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ネットワークスペシャリスト試験

令和5年度 春期 科目A-2(午前Ⅱ)

令和5年度 春期に実施されたネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:ネットワークスペシャリスト試験について

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問1

PC などが IPv6 で通信を開始する際,IPv6 アドレスに対応する MAC アドレスを解決するために使用するプロトコルはどれか。

正解 ウ

解説

IPv6 では ARP を使わず,ICMPv6 のメッセージを使う近隣探索プロトコル(NDP)で,IPv6 アドレスに対応する MAC アドレスを解決する。問い合わせに近隣要請(Neighbor Solicitation),応答に近隣広告(Neighbor Advertisement)を使う。ウが該当する。

アの ARP は IPv4 で MAC アドレスを解決するプロトコルで,IPv6 では使われない。イの DHCPv6 は IPv6 アドレスなどの設定情報を配布するプロトコル,エの RARP は逆に MAC アドレスから IP アドレスを求める IPv4 時代のプロトコルである。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

用語解説:ARP IPv6

問2

高速無線通信で使われている多重化方式であり,データ信号を複数のサブキャリアに分割し,各サブキャリアが互いに干渉しないように配置する方式はどれか。

正解 ウ

解説

OFDM(直交周波数分割多重)は,データを多数のサブキャリアに分けて並列に送る方式で,各サブキャリアの周波数を互いに直交する関係に配置するので,周波数が一部重なっていても干渉しない。周波数を有効に使え,マルチパスにも強いので,無線 LAN(IEEE 802.11a/g/n/ac/ax)や 4G・5G の移動通信で使われている。ウが該当する。

アの CCK は IEEE 802.11b で使われた変調方式,イの CDM は拡散符号によって複数の信号を同じ周波数帯に重ねる符号分割多重,エの TDM は時間を区切って複数の信号を順番に送る時分割多重である。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

OSPF に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

OSPF は,各ルータがリンクの状態をやり取りして同じリンク状態データベースを作り,最短経路を計算するリンクステート型のルーティングプロトコルで,ネットワークをエリアに分割して経路情報の交換範囲を限定できる。アが適切である。

イの異なる管理ポリシーの領域(AS)の間で使うエクステリアゲートウェイプロトコルは BGP であり,OSPF は AS の内部で使うインテリアゲートウェイプロトコルである。ウは誤りで,OSPF はリンクの状態の変化に応じて経路を動的に再計算する。エも誤りで,OSPF はインタフェースの帯域幅などから決まるコストの合計が最小になる経路を選ぶ。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

用語解説:ルーティングプロトコル(RIP・OSPF・BGP)

問4

ネットワークで利用されるアルゴリズムのうち,TCP の輻輳制御アルゴリズムに該当するものはどれか。

正解 ア

解説

BBR は Google が開発した TCP の輻輳制御アルゴリズムで,ボトルネックとなる帯域幅と往復伝搬時間(RTT)を推定し,それに合わせて送信速度を調整する。パケット損失を輻輳の合図とする従来の Reno や CUBIC と異なり,損失が起きる前に適切な速度で送れる。アが該当する。

イの HMAC はハッシュ関数を使ったメッセージ認証符号,ウの RSA は公開鍵暗号方式である。エの SPF(Shortest Path First)は OSPF などで最短経路を計算するアルゴリズム(ダイクストラ法)であり,いずれも輻輳制御のアルゴリズムではない。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

IPv4 ネットワークで TCP を使用するとき,フラグメント化されることなく送信できるデータの最大長は何オクテットか。ここで TCP パケットのフレーム構成は図のとおりであり,ネットワークの MTU は 1,500 オクテットとする。また,( ) 内はフィールド長をオクテットで表したものである。

フレーム構成の図。先頭から MACヘッダー(14),IPヘッダー(20),TCPヘッダー(20),データ,FCS(4) の順に並ぶ。

正解 ウ

解説

MTU は,データリンク層のフレームに載せられる IP パケットの最大長であり,MAC ヘッダと FCS は含まない。したがって IP パケットの 1,500 オクテットから IP ヘッダの 20 オクテットと TCP ヘッダの 20 オクテットを除いた 1,500−20−20=1,460 オクテットが,フラグメント化されずに送れるデータの最大長になる。ウが該当する。

アの 1,446 は MAC ヘッダ(14)も MTU から差し引いた値,イの 1,456 は FCS(4)も差し引いた値,エの 1,480 は IP ヘッダだけを差し引いて TCP ヘッダを数えなかった値である。

MTU と MSS イーサネットの MTU は,MAC ヘッダと FCS の内側,つまり IP ヘッダから後ろ(IP ヘッダ+TCP ヘッダ+データ)の最大長で,通常 1,500 オクテット。そこから IP ヘッダ 20 と TCP ヘッダ 20 を引いた 1,460 オクテットが,フラグメント化されずに送れるデータの最大長(MSS)。 MAC ヘッダ (14) IP ヘッダ (20) TCP ヘッダ (20) データ FCS (4) MTU 1,500 MSS(データ) 1,500 − 20 − 20 = 1,460 オクテット
MTU は IP パケットの最大長。MAC ヘッダと FCS は含まない

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

平均ビット誤り率が 1×10−5 の回線を用いて,200,000 バイトのデータを 100 バイトずつの電文に分けて送信する。送信電文のうち,誤りが発生する電文の個数は平均して幾つか。

正解 エ

解説

電文の数は 200,000÷100=2,000 個である。1 電文は 100 バイト=800 ビットで,ビット誤り率が 1×10−5 なので,1 電文当たりの誤りビット数の期待値は 800×10−5=0.008 になる。誤りはまれにしか起きないので,1 電文に誤りが発生する確率はほぼこの値に等しく,誤りが発生する電文は平均 2,000×0.008=16 個である。エが該当する。

全体で見ても,200,000 バイト=1,600,000 ビットのうち誤るのは 1,600,000×10−5=16 ビットで,1 電文に 2 ビット以上の誤りが重なることはほとんどないので,16 個の電文に誤りが生じると考えてよい。アの 2 はバイトをビットに直さなかった値である。

誤りが起きる電文の数の期待値 200,000 バイトを 100 バイトずつに分けると電文は 2,000 個。1電文は 100 バイト=800 ビットで,誤り率 10⁻⁵ なら1電文の誤りビット数の期待値は 0.008。誤りはまれなので,これが1電文に誤りが起きる確率とみなせて,2,000×0.008=16 個。 電文の数 200,000 ÷ 100 2,000 個 1電文のビット数 100 バイト × 8 800 ビット 1電文の誤りの期待値 800 × 10⁻⁵ 0.008 2,000 × 0.008 = 16 個
バイトをビットに直す(×8)のを忘れない

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

IP ネットワークのルーティングプロトコルの一つである BGP-4 の説明として,適切なものはどれか。ここで,自律システムとは,単一のルーティングポリシーによって管理されるネットワークを示す。

正解 イ

解説

BGP-4 は,自律システム(AS)の間で経路情報を交換するエクステリアゲートウェイプロトコルである。TCP で接続したピアとの間で,最初に全ての経路情報を交換した後は,経路に変化があったときだけ差分を送る。イが適切である。

アは経由するルータの台数(ホップ数)で経路を決め,サブネットマスクを通知できない RIP(バージョン 1)の説明である。ウは AS 内部で使い,距離ベクトルとリンクステートの特徴を併せ持つ EIGRP などのハイブリッド型の説明,エはエリアとバックボーンの構成をとり,帯域幅をコストに反映できる OSPF の説明である。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

用語解説:ルーティングプロトコル(RIP・OSPF・BGP) サブネットマスク・CIDR

問8

IoT 向けのアプリケーション層のプロトコルである CoAP(Constrained Application Protocol)の特徴として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

CoAP は,処理能力や電力の限られた IoT 機器向けに設計された Web 転送プロトコルで,HTTP に似た GET・POST などの操作を,UDP 上の簡潔なバイナリ形式のメッセージで行う。ヘッダが小さく通信量が少ないので,パケット損失の起きやすい省電力の無線ネットワークでの小電力デバイスの通信に向いている。エが適切である。

アのリアルタイム性が求められる音声や映像の通信には RTP などが使われる。イの大容量で高い信頼性が求められるデータの通信には,TCP 上の HTTP などが向いている。ウは誤りで,CoAP はテキストベースではなくバイナリ形式のプロトコルである。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

図は IPv4 における IPsec のデータ形式を示している。ESP トンネルモードの電文中で,暗号化されているのはどの部分か。

ESP トンネルモードの電文の図。先頭から 新IPヘッダー,ESPヘッダー,オリジナルIPヘッダー,TCPヘッダー,データ,ESPトレーラ,ESP認証データ の順に並ぶ。

正解 ウ

解説

ESP のトンネルモードでは,元の IP パケット全体(オリジナル IP ヘッダ,TCP ヘッダ,データ)に ESP トレーラ(パディングや次ヘッダの情報)を加えた部分を暗号化し,その前に ESP ヘッダと新しい IP ヘッダを付ける。暗号化されるのはオリジナル IP ヘッダから ESP トレーラまでであり,ウが該当する。

新 IP ヘッダは経路上のルータが転送に使うので暗号化できず,ESP ヘッダには復号に使うセキュリティパラメータインデックス(SPI)やシーケンス番号が入るので暗号化されない。ESP 認証データは,ESP ヘッダから ESP トレーラまでを対象に計算した改ざん検出用の値で,暗号化の対象ではない。

IPsec(ESP)のトンネルモードとトランスポートモードのパケット トンネルモードは,新しい IP ヘッダ,ESP ヘッダ,元の IP ヘッダ,データ,ESP トレーラ,ESP 認証データの順で,元の IP ヘッダから ESP トレーラまでが暗号化される。トランスポートモードは,元の IP ヘッダ,ESP ヘッダ,データ,ESP トレーラ,ESP 認証データの順で,データから ESP トレーラまでが暗号化される。 トンネルモード(ゲートウェイ間) 新しい IPヘッダ ESP ヘッダ 元の IPヘッダ データ ESP トレーラ ESP 認証 暗号化される範囲 トランスポートモード(ホスト間) 元の IPヘッダ ESP ヘッダ データ ESP トレーラ ESP 認証 暗号化される範囲
色の付いた部分が暗号化される(ESP の場合)

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

用語解説:VPN・IPsec

問10

複数の VLAN を一つにまとめた単位でスパニングツリーを実現するプロトコルはどれか。

正解 ウ

解説

MSTP(Multiple Spanning Tree Protocol,IEEE 802.1s)は,複数の VLAN を一つのインスタンスにまとめ,インスタンスごとにスパニングツリーを構成するプロトコルである。VLAN ごとに異なる経路を使って負荷を分散しながら,VLAN の数だけツリーを作る場合より処理を減らせる。ウが該当する。

アの BPDU はスパニングツリープロトコルでブリッジ間がやり取りする制御フレームである。イの GARP は VLAN の登録情報などをスイッチ間で伝える仕組み,エの RSTP はスパニングツリーの切替えを高速化したプロトコルで,VLAN をまとめたツリーは作らない。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

用語解説:ARP スパニングツリー・VLAN・リンクアグリゲーション

問11

IP ネットワークにおいて IEEE 802.1Q で使用される VLAN タグは図のイーサネットフレームのどの位置に挿入されるか。

イーサネットフレームの図。先頭から プリアンブル,SFD,宛先MACアドレス,送信元MACアドレス,タイプ又は長さ,IPヘッダー,データ,FCS の順に並ぶ。①はSFDと宛先MACアドレスの間,②は送信元MACアドレスとタイプ又は長さの間,③はタイプ又は長さとIPヘッダーの間,④はIPヘッダーとデータの間を指す。

正解 イ

解説

IEEE 802.1Q の VLAN タグは 4 オクテットで,イーサネットフレームの送信元 MAC アドレスとタイプ(又は長さ)のフィールドの間に挿入される。タグの先頭にはタグ付きフレームであることを示す TPID(0x8100)が入り,続く部分に優先度や VLAN ID が入る。②の位置であり,イが該当する。

①のプリアンブルと SFD はフレームの開始を知らせる同期用の信号で,その直後に宛先 MAC アドレスが続く。③や④の位置は IP パケットの内側で,データリンク層の VLAN タグを入れる位置ではない。

IEEE 802.1Q の VLAN タグの位置と中身 VLAN タグ(4オクテット)は,イーサネットフレームの送信元 MAC アドレスとタイプの間に入る。中身は TPID(16ビット,値 0x8100),PCP(優先度 3ビット),DEI(1ビット),VID(VLAN 番号 12ビット)。VID は12ビットなので,識別できる VLAN は 4,096 個(使えるのは 1〜4094)。 宛先MAC 送信元MAC タグ タイプ データ FCS TPID 16ビット 0x8100 PCP 3ビット 優先度 DEI 1ビット VID 12ビット VLAN 番号 VID 12ビット → 4,096 通り
タグは送信元 MAC の後ろ。VID は12ビット

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

用語解説:スパニングツリー・VLAN・リンクアグリゲーション

問12

10.8.64.0/20,10.8.80.0/20,10.8.96.0/20,10.8.112.0/20 の四つのサブネットを使用する拠点を,他の拠点と接続する。経路制御に使用できる集約したネットワークアドレスのうち,最も集約範囲が狭いものはどれか。

正解 ウ

解説

四つのサブネットの第 3 オクテットは 64=01000000,80=01010000,96=01100000,112=01110000 で,/20 はそこから下位 4 ビットがホスト部になる。4 つとも上位 2 ビットが 01 で共通なので,第 1・第 2 オクテットの 16 ビットと合わせて 18 ビットが共通になり,10.8.64.0/18(10.8.64.0~10.8.127.255)にまとめられる。これが最も狭い集約であり,ウが該当する。

エの 10.8.64.0/19 は 10.8.64.0~10.8.95.255 の範囲で,10.8.96.0/20 と 10.8.112.0/20 を含まない。アの /16 やイの /17 は四つのサブネットを含むが,範囲が必要以上に広い。

経路の集約:10.8.64〜112.0/20 集約する範囲の第3オクテットを2進数で並べ,全てで共通している先頭のビットを数える。共通しているのは先頭 2 ビットなので,集約したアドレスは 10.8.64.0/18。/19 は 64〜95 までで 96・112 を含まない 10.8.64 0 1 0 0 0 0 0 0 10.8.80 0 1 0 1 0 0 0 0 10.8.96 0 1 1 0 0 0 0 0 10.8.112 0 1 1 1 0 0 0 0 共通 2 ビット 集約したアドレス:10.8.64.0/18 /19 は 64〜95 までで 96・112 を含まない
全てに共通する先頭のビットまでがネットワーク部。それより短いと関係のない範囲まで含む

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

用語解説:サブネットマスク・CIDR

問13

WebDAV の特徴はどれか。

正解 イ

解説

WebDAV は,HTTP に PROPFIND,MKCOL,COPY,MOVE,LOCK などのメソッドを追加して拡張したプロトコルで,Web サーバ上のファイルの参照,作成,削除,移動,排他制御,バージョン管理などを,リモートから行える。イが該当する。

アは SOAP を使った Web サービスの説明,ウは Web ブラウザから電子メールを扱う Web メールの説明,エは FTP のサーバからファイルをダウンロードする説明である。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

用語解説:電子メールのプロトコル(SMTP・POP・IMAP)

問14

5G 移動無線サービスの技術や機器を利用したローカル 5G が推進されている。ローカル 5G の特徴のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

ローカル 5G は,携帯電話事業者ではない企業や自治体などが,自らの建物内や敷地内で,5G の技術を使った自営のネットワークを構築して利用する仕組みである。土地や建物の所有者などが総務大臣の無線局免許を取得すれば,電気通信事業者でなくても構築できる。エが適切である。

アは携帯電話事業者の電波が届かない場所のエリアを広げる小型基地局(フェムトセルなど)の説明,イは携帯電話事業者が提供するサービスの一つとしての説明で,いずれもローカル 5G の特徴ではない。ウの 5GHz 帯の高速無線 LAN は Wi-Fi であり,5G(第 5 世代移動通信システム)とは別のものである。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

日本国内において,無線 LAN の規格 IEEE 802.11n 及び IEEE 802.11ac で使用される周波数帯の組合せとして,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

IEEE 802.11n は 2.4 GHz 帯と 5 GHz 帯の両方を使えるが,IEEE 802.11ac は 5 GHz 帯だけを使う。ウが正しい。802.11ac が 5 GHz 帯に限られるのは,帯域幅を 80 MHz・160 MHz まで広げるだけの連続した周波数が 2.4 GHz 帯には無いためである。

アは 802.11n を 2.4 GHz 帯だけとしている点が誤り。イとエは 802.11ac に 2.4 GHz 帯を含めている点が誤りで,エはさらに 802.11n から 2.4 GHz 帯を落としている。

無線通信の規格と周波数帯 2.4GHz 帯は免許の要らない ISM バンドで,Bluetooth と IEEE 802.11b・g・n が使うので,互いに干渉することがある。IEEE 802.11a・ac は 5GHz 帯だけ,802.11n は 2.4GHz 帯と 5GHz 帯の両方を使う。GPS は約1.5GHz,第3世代携帯電話は 800MHz 帯や 2GHz 帯で,重ならない。 規格 2.4GHz 帯 5GHz 帯 Bluetooth ○ IEEE 802.11b・g ○ IEEE 802.11n ○ ○ IEEE 802.11a・ac ○ GPS は約1.5GHz,第3世代携帯電話は 800MHz・2GHz 帯 2.4GHz 帯は免許不要(ISM バンド),電子レンジとも重なる
802.11ac は 5GHz 帯だけ。2.4GHz 帯は Bluetooth と重なる

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

用語解説:無線 LAN(WPA2・WPA3・CSMA/CA)

問16

ポリモーフィック型マルウェアの説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ポリモーフィック型マルウェアは,感染するたびに自身のコードを異なる鍵で暗号化したり,復号ルーチンを変形したりして,見た目のコードを毎回変える。そのため,既知のマルウェアのコードの一部を特徴(シグネチャ)として照合するパターンマッチング方式では検知されにくい。イが適切である。

アの遠隔操作されるマルウェアはボット,エのルートキットを利用して自身を隠すものはステルス型のマルウェアの説明である。ウの複数の OS で動作するマルウェアはクロスプラットフォーム型のマルウェアの説明である。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

用語解説:マルウェア(ルートキット・ポリモーフィック型・ビヘイビア法)

問17

NTP を使った増幅型の DDoS 攻撃に対して,NTP サーバが踏み台にされることを防止する対策の一つとして,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

NTP を使った増幅型の DDoS 攻撃では,攻撃者が送信元 IP アドレスを攻撃対象に偽装して NTP サーバの状態確認機能(monlist)を呼び出す。monlist は最近通信した最大 600 件のアドレス一覧を返すので,小さな要求に対して何百倍もの大きな応答が攻撃対象に送り付けられる。monlist を無効にすればこの増幅に使われなくなるので,アが適切である。

イの外部の NTP サーバへの時刻問合せを止めても,外部から自サーバへの要求は防げない。ウのブロードキャストアドレス宛ての拒否は,スマーフ攻撃のようなブロードキャストを利用した攻撃への対策である。エのように外部から NTP だけを許可しても,NTP への要求は受け付けるので踏み台にされることは防げない。

NTP 増幅(リフレクション)攻撃 攻撃者は送信元 IP アドレスを攻撃対象に偽り,応答が要求よりずっと大きくなる問合せ(monlist など)をインターネット上の NTP サーバに送る。大きな応答は偽られた送信元の攻撃対象に集中する。踏み台にされないためには,monlist を無効にし,外部からの不要な問合せに応答しないようにする。 攻撃者 NTP サーバ NTP サーバ NTP サーバ 攻撃対象 送信元を偽った小さな要求 大きな応答が集中 対策:monlist を無効にする,外からの問合せに答えない
小さな問合せが大きな応答になって攻撃対象に返る。monlist を止めて踏み台にされない

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

用語解説:DDoS 攻撃(リフレクション攻撃・Smurf 攻撃) ファイアウォールと DMZ サブネットマスク・CIDR

問18

インラインモードで動作するシグネチャ型 IPS の特徴はどれか。

正解 エ

解説

インラインモードの IPS は,監視対象の通信経路上に設置され,全ての通信を自身に通過させながら検査するので,不正な通信をその場で遮断できる。シグネチャ型は,既知の攻撃パターンなど定義した異常な通信(シグネチャ)と合致する通信を不正と判断する方式である。この両方を満たすエが該当する。

アとイのようにミラーポートに接続して通信のコピーを受け取る構成はプロミスキャスモード(パッシブ)であり,通信経路の外にいるので確実に遮断することはできない。アとウのように通常時の通信から外れたものを不正と判断するのは,アノマリ型の特徴である。

IDS・IPS・WAF の置き場所と,誤検知・見逃し IPS は通信の通り道(インライン)に置き,不正な通信を見つけたら止める。IDS はスイッチのミラーポートから通信のコピーを受け取って監視し,見つけたら知らせる。WAF は Web サーバの手前に置き,HTTP の中身を見て Web アプリケーションへの攻撃を防ぐ。正常な通信を攻撃と判定するのが誤検知(フォールスポジティブ),攻撃を見逃すのがフォールスネガティブ。 インターネット FW IPS スイッチ IDS コピー 通り道に置く 止められる コピーを見る 知らせるだけ WAF Web HTTP の中身を見る 検知した 検知しない 実際は攻撃 正しく検知 見逃し フォールスネガティブ 実際は正常 誤検知 フォールスポジティブ 正しく通す
IPS は止められるが,誤検知すると正常な通信まで止まる

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

用語解説:WAF・IDS・IPS

問19

認証にクライアント証明書を必要とするプロトコルはどれか。

正解 ウ

解説

EAP-TLS は,IEEE 802.1X で使われる EAP の認証方式の一つで,認証サーバのサーバ証明書に加えて,クライアントもクライアント証明書を提示して相互認証を行う。認証にクライアント証明書を用いるのはウである。

エの EAP-TTLS とアの EAP-FAST は,まずサーバ証明書や事前共有した情報で暗号化した通信路を作り,その中で ID・パスワードなどによってクライアントを認証するので,クライアント証明書は必要ない。イの EAP-MD5 はパスワードの MD5 ハッシュ値を使うチャレンジレスポンス方式で,証明書を使わない。

IEEE 802.1X の3つの役割と EAP-TLS 端末(サプリカント)は EAP で無線 LAN のアクセスポイントや LAN スイッチ(オーセンティケータ)に認証を求め,オーセンティケータはそれを RADIUS で認証サーバに取り次ぐ。認証が済むまでポートは閉じたまま。EAP-TLS では,端末がクライアント証明書を,認証サーバがサーバ証明書を出し合って相互に認証する。 サプリカント PC・スマホ オーセンティケータ AP・スイッチ 認証サーバ RADIUS サーバ EAP RADIUS 認証が済むまでポートを閉じておく EAP-TLS:証明書を出し合って相互に認証する クライアント証明書(端末が本物か) サーバ証明書(認証サーバが本物か) 成功するとポートを開ける(利用者ごとに VLAN も割り当てられる)
認証が済むまでポートを閉じておき,成功した端末だけを通す

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

用語解説:IEEE 802.1X・RADIUS(ネットワークの利用者認証) TLS(SSL)

問20

スパムメールの対策として,TCP ポート番号 25 への通信に対して ISP が実施する OP25B の例はどれか。

正解 イ

解説

OP25B(Outbound Port 25 Blocking)は,ISP が,管理下にある動的 IP アドレスの利用者から,ISP のメールサーバを経由せずに外部のメールサーバの TCP ポート 25 番へ直接送られる通信を遮断する対策である。ボットに感染した PC などが外部へ直接スパムメールを送ることを防ぐ。イが該当する。

アは外部から受信するメールをシグネチャで判定して遮断する受信側の対策,ウは送信元のメールサーバの DNS 逆引きによる受信側の対策,エは第三者中継を許すメールサーバからの受信を拒否する対策であり,いずれも外向き(Outbound)の通信を遮断する OP25B ではない。

OP25B とサブミッションポート,IP25B ISP A の動的 IP アドレスの PC が,宛先のメールサーバへ25番ポートで直接送る通信は,ISP A の出口で止められる(OP25B)。PC は自分の ISP のメールサーバへサブミッションポート(587番)で接続し,SMTP-AUTH で認証を受けてから送る。メールサーバどうしの転送は25番を使う。IP25B は,他社 ISP の動的 IP アドレスから自社のメールサーバへ入ってくる25番の通信を止める。 ISP A のネットワーク PC 動的 IP アドレス ISP A の メールサーバ 宛先の メールサーバ 587番 SMTP-AUTH 25番 25番で直接送る OP25B IP25B:入ってくる側で止める 他社 ISP の PC 動的 IP アドレス ISP A の メールサーバ 25番で直接届けようとする通信を止める
OP25B は自社の動的 IP から外へ出る25番を,IP25B は他社の動的 IP から入ってくる25番を止める

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

無線 LAN で使用される規格 IEEE 802.1X が定めているものはどれか。

正解 ア

解説

IEEE 802.1X は,LAN に接続する端末をポート単位で認証し,認証に成功するまで通信を許可しないアクセス制御の規格である。端末(サプリカント),アクセスポイントやスイッチ(オーセンティケータ),RADIUS などの認証サーバの間で EAP(Extensible Authentication Protocol)を使って認証を行う。アが該当する。

イのような,認証局と連携してセッションごとにパスワードを生成する仕組みは IEEE 802.1X には規定されていない。ウの WPS は無線 LAN の接続設定を簡単に行うための Wi-Fi Alliance の規格である。エの CSMA/CD は有線 LAN(イーサネット)のアクセス制御方式で,無線 LAN では衝突を回避する CSMA/CA が使われる。

IEEE 802.1X の3つの役割と EAP-TLS 端末(サプリカント)は EAP で無線 LAN のアクセスポイントや LAN スイッチ(オーセンティケータ)に認証を求め,オーセンティケータはそれを RADIUS で認証サーバに取り次ぐ。認証が済むまでポートは閉じたまま。EAP-TLS では,端末がクライアント証明書を,認証サーバがサーバ証明書を出し合って相互に認証する。 サプリカント PC・スマホ オーセンティケータ AP・スイッチ 認証サーバ RADIUS サーバ EAP RADIUS 認証が済むまでポートを閉じておく EAP-TLS:証明書を出し合って相互に認証する クライアント証明書(端末が本物か) サーバ証明書(認証サーバが本物か) 成功するとポートを開ける(利用者ごとに VLAN も割り当てられる)
認証が済むまでポートを閉じておき,成功した端末だけを通す

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:CSMA/CD・CSMA/CA IEEE 802.1X・RADIUS(ネットワークの利用者認証) PKI(認証局・CRL・OCSP) 無線 LAN(WPA2・WPA3・CSMA/CA)

問22

メモリインタリーブの説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

メモリインタリーブは,主記憶を複数のバンクに分け,連続するアドレスを異なるバンクに割り当てることで,CPU からのアクセス要求を複数のバンクで並列に処理し,主記憶へのアクセスを高速にする方式である。エが適切である。

アは仮想記憶,イはディスクキャッシュ,ウは DMA の説明。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

用語解説:キャッシュメモリ

問23

クラウドサービスで提供される FaaS に関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

FaaS(Function as a Service)は,利用者がプログラムを関数の単位で登録しておくと,イベントの発生に応じてクラウド事業者の環境で実行される形態のクラウドサービスである。サーバの構築や運用,実行台数の増減などを利用者が意識する必要がなく,サーバレスとも呼ばれる。エが適切である。

アの演算機能やストレージなどの基盤を利用者が配置して使うのは IaaS,イの仮想化したデスクトップ環境を遠隔から使うのは DaaS,ウの事業者が提供するアプリケーションを使うのは SaaS の説明である。

FaaS:関数を登録しておくと,イベントで実行される FaaS(Function as a Service)は,利用者がプログラムを関数の単位で登録しておくと,イベントの発生に応じてクラウド事業者の環境で実行される。サーバの構築や運用,実行台数の増減を利用者が意識する必要がなく,サーバレスとも呼ぶ。基盤を利用者が配置するのは IaaS,事業者のアプリを使うのは SaaS。 イベント アップロードなど 関数を実行 利用者が書いた部分 結果 クラウド事業者が管理 サーバ・OS・実行台数の増減(スケーリング) 利用者:関数だけ(サーバを意識しない → エ) IaaS は基盤を配置,DaaS はデスクトップ,SaaS はアプリを使う
利用者は関数だけを用意し,サーバの管理を意識しない

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

用語解説:クラウドのサービスモデル(IaaS・PaaS・SaaS)

問24

SysML の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

SysML(Systems Modeling Language)は,OMG が策定したシステムズエンジニアリング向けのモデリング言語で,UML の一部を流用し,要求図やパラメトリック図などを追加して拡張したものである。ハードウェアやソフトウェアを含むシステム全体の設計や検証に用いられる。イが適切である。

アは Web ページで数式を表現する MathML,ウは C++ を基にしたシステムレベル記述言語である SystemC,エは VHDL や Verilog HDL などのハードウェア記述言語の説明である。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

用語解説:UML(統一モデリング言語)

問25

マッシュアップを利用して Web コンテンツを表示する例として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

マッシュアップは,Web API などで公開されている他のサービスの機能や情報を組み合わせて,新しいサービスやコンテンツを作ることである。店舗案内のページに,他のサイトが提供する地図検索機能の結果を取り込んで表示するエがこれに当たる。

アは Web ブラウザにプラグインを組み込んで表示できる内容を広げるもの。イは Ajax などを使ってページを切り替えずに表示を更新する技術。ウは他社のページへのリンクを置いているだけで,他のサービスの機能を利用して情報を組み合わせているわけではない。

出典:令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)