令和元年度 秋期に実施されたシステムアーキテクト試験
午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
この年度を解いてみる
問1
図は,階層化された DFD における,あるレベルの DFD の一部である。プロセス 1 を子プロセスに分割して詳細化した DFD のうち,適切なものはどれか。ここで,プロセス 1 の子プロセスは,プロセス 1-1,1-2 及び 1-3 とする。
正解 イ
解説
階層化された DFD では,親のプロセスを子プロセスに分割しても,親のプロセスに出入りするデータフローと子の DFD 全体に出入りするデータフローが一致していなければならない(バランスの原則)。図のプロセス 1 には外部からの入力が 2 本あり,プロセス 2 とプロセス 3 への出力が 2 本ある。イは入力が 1-1 と 1-2 に 1 本ずつ,出力が 1-1 と 1-3 から 1 本ずつで,親と一致し,各子プロセスにも入力と出力がある。イが適切である。
アは入力が 1 本しかなく,親の入力 2 本と一致しない。ウは出力が 1 本しかなく,1-2 は出力をもたない(データを受け取るだけで何も出さない)プロセスになっている。エは入出力の本数は合うが,1-2 に入力がなく,何も受け取らずにデータを生み出すプロセスになっている。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
並列に生起する事象間の同期を表現することが可能な,ソフトウェアの要求モデルはどれか。
ア E-R モデル
イ データフローモデル
ウ ペトリネットモデル 正解
エ 有限状態機械モデル
正解 ウ
解説
ペトリネットは,プレース(状態や条件)とトランジション(事象)を有向の弧で結び,プレースに置いたトークンの移動によって動作を表すモデルである。トランジションは入力側の全てのプレースにトークンがそろったときに発火するので,並列に進む事象の同期や排他,資源の競合を表現できる。ウが該当する。
アの E-R モデルはエンティティと関連によってデータの構造を表すモデル,イのデータフローモデルはプロセス間のデータの流れを表すモデルで,いずれも事象の同期は表せない。エの有限状態機械モデルは,一つの対象が事象によって状態を遷移する様子を表すモデルで,並列な事象の同期の表現には向かない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
ソフトウェアパターンのうち,GoF のデザインパターンの説明はどれか。
ア Java のパターンとして引数オブジェクト,オブジェクトの可変性などで構成される。
イ オブジェクト指向開発のためのパターンとして生成,構造,振る舞いの三つのカテゴリに分類される。 正解
ウ 構造,分散システム,対話型システム及び適合型システムの四つのカテゴリに分類される。
エ 抽象度が異なる要素を分割して階層化するための Layers,コンポーネント分割のための Broker などで構成される。
正解 イ
解説
GoF(Gang of Four)のデザインパターンは,オブジェクト指向設計でよく現れる問題と解決策を23のパターンにまとめたもので,オブジェクトの生成に関わる“生成”,クラスやオブジェクトの組み合わせ方に関わる“構造”,オブジェクト間の責任分担や処理の流れに関わる“振る舞い”の三つに分類される。イが正しい。
ウとエは,ソフトウェアアーキテクチャのパターン集である POSA(Pattern-Oriented Software Architecture)の説明で,Layers や Broker はそのアーキテクチャパターンである。アは Java に特化した実装上の指針の説明で,GoF のパターンは特定の言語に依存しない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
Java サーブレットを用いた Web アプリケーションソフトウェアの開発では,例えば,doGet や doPost などのメソッドを,シグネチャ(メソッド名,引数の型と個数)は変えずに,目的とする機能を実現するための処理に置き換える。このメソッドの置き換えを何と呼ぶか。
ア オーバーライド 正解
イ オーバーロード
ウ カプセル化
エ 継承
正解 ア
解説
オーバーライドは,スーパークラスで定義されたメソッドを,サブクラスで同じシグネチャ(メソッド名,引数の型・個数・順序)のまま処理内容を再定義することである。Java サーブレットでは HttpServlet クラスの doGet や doPost をオーバーライドして,目的の処理を実装する。アが該当する。
イのオーバーロードは,同じ名前で引数の型や個数が異なるメソッドを複数定義することで,シグネチャが変わる。ウのカプセル化はデータと操作を一体にして内部を隠蔽すること,エの継承はスーパークラスの属性や操作をサブクラスが引き継ぐ仕組みであり,いずれもメソッドの置き換えそのものを指す用語ではない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
あるプログラム言語によるプログラミングの解説書の中に次の記述がある。この記述中の“良いプログラム”がもっている特性はどれか。
このプログラム言語では,関数を呼び出すときに引数を保持するためにスタックが使用される。オプションの指定によって,引数で受け渡すデータをどの関数からでも参照できる共通域に移して,スタックの使用量を減らすことは可能だが,“良いプログラム”とは見なされないこともある。
ア 実行するときのメモリの使用量が,一定以下に必ず収まる。
イ 実行速度が高速になる。
ウ プログラムの一部(関数)を変更しても,他の関数への影響が少ない。 正解
エ プログラムのステップ数が少なく,分かりやすい。
正解 ウ
解説
引数のデータを,どの関数からでも参照できる共通域(グローバル領域)に置いて受け渡すと,複数の関数が共通のデータに依存する共通結合となり,モジュール結合度が強くなる。一つの関数でデータの扱いを変えると,同じ共通域を使う他の関数にも影響が及ぶ。引数としてスタックで受け渡す“良いプログラム”は,関数間の結合度が弱く,関数を変更しても他の関数への影響が少ない。ウが該当する。
アについて,引数をスタックで受け渡す方法は,共通域に移す方法よりスタックの使用量が多く,メモリの使用量が一定以下に収まることを保証する特性ではない。イの実行速度やエのステップ数は,記述の中で“良いプログラム”の理由として挙げられている観点ではなく,スタックと共通域の使い分けから導かれる特性でもない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
ソフトウェアの使用性を向上させる施策として,適切なものはどれか。
ア オンラインヘルプを充実させ,利用方法を理解しやすくする。 正解
イ 外部インタフェースを見直し,連携できる他システムを増やす。
ウ 機能を追加し,業務の遂行においてシステムを利用できる範囲を拡大する。
エ ファイルの複製を分散して配置し,装置の故障によるファイル損失のリスクを減らす。
正解 ア
解説
使用性(ユーザビリティ)は,利用者がソフトウェアを理解し,習得し,操作しやすい度合いを表す品質特性である。オンラインヘルプを充実させて利用方法を理解しやすくすることは使用性の向上に当たるので,アが適切である。
イの連携できる他システムを増やすことは相互運用性(互換性),ウの機能を追加して利用できる範囲を広げることは機能性(機能適合性),エのファイルを分散配置して障害時の停止リスクを減らすことは信頼性(可用性)を向上させる施策である。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
データが昇順に並ぶようにリストへデータを挿入するサブルーチンを作成した。このサブルーチンのテストに用いるデータの組合せのうち,網羅性の観点から適切なものはどれか。ここで,データは左側から順にサブルーチンへ入力する。
ア 1,3,2,4
イ 3,1,4,2 正解
ウ 3,4,2,1
エ 4,3,2,1
正解 イ
解説
昇順のリストへデータを挿入するサブルーチンでは,空のリストへの挿入,先頭への挿入,末尾への挿入,途中への挿入の各場合を網羅してテストする必要がある。イの 3,1,4,2 では,3 は空のリストへ,1 は先頭へ,4 は末尾へ,2 は 1 と 3 の間へ挿入され,全ての場合を確認できる。イが適切である。
アの 1,3,2,4 は,空のリスト,末尾,途中,末尾への挿入で,先頭への挿入を確認できない。ウの 3,4,2,1 は,空のリスト,末尾,先頭,先頭への挿入で,途中への挿入を確認できない。エの 4,3,2,1 は,空のリストへの挿入の後は全て先頭への挿入になる。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
プログラム実行中の特定の時点で成立すべき変数間の関係や条件を記述した論理式を埋め込んで,そのプログラムの正当性を検証する手法はどれか。
ア アサーションチェック 正解
イ コード追跡
ウ スナップショットダンプ
エ テストカバレッジ分析
正解 ア
解説
アサーションチェックは,プログラムの特定の位置に,その時点で成り立つべき変数間の関係や条件を論理式(アサーション)として埋め込み,実行時にその式が成り立つかを確かめることで,プログラムの正当性を検証する手法である。アが該当する。
イのコード追跡(トレース)は実行した命令の順序や変数の値の変化を追跡する手法,ウのスナップショットダンプはプログラムの実行中の指定した時点で主記憶やレジスタの内容を出力する手法である。エのテストカバレッジ分析は,テストによってプログラムの命令や分岐がどれだけ実行されたかの網羅率を測る手法である。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
組込みシステムのソフトウェア開発におけるリグレッションテストの役割として,適切なものはどれか。
ア 実行タイミングや処理性能に対する要件が満たされていることを検証する。
イ ソフトウェアのユニットに不具合がないことを確認する。
ウ ハードウェアの入手が困難な場合に,シミュレータを用いて検証する。
エ プログラムの変更によって,想定外の影響が出ていないかどうかを確認する。 正解
正解 エ
解説
リグレッションテスト(回帰テスト)は,プログラムを変更したときに,変更した箇所以外に想定外の影響が出ていないか,それまで正しく動いていた機能が変わらず動作するかを確認するテストである。組込みシステムでも,不具合の修正や機能追加のたびに実施する。エが適切である。
アの実行タイミングや処理性能の要件を満たすことの検証は性能テストやタイミングの検証,イのソフトウェアのユニットに不具合がないことの確認は単体テスト(ユニットテスト)の役割である。ウのシミュレータを用いた検証は,実機が使えないときにハードウェアの代わりにシミュレータ上でソフトウェアを動かして行うテストの方法である。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
ソフトウェアライフサイクルプロセスに基づいて実施するシステム開発において,次の実施条件に従って行うテストはどれか。
〔実施条件〕
①テストの対象
構成部品(ユニット,コンポーネント)を結合したソフトウェア品目 ②テスト結果の評価時に考慮する基準
ソフトウェア品目への要求事項に対するテスト網羅性 システム結合及びテストの実現可能性
ア システム結合テスト
イ システム適格性確認テスト
ウ ソフトウェア結合テスト
エ ソフトウェア適格性確認テスト 正解
正解 エ
解説
JIS X 0160:2012(ISO/IEC 12207:2008)のソフトウェア適格性確認テストでは,ソフトウェア品目の要求事項に従ってテストを行い,その結果を,ソフトウェア品目の要求事項のテスト網羅性,期待した結果への適合性,システム結合及びテストの実現可能性,運用及び保守の実現可能性を考慮して評価する。テストの対象が構成部品を結合したソフトウェア品目で,評価基準に次の段階のシステム結合の実現可能性が含まれることから,エが該当する。
ウのソフトウェア結合テストもソフトウェア品目を対象とするが,評価基準は次の段階のソフトウェア適格性確認テストの実現可能性である。アのシステム結合テストとイのシステム適格性確認テストは,ソフトウェア品目やハードウェアなどを結合したシステムを対象とし,システム要求事項のテスト網羅性を評価基準とする。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
ソフトウェアのテスト工程において,バグ管理図を用いて,テストの進捗状況とソフトウェアの品質を判断したい。このときの考え方のうち,最も適切なものはどれか。
ア テスト工程の前半で予想以上にバグが摘出され,スケジュールが遅れたので,スケジュールの見直しを行い,数日遅れでテスト終了の判断をした。
イ テスト項目がスケジュールどおりに消化され,かつ,バグ摘出の累積件数が増加しなければ,ソフトウェアの品質は高いと判断できる。
ウ テスト項目消化の累積件数,バグ摘出の累積件数及び未解決バグの件数が変化しなくなった場合は,解決困難なバグに直面しているかどうかを確認する必要がある。 正解
エ バグ摘出の累積件数の推移とテスト項目の未消化件数の推移から,テスト終了の時期をほぼ正確に予測できる。
正解 ウ
解説
バグ管理図では,テスト項目の消化件数,バグの摘出件数の累積,未解決バグの件数の推移を並べて見る。これらの全てが変化しなくなった場合は,テストが進んでおらず,バグの解決もされていない状態なので,解決困難なバグによって作業が止まっていないかを確認する必要がある。ウが適切である。
アは,前半にバグが多く摘出されたことだけを理由に遅れ日数を判断しており,品質の状況を考慮していない。イは,テスト項目の品質が低い(バグを検出できていない)可能性もあるので,累積件数が増えないだけで品質が高いとは判断できない。エは,バグの摘出の推移には不確実性があり,テストの終了時期をほぼ正確に予測することはできない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
ある通信販売事業者は,人工知能技術を利用して人間のように受け答えする,Web のチャットをインタフェースとしたユーザサポートシステムを開発している。テスト工程では,次の方法でテストする手法を採用した。このような,人工知能に関するテスト手法を何というか。
〔テストの方法〕
判定者は,このシステムと人間の二者を相手に自然言語によるチャットを行う。このとき,判定者はどちらがこのシステムで,どちらが人間なのかは知らされていない。 判定者が一連のチャットを行った後に,チャットの相手のどちらがこのシステムで,どちらが人間かを判別できるかどうかを確認する。
ア 実験計画法
イ チューリングテスト 正解
ウ ファジング
エ ロードテスト
正解 イ
解説
チューリングテストは,判定者が相手を知らされないまま,機械と人間のそれぞれと自然言語で対話し,どちらが機械かを見分けられるかどうかによって,機械が人間のように振る舞えるかを判定する手法である。A. M. チューリングが提唱した。テストの方法がこれに当たり,イが該当する。
アの実験計画法は,少ない実験回数で要因の効果を効率よく調べるための統計的な手法である。ウのファジングは,予測できない入力データを大量に与えて脆弱性を検出するテスト手法,エのロードテストは,システムに負荷を掛けて性能を確認するテストである。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
アジャイル開発手法の一つであるスクラムを適用したソフトウェア開発プロジェクトにおいて,KPT 手法を用いてレトロスペクティブを行った。KPT における三つの視点の組みはどれか。
ア Kaizen,Persona,Try
イ Keep,Problem,Try 正解
ウ Knowledge,Persona,Test
エ Knowledge,Practice,Team
正解 イ
解説
KPT は,振り返り(レトロスペクティブ)の手法の一つで,Keep(うまくいったので今後も続けること),Problem(うまくいかなかったことや問題点),Try(次に試す改善策)の三つの視点で意見を出し合い,次の活動に生かす。イが該当する。
アは Try を含むが,Kaizen(改善)と Persona(ペルソナ,典型的な利用者像)は KPT の視点ではない。ウの Knowledge,Persona,Test と,エの Knowledge,Practice,Team も,頭文字が K,P,T になるだけで,KPT を構成する視点の組みではない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
UML の図のうち,業務要件定義において,業務フローを記述する際に使用する,処理の分岐や並行処理,処理の同期などを表現できる図はどれか。
ア アクティビティ図 正解
イ クラス図
ウ 状態マシン図
エ ユースケース図
正解 ア
解説
アクティビティ図は,処理の流れを開始から終了まで順に表す UML の図で,条件による分岐(デシジョンノード),並行処理への分割と同期(フォーク・ジョイン),担当者ごとのレーン分け(パーティション)を書ける。業務フローの記述に向くのでアが正しい。
イのクラス図はクラスと関連による静的な構造,ウの状態マシン図は一つのオブジェクトが取る状態とその遷移,エのユースケース図は利用者(アクタ)とシステムが提供する機能の関係を表す図で,いずれも処理の流れそのものは表現しない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
知的財産権使用許諾契約の中で規定する,ランニングロイヤリティの説明はどれか。
ア 技術サポートを受ける際に課される料金
イ 特許技術の開示を受ける際に,最初に課される料金
ウ 特許の実施実績に応じて額が決まる料金 正解
エ 毎年メンテナンス費用として一定額課される料金
正解 ウ
解説
ランニングロイヤリティは,知的財産権の実施許諾(ライセンス)の対価のうち,許諾を受けた者が特許などを実施した実績,例えば製品の販売数量や売上高に応じて額が決まるものである。売上高に一定の料率を掛けて算定する方式などがある。ウが該当する。
イの技術の開示を受ける際に最初に課される料金は,契約時に一時金として支払うイニシャルペイメント(頭金)である。エの毎年一定額を課されるものは,実施の実績によらない定額の料金であり,実績に応じて変動するランニングロイヤリティとは異なる。アの技術サポートの料金は,実施許諾の対価ではなく,サポートという役務に対する料金である。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
グラントバックの説明はどれか。
ア 異なる分野で特許技術をもつ事業者同士が技術供与協定を締結し,互いに無償で特許の実施権を許諾すること
イ 自社固有のビジネスモデルに関してビジネスモデル特許を取得した上で,無償で広くその利用を許諾すること
ウ ライセンスを受けた者が特許技術を改良して,新たに取得した特許について,ライセンスを与えた者へ譲渡する義務を課すこと
エ ライセンスを受けた者が特許技術を改良して,新たに取得した特許は,ライセンスを与えた者に実施権が許諾されること 正解
正解 エ
解説
グラントバックは,ライセンスを受けた者(ライセンシー)が許諾された特許技術を改良して得た特許(改良技術)について,ライセンスを与えた者(ライセンサー)に実施権を許諾する義務のことである。公正取引委員会の“知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針”では,改良技術の非独占的ライセンス義務は,ライセンシーが改良技術を自由に利用できる場合には原則として不公正な取引方法に該当しないとされている。エが該当する。
ウの改良特許をライセンサーに譲渡する義務を課すことはアサインバックと呼ばれ,同指針で原則として不公正な取引方法に該当するとされる行為である。アの事業者同士が互いに特許の実施権を許諾し合うのはクロスライセンスである。イはビジネスモデル特許を取得して無償で利用を許諾する,特許の無償開放の説明である。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
ディープラーニングに該当するものはどれか。
ア 従来の集合教育に,e ラーニングや動画配信などの ICT 技術を活用した教育を組み合わせて,より深い理解を狙う。
イ 深層心理学の理論をコンピュータ上のプログラムに実装して,人の行動特性分析や性格診断を行う。
ウ 多次元データベースにおけるデータ分析の過程で,集計結果を下位レベルに掘り下げてデータ内容を確認し,更に精緻な分析を行う。
エ 多層構造のニューラルネットワークにおいて,大量のデータを入力することによって,各層での学習を繰り返し,推論や判断を実現する。 正解
正解 エ
解説
ディープラーニング(深層学習)は,入力層と出力層の間に多数の中間層(隠れ層)をもつ多層のニューラルネットワークを用いた機械学習の手法である。大量のデータを与えて学習させることで,データの特徴を各層で自動的に抽出し,画像認識や音声認識などの推論や判断を行う。エが該当する。
アは集合教育と e ラーニングなどを組み合わせるブレンディッドラーニングの説明である。イは深層心理学を用いた性格診断で,ディープラーニングとは関係がない。ウは多次元データベースの分析で集計の階層を下位へ掘り下げるドリルダウンの説明である。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
図はプロセッサによってフェッチされた命令の格納順序を表している。a に該当するプロセッサの構成要素はどれか。
ア アキュムレータ
イ データキャッシュ
ウ プログラムレジスタ(プログラムカウンタ)
エ 命令レジスタ 正解
正解 エ
解説
主記憶からフェッチした命令をいったん保持し,命令デコーダへ渡すのは命令レジスタ。図の a は主記憶と命令デコーダの間にあるので,これに当たる。
アのアキュムレータは演算の対象や結果を保持するレジスタ,イのデータキャッシュは命令ではなくデータを保持する高速メモリ,ウのプログラムレジスタ(プログラムカウンタ)は次に実行する命令のアドレスを保持するレジスタである。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
ページング方式の仮想記憶において,主記憶の 1 回のアクセス時間が 300 ナノ秒で,主記憶アクセス 100 万回に 1 回の割合でページフォールトが発生し,ページフォールト 1 回当たり 200 ミリ秒のオーバヘッドを伴うコンピュータがある。主記憶の平均アクセス時間を短縮させる改善策を,効果の高い順に並べたものはどれか。
〔改善策〕
a 主記憶の 1 回のアクセス時間はそのままで,ページフォールト発生時の 1 回当たりのオーバヘッド時間を 1/5 に短縮する。 b 主記憶の 1 回のアクセス時間を 1/4 に短縮する。ただし,ページフォールトの発生率は 1.2 倍となる。 c 主記憶の 1 回のアクセス時間を 1/3 に短縮する。この場合,ページフォールトの発生率は変化しない。
ア a,b,c
イ a,c,b
ウ b,a,c
エ c,b,a 正解
正解 エ
解説
平均アクセス時間=主記憶のアクセス時間+ページフォールト発生率×オーバヘッド時間 で求める。現状は 300 ナノ秒+10-6 ×200 ミリ秒=300+200=500 ナノ秒である。a は 300+10-6 ×40 ミリ秒=300+40=340 ナノ秒,b は 300/4+1.2×10-6 ×200 ミリ秒=75+240=315 ナノ秒,c は 300/3+200=100+200=300 ナノ秒となる。平均アクセス時間が短いほど効果が高いので,c,b,a の順になり,エになる。
ア,イ,ウはいずれも a を c より上位に置いているが,a の 340 ナノ秒は c の 300 ナノ秒より長く,効果は c の方が高い。また,b の 315 ナノ秒は a より短いので,イのように a を b より上位にする順序にもならない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
ホストコンピュータとそれを使用するための 2 台の端末を接続したシステムがある。ホストコンピュータの故障率を a,端末の故障率を b とするとき,このシステムが故障によって使えなくなる確率はどれか。ここで,端末は 1 台以上が稼働していればよく,通信回線など他の部分の故障は発生しないものとする。
ア 1-(1-a)(1-b2 ) 正解
イ 1-(1-a)(1-b)2
ウ (1-a)(1-b2 )
エ (1-a)(1-b)2
正解 ア
解説
ホストコンピュータと端末群は直列につながっており,両方が稼働していればシステムを使える。端末は 2 台のうち 1 台以上が稼働していればよい並列構成なので,端末群が稼働している確率は 1-b2 である。システムが稼働している確率は (1-a)(1-b2 ) で,使えなくなる確率はこれを 1 から引いた 1-(1-a)(1-b2 ) となる。アになる。
ウの (1-a)(1-b2 ) は,システムが使える確率である。エの (1-a)(1-b)2 は,ホストと 2 台の端末が全て稼働している確率であり,イの 1-(1-a)(1-b)2 は,端末が 2 台とも稼働していなければならない場合にシステムが使えなくなる確率である。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
関数従属 {A,B}→C が完全関数従属性を満たすための条件はどれか。
ア {A,B}→B 又は {A,B}→A が成立していること
イ A→B→C 又は B→A→C が成立していること
ウ A→C 及び B→C のいずれも成立しないこと 正解
エ C→{A,B} が成立しないこと
正解 ウ
解説
関数従属 {A,B}→C が完全関数従属であるとは,C が {A,B} の全体に関数従属し,その真部分集合である A や B のどちらか一方だけには関数従属しないことをいう。したがって,A→C と B→C のいずれも成立しないことが条件になる。ウが正しい。
アの {A,B}→B や {A,B}→A は,決定項に被決定項が含まれる自明な関数従属であり,いつでも成立する。イの A→B→C は推移的関数従属の関係を表しており,この場合は A→C が成立するので,{A,B}→C は部分関数従属になる。エの C→{A,B} が成立しないことは,逆向きの従属についての条件であり,完全関数従属とは関係がない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
図は,既存の電話機と PBX を使用した企業内の内線網を,IP ネットワークに統合する場合の接続構成を示している。図中の a〜c に該当する装置の適切な組合せはどれか。
ア a:PBX,b:VoIP ゲートウェイ,c:ルータ 正解
イ a:PBX,b:ルータ,c:VoIP ゲートウェイ
ウ a:VoIP ゲートウェイ,b:PBX,c:ルータ
エ a:VoIP ゲートウェイ,b:ルータ,c:PBX
正解 ア
解説
既存の電話機はまず内線交換機である PBX に接続する。PBX が扱う電話の音声信号を IP パケットに変換して IP ネットワークでやり取りできるようにするのが VoIP ゲートウェイであり,そのパケットをルータを通して IP ネットワークへ送る。電話機から順に PBX,VoIP ゲートウェイ,ルータとなるので,アが適切である。
イは PBX の出す電話の信号を IP 化しないままルータに渡すことになり,ルータは IP パケットしか中継できないので通信できない。ウは VoIP ゲートウェイで IP 化した後に PBX を置き,エは IP ネットワークの直前に PBX を置いているが,既存の PBX は電話の信号を交換する装置で IP パケットを扱えないので,どちらも成り立たない。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
ディジタル署名のあるソフトウェアをインストールするときに,そのソフトウェアの開発元又は発行元を確認するために使用する証明書はどれか。
ア EV SSL 証明書
イ クライアント証明書
ウ コードサイニング証明書 正解
エ サーバ証明書
正解 ウ
解説
コードサイニング証明書は,ソフトウェアやドライバに署名して,配布元が正当であることと,配布後に改ざんされていないことを利用者が検証できるようにするための証明書。
アの EV SSL 証明書とエのサーバ証明書は Web サーバの身元を証明するもの,イのクライアント証明書は利用者や端末を認証するためのもの。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
暗号技術のうち,共通鍵暗号方式はどれか。
ア AES 正解
イ ElGamal 暗号
ウ RSA
エ 楕円曲線暗号
正解 ア
解説
AES(Advanced Encryption Standard)は,暗号化と復号に同じ鍵を使う共通鍵暗号方式で,米国の標準暗号として採用され,無線 LAN の WPA2 や TLS など広く使われている。アが正しい。
イの ElGamal 暗号,ウの RSA,エの楕円曲線暗号は,いずれも暗号化に公開鍵,復号に秘密鍵を使う公開鍵暗号方式である。RSA は大きな数の素因数分解の難しさ,ElGamal 暗号と楕円曲線暗号は離散対数問題の難しさを安全性の根拠にしている。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
セキュア OS を利用することによって期待できるセキュリティ上の効果はどれか。
ア 1 回の利用者認証で複数のシステムを利用できるので,強固なパスワードを一つだけ管理すればよくなり,脆弱なパスワードを設定しにくくなる。
イ Web サイトへの通信路上に配置して通信を解析し,攻撃をブロックすることによって,Web アプリケーションソフトウェアの脆弱性を突く攻撃から Web サイトを保護できる。
ウ 強制アクセス制御の設定によって,ファイルの更新が禁止されていれば,システムに侵入されてもファイルの改ざんを防止できる。 正解
エ システムへのログイン時には,パスワードのほかに専用トークンを用いた認証が行われるので,パスワードが漏えいしても,システムへの侵入を防止できる。
正解 ウ
解説
セキュア OS は,強制アクセス制御(MAC)と最小特権の機能をもつ OS である。強制アクセス制御では,システムの管理者が定めたセキュリティポリシーに従ってアクセスが制御され,root などの特権ユーザでもポリシーを越えた操作はできない。ファイルの更新を禁止する設定にしておけば,侵入されてもファイルの改ざんを防止できる。ウが該当する。
アは 1 回の認証で複数のシステムを利用できるシングルサインオン,イは通信を解析して Web アプリケーションへの攻撃を遮断する WAF,エはパスワードに加えてトークンを用いる二要素認証の効果である。
出典:令和元年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
ほかの年度
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅱ
令和6年度 秋期 午前Ⅱ
令和5年度 秋期 午前Ⅱ
令和4年度 秋期 午前Ⅱ
令和3年度 秋期 午前Ⅱ
令和2年度 10月 午前Ⅱ
平成31年度 春期 午前Ⅱ
平成30年度 春期 午前Ⅱ
平成29年度 春期 午前Ⅱ
平成28年度 春期 午前Ⅱ
平成27年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 秋期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅰ
令和7年度 春期 午前Ⅱ
令和7年度 春期 午後Ⅰ
令和6年度 秋期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅰ
令和6年度 春期 午前Ⅱ
令和6年度 春期 午後Ⅰ
令和5年度 秋期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅰ
令和5年度 春期 午前Ⅱ
令和5年度 春期 午後Ⅰ
令和4年度 秋期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅰ
令和4年度 春期 午前Ⅱ
令和4年度 春期 午後Ⅰ
令和3年度 秋期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅰ
令和3年度 春期 午前Ⅱ
令和3年度 春期 午後Ⅰ
令和2年度 10月 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅰ
令和元年度 秋期 午前Ⅱ
令和元年度 秋期 午後Ⅰ
平成31年度 春期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅰ
平成30年度 秋期 午前Ⅱ
平成30年度 秋期 午後Ⅰ
平成30年度 春期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅰ
平成29年度 秋期 午前Ⅱ
平成29年度 秋期 午後Ⅰ
平成29年度 春期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅰ
平成28年度 秋期 午前Ⅱ
平成28年度 秋期 午後Ⅰ
平成28年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅰ
平成27年度 春期 午前Ⅰ
平成27年度 秋期 午前Ⅱ
平成27年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅰ
平成26年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 春期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午前Ⅰ
平成25年度 秋期 午後Ⅰ
平成25年度 春期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午前Ⅰ
平成24年度 秋期 午後Ⅰ
平成24年度 春期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午前Ⅰ
平成23年度 秋期 午後Ⅰ
平成23年度 特別試験 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午前Ⅰ
平成22年度 秋期 午後Ⅰ
平成22年度 春期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午前Ⅰ
平成21年度 秋期 午後Ⅰ
平成26年度 秋期 午前Ⅱ
平成25年度 秋期 午前Ⅱ
平成24年度 秋期 午前Ⅱ
平成23年度 秋期 午前Ⅱ
平成22年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 秋期 午前Ⅱ
平成21年度 春期 午前Ⅰ