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ITサービスマネージャ試験

平成24年度 秋期 科目A-2(午前Ⅱ)

平成24年度 秋期に実施されたITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:ITサービスマネージャ試験について

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問1

システムの改善に向けて提出された 4 案について,評価項目を設定して採点した結果を,採点結果表に示す。効果及びリスクについては 5 段階評価とし,それぞれの評価項目の重要度に応じて,重み付け表に示すとおりの重み付けを行った上で次の式で総合評価点を算出したとき,総合評価点が最も高い改善案はどれか。

〔総合評価点の算出式〕

総合評価点 = 効果の総評価点 − リスクの総評価点

採点結果表。案1〜案4の順に,効果のセキュリティ強化は 3,4,5,2,システム運用品質向上は 2,4,2,5,作業コスト削減は 5,4,2,4。リスクのスケジュールリスクは 2,4,1,5,技術リスクは 4,1,5,1。
採点結果表
重み付け表。効果のセキュリティ強化の重みは 4,システム運用品質向上は 2,作業コスト削減は 3。リスクのスケジュールリスクは 8,技術リスクは 3。
重み付け表

正解 ウ

解説

各評価項目の点数に重みを掛けて合計する。効果の総評価点は,案1が 5×3+2×2+3×4=31,案2が 4×3+4×2+4×4=36,案3が 2×3+2×2+5×4=30,案4が 4×3+5×2+2×4=30。リスクの総評価点は,案1が 4×3+2×8=28,案2が 1×3+4×8=35,案3が 5×3+1×8=23,案4が 1×3+5×8=43。

総合評価点は,案1が 31−28=3,案2が 36−35=1,案3が 30−23=7,案4が 30−43=−13 で,最も高いのは案3。ウが正しい。効果だけを比べると案2が最も高いが,重みの大きいスケジュールリスクの点数が高いため総合では伸びない。

効果とリスクを重み付けして総合評価点を出す 効果の総評価点は 案1 31,案2 36,案3 30,案4 30。リスクの総評価点は 案1 28,案2 35,案3 23,案4 43(スケジュールリスクの重み 8 が大きい)。総合評価点=効果−リスクで,案1 3,案2 1,案3 7,案4 −13。最も高いのは案3。効果だけなら案2 が最も高い。 案1 案2 案3 案4 効果(重み 4・2・3) 31 36 30 30 リスク(重み 8・3) 28 35 23 43 総合(効果−リスク) 3 1 7 −13 案3:効果は 30 だが,重み 8 のスケジュールリスクが 1 と低い 案2:効果は最高の 36 でも,リスクが 35 で総合は 1 点数 × 重み を項目ごとに足してから,効果からリスクを引く
総合評価点=効果の総評価点−リスクの総評価点。最も高いのは案3

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

JIS Q 20000-1 において,供給者管理に求められるものはどれか。

正解 ウ

解説

JIS Q 20000-1 の供給者管理では,サービス提供者が供給者を管理するためのプロセスを文書化し,供給者ごとに契約を結んで,その実績を監視することを求めている。ウが該当する。

アは誤りで,供給者に関わる変更も,サービスや構成品目に影響するものは変更管理プロセスで管理する。イも誤りで,供給者管理プロセスを確立し運用するのはサービス提供者であり,供給者がその適合を実証するものではない。エも誤りで,契約のレビューはあらかじめ定めた間隔で行うことが求められており,“少なくとも 3 年に 1 回”という規定はない。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 20000(サービスマネジメントシステム)

問3

IT サービスマネジメントにおいて,インシデントに対する一連の活動のうち,イベント管理プロセスが分担する活動はどれか。

正解 エ

解説

イベント管理は,構成品目やサービスの状態変化(イベント)を監視して検知し,意味を判断したうえで,対応が必要なものを関連するプロセスへ通知するプロセス。インシデントの検知と通知がこれに当たる。

アは問題管理で作成する既知のエラー記録,イも問題管理の根本原因分析,ウはインシデント管理によるサービスの復旧であり,いずれもイベント管理の分担ではない。

イベント管理 イベント管理は,構成品目やサービスの状態の変化(イベント)を監視して検知し,その意味を判断して,対応が要るものを関係するプロセスへ通知する。インシデントになるものはインシデント管理へ渡す。サービスの復旧はインシデント管理,根本原因の分析や既知のエラーの記録は問題管理の役目。 監視 イベント検知 状態の変化 判断 意味・重要度 通知 関係先へ インシデント管理(復旧) 根本原因の分析は問題管理 イベント管理が担うのは検知と通知
検知して判断し,関係するプロセスへ知らせる

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

IT サービスマネジメントのインシデント管理の達成目標はどれか。

正解 エ

解説

インシデント管理の達成目標は,インシデントが発生したときに,組織や利用者の業務への影響を最小限に抑えるため,できるだけ早く SLA で定めた通常のサービスレベルに復帰させることである。根本原因の解決よりも,まずサービスを回復させることを優先する。エが該当する。

アのインフラストラクチャの弱点を探って取り除くことと,イの過去のインシデントの根本原因を見つけて再発を防ぐことは,問題管理の目標である。ウの顧客が要求する IT サービスを継続して維持し改善していくことは,サービスレベル管理や継続的サービス改善の目標である。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理 SLA(サービスレベル合意書)

問5

システム障害が発生したときにシステムを初期状態に戻して再開する方法であり,イニシャルプログラムロードとも呼ばれるものはどれか。

正解 イ

解説

コールドスタートは,直前の状態を引き継がずにシステムを初期状態から立ち上げ直す方法で,初期プログラムロード(IPL)とも呼ばれる。更新前コピーや更新後コピーを使った前処理を伴わない。

アのウォームスタートは,停止直前の状態を引き継いで再開する方法。ウのロールバックとエのロールフォワードは,ログを使ってデータベースの内容を整合の取れた状態に戻す・進める回復処理であり,システムの開始方法ではない。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

用語解説:障害回復(ロールバック・ロールフォワード)

問6

次の文章は,法人顧客向け IT サービス提供者のサービスデスクとサポートチームの行動である。明らかに改善が必要なマネジメントプロセスはどれか。

ある顧客から特定の処理結果に誤りがあるのではないかというクレームがあった。クレームを受けた担当者は緊急度が低いと判断し,インシデントとして記録した後,技術サポートチームに調査を依頼した。技術サポートチームが調査した結果,プログラムのバグが原因と判明し,問題レコードを記録して変更要求(RFC)を提起した。変更管理チームは変更を完了させて関係者に連絡した後,その変更をクローズした。変更のクローズを受け,サービスデスクはクレームに対して回答するために,既知のエラーデータベースを参照したが,処置内容が登録されていなかったので回答できなかった。

正解 エ

解説

問題管理は,インシデントの根本原因を突き止め,原因と回避策が判明したものを既知のエラーとして記録し,既知のエラーデータベースに登録する。サービスデスクはこのデータベースを参照して,利用者への回答やインシデントの解決に使う。

文章では,技術サポートチームがバグを原因と特定して問題レコードを記録し,変更も完了しているのに,既知のエラーデータベースに処置内容が登録されていなかったので,サービスデスクが回答できなかった。問題の原因と処置を記録して共有する問題管理に不備があるので,エが該当する。

インシデントの記録と調査の依頼(イ),変更の実施とクローズ(ウ)は適切に行われている。アのイベント管理はこの文章の流れに登場しない。

障害が起きてから本格的に直るまで インシデント管理はサービスをできるだけ早く元に戻し,原因が分からなくても再起動や回避策で戻ればよしとする。問題管理は根本原因を突き止め,原因と回避策を既知の誤りとして記録してインシデント管理に渡す。恒久的な解決策は変更要求(RFC)として変更管理に出され,リリース管理を経て本番に展開される。 インシデント管理 早く元に戻す 問題管理 根本原因を探す 変更管理 変更を評価・承認 リリース管理 本番に展開 RFC 既知の誤り・回避策 時間をかけずに戻す 時間をかけてでも再発を防ぐ 原因を調べるのはインシデント管理ではなく問題管理
既知の誤り(原因と回避策)の情報は,問題管理からインシデント管理へ渡る

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理

問7

IT サービスマネジメントにおける変更要求に対する活動のうち,リリース管理プロセスに含まれるものはどれか。

正解 ア

解説

リリース管理は,変更管理で承認された変更を,稼働環境に確実に展開するプロセスである。変更された構成アイテム(CI)をまとめてリリースパッケージを作成し,構築,テストしてから展開する。変更された CI のパッケージ化はリリース管理に含まれるので,アが該当する。

イの変更諮問委員会(CAB)の召集,ウの変更の影響を受ける CI の識別,エの変更要求(RFC)のレビューは,変更を評価し承認するまでの活動であり,変更管理プロセスに含まれる。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

ITIL におけるワークアラウンドの説明はどれか。

正解 エ

解説

ワークアラウンドは,インシデントや問題に対して根本的な解決策がまだない場合に,その影響を減らしたり取り除いたりするための暫定的な処置(回避策)である。例えば,不具合のある機能の代わりに別の手順で処理してもらうといった対応がこれに当たる。エが該当する。

アの問題の状態,イのプロセス間の遷移,ウの障害ではないもの(サービス要求など)は,いずれもワークアラウンドの説明ではない。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理 ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問9

ITIL v3 における変更諮問委員会(CAB)の役割の説明はどれか。

正解 ウ

解説

ITIL v3 の変更諮問委員会(CAB)は,変更の評価,優先度付け,許可について,変更マネージャを支援し助言する機関である。変更の内容に応じて,IT 部門,業務部門,供給者などの関係者で構成する。ウが該当する。

アのリリースパッケージの導入の承認はリリース管理で行う判断である。イの切り戻し計画やテスト計画の作成は,変更を実施する担当者やリリース管理が行う作業である。エの変更要求の受付と登録,非現実的な要求の却下は,変更管理の最初の段階で変更マネージャなどが行う作業であり,CAB の役割ではない。

変更管理の CAB と緊急変更 変更要求(RFC)は,影響度と緊急度から優先度を決め,変更諮問委員会(CAB)が評価・優先度付け・許可について変更マネージャに助言する。緊急の変更は CAB を集める時間がないので,緊急時に決定できる小さな組織(ECAB)を前もって決め,簡略化した承認と事後の記録の手順を規程に定めておく。 変更要求 RFC CAB 評価・助言 許可・実施 緊急の変更 ECAB 少人数ですぐ決める 緊急変更の手順は変更管理規程に前もって定める 標準変更(事前承認済み)は CAB にかけない
通常は CAB,緊急は ECAB と簡略化した手順

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問10

“IT サービスが必要とされたときに合意済の機能を実行する能力”について,様々な側面を定義,分析,計画立案,測定,改善することを責務とする ITIL のプロセスはどれか。

正解 ウ

解説

設問の“IT サービスが必要とされるときに,合意した条件の下で要求された機能を果たせる状態にある能力”は可用性の定義。これを定義し,分析し,計画し,測定し,改善するのが可用性管理。

アの IT サービス継続性管理は災害などの重大な中断に備えて復旧を計画するプロセス,イのインシデント管理は発生した中断を早く復旧させるプロセス,エの問題管理はインシデントの根本原因を取り除くプロセスであり,可用性そのものを管理するプロセスではない。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理 ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問11

ITIL v3 におけるサービストランジションの説明はどれか。

正解 ア

解説

ITIL のサービスライフサイクルは,サービスストラテジ,サービスデザイン,サービストランジション,サービスオペレーション,継続的サービス改善の五つの段階からなる。サービストランジションは,設計されたサービスを,規定された要件と制約に沿って構築・テストし,運用に移行して確実に稼働させる段階である。アが正しい。

イの運用状況を継続的に測定して改善するのは継続的サービス改善。ウのサービスの内容を具体的に決めるのはサービスデザイン。エの,戦略的資産としてサービスマネジメントをどう設計,開発,導入するかの手引を提供するのはサービスストラテジの説明である。

ITIL のサービスライフサイクル(v3・2011 edition) サービスストラテジでどんなサービスを提供するかの戦略を決め,サービスデザインで設計し,サービストランジションで運用に移し,サービスオペレーションで日々運用する。継続的サービス改善は,ほかの4段階を通してサービスを測り,改善し続ける。 ストラテジ 戦略を決める デザイン 設計する トランジション 運用に移す オペレーション 日々の運用 継続的サービス改善 全ての段階を測り,改善し続ける(7ステップの改善プロセス) ITIL 4 ではプロセスを「プラクティス」と呼ぶ
段階の順番(ストラテジ→デザイン→トランジション→オペレーション)を問う問題が出ている

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

用語解説:ITIL(IT サービスマネジメントのベストプラクティス)

問12

次の処理条件でサーバ上のファイルを磁気テープにバックアップするとき,バックアップの運用に必要な磁気テープは何本か。

〔処理条件〕

正解 ウ

解説

処理条件 (3) から,常に 6 か月前の同一日以降の任意の日の状態に復元できなければならない。ある日の状態に復元するには,その月の 1 日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が必要である。

例えば本日が 10 月 31 日なら,4 月 30 日以降の日を復元できる必要があるので,4 月から 10 月までの 7 か月分のフルバックアップと差分バックアップを保管しておかなければならない。本日が 10 月 1 日でフルバックアップを取った後でも,4 月 1 日以降の復元のために同じく 4 月から 10 月までの 7 か月分が必要になる。

フルバックアップ用が 7 本,差分バックアップ用が 7 本で,合計 14 本となり,ウになる。

バックアップに必要な磁気テープの本数 ある日の状態に戻すには,その月の1日のフルバックアップと,その月の差分バックアップの両方が要る。6か月前の同じ日以降のどの日にも戻せるようにするには,例えば10月31日なら4月30日以降,つまり4月から10月までの7か月分を残す。フルバックアップ用7本と差分バックアップ用7本で14本。 4月 フル 差分 5月 フル 差分 6月 フル 差分 7月 フル 差分 8月 フル 差分 9月 フル 差分 10月 フル 差分 4月30日〜10月31日のどの日にも戻せる 7か月 × 2本 = 14本 (10月31日なら6か月前は4月30日。4月分のテープも要る)
6か月前の月も含めるので7か月分。月ごとにフルと差分で2本

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

IT サービスマネジメントにおいて,構成ベースラインを確立することによって可能になることはどれか。

正解 エ

解説

構成ベースラインは,ある時点の構成品目(CI)の構成を正式に承認して固定した記録である。これを基準にすれば,変更後などに実際の構成が記録どおりかを確かめる構成監査ができ,変更がうまくいかなかったときに戻すべき状態(切り戻しの基準)も明確になる。エが該当する。

アはサービスのパフォーマンスの測定と報告,イはインシデント記録やログを用いた原因分析,ウはサービスを最低限機能させるための目標復旧レベルの定義であり,いずれも構成ベースラインを確立することで可能になるものではない。

構成ベースライン:ある時点で承認して固定した構成 構成ベースラインは,ある時点の構成品目(CI)の構成を正式に承認して固定した記録。変更後などに実際の構成が記録どおりかを確かめる構成監査の基準になり,変更がうまくいかなかったときに戻すべき状態(切り戻しの基準)にもなる。 時間 ベースライン 承認して固定 変更後の構成 実際の状態 照合(構成監査) 失敗したら戻す(切り戻し) 変更
構成監査と切り戻しの基準になる

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

用語解説:インシデント管理と問題管理

問14

バックアップサイトの説明のうち,ウォームスタンバイの説明はどれか。

正解 エ

解説

ウォームスタンバイは,別の場所にバックアップシステムを用意しておくが,常にデータを同期させて動かしているわけではなく,緊急時にバックアップシステムを起動し,データを最新の状態にしてからサービスを回復する方式である。エが該当する。

アは同じようなシステムをもつ組織同士で協定を結んで互いに助け合う相互援助協定,イは緊急時に機器を持ち込んで立ち上げるコールドスタンバイ,ウは常にデータを同期させておき直ちに切り替えるホットスタンバイの説明である。

ホット・ウォーム・コールドスタンバイ ホットスタンバイは別の場所のシステムを常に動かしてデータを同期し,すぐに切り替える。ウォームスタンバイは機器を用意しておくが動かしてはおらず,緊急時に起動してデータを最新にしてから回復する。コールドスタンバイは場所(と電源など)だけを用意し,機器は災害後に持ち込んで立ち上げる。 方式 待機の状態 切替え 費用 ホット 常に稼働・同期 すぐ 高い ウォーム 機器はあるが止めている 起動して最新にする 中 コールド 場所だけ(機器は後から) 持ち込んで立ち上げる 安い 相互援助協定:同じようなシステムの組織どうしで助け合う
常に動かす・用意だけして起動する・場所だけ

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

アプリケーションサービス供給,インソーシング,パートナシップ,ビジネスプロセスアウトソーシングの長所と短所に関する記述のうち,ビジネスプロセスアウトソーシングはどれか。

正解 ウ

解説

ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)は,経理や人事,コールセンターなどの業務プロセスそのものを外部の専門事業者に委託する形態である。専門的なスキルを低コストで利用できる一方で,業務を外部に任せることで,自社にその業務のノウハウ(事業上のナレッジ)が残らなくなるリスクがある。ウが該当する。

アはソフトウェアを共有して提供を受けるアプリケーションサービス供給(ASP),イは複数の組織が協力して専門能力や市場機会を生かすパートナシップ,エは自社内の要員で行うインソーシングの長所と短所である。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

システム監査を保証型で行う目的として,最も適切なものはどれか。

正解 ア

解説

保証型のシステム監査は,監査対象の情報システムのコントロールが適切に整備・運用されていることを,監査人が一定の水準で保証する監査である。その結果は,取引先や株主などの外部の利害関係者に対して,情報システムが信頼できることを示すために利用される。アが該当する。

イ,ウ,エのコスト削減,効率性の改善,不正の防止は,監査で見つかった問題点について改善を提言する助言型の監査などを通じて期待される効果であり,保証型監査の主な目的ではない。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

用語解説:システム監査(監査手続・監査証拠・フォローアップ)

問17

PMBOK において,プロジェクトやフェーズの終結に当たってステークホルダの公式な承認を受けるために照合することとされているものはどれか。

正解 エ

解説

PMBOK(第 4 版)の“スコープ検証”では,プロジェクトやフェーズの終結に当たって,完成した要素成果物をプロジェクトスコープ記述書や WBS などのスコープベースラインと照合し,顧客やスポンサなどのステークホルダから公式な承認(受入れ)を得る。エが該当する。

アの作業パフォーマンス情報とスケジュールベースラインの比較はスケジュールのコントロール,イの作業パフォーマンス測定結果と品質マネジメント計画書は品質のコントロールで扱う。ウのプロジェクト憲章はプロジェクトを公式に認可する文書であり,成果物の受入れで照合する対象ではない。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問18

クリティカルチェーン法におけるタスクのスケジューリングとバッファの設定方法のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

クリティカルチェーン法では,各タスクの見積りに含まれていた余裕を取り上げてまとめ,クリティカルチェーン(資源の制約まで考えた最長の経路)の最後のタスクの後,つまり終了期と納期の間に,プロジェクト全体で共有するプロジェクトバッファを置く。イが正しい。

アは誤りで,クリティカルチェーンに合流するタスクのチェーンには,合流点の手前に合流バッファ(フィーディングバッファ)を設定する。ウは誤りで,個々のタスクに余裕を持たせるとその余裕を使い切ってしまいやすいので,バッファはタスクごとではなくまとめて管理する。エは誤りで,前倒しで始めてもバッファが増えるわけではなく,余裕の管理はバッファの消費状況で行う。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

用語解説:クリティカルパス

問19

情報システムの企画,開発,運用,保守作業に関わる国際標準の一つである SPA(Software Process Assessment)の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

SPA(Software Process Assessment)は,組織のソフトウェアプロセスを診断して,その能力水準がどの段階にあるか,継続的に改善されているかを判定する枠組みで,ISO/IEC 15504(JIS X 0145 シリーズ)としてまとめられている。アが正しい。判定の結果を基にプロセスの改善を進めたり,委託先の能力を評価したりするのに使う。

イはソフトウェアライフサイクルプロセスを定めた ISO/IEC 12207(共通フレーム),ウは品質マネジメントシステムの要求事項を定めた ISO 9000 シリーズ,エはプロジェクトマネジメントの知識体系ガイドである PMBOK の説明である。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

主記憶アクセスの高速化技術であるライトバック方式における,キャッシュメモリ及び主記憶への書込みの説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

ライトバック方式は,データを書き込むときにキャッシュメモリにだけ書き込み,主記憶への書込みは,そのデータがキャッシュメモリから追い出されるときにまとめて行う方式である。書込みのたびに低速な主記憶にアクセスしないので,高速に処理できる。イが該当する。

アのキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むのはライトスルー方式である。ウのバッファを介して主記憶に順次書き込む方式や,エの主記憶を複数ブロックに分けて並列に書き込む方式は,ライトバック方式ではない。

ライトスルーとライトバック ライトスルー方式は,CPU が書き込むたびにキャッシュメモリと主記憶の両方に書くので,主記憶の内容は常に最新だが,書込みは主記憶の速さに引きずられる。ライトバック方式は,キャッシュメモリにだけ書いて済ませ,そのブロックがキャッシュから追い出されるときにまとめて主記憶に書き戻す。書込みは速いが,追い出されるまで主記憶は古いまま。 ライトスルー CPU キャッシュ 主記憶 書く 同時に書く 主記憶は常に最新,書込みは遅い ライトバック CPU キャッシュ 主記憶 書く 追い出すときに まとめて書き戻す 速いが,主記憶は古いことがある
ライトスルーは主記憶が常に最新,ライトバックは追い出すときに書き戻す

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

用語解説:キャッシュメモリ

問21

二つのシステムの信頼性評価指標の関係に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

故障発生率(故障率)は,単位時間当たりに故障が発生する割合であり,平均故障間隔(MTBF)の逆数(1/MTBF)で表される。故障発生率が等しければ MTBF も等しいので,ウが適切である。

稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR) で求めるので,MTBF と MTTR の比率が同じであれば値が等しくなる。例えば MTBF 90 時間・MTTR 10 時間と,MTBF 900 時間・MTTR 100 時間は,どちらも稼働率 0.9 である。したがって,稼働率が等しくても MTBF や MTTR が等しいとは限らず,アとイは誤りである。エの MTTR は修理に掛かる時間であり,故障発生率とは関係しないので誤りである。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:稼働率(MTBF・MTTR)

問22

無線 LAN の規格である IEEE 802.11b 及び IEEE 802.11g に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

IEEE 802.11g は,IEEE 802.11b と同じ 2.4GHz 帯を使用し,802.11b との互換性をもつ。そのため,802.11g のアクセスポイントの配下に,802.11b の端末と 802.11g の端末を混在させて接続できる(混在時は通信速度が低下することがある)。イが適切である。

アは誤りで,最大伝送速度は 802.11b が 11M ビット/秒,802.11g が 54M ビット/秒であり,802.11g の方が高速である。ウも誤りで,いずれも屋外で利用できる。エも誤りで,最大伝送速度は 1M ビット/秒ではない。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

用語解説:無線 LAN(WPA2・WPA3・CSMA/CA)

問23

TCP/IP ネットワークで使用される ARP の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ARP(Address Resolution Protocol)は,通信相手の IP アドレスから,同じネットワーク上でフレームを届けるために必要な MAC アドレスを問い合わせるプロトコル。

ウの MAC アドレスから IP アドレスを得るのは RARP。イの IP アドレスからホスト名を得るのは DNS の逆引き,エのホスト名から IP アドレスを得るのは DNS の正引きである。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

用語解説:ARP

問24

家庭内で,PC を無線 LAN とブロードバンドルータを介してインターネットに接続するとき,期待できるセキュリティ上の効果の記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

ブロードバンドルータの IP マスカレード(NAPT)機能は,家庭内の PC のプライベート IP アドレスを一つのグローバル IP アドレスに変換して通信する。インターネット側からは内部の PC のアドレスが直接見えず,内部から始めた通信の応答以外は内部に届かないので,インターネットからの不正侵入を防ぐ効果が期待できる。アが適切である。

イの PPPoE は,インターネット接続事業者との間で接続や認証を行うためのプロトコルで,通信の暗号化機能はない。ウの WPA は無線 LAN の通信を暗号化し認証する規格で,不正な Web サイトへの接続は防げない。エの WPS は無線 LAN の接続設定を簡単にする機能で,ウイルス感染を防ぐものではない。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

用語解説:無線 LAN(WPA2・WPA3・CSMA/CA)

問25

申込みの撤回又は契約の解除に応じない旨の取引条件を告知していた販売業者から PC を購入した場合に,法令で定めた期間内であれば特定商取引法に基づく契約の解除が可能な取引はどれか。

正解 エ

解説

特定商取引法第 9 条は,訪問販売において,法定の書面を受け取った日から 8 日以内であれば,申込みの撤回又は契約の解除(クーリング・オフ)ができると定めている。この規定は,販売業者が撤回や解除に応じない旨を告知していても,購入者に不利な特約として効力をもたない。自宅に訪れた営業担当者と契約したエは訪問販売に当たるので,契約を解除できる。

アの Web サイトからの購入とイの雑誌広告を見て電話で申し込んだ購入は,同法の通信販売に当たる。通信販売では,商品の引渡しを受けた日から 8 日以内の申込みの撤回等が認められているが,販売業者が撤回等についての特約を広告に表示していた場合はその特約に従うので,解除できない。ウの店頭での購入は,同法の対象となる取引ではない。

出典:平成24年度 秋期 ITサービスマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)