新規システムを開発した場合,需要が拡大したときは180億円の収入が見込まれ,需要が縮小したときは50億円の収入が見込まれる。
- 既存システムを改修した場合,需要が拡大したときは120億円の収入が見込まれ,需要が縮小したときは40億円の収入が見込まれる。
- 他の条件は考慮しない。
- ア既存システムの改修,期待金額価値 46億円正解
- イ既存システムの改修,期待金額価値 96億円
- ウ新規システムの開発,期待金額価値 41億円
- エ新規システムの開発,期待金額価値 130億円
正解 ア
解説
それぞれの案について,期待収入から投資額を引いて期待金額価値を求める。
新規システムの開発:期待収入は 180×0.7+50×0.3=126+15=141億円。投資額100億円を引いて 41億円。
既存システムの改修:期待収入は 120×0.7+40×0.3=84+12=96億円。投資額50億円を引いて 46億円。
46>41 なので既存システムの改修を採用し,その期待金額価値は46億円。なおイの96億円とエの130億円は投資額を引いていない値。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
サービスマネジメントにおけるサービスレベル管理の活動はどれか。
- ア現在の資源の調整と最適化とを行い,将来の資源要件に関する予測を記載した計画を作成する。
- イサービスの提供に必要な予算に応じて,適切な資金を確保する。
- ウ災害や障害などで事業が中断しても,要求されたサービス機能を合意された期間内に確実に復旧できるように,事業影響度の評価や復旧優先順位を明確にする。
- エ提供するサービス及びサービスレベル目標を決定し,サービス提供者が顧客との間で合意文書を交わす。正解
正解 エ
解説
サービスレベル管理は,提供するサービスとそのサービスレベル目標を顧客と合意し,SLA として文書化して,達成状況を監視・報告する活動。
アは容量・能力管理,イはサービスの予算業務及び会計業務,ウはサービス継続管理の活動。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
システム監査基準(令和5年)によれば,システム監査において,監査人が一定の基準に基づいて総合的に点検・評価を行う対象とするものは,情報システムのマネジメント,コントロールと,あと一つはどれか。
- アガバナンス正解
- イコンプライアンス
- ウサイバーレジリエンス
- エモニタリング
正解 ア
解説
システム監査基準(令和5年)は,システム監査を「情報システムのガバナンス,マネジメント,コントロールを点検・評価・検証する」ものと位置付けている。経営陣による統治の仕組みであるガバナンスまでを対象に含めている点が特徴。
イ・ウ・エはいずれもこの3つの並びには含まれない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
情報システムに対する統制を IT に係る全般統制と IT に係る業務処理統制に分けたとき,IT に係る業務処理統制に該当するものはどれか。
- アサーバ室への入退室を制限・記録するための入退室管理システム
- イシステム開発業務を適切に委託するために定めた選定手続
- ウ販売管理システムにおける入力データの正当性チェック機能正解
- エ不正アクセスを防止するためのファイアウォールの運用管理
正解 ウ
解説
IT に係る業務処理統制は,個々の業務システムの中に組み込まれ,その業務の処理が正確・網羅的に行われることを確保する統制。入力データの正当性チェック機能はその典型例。
ア・イ・エはいずれも複数の業務システムに共通して働く基盤的な統制であり,IT に係る全般統制(物理的アクセス管理,外部委託の管理,セキュリティ運用など)に当たる。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
SOA の説明はどれか。
- ア会計,人事,製造,購買,在庫管理,販売などの企業の業務プロセスを一元管理することによって,業務の効率化や経営資源の全体最適を図る手法
- イ企業の業務プロセス,システム化要求などのニーズと,ソフトウェアパッケージの機能性がどれだけ適合し,どれだけかい離しているかを分析する手法
- ウ業務プロセスの問題点を洗い出して,目標設定,実行,チェック,修正行動のマネジメントサイクルを適用し,継続的な改善を図る手法
- エ利用者の視点から業務システムの機能を幾つかの独立した部品に分けることによって,業務プロセスとの対応付けや他ソフトウェアとの連携を容易にする手法正解
正解 エ
解説
SOA(Service Oriented Architecture,サービス指向アーキテクチャ)は,業務システムの機能を利用者から見た意味のある単位(サービス)に分割し,それらを組み合わせてシステムを構築する考え方。業務プロセスの変更に合わせてサービスを組み替えやすく,他システムとの連携も容易になる。
アは ERP,イはフィット&ギャップ分析,ウは BPM(ビジネスプロセスマネジメント)の説明。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
EMS(Electronics Manufacturing Services)の説明として,適切なものはどれか。
- ア相手先ブランドで販売する電子機器の設計だけを受託し,製造は相手先で行う。
- イ外部から調達した電子機器に付加価値を加えて,自社ブランドで販売する。
- ウ自社ブランドで販売する電子機器のソフトウェア開発だけを外部に委託し,ハードウェアは自社で設計製造する。
- エ生産設備をもつ企業が,他社からの委託を受けて電子機器を製造する。正解
正解 エ
解説
EMS は,自社で生産設備をもつ企業が,他社のブランドで販売される電子機器の製造を受託するサービス。複数社の製品をまとめて生産することで規模の経済を働かせ,委託側は生産設備を持たずに済む。
アは設計だけを受託しており製造を行っていない点で誤り。イは自社ブランド販売,ウは自社製造なので,いずれも受託製造ではない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
組込み機器のハードウェアの製造を外部に委託する場合のコンティンジェンシープランの記述として,適切なものはどれか。
- ア実績のある外注先の利用によって,リスクの発生確率を低減する。
- イ製造品質が担保されていることを確認できるように委託先と契約する。
- ウ複数の会社の見積りを比較検討して,委託先を選定する。
- エ部品調達のリスクが顕在化したときに備えて,対処するための計画を策定する。正解
正解 エ
解説
コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)は,リスクが実際に起きてしまった場合に何をするかをあらかじめ決めておく計画。「顕在化したときに備えて,対処するための計画を策定する」がこれに当たる。
ア・イ・ウはいずれもリスクが起きる前に発生確率や影響を下げようとする予防的な対策(リスク軽減策)であり,顕在化後の対応計画ではない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
企業が属する業界の競争状態と収益構造を,“新規参入の脅威”,“供給者の支配力”,“買い手の交渉力”,“代替製品・サービスの脅威”,“既存競合者同士の敵対関係”の要素に分類して,分析するフレームワークはどれか。
- アPEST 分析
- イVRIO 分析
- ウバリューチェーン分析
- エファイブフォース分析正解
正解 エ
解説
ファイブフォース分析は,業界の競争環境を「新規参入の脅威」「供給者の交渉力」「買い手の交渉力」「代替品の脅威」「既存競合者同士の敵対関係」という五つの力に分けて,その業界の収益性を分析する枠組み。
アの PEST 分析は政治・経済・社会・技術という外部のマクロ環境を分析する枠組み,イの VRIO 分析は経営資源の競争優位性を評価する枠組み,ウのバリューチェーン分析は自社の活動を機能別に分解して付加価値の源泉を探る手法。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
フィージビリティスタディの説明はどれか。
- ア企業が新規事業立ち上げや海外進出する際の検証,公共事業の採算性検証,情報システムの導入手段の検証など,実現性を調査・検証する投資前評価のこと正解
- イ技術革新,社会変動などに関する未来予測によく用いられ,専門家グループなどがもつ直観的意見や経験的判断を,反復型アンケートを使って組織的に集約・洗練して収束すること
- ウ集団(小グループ)によるアイディア発想法の一つで,会議の参加メンバー各自が自由奔放にアイディアを出し合い,互いの発想の異質さを利用して,連想を行うことによって,さらに多数のアイディアを生み出そうという集団思考法・発想法のこと
- エ商品が市場に投入されてから,次第に売れなくなり姿を消すまでのプロセスを,導入期,成長期,成熟(市場飽和)期,衰退期の4段階で表現して,その市場における製品の寿命を検討すること
正解 ア
解説
フィージビリティスタディ(実現可能性調査)は,事業やプロジェクトに本格的に投資する前に,技術面・採算面などから実現できるかどうかを調査・検証する評価活動。
イはデルファイ法,ウはブレーンストーミング,エはプロダクトライフサイクルの説明。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
IoT の技術として注目されている,エッジコンピューティングの説明として,最も適切なものはどれか。
- ア演算処理のリソースをセンサー端末の近傍に置くことによって,アプリケーション処理の低遅延化や通信トラフィックの最適化を行う。正解
- イ人体に装着して脈拍センサーなどで人体の状態を計測して解析を行う。
- ウネットワークを介して複数のコンピュータを結ぶことによって,全体として処理能力が高いコンピュータシステムを作る。
- エ周りの環境から微小なエネルギーを収穫して,電力に変換する。
正解 ア
解説
エッジコンピューティングは,クラウドにデータを送って処理するのではなく,センサーや端末の近く(エッジ)に演算資源を置いて処理する方式。応答時間を短縮でき,クラウドへ送るデータ量も減らせる。
イはウェアラブルコンピューティング,ウはグリッドコンピューティング(分散処理),エはエネルギーハーベスティングの説明。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
損益計算資料から求められる損益分岐点売上高は,何百万円か。
正解 ウ
解説
変動費は材料費200+外注費100=300百万円,固定費は製造固定費100+販売固定費80=180百万円。
変動費率は 300÷500=0.6 なので,限界利益率は 1−0.6=0.4。
損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率=180÷0.4=450百万円。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
不正競争防止法の不正競争行為に該当するものはどれか。
- アA 社と競争関係になっていない B 社が,偶然に,A 社の社名に類似のドメイン名を取得した。
- イある地方だけで有名な和菓子に類似した商品名の飲料を,その和菓子が有名ではない地方で販売し,利益を取得した。
- ウ商標権のない商品名を用いたドメイン名を取得し,当該商品のコピー商品を販売し,利益を取得した。正解
- エ他社サービスと類似しているが,自社サービスに適しており,正当な利益を得る目的があると認められるドメインを取得し,それを利用した。
正解 ウ
解説
不正競争防止法は,商標権の有無にかかわらず,不正の利益を得る目的でのドメイン名の取得・使用や,他人の商品形態を模倣した商品の譲渡などを不正競争行為として規制している。ウはコピー商品を販売して利益を得ており,これに該当する。
アは「偶然」であり,不正の利益を得る目的も他人に損害を加える目的も認められない。イは周知性の及ばない地方での販売で,混同が生じるおそれがない。エは正当な利益を得る目的が認められており,いずれも不正競争行為には当たらない。
出典:令和6年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)