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ネットワークスペシャリスト試験

平成22年度 秋期 科目A-2(午前Ⅱ)

平成22年度 秋期に実施されたネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。

この試験について:ネットワークスペシャリスト試験について

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問1

ZigBee の特徴はどれか。

正解 ウ

解説

ZigBee は,物理層と MAC 層に IEEE 802.15.4 を使い,その上にネットワーク層やアプリケーション層を規定した無線通信方式である。通信速度は低いが消費電力が小さく,電池で長期間動作できるので,多数のセンサを結ぶセンサネットワークなどに使われる。ウが正しい。

アは,一つのマスタと最大七つのアクティブなスレーブでピコネットを構成する Bluetooth の説明である。イは,ETC などで使われる 5.8 GHz 帯の DSRC(狭域通信)の説明である。エは,広い周波数帯にデータを拡散して近距離で高速に伝送する UWB(Ultra Wide Band)の説明である。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

図のネットワークで,数字は二つの地点間で同時に使用できる論理回線の多重度を示している。X 地点から Y 地点までには同時に最大幾つの論理回線を使用することができるか。

地点 X,A,B,C,D,E,F,G,Y を結ぶネットワーク図。各リンクの多重度: X-A 4,X-B 4,X-C 3,A-B 2,A-D 1,B-D 2,B-E 3,B-C 1,C-F 4,F-E 2,F-G 3,D-E 2,E-G 4,D-Y 3,E-Y 3,G-Y 6。

正解 ウ

解説

X から Y へ同時に使える論理回線の最大数は,X 側と Y 側を分ける区間の多重度の合計(カット)のうち最小のものに等しい。X と A をひとまとめにして残りと分けると,切れる区間は X-B 4,X-C 3,A-B 2,A-D 1 で合計 10 になり,これより小さい分け方はない。実際に,X-A-D-Y に 1,X-A-B-D-Y に 2,X-B-E-Y に 3,X-B-C-F-E-G-Y に 1,X-C-F-G-Y に 3 と割り当てると,各区間の多重度を超えずに合計 10 本を同時に使える。ウになる。

X から出る区間の合計は 4+4+3=11 だが,A から先へは A-B 2 と A-D 1 の計 3 しか流せないので,エの 11 にはならない。アの 8 やイの 9 は,経路の組合せを尽くさずに求めた値であり,最大ではない。

X から Y へ同時に使える回線の最大数 X と A をひとまとめにして,残りの地点と分ける線(カット)を引くと,切られる区間は X−B 4,X−C 3,A−B 2,A−D 1 で合計10。X から Y へ流せる量は,どのカットの合計よりも多くはならず,最小のカットの合計に等しい。X−A−D−Y に1,X−A−B−D−Y に2,X−B−E−Y に3,X−B−C−F−E−G−Y に1,X−C−F−G−Y に3 を割り当てると,実際に10本を同時に使える。 4 4 3 2 1 2 3 1 4 2 3 2 4 3 3 6 X A B C D E F G Y 破線で囲んだ X・A から出る区間:4+3+2+1=10 これより小さいカットはないので,最大は10
X から出る区間の合計は11だが,A から先へは 2+1=3 しか流せない。最小のカットは10

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

高速無線通信で使われている多重化方式で,データ信号を複数のサブキャリアに分割し,各サブキャリアが互いに干渉しないように配置する方式はどれか。

正解 ウ

解説

OFDM(直交周波数分割多重)は,データを多数のサブキャリアに分けて並列に送る方式で,各サブキャリアの周波数を互いに直交する関係に配置するので,周波数が一部重なっていても干渉しない。周波数を有効に使え,マルチパスにも強いので,無線 LAN(IEEE 802.11a/g/n/ac/ax)や 4G・5G の移動通信で使われている。ウが該当する。

アの CCK は IEEE 802.11b で使われた変調方式,イの CDM は拡散符号によって複数の信号を同じ周波数帯に重ねる符号分割多重,エの TDM は時間を区切って複数の信号を順番に送る時分割多重である。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

LAN に関する記述のうち,1000BASE-T を説明したものはどれか。

正解 イ

解説

1000BASE-T は,IEEE 802.3ab で規定された 1G ビット/秒のイーサネットで,カテゴリ 5 以上の UTP ケーブルの 4 対(8 心)を全て使い,各対で送信と受信を同時に行う。最大距離(セグメント長)は 100 m であり,イが該当する。

アの 2 対の UTP ケーブルで最大 100 m は,100BASE-TX の説明である。ウのシングルモード光ファイバで最大 5 km は 1000BASE-LX,エのマルチモード光ファイバで数百 m は 1000BASE-SX など,光ファイバを使うギガビットイーサネットの規格の説明である。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

無線 LAN で使用される搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式はどれか。

正解 イ

解説

CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)は,IEEE 802.11 の無線 LAN で使われるアクセス制御方式である。無線では送信中に衝突を検出できないので,送信前に電波の使用状況を調べ(搬送波感知),空いていてもランダムな待ち時間(バックオフ)をおいてから送信して衝突を避け,受信側からの ACK で送信の成功を確かめる。イが該当する。

アの CDMA は,拡散符号を使って複数の通信を同じ周波数に重ねる符号分割多元接続で,携帯電話などで使われた。ウの CSMA/CD は,衝突を検出(Collision Detection)して再送する有線のイーサネットの方式,エの FDMA は,周波数帯を分けて利用者に割り当てる周波数分割多元接続である。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

用語解説:CSMA/CD・CSMA/CA 無線 LAN(WPA2・WPA3・CSMA/CA)

問6

FDDI における送信権制御に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

FDDI(Fiber Distributed Data Interface)は,光ファイバを使った 100M ビット/秒の二重リング構成の LAN で,アクセス制御にトークンパッシング方式を使う。送信権を表すトークンをリング上のノードからノードへ巡回させ,送信したいノードはトークンを受け取ったときだけフレームを送信できるので,衝突が起こらない。イが適切である。

アは,送信前に伝送路の信号の有無を調べる CSMA 方式の説明である。ウはマスタコントローラが全てのメッセージを受け取って中継する集中制御方式,エはマスタコントローラが各ノードに順に送信要求を問い合わせるポーリング方式の説明である。なお,FDDI は現在ではイーサネットに置き換わり,ほとんど使われていない。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

スイッチングハブによる接続で,複数のポートを束ねて一つの論理ポートとして扱う技術はどれか。

正解 エ

解説

リンクアグリゲーションは,スイッチ間の複数の物理ポートを束ねて1つの論理ポートとして扱う技術。帯域を増やせるうえ,一部のリンクが切れても通信を継続できる。

アの MIME は電子メールで多様なデータを扱うための規格,イの MIMO は無線通信で複数のアンテナを使う技術,ウのマルチパートは MIME で複数の本文を含める形式。

リンクアグリゲーション:複数のポートを1つの論理ポートに スイッチ間の複数の物理ポートを束ねて,1つの論理ポートとして扱う。帯域が広がるうえ,一部のリンクが切れても残りで通信を続けられる。MIME はメールで多様なデータを扱う規格,MIMO は複数のアンテナを使う無線の技術。 スイッチ1 スイッチ2 1つの論理ポート 帯域 3 本分,1 本切れても 2 本で通信を続ける MIME はメールの規格,MIMO は無線のアンテナの技術
束ねて帯域を広げ,1本が切れても続ける

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

用語解説:スパニングツリー・VLAN・リンクアグリゲーション

問8

ルーティングプロトコルである BGP-4 の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

BGP-4 は,自律システム(AS)の間で経路情報を交換するエクステリアゲートウェイプロトコルである。経路情報には通過してきた AS の並び(AS_PATH)などのパス属性が付けられ,ルータはこれらの属性と管理者の定めたポリシに基づいて経路を選ぶ。このような方式をパスベクタ型という。アが適切である。

イは,全てのノードが同じリンク状態データベースから最小コストの経路を計算する OSPF などのリンクステート型の説明である。ウは,ホップ数が最小の経路を選ぶ RIP などのディスタンスベクタ型の説明である。エは,送信元が経由するノードを指定するソースルーティングの説明である。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

用語解説:ルーティングプロトコル(RIP・OSPF・BGP)

問9

PPP のリンク確立後,チャレンジメッセージを繰り返し送ることができ,それに対して相手がハッシュ関数による計算で得た値を返信する。このようにして相手を認証するプロトコルはどれか。

正解 イ

解説

CHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol)は PPP で使われる認証プロトコルである。リンク確立後,認証する側がランダムなチャレンジを送り,相手はチャレンジと共有の秘密(パスワード)などから一方向ハッシュ関数(MD5 など)で計算した値を返す。認証する側も同じ計算をして一致を確かめる。チャレンジは接続中にも不定期に繰り返し送ることができる。イが該当する。

アの ARP は,IP アドレスから MAC アドレスを求めるプロトコルである。ウの PAP も PPP の認証プロトコルだが,ユーザ ID とパスワードを平文で送り,認証はリンク確立時の 1 回だけである。エの PPTP は,PPP のフレームをトンネリングして VPN を構成するプロトコルである。

チャレンジレスポンス認証 サーバは毎回違うランダムな値(チャレンジ)を送り,クライアントはチャレンジとパスワードからハッシュ値(レスポンス)を計算して返す。サーバも同じ計算をして一致すれば認証する。パスワードそのものはネットワークに流れず,チャレンジが毎回違うので,盗聴したレスポンスを使い回しても通らない。 クライアント サーバ ① チャレンジ(毎回違う乱数) ② レスポンス=hash(チャレンジ+パスワード) ③ サーバも同じ計算をして一致すれば認証 パスワードそのものは流れない
パスワードは流れない。チャレンジが毎回違うので,盗んだ値は使い回せない

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

用語解説:ARP ハッシュ関数

問10

DNS でのホスト名と IP アドレスの対応付けに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 イ

解説

DNS では,一つのホスト名に対して複数の A レコードを登録すれば,複数の IP アドレスを対応させられる(DNS ラウンドロビンによる負荷分散などに使う)。また,別々のホスト名に同じ IP アドレスの A レコードを登録したり,CNAME レコードで別名を定義したりすれば,複数のホスト名を同一の IP アドレスに対応させられる。イが適切である。

どちらの対応付けもできるので,片方だけができるとするア・ウや,全て 1 対 1 に限るとするエは誤りである。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

IPv6 において IPv4 から仕様変更された内容の説明として,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

IPv6 は,登場した当初の仕様で,IPsec の認証(AH)と暗号化(ESP)の機能を全ての IPv6 ノードが実装しなければならないとしていた。そのため,IP レベルでパケットを暗号化したり,送信元を認証して改ざんを検出したりできる。エが適切である。

アの資源予約は RSVP によるもので,IPv6 では TOS フィールドに代わって Traffic Class フィールドとフローラベルが設けられた。イのアドレス空間は 32 ビットから 128 ビットに拡張された。ウは逆で,IPv6 ではルータの処理を軽くするため IP ヘッダのチェックサムフィールドが廃止された。なお,その後 IPsec の実装は RFC 6434(現在は RFC 8504)で必須(MUST)から推奨(SHOULD)に改められている。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

用語解説:VPN・IPsec IPv6

問12

クラス D の IP アドレスを使用するのはどの場合か。

正解 エ

解説

クラス D の IP アドレスは,先頭 4 ビットが 1110 の 224.0.0.0~239.255.255.255 の範囲で,マルチキャストのグループを識別するために使う。エが正しい。なお,現在はクラスによる区分は CIDR に置き換えられているが,224.0.0.0/4 は引き続きマルチキャスト用に割り当てられている。

アの 250 台程度までの小規模なネットワークに割り振るのはクラス C(ホスト数最大 254),イの 65,000 台程度の中規模なネットワークに割り振るのはクラス B(最大 65,534)である。ウのプライベートアドレスは,クラス A の 10.0.0.0/8,クラス B の 172.16.0.0/12,クラス C の 192.168.0.0/16 から割り振られ,クラス D には含まれない。

IPv4 アドレスのクラス 先頭のビットでクラスが決まる。A は 0(1.0.0.0〜127),B は 10(128〜191),C は 110(192〜223),D は 1110(224〜239)でマルチキャスト,E は 1111(240〜)で実験用に予約。B はホスト部が16ビットなので 2¹⁶−2=65,534 台。 クラス 先頭 範囲 使い道・ホスト数 A 0 1〜127 ホスト部24ビット B 10 128〜191 16ビット 65,534 台 C 110 192〜223 8ビット 254 台 D 1110 224〜239 マルチキャスト E 1111 240〜255 実験用(予約) D の残り28ビットは受信するグループを表す
クラス D(先頭 1110,224〜239)はマルチキャスト

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

用語解説:サブネットマスク・CIDR

問13

RSVP の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

RSVP(Resource reSerVation Protocol)は,IP ネットワークで,アプリケーションが必要とする帯域などの QoS を確保するため,通信経路上の各ルータに資源の予約を要求し,ホスト間の通信に使う伝送帯域を管理するプロトコルである。受信側から予約を要求し,経路上のルータが予約の状態を保持する。アが適切である。

イの物理的な接続形態に依存せずノードを論理的なグループに分ける技術は VLAN である。ウの PPP のデータリンクを複数束ねるように拡張したプロトコルは MP(PPP Multilink Protocol)である。エのリモートアクセスの利用者を認証するプロトコルは RADIUS などである。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

TCP のコネクション確立方式である 3 ウェイハンドシェイクを表す図はどれか。

正解 ア

解説

TCP の3ウェイハンドシェイクでは,コネクションの要求元が SYN を送り,要求先が SYN と ACK を一つのセグメントで返し,要求元が ACK を返すという3回のやり取りでコネクションを確立する。これを表すのはアである。

イ,エは SYN と ACK を別々に送っていてやり取りの回数が3回より多い。ウは SYN を3回送っていて,要求先から要求元への SYN がないので,双方向のコネクションが確立しない。

3ウェイハンドシェイク クライアントが SYN(シーケンス番号 11111)を送る。サーバは SYN/ACK を返し,自分のシーケンス番号 22222 と,次に受け取りたい番号 11111+1=11112 を確認応答番号に入れる。クライアントは ACK(シーケンス番号 11112,確認応答番号 22222+1=22223)を返して確立する。サーバは LISTEN の状態で SYN を受け付ける。 クライアント サーバ SYN seq 11111 SYN/ACK seq 22222,ack 11112 ACK seq 11112,ack 22223 LISTEN SYN- RECEIVED SYN-SENT 確認応答番号 = 相手のシーケンス番号 + 1
確認応答番号は「相手のシーケンス番号+1」(次に受け取りたい番号)

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

クラス C の IP アドレスを分割して,10 個の同じ大きさのサブネットを使用したい。ホスト数が最も多くなるように分割した場合のサブネットマスクはどれか。

正解 ウ

解説

10 個のサブネットを作るには,ホスト部 8 ビットのうちサブネット用に借りるビット数を n として 2n≧10 が必要である。n=3 では 8 個しか作れず,n=4 なら 16 個作れる。借りるビットを最小の 4 ビットにすればホスト数が最も多くなり,ネットワーク部は 24+4=28 ビットになる。/28 のサブネットマスクは第 4 オクテットが 11110000=240 なので 255.255.255.240 であり,ウになる。各サブネットのホストは 24−2=14 台である。

アの 255.255.255.192(/26)はサブネットを 4 個,イの 255.255.255.224(/27)は 8 個しか作れず,10 個に足りない。エの 255.255.255.248(/29)は 32 個のサブネットを作れるが,ホストは各 6 台までに減り,ホスト数が最も多くなる分割ではない。

サブネットを10個・16個に分けるマスク クラス C(/24)のホスト部8ビットから n ビットを借りると 2ⁿ 個に分けられる。10 個なら 2³=8 では足りず 2⁴=16 で 4 ビット,16 個でも 4 ビット。マスクは /28 で 255.255.255.240。1つのサブネットは16アドレスで,ホストは14台。 ホスト部8ビットのうち 4 ビットを借りる → 16 個に分ける 0 255 第4オクテット 11110000 = 240 サブネットマスク 255.255.255.240(/28) 1つのサブネットは 16 個のアドレス,ホストは 14 台 10 個なら 3 ビット(8個)では足りない。塗ったのが使う10個
必要な個数以上になる最小のビット数を借りる

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

用語解説:サブネットマスク・CIDR

問16

SDP(Session Description Protocol)の説明として,適切なものはどれか。

正解 ア

解説

SDP(Session Description Protocol)は,マルチメディアセションの内容を記述するためのテキスト形式の書式で,音声や映像などのメディアの種類,使用するトランスポートプロトコル(RTP/AVP など),ポート番号,符号化方式,接続先のアドレスなどを記述する。SIP のメッセージボディに入れて,通信する端末同士が条件を取り決めるのに使われる。アが適切である。

イは RTP のヘッダに入る情報,ウは RTP による通信の品質情報をやり取りする RTCP の説明である。エのセションの確立,変更,切断を行うのは SIP であり,SDP はその中で使われるセションの記述である。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

ネットワーク管理プロトコルである SNMP バージョン 1 のメッセージタイプのうち,異常や事象の発生を自発的にエージェント自身がマネージャに知らせるために使用するものはどれか。

正解 エ

解説

SNMP では,管理される機器上のエージェントが MIB に管理情報を保持し,マネージャが問合せや設定を行う。SNMP バージョン 1 のメッセージのうち trap は,リンクのダウンや機器の再起動などの事象が起きたときに,エージェントが問合せを待たずに自発的にマネージャへ通知するためのもので,UDP のポート 162 に送られる。エが該当する。

アの get-request はマネージャがエージェントに MIB の値を要求するメッセージ,イの get-response はエージェントが get-request や set-request に応答するメッセージである。ウの set-request は,マネージャがエージェントの MIB の値を設定するメッセージである。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

シングルサインオンの説明のうち,適切なものはどれか。

正解 エ

解説

リバースプロキシ型のシングルサインオンでは全ての通信がリバースプロキシを経由するので,そこで利用者認証を行う。認証方式はパスワードに限られず,クライアント証明書(デジタル証明書)を用いることもできる。

アは誤り。cookie を生成するのはクライアントではなく認証を行うサーバ側。イは誤り。cookie は発行元ドメインにしか送られないので,cookie 方式では同一ドメインに配置する必要がある。ウは誤り。リバースプロキシ方式ではドメインを分ける必要はない。

シングルサインオンの3つの方式 リバースプロキシ方式は,利用者と Web サーバの間に置いたリバースプロキシで認証をまとめる(全ての通信が集まる)。エージェント方式は,各 Web サーバに入れたエージェントが認証サーバの発行したチケットを確かめる。SAML は,IdP が発行したアサーションを別の組織の SP が検証するので,ドメインをまたいで使える。 リバースプロキシ方式 利用者 リバースプロキシ ここで認証 Web サーバ 1 Web サーバ 2 全ての通信がプロキシを通る。Web サーバの改修が少ない エージェント方式 利用者 Web サーバ 1(エージェント) Web サーバ 2(エージェント) 認証サーバ チケット発行 各サーバのエージェントがチケットを確かめる。通信は集中しない SAML(フェデレーション) 利用者 IdP(組織 X) SP(組織 Y) アサーション IdP の署名付きアサーションで,別の組織(ドメイン)をまたいで使える
どこで認証の結果を確かめるかが違う

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

用語解説:シングルサインオン(SAML・OAuth)

問19

社内とインターネットの接続点にパケットフィルタリング型ファイアウォールを設置したネットワーク構成において,社内の PC からインターネット上の SMTP サーバに電子メールを送信するとき,ファイアウォールで通過許可とする TCP パケットのポート番号の組合せはどれか。

正解 イ

解説

SMTP サーバは TCP のウェルノウンポート 25 番で接続を待ち受ける。PC はメールを送るとき,自分の側の送信元ポートに 1024 以上の番号を割り当て,あて先ポート 25 で SMTP サーバに接続する。サーバからの応答は,送信元ポートが 25,あて先ポートが PC の使った 1024 以上の番号になる。この組合せはイである。

アは発信と応答でポート番号の向きが逆になっている。ウとエの 110 番は POP3 のポートで,PC がメールサーバからメールを受信するときに使う。しかも,いずれも SMTP サーバから PC に向けて通信を始めており,PC からメールを送る通信ではない。なお,現在は PC からメールサーバへの送信には,送信者の認証を行うサブミッションポート(587 番)や SMTP over TLS の 465 番を使うのが一般的である。

パケットフィルタで SMTP の送信を通す 社内の PC がインターネットの SMTP サーバにメールを送るとき,PC は 1024 以上の空いているポートから,SMTP サーバの 25 番ポートへ接続する。静的なパケットフィルタでは戻りのパケットも別に許可する必要があり,行きは「送信元ポート 1024 以上 → 宛先ポート 25」,戻りは「送信元ポート 25 → 宛先ポート 1024 以上」を通す。 社内 PC 1024 以上 FW SMTP 25 番 向き 送信元ポート 宛先ポート 行き PC → SMTP 1024 以上 25 戻り SMTP → PC 25 1024 以上 110 番は POP3(受信)。送信の SMTP は 25 番
サーバ側は決まった番号(25),クライアント側は1024以上。戻りは向きが逆

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

用語解説:ファイアウォールと DMZ 電子メールのプロトコル(SMTP・POP・IMAP)

問20

ファイアウォールにおいて,自ネットワークのホストへの侵入を防止する対策のうち,IP スプーフィング(spoofing)攻撃に有効なものはどれか。

正解 エ

解説

IP スプーフィングは,送信元 IP アドレスを偽装して,信頼されたホストからの通信になりすます攻撃である。外部から入ってくるパケットの送信元 IP アドレスが自ネットワークのアドレスであれば,本来ありえない偽装されたパケットなので,ファイアウォールで阻止する(イングレスフィルタリング)。エが有効である。

ア,イの外部から入る TCP コネクション確立要求や UDP パケットのうち必要なもの以外を阻止する対策と,ウのあて先 IP アドレスによる阻止は,一般的な不正アクセス対策で,送信元の偽装を見破るものではない。

IP スプーフィングを防ぐ 外部(インターネット)から入ってくるパケットの送信元 IP アドレスが,自ネットワークのアドレスになっているのはありえないので,送信元を偽装したものとみなして破棄する(イングレスフィルタリング)。 インターネット FW 自ネットワーク 192.168.1.0/24 送信元 192.168.1.5 外から来たのに送信元が内部のアドレス → 破棄 宛先や必要なサービスで絞る対策では,偽装は見抜けない
外から来たのに送信元が内部のアドレス → 偽装なので破棄

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

用語解説:ファイアウォールと DMZ

問21

送信元を詐称した電子メールを拒否するために,SPF(Sender Policy Framework)の仕組みにおいて受信側が行うことはどれか。

正解 ウ

解説

SPF(Sender Policy Framework)では,送信側のドメインの管理者が,そのドメインのメールを送信するサーバの IP アドレスを DNS の SPF レコードに登録しておく。受信側は,SMTP の MAIL FROM コマンドで示された送信ドメインの SPF レコードを DNS に問い合わせ,接続してきた送信サーバの IP アドレスと照合して,送信元が詐称されていないかを検証する。ウが正しい。

アのメールヘッダの送信者アドレスによる検証は,SPF が検証の対象にしているエンベロープの送信者とは異なる。イの SMTP のポート番号 25 の通信を拒否するのは OP25B で,エのディジタル署名を受信側が検証するのは DKIM である。

SPF・DKIM・DMARC の確かめ方 送信元ドメインの管理者は DNS に,送ってよいメールサーバの IP アドレス(SPF),署名を確かめる公開鍵(DKIM),認証に失敗したメールの扱い(DMARC)を登録する。送信側のメールサーバはメールに DKIM の署名を付ける。受信側のメールサーバは,接続してきたサーバの IP アドレスを SPF と照合し,署名を公開鍵で検証し,失敗したら DMARC の方針に従う。 送信側のメールサーバ DKIM の署名を付ける 受信側のメールサーバ 3つを確かめる メール 送信元ドメインの DNS SPF:送ってよいサーバの IP DKIM:署名を確かめる公開鍵 DMARC:失敗したときの扱い 引く ① 接続してきたサーバの IP アドレスが SPF にあるか ② メールの署名を DNS の公開鍵で検証できるか(DKIM) ③ 失敗したら DMARC の方針で受け取る・隔離・拒否
どれも送信元ドメインの DNS に登録し,受信側が引いて確かめる

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

用語解説:ディジタル署名(デジタル署名) 電子メールのプロトコル(SMTP・POP・IMAP) 送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)

問22

表示解像度が 1,000×800 ドットで,色数が 65,536 色(216 色)を表示するのに最低限必要なビデオメモリ容量は何 M バイトか。ここで,1 M バイト=1,000 k バイト,1 k バイト=1,000 バイトとする。

正解 ア

解説

65,536 色=216 色を表すには,1 画素当たり 16 ビット=2 バイトが必要である。画素数は 1,000×800=800,000 なので,必要な容量は 800,000×2=1,600,000 バイト=1.6M バイトになり,アになる。

イの 3.2 は 1 画素を 4 バイト(32 ビット),ウの 6.4 は 8 バイトとした値である。エの 12.8 は,16 ビットをバイトに直さずに 800,000×16 とした値である。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

ノード N1 とノード N2 の間をノード N を介して通信路で結んだデータ伝送網がある。N1 と N2 の間の構成について A~C の三つの案を考えた。ノードは故障しないものとし,各ノード間の通信路が故障する確率は,すべて等しく F(0<F<1)とする。三つの案を,稼働率が高い順に並べたものはどれか。

A 案: N1 から二つのノード N をそれぞれ経由して N2 に至る 2 経路(N1-N-N2 が 2 本並列)。B 案: A 案と同じ構成に加えて,二つのノード N の間も通信路で結ぶ。C 案: N1 と N の間を 2 本の通信路で結び,N と N2 の間も 2 本の通信路で結ぶ。

正解 エ

解説

通信路 1 本の稼働率を 1−F とする。A 案は,2 本直列の経路(稼働率 (1−F)2)が 2 経路並列なので,稼働率は 1−{1−(1−F)2}2=1−(2F−F2)2 である。C 案は,2 本並列(稼働率 1−F2)の区間が 2 区間直列なので (1−F2)2 である。差をとると C−A=2F2(1−F)2>0 で,C 案のほうが高い。B 案は,中央の通信路が正常なら二つの N が一体になって C 案と同じ形になり,故障していれば A 案と同じになるので,稼働率は (1−F)×C+F×A となり,A と C の間に入る。したがって C 案>B 案>A 案で,エになる。

例えば F=0.1 とすると,A 案は 0.9639,B 案は 0.9785,C 案は 0.9801 になり,この順序が確かめられる。アとイは B 案を最も高いとしているが,B 案は中央の通信路が正常なときでも C 案と同じ稼働率にしかならない。ウは A 案を B 案より高いとしているが,B 案は A 案に通信路を 1 本加えたもので,稼働率が下がることはない。

通信路の3つの案の稼働率 通信路1本の稼働率を 1−F とする。A 案は2本直列の経路が2つ並列で 1−{1−(1−F)²}²。C 案は2本並列の区間が2つ直列で (1−F²)²。B 案は中央の通信路が使えれば C 案と同じ形,使えなければ A 案と同じ形になるので,A と C の間に入る。F=0.1 なら A 0.9639,B 0.9785,C 0.9801 で,C>B>A。 A 案 N1 N2 0.9639 B 案 N1 N2 0.9785 C 案 N1 N2 0.9801 F=0.1(1本の稼働率 0.9)のとき C 案 > B 案 > A 案
途中でつなぎ替えられる(C 案)ほど,1本の故障に強い

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

用語解説:稼働率(MTBF・MTTR)

問24

オブジェクト指向におけるオブジェクト間の代表的な関係には,is-a と part-of の二つがある。表に示すオブジェクト間の関係の組合せのうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

is-a は「A は B の一種である」という汎化・特化(継承)の関係,part-of は「A は B の一部である」という集約(全体と部分)の関係である。タイヤは自動車の部品なので part-of,人間は動物の一種なので is-a,辞書は書物の一種なので is-a となり,ウが適切である。

アとイは,タイヤと自動車を is-a,人間と動物を part-of としており,二つの関係を取り違えている。エは辞書と書物を part-of としているが,辞書は書物を構成する部分ではなく,書物の一種である。

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

SOA(Service Oriented Architecture)でサービスを設計する際の注意点のうち,適切なものはどれか。

正解 ウ

解説

SOA では,業務の機能を独立したサービスとして部品化し,それらを組み合わせてシステムを構築する。サービス間の関係を疎結合にしておけば,業務が変化したときに,サービスを入れ替えたり組み合わせを変えたりして柔軟に対応できる。ウが適切である。

アのステートフルなインタフェースは,サービスが利用者の状態を保持するためにサービス間の結び付きが強くなり,再利用や拡張がしにくくなるので,SOA ではステートレスにするのが一般的である。イのサービスの命名は業務上の役割が分かるようにするのが望ましく,業務からの独立性の確保とは関係がない。エの SOA はサービスの再利用を前提とした考え方である。

SOA とマイクロサービス システムの機能を,標準的なインタフェースで呼び出せるサービスという部品に分け,サービスを組み合わせて業務のシステムを作る(SOA)。マイクロサービスは,さらに小さな独立したサービスに分け,それぞれを別々に開発・配置・拡張できるようにする。部品どうしは疎結合で,1つを変えても他への影響が小さい。 業務アプリ 受注 サービス 在庫 サービス 請求 サービス 配送 サービス 標準のインタフェースで呼び出す(疎結合)
サービスという部品を組み合わせる。部品どうしは疎結合

出典:平成22年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)

用語解説:SOA(サービス指向アーキテクチャ)