平成27年度 春期 午前Ⅰ

平成27年度 春期に実施された高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰの全30問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

ATM(現金自動預払機)が1台ずつ設置してある二つの支店を統合し,統合後の支店には ATM を1台設置する。統合後の ATM の平均待ち時間を求める式はどれか。ここで,待ち時間は M/M/1 の待ち行列モデルに従い,平均待ち時間にはサービス時間を含まず,ATM を1台に統合しても十分に処理できるものとする。

〔条件〕

正解 

解説

M/M/1 モデルの平均待ち時間(サービス時間を含まない)は,利用率を ρ,平均サービス時間を Ts として ρ/(1−ρ)×Ts で表される。

統合すると利用者数は2倍になる一方,平均サービス時間 Ts は変わらない。利用率は「到着率×サービス時間」なので統合後は 2ρ になる。これを式に代入して 2ρ/(1−2ρ)×Ts となる。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問1(表記を一部改変)

問2

製品 100 個を1ロットとして生産する。一つのロットからサンプルを3個抽出して検査し,3個とも良品であればロット全体を合格とする。100 個中に 10 個の不良品を含むロットが合格と判定される確率は幾らか。

正解 

解説

合格になるのは,抽出した3個が全て良品の場合である。100個中の良品は90個なので,1個目が良品の確率は 90/100,2個目は残り99個中89個で 89/99,3個目は残り98個中88個で 88/98 となる(取り出した製品は戻さない)。

合格の確率は (90/100)×(89/99)×(88/98)=(9/10)×(89/99)×(44/49) で,約分すると 178/245 となり,イが正しい。取り出した製品を戻すと考えて (9/10)3 で計算すると 729/1000(ウ)になる。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問2(表記を一部改変)

問3

自然数をキーとするデータを,ハッシュ表を用いて管理する。キー x のハッシュ関数 h(x) を h(x)=x mod n とすると,キー a と b が衝突する条件はどれか。ここで,n はハッシュ表の大きさであり,x mod n は x を n で割った余りを表す。

正解 

解説

衝突は,異なるキー a と b のハッシュ値が同じ,つまり a mod n=b mod n となることである。a と b を n で割った余りが等しいのは,その差 a−b が n で割り切れるときなので,イが正しい。

例えば n=5 のとき,a=7,b=2 は a−b=5 で余りがどちらも 2 になり衝突する。アは a=1,b=4 のように a+b=5 でも余りが 1 と 4 で異なる場合があるので誤り。ウとエは倍数の関係が逆で,n は a−b の約数であればよい。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問3(表記を一部改変)

問4

スーパスカラの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

スーパスカラは,複数のパイプラインを並べ,同時に実行できる複数の命令をそれぞれのパイプラインで並列に実行することで高速化を図る方式である。ウが適切である。

アはベクトルレジスタの長さに分割してベクトル演算を繰り返すベクトルプロセッサの処理(ループ分割)の説明。イはパイプラインの段数を増やして1段当たりの処理を細かくするスーパパイプラインの説明。エは同時に実行できる命令をまとめた長い命令語で複数の演算ユニットを同時に制御する VLIW の説明である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問4(表記を一部改変)

問5

物理サーバのスケールアウトに関する記述はどれか。

正解 

解説

スケールアウトは,サーバの台数を増やして処理を分散させることで,サーバ群全体としての処理能力を向上させる方法である。ウが該当する。

イの CPU を高性能なものに交換することと,エのメモリを増設することは,サーバ1台当たりの性能を高めるスケールアップである。アのディスクの増設による冗長化は信頼性を高める対策で,処理能力を拡張するスケールアウトではない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問5(表記を一部改変)

問6

プロセスのスケジューリングに関する記述のうち,ラウンドロビン方式の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ラウンドロビン方式は,実行可能なプロセスを待ち行列に並べ,先頭から順に一定の時間(タイムクウォンタム)ずつ CPU を割り当て,時間内に終了しなければ待ち行列の最後につないで次のプロセスに切り替える方式である。エが適切である。

アは優先度の高いプロセスが到着すると実行中のプロセスを中断させるプリエンプティブな優先度順方式。イはイベントの発生を契機にその時点で最も優先度の高いプロセスを実行するイベントドリブンな優先度順方式。ウのように処理時間に比例してタイムクウォンタムを変えるのは,一定の時間ずつ公平に割り当てるラウンドロビン方式の特徴とは異なる。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問6(表記を一部改変)

問7

真理値表に示す3入力多数決回路はどれか。

3入力多数決回路の真理値表。入力 A B C が 000,001,010,100 のとき出力 Y は 0,011,101,110,111 のとき Y は 1。

正解 

解説

3入力多数決回路は,三つの入力のうち二つ以上が 1 のとき出力が 1 になる回路で,論理式は Y=A・B+B・C+C・A となる。二つずつの AND をとり,それらを OR でまとめるアの回路がこの式そのものなので,アが正しい。

イは XOR の OR なので,入力がすべて等しい 000 と 111 のときだけ 0 になり,111 で 1 にならない。ウは (A+B)(B+C)(C+A) の否定で,(A+B)(B+C)(C+A) 自体が多数決の式と等しいため,出力が真理値表と逆になる。エは三つの XOR が同時に 1 になることがない(3入力のうち二つずつが全て異なることはない)ので,AND の結果は常に 0 で,Y は常に 1 になる。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問7(表記を一部改変)

問8

拡張現実(AR:Augmented Reality)の例として,最も適切なものはどれか。

正解 

解説

拡張現実(AR)は,カメラで写した現実の映像などに,コンピュータで作った情報や画像を重ね合わせて表示し,現実の世界を拡張する技術である。実際には存在しない衣料品を仮想的に試着したり,過去の建築物を CG で実際の画像の上に再現したりするウが該当する。

アは3次元空間で視点を動かして作るコンピュータアニメーション(CG 映像)。イはアバタで仮想空間を動き回る仮想世界(メタバース)のサービス。エは大画面と振動装置で臨場感を高めるシミュレーションライドで,いずれも現実の映像に情報を重ね合わせるものではない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問8(表記を一部改変)

問9

DBMS に実装すべき原子性(atomicity)を説明したものはどれか。

正解 

解説

原子性(Atomicity)は,トランザクション内の処理が全て実行されるか,全く実行されなかった状態に戻されるかのどちらかであり,途中までの処理だけが反映されることはないという性質である。ウが該当する。

アの同じ処理を何度実行しても結果が同じになるのはべき等性で,ACID 特性ではない。イのトランザクション完了後に障害が発生しても更新内容が保証されるのは耐久性(Durability)。エの他のトランザクションの影響を受けないのは独立性(Isolation)である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問9(表記を一部改変)

問10

CSMA/CD 方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

CSMA/CD では,衝突が起きると送信を中断してランダムな時間だけ待ってから再送する。伝送路が混んで衝突が増えると,この待ち時間と再送が積み重なって実際に流れるデータ量が減るので,スループットが下がる。アが正しい。

イは,搬送波を検出して空いていることを確かめてから送信しても,信号が届くまでの遅延の間に別のステーションも送信を始めれば衝突は起こるので誤り。ウは,リピータハブで分岐接続した構成でも衝突は検出できるので誤り(ハブ配下は一つの衝突ドメインになる)。エは,イーサネットのフレームはオクテット単位で構成されるので誤りである。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問10(表記を一部改変)

問11

伝送速度 64 k ビット/秒の回線を使ってデータを連続送信したとき,平均して 100 秒に1回の1ビット誤りが発生した。この回線のビット誤り率は幾らか。

正解 

解説

64 k ビット/秒の回線で 100 秒間に送るビット数は 64×103×100=6.4×106 ビットで,その間に1ビットの誤りが起きる。

ビット誤り率は 1÷(6.4×106)≒1.56×10−7 となり,イが正しい。8ビットを1バイトとしてバイト数で割ると 1.95×10−8(ア)になるが,ビット誤り率はビット数で求める。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問11(表記を一部改変)

問12

パスワードに使用できる文字の種類の数を M,パスワードの文字数を n とするとき,設定できるパスワードの理論的な総数を求める数式はどれか。

正解 

解説

パスワードの各文字には M 種類のどの文字も使え,同じ文字を繰り返し使ってもよい。n 文字の各位置でそれぞれ M 通りの選び方があるので,総数は M×M×…×M(n 個)=Mn であり,アになる。

イの M!/(M−n)! は同じ文字を使わずに並べる順列,ウの M!/(n!(M−n)!) は同じ文字を使わず並び順も区別しない組合せ,エの (M+n−1)!/(n!(M−1)!) は同じ文字の繰返しを許すが並び順を区別しない重複組合せの数である。パスワードは並び順が区別され,同じ文字を繰り返せるので,いずれも当てはまらない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問12(表記を一部改変)

問13

JIS Q 31000:2010(リスクマネジメント−原則及び指針)における,残留リスクの定義はどれか。

正解 

解説

JIS Q 31000:2010 は,残留リスクを“リスク対応後に残っているリスク”と定義している。リスク対応を行ってもリスクを完全になくすことはできず,残ったリスクは監視やレビューの対象になる。エが該当する。

アの監査手続を実施しても重要な不備を発見できないリスクは,監査リスクの構成要素の発見リスク。イの業務の性質や本来有する特性から生じるリスクは,監査リスクの構成要素の固有リスク。ウの利益を生む可能性に内在する損失発生の可能性として存在するリスクは,損失と利益の両方の可能性をもつ投機的リスク(ビジネスリスク)の説明である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問13(表記を一部改変)

問14

NIST の定義によるクラウドサービスモデルのうち,クラウド利用企業の責任者がセキュリティ対策に関して表中の項番1と2の責務を負うが,項番3〜5の責務を負わないものはどれか。

責務の表。項番1:アプリケーションに対して,データのアクセス制御と暗号化の設定を行う。項番2:アプリケーションに対して,セキュアプログラミングと脆弱性診断を行う。項番3:DBMS に対して,修正プログラム適用と権限設定を行う。項番4:OS に対して,修正プログラム適用と権限設定を行う。項番5:ハードウェアに対して,アクセス制御と物理セキュリティ確保を行う。

正解 

解説

NIST の定義では,PaaS の利用者は,提供者が用意したプラットフォーム(OS やミドルウェアなどの実行環境)の上に自らのアプリケーションを配置して制御するが,ネットワーク,サーバ,OS,ストレージなどの基盤は管理しない。したがって,利用企業はアプリケーションに関する項番1と2の責務を負い,DBMS,OS,ハードウェアに関する項番3〜5の責務は負わない。ウが正しい。

イの IaaS では,利用者が OS や配置したアプリケーションを制御するので,OS や DBMS の修正プログラム適用や権限設定も利用企業の責務になる。エの SaaS では,アプリケーションも提供者が用意するので,セキュアプログラミングなどの項番2も利用企業の責務にならない。アの HaaS はハードウェアを提供するサービスの呼び方で,NIST の定義のサービスモデルには含まれない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問14(表記を一部改変)

問15

ディレクトリトラバーサル攻撃はどれか。

正解 

解説

ディレクトリトラバーサル攻撃は,入力された文字列を基にファイル名を組み立てるアプリケーションに対して,“../”のような上位のディレクトリを意味する文字列を含むパス名を入力し,本来は公開していないディレクトリのファイルにアクセスする攻撃である。エが該当する。

アは外部から OS のコマンドを渡して実行させる OS コマンドインジェクション。イは SQL 文を組み立てる処理の不備を突いて任意の SQL 文を実行させる SQL インジェクション。ウは不正に入手した認証情報でシングルサインオンの仕組みにログインし,連携する複数のアプリケーションを不正に使用する攻撃で,ディレクトリトラバーサルではない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問15(表記を一部改変)

問16

JIS X 25010:2013 で規定されたシステム及びソフトウェア製品の品質副特性の説明のうち,信頼性に分類されるものはどれか。

正解 

解説

JIS X 25010:2013 は,信頼性の品質副特性として成熟性,可用性,障害許容性(耐故障性),回復性の四つを挙げている。ウの,中断や故障のときに影響を受けたデータを回復し,システムを希望する状態に戻せる度合いは回復性の定義で,信頼性の副特性に当たる。

アは運用操作性の定義で,使用性の副特性。イは解析性の定義で,保守性の副特性。エは相互運用性の定義で,互換性の副特性である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問16(表記を一部改変)

問17

エクストリームプログラミング(XP)のプラクティスとして,適切なものはどれか。

正解 

解説

エクストリームプログラミング(XP)の継続的インテグレーションのプラクティスでは,単体テストを終えたプログラムをすぐに結合して結合テストを行い,頻繁に統合することで問題を早く見つける。ウが適切である。

アは誤り。XP では持続可能なペースを重視し,週40時間程度を目安に残業を続けないこととしている。イは誤り。XP ではコードの共同所有を取り入れ,チームの誰でもどのコードでも改善や再利用ができる。エは誤り。XP ではペアプログラミングを取り入れ,2人1組でプログラミングを行う。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問17(表記を一部改変)

問18

PERT 図で表されるプロジェクトにおいて,プロジェクト全体の所要日数を1日短縮できる施策はどれか。

PERT 図(矢印の上が作業名,下が所要日数)。開始から A(4日)。A の後に B(6日),C(5日),D(2日)。B の後に E(1日)。C の後の結合点から F(2日)で E の後の結合点へ,G(1日)で H の後の結合点へ。D の後に H(1日)。E と F が入る結合点の後に I(3日),G と H が入る結合点の後に J(6日)。I と J が終了の結合点に入る。

正解 

解説

各経路の所要日数を求めると,A→B→E→I は 4+6+1+3=14日,A→C→F→I は 4+5+2+3=14日,A→C→G→J は 4+5+1+6=16日,A→D→H→J は 4+2+1+6=13日となる。最も長い A→C→G→J の16日がクリティカルパスで,プロジェクト全体の所要日数になる。

全体を1日短縮するには,クリティカルパス上の作業を短縮する必要がある。J を1日短縮すると A→C→G→J は15日になり,他の経路は14日以下なので,全体は15日と1日短縮できる。エが正しい。アのB と F,イの B,ウの I はいずれもクリティカルパス上にない作業なので,短縮しても全体の16日は変わらない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問18(表記を一部改変)

問19

プロジェクトマネジメントにおけるリスクの対応例のうち,PMBOK のリスク対応戦略の一つである転嫁に該当するものはどれか。

正解 

解説

リスクの転嫁は,リスクによるマイナスの影響とその対応の責任を第三者に移す戦略で,保険の購入や契約による責任の移転が代表例である。損害に備えて損害賠償保険を掛けるウが該当する。

アの損失を他のサブプロジェクトの利益で相殺するのは,リスクの影響を受け入れたうえでの対処で転嫁ではない。イの本番データの個人情報部分をマスキングして漏えいが起きないようにするのは,リスクの発生確率や影響を下げる軽減。エの信用に不安のある取引先との新規取引を止めるのは,リスクの原因そのものを取り除く回避である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問19(表記を一部改変)

問20

ITIL の可用性管理プロセスにおいて,IT サービスの可用性と信頼性の管理に関わる KPI として用いるものはどれか。

正解 

解説

ITIL の可用性管理プロセスは,IT サービスが合意した可用性の目標を満たすように管理する。可用性と信頼性の管理に関わる KPI としては,サービスの中断回数やその削減の度合いが用いられる。アが適切である。

イの災害を想定した復旧テストの回数は IT サービス継続性管理,ウの処理能力不足に起因するインシデントの数はキャパシティ管理,エの目標を達成できなかった SLA の項目数はサービスレベル管理の KPI である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問20(表記を一部改変)

問21

インプットコントロールの監査で,エディットバリデーションチェックが正しく機能しているかどうかの検証方法として,適切なものはどれか。

正解 

解説

エディットバリデーションチェックは,入力データの桁数,形式,範囲,論理的な整合性などを検査し,誤ったデータの入力を防ぐインプットコントロールである。正しく機能しているかを検証するには,実際に例外データや異常データを入力し,エラーとして検出されるかを確かめるのが適切である。イが該当する。

アの許可された担当者以外がログインできないことの試行は,アクセスコントロールの検証。ウの入力原票の承認印の確認は,入力前の承認手続の検証。エの入力対象データの件数とプルーフリスト上の合計件数の照合は,入力の網羅性(漏れや重複がないこと)の検証である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問21(表記を一部改変)

問22

業務データのバックアップが自動取得されている場合,日次バックアップデータが継続的に取得されているかどうかをシステム監査人が検証する手続として,適切なものはどれか。

正解 

解説

日次バックアップが継続的に取得されているかを検証するには,バックアップジョブが毎日実行されるように設定されているか(設定内容)と,実際に日々実行されて正常に終わっているか(実行結果ログ)を閲覧して確かめるのが適切である。イが該当する。

アのバックアップジョブの再実施は,その時点で取得できることを確かめるだけで,過去から継続して取得されていたかは分からない。ウのリカバリテストは,バックアップデータから正しく復旧できるかを確かめる手続。エのバックアップ媒体や装置の観察は,保管状況や設備の確認で,日々の取得の継続性を示す証拠にはならない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問22(表記を一部改変)

問23

情報戦略の投資効果を評価するとき,利益額を分子に,投資額を分母にして算出するものはどれか。

正解 

解説

ROI(Return On Investment,投資利益率)は,投資によって得られた利益額を投資額で割って求める指標で,投資効果を評価するのに使う。エが正しい。

アの EVA(経済的付加価値)は税引後営業利益から資本コストの額を差し引いた金額。イの IRR(内部収益率)は投資の正味現在価値が 0 になる割引率。ウの NPV(正味現在価値)は将来のキャッシュフローの現在価値の合計から投資額を差し引いた金額で,いずれも利益額を投資額で割る比率ではない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問23(表記を一部改変)

問24

エンタープライズアーキテクチャ(EA)を説明したものはどれか。

正解 

解説

エンタープライズアーキテクチャ(EA)は,組織全体の業務と情報システムを,ビジネス(政策・業務体系),データ(データ体系),アプリケーション(適用処理体系),テクノロジ(技術体系)の四つの体系で整理・分析し,全体最適化の観点から見直すための手法である。ウが該当する。

アはオブジェクト指向の分析・設計の表記法を統一した UML,イはエンティティとリレーションシップでデータ構造を表す E-R 図(ERD),エはデータフロー,プロセス,ファイル(データストア),データ源泉/データ吸収で業務の流れを表す DFD の説明である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問24(表記を一部改変)

問25

IT 投資ポートフォリオの目的はどれか。

正解 

解説

IT 投資ポートフォリオは,IT 投資を投資リスクや期待される投資価値の性質が似たもの(戦略的投資,業務効率化投資,インフラ投資など)でカテゴリに分け,カテゴリごとの投資配分を企業全体の視点から最適化するための手法である。エが該当する。

アの投資を分類して経年推移や構成比率を分析し投資額削減を検討するのは,IT コストの分析。イの個別の投資案件について情報戦略との適合性などから投資判断を行うのは,個別案件の評価。ウの事前評価,中間評価,事後評価を一貫して行うのは,IT 投資のライフサイクルにわたる評価の説明で,いずれもポートフォリオとして資源配分を最適化するものではない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問25(表記を一部改変)

問26

コモディティ化の説明はどれか。

正解 

解説

コモディティ化は,技術が成熟して製品の機能や品質に差がなくなり,どの企業の製品を選んでも大差がない状態になることで,他社製品との差別化が価格以外の点で難しくなり,価格競争に陥りやすくなる。ウが該当する。

アは革新的な発明による新しい市場の創出(プロダクトイノベーション)。イは後発製品が技術革新によって先発製品の市場を奪う破壊的イノベーション。エは価格競争を避けるために他社製品と異なる機能をもたせる差別化戦略の説明である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問26(表記を一部改変)

問27

プロセスイノベーションに関する記述として,適切なものはどれか。

正解 

解説

プロセスイノベーションは,製品そのものではなく,製品を生み出す工程(製造方法や業務の進め方)を革新することで,品質の向上やコストの削減などを実現するイノベーションである。製品の品質を向上する革新的な製造工程を開発するイが適切である。

アは競争を経て事実上の標準となるデファクトスタンダード。ウは革新的な新製品を開発するプロダクトイノベーション。エは製造設備をもつ企業に製造を委託するファブレスやファウンドリーの活用であり,自社の工程の革新ではない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問27(表記を一部改変)

問28

EDI を実施するための情報表現規約で規定されるべきものはどれか。

正解 

解説

EDI(電子データ交換)の取決めは,一般に情報伝達規約,情報表現規約,業務運用規約,取引基本規約の階層に分けて整理される。情報表現規約は,やり取りするデータの意味や並び,コードなど,メッセージの形式を取り決めるものである。エが該当する。

アの企業間の取引の契約内容は取引基本規約,イのシステムの運用時間は業務運用規約,ウの伝送制御手順は通信回線や通信プロトコルなどを定める情報伝達規約で取り決める事項である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問28(表記を一部改変)

問29

横軸にロットの不良率,縦軸にロットの合格率をとり,抜取検査でのロットの品質とその合格率との関係を表したものはどれか。

正解 

解説

OC 曲線(検査特性曲線)は,横軸にロットの不良率,縦軸にそのロットが抜取検査で合格する確率をとり,ロットの品質と合格率の関係を表した曲線である。抜取検査の方式(サンプル数や合格判定個数)がどの程度の品質のロットを合格させるかを評価するのに使う。アが正しい。

イのバスタブ曲線は,時間の経過に対する故障率の変化(初期故障期,偶発故障期,摩耗故障期)を表す曲線。ウのポアソン分布は,一定時間内などに稀な事象が起きる回数の確率分布。エのワイブル分布は,寿命や故障までの時間の分布を表すのに使われる確率分布である。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問29(表記を一部改変)

問30

A 社は顧客管理システムの開発を,情報システム子会社である B 社に委託し,B 社は要件定義を行った上で,設計・プログラミング・テストまでを,協力会社である C 社に委託した。C 社では D 社員にその作業を担当させた。このとき,開発したプログラムの著作権はどこに帰属するか。ここで,関係者の間には,著作権の帰属に関する特段の取決めはないものとする。

正解 

解説

著作権法第15条第2項は,法人等の発意に基づきその業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は,契約や勤務規則などに別段の定めがない限り,その法人等とすると定めている(職務著作)。D 社員が C 社の業務として作成したプログラムの著作者は C 社になり,著作権も C 社に帰属する。ウが正しい。

ア,イは誤り。開発を委託した A 社や B 社は,契約で著作権の譲渡を定めない限り,委託しただけでは著作権を取得しない。エは誤り。実際に作成した D 社員は,職務著作の要件を満たすので著作者とならない。

出典:平成27年度 春期 高度試験・情報処理安全確保支援士試験 共通 午前Ⅰ 問30(表記を一部改変)