平成23年度 秋期 午前Ⅱ

平成23年度 秋期に実施されたシステムアーキテクト試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

UML を使って図のクラス P を定義した。このクラスの操作のうち,公開可視性(public)をもつものはどれか。

クラス P のクラス図。クラス名は“クラス P”,属性欄は空。操作欄は上から“+ 操作 A”,“- 操作 B”,“# 操作 C”。

正解 

解説

UML のクラス図では,属性や操作の名前の前に付ける記号で可視性を表す。“+”は公開(public)で,どのクラスからも参照できる。“-”は非公開(private)で,そのクラスの中だけから参照できる。“#”は限定公開(protected)で,そのクラスとサブクラスから参照できる。図で“+”が付いているのは操作 A だけなので,イが正しい。

アは,操作 B と操作 C が公開ではないので誤りである。ウの操作 B は“-”が付いた private,エの操作 C は“#”が付いた protected の操作である。なお,“~”はパッケージ内に公開する package を表す。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

論理データモデル作成におけるトップダウンアプローチ,ボトムアップアプローチに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

論理データモデルの作成で,トップダウンアプローチは,業務の目的や概念から主要なエンティティとその関連を洗い出して全体の構造を作る方法,ボトムアップアプローチは,現状の画面や帳票などに現れるデータ項目を集め,正規化して積み上げる方法である。どちらから作っても,最終的な論理データモデルは正規化され,業務に必要な属性を全て備えていなければならない。イが適切である。

アは誤りで,トップダウンアプローチでも現状業務を分析してエンティティを洗い出すことはできる。ウの現状の画面や帳票を素材とするのはボトムアップアプローチの特徴である。エも誤りで,ボトムアップアプローチは新規システムの設計でも用いられ,二つの方法を組み合わせて使うことも多い。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

要件定義フェーズにおいて BPMN(Business Process Modeling Notation)を導入する効果として,適切なものはどれか。

正解 

解説

BPMN は,業務プロセスをイベント,アクティビティ,ゲートウェイ,シーケンスフローなどの標準化された図記号で表記する方法で,OMG が仕様を管理している。業務担当者とシステム開発者が同じ表記法で業務の流れを共有できるので,要件定義で業務の流れを統一的な表記方法で表現できる。イが適切である。なお,BPMN 2.0 からは名称が Business Process Model and Notation に改められている。

アの業務の実施状況や実績を定量的に把握するのは,BAM(Business Activity Monitoring)などの業務の監視の仕組みの役割である。ウの業務要件からデータモデルを自動生成する機能は,BPMN という表記法がもつ効果ではない。エの E-R 図は,データのエンティティと関連を表すデータモデリングの表記法で,BPMN とは別のものである。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

ソフトウェア方式設計時の“ソフトウェア構造とコンポーネントの方式設計”において,機能要求を実現するための各オブジェクトの作業分担を記述するのに適した図はどれか。

正解 

解説

コミュニケーション図は,オブジェクトどうしをリンクで結び,その上にやり取りするメッセージを順序番号付きで書き込んで,オブジェクト間の相互作用を表す UML の図である。ある機能要求を実現するために,どのオブジェクトがどのメッセージを受けて何を担当するかを示せるので,各オブジェクトの作業分担の記述に適している。アが適切である。

イのコンポーネント図は,ソフトウェアを構成するコンポーネントとそのインタフェース,依存関係を表す図である。ウのステートマシン図は,一つのオブジェクトの状態とイベントによる状態遷移を表す図である。エのユースケース図は,アクタとシステムが提供する機能(ユースケース)の関係を表す図で,機能要求の範囲を示すものである。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

モジュールの独立性を高めるには,モジュール結合度を弱くする必要がある。モジュール間の情報の受渡し方法のうち,モジュール結合度が最も弱いものはどれか。

正解 

解説

モジュール結合度は弱いものから順に,データ結合・スタンプ結合・制御結合・外部結合・共通結合・内容結合と分類される。必要なデータ項目だけを引数で受け渡すウはデータ結合で,この中で最も結合度が低い。

イは相手の内部の動きを指示する制御結合,エは外部結合,アは共通域を介する共通結合で,いずれもウより結合度が高い。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

ソフトウェア開発における分析・設計技法と,その技法における着目点の説明のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

DFD(データフローダイアグラム)は,データの発生源と到達点,処理(プロセス),データストアと,それらの間を流れるデータを表す図で,DFD を用いた構造化分析ではデータの流れに着目して業務やシステムを分析する。アが適切である。

イの事象と状態の変化に着目するのは,状態遷移図やペトリネットを用いた技法である。ウの対象の関連に着目するのは,エンティティとその関連を表す E-R 図を用いた技法である。エの処理機能に着目するのは,機能を階層的に分解し,入力・処理・出力で表す HIPO を用いた技法である。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

データ中心アプローチに関する記述のうち,最も適切なものはどれか。

正解 

解説

データ中心アプローチ(DOA)は,業務で扱うデータは処理に比べて変化しにくいことに着目し,まずデータを分析して全社的に共有するデータベースとして設計し,それを基に処理を設計する考え方である。データを一元管理してデータ資源の重複をなくすとともに,同じデータを更新する処理も一か所にまとめて,プロセスの重複も排除することを目指す。アが適切である。

イのデータとその処理手順をカプセル化するのは,オブジェクト指向の考え方である。ウのデータの流れに着目してシステムを分析し,モジュールを抽出するのは,DFD を用いる構造化分析・設計などのプロセス中心アプローチの説明である。エの構造化設計技法で業務システムを機能分割するのも,機能を中心に考えるプロセス中心アプローチの設計である。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

出力帳票の 1 ページごとにヘッダと 30 件分のレコードを出力するプログラムをテストしたい。このプログラムを限界値分析によってテストするための最少のテストデータを用意するとき,レコード件数の組合せとして,適切なものはどれか。

正解 

解説

限界値分析では,同値クラスの境界の値とその両隣の値をテストデータに選ぶ。このプログラムでは,レコード件数が 0 件(出力するレコードがない),1 件(最初のページにレコードが出る),30 件(1 ページ目がちょうど満杯になる),31 件(2 ページ目に改ページしてヘッダが再び出力される)が境界に当たる。0,1,30,31 の組合せになり,ウが適切である。

アは 30 件がなく,1 ページがちょうど満杯になる境界を確かめられない。イは 30 件がないうえ,境界ではない 20 件を含んでいる。エは 0,1,30,31 を含むが,境界ではない 20 件が余分で,最少のテストデータではない。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

並列処理プログラミングの特徴を説明したものはどれか。

正解 

解説

並列処理プログラミングは,一つのプログラムで行う処理を複数の部分に分割し,それらを複数の処理装置(プロセッサ)で同時に実行し,得られた結果を最後に一つにまとめることで,単一の処理装置では実現できない高速な処理を実現するものである。エが正しい。

アの一方でオンライン処理,他方でバッチ処理を実行し,障害時にオンライン処理を引き継ぐのはデュプレックスシステムの説明である。イの複数のシステムで同じ処理を同時に行って結果を照合するのはデュアルシステムの説明である。ウの処理装置ごとに役割を決めて負荷を分散させるのは,機能分散システムの説明である。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

アジャイルソフトウェア開発などで導入されている“ペアプログラミング”の説明はどれか。

正解 

解説

ペアプログラミングは,2人のプログラマが1台のコンピュータに向かい,一人がコードを書き,もう一人がその場でレビューや助言をしながら一つのプログラムを開発する手法で,役割は適宜交代する。誤りを早く見つけて品質を高めるとともに,知識や技術をメンバー間で共有できる。エが適切である。

アはプログラマと利用者が試作品を見ながら要件を固めるプロトタイピング。イはメインプログラムとサブプログラムを分担する作業分割で,一つのプログラムを2人で作るものではない。ウは交代で休憩しながら長時間作業を続けるもので,ペアプログラミングの目的とは異なる。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

ソフトウェア開発手法の特徴に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

スパイラルモデルは,要件定義,設計,プログラミング,テストの一連の工程を,リスクを評価しながら螺旋状に繰り返してシステムを段階的に完成させていく開発モデルである。繰り返しの中で要求を具体化できるので,要求が未確定なシステムの開発に向いている。イが適切である。

アのウォータフォールモデルは,工程を順に進めて原則として後戻りしない方式で,要件が明確な大規模開発に向き,エンドユーザプログラミングに適しているわけではない。ウの評価用のモデルを作って評価と改良を繰り返し,仕様を早期に確定させるのはプロトタイピングの特徴である。エの機能を分割して段階的に機能を追加していくのは,成長モデル(インクリメンタルモデル)などの特徴であり,プロトタイピングはスパイラルモデルを改良した方法ではない。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

投資効果を現在価値法で評価するとき,最も投資効果の大きい(又は損失の小さい)シナリオはどれか。ここで,期間は 3 年間,割引率は 5% とし,各シナリオのキャッシュフローは表のとおりとする。

各シナリオのキャッシュフローの表(単位 万円)。列は投資額,回収額(1 年目,2 年目,3 年目)。シナリオ A:投資額 220,回収額 40,80,120。シナリオ B:投資額 220,回収額 120,80,40。シナリオ C:投資額 220,回収額 80,80,80。投資をしない:投資額 0,回収額 0,0,0。

正解 

解説

正味現在価値は,各年の回収額を割引率で現在価値に直して合計し,投資額を引いて求める。割引率5%なら1年目は 1.05,2年目は 1.052=1.1025,3年目は 1.053≒1.1576 で割る。

A は 40/1.05+80/1.1025+120/1.1576≒38.1+72.6+103.7=214.4 で,220 を引くと約 −5.6 万円。B は 120/1.05+80/1.1025+40/1.1576≒114.3+72.6+34.6=221.5 で約 +1.5 万円。C は 80/1.05+80/1.1025+80/1.1576≒76.2+72.6+69.1=217.9 で約 −2.1 万円。投資をしない場合は 0 である。

最も大きいのは B で,イが正しい。割り引かずに合計すると回収額はどのシナリオも 240 万円で同じになり,差が出ない。早い時期に多く回収するシナリオほど現在価値が大きくなる。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

BABOK の説明はどれか。

正解 

解説

BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)は,IIBA がまとめたビジネスアナリシスの知識体系で,ビジネスアナリシスの計画とモニタリング,引き出し,要求アナリシス,基礎コンピテンシなどの知識エリアから成る(出題当時の第2版は七つの知識エリア)。ウが正しい。

アはソフトウェア品質の知識体系である SQuBOK,イはソフトウェアエンジニアリングの知識体系である SWEBOK,エはプロジェクトマネジメントの知識体系である PMBOK の説明である。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

システムの非機能要件となるものはどれか。

正解 

解説

非機能要件は,システムが何をするかという機能要件以外の要件で,品質(信頼性,使用性,効率性,保守性など),技術,運用・操作,移行,セキュリティなどに関する要件を指す。共通フレーム 2013 では,非機能要件の品質要件として使用性などの品質特性を援用できるとしている。システムの操作性は使用性に関する要件であり,ウが非機能要件である。

アのシステム化を実現する業務の範囲,イのシステム内での情報(データ)の流れ,エの他システムとのインタフェースは,いずれもシステムが提供する機能やその実現範囲を定めるもので,共通フレーム 2013 では機能要件の定義で明確にするものとされている。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

経済産業省の“情報システム・モデル取引・契約書”によれば,ユーザとベンダ間で請負型の契約を推奨しているフェーズはどれか。

フェーズを左から順に並べた図。システム化計画,要件定義,システム外部設計,システム内部設計,ソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテスト,システム結合,システムテスト,導入・受入支援。その下に範囲を示す両矢印が4本ある。アはシステム化計画から導入・受入支援まで,イは要件定義から導入・受入支援まで,ウは要件定義からシステム結合まで,エはシステム内部設計からシステム結合まで。

正解 

解説

“情報システム・モデル取引・契約書”は,ユーザが主体となって進める工程には準委任型を,ベンダが成果物の完成に責任を負える工程には請負型の契約を適切としている。システム化計画と要件定義はユーザの業務や要望を固める工程なので準委任型,システム外部設計は準委任型又は請負型,システム内部設計からソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテスト,システム結合までは請負型,システムテストは準委任型又は請負型,導入・受入支援は準委任型とされる。請負型が適切とされるのはシステム内部設計からシステム結合までで,エが正しい。

ア,イ,ウは,いずれも準委任型が適切とされる要件定義や導入・受入支援などのフェーズを含んでいる。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

エンタープライズアーキテクチャにおいて,ビジネスアーキテクチャの成果物である機能情報関連図(DFD)を説明したものはどれか。

正解 

解説

業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン)では,ビジネスアーキテクチャに当たる政策・業務体系の成果物として,業務説明書,機能情報関連図(DFD),業務流れ図(WFA),情報体系整理図を作成する。機能情報関連図は,業務・システムの各機能について,情報の発生源と到達点,処理,保管とそれらの間を流れるデータを統一記述規則に基づき表現するものである。エが該当する。

アは適用処理体系(アプリケーションアーキテクチャ)の成果物である情報システム関連図,イは業務の機能を 3 行 3 列の格子様式で階層的に整理する機能構成図(DMM),ウは業務で扱う情報の関連と構造を明確化する情報体系整理図の説明である。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

BCP 策定に際して,目標復旧時間となるものはどれか。

正解 

解説

目標復旧時間(RTO:Recovery Time Objective)は,重要業務をどれくらいの時間で復旧させるかの目標である。内閣府の事業継続ガイドラインでは,業務の停止が許されると考える時間の許容限界を事業への影響の分析から推定し,それより早い時点に目標復旧時間を設定するとしている。業務の停止が深刻な被害とならない範囲として許容される時間を表すイが該当する。

アの代替手段から元の状態に完全に戻るまでの時間は全面復旧までの時間で,業務を再開させる目標とは異なる。ウの縮退運用を継続できる時間は,縮退状態の許容時間である。エの待機系への切替えに要する時間は,復旧の手段の所要時間であり,業務として目標とする復旧時間ではない。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

グリッドコンピューティングの説明はどれか。

正解 

解説

グリッドコンピューティングは,ネットワークでつながった PC やサーバ,大型コンピュータなど多数のコンピュータの処理能力を束ね,一つの大規模な処理を分担して実行させる方式である。遊休状態のコンピュータの能力も活用できる。イが該当する。

アは役割の決まった複数のプロセッサで処理を分担する非対称型マルチプロセッサ(AMP),ウは同等な役割のプロセッサに処理を分散する対称型マルチプロセッサ(SMP)の説明である。エは,一つのプロセッサで複数のスレッドを並行して実行するマルチスレッディング(同時マルチスレッディングなど)の説明である。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

光源からの光を微小な鏡に反射させ,その反射光を拡大投影する動作方式をとるプロジェクタはどれか。

正解 

解説

DLP(Digital Light Processing)は,DMD(Digital Micromirror Device)と呼ばれる,微小な鏡を多数並べた素子を使う方式である。鏡一つ一つの傾きを高速に切り替えて光源からの光を反射させるかどうかを制御し,その反射光をレンズで拡大投影する。イが該当する。

アの CRT は,電子銃から出た電子ビームを蛍光面に当てて発光させる方式(ブラウン管)である。ウの LCD は,液晶で光の透過を制御する方式で,液晶プロジェクタでは液晶パネルを透過した光を投影する。エの PDP は,微小なセル内のガス放電で生じる紫外線で蛍光体を発光させる方式のディスプレイである。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

キャパシティプランニングで行うことはどれか。

正解 

解説

キャパシティプランニングは,現在の資源の使用状況や将来の業務量の予測から,必要な処理能力や記憶容量などを見積もり,性能,経済性及び拡張性を考えてシステムの構成を決める活動である。過剰な投資や能力不足を避け,コンピュータシステムに効率よく投資することが目的である。イが正しい。

アの障害の発生をあらかじめ想定し,被害が最小限になるよう対策を検討するのは,障害対策やリスク対策の検討である。ウのデータのアクセス権や暗号化の要否を決めるのは,情報セキュリティ対策(アクセス制御の設計)である。エの 1 台が故障しても処理を続けたまま修理や交換ができるようにするのは,冗長構成と活性交換によるフォールトトレラント設計である。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

次数が n の関係 R には,属性なし(φ)も含めて異なる射影は幾つあるか。

正解 

解説

次数が n の関係は n 個の属性をもつ。射影は,関係から属性の一部を選んで取り出す操作なので,異なる射影の数は,n 個の属性からなる集合の部分集合の数に等しい。各属性について“選ぶ”か“選ばない”かの 2 通りがあるので,属性なし(φ)を含めて 2n 通りとなり,エになる。

例えば属性が A,B の 2 個なら,φ,{A},{B},{A,B} の 4=22 通りである。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

磁気ディスク装置や磁気テープ装置などのストレージ(補助記憶装置)を,通常の LAN とは別の高速な専用ネットワークで構成する方式はどれか。

正解 

解説

SAN(Storage Area Network)は,サーバと外部記憶装置を,業務用の LAN とは別に用意した高速な専用ネットワークで接続する構成。ファイバチャネルなどを使い,記憶装置へのアクセスが LAN の通信と干渉しない。

アの DAFS はネットワーク越しにファイルを共有するためのプロトコル,イの DAS はサーバに記憶装置を直結する方式,ウの NAS は通常の LAN に接続して使うファイルサーバ専用機であり,いずれも専用ネットワークで接続する構成ではない。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

図は,既存の電話機と PBX を使用した企業内の内線網を,IP ネットワークに統合する場合の接続構成を示している。図中の a 〜 c に該当する装置の適切な組合せはどれか。

接続構成図。左から順に,電話機-a-b-c-IP ネットワーク と直列に接続されている。

正解 

解説

既存の電話機はまず内線交換機である PBX に接続する。PBX が扱う電話の音声信号を IP パケットに変換して IP ネットワークでやり取りできるようにするのが VoIP ゲートウェイであり,そのパケットをルータを通して IP ネットワークへ送る。電話機から順に PBX,VoIP ゲートウェイ,ルータとなるので,アが適切である。

イは PBX の出す電話の信号を IP 化しないままルータに渡すことになり,ルータは IP パケットしか中継できないので通信できない。ウは VoIP ゲートウェイで IP 化した後に PBX を置き,エは IP ネットワークの直前に PBX を置いているが,既存の PBX は電話の信号を交換する装置で IP パケットを扱えないので,どちらも成り立たない。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

暗号方式のうち,共通鍵暗号方式はどれか。

正解 

解説

AES(Advanced Encryption Standard)は,暗号化と復号に同じ鍵を使う共通鍵暗号方式で,米国の標準暗号として採用され,無線 LAN の WPA2 や TLS など広く使われている。アが正しい。

イの ElGamal 暗号,ウの RSA,エの楕円曲線暗号は,いずれも暗号化に公開鍵,復号に秘密鍵を使う公開鍵暗号方式である。RSA は大きな数の素因数分解の難しさ,ElGamal 暗号と楕円曲線暗号は離散対数問題の難しさを安全性の根拠にしている。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

何らかの理由で有効期間中に失効となったディジタル証明書の一覧を示すデータはどれか。

正解 

解説

CRL(Certificate Revocation List,証明書失効リスト)は,有効期間内であっても秘密鍵の漏えいなどの理由で失効させたディジタル証明書を,シリアル番号で列挙したリストである。認証局(CA)などが署名して発行・公開し(RFC 5280),利用者は証明書の検証のときに失効していないかを確認する。エが正しい。

アの CA(Certification Authority,認証局)は,ディジタル証明書を発行・失効させる機関である。イの CP(Certificate Policy,証明書ポリシー)は証明書の適用範囲や運用の方針,ウの CPS(Certification Practice Statement,認証局運用規程)は,認証局が証明書の発行・失効などの業務をどのように運用するかを定めた文書である。

出典:平成23年度 秋期 システムアーキテクト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)