令和6年度 秋期 午前Ⅱ

令和6年度 秋期に実施されたプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

プロジェクトマネジメントにおけるプロジェクトマネジメント計画書の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

プロジェクトマネジメント計画書は,プロジェクトをどのように実行し,監視し,管理し,終結するかを定めた文書で,スコープ・スケジュール・コストのベースラインや,各分野の管理の進め方をまとめたものである。イがこれに当たる。承認されたあとは,実績と比べる基準や変更管理の拠り所として使われる。

アはプロジェクトが事業目的にどう貢献するかを示すビジネスケースやベネフィットの計画の説明。ウはプロジェクトの最終状態と境界を定めるプロジェクトスコープ記述書。エはプロジェクトを正式に許可し,プロジェクトマネージャに権限を与えるプロジェクト憲章である。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

プロジェクトマネジメントで使用する責任分担マトリックス(RAM)の一つに,RACI チャートがある。RACI チャートで示す四つの“役割又は責任”の組みのうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

RACI チャートは,作業ごとに誰がどの役割を担うかを表す責任分担マトリックスで,Responsible(実行責任),Accountable(説明責任),Consulted(相談対応),Informed(情報提供)の頭文字から名付けられている。四つがそろったアが正しい。

Accountable は作業の結果に最終的な責任を負う人で,一つの作業につき1人に絞るのが原則である。イ・ウ・エに含まれる“リスク管理”は RACI の役割ではなく,プロジェクトマネジメントで扱う対象の一つである。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“プロジェクト組織の定義”の目的はどれか。

正解 

解説

JIS Q 21500:2018 の“プロジェクト組織の定義”は対象群“資源”に属するプロセスで,プロジェクトに関わる役割・責任・権限を定め,関係する全ての当事者から必要なコミットメントを得ることを目的とする。ウがこれに当たる。

アは同じ対象群の“資源の見積り”,エは“プロジェクトチームの編成”の目的である。イは対象群“ステークホルダ”の“ステークホルダの特定”の目的で,役割や権限ではなく利害関係者そのものを明らかにするプロセスである。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

EVM で管理しているプロジェクトがある。図は,プロジェクトの開始日から完了予定日までの期間の半分が経過した時点での状況である。完成時総予算(BAC)どおりに完了させるために達成することが必要となるコスト効率の指標である残作業効率指数(TCPI)の値はどれか。ここで,TCPI は小数第2位を四捨五入するものとする。

縦軸が金額換算値,横軸が開始日・現時点・完了予定日の折れ線グラフ。開始日を原点として3本の直線が右上がりに伸びている。完了予定日での PV は 100 で,そこに BAC と注記がある。現時点では PV が 50,AC が 40,EV が 34 である。

正解 

解説

TCPI は,残りの作業を残りの予算で終えるために必要なコスト効率で,TCPI=(BAC−EV)÷(BAC−AC)で求める。図から BAC=100,EV=34,AC=40 なので,(100−34)÷(100−40)=66÷60=1.1 となり,ウが正しい。

現時点の CPI は EV÷AC=34÷40=0.85 で,これまでは予算より効率が悪かった。予算どおりに終えるには,残りを 1.1 という今より高い効率でこなす必要がある。イの 0.9 は分子と分母を逆にした値である。PV の 50 は TCPI の計算には使わない(スケジュールの遅れを見る SPI=EV÷PV で使う値)。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

あるプロジェクトの作業が図のとおり計画されているとき,最短日数で終了するためには,作業 H はプロジェクトの開始から遅くとも何日経過した後に開始しなければならないか。

アローダイアグラム。開始の結合点から作業 A(8日)・作業 B(5日)・作業 C(12日)が出る。A の先の結合点からは作業 D(10日)と作業 F(8日)が出て,F は終了の結合点へ向かう。B の先の結合点からは作業 E(9日)が出て,D と E は同じ結合点に集まる。その結合点からは作業 G(12日)が終了の結合点へ向かい,あわせてダミー作業が C の先の結合点へ向かう。C の先の結合点からは作業 H(5日)が出て,その先から作業 I(4日)が終了の結合点へ向かう。凡例には,結合点と結合点を結ぶ矢印の上に作業名,下に所要日数を書くこと,破線の矢印がダミー作業であることが示されている。

正解 

解説

まず最短日数を求める。作業を最も早く始められる日を順にたどると,A は8日目,B は5日目に終わる。D と E が合流する結合点は,A→D の 8+10=18日と B→E の 5+9=14日のうち遅い18日。H の手前の結合点には C の12日とダミー作業経由の18日が入るので18日で,H が終わるのは 18+5=23日。終了の結合点には F 経由 8+8=16日,G 経由 18+12=30日,I 経由 23+4=27日が入り,最短日数は最も遅い30日になる。

次に,30日で終えるための H の最も遅い開始日を終点から逆にたどる。30日から I の4日を引くと H は26日目までに終えればよく,さらに H の5日を引くと H の開始は21日目まで遅らせられる。エが正しい。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

四つのアクティビティ A〜D によって実行する開発プロジェクトがある。図は,各アクティビティの PDM(プレシデンスダイアグラム法)における依存関係を表す。条件に従ってアクティビティを実行するとき,この開発プロジェクトの最少所要日数は何日か。

〔アクティビティの依存関係〕と題した図。開始から A(8日間)と B(12日間)が並行して出る。A から FS の関係で C(5日間),C から FS の関係で D(5日間)へつながり,D と B はどちらも終了へ向かう。凡例は,四角の中にアクティビティ名と(所要日数)を書くことを示している。

〔条件〕

正解 

解説

試験設備の制約が無ければ,A→C→D の 8+5+5=18日が最短で,B(12日間)はその間に並行して終えられる。この日程での試験設備の使用日は,A が6〜8日目,C が11〜13日目,D が16〜18日目になる。B は12日間かかるので最終3日間は早くても10〜12日目で C と重なり,それより後ろにも3日連続の空きがない。18日では収まらない。

D を1日遅らせて15〜19日目に行う(使用は17〜19日目)と,14〜16日目の3日間が空く。B を5〜16日目に行えば使用日は14〜16日目で,どれとも重ならない。全体は19日で終わるのでイが正しい。C の終了から D の開始までは1日空くが,FS の関係は“先行が終わってから始める”ことを求めるだけなので問題ない。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

アジャイル型開発プロジェクトの管理に用いるベロシティの説明はどれか。

正解 

解説

ベロシティは,スプリントなどの決められた期間(タイムボックス)ごとに,チームが完了させて受け入れられた成果物の量を,ストーリーポイントなどで表したものである。過去のベロシティから次の期間に取り組める量の見当が付き,残りのバックログを終えるまでの期間の予測にも使える。エが正しい。

アはストーリーポイントの説明で,ベロシティはこの単位を使って測る値である。イはプロダクトバックログの説明。ウは完了した作業量と残作業量をグラフにするバーンダウンチャートやバーンアップチャートの説明である。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

EVM を採用しているプロジェクトにおいて,ある時点の CPI が 1.0 を下回っていた場合の対処として,適切なものはどれか。

正解 

解説

CPI(コスト効率指数)は EV÷AC で,1.0 を下回るのは出来高に比べて実コストが多く掛かっている,つまりコストが超過している状態である。まず超過の原因を明らかにし,効率を上げる対策を打ち,その効果を CPI の推移で監視するのが適切な対処で,ウが正しい。

アは逆で,CPI が 1.0 未満なら実コストは予算コストを上回っている。イの完成時総コストの予測は,今の効率が続くとみれば BAC を CPI で割って求める(EAC=BAC÷CPI)のであり,実コストを CPI で割っても意味のある値にならない。エのように,CPI が完成時に必ず 1.0 になるという性質はない。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

あるソフトウェア開発部門では,開発工数 E(人月)と開発規模 L(k ステップ)との関係を,E=5.2L0.98 としている。L=10 としたときの生産性(k ステップ/人月)は,およそ幾らか。

正解 

解説

生産性は,開発規模を開発工数で割った値(k ステップ/人月)である。L=10 のとき E=5.2×100.98 で,100.98 は 10 よりわずかに小さい約9.5なので,E は約49.7人月。生産性は 10÷49.7 で約0.2となり,アが正しい。

指数が1なら E=52 で生産性は 10÷52≒0.19 なので,0.98 の影響は小さいと見当を付けてもよい。エの 5.2 は式の係数そのもので,規模当たりの工数(E÷L≒5)に近く,生産性の逆数に当たる量を見ている。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

工程別の生産性が次のとおりのとき,全体の生産性を表す式はどれか。

〔工程別の生産性〕

正解 

解説

全体の生産性は,全工程を通した開発規模を,全工程の工数の合計で割った値である。規模を S ステップとすると,各工程の工数は S÷X,S÷Y,S÷Z 人月なので,全体の生産性は S÷(S÷X+S÷Y+S÷Z)=1÷(1÷X+1÷Y+1÷Z)となる。エが正しい。

同じ S ステップを三つの工程が順に扱うので,工程ごとの生産性を足し合わせる(ア)ことも,単純に平均する(イ)こともできない。ウは全工程の工数を規模で割った“1ステップ当たりの人月”で,生産性の逆数に当たる。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,対象群“リスク”の活動内容のうち,プロセス“リスクへの対応”で実施するものはどれか。

正解 

解説

JIS Q 21500:2018 の対象群“リスク”は,リスクの特定,リスクの評価,リスクへの対応,リスクの管理の四つのプロセスからなる。“リスクへの対応”は,脅威を減らし機会を高めるために,選んだ対応策に沿って予算やスケジュールに資源と活動を組み込むプロセスで,イがこれに当たる。

アは対応の進捗と有効性をレビューする“リスクの管理”。ウはライフサイクルを通じて潜在的なリスク事象とその特性を繰り返し決定する“リスクの特定”。エは発生確率と影響を推定して優先順位を付ける“リスクの評価”である。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

新しく編成するプロジェクトチームの開発要員投入計画に基づいて PC をレンタルで調達する。調達の条件を満たすレンタル費用の最低金額は何千円か。

〔開発要員投入計画〕と題した表(単位 人)。行は開発要員の区分,列は1月から12月までの時期。設計者は2月から11月まで順に 2,4,4,4,2,2,2,2,2,2。プログラマは4月から11月まで順に 3,3,5,5,3,3,2,2。テスタは6月から9月まで順に 4,4,4,6。計は1月から12月まで順に 0,2,4,7,7,11,11,9,11,4,4,0。

〔調達の条件〕

正解 

解説

開発要員は月初日に着任するので,2週間のセットアップを済ませるには前の月からレンタルする必要がある。離任は月末日で,1週間のデータ消去は次の月に掛かる。日割りはないので,PC を使う期間の前後に1か月ずつ料金が発生する。要員の間で引き渡すときは空きが要らないので,台数が一時的に減る月も,返さずに持ち続けるほうが安くなることがある。

必要台数を下から積み上げる。2台は2〜11月に使うので1〜12月の12か月,次の2台は3〜11月で2〜12月の11か月,次の3台は4〜9月で3〜10月の8か月,次の2台は6〜9月で5〜10月の6か月。最後の2台は6・7月と9月に使い8月は空くが,8月に返すと返却と再レンタルで7か月分掛かるので,5〜10月の6か月借り続ける。合計は 24+22+24+12+12=94台月で,94×5千円=470千円。イが正しい。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

ソフトウェアパターンのうち,GoF のデザインパターンの説明はどれか。

正解 

解説

GoF(Gang of Four)のデザインパターンは,オブジェクト指向設計でよく現れる問題と解決策を23のパターンにまとめたもので,オブジェクトの生成に関わる“生成”,クラスやオブジェクトの組み合わせ方に関わる“構造”,オブジェクト間の責任分担や処理の流れに関わる“振る舞い”の三つに分類される。イが正しい。

ウとエは,ソフトウェアアーキテクチャのパターン集である POSA(Pattern-Oriented Software Architecture)の説明で,Layers や Broker はそのアーキテクチャパターンである。アは Java に特化した実装上の指針の説明で,GoF のパターンは特定の言語に依存しない。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

基幹システムの更改に伴って,移行リハーサルを実施した。移行リハーサルの目的に照らして移行リハーサルの完了の仕方として,適切なものはどれか。

正解 

解説

移行リハーサルの目的は,本番の移行を計画した手順と時間で確実に行えることを事前に確かめ,問題を洗い出して本番までに解消しておくことである。アは発生した問題をその場で対応して手順どおりに終え,さらに本番環境では同じ問題が起きないことまで確認しているので,目的を果たして完了している。

イは切り戻しを試しておらず,本番で切り戻しが必要になったときに手順が通用するかを確かめていない。ウは担当者の不在に合わせて作業順を入れ替えており,計画した手順そのものは検証できていない。エは時間超過の原因を解消しないまま完了しており,本番の作業時間枠に収まる保証がない。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

CMMI モデル V2.0 における成熟度レベルの状態のうち,レベル4の状態はどれか。

正解 

解説

CMMI V2.0 の成熟度レベルは,0 不完全,1 初期,2 管理された,3 定義された,4 定量的に管理された,5 最適化している,の6段階である。レベル4“定量的に管理された”では,組織が定量的な実績の改善目標をもち,データに基づいて運営され,内外のステークホルダのニーズを満たすよう調整される。イがこれに当たる。

アは継続的な改善と変化への機敏な対応に焦点を合わせたレベル5“最適化している”。ウは組織全体の標準がプロジェクトなどに手引を与えるレベル3“定義された”。エはプロジェクト単位で計画・実施・測定・制御されるレベル2“管理された”である。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

アジャイル開発において,質の高いユーザーストーリーを作成するための観点として“INVEST”がある。ユーザーストーリーに対する評価のうち,“INVEST”の観点に合致したものはどれか。

正解 

解説

INVEST は,よいユーザーストーリーの条件である Independent(独立している),Negotiable(交渉可能である),Valuable(価値がある),Estimable(見積り可能である),Small(小さい),Testable(テスト可能である)の頭文字である。イの“作業期間に対して適切な大きさ”は Small に合致する。

アの価値は利用者や顧客にとっての価値であり,開発者にとっての価値ではない。ウは詳細を固めて議論や交渉の余地をなくしており,Negotiable に反する。エは他のストーリーへの依存をもっており,Independent に反する。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

“アジャイルソフトウェア開発宣言”で述べている価値に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

アジャイルソフトウェア開発宣言は,“左記のことがらに価値があることを認めながらも,右記のことがらにより価値をおく”として四つの価値を挙げている。プロセスやツールよりも個人と対話を,包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを,契約交渉よりも顧客との協調を,計画に従うことよりも変化への対応を,である。エがそのうちの一つに当たる。

ア・イ・ウは,左側は宣言のとおりだが右側が言い換えられている。正しくは,アの右側は“変化への対応”,イの右側は“顧客との協調”,ウの右側は“個人と対話”である。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

JIS Q 20000-1:2020(サービスマネジメントシステム要求事項)が規定しているものはどれか。

正解 

解説

JIS Q 20000-1:2020 は,サービスマネジメントシステム(SMS)を確立し,実施し,維持し,継続的に改善するための,組織に対する要求事項を規定する規格である。イが規格の適用範囲に当たる。

規格の要求事項は汎用的で,組織の形態や規模,提供するサービスの性質にかかわらず全ての組織に適用できるものとされており,ウのように形態や規模ごとに要求事項を分けてはいない。アの製品やツールの仕様は規定の対象外である。エも誤りで,組織が規格と異なる用語を使っていても,規格の用語に置き換えることは求められていない。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

データの追加・変更・削除が,少ないながらも一定の頻度で行われるデータベースがある。このデータベースのフルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの2倍にした。このとき,データベースのバックアップ又は復旧に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

フルバックアップの間隔を2倍にすると,直前のバックアップから障害発生までにたまるログの量も約2倍になる。復旧はバックアップを戻してからログを反映(ロールフォワード)して行うので,その反映にかかる時間が約2倍になる。

イ・ウ・エは誤り。フルバックアップは毎回データベース全体を取得するものであり,1回当たりのテープ使用量も取得時間もデータベースの大きさで決まる。更新は「少ないながらも一定の頻度」なので,間隔を変えてもデータベースの大きさはほとんど変わらない。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

システム開発における発注者と受注者であるベンダーとの契約方法のうち,実費償還契約はどれか。

正解 

解説

実費償還契約は,委託業務の遂行に要した費用を発注者が実費で負担し,これにベンダーの役務や技術に対する報酬(手数料や利益)を上乗せして支払う契約である。費用が膨らむリスクは主に発注者が負う。エが正しい。

アは契約時に合意した価格を支払う定額契約で,コスト増のリスクはベンダーが負う。イは物価や調達コストの変動に応じて金額を調整する経済価格調整付き定額契約。ウは目標コスト・利益・利益配分率・上限額を合意し,目標と実績の差に応じて利益を配分する定額インセンティブフィー契約で,いずれも実費償還ではない。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

経済産業省が公表した“AI・データの利用に関する契約ガイドライン 1.1版”における,AI 技術を利用したソフトウェアの開発・利用に関するユーザーとベンダー間の契約についての記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

経済産業省の“AI・データの利用に関する契約ガイドライン”は,AI 技術を利用したソフトウェアの開発・利用について,ユーザーとベンダーの間で契約の実務(契約プラクティス)が確立していないことが,権利の帰属や責任の分担をめぐる法的問題を招く一因になっていると整理し,契約の考え方やモデル契約を示している。ウがこれに当たる。

アは誤りで,AI の開発・利用に関する権利関係や責任関係の多くは法律で定まっておらず,契約で取り決める必要がある。イも誤りで,ユーザーが提供するデータには営業秘密など経済的価値や秘匿性の高いものが含まれ得るので,その扱いを契約で定める必要がある。エのガイドラインに法的拘束力はなく,契約を結ぶときの参考資料である。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

技術者倫理における集団思考の問題点として,アーヴィング・ジャニスが指摘した八つの兆候のうちの“心の警備”の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

“心の警備”(マインドガード)は,集団の結束や決定を守るために,都合の悪い情報や異論が集団に届かないよう,一部のメンバが自発的に遮断してしまう兆候。新しく加わったメンバの異議を阻止して集団を保護しようとする行為がこれに当たる。

アは“無敵幻想”,ウは沈黙を同意とみなす“満場一致の幻想”,エは“反対者への直接的圧力”であり,いずれもジャニスの挙げた別の兆候である。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

複数のシステムやサービスの間で利用される SAML はどれか。

正解 

解説

SAML(Security Assertion Markup Language)は,認証や認可に関する情報(アサーション)を XML で記述し,異なるシステムやサービスの間で交換するための仕様である。一度の認証で複数のサービスを使えるシングルサインオンの実現に使われる。エが正しい。

アはシステムの監視に使う SNMP などの説明。イは脅威情報を記述する STIX やそれを交換する TAXII など,脅威情報の共有に使う仕様の説明。ウは IPsec など,VPN を実現する暗号化通信の仕様の説明である。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

JPCERT コーディネーションセンター“CSIRT ガイド”におけるインシデントマネジメントの業務のうち,インシデントハンドリングに含まれるものはどれか。

正解 

解説

JPCERT/CC の“CSIRT ガイド”は,インシデントマネジメントの業務のうち,実際に起きたインシデントに対応する業務をインシデントハンドリングとしている。インシデントハンドリングは,検知・連絡受付,トリアージ,インシデントレスポンス,報告・情報公開といった流れからなり,対応の要否や優先度を判断するトリアージはこれに含まれる。エが正しい。

アのインシデント対応演習とイの対応マニュアルの整備は,平時にインシデントへの備えを整える業務である。ウの脆弱性情報ハンドリングは,脆弱性の情報を収集・分析して対策を促す業務で,インシデントの発生を前提としない。いずれもインシデントマネジメントには含まれるが,インシデントハンドリングではない。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

公開された実証コード(PoC:Proof of Concept)を使って,インターネットから Web サーバを狙う攻撃がある。こういった攻撃に自社の Web サーバが侵害される被害を未然に防ぐ対策として,最も効果があるものはどれか。

正解 

解説

公開された実証コード(PoC)を使う攻撃は,既知の脆弱性を突くものである。攻撃コードが公開されていれば誰でも同じ攻撃ができるので,被害を未然に防ぐには,自社の Web サーバで使っているソフトウェアの脆弱性情報を確認し,修正プログラムを適用するか,すぐに適用できなければ回避策(ワークアラウンド)を実施して,突かれる穴そのものをふさぐのが最も効果がある。ウが正しい。

アは内部の人物による情報の持出しへの対策で,外部からの脆弱性攻撃は防げない。イは漏えいした情報が売買されていないかを確かめる活動,エは侵害されたあとの不審な通信を見つける検知の対策で,いずれも侵害そのものを未然に防ぐものではない。

出典:令和6年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)