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プロジェクトマネージャ試験

平成29年度 春期 科目A-2(午前Ⅱ)

平成29年度 春期に実施されたプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:プロジェクトマネージャ試験について

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問1

プロジェクトのスケジュールを管理するときに使用する“クリティカルチェーン法”の実施例はどれか。

正解 エ

解説

クリティカルチェーン法は,資源の制約まで考えて最も長い作業の連なり(クリティカルチェーン)を求め,各作業の見積りに含まれていた余裕を取り上げてまとめ直す手法である。まとめた余裕は,チェーンの最後に置くプロジェクトバッファと,チェーンに合流する作業の後に置く合流バッファとして管理し,遅れはバッファの消費で吸収する。エが正しい。

イはクリティカルパス上の作業に資源を追加して期間を縮めるクラッシング,ウは先行作業の完了を待たずに後続作業を並行させるファストトラッキングである。アも作業を効率化して期間を縮める施策で,いずれもクリティカルチェーン法そのものではない。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

用語解説:クリティカルパス

問2

PMBOK ガイド 第5版によれば,組織のプロセス資産に分類されるものはどれか。

正解 ア

解説

PMBOK ガイド第5版は,プロジェクトに影響を与える組織側の要素を,組織のプロセス資産と組織体の環境要因に分けている。組織のプロセス資産は,組織が使う計画,プロセス,方針,手順と,過去の実績などを蓄えた知識ベースで,課題と欠陥をマネジメントする手順はこれに含まれる。アが正しい。

イのステークホルダのリスク許容度,ウの組織のインフラストラクチャ,エの組織の文化・体制・ガバナンスは,プロジェクトチームが直接は変えられない条件で,組織体の環境要因に分類される。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問3

PMBOK ガイド 第5版によれば,プロジェクトへの変更要求のうち,是正処置はどれか。

正解 イ

解説

PMBOK ガイド第5版は,変更要求を,是正処置,予防処置,欠陥修正,更新に分けている。是正処置は,プロジェクト作業の実績をプロジェクトマネジメント計画書に再び合わせるための活動である。スケジュールからの遅れを解消するために要員を追加するイがこれに当たる。

アはまだ起きていない品質の問題に先回りして備える予防処置。ウは要求仕様を満たさない成果物を直す欠陥修正。エは法規制の改定を受けて計画そのものの内容を変える更新である。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問4

PMBOK ガイド 第5版によれば,プロジェクトスコープマネジメントにおいて,WBS の作成に用いるローリングウェーブ計画法の説明はどれか。

正解 ウ

解説

ローリングウェーブ計画法は,近い将来に行う作業は詳細に計画し,遠い将来の作業は上位のレベルにとどめておき,プロジェクトが進んで詳細が明確になった時点で段階的に詳細化していく計画の方法である。将来実施予定の作業を上位レベルの WBS にとどめておき,後で要素分解するウが正しい。

アは WBS の各要素の作業内容などを詳しく記述する WBS 辞書。イは過去のプロジェクトの WBS をテンプレートとして使う方法。エはプロジェクトの作業を階層的に分解して最下位レベルまで定義する要素分解の説明である。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

用語解説:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)

問5

WBS の構成要素であるワークパッケージに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

ワークパッケージは WBS の最下位レベルの要素で,コストや期間を見積もって管理できる大きさの作業のまとまりである。スケジュールを作るときには,ワークパッケージをさらに,作業を完了させるために必要なアクティビティに分解する。ウが正しい。

アは誤りで,担当する組織や人員との対応付けは責任分担マトリックスなどで行う。イは誤りで,関連する成果物をまとめたものは WBS の上位の要素に当たる。エは誤りで,一つ上位の成果物は通常,複数のワークパッケージに分解されるので,1対1とは限らない。

WBS とワークパッケージ WBS(作業分解構成図)は,プロジェクトの成果物と作業を,管理できる大きさまで階層的に分解したもの。いちばん下の要素がワークパッケージで,これを単位に費用や期間を見積もり,担当を決めて管理する。上の要素は下の要素の合計(100%ルール)。 システム開発 設計 WP WP 製造 WP WP テスト WP WP WP:ワークパッケージ(費用・期間・担当を決める単位)
いちばん下がワークパッケージ。見積りと管理の単位

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

表は RACI チャートを用いた,あるプロジェクトの責任分担マトリックスである。設計アクティビティにおいて,説明責任をもつ要員は誰か。

アクティビティごとに要員の役割を R・A・C・I で示した表。要員は阿部・伊藤・佐藤・鈴木・田中・野村の順。要件定義は C・A・I・I・I・R,設計は R・I・I・C・C・A,開発は A・−・R・−・R・I,テストは I・I・C・R・A・C。

正解 エ

解説

RACI チャートでは,R(Responsible)が実行責任,A(Accountable)が説明責任,C(Consulted)が相談対応,I(Informed)が情報提供を表す。設計アクティビティの行で A が付いているのは野村なので,説明責任をもつのは野村で,エが正しい。

同じ行の阿部は R で実際に設計を行う担当,鈴木と田中は C で相談を受ける立場,伊藤と佐藤は I で結果を知らされる立場である。A は作業の結果に最終的な責任を負う人で,一つのアクティビティにつき1人に絞るのが原則なので,選択肢のように2人組になることはない。

責任分担マトリックス(RACI) 作業と人の表に,R(実行責任:作業をする),A(説明責任:最終的に責任を負う,1つの作業に1人),C(協議先:相談を受ける),I(報告先:結果を知らされる)を書き込む。 作業 PM 設計者 開発者 顧客 要件定義 A R I C 設計 A R C I 製造 A C R I R:実行責任 A:説明責任 C:協議先 I:報告先 役割と責任を作業ごとに明らかにする
A は1つの作業に1人だけ

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

チームの発展段階を五つに区分したタックマンモデルによれば,メンバの異なる考え方や価値観が明確になり,メンバがそれぞれの意見を主張し合う段階はどれか。

正解 エ

解説

タックマンモデルは,チームが成立期(Forming)→ 動乱期(Storming)→ 安定期(Norming)→ 遂行期(Performing)→ 散会期(Adjourning)の順に発展すると考える。メンバーの考え方や価値観の違いが表に出て,互いに意見を主張し合い衝突が起きるのは動乱期で,エが正しい。

ウの成立期はメンバーが集まったばかりで互いに様子を見ている段階。アの安定期は衝突を経てチームの規範や役割が固まる段階。イの遂行期はチームが成熟して高い成果を出す段階である。

タックマンモデル チームは,成立期(互いを知る),動乱期(考え方がぶつかる),安定期(ルールや役割が固まる),遂行期(成果を出す),散会期(解散する)の順に発達する。 成立期 知り合う 動乱期 ぶつかる 安定期 まとまる 遂行期 成果を出す 散会期 解散 動乱期を乗り越えてまとまる チームの発達の段階を表すモデル
成立 → 動乱 → 安定 → 遂行 → 散会

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

工程管理図表の特徴に関する記述のうち,ガントチャートのものはどれか。

正解 ウ

解説

ガントチャートは,作業を縦に並べ,各作業の予定期間と実績を横棒で表す図である。計画に対して実績がどこまで進んでいるかが一目で分かるので,個人やグループの作業の進捗管理に向く。一方で,作業どうしの前後関係は図に表れないため,相互関係の把握には適さない。ウが正しい。

アは計画と実績の累積値の推移を曲線で表す S 字カーブなど。イは作業の順序や相互関係を表し重要作業(クリティカルパス)を把握するアローダイアグラム(PERT 図)。エはマイルストーンの予定と実績を示すマイルストーンチャートの説明である。

ガントチャートとアローダイアグラム ガントチャートは作業ごとの予定と実績の期間を横棒で示し,進み具合は一目で分かるが,作業どうしの前後関係(どの作業が終わったら次を始められるか)は表しにくい。アローダイアグラムは作業の前後関係を矢印でつなぐので,クリティカルパスや余裕が分かる。 ガントチャート A B C 前後関係は分からない アローダイアグラム A B C 前後関係とクリティカルパス 進捗の見やすさはガントチャートが上
期間はガントチャート,前後関係はアローダイアグラム

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

プロジェクトマネジメントにおけるクラッシングの例として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

クラッシングは,コストの追加を受け入れてでもアクティビティの所要期間を短くする技法。クリティカルパス上のアクティビティに人的資源を追加するのがその典型である。

エは,本来は順に行う作業を重ねて進めるファストトラッキング。イはコスト削減策,ウは完了予定日を動かしただけで,どちらも期間短縮の技法ではない。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

用語解説:クリティカルパス

問10

四つのアクティビティ A〜D によって実行する開発プロジェクトがある。図は,各アクティビティの依存関係を PDM(プレシデンスダイアグラム法)によって表している。各アクティビティの実行に当たっては,専門チームの支援が必要である。条件に従ってアクティビティを実行するとき,開発プロジェクトの最少の所要日数は何日か。

〔アクティビティの依存関係〕と題した図。開始から A,C,D の三つが並行して出る。A からは FS の関係で B へつながり,B,C,D はどれも終了へ向かう。

〔条件〕

アクティビティ名・所要日数(日)・専門チームの支援期間の表。A は10日で,支援は実行する期間の最初の4日間。B は5日で,最初の2日間。C は10日で,最初の4日間。D は4日で,実行する期間の全て。

正解 イ

解説

A→B は 10+5=15日かかり,支援の制約が無ければこれが最短である。この日程では専門チームの支援は,A が1〜4日目,A の後に始まる B が11・12日目になる。残る C(最初の4日間)と D(全4日間)の支援をその隙間に入れたいが,空いているのは5〜10日目の6日間だけで,4日連続を2回は入らない。どちらかは13日目以降に回ることになり,15日では終わらない。

C の支援を5〜8日目に入れて C を5〜14日目に行い,D を B の支援が終わった後の13〜16日目に行えば,全体は16日で終わる。イが正しい。逆に D を先に5〜8日目に入れると C の支援が13〜16日目になり,C は22日目までかかる。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

アジャイル型開発プロジェクトの管理に用いるベロシティの説明はどれか。

正解 エ

解説

ベロシティは,スプリントなどの決められた期間(タイムボックス)ごとに,チームが作り上げ,妥当性を確認し,受け入れられた成果物の量を表す,チームの生産性の尺度である。過去のベロシティから次の期間に取り組める量の見当が付き,残りのバックログを終えるまでの期間の予測にも使える。エが正しい。

アはストーリポイントの説明で,ベロシティはこの単位を使って測る値である。イはプロダクトバックログの説明。ウは完了した作業量と残作業量をグラフにするバーンダウンチャートやバーンアップチャートの説明である。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

用語解説:アジャイル開発(スクラム・XP)

問12

EVM を採用しているプロジェクトにおける,ある時点の CPI が1.0を下回っていた場合の対処として,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

CPI(コスト効率指数)は EV÷AC で,1.0 を下回るのは出来高に比べて実コストが多く掛かっている,つまりコストが超過している状態である。まず超過の原因を明らかにし,効率を上げる対策を打ち,その効果を CPI の推移で監視するのが適切な対処で,ウが正しい。

アは逆で,CPI が 1.0 未満なら実コストは予算コストを上回っている。イの完成時総コストの予測は,今の効率が続くとみれば BAC を CPI で割って求める(EAC=BAC÷CPI)のであり,実コストを CPI で割っても意味のある値にならない。エのように,CPI が完成時に必ず 1.0 になるという性質はない。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

用語解説:EVM(アーンドバリューマネジメント)

問13

ファンクションポイント法の一つである IFPUG 法では,機能を機能種別に従ってデータファンクションとトランザクションファンクションとに分類する。機能種別を適切に分類したものはどれか。

〔機能種別〕

正解 ウ

解説

IFPUG 法のファンクションポイントでは,アプリケーションが保持・参照するデータのまとまりをデータファンクション,データを出し入れする処理をトランザクションファンクションとして数える。データファンクションは,アプリケーション内で維持する内部論理ファイル(ILF)と,他のアプリケーションが維持し参照だけする外部インタフェースファイル(EIF)の2種類。トランザクションファンクションは,外部入力(EI),外部出力(EO),外部照会(EQ)の3種類である。ウが正しい。

ア・イ・エは,処理である EI・EO・EQ をデータファンクションに含めたり,ファイルである EIF や ILF をトランザクションファンクションに含めたりしている。“ファイル”と付くものがデータ,“入力・出力・照会”がトランザクションと覚えるとよい。

ファンクションポイント法の5つの機能 アプリケーションの境界の内側で管理するデータが内部論理ファイル(ILF),外部のアプリケーションが管理し参照だけするデータが外部インタフェースファイル(EIF)。境界を越えるやり取りは,データを入れて更新する外部入力(EI),計算や加工をして出す外部出力(EO),そのまま取り出して見せる外部照会(EQ)。 アプリケーションの境界 ILF 内部論理ファイル EIF 外部のファイル 利用者 EI 入力 利用者 EO 出力 EQ 照会 参照
データ2種(ILF・EIF)と,境界を越える処理3種(EI・EO・EQ)

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

工程別の生産性が次のとおりのとき,全体の生産性を表す式はどれか。

〔工程別の生産性〕

正解 エ

解説

全体の生産性は,全工程を通した開発規模を,全工程の工数の合計で割った値である。規模を S ステップとすると,各工程の工数は S÷X,S÷Y,S÷Z 人月なので,全体の生産性は S÷(S÷X+S÷Y+S÷Z)=1÷(1÷X+1÷Y+1÷Z)となる。エが正しい。

同じ S ステップを三つの工程が順に扱うので,工程ごとの生産性を足し合わせる(ア)ことも,単純に平均する(イ)こともできない。ウは全工程の工数を規模で割った“1ステップ当たりの人月”で,生産性の逆数に当たる。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

新しく編成するプロジェクトチームの開発要員投入計画に基づいて PC をレンタルで調達する。調達の条件を満たすレンタル費用の最低金額は何千円か。

〔開発要員投入計画〕と題した表(単位 人)。行は開発要員の区分,列は1月から12月までの時期。設計者は2月から11月まで順に 2,4,4,4,2,2,2,2,2,2。プログラマは4月から11月まで順に 3,3,5,5,3,3,2,2。テスタは6月から9月まで順に 4,4,4,6。計は1月から12月まで順に 0,2,4,7,7,11,11,9,11,4,4,0。

〔調達の条件〕

正解 イ

解説

開発要員は月初日に着任するので,2週間のセットアップを済ませるには前の月からレンタルする必要がある。離任は月末日で,1週間のデータ消去は次の月に掛かる。日割りはないので,PC を使う期間の前後に1か月ずつ料金が発生する。要員の間で引き渡すときは空きが要らないので,台数が一時的に減る月も,返さずに持ち続けるほうが安くなることがある。

必要台数を下から積み上げる。2台は2〜11月に使うので1〜12月の12か月,次の2台は3〜11月で2〜12月の11か月,次の3台は4〜9月で3〜10月の8か月,次の2台は6〜9月で5〜10月の6か月。最後の2台は6・7月と9月に使い8月は空くが,8月に返すと返却と再レンタルで7か月分掛かるので,5〜10月の6か月借り続ける。合計は 24+22+24+12+12=94台月で,94×5千円=470千円。イが正しい。

要員の投入計画と PC のレンタル期間 要員は月初日に着任し月末日に離任するので,前の月にセットアップ(2週間)が要り,次の月にデータ消去(1週間)が掛かる。使う月の前後1か月ずつも料金が掛かる。必要台数を下から積み上げると,2台は1〜12月(12か月),2台は2〜12月(11か月),3台は3〜10月(8か月),2台は5〜10月(6か月),最後の2台も8月に返さず5〜10月(6か月)。合計 94 台月×5千円=470千円。 1 0 2 2 3 4 4 7 5 7 6 11 7 11 8 9 9 11 10 4 11 4 12 0 月 人数 2台 × 12か月 2台 × 11か月 3台 × 8か月 2台 × 6か月 2台 × 6か月 2×12 + 2×11 + 3×8 + 2×6 + 2×6 = 94 台月 94 × 5千円 = 470千円
使う月の前後1か月もレンタル。間で返すより持ち続けたほうが安いことがある

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

製品を出荷前に全数検査することによって,出荷後の故障品数を減少させ,全体の費用を低減させたい。次の条件で全数検査を行ったときに低減させられる費用は何万円か。ここで,検査時に故障が発見された製品は修理して出荷するものとする。

〔条件〕

正解 ア

解説

全数検査を実施すると,検査費用は 500個×1万円=500万円。検査で見つかる故障品は 500×2%=10個で,出荷前の修理費用は 10×50万円=500万円。それでも出荷後に故障する製品が 500×1%=5個あり,その修理費用は 5×200万円=1,000万円。合計は 500+500+1,000=2,000万円になる。

全数検査をしなければ,出荷後に 500×3%=15個が故障し,修理費用は 15×200万円=3,000万円。低減できる費用は 3,000−2,000=1,000万円で,アが正しい。検査費用や出荷前の修理費用を足し忘れると,低減額を大きく見誤る。

全数検査をする・しないの費用の比較 全数検査をすると,検査費用 500 個×1 万円=500 万円,出荷前に見つかる 10 個の修理 500 万円,それでも出荷後に故障する 5 個の修理 1,000 万円で,合計 2,000 万円。しなければ出荷後に 15 個が故障して 3,000 万円。低減できるのは 1,000 万円。 検査しない 出荷後の修理 15 個 3,000 全数検査 検査 500 出荷前 500 出荷後 1,000 2,000 単位:万円。検査で 10 個(2%)を出荷前に直し,出荷後は 5 個(1%) 低減できる費用 = 3,000 − 2,000 = 1,000 万円(ア) 検査費用や出荷前の修理を足し忘れると,低減額を大きく見誤る
3,000 万円 − 2,000 万円 = 1,000 万円の低減

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

マッシュアップを利用して Web コンテンツを表示している例として,最も適切なものはどれか。

正解 エ

解説

マッシュアップは,Web API などで公開されている他のサービスの機能や情報を組み合わせて,新しいサービスやコンテンツを作ることである。店舗案内のページに,他のサイトが提供する地図検索機能の結果を取り込んで表示するエがこれに当たる。

アは Web ブラウザにプラグインを組み込んで表示できる内容を広げるもの。イは Ajax などを使ってページを切り替えずに表示を更新する技術。ウは他社のページへのリンクを置いているだけで,他のサービスの機能を利用して情報を組み合わせているわけではない。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

ソフトウェアのリファクタリングの説明はどれか。

正解 ア

解説

リファクタリングは,ソフトウェアの外部から見た振る舞い(機能)は変えずに,内部の構造を整理して,読みやすく修正しやすい,保守性の高いプログラムに書き直すことである。アが正しい。振る舞いが変わっていないことは,テストを繰り返し実行して確かめながら進める。

イのソースコードから設計書を作成するのはリバースエンジニアリング。ウのソフトウェア部品を組み合わせて開発するのはコンポーネントベース開発。エの修正が他の部分に影響していないかを確かめるのは回帰テスト(リグレッションテスト)である。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

用語解説:アジャイル開発(スクラム・XP)

問19

データの追加・変更・削除が,少ないながらも一定の頻度で行われるデータベースがある。このデータベースのフルバックアップを磁気テープに取得する時間間隔を今までの2倍にした。このとき,データベースのバックアップ又は復旧に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

フルバックアップの間隔を 2 倍にすると,1 回のフルバックアップから次までに蓄積されるログの量が約 2 倍になる。復旧時はバックアップを復元してからログを反映(ロールフォワード)するので,その反映に掛かる平均処理時間が約 2 倍になる。

アとイは誤り。データの追加・変更・削除は少ないのでデータベース自体の大きさはほとんど変わらず,1 回当たりのテープ使用量は変わらない。ウも同じ理由で,フルバックアップの取得時間も変わらない。

フルバックアップの間隔を2倍にすると データベースの大きさはほとんど変わらないので,1回のフルバックアップの量や時間は変わらない。間隔が2倍になると,次のバックアップまでにたまるログが約2倍になり,障害のあとバックアップを復元してからログを反映する(ロールフォワードする)時間が平均して約2倍になる。 今まで 2倍の間隔 ■ フルバックアップ △ たまるログ 障害のときに反映するログが平均で約2倍 → 復旧時間も約2倍
変わるのは「たまるログの量」と「復旧の時間」。バックアップ1回の量は同じ

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

データ管理者(DA)とデータベース管理者(DBA)を別々に任命した場合の DA の役割として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

DA(データ管理者)は,組織全体のデータを資源として捉え,データ項目の標準化や論理データベース設計といった“データそのもの”の管理を担う。

ア・ウ・エはいずれも DBA(データベース管理者)の役割で,容量の管理,性能チューニング,障害時の復旧など,DBMS の運用に関わる業務。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

ベンダ X 社に対して,図に示すように要件定義フェーズから運用テストフェーズまでを委託したい。X 社との契約に当たって,“情報システム・モデル取引・契約書”に照らし,各フェーズの契約形態を整理した。a〜d の契約形態のうち,準委任型が適切であるとされるものはどれか。

フェーズと契約形態の表。要件定義は a,システム外部設計は準委任型又は請負型,システム内部設計は b,ソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテストは請負型,システム結合は c,システムテストは準委任型又は請負型,運用テストは d。

正解 イ

解説

経済産業省の“情報システム・モデル取引・契約書”は,ユーザが主体となって決める工程は,ベンダが専門的な支援を行う準委任型,ベンダが成果物の完成に責任を負える工程は請負型を適切としている。要件定義はユーザの業務要件を固める工程なので準委任型(a),運用テストはユーザが自らの業務で使えるかを確かめる工程なので準委任型(d)が適切である。イが正しい。

システム内部設計(b)とシステム結合(c)は,外部設計で要件が固まったあとにベンダが自らの責任で進められる工程なので,請負型が適切とされる。外部設計とシステムテストは,状況に応じて準委任型と請負型のどちらもあり得る。

モデル取引・契約書:工程ごとの契約の型 ユーザが主体となって進めるシステム化計画・要件定義・導入・受入支援は準委任型。ベンダが成果物の完成に責任を負えるシステム内部設計からシステム結合までは請負型。システム外部設計とシステムテストは,準委任型か請負型のどちらか。 システム 化計画 準委任 要件定義 準委任 外部設計 どちらか 内部設計 請負 設計・製 造・テス ト 請負 システム 結合 請負 システム テスト どちらか 導入・受 入支援 準委任 請負:内部設計〜システム結合 要件定義と導入・受入支援はユーザが主体(準委任)
成果物を完成させる約束ができる工程(内部設計〜結合)が請負

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:契約の形態(請負・準委任・労働者派遣)

問22

労働基準法で定める制度のうち,36協定がよりどころとしている制度はどれか。

正解 ウ

解説

36 協定は,労働基準法 36 条に基づき,時間外労働や休日労働について労使協定を書面で締結して労働基準監督署長に届け出ることで,法定労働時間を超える労働が認められる制度。届出をしていなければ法定労働時間を超えて働かせることはできない。

アは裁量労働制,イは1か月単位の変形労働時間制,エはフレックスタイム制の説明。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

派遣労働者の受入れに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

労働者派遣法は,派遣先に派遣先責任者の選任を義務付けている。派遣先責任者の職務には,派遣労働者に直接指揮命令する者などに対して,労働者派遣法などの関係法令の規定,労働者派遣契約の内容,派遣元事業主からの通知の内容を周知することが含まれる。エが正しい。

アは誤りで,派遣先責任者は派遣先管理台帳の作成・管理,苦情の処理,派遣元との連絡調整などを行うが,派遣労働者を雇用しているのは派遣元なので,人事記録や考課は派遣先の職務ではない。イは誤りで,派遣先責任者は事業所ごとに,派遣労働者の人数に応じて選任する。ウは誤りで,業務全般を統括する管理職位の者から選ぶ必要はなく,職務を適切に遂行できる者から選任すればよい。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

用語解説:契約の形態(請負・準委任・労働者派遣)

問24

CSIRT の説明として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

CSIRT(Computer Security Incident Response Team)は,企業や行政機関などに設置され,コンピュータセキュリティインシデントが起きたときの対応や,その予防のための情報収集・分析などを行う組織である。イが正しい。

アは JIS Q 15001 に適合した事業者などにプライバシーマークを付与する機関の説明。ウは電子政府で利用を推奨する暗号技術を評価・選出する CRYPTREC の説明。エは内閣官房に置かれ,サイバーセキュリティ政策の総合調整を行う内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の説明である。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

用語解説:JIS Q 15001 とプライバシーマーク(個人情報保護マネジメントシステム)

問25

ペネトレーションテストに該当するものはどれか。

正解 エ

解説

ペネトレーションテスト(侵入テスト)は,実際に攻撃者の立場でファイアウォールや公開サーバへ侵入を試み,防御を破れるかどうかを確かめるテスト。設定の不備や既知の脆弱性が実害につながるかを実地で確認する。エが正しい。

アの暗号方式と鍵長の確認は設計仕様との照合,イの入出力の照合は機能テスト,ウの処理できるセッション数の確認は性能テストで,いずれも侵入の可否を確かめるものではない。

出典:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)

用語解説:ファイアウォールと DMZ 脆弱性の管理と検査(CVE・CVSS・ファジング)