令和4年度 秋期に実施されたプロジェクトマネージャ試験
午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネジメントのプロセス群には,立ち上げ,計画,実行,管理及び終結がある。これらのうち,“変更要求”の提出を契機に相互作用するプロセス群の組みはどれか。
ア 計画,実行
イ 実行,管理 正解
ウ 実行,終結
エ 管理,終結
正解 イ
解説
JIS Q 21500:2018 は,五つのプロセス群が互いに作用し合う様子を図で示している。プロジェクトの作業を実際に進める実行のプロセス群で変更の必要が生じると“変更要求”が出され,管理のプロセス群がそれを評価して,承認された変更を実行のプロセス群へ返す。変更要求を契機に相互作用するのは実行と管理の組みで,イが正しい。
管理のプロセス群は変更を扱う要で,承認された変更に合わせて計画を更新することはあるが,変更要求を出す側と受ける側の組みとしては実行と管理である。立ち上げと終結は,プロジェクトやフェーズの始まりと終わりを扱うプロセス群で,変更要求のやり取りの中心にはない。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
プロジェクトマネジメントにおけるプロジェクト憲章の説明として,適切なものはどれか。
ア 組織のニーズ,目標ベネフィットなどを記述することによって,プロジェクトの目標について,また,プロジェクトがどのように事業目的に貢献するかについて明確にした文書
イ どのようにプロジェクトを実施し,監視し,管理するのかを定めるために,プロジェクトを実施するためのベースライン,並びにプロジェクトの実行,管理,及び終結の方法を明確にした文書
ウ プロジェクトの最終状態を定義することによって,プロジェクトの目標,成果物,要求事項及び境界を含むプロジェクトスコープを明確にした文書
エ プロジェクトを正式に許可する文書であって,プロジェクトマネージャを特定して適切な責任と権限を明確にし,ビジネスニーズ,目標,期待される結果などを明確にした文書 正解
正解 エ
解説
プロジェクト憲章は,プロジェクトを正式に許可する文書で,プロジェクトマネージャを任命してその責任と権限を明らかにし,ビジネスニーズ,目標,期待される結果などを記す。立ち上げの段階で作られ,以後の計画の出発点になる。エが正しい。
アはプロジェクトが事業目的にどう貢献するかを示すビジネスケースやベネフィットの計画,イはプロジェクトの実行・監視・管理・終結の方法とベースラインを定めるプロジェクトマネジメント計画書,ウはプロジェクトの最終状態と境界を定めるプロジェクトスコープ記述書の説明である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)において,管理のプロセス群を構成するプロセスのうち,WBS が主要なインプットの一つとして示されているものはどれか。
ア スコープの管理 正解
イ 品質管理の遂行
ウ 変更の管理
エ リスクの管理
正解 ア
解説
JIS Q 21500:2018 の“スコープの管理”は,スコープへの影響を最小にしながら変更を管理し,スコープの実績を基準と比べるプロセスで,基準となるスコープの内容を表す WBS が主要なインプットに含まれている。アが正しい。
イの“品質管理の遂行”は品質の実績を品質計画と比べるプロセスで,主に品質計画や進捗データを使う。ウの“変更の管理”は変更要求を評価して承認・却下するプロセスで,主に変更要求とプロジェクト計画書を使う。エの“リスクの管理”はリスク対応の進捗と有効性を見るプロセスで,主にリスク登録簿を使う。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
プロジェクトマネジメントで使用する責任分担マトリックス(RAM)の一つに,RACI チャートがある。RACI チャートで示す四つの“役割又は責任”の組合せのうち,適切なものはどれか。
ア 実行責任,情報提供,説明責任,相談対応 正解
イ 実行責任,情報提供,説明責任,リスク管理
ウ 実行責任,情報提供,相談対応,リスク管理
エ 実行責任,説明責任,相談対応,リスク管理
正解 ア
解説
RACI チャートは,作業ごとに誰がどの役割を担うかを表す責任分担マトリックスで,Responsible(実行責任),Accountable(説明責任),Consulted(相談対応),Informed(情報提供)の頭文字から名付けられている。四つがそろったアが正しい。
Accountable は作業の結果に最終的な責任を負う人で,一つの作業につき1人に絞るのが原則である。イ・ウ・エに含まれる“リスク管理”は RACI の役割ではなく,プロジェクトマネジメントで扱う対象の一つである。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
チームの発展段階を五つに区分したタックマンモデルによれば,メンバーの異なる考え方や価値観が明確になり,メンバーがそれぞれの意見を主張し合う段階はどれか。
ア 安定期(Norming)
イ 遂行期(Performing)
ウ 成立期(Forming)
エ 動乱期(Storming) 正解
正解 エ
解説
タックマンモデルは,チームが成立期(Forming)→ 動乱期(Storming)→ 安定期(Norming)→ 遂行期(Performing)→ 散会期(Adjourning)の順に発展すると考える。メンバーの考え方や価値観の違いが表に出て,互いに意見を主張し合い衝突が起きるのは動乱期で,エが正しい。
ウの成立期はメンバーが集まったばかりで互いに様子を見ている段階。アの安定期は衝突を経てチームの規範や役割が固まる段階。イの遂行期はチームが成熟して高い成果を出す段階である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,対象群“資源”に属するプロセスである“資源の管理”の目的はどれか。
ア 活動リストの活動ごとに必要な資源を決定する。
イ 継続的にプロジェクトチーム構成員のパフォーマンス及び相互関係を改善する。
ウ チームのパフォーマンスを最大限に引き上げ,フィードバックを提供し,課題を解決し,コミュニケーションを促し,変更を調整して,プロジェクトの成功を達成する。
エ プロジェクトの要求事項を満たすように,プロジェクト作業の実施に必要な資源を確保し,必要な方法で配分する。 正解
正解 エ
解説
JIS Q 21500:2018 の対象群“資源”には,資源の見積り,プロジェクト組織の定義,プロジェクトチームの編成,資源の管理などのプロセスがある。“資源の管理”は管理のプロセス群に属し,プロジェクトの要求事項を満たすように,作業に必要な資源を確保し,必要な方法で配分することを目的とする。エが正しい。
アは“資源の見積り”の目的。イは継続的にチームのパフォーマンスと相互関係を改善する“プロジェクトチームの育成”,ウはパフォーマンスを最大限に引き上げ課題を解決する“プロジェクトチームのマネジメント”の目的である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
EVM を使用してマネジメントをしているプロジェクトで,進捗に関する指標値は次のとおりであった。このプロジェクトに対する適切な評価と対策はどれか。
〔進捗に関する指標値〕
CPI(コスト効率指数):0.9 SPI(スケジュール効率指数):1.1 BAC(完成時総予算)に基づく TCPI(残作業効率指数):1.2
ア コストが予算を超えているが,スケジュールには余裕があり,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないので,CPI に基づいて完成までに必要なコストを予測する。
イ コストが予算を超えているので,完成時総予算を超過するおそれがあるが,スケジュールには余裕があるので,残作業のコスト効率を上げる対策を検討するか,コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。 正解
ウ コストには余裕があるが,スケジュールが予定より遅れており,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要があるので,ファストトラッキングなどを用いたスケジュール短縮を検討するとともに,コンティンジェンシー予備費の使用を検討する。
エ コストには余裕があるので,残作業のコスト効率を計画よりも上げる必要はないが,スケジュールが予定より遅れているので,クラッシングなどを用いたスケジュール短縮を検討する。
正解 イ
解説
CPI=0.9<1 なのでコスト効率が計画を下回っており,コストが予算を超えている。SPI=1.1>1 なのでスケジュールは計画より進んでいる。さらに BAC に基づく TCPI=1.2>1 は,完成時総予算に収めるには残作業を計画より高い効率で進める必要があることを示す。
したがって,予算超過のおそれに対して残作業のコスト効率を上げる対策やコンティンジェンシー予備費の使用を検討するイが適切。アは TCPI>1 を無視して“上げる必要はない”としている点が誤り。ウとエはコストとスケジュールの状態が逆になっている。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
ソフトウェア開発プロジェクトにおいて WBS を作成する目的として,適切なものはどれか。
ア 開発の期間と費用とがトレードオフの関係にある場合に,総費用の最適化を図る。
イ 作業の順序関係を明確にして,重点管理すべきクリティカルパスを把握する。
ウ 作業の日程を横棒(バー)で表して,作業の開始時点や終了時点,現時点の進捗を明確にする。
エ 作業を,階層的に詳細化して,管理可能な大きさに細分化する。 正解
正解 エ
解説
WBS(Work Breakdown Structure)は,プロジェクトの成果物と作業を階層的に分解し,見積りや担当の割当て,進捗の管理ができる大きさ(ワークパッケージ)まで細分化したものである。スコープを漏れなく表し,スケジュールやコストの計画の土台になる。エが正しい。
アは期間と費用のトレードオフから最適な点を探すタイムコストトレードオフの考え方。イは作業の順序関係を図にしてクリティカルパスを求めるアローダイアグラムなどの目的。ウは作業の日程を横棒で表すガントチャートの説明である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
図のアローダイアグラムから読み取れることとして,適切なものはどれか。ここで,プロジェクトの開始日を1日目とする。
ア 作業 C を最も早く開始できるのは6日目である。
イ 作業 D はクリティカルパス上の作業である。
ウ 作業 E の総余裕時間は30日である。 正解
エ 作業 F を最も遅く開始できるのは11日目である。
正解 ウ
解説
各結合点に最も早く到達できる日数をたどると,B の後が10日,A の後はダミー作業があるので5日と10日のうち遅い10日。そこから C の後が30日,E と F の合流点が 10+10=20日。H の手前は,G 経由 30+20=50日,D 経由 10+30=40日,ダミー経由20日のうち50日で,全体は60日。逆に遅くとも到達すべき日数をたどると,H の手前が50日,E と F の合流点も(ダミーなので)50日になる。
E は最も早く10日経過後に始められ,最も遅くは 50−10=40日経過後に始めればよいので,総余裕時間は30日。ウが正しい。アは,C の最早開始は10日経過後なので11日目。イは,D の総余裕が 50−30−10=10日あり,クリティカルパス(B→ダミー→C→G→H)上にない。エは,F の最遅開始が 50−10=40日経過後なので41日目である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
COCOMO には,システム開発の工数を見積もる式の一つとして次式がある。
開発工数=3.0×(開発規模)1.12 この式を基に,開発規模と開発生産性(開発規模/開発工数)の関係を表したグラフはどれか。ここで,開発工数の単位は人月,開発規模の単位はキロ行とする。
正解 エ
解説
開発生産性は開発規模 ÷ 開発工数なので,式を代入すると 規模 ÷(3.0×規模1.12 )= 規模−0.12 ÷ 3.0 となる。指数がマイナスなので,規模が大きくなるほど生産性は下がる。さらに,指数の絶対値が小さい累乗の曲線なので,規模が小さいうちは大きく下がり,規模が大きくなるにつれて下がり方は緩やかになる。この形はエである。
指数が1を超える(1.12)ことは,規模が大きくなると工数がそれ以上の割合で増える,つまり大規模ほど調整や管理の負担で効率が落ちることを表している。アとイは生産性が上がるグラフで逆。ウは下がり方が次第に急になっており,曲線の曲がり方が逆である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
工程別の生産性が次のとおりのとき,全体の生産性を表す式はどれか。
〔工程別の生産性〕
設計工程:X ステップ/人月 製造工程:Y ステップ/人月 試験工程:Z ステップ/人月
正解 エ
解説
全体の生産性は,全工程を通した開発規模を,全工程の工数の合計で割った値である。規模を S ステップとすると,各工程の工数は S÷X,S÷Y,S÷Z 人月なので,全体の生産性は S÷(S÷X+S÷Y+S÷Z)=1÷(1÷X+1÷Y+1÷Z)となる。エが正しい。
同じ S ステップを三つの工程が順に扱うので,工程ごとの生産性を足し合わせる(ア)ことも,単純に平均する(イ)こともできない。ウは全工程の工数を規模で割った“1ステップ当たりの人月”で,生産性の逆数に当たる。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
工場の生産能力を増強する方法として,新規システムを開発する案と既存システムを改修する案とを検討している。次の条件で,期待金額価値の高い案を採用するとき,採用すべき案と期待金額価値との組合せのうち,適切なものはどれか。ここで,期待金額価値は,収入と投資額との差で求める。
〔条件〕
新規システムを開発する場合の投資額は100億円であり,既存システムを改修する場合の投資額は50億円である。 需要が拡大する確率は70%であり,需要が縮小する確率は30%である。 新規システムを開発した場合,需要が拡大したときは180億円の収入が見込まれ,需要が縮小したときは50億円の収入が見込まれる。 既存システムを改修した場合,需要が拡大したときは120億円の収入が見込まれ,需要が縮小したときは40億円の収入が見込まれる。 他の条件は考慮しない。
ア 採用すべき案:既存システムの改修,期待金額価値:46億円 正解
イ 採用すべき案:既存システムの改修,期待金額価値:96億円
ウ 採用すべき案:新規システムの開発,期待金額価値:41億円
エ 採用すべき案:新規システムの開発,期待金額価値:130億円
正解 ア
解説
期待金額価値は,需要が拡大した場合と縮小した場合の収入をそれぞれの確率で重み付けして足し,投資額を引いて求める。新規システムの開発は 180×0.7+50×0.3=126+15=141億円の収入に対して投資額100億円なので41億円。既存システムの改修は 120×0.7+40×0.3=84+12=96億円の収入に対して投資額50億円なので46億円。
期待金額価値の高い既存システムの改修を採用し,その値は46億円となるので,アが正しい。イの96億円は投資額を引いていない収入の期待値,エの130億円は新規システムの収入の期待値から改修の投資額を引くなど組み合わせを誤った値である。新規システムは需要拡大時の収入が大きいが,投資額の差を埋めるほどではない。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
A〜D の機能をもつソフトウェアの基本設計書のレビューを行った。表は,各機能の開発規模の見積り値と基本設計書レビューでの指摘件数の実績値である。基本設計工程における品質の定量的評価基準に従うとき,品質評価指標の視点での品質に問題があると判定される機能の組みはどれか。
〔基本設計工程における品質の定量的評価基準〕
品質評価指標は,基本設計書レビューにおける開発規模の見積り値の単位規模当たりの指摘件数とする。 品質評価指標の値が,基準値の0.9倍〜1.1倍の範囲内であれば,品質に問題がないと判定する。 基準値は開発規模の見積り値1kステップ当たり5.0件とする。
正解 ア
解説
品質評価指標は,1kステップ当たりの指摘件数である。基準値5.0件の0.9倍〜1.1倍,つまり4.5件〜5.5件の範囲に入っていれば問題なしと判定する。各機能の指標は,A が 130÷30≒4.33件,B が 120÷24=5.0件,C が 64÷16=4.0件,D が 46÷10=4.6件である。
範囲を外れているのは A(4.33件)と C(4.0件)で,どちらも基準より少ない。指摘が少なすぎるのはレビューが十分に行われていない可能性を示すので,多すぎる場合と同様に問題ありと判定する。アが正しい。件数そのものの多さで判断して A と B を選ばないよう,必ず規模で割って比べる。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−システム及びソフトウェア品質モデル)で規定された品質副特性の説明のうち,信頼性の品質副特性の説明はどれか。
ア 製品又はシステムが,それらを運用操作しやすく,制御しやすくする属性をもっている度合い
イ 製品若しくはシステムの一つ以上の部分への意図した変更が製品若しくはシステムに与える影響を総合評価すること,欠陥若しくは故障の原因を診断すること,又は修正しなければならない部分を識別することが可能であることについての有効性及び効率性の度合い
ウ 中断時又は故障時に,製品又はシステムが直接的に影響を受けたデータを回復し,システムを希望する状態に復元することができる度合い 正解
エ 二つ以上のシステム,製品又は構成要素が情報を交換し,既に交換された情報を使用することができる度合い
正解 ウ
解説
JIS X 25010:2013 は,信頼性の品質副特性として成熟性,可用性,障害許容性(耐故障性),回復性の四つを挙げている。ウの,中断や故障のときに影響を受けたデータを回復し,システムを希望する状態に戻せる度合いは回復性の定義で,信頼性の副特性に当たる。
アは運用操作性の定義で,使用性の副特性。イは解析性の定義で,保守性の副特性。エは相互運用性の定義で,互換性の副特性である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
“アジャイルソフトウェア開発宣言”で述べている価値に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 計画に従うことに価値があることを認めながらも,自己組織化されたチームによる裁量に,より価値をおく。
イ 契約交渉に価値があることを認めながらも,顧客の競争力と満足度の向上に,より価値をおく。
ウ プロセスやツールに価値があることを認めながらも,実用的なプラクティスに,より価値をおく。
エ 包括的なドキュメントに価値があることを認めながらも,動くソフトウェアに,より価値をおく。 正解
正解 エ
解説
アジャイルソフトウェア開発宣言は,“左記のことがらに価値があることを認めながらも,右記のことがらにより価値をおく”として四つの価値を挙げている。プロセスやツールよりも個人と対話を,包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを,契約交渉よりも顧客との協調を,計画に従うことよりも変化への対応を,である。エがそのうちの一つに当たる。
ア・イ・ウは,左側は宣言のとおりだが右側が言い換えられている。正しくは,アの右側は“変化への対応”,イの右側は“顧客との協調”,ウの右側は“個人と対話”である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
XP(Extreme Programming)のプラクティスの一つであるものはどれか。
ア 構造化プログラミング
イ コンポーネント指向プログラミング
ウ ビジュアルプログラミング
エ ペアプログラミング 正解
正解 エ
解説
XP(エクストリームプログラミング)は,短い反復で開発を進めるアジャイル開発手法の一つで,プラクティスとしてペアプログラミング,テスト駆動開発,リファクタリング,継続的インテグレーション,コードの共同所有などを挙げる。2人1組で1台のコンピュータを使い,一方がコードを書き他方がレビューしながら進めるペアプログラミングはその代表で,エが正しい。
アの構造化プログラミングは,順次・選択・繰返しの制御構造でプログラムを組み立てる考え方。イのコンポーネント指向プログラミングは,部品を組み合わせてソフトウェアを作る考え方。ウのビジュアルプログラミングは,図形を操作してプログラムを作る方式で,いずれも XP のプラクティスではない。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
ユースケース駆動開発の利点はどれか。
ア 開発を反復するので,新しい要求やビジネス目標の変化に柔軟に対応しやすい。
イ 開発を反復するので,リスクが高い部分に対して初期段階で対処しやすく,プロジェクト全体のリスクを減らすことができる。
ウ 基本となるアーキテクチャをプロジェクトの初期に決定するので,コンポーネントを再利用しやすくなる。
エ ひとまとまりの要件を1単位として設計からテストまで実施するので,要件ごとに開発状況が把握できる。 正解
正解 エ
解説
ユースケース駆動開発は,利用者から見たひとまとまりの要件であるユースケースを単位として,分析・設計・実装・テストを進める開発の進め方である。ユースケースごとに設計からテストまでが対応付くので,どの要件がどこまでできているかを把握しやすい。エが正しい。
ユースケース駆動は,統一プロセス(UP)の特徴である“ユースケース駆動”“アーキテクチャ中心”“反復的かつ漸進的”の一つに当たる。アとイは開発を反復することによる利点で“反復的かつ漸進的”の側,ウは初期にアーキテクチャを決める“アーキテクチャ中心”の利点であり,ユースケース駆動の利点ではない。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
ある業務を新たにシステム化するに当たって,A〜D のシステム化案の初期費用,運用費及びシステム化によって削減される業務費を試算したところ,表のとおりであった。システムの利用期間を5年とするとき,最も投資利益率の高いシステム化案はどれか。ここで,投資利益率は次式によって算出する。また,利益の増加額は削減される業務費から投資額を減じたものとし,投資額は初期費用と運用費の合計とする。
投資利益率 = 利益の増加額 ÷ 投資額
正解 エ
解説
5年間の投資額は,初期費用に1年間の運用費の5年分を足したもの,削減される業務費も1年分の5年分である。A 案は投資額 30+4×5=50,削減額 25×5=125,利益の増加額75で投資利益率1.5。B 案は投資額 20+6×5=50,削減額100,利益50で1.0。C 案は投資額 20+4×5=40,削減額75,利益35で0.875。D 案は投資額 15+5×5=40,削減額 22×5=110,利益70で1.75。
最も投資利益率が高いのは D 案で,エが正しい。削減額が最も大きいのは A 案だが,投資額も大きいので比率では D 案に及ばない。運用費を5年分足し忘れると投資額が小さく出て順位が変わるので注意する。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
バックアップサイトを用いたサービス復旧方法の説明のうち,ウォームスタンバイの説明として,最も適切なものはどれか。
ア 同じようなシステムを運用する外部の企業や組織と協定を結び,緊急時には互いのシステムを貸し借りして,サービスを復旧する。
イ 緊急時にはバックアップシステムを持ち込んでシステムを再開し,サービスを復旧する。
ウ 常にデータの同期が取れているバックアップシステムを用意しておき,緊急時にはバックアップシステムに切り替えて直ちにサービスを復旧する。
エ バックアップシステムを用意しておき,緊急時にはバックアップシステムを起動して,データを最新状態にする処理を行った後にサービスを復旧する。 正解
正解 エ
解説
ウォームスタンバイは,別の場所にバックアップシステムを用意しておくが常時は動かしておらず,緊急時に起動してデータを最新の状態にしてからサービスを再開する方式。準備の手間と復旧の速さの中間に位置する。
アは相互バックアップ(他組織との相互援助協定),イは機材を持ち込んでから立ち上げるコールドスタンバイ,ウは常時同期していて直ちに切り替えられるホットスタンバイである。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
IoT を活用した工場管理システムの開発を行う。システムを構築し,サービスを運営する A 社は,B 社にボード開発を定額契約で委託した。B 社はボードの納入前のネットワーク試験のため,工場の設備を管理する C 社と実費償還契約を締結し,工場の一部区画とネットワークを借用した。C 社のネットワーク設備に故障はなく,B 社の人的リソース不足が原因でネットワーク試験の作業が遅延し,追加の費用が発生したとき,その費用を負担すべき会社はどれか。ここで,各社は契約を正当に履行するものとする。また,定額契約を交わした時点では,開発のスコープは十分明確で,契約以降の変更はないものとする。
ア A 社
イ A 社及び B 社
ウ B 社 正解
エ B 社及び C 社
正解 ウ
解説
A 社と B 社の契約は定額契約で,開発のスコープは明確で変更もない。定額契約では,合意した金額で成果物を納めるのが受注者の義務なので,受注者である B 社の都合で生じた追加費用は B 社が負担し,A 社に請求することはできない。
B 社と C 社の契約は実費償還契約で,C 社が区画やネットワークを貸すのに要した費用は,発注者である B 社が実費で支払う。C 社の設備に故障はなく,遅延の原因は B 社の人的リソース不足なので,延びた期間の分の実費も B 社が負担する。追加の費用を負担するのは B 社だけで,ウが正しい。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
基準値を超える鉛,水銀などの有害物質を電気・電子機器に使用することを制限するために,欧州連合が制定し,施行しているものはどれか。
ア ISO 14001
イ RoHS 指令 正解
ウ WEEE 指令
エ グリーン購入法
正解 イ
解説
RoHS 指令は,電気・電子機器に鉛,水銀,カドミウム,六価クロムなどの特定有害物質を基準値を超えて含むことを制限する欧州連合(EU)の指令である。イが正しい。
アの ISO 14001 は環境マネジメントシステムの国際規格。ウの WEEE 指令は,使用済みの電気・電子機器の回収やリサイクルを製造者などに求める EU の指令で,有害物質の使用制限ではない。エのグリーン購入法は,国などに環境負荷の少ない製品の調達を求める日本の法律である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
SDGs の説明として,適切なものはどれか。
ア 温室効果ガスの人為的な排出量と吸収源による除去量とを世界規模で均衡させようという取組
イ 企業が社会的責任を果たすべきであるとする考え方で,環境,人権などの活動に取り組むことを推進する考え方
ウ 国連環境計画が提唱する,プラスチックごみによる海洋汚染,環境問題などを解決しようとする取組
エ 地球環境などの課題において2030年を年限とする持続可能でより良い世界を目指す国際目標 正解
正解 エ
解説
SDGs(持続可能な開発目標)は,2015年の国連サミットで採択された,2030年を年限とする国際目標である。貧困や飢餓の解消,気候変動への対策,海や陸の豊かさの保全など17のゴールを掲げ,誰一人取り残さない持続可能でより良い世界を目指す。エが正しい。
アは温室効果ガスの排出と吸収を均衡させるカーボンニュートラルの説明。イは企業の社会的責任(CSR)の考え方。ウはプラスチックごみによる海洋汚染などの特定の環境問題に向けた取組で,SDGs はこうした環境の課題に限らず社会や経済まで含む幅広い目標である。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
認証局が発行する CRL に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア CRL には,失効したデジタル証明書に対応する秘密鍵が登録される。
イ CRL には,有効期限内のデジタル証明書のうち失効したデジタル証明書のシリアル番号と失効した日時の対応が提示される。 正解
ウ CRL は,鍵の漏えい,失効申請の状況をリアルタイムに反映するプロトコルである。
エ 有効期限切れで失効したデジタル証明書は,所有者が新たなデジタル証明書を取得するまでの間,CRL に登録される。
正解 イ
解説
CRL(証明書失効リスト)は,認証局が発行するもので,有効期限内であるにもかかわらず秘密鍵の漏えいなどの理由で失効させたデジタル証明書のシリアル番号と,失効した日時を載せたリストである。証明書を受け取った側は,CRL を見てその証明書が失効していないかを確かめる。イが正しい。
アは誤りで,CRL に秘密鍵は登録されない。ウは誤りで,CRL は定期的に発行されるリストであり,失効状況をリアルタイムに問い合わせるプロトコルは OCSP である。エも誤りで,有効期限が切れた証明書はそれだけで無効なので,CRL に載せる必要はない。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
Web サーバでのシングルサインオンの実装方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア cookie を使ったシングルサインオンの場合,Web サーバごとの認証情報を含んだ cookie をクライアントで生成し,各 Web サーバ上で保存,管理する。
イ cookie を使ったシングルサインオンの場合,認証対象の Web サーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。
ウ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,認証対象の Web サーバを,異なるインターネットドメインに配置する必要がある。
エ リバースプロキシを使ったシングルサインオンの場合,利用者認証においてパスワードの代わりにデジタル証明書を用いることができる。 正解
正解 エ
解説
リバースプロキシ型のシングルサインオンでは全ての通信がリバースプロキシを経由するので,そこで利用者認証を行う。認証方式はパスワードに限られず,クライアント証明書(デジタル証明書)を用いることもできる。
アは誤り。cookie を生成するのはクライアントではなく認証を行うサーバ側。イは誤り。cookie は発行元ドメインにしか送られないので,cookie 方式では同一ドメインに配置する必要がある。ウは誤り。リバースプロキシ方式ではドメインを分ける必要はない。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
サイバーセキュリティ演習での参加チームの役割のうち,レッドチームの役割として,最も適切なものはどれか。
ア あらかじめ設定された攻撃範囲を超えた行動を演習参加チームがしていないことを監視する。
イ 演習時に行うサイバー攻撃に対して,防御,検知,対応を行う。
ウ 脅威シナリオに基づいて対象組織に攻撃を仕掛ける。 正解
エ 人的リソース,データ,ナレッジを共有し,演習の効果の最大化を図る。
正解 ウ
解説
サイバーセキュリティ演習では,役割ごとにチームを色で呼び分ける。レッドチームは攻撃者の役で,想定した脅威シナリオに基づいて対象組織に実際に攻撃を仕掛け,防御の弱点を明らかにする。ウが正しい。
イの,攻撃に対して防御・検知・対応を行うのはブルーチーム。アの,演習のルールや攻撃範囲を定めて各チームがそれを守っているかを監視し,進行を統制するのはホワイトチームである。エの,攻撃側と防御側が知見を共有して演習の効果を高める取組は,パープルチームと呼ばれる。
出典:令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
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