平成29年度 秋期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通
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問1
相関係数に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 全ての標本点が正の傾きをもつ直線上にあるときは,相関係数が +1 になる。 正解
イ 変量間の関係が線形のときは,相関係数が0になる。
ウ 変量間の関係が非線形のときは,相関係数が負になる。
エ 無相関のときは,相関係数が −1 になる。
正解 ア
解説
相関係数は2変量の直線的な関係の強さを −1 から +1 の範囲で表す指標。全ての標本点が1本の直線上に並び,その傾きが正であれば,相関係数はちょうど +1 になる。アが正しい。
イは逆で,きれいな線形の関係があれば相関係数の絶対値は1に近づく。0になるのは直線的な関係が見られないときである。ウは,非線形の関係でも相関係数が正になることも0付近になることもあり,負になるとは限らない。エの無相関のときは0であって −1 ではない。−1 になるのは負の傾きの直線上に全ての点が並ぶときである。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)
問2
四つのアルファベット a〜d から成るテキストがあり,各アルファベットは2ビットの固定長2進符号で符号化されている。このテキストにおける各アルファベットの出現確率を調べたところ,表のとおりであった。各アルファベットの符号を表のような可変長2進符号に変換する場合,符号化されたテキストの,変換前に対する変換後のビット列の長さの比は,およそ幾つか。
ア 0.75
イ 0.85
ウ 0.90
エ 0.95 正解
正解 エ
解説
変換前は全て2ビットの固定長なので,1文字あたり平均2ビット。変換後は符号の長さが a は1ビット,b は2ビット,c と d は3ビットなので,出現確率で重み付けすると 0.4×1+0.3×2+0.2×3+0.1×3=0.4+0.6+0.6+0.3=1.9ビット。比は 1.9÷2=0.95 となり,エが正しい。
この符号は,どの符号も他の符号の先頭部分になっていない(語頭条件を満たす)ので,区切り記号なしで一意に復号できる。出現頻度の高い文字ほど短い符号を割り当てることで平均長を縮める,ハフマン符号と同じ考え方である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)
問3
fact(n) は,非負の整数 n に対して n の階乗を返す。fact(n) の再帰的な定義はどれか。
ア if n=0 then return 0 else return n×fact(n−1)
イ if n=0 then return 0 else return n×fact(n+1)
ウ if n=0 then return 1 else return n×fact(n−1) 正解
エ if n=0 then return 1 else return n×fact(n+1)
正解 ウ
解説
階乗は 0!=1,n!=n×(n−1)! と定義される。したがって再帰の終了条件では 1 を返し,それ以外では n×fact(n−1) を返す。ウが正しい。
アとイは n=0 のときに 0 を返すので,どの値を与えても最終的に0が掛かって結果が0になってしまう。イとエは fact(n+1) と引数を増やしており,終了条件に近づかないので無限に再帰して停止しない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)
問4
容量が a M バイトでアクセス時間が x ナノ秒の命令キャッシュと,容量が b M バイトでアクセス時間が y ナノ秒の主記憶をもつシステムにおいて,CPU からみた,主記憶と命令キャッシュとを合わせた平均アクセス時間を表す式はどれか。ここで,読み込みたい命令コードがキャッシュに存在しない確率を r とし,キャッシュ管理に関するオーバヘッドは無視できるものとする。
正解 イ
解説
平均アクセス時間は,キャッシュに当たったときの時間とキャッシュに外れて主記憶を読むときの時間を,それぞれの確率で重み付けした平均になる。r は「キャッシュに存在しない確率」=ミス率なので,ヒット率は 1−r。したがって (1−r)·x + r·y となり,イが正しい。
エは r と 1−r を取り違えており,ミス率が高いほど速くなるという逆の式になっている。アとウは容量 a,b の比で重み付けしているが,平均アクセス時間を決めるのはアクセスがどちらに向かうかの確率であって,容量の比ではない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)
問5
MTBF を長くするよりも,MTTR を短くするのに役立つものはどれか。
ア エラーログ取得機能 正解
イ 記憶装置のビット誤り訂正機能
ウ 命令再試行機能
エ 予防保守
正解 ア
解説
MTTR(平均修復時間)は,故障してから復旧するまでにかかる時間の平均。エラーログを取得しておけば,障害が起きたときに原因の特定と切分けが早く済むので,復旧までの時間を短縮できる。アが正しい。
イの誤り訂正機能とウの命令再試行機能は,誤りが起きても処理を続けられるようにして故障そのものを表面化させないので,MTBF(平均故障間隔)を長くする働きをする。エの予防保守も故障を未然に防ぐもので,やはり MTBF を長くする側の対策である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)
問6
リアルタイム OS において,実行中のタスクがプリエンプションによって遷移する状態はどれか。
ア 休止状態
イ 実行可能状態 正解
ウ 終了状態
エ 待ち状態
正解 イ
解説
プリエンプションは,実行中のタスクより優先度の高いタスクが実行可能になったときなどに,OS が実行権を取り上げて切り替えること。取り上げられたタスク自体は実行を続けられる状態のままなので,実行状態から実行可能状態に戻る。イが正しい。
アの休止状態はタスクがまだ起動されていないか終了した後の状態。ウの終了状態はタスクが処理を終えたときに移る状態。エの待ち状態は,入出力の完了やイベントの発生をタスク自身が待つときに移る状態で,横取りによる遷移先ではない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)
問7
入力 G=0 のときは X=A,Y=B を出力し,G=1 のときは X=A̅,Y=B̅ を出力する回路はどれか。
正解 ウ
解説
G=0 のときは入力をそのまま,G=1 のときは反転して出力したい。排他的論理和は,一方の入力が0なら他方をそのまま通し,1なら反転して出力する性質をもつ。したがって X=A⊕G,Y=B⊕G とすればよく,A と G,B と G をそれぞれ排他的論理和素子に入れているウが正しい。
アは X=A・G となり G=0 のとき常に0になる。イは X=A+G で G=1 のとき常に1になる。エは X=A・G,Y=B・G̅ で,どちらも G の値によって出力が固定されてしまい,条件を満たさない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)
問8
アクセシビリティ設計に関する規格である JIS X 8341-1:2010(高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−第1部:共通指針)を適用する目的のうち,適切なものはどれか。
ア 全ての個人に対して,等しい水準のアクセシビリティを達成できるようにする。
イ 多様な人々に対して,利用の状況を理解しながら,多くの個人のアクセシビリティ水準を改善できるようにする。 正解
ウ 人間工学に関する規格が要求する水準よりも高いアクセシビリティを,多くの人々に提供できるようにする。
エ 平均的能力をもった人々に対して,標準的なアクセシビリティが達成できるようにする。
正解 イ
解説
JIS X 8341-1:2010 は,アクセシビリティを「等しい水準のユーザビリティを全ての個人について達成すること」ではなく,利用の状況(利用者・仕事・機器・環境)の幅を広げることで,少なくともある程度のユーザビリティを多くの個人について達成することと捉えている。多様な人々に対して利用の状況を理解しながら,多くの個人のアクセシビリティ水準を改善するというイがこの考え方に合う。
アは「全ての個人に対して,等しい水準」としており,規格が明確に否定している捉え方。ウは人間工学の規格より高い水準を求めるものではない。エは平均的能力をもった人々を対象としており,能力の幅が広い人々を想定するアクセシビリティの考え方と逆である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)
問9
関係 R(ID,A,B,C)の A,C への射影の結果と SQL 文で求めた結果が同じになるように,a に入れるべき字句はどれか。ここで,関係 R を表 T で実現し,表 T に各行を格納したものを次に示す。
〔SQL 文〕
SELECT a A, C FROM T
ア ALL
イ DISTINCT 正解
ウ ORDER BY
エ REFERENCES
正解 イ
解説
射影は指定した列だけを取り出す関係代数の演算で,結果は集合なので重複する行は取り除かれる。表 T から A と C を取り出すと (a1,c1),(a1,c2),(a1,c1),(a2,c2),(a2,c2) となり重複があるため,SQL でも DISTINCT を付けて重複を除く必要がある。イが正しい。
アの ALL は重複を残す指定で,SELECT の既定の動作と同じ。ウの ORDER BY は結果の並べ替えを指定する句で,SELECT の直後には書けない。エの REFERENCES は表定義で参照制約を指定するときに使う語で,問合せには使わない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)
問10
データマイニングの説明として,最も適切なものはどれか。
ア 基幹業務のデータベースとは別に作成され,更新処理をしない集計データの分析を主目的とする。
イ 個人別データ,部門別データ,サマリデータなど,分析の目的別に切り出され,カスタマイズされたデータを分析する。
ウ スライシング,ダイシング,ドリルダウンなどのインタラクティブな操作によって多次元分析を行い,意思決定を支援する。
エ ニューラルネットワークや統計解析などの手法を使って,大量に蓄積されているデータから,特徴あるパターンを探し出す。 正解
正解 エ
解説
データマイニングは,ニューラルネットワークや統計解析などの手法を使って,大量に蓄積されたデータの中から,人が気付きにくい規則性や特徴あるパターンを掘り出す(mining)ことをいう。エが正しい。
アはデータウェアハウス,イはデータマート,ウは OLAP(多次元分析)の説明である。データウェアハウスやデータマートは分析の対象となるデータを蓄積・整理する仕組み,OLAP は人が視点を切り替えながら集計値を見る操作であり,いずれも規則性そのものを見つけ出す手法ではない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)
問11
CSMA/CD 方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 衝突発生時の再送動作によって,衝突の頻度が増すとスループットが下がる。 正解
イ 送信要求が発生したステーションは,共通伝送路の搬送波を検出してからデータを送信するので,データ送出後の衝突は発生しない。
ウ ハブによって複数のステーションが分岐接続されている構成では,衝突の検出ができないので,この方式は使用できない。
エ フレームとしては任意長のビットが直列に送出されるので,フレーム長がオクテットの整数倍である必要はない。
正解 ア
解説
CSMA/CD では,衝突が起きると送信を中断してランダムな時間だけ待ってから再送する。伝送路が混んで衝突が増えると,この待ち時間と再送が積み重なって実際に流れるデータ量が減るので,スループットが下がる。アが正しい。
イは,搬送波を検出して空いていることを確かめてから送信しても,信号が届くまでの遅延の間に別のステーションも送信を始めれば衝突は起こるので誤り。ウは,リピータハブで分岐接続した構成でも衝突は検出できるので誤り(ハブ配下は一つの衝突ドメインになる)。エは,イーサネットのフレームはオクテット単位で構成されるので誤りである。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)
問12
ドライブバイダウンロード攻撃の説明はどれか。
ア PC に USB メモリが接続されたとき,USB メモリに保存されているプログラムを自動的に実行する機能を用いてマルウェアを実行し,PC をマルウェアに感染させる。
イ PC に格納されているファイルを勝手に暗号化して,復号することと引換えに金銭を要求する。
ウ 不正にアクセスする目的で,建物の外部に漏れた無線 LAN の電波を傍受して,セキュリティの設定が脆弱な無線 LAN のアクセスポイントを見つけ出す。
エ 利用者が Web サイトを閲覧したとき,利用者に気付かれないように,利用者の PC に不正プログラムを転送させる。 正解
正解 エ
解説
ドライブバイダウンロード攻撃は,改ざんされた Web サイトや不正な広告を閲覧しただけで,利用者が何も操作していないのに気付かれないままマルウェアがダウンロード・実行される攻撃。エが正しい。
アは USB メモリの自動実行機能を悪用する攻撃。イはランサムウェア。ウは無線 LAN の電波を傍受して脆弱なアクセスポイントを探すウォードライビングの説明である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)
問13
暗号方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア AES は公開鍵暗号方式,RSA は共通鍵暗号方式の一種である。
イ 共通鍵暗号方式では,暗号化及び復号に同一の鍵を使用する。 正解
ウ 公開鍵暗号方式を通信内容の秘匿に使用する場合は,暗号化に使用する鍵を秘密にして,復号に使用する鍵を公開する。
エ ディジタル署名に公開鍵暗号方式が使用されることはなく,共通鍵暗号方式が使用される。
正解 イ
解説
共通鍵暗号方式は,暗号化と復号に同じ鍵を使う方式。鍵を送受信者だけの秘密に保つ必要があるが,公開鍵暗号方式より処理が高速なので,大量のデータの暗号化に向く。イが正しい。
アは逆で,AES が共通鍵暗号方式,RSA が公開鍵暗号方式である。ウも逆で,秘匿のために使う場合は受信者の公開鍵で暗号化し,受信者だけがもつ秘密鍵で復号する。エも逆で,ディジタル署名には公開鍵暗号方式が使われる。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)
問14
サイバーレスキュー隊(J-CRAT)の役割はどれか。
ア 外部からのサイバー攻撃などの情報セキュリティ問題に対して,政府横断的な情報収集や監視機能を整備し,政府機関の緊急対応能力強化を図る。
イ 重要インフラに関わる業界などを中心とした参加組織と秘密保持契約を締結し,その契約の下に提供された標的型サイバー攻撃の情報を分析及び加工することによって,参加組織間で情報共有する。
ウ セキュリティオペレーション技術向上,オペレータ人材育成,及びサイバーセキュリティに関係する組織・団体間の連携を推進することによって,セキュリティオペレーションサービスの普及とサービスレベルの向上を促す。
エ 標的型サイバー攻撃を受けた組織や個人から提供された情報を分析し,社会や産業に重大な被害を及ぼしかねない標的型サイバー攻撃の把握,被害の分析,対策の早期着手の支援を行う。 正解
正解 エ
解説
サイバーレスキュー隊(J-CRAT)は IPA が運営する組織で,標的型サイバー攻撃を受けた組織や個人から提供された情報を分析し,被害の把握と分析,対策への早期着手を支援して攻撃の連鎖を断つことを目的としている。エが正しい。
アは内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の役割。イは J-CSIP(サイバー情報共有イニシアティブ)。ウは ISOG-J(日本セキュリティオペレーション事業者協議会)の活動の説明である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)
問15
WAF の説明はどれか。
ア Web アプリケーションへの攻撃を監視し阻止する。 正解
イ Web ブラウザの通信内容を改ざんする攻撃を PC 内で監視し検出する。
ウ サーバの OS への不正なログインを監視する。
エ ファイルのマルウェア感染を監視し検出する。
正解 ア
解説
WAF(Web Application Firewall)は,Web アプリケーションへの通信の中身を検査し,SQL インジェクションやクロスサイトスクリプティングといった攻撃を検知して遮断する仕組み。アが正しい。
イは PC 内で Web ブラウザの通信を監視する仕組み(MITB 対策など)。ウはサーバへの不正ログインの監視で,ホスト型の IDS などが担う。エはウイルス対策ソフトの働きで,いずれも WAF の説明ではない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)
問16
モジュール設計に関する記述のうち,モジュール強度(結束性)が最も強いものはどれか。
ア ある木構造データを扱う機能をこのデータとともに一つにまとめ,木構造データをモジュールの外から見えないようにした。 正解
イ 複数の機能のそれぞれに必要な初期設定の操作が,ある時点で一括して実行できるので,一つのモジュールにまとめた。
ウ 二つの機能 A,B のコードは重複する部分が多いので,A,B を一つのモジュールにまとめ,A,B の機能を使い分けるための引数を設けた。
エ 二つの機能 A,B は必ず A,B の順番に実行され,しかも A で計算した結果を B で使うことがあるので,一つのモジュールにまとめた。
正解 ア
解説
モジュール強度は弱いほうから,暗号的・論理的・時間的・手順的・連絡的・情報的・機能的の順に分類される。アは,木構造データとそれを扱う機能を一つにまとめ,データを外から見えないようにしたもので,情報的強度に当たる。選択肢の中では最も強い。
イは初期設定という「実行される時期が同じ」という理由でまとめた時間的強度。ウは共通部分をまとめて引数で機能を切り替える論理的強度。エは A の結果を B が使うという連絡的強度で,いずれも情報的強度より弱い。なお最も強い機能的強度は,単一の機能だけを実現するモジュールを指す。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)
問17
CMMI の説明はどれか。
ア ソフトウェア開発組織及びプロジェクトのプロセスの成熟度を評価するためのモデルである。 正解
イ ソフトウェア開発のプロセスモデルの一種である。
ウ ソフトウェアを中心としたシステム開発及び取引のための共通フレームのことである。
エ プロジェクトの成熟度に応じてソフトウェア開発の手順を定義したモデルである。
正解 ア
解説
CMMI(Capability Maturity Model Integration,能力成熟度モデル統合)は,ソフトウェア開発組織やプロジェクトのプロセスがどれだけ成熟しているかを,5段階のレベルで評価するためのモデル。アが正しい。
イのプロセスモデルはウォータフォールモデルやスパイラルモデルのような開発の進め方の型のこと。ウの共通フレームは,システム開発や取引で使う作業内容や用語をそろえた枠組み(SLCP-JCF)。エは成熟度に応じて開発手順を定義するものではなく,CMMI は手順そのものを規定しない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)
問18
プロジェクト管理においてパフォーマンス測定に使用する EVM の管理対象の組みはどれか。
ア コスト,スケジュール 正解
イ コスト,リスク
ウ スケジュール,品質
エ 品質,リスク
正解 ア
解説
EVM(Earned Value Management)は,作業の出来高を金額に換算した EV(アーンドバリュー)を軸に,計画値 PV と実コスト AC を比べることで,スケジュールの進み遅れとコストの超過・節約を同じ土俵で測る手法。管理対象はコストとスケジュールなのでアが正しい。
EV と PV の差がスケジュール差異,EV と AC の差がコスト差異になる。イ・ウ・エに含まれるリスクや品質は,EVM の数値からは直接測れず,別の手法で管理する対象である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)
問19
品質の定量的評価の指標のうち,ソフトウェアの保守性の評価指標になるものはどれか。
ア (最終成果物に含まれる誤りの件数)÷(最終成果物の量)
イ (修正時間の合計)÷(修正件数) 正解
ウ (変更が必要となるソースコードの行数)÷(移植するソースコードの行数)
エ (利用者からの改良要求件数)÷(出荷後の経過月数)
正解 イ
解説
保守性は,不具合を見つけて直すのがどれだけ容易かを表す品質特性。1件あたりの平均修正時間(修正時間の合計÷修正件数)が短いほど保守しやすいので,これが保守性の指標になる。
アは欠陥密度で信頼性の指標,ウは移植に伴う変更量の割合で移植性の指標。エは改良要求の発生頻度であり,ソフトウェアの保守性そのものを測るものではない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)
問20
サービス提供時間帯が毎日6〜20時のシステムにおいて,ある月の停止時間,修復時間及びシステムメンテナンス時間は次のとおりであった。この月の可用性は何%か。ここで,1か月の稼働日数は30日,可用性(%)は小数第2位を四捨五入するものとする。
〔停止時間,修復時間及びシステムメンテナンス時間〕
システム障害によるサービス提供時間内の停止時間:7時間 システム障害に対処するサービス提供時間外の修復時間:3時間 サービス提供時間外のシステムメンテナンス時間:8時間
ア 95.7
イ 97.6
ウ 98.3 正解
エ 99.0
正解 ウ
解説
サービス提供時間は 6時〜20時の14時間×30日=420時間。
サービス可用性の計算に含めるのは,サービス提供時間内に止まっていた時間だけである。提供時間外の修復時間3時間とメンテナンス時間8時間は,もともとサービスを提供していない時間帯なので停止時間に数えない。
したがって (420−7)÷420=413÷420=0.98333…,すなわち 98.3%。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)
問21
システム監査の改善指導(フォローアップ)において,被監査部門による改善が計画よりも遅れていることが判明したとき,システム監査人が採るべき行動はどれか。
ア 遅れを取り戻すために,具体的な対策の実施を,被監査部門の責任者に指示する。
イ 遅れを取り戻すために,被監査部門の改善活動に参加する。
ウ 遅れを取り戻すための方策について,被監査部門の責任者に助言する。 正解
エ 遅れを取り戻すための要員の追加を,人事部長に要求する。
正解 ウ
解説
システム監査人は監査対象から独立した立場を保つ必要があるので,改善そのものを指示したり実施に加わったりしてはならない。改善が遅れているときは,被監査部門の責任者に方策を助言するにとどめ,実施の責任は被監査部門に残す。ウが正しい。
アの具体的な対策の実施を指示すること,イの改善活動に参加すること,エの人事部長への要員追加の要求は,いずれも監査人が改善活動そのものに関与することになり,監査の独立性・客観性を損なう。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)
問22
在庫管理システムを対象とするシステム監査において,当該システムに記録された在庫データの網羅性のチェックポイントとして,適切なものはどれか。
ア 設定された選定基準に従って,自動的に購入業者を選定していること
イ 適正在庫高であることを,責任者が承認していること
ウ 適正在庫量を維持するための発注点に達したときに,自動的に発注していること
エ 入庫及び出庫記録に対して,自動的に連番を付与していること 正解
正解 エ
解説
網羅性は,記録されるべき取引が漏れなく記録されているかという観点。入庫・出庫の記録に自動で連番を付与しておけば,番号の飛びを調べることで記録漏れを検出できるので,網羅性のチェックポイントになる。エが正しい。
アの購入業者の自動選定とウの発注点による自動発注は,業務処理の適切さや効率性に関する項目。イの適正在庫高の承認は,在庫の量が妥当かどうかの正確性・妥当性に関する項目で,記録の漏れを見るものではない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)
問23
エンタープライズアーキテクチャにおいて,業務と情報システムの理想を表すモデルはどれか。
ア EA 参照モデル
イ To-Be モデル 正解
ウ ザックマンモデル
エ データモデル
正解 イ
解説
エンタープライズアーキテクチャでは,現状の姿を As-Is モデル,目指すべき理想の姿を To-Be モデルとして描き,その差を埋める道筋を計画する。業務と情報システムの理想を表すのは To-Be モデルなのでイが正しい。
アの EA 参照モデルは,業務や技術の分類体系をあらかじめ整理した参照用のひな型。ウのザックマンモデルは,観点と問い(何を・どのように・どこで など)の組合せで構造を整理するフレームワーク。エのデータモデルは四つの体系のうちデータアーキテクチャで用いる記述である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)
問24
“情報システム・モデル取引・契約書”によれば,情報システムの開発において,多段階契約の考え方を採用する目的はどれか。ここで,多段階契約とは,工程ごとに個別契約を締結することである。
ア 開発段階において,前工程の遂行の結果,後工程の見積前提条件に変更が生じた場合に,各工程の開始のタイミングで,再度見積りを可能とするため 正解
イ サービスレベルの達成・未達の結果に対する対応措置(協議手続,解約権,ペナルティ・インセンティブなど)及びベンダの報告条件などを定めるため
ウ 正式な契約を締結する前に,情報システム構築を開始せざるを得ない場合の措置として,仮発注合意書(Letter of Intent:LOI)を交わすため
エ ユーザ及びベンダのそれぞれの役割分担を,システムライフサイクルプロセスに応じて,あらかじめ詳細に決定しておくため
正解 ア
解説
多段階契約は,要件定義・設計・製造といった工程ごとに個別契約を結ぶ方式。開発を進めるうちに前工程の結果として後工程の前提条件が変わることがあるため,各工程の開始時点であらためて見積りをやり直せるようにするのが目的である。アが正しい。
イはサービスレベル合意(SLA)に関する取決めの話。ウは正式契約前に着手せざるを得ない場合の仮発注合意書(LOI)の話。エは役割分担をあらかじめ詳細に決めておくという内容で,工程ごとに見直せるようにする多段階契約の趣旨とはむしろ逆になる。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)
問25
半導体ファブレス企業の説明として,適切なものはどれか。
ア 委託者の依頼を受けて,自社工場で半導体製造だけを行う。
イ 自社で設計し,自社工場で生産した製品を相手先ブランドで納入する。
ウ 自社内で回路設計から製造まで全ての設備をもち,自社ブランド製品を販売する。
エ 製品の企画,設計及び開発は行うが,半導体製造の工場は所有しない。 正解
正解 エ
解説
ファブレス企業は,製品の企画・設計・開発は自社で行うが,製造のための工場(fab)をもたず,生産はファウンドリなどの外部に委託する。エが正しい。設備投資の負担を負わずに済むので,設計や開発に資源を集中できる。
アは他社の依頼を受けて製造だけを請け負うファウンドリ。イは相手先ブランドで製造・納入する OEM。ウは設計から製造まで自社で一貫して行う IDM(垂直統合型メーカ)の説明である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)
問26
CRM を説明したものはどれか。
ア 卸売業者・メーカが,小売店の経営活動を支援してその売上と利益を伸ばすことによって,自社との取引拡大につなげる方法である。
イ 企業全体の経営資源を有効かつ総合的に計画して管理し,経営の高効率化を図るための手法である。
ウ 企業内の全ての顧客チャネルで情報を共有し,サービスのレベルを引き上げて顧客満足度を高め,顧客ロイヤリティの最大化に結び付ける考え方である。 正解
エ 生産,在庫,購買,販売,物流などの全ての情報をリアルタイムに交換することによって,サプライチェーン全体の効率を大幅に向上させる経営手法である。
正解 ウ
解説
CRM(Customer Relationship Management)は,営業・サポート・Web など企業内の全ての顧客チャネルで顧客情報を共有し,一貫した質の高い対応によって顧客満足度を高め,長期的な顧客ロイヤルティにつなげる考え方。ウが正しい。
アは卸売業者やメーカが小売店を支援するリテールサポート。イは企業全体の経営資源を統合的に管理する ERP。エはサプライチェーン全体の情報をリアルタイムに共有して効率を上げる SCM の説明である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)
問27
ISO,IEC,ITU などの国際標準に適合した製品を製造及び販売する利点として,適切なものはどれか。
ア WTO 政府調達協定の加盟国では,政府調達は国際標準の仕様に従って行われる。 正解
イ 国際標準に適合しない競合製品に比べて,技術的に優位であることが保証される。
ウ 国際標準に適合するために必要な特許は,全て無償でライセンスを受けられる。
エ 輸出先国の国内標準及び国内法規の規制を受けることなく製品を輸出できる。
正解 ア
解説
WTO 政府調達協定では,加盟国の政府機関が調達を行うとき,国際標準が存在する場合はそれに基づいて仕様を定めることとされている。したがって国際標準に適合した製品は,加盟国の政府調達に参加しやすくなる。アが正しい。
イは,国際標準への適合は共通の要件を満たしていることを示すだけで,競合製品より技術的に優れていることを保証するものではない。ウは,標準に必要な特許は「公正・妥当かつ非差別的(FRAND)」な条件でライセンスされるのが原則で,無償とは限らない。エは,国際標準に適合していても輸出先国の国内法規は適用されるので誤りである。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)
問28
IoT の技術として注目されている,エッジコンピューティングの説明として,適切なものはどれか。
ア 演算処理のリソースを端末の近傍に置くことによって,アプリケーション処理の低遅延化や通信トラフィックの最適化を行う。 正解
イ データの特徴を学習して,事象の認識や分類を行う。
ウ ネットワークを介して複数のコンピュータを結ぶことによって,全体として処理能力が高いコンピュータシステムを作る。
エ 周りの環境から微小なエネルギーを収穫して,電力に変換する。
正解 ア
解説
エッジコンピューティングは,クラウドにデータを送って処理するのではなく,端末に近い場所(エッジ)に演算資源を配置して処理する方式。通信の往復が減るので応答が速くなり,ネットワークに流れるデータ量も抑えられる。アが正しい。
イは機械学習の説明。ウはグリッドコンピューティングや分散処理の説明。エは周囲の微小なエネルギーを電力に変えるエネルギーハーベスティングの説明である。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)
問29
予測手法の一つであるデルファイ法の説明はどれか。
ア 現状の指標の中に将来の動向を示す指標があることに着目して予測する。
イ 将来予測のためのモデル化した連立方程式を解いて予測する。
ウ 同時点における複数の観測データの統計比較分析によって将来を予測する。
エ 複数の専門家へのアンケートの繰返しによる回答の収束によって将来を予測する。 正解
正解 エ
解説
デルファイ法は,複数の専門家に同じ質問のアンケートを繰り返し,前回の全体の回答傾向を示しながら回答し直してもらうことで,意見を収束させて予測を得る手法。匿名で行うため,声の大きい人に引きずられにくい点が特徴になる。エが正しい。
アは景気動向指数のように先行指標から予測する方法。イは計量モデルによる予測。ウはクロスセクション分析(横断面分析)で,いずれも専門家の意見を集約する手法ではない。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)
問30
企業が請負で受託して開発したか,又は派遣契約によって派遣された社員が開発したプログラムの著作権の帰属に関し契約に定めがないとき,著作権の原始的な帰属はどのようになるか。
ア 請負の場合は発注先に帰属し,派遣の場合は派遣先に帰属する。 正解
イ 請負の場合は発注先に帰属し,派遣の場合は派遣元に帰属する。
ウ 請負の場合は発注元に帰属し,派遣の場合は派遣先に帰属する。
エ 請負の場合は発注元に帰属し,派遣の場合は派遣元に帰属する。
正解 ア
解説
著作権は,原則としてそのプログラムを実際に創作した者に原始的に帰属する。請負では受託した企業(発注先)の従業員が職務上作成するので,職務著作として発注先の企業に帰属する。派遣では派遣された社員が派遣先の指揮命令を受けて職務上作成するので,派遣先の企業に帰属する。アが正しい。
いずれの場合も,発注元や派遣元に権利を移すには契約で著作権の譲渡を定めておく必要がある。イは派遣を派遣元としており,ウとエは請負を発注元としている点が誤りである。
出典:平成29年度 秋期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)
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