平成24年度 秋期 午前Ⅱ

平成24年度 秋期に実施されたネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

BGP-4 における AS に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 

解説

BGP-4 の AS(Autonomous System,自律システム)は,ISP や大規模な組織など,同一の管理ポリシーによって運用されるネットワーク群であり,2 オクテット又は 4 オクテットの AS 番号で識別される。BGP-4 はこの AS と AS の間で経路情報を交換する。ウが適切である。

アの Router-LSA が伝播する範囲は OSPF のエリアである。イの接続形態によるネットワークの区分と Hello プロトコルによる隣接関係の確立は,OSPF のネットワークタイプの説明である。エのリンクステート型の共通のプロトコルで経路情報を交換するルータの集合も,OSPF などの IGP のルーティングドメインの説明で,AS の定義ではない。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

高速無線通信で使われている多重化方式であり,データ信号を複数のサブキャリアに分割し,各サブキャリアが互いに干渉しないように配置する方式はどれか。

正解 

解説

OFDM(直交周波数分割多重)は,データを多数のサブキャリアに分けて並列に送る方式で,各サブキャリアの周波数を互いに直交する関係に配置するので,周波数が一部重なっていても干渉しない。周波数を有効に使え,マルチパスにも強いので,無線 LAN(IEEE 802.11a/g/n/ac/ax)や 4G・5G の移動通信で使われている。ウが該当する。

アの CCK は IEEE 802.11b で使われた変調方式,イの CDM は拡散符号によって複数の信号を同じ周波数帯に重ねる符号分割多重,エの TDM は時間を区切って複数の信号を順番に送る時分割多重である。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

CS-ACELP(G.729)による 8 k ビット/秒の音声符号化を行う VoIP ゲートウェイ装置において,パケットを生成する周期が 20 ミリ秒のとき,1パケットに含まれる音声ペイロードは何バイトか。

正解 

解説

G.729 の符号化速度は 8k ビット/秒なので,20 ミリ秒の間に生成される音声データは 8,000 ビット/秒×0.02 秒=160 ビットになる。バイトに直すと 160÷8=20 バイトであり,アになる。

イの 160 はビットをバイトに直さなかった値である。ウの 200 やエの 1,000 は,周期や速度の換算を誤った値で,1 パケットの音声ペイロードにはならない。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

図のネットワークで,数字は二つの地点間で同時に使用できる論理回線の多重度を示している。X 地点から Y 地点までには同時に最大幾つの論理回線を使用することができるか。

地点 X,A,B,C,D,E,F,G,Y を結ぶネットワーク図。各辺の数字は論理回線の多重度。X−A:4,X−B:4,X−C:3,A−B:2,A−D:1,B−D:2,B−E:3,B−C:1,C−F:4,F−E:2,F−G:3,D−E:2,E−G:4,D−Y:3,E−Y:3,G−Y:6。

正解 

解説

X から Y へ同時に使える論理回線の最大数は,X 側と Y 側を分ける区間の多重度の合計(カット)のうち最小のものに等しい。X と A をひとまとめにして残りと分けると,切れる区間は X-B 4,X-C 3,A-B 2,A-D 1 で合計 10 になり,これより小さい分け方はない。実際に,X-A-D-Y に 1,X-A-B-D-Y に 2,X-B-E-Y に 3,X-B-C-F-E-G-Y に 1,X-C-F-G-Y に 3 と割り当てると,各区間の多重度を超えずに合計 10 本を同時に使える。ウになる。

X から出る区間の合計は 4+4+3=11 だが,A から先へは A-B 2 と A-D 1 の計 3 しか流せないので,エの 11 にはならない。アの 8 やイの 9 は,経路の組合せを尽くさずに求めた値であり,最大ではない。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

ADSL の上りの伝送速度が下りよりも遅くなっていることの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)は,電話用のメタル回線で音声より高い周波数帯を使ってデータを送る方式で,上り(利用者から局側)と下りに別々の周波数帯を割り当てる。インターネットの利用では下りのデータ量が多いので,下りに広い周波数帯を,上りに狭い周波数帯を割り当てており(ITU-T G.992.1 では上りは約 26~138kHz,下りは約 138kHz~1.1MHz),その結果,上りの伝送速度が下りより遅くなる。エが適切である。

アの ISDN との干渉への対策は,日本で使われた方式(G.992.1 Annex C)などで考慮されたが,上りが下りより遅い理由ではない。イの ATM セルは ADSL 区間でデータを運ぶ単位で,セルの仕様が上りの速度を制限しているわけではない。ウのセキュリティチェックの有無は,伝送速度の上下の差とは関係しない。なお,ADSL は光回線への移行が進み,国内では NTT 東西のフレッツ・ADSL をはじめとして提供の終了が進んでいる。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

CSMA 方式の LAN 制御に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 

解説

CSMA(Carrier Sense Multiple Access)方式では,端末は送信する前に伝送路のキャリア信号を検出(キャリアセンス)し,他の端末が送信中でないことを確かめてから送信する。有線 LAN の CSMA/CD と無線 LAN の CSMA/CA は,どちらもこの仕組みを土台にしている。アが適切である。

イはトークンを得た端末だけが送信するトークンパッシング方式の説明である。ウも誤りで,CSMA/CD では衝突を検出すると送信を中止し,ランダムな待ち時間(バックオフ)をおいてから再送する。直ちに再送すると再び衝突しやすいためである。エも誤りで,伝送路が使用中のときは送信を控える。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

IP ネットワークのルーティングプロトコルの一つである OSPF の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

OSPF は,自律システム(AS)の内部で使われるリンクステート型のルーティングプロトコルである。ネットワークをエリアに分割し,バックボーンエリア(エリア 0)を中心に他のエリアを結ぶ階層構造をとる。経路の選択には,インタフェースの帯域幅(回線速度)から決まるコストを使い,宛先までのコストの合計が最小の経路を選ぶ。ウが適切である。

アは AS 間の接続に使われ,経路が変化したときに差分だけを送る BGP の説明である。イは距離ベクトル型とリンクステート型の特徴を併せ持つハイブリッド型(EIGRP など)の説明,エはホップ数で経路を決め,サブネットマスクを通知できない RIP(RIP バージョン 1)の説明である。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

ハミング符号の用途の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ハミング符号は,データビットに複数の検査ビットを加えて,1 ビットの誤りの位置を特定して訂正できるようにした誤り訂正符号である。Bluetooth では,DM パケットのペイロードなどを保護する 2/3 レートの FEC として,短縮した (15,10) ハミング符号が使われている。アが適切である。

イの G3 ファクシミリの画像圧縮には,MH(モディファイドハフマン)符号や MR 符号が使われる。ウの HDLC フレームのビット誤りの検出には,CRC によるフレームチェックシーケンス(FCS)が使われる。エの MP3 のオーディオデータの圧縮には,MDCT による周波数変換や聴覚心理モデル,ハフマン符号が使われる。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

DNS の A レコードに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

DNS のリソースレコードのうち A レコードは,ホスト名(ドメイン名)とそれに対応する IPv4 アドレスを登録するもので,名前から IP アドレスを求める正引きに使う(RFC 1035)。ウが適切である。

アのゾーンの登録データの開始を示すのは SOA レコードで,ゾーンのプライマリサーバや管理者,シリアル番号などを記述する。イのドメイン名とメールサーバの対応を示すのは MX レコード,エのホスト名に別名を付けるのは CNAME レコードである。なお,IPv6 アドレスは AAAA レコードで登録する。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

IPv4 における ICMP のメッセージに関する説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ICMP の Redirect メッセージは,ルータが受け取ったデータグラムについて,送信元と同じネットワーク上に宛先へのより適切な次のルータがあるときに,そのルータを送信元に通知して経路の変更を促すために使われる。イが適切である。

アのソースルーティングの失敗は Destination Unreachable(Source Route Failed)で通知し,Echo Reply は ping の Echo Request に対する応答である。ウのフラグメントの再組立て中のタイムアウトは Time Exceeded(Fragment Reassembly Time Exceeded)で通知する。エの Time Exceeded は TTL が 0 になったときなどに送られるもので,バッファがあふれたときに送信の抑制を促すのは Source Quench(現在は廃止)である。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

マルチキャストグループへの参加や離脱をホストが通知したり,マルチキャストグループに参加しているホストの有無をルータがチェックするときに使用するプロトコルはどれか。

正解 

解説

IGMP(Internet Group Management Protocol)は,IPv4 で,ホストがマルチキャストグループへの参加や離脱をルータに通知したり,ルータがグループに参加しているホストが残っているかを定期的に問い合わせたりするためのプロトコルである。イが該当する。

アの ARP は IP アドレスから MAC アドレスを求めるプロトコル,ウの LDAP はディレクトリサービスにアクセスするプロトコル,エの RIP はルータ間で経路情報を交換するルーティングプロトコルである。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

図は IPv4 における IPsec のデータ形式を示している。ESP トンネルモードの電文中で,暗号化されているのはどの部分か。

IPv4 における IPsec(ESP トンネルモード)のデータ形式。先頭から順に,新 IP ヘッダ,ESP ヘッダ,オリジナル IP ヘッダ,TCP ヘッダ,データ,ESP トレーラ,ESP 認証データ。

正解 

解説

ESP のトンネルモードでは,元の IP パケット全体(オリジナル IP ヘッダ,TCP ヘッダ,データ)に ESP トレーラ(パディングや次ヘッダの情報)を加えた部分を暗号化し,その前に ESP ヘッダと新しい IP ヘッダを付ける。暗号化されるのはオリジナル IP ヘッダから ESP トレーラまでであり,ウが該当する。

新 IP ヘッダは経路上のルータが転送に使うので暗号化できず,ESP ヘッダには復号に使うセキュリティパラメータインデックス(SPI)やシーケンス番号が入るので暗号化されない。ESP 認証データは,ESP ヘッダから ESP トレーラまでを対象に計算した改ざん検出用の値で,暗号化の対象ではない。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

IPv4 と IPv6 の両方にある機能はどれか。

正解 

解説

マルチキャストは,一つのパケットを特定のグループに属する複数のノードに配送する方式で,IPv4 ではクラス D(224.0.0.0~239.255.255.255),IPv6 では FF00::/8 のアドレスを使う。両方にある機能はウである。

アのフローラベルは IPv6 ヘッダで新たに設けられたフィールドで,IPv4 には無い。イのヘッダチェックサムは IPv4 にはあるが,IPv6 ではルータの処理を減らすために廃止された。エのエニーキャストは,IPv6 でアドレスの種類の一つとして規定されたもので(RFC 4291),IPv4 のアドレス体系には無い。なお,IPv4 でも,同じアドレスを複数の地点から経路広告して,DNS のルートサーバなどでエニーキャストを実現する運用が広く行われている。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

2台の PC を IPv6 ネットワークに接続するとき,2台ともプレフィックスが 2001:db8:100:1000::/56 の IPv6 サブネットに入るようになる IP アドレスの組合せはどれか。

正解 

解説

プレフィックス長 /56 は,IPv6 アドレスの 128 ビットのうち上位 56 ビットがネットワーク部であることを示す。16 進数の1けたは4ビットなので,上位 56 ビットは先頭から 14 けた分になる。2001:db8:100:1000 を4けたずつにすると 2001:0db8:0100:1000 で,先頭 14 けたは 2001:0db8:0100:10 である。

したがって,第4ブロックが 10 で始まる 1000〜10ff のアドレスが同じサブネットに入る。ウの 1010 と 1020 はどちらも 10 で始まるので正しい。アの第4ブロックは 0000 で範囲外,イの 2000,エの 1100 と 1200 も範囲外である。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

MPLS の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

MPLS(Multi-Protocol Label Switching)は,網の入口のルータでパケットに短い固定長のラベルを付け,網内のルータ(LSR)は IP アドレスではなくラベルを見て転送する方式である。経路表の検索が簡単になり,ラベルによって経路を指定できるので,IP-VPN や広域イーサネットなどの通信事業者の網で広く使われている。エが適切である。

アは IP に暗号化や認証の機能を加える IPsec,イは L2F と PPTP を統合したレイヤ 2 のトンネリングプロトコルである L2TP,ウは PPP フレームを IP パケットでカプセル化する PPTP の説明である。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

IPv4 アドレスが 192.168.10.0/24〜192.168.58.0/24 のネットワークを対象に経路を集約するとき,集約した経路のネットワークアドレスのビット数が最も多くなるものはどれか。

正解 

解説

集約の対象は第 3 オクテットが 10~58 のネットワークである。10=00001010,58=00111010 で,この範囲の値は上位 2 ビットがどれも 00 であり,3 ビット目は 0(10~31)と 1(32~58)の両方がある。共通なのは第 1・第 2 オクテットの 16 ビットと第 3 オクテットの上位 2 ビットで,192.168.0.0/18(192.168.0.0~192.168.63.255)が全てを含む最長のプレフィックスになる。ウが該当する。

エの 192.168.0.0/19 は 192.168.0.0~192.168.31.255 までしか含まず,32~58 が外れる。アの /16 やイの /17 は全てを含むが,ネットワークアドレスのビット数が /18 より少ない。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

HTTP の認証機能を利用するクライアント側の処理として,適切なものはどれか。

正解 

解説

HTTP のベーシック認証では,クライアントは,利用者 ID とパスワードを“:”で連結した文字列を BASE64 でエンコードし,Authorization ヘッダに指定してサーバに送る。BASE64 は暗号化ではなく簡単に元に戻せるので,盗聴への対策として TLS と併用する必要がある。ウが適切である。

エのようにエンコードせずに送ることはない。ア,イのダイジェスト認証では,利用者 ID とパスワードを“:”で連結したものをそのまま送るのではなく,サーバから受け取ったチャレンジ(nonce)などと組み合わせてハッシュ値(MD5 など)を計算し,その値を送る。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

HTTP を使って,Web サーバのコンテンツのアップロードや更新を可能にするプロトコルはどれか。

正解 

解説

WebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)は HTTP/1.1 を拡張したプロトコルで,PUT や DELETE に加え,PROPFIND・MKCOL・COPY・MOVE・LOCK などのメソッドによって,Web サーバ上のファイルのアップロード,更新,フォルダの作成,排他制御などができる。エが該当する。

アの CSS は Web ページの見た目(レイアウトや文字の装飾)を指定するスタイルシートの言語,イの MIME は電子メールなどで文字以外のデータや多様な形式を扱うための規格である。ウの SSL は通信を暗号化するプロトコルである。なお,SSL は脆弱性が見つかったため,現在は RFC で使用してはならないとされており(SSL 3.0 は RFC 7568),後継の TLS が使われている。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

CRL(Certificate Revocation List)はどれか。

正解 

解説

CRL(証明書失効リスト)には,有効期限内であるにもかかわらず,秘密鍵の漏えいなどの理由で認証局が失効させたディジタル証明書のシリアル番号と失効日時が掲載される。エが正しい。

ア,イの有効期限切れになった証明書は,期限によって無効であることが分かるので CRL には掲載しない。ア,ウの公開鍵は CRL に掲載する項目ではなく,失効した証明書はシリアル番号で識別する。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

チャレンジレスポンス認証の方式として,適切なものはどれか。

正解 

解説

チャレンジレスポンス認証では,サーバが毎回異なるランダムなデータ(チャレンジ)をクライアントに送り,クライアントはチャレンジと利用者が入力したパスワードからハッシュ関数などで計算した値(レスポンス)を返す。サーバも登録されたパスワードで同じ計算をして結果を照合する。パスワードそのものはネットワークに流れず,レスポンスも毎回変わるので,盗聴や再送攻撃に強い。エが適切である。

アは SSL で通信路を暗号化して固定パスワードを送る方式で,チャレンジを使わない。イは,端末固有の情報を秘密鍵で暗号化(署名)して送る端末認証の一種である。ウは,トークンが時刻などから生成して表示する値をパスワードとして使うワンタイムパスワードの方式である。なお,SSL は現在では脆弱性のため使用されず,後継の TLS が使われる。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

無線 LAN のセキュリティ対策に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

WPA2-Enterprise では,IEEE 802.1X の規格に沿って RADIUS サーバなどによる利用者認証を行い,認証後に動的に配布・更新される暗号化鍵を使って通信を暗号化する。エが適切である。

アの EAP は IEEE 802.1X で使われる認証のためのプロトコルの枠組みで,共通鍵による暗号化通信を実現するものではない。イの RADIUS は認証サーバとアクセスポイントなどの間で認証情報をやり取りするプロトコルで,クライアント PC とアクセスポイントの間の暗号化通信を実現するものではない。ウの SSID はアクセスポイントのネットワークを識別する名前で,秘密鍵ではない。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

ストレージ技術におけるシン・プロビジョニングの説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

シン・プロビジョニングはストレージの仮想化技術の一つで,利用者(サーバ)には必要と見込まれる容量の仮想ボリュームを見せておき,物理ディスクの領域は実際にデータが書き込まれた分だけ割り当てる。物理容量を最初から全て用意する必要がなく,使用量の増加に合わせて追加できるので,ストレージの利用効率が上がる。エが適切である。

アは同じデータを複数のディスクに書き込むミラーリング(RAID 1),イは 1 台のディスクを複数の領域に分けるパーティション分割の説明である。ウは,ファイバチャネルなどでサーバとストレージをネットワーク接続する SAN(Storage Area Network)の説明である。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

マルチプロセッサによる並列処理で得られる高速化率(単一プロセッサのときと比べた倍率)E を,次の式によって評価する。r=0.9 のアプリケーションの高速化率が r=0.3 のものの3倍となるのは,プロセッサが何台のときか。

E=1/(1−r+r/n)

ここで,

とし,並列化に伴うオーバヘッドは考慮しないものとする。

正解 

解説

E=1/(1−r+r/n) に代入すると,r=0.9 では E=1/(0.1+0.9/n),r=0.3 では E=1/(0.7+0.3/n) である。前者が後者の 3 倍になるには 0.7+0.3/n=3(0.1+0.9/n)=0.3+2.7/n,すなわち 0.4=2.4/n で,n=6 である。n=6 のとき,E は 1/(0.1+0.15)=4 と 1/(0.7+0.05)≒1.33 で,確かに 3 倍になる。エになる。

n=3 では 1/0.4=2.5 と 1/0.8=1.25 で 2 倍,n=4 では 1/0.325≒3.08 と 1/0.775≒1.29 で約 2.4 倍,n=5 では 1/0.28≒3.57 と 1/0.76≒1.32 で約 2.7 倍にとどまり,いずれも 3 倍にならない。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

通信プロトコルの記述などに使用される表記法であり,事象の発生と,そのときの状態に応じたシステムの動作を記述するのに,最も適切なものはどれか。

正解 

解説

状態遷移図は,システムが取りうる状態を丸などで表し,どの状態でどの事象(イベント)が発生したときに,どんな動作をしてどの状態へ移るかを矢印で表す図である。事象と状態に応じた動作を記述できるので,通信プロトコルやリアルタイムシステムの設計に使われる。イが適切である。

アの決定表は,条件の組合せとそれに対応する動作を表形式で整理したもので,状態の移り変わりは表さない。ウのデータフローダイアグラム(DFD)は,プロセス間のデータの流れと蓄積を表す図,エの特性要因図は,結果(特性)とそれに影響する要因の関係を魚の骨の形に整理した図である。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

組込みソフトウェアなどの設計にも有効な技法であって,システムをプラットフォームに依存する部分と依存しない部分とに分けてモデル化することを特徴とする技法はどれか。

正解 

解説

MDA(Model Driven Architecture)は,OMG が提唱したモデル駆動型の開発手法で,システムの機能や構造をプラットフォームに依存しないモデル(PIM)として記述し,それを特定の実装環境に合わせたプラットフォーム依存のモデル(PSM)に変換して,さらにコードを生成する。イが該当する。

ウの OMT(Object Modeling Technique)は,オブジェクトモデル,動的モデル,機能モデルの三つでシステムを表す,ランボーらのオブジェクト指向分析・設計の技法である。エの UML は OMG が標準化したオブジェクト指向のモデリング言語(表記法)で,MDA でもモデルの記述に使われるが,それ自体がモデルをプラットフォームで分ける技法ではない。アの CSM は,このような分け方でモデル化する技法の名称ではない。

出典:平成24年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)