平成30年度 春期 午前Ⅱ

平成30年度 春期に実施されたプロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

ISO 21500:2012(プロジェクトマネジメントの手引き(英和対訳版))によれば,プロジェクトマネジメントのプロセスグループには,立上げ,計画,実行,コントロール及び終結の五つがある。これらのうち,“変更要求”の申請を契機に相互に作用するプロセスグループの組みはどれか。

正解 

解説

ISO 21500:2012 は,五つのプロセスグループが互いに作用し合う様子を示している。プロジェクトの作業を実際に進める実行のプロセスグループで変更の必要が生じると“変更要求”が申請され,コントロールのプロセスグループがそれを評価して,承認された変更を実行のプロセスグループへ返す。変更要求を契機に相互に作用するのは実行とコントロールの組みで,イが正しい。

この規格は後に JIS Q 21500:2018 として制定され,“コントロール”は“管理”,“プロセスグループ”は“プロセス群”と訳されている。立上げと終結は,プロジェクトやフェーズの始まりと終わりを扱うプロセスグループで,変更要求のやり取りの中心にはない。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

プロジェクトマネジメントにおけるプロジェクト憲章の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

プロジェクト憲章は,プロジェクトを正式に承認(許可)する文書で,プロジェクトマネージャを特定してその責任と権限を明らかにし,ビジネスニーズ,目標,期待される結果などを記す。立上げの段階で作られ,以後の計画の出発点になる。エが正しい。

アは組織のビジョンやビジネスニーズと,プロジェクトが提供するプロダクトなどの特性を記したプロジェクト作業範囲記述書の説明。イはプロジェクトの実施・監視・コントロールの方法とベースラインを定めるプロジェクトマネジメント計画書。ウはプロジェクトの最終状態と境界を定めるプロジェクトスコープ記述書の説明である。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

PMBOK ガイド 第5版の統合変更管理プロセスにおいて,プロジェクトのプロダクト,サービス,所産,構成要素などの特性に対する変更と実施状況を記録・報告したり,要求事項への適合を検証するためのプロダクト,所産又は構成要素に対する監査を支援したりする活動はどれか。

正解 

解説

コンフィギュレーション・マネジメント(構成管理)は,プロダクトやサービス,構成要素に対する変更をどう行い,実施状況をどう記録・報告するかを管理する活動。要求事項への適合性を検証する活動を支えるのもこの一部で,PMBOK の統合変更管理プロセスの中で行われる。イが正しい。

アのアーンド・バリュー・マネジメントは出来高とコスト・スケジュールを比較する測定手法。ウのコンフリクト・マネジメントは対立の解消に関する手法。エのポートフォリオマネジメントは,複数のプログラムやプロジェクトを組織の戦略に沿って選び,資源を配分する活動である。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

プロジェクトマネジメントで使用する責任分担表(RAM)の一つである,RACI チャートで示す4種類の役割及び責任の組合せのうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

RACI チャートは,作業ごとに誰がどの役割を担うかを表す責任分担マトリックスで,Responsible(実行責任),Accountable(説明責任),Consulted(相談対応),Informed(情報提供)の頭文字から名付けられている。四つがそろったアが正しい。

Accountable は作業の結果に最終的な責任を負う人で,一つの作業につき1人に絞るのが原則である。イ・ウ・エに含まれる“リスク管理”は RACI の役割ではなく,プロジェクトマネジメントで扱う対象の一つである。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

ISO 21500:2012(プロジェクトマネジメントの手引き(英和対訳版))によれば,資源サブジェクトグループのプロセスの目的のうち,資源のコントロールプロセスのものはどれか。

正解 

解説

ISO 21500:2012 の資源サブジェクトグループには,プロジェクトチームの編成,資源の見積り,プロジェクト組織の定義,プロジェクトチームの育成,資源のコントロール,プロジェクトチームのマネジメントのプロセスがある。資源のコントロールは,プロジェクト作業の実施に必要な資源を確保し,プロジェクトの要求事項を満たせるように配分することを目的とする。ウが正しい。

アは“資源の見積り”,イは“プロジェクトチームの育成”,エは“プロジェクトチームの編成”の目的である。JIS Q 21500:2018 では“資源のコントロール”は“資源の管理”と訳されている。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

図1に示すプロジェクト活動について,作業 C の終了がこの計画から2日遅れたので,このままでは当初に計画した総所要日数で終了できなくなった。

図1 プロジェクト活動(当初の計画)。アローダイアグラム。開始から作業 A(4日)。A の後から作業 B(5日)と作業 C(10日)が出る。B の後から作業 E(2日)と作業 D(4日)が出て,D は C の後の結合点に合流する。C の後の結合点からは作業 F(4日)が E の後の結合点へ,作業 G(7日)が別の結合点へ向かう。E の後の結合点から作業 H(6日),G の後の結合点から作業 I(4日)が出て同じ結合点に集まり,そこから作業 J(8日)で終了する。

作業を見直したところ,作業 I は作業 G の全てが完了していなくても開始できることが分かったので,ファストトラッキングを適用して,図2に示すように計画を変更した。

図2 プロジェクト活動(変更後の計画)。図1のうち作業 C が12日に延び,作業 G が G1(2日)と G2(5日)に分かれている。G1 の後の結合点から作業 I(4日)が H の後の結合点へ向かい,G2 の後の結合点からはダミー作業が同じ結合点へ向かう。ほかの作業と所要日数は図1と同じ。

この計画変更によって,変更後の総所要日数はどのように変化するか。

正解 

解説

図1で最も早く到達できる日数をたどると,A の後が4日,B の後が9日,C と D が合流する結合点は 4+10=14日と 9+4=13日のうち14日。E と F が合流する結合点は 9+2=11日と 14+4=18日のうち18日,G の後が 14+7=21日。H と I が合流する結合点は 18+6=24日と 21+4=25日のうち25日で,J を足して当初の総所要日数は33日になる。

図2では C が12日に延び,C と D の合流が16日,E と F の合流が20日,G1 の後が18日,G2 の後が23日。H・I・ダミーが合流する結合点は 20+6=26日,18+4=22日,23日のうち26日で,J を足して34日。当初計画より1日増加するので,ウが正しい。C の遅れ2日のうち1日はファストトラッキングで取り戻せたが,H の経路(E・F→H)も C の遅れを受けて長くなるため,すべては取り戻せない。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

過去のプロジェクトの開発実績から構築した作業配分モデルがある。システム要件定義からシステム内部設計までをモデルどおりに進めて228日で完了し,プログラム開発を開始した。現在,200本のプログラムのうち100本のプログラム開発を完了し,残りの100本は未着手の状況である。プログラム開発以降もモデルどおりに進捗すると仮定するとき,プロジェクトの完了まで,あと何日掛かるか。ここで,プログラムの開発に掛かる工数及び期間は,全てのプログラムで同一であるものとする。

〔作業配分モデル〕と題した表。工程はシステム要件定義,システム外部設計,システム内部設計,プログラム開発,システム結合,システムテストの順。工数比は順に 0.17,0.21,0.16,0.16,0.11,0.19。期間比は順に 0.25,0.21,0.11,0.11,0.11,0.21。

正解 

解説

期間比で見ると,システム要件定義 0.25,システム外部設計 0.21,システム内部設計 0.11 の合計 0.57 が 228 日に当たるので,全体の期間は 228÷0.57=400 日。プログラム開発は 400×0.11=44 日で,200 本中 100 本が終わっているので残りは 22 日。システム結合は 400×0.11=44 日,システムテストは 400×0.21=84 日。残りの合計は 22+44+84=150 日。

工数比の列は,人員をどう割り振るかを見るための値で,期間の計算には使わない。工数比で同じ計算をすると別の値になるので,どちらの比を使うかを取り違えないことが要点。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

COCOMO には,システム開発の工数を見積もる式の一つに

開発工数=3.0×(開発規模)1.12

がある。開発規模と開発生産性(開発規模/開発工数)の関係を表したグラフはどれか。ここで,開発工数の単位は人月,開発規模の単位はキロ行である。

正解 

解説

開発生産性は開発規模 ÷ 開発工数なので,式を代入すると 規模 ÷(3.0×規模1.12)= 規模−0.12 ÷ 3.0 となる。指数がマイナスなので,規模が大きくなるほど生産性は下がる。さらに,指数の絶対値が小さい累乗の曲線なので,規模が小さいうちは大きく下がり,規模が大きくなるにつれて下がり方は緩やかになる。この形はエである。

指数が1を超える(1.12)ことは,規模が大きくなると工数がそれ以上の割合で増える,つまり大規模ほど調整や管理の負担で効率が落ちることを表している。アとイは生産性が上がるグラフで逆。ウは下がり方が次第に急になっており,曲線の曲がり方が逆である。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

プロジェクトにどのツールを導入するかを,EMV(期待金額価値)を用いて検討する。デシジョンツリーが次の図のとき,ツール A を導入する EMV がツール B を導入する EMV を上回るのは,X が幾らよりも大きい場合か。

デシジョンツリー。“どのツールを導入するか”の決定ノードから二つの枝が出る。一つは“ツール A を導入(費用120万円)”で,その先の機会ノードから,60%で“効果が大きい(効果額 X 万円)”,40%で“効果が小さい(効果額90万円)”に分かれる。もう一つは“ツール B を導入(費用60万円)”で,その先の機会ノードから,60%で“効果が大きい(効果額120万円)”,40%で“効果が小さい(効果額60万円)”に分かれる。凡例は,黒い四角が決定ノード,黒い丸が機会ノード。

正解 

解説

EMV は,機会ノードの先の効果額を確率で重み付けして足し,導入費用を引いて求める。ツール B は 120×0.6+60×0.4−60=72+24−60=36万円。ツール A は X×0.6+90×0.4−120=0.6X−84万円である。

ツール A の EMV が B を上回る条件は 0.6X−84>36 なので,0.6X>120,X>200。X が200万円より大きい場合で,ウが正しい。X=200 のときは両方とも36万円で等しい。費用を引き忘れると,A が 0.6X+36,B が 96 となり X>100 と誤るので,決定ノードの枝の費用も必ず差し引く。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

PMBOK ガイド 第5版のプロジェクト・リスク・マネジメントにおけるリスク対応戦略に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

PMBOK ガイド第5版は,マイナスのリスク(脅威)への戦略として回避・転嫁・軽減・受容の四つ,プラスのリスク(好機)への戦略として活用・共有・強化・受容の四つを挙げている。受容はどちらにも含まれ,リスクを認めたうえで積極的な対応をとらない戦略である。ウが正しい。

アの強化は,好機の発生確率や影響を高めるプラスのリスクへの戦略。イの共有は,好機を最もうまく生かせる第三者と組むプラスのリスクへの戦略。エの転嫁は,脅威の影響と責任を保険や契約などで第三者に移すマイナスのリスクへの戦略である。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

PMBOK ガイド 第5版によれば,プロジェクト・リスク・マネジメントでは,定性的リスク分析でリスクの優先順位を査定し,定量的リスク分析でリスクがプロジェクト目標全体に与える影響を数量的に分析する。定性的リスク分析で使用されるものはどれか。

正解 

解説

発生確率・影響度マトリックスは,各リスクの発生確率と影響度をそれぞれ段階で評価し,その組合せの位置からリスクの優先順位を決める表で,定性的リスク分析で使う。エが正しい。

アの感度分析,イの期待金額価値分析,ウのデシジョン・ツリーは,リスクがプロジェクトの目標に与える影響を金額や日数などの数値で求める技法で,いずれも定量的リスク分析で使う。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

システム開発のプロジェクトにおいて,リスク識別を効率よく行うための手段として,“JIS X 25010:2013(システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)−システム及びソフトウェア品質モデル)”が規定する利用時の品質特性を用いてソフトウェアの品質に関するリスクを分類することにした。“満足性”に対するリスクとして分類される,リスクとその評価の事例はどれか。

正解 

解説

JIS X 25010:2013 の利用時の品質は,有効性,効率性,満足性,リスク回避性,利用状況網羅性の五つの特性からなり,満足性はさらに実用性,信用性,快感性,快適性の副特性に分かれる。操作に困惑して“快適でない”と評価されるイは,快適性,つまり満足性に対するリスクに当たる。

アの“柔軟でない”は利用状況網羅性の副特性である柔軟性,ウの“効率的でない”は効率性,エの“有効でない”は有効性に対するリスクである。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

プロジェクトで発生している品質問題を解決するに当たって,図を作成して原因の傾向を分析したところ,発生した問題の80%以上が少数の原因で占められていることが判明した。作成した図はどれか。

正解 

解説

パレート図は,問題の件数を原因別に多い順の棒グラフで並べ,その累積比率を折れ線で重ねた図である。“発生した問題の80%以上が少数の原因で占められている”といった,影響の大きい原因の偏りを見つけるのに使う。エが正しい。

アの管理図は,工程のデータを時系列に並べて管理限界線と比べ,工程が安定しているかを見る図。イの散布図は,二つの特性の値を点で打ち,相関の有無を見る図。ウの特性要因図は,結果とそれに影響する要因の関係を魚の骨の形に整理する図である。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

PMBOK ガイド 第5版によれば,プロジェクト品質マネジメントは,品質マネジメント計画,品質保証,品質コントロールの三つのプロセスで構成されている。品質マネジメント計画プロセスのアウトプットであって,品質保証プロセス及び品質コントロール・プロセスのインプットになるものはどれか。

正解 

解説

PMBOK ガイド第5版の品質マネジメント計画プロセスは,品質マネジメント計画書やプロセス改善計画書とあわせて品質尺度を作成する。品質尺度は,何をどのように測って品質を判断するかを具体的に定めたもので,品質保証プロセスと品質コントロール・プロセスの両方のインプットになる。ウが正しい。

アの検証済み成果物は品質コントロール・プロセスのアウトプット。イの妥当性確認済み変更も品質コントロール・プロセスのアウトプット。エの変更要求は品質保証や品質コントロールなどのアウトプットで,品質マネジメント計画プロセスのアウトプットではない。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

PMBOK ガイド 第5版によれば,プロジェクト調達マネジメントにおける調達作業範囲記述書に記載すべき項目はどれか。

正解 

解説

PMBOK ガイド第5版の調達作業範囲記述書は,調達する対象を,納入候補者が提供できるかどうかを判断できる程度に詳しく記述する文書である。調達品の仕様,数量,品質,納期,作業場所などに加え,プロジェクト完了後の運用サポートのような付随するサービスも記載する。アが正しい。

イのプロジェクト全体の WBS やウのプロジェクト全体の予算は,発注者のプロジェクトとしての計画情報で,外部に調達する部分の作業範囲を示す調達作業範囲記述書に記載するものではない。エのプロジェクトのリスクも,リスク登録簿などで扱う情報である。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

共通フレーム2013におけるシステム開発プロセスのアクティビティであるシステム適格性確認テストの説明として,最も適切なものはどれか。

正解 

解説

共通フレーム2013のシステム開発プロセスにおけるシステム適格性確認テストは,システム要件のそれぞれについて実装が適合しているかをテストし,システムを納入する準備ができているかどうかを評価するアクティビティである。エが正しい。

アの,運用環境に適合し利用者の用途を満たしているかを実運用環境や擬似運用環境で評価するのは,運用テストの説明。イの業務運用時の使いやすさを定期的に評価するのと,ウの投資効果や業務効果の実績を評価するのは,システムを稼働させた後の運用・評価の段階で行う活動である。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

エクストリームプログラミング(XP:eXtreme Programming)における“テスト駆動開発”の特徴はどれか。

正解 

解説

テスト駆動開発は,プログラムを書く前に,そのプログラムが満たすべき振る舞いを確かめるテストケースを先に作成し,そのテストに合格するように最小限のコードを書き,リファクタリングで整えるという手順を短く繰り返す開発手法である。エが正しい。

テストを先に書くことで仕様が具体的になり,変更しても既存の機能が壊れていないことをすぐに確認できる。アのように最初のテストで多くのバグを摘出することや,ウのカバレージを高めることは,テスト駆動開発の特徴そのものではない。イもテストケースの改善を繰り返すという点に着目しており,先にテストを書くという本質を捉えていない。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

リーンソフトウェア開発の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

リーンソフトウェア開発は,トヨタ生産方式などの製造業のリーン生産の考え方をソフトウェア開発に応用したもので,“ムダをなくす”“品質を作り込む”“知識を作り出す”“決定を遅らせる”“速く提供する”“人を尊重する”“全体を最適化する”の七つの原則を掲げる。イが正しい。

アは経験的プロセス制御に基づきスプリントで検査と適応を繰り返すスクラム。ウは“コミュニケーション”などの五つの価値を掲げる XP(エクストリームプログラミング)。エは利用者にとって価値のある機能単位ごとに五つのプロセスを回す FDD(ユーザ機能駆動開発)の説明である。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

ITIL 2011 edition によれば,インシデントに対する一連の活動のうち,イベント管理プロセスが分担する活動はどれか。

正解 

解説

イベント管理は,構成品目やサービスの状態変化(イベント)を監視して検知し,意味を判断したうえで,対応が必要なものを関連するプロセスへ通知するプロセス。インシデントの検知と通知がこれに当たる。

アは問題管理で作成する既知のエラー記録,イも問題管理の根本原因分析,ウはインシデント管理によるサービスの復旧であり,いずれもイベント管理の分担ではない。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

JIS Q 20000-1:2012(サービスマネジメントシステム要求事項)の“サービスマネジメントシステムの監視及びレビュー”の要求事項のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

監査の客観性と公平性を確保するため,監査員は自らが関わった業務を監査してはならない。自分の仕事を自分で監査しては,不備を見つけても指摘しにくくなる。

イは逆で,監査の基準や範囲は文書化した手順の中に定義する。ウも逆で,特定された不適合や懸念事項は該当する利害関係者に開示して是正につなげる。エも逆で,レビューはあらかじめ定めた間隔で実施する。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

システム開発を請負契約でベンダに委託する場合,ベンダに起因する,機密漏えいなどの情報セキュリティ事故を防止するために,委託する側がとるべき手段として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ベンダに起因する情報セキュリティ事故を防ぐには,委託業務に求める情報セキュリティのレベルを契約で取り決め,対策の実施状況を定期的に報告させ,必要に応じて監査して実際に守られているかを確かめることが有効である。委託しても,委託元の情報を守る責任は委託元に残るからである。アが正しい。

イは違反者個人への高額な罰則に頼るもので,組織としての管理にならず,実効性にも問題がある。ウは請負契約でありながら委託元がベンダの要員を指揮命令しており,偽装請負になるおそれがある。エは選定後に管理を一任しており,委託元が状況を把握できない。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

労働基準法及び労働契約法が定める,就業規則に係る使用者の義務の記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

労働基準法第106条は,使用者に,就業規則を常時各作業場の見やすい場所に掲示し,又は備え付けること,書面を交付することなどの方法で労働者に周知する義務を課している。イが正しい。

アは誤りで,就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,個別に合意を得てもその部分が無効になり,就業規則の基準による(労働契約法第12条)。ウは誤りで,常時10人以上の労働者を使用する使用者は,就業規則を作成して行政官庁に届け出る義務がある(労働基準法第89条)。エは誤りで,労働組合がない場合でも,労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない(同法第90条)。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

基準値を超える鉛,水銀などの有害物質を電気・電子機器に使用することを制限するために,欧州連合が制定し,施行しているものはどれか。

正解 

解説

RoHS 指令は,電気・電子機器に鉛,水銀,カドミウム,六価クロムなどの特定有害物質を基準値を超えて含むことを制限する欧州連合(EU)の指令である。イが正しい。

アの ISO 14001 は環境マネジメントシステムの国際規格。ウの WEEE 指令は,使用済みの電気・電子機器の回収やリサイクルを製造者などに求める EU の指令で,有害物質の使用制限ではない。エのグリーン購入法は,国などに環境負荷の少ない製品の調達を求める日本の法律である。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

公開鍵暗号方式を使った暗号通信を n 人が相互に行う場合,全部で何個の異なる鍵が必要になるか。ここで,一組の公開鍵と秘密鍵は2個と数える。

正解 

解説

公開鍵暗号方式では,一人ひとりが自分用の公開鍵と秘密鍵の組を一つ持てばよい。相手に送るときは相手の公開鍵で暗号化し,受け取った相手は自分の秘密鍵で復号するので,通信の相手が何人いても鍵の組を増やす必要はない。n 人なら n 組で,1組を2個と数えるので 2n 個。イが正しい。

ウの n(n−1)/2 は,共通鍵暗号方式で n 人が相互に通信する場合に必要な鍵の数で,2人1組ごとに別々の鍵が要るためである。人数が多いほど,公開鍵暗号方式のほうが必要な鍵の数を大幅に減らせる。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

テンペスト攻撃の説明とその対策として,適切なものはどれか。

正解 

解説

テンペスト攻撃は,ディスプレイやケーブルなどの機器から漏れる微弱な電磁波を離れた場所で傍受し,画面の表示内容などを再現して情報を盗み取る攻撃である。対策は,電磁波を遮断するシールドを施した機器や部屋を使うなどして,電磁波が外に漏れないようにすることである。イが正しい。

アは通信経路上でパケットを改ざんする中間者攻撃などの説明,ウはマクロ機能を悪用するマクロマルウェアの説明,エは無線 LAN の電波を傍受する盗聴の説明で,いずれもテンペスト攻撃ではない。

出典:平成30年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)