平成29年度 秋期に実施されたネットワークスペシャリスト試験
午前Ⅱ(2026年度からの科目A-2)の全25問に,運営者が独自に書いた解説を付けています。正解の理由に加えて,多くの問題でほかの選択肢がなぜ誤りなのかも説明しています。
この試験について:ネットワークスペシャリスト試験について
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問1
ZigBee の特徴はどれか。
ア 2.4 GHz 帯を使用する無線通信方式であり,一つのマスタと最大七つのスレーブから成るスター型ネットワークを構成する。
イ 5.8 GHz 帯を使用する近距離の無線通信方式であり,有料道路の料金所の ETC などで利用されている。
ウ 下位層に IEEE 802.15.4 を使用する低消費電力の無線通信方式であり,センサネットワークやスマートメータなどへの応用が進められている。 正解
エ 広い周波数帯にデータを拡散することによって高速な伝送を行う無線通信方式であり,近距離での映像や音楽配信に利用されている。
正解 ウ
解説
ZigBee は,物理層と MAC 層に IEEE 802.15.4 を使い,その上にネットワーク層やアプリケーション層を規定した無線通信方式である。通信速度は低いが消費電力が小さく,電池で長期間動作できるので,多数のセンサを結ぶセンサネットワークなどに使われる。ウが正しい。
アは,一つのマスタと最大七つのアクティブなスレーブでピコネットを構成する Bluetooth の説明である。イは,ETC などで使われる 5.8 GHz 帯の DSRC(狭域通信)の説明である。エは,広い周波数帯にデータを拡散して近距離で高速に伝送する UWB(Ultra Wide Band)の説明である。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
180 台の電話機のトラフィックを調べたところ,電話機 1 台当たりの呼の発生頻度(発着呼の合計)は 3 分に 1 回,平均回線保留時間は 80 秒であった。このときの呼量は何アーランか。
正解 エ
解説
呼量(アーラン)は,単位時間当たりの呼数×平均保留時間を単位時間で割った値である。電話機 1 台当たり 3 分に 1 回なので 1 時間に 20 回,180 台では 1 時間に 180×20=3,600 回の呼が発生する。平均回線保留時間は 80 秒なので,呼量は 3,600×80÷3,600=80 アーランであり,エになる。
1 台当たりの呼量は 80 秒÷180 秒(3 分)=0.444… アーランで,これに 180 台を掛けても 80 アーランになる。アの 4 やイの 12 は,1 時間当たりの回数や台数の掛け方を取り違えた値である。
呼量(アーラン)を求める
呼量は,1時間のうち回線が使われている時間を1時間で割ったもの(同時に使われている回線数の平均)。1台あたり3分に1回なので1時間に20回,180台で3,600回。1回80秒なので 3,600×80÷3,600=80 アーラン。
1台の呼数 60分 ÷ 3分
20 回/時
全体の呼数 180 台 × 20
3,600 回/時
使われた時間 3,600 × 80 秒
288,000 秒
288,000 ÷ 3,600 = 80 アーラン
呼量 = 1時間の呼数 × 平均保留時間 ÷ 3,600 秒
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
二つのルーティングプロトコル RIP-2 と OSPF を比較したとき,OSPF だけに当てはまる特徴はどれか。
ア 可変長サブネットマスクに対応している。
イ リンク状態のデータベースを使用している。 正解
ウ ルーティング情報の更新にマルチキャストを使用している。
エ ルーティング情報の更新を 30 秒ごとに行う。
正解 イ
解説
OSPF はリンクステート型のルーティングプロトコルで,各ルータがリンクの状態を交換して同じリンク状態データベース(LSDB)を作り,それをもとにダイクストラ法で最短経路を計算する。ディスタンスベクタ型の RIP-2 はリンク状態のデータベースをもたないので,イが OSPF だけに当てはまる。
アの可変長サブネットマスク(VLSM)には,サブネットマスクを経路情報に含める RIP-2 も OSPF も対応している。ウのマルチキャストも両方が使う(RIP-2 は 224.0.0.9,OSPF は 224.0.0.5 と 224.0.0.6)。エの 30 秒ごとの定期的な経路情報の更新は RIP-2 の特徴で,OSPF は変化があったときに更新を通知する。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
用語解説:ルーティングプロトコル(RIP・OSPF・BGP) サブネットマスク・CIDR
問4
IEEE 802.1Q で規定された VLAN の VID(VLAN Identifier)のビット長はどれか。
正解 ウ
解説
IEEE 802.1Q の VLAN タグは,TPID(16 ビット)と TCI(16 ビット)の 4 オクテットから成り,TCI は優先度 PCP(3 ビット),DEI(1 ビット),VID(12 ビット)で構成される。VID は 12 ビットで,0~4095 の値をとる(0 と 4095 は予約されており,VLAN として使えるのは 4094 個)。ウが正しい。
アの 8 ビットやイの 10 ビットでは,それぞれ 256 個,1,024 個の VLAN しか識別できず,VID の長さではない。エの 16 ビットは,タグの種類を示す TPID(値は 0x8100)や,VID を含む TCI 全体の長さである。
IEEE 802.1Q の VLAN タグの位置と中身
VLAN タグ(4オクテット)は,イーサネットフレームの送信元 MAC アドレスとタイプの間に入る。中身は TPID(16ビット,値 0x8100),PCP(優先度 3ビット),DEI(1ビット),VID(VLAN 番号 12ビット)。VID は12ビットなので,識別できる VLAN は 4,096 個(使えるのは 1〜4094)。
宛先MAC
送信元MAC
タグ
タイプ
データ
FCS
TPID
16ビット
0x8100
PCP
3ビット
優先度
DEI
1ビット
VID
12ビット
VLAN 番号
VID 12ビット → 4,096 通り
タグは送信元 MAC の後ろ。VID は12ビット
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
用語解説:スパニングツリー・VLAN・リンクアグリゲーション
問5
スパニングツリープロトコルに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア OSI 基本参照モデルにおけるネットワーク層のプロトコルである。
イ ブリッジ間に複数経路がある場合,同時にフレーム転送することを可能にするプロトコルである。
ウ ブロードキャストフレームを,ブリッジ間で転送しない利点がある。
エ ルートブリッジの決定には,ブリッジの優先順位と MAC アドレスが使用される。 正解
正解 エ
解説
スパニングツリープロトコルでは,各ブリッジが BPDU に載せたブリッジ ID を比較し,値の最も小さいブリッジをルートブリッジにする。ブリッジ ID は,管理者が設定するブリッジの優先順位(プライオリティ)と MAC アドレスを組み合わせたもので,優先順位が同じなら MAC アドレスの小さいブリッジが選ばれる。エが適切である。
アは誤りで,スパニングツリープロトコルは OSI 基本参照モデルのデータリンク層のプロトコルである。イも誤りで,冗長な経路の一部のポートをブロックして一つの経路だけを使い,ループを防ぐ。ウも誤りで,ブロードキャストフレームはブリッジ間で転送される(ループがあると転送され続けるので,それを防ぐのがこのプロトコルの目的である)。
スパニングツリーのルートブリッジとポート
ブリッジ ID(優先順位+MAC アドレス)が最も小さいブリッジがルートブリッジ。ほかの各ブリッジで,ルートまでのコストが最小のポートがルートポート(R)。各リンクの両端のうち,ルートまでのコストが小さい側のポートが代表ポート(D)。どちらにもならないポートはブロックされ,ループができない。
S1(ルート)
S2
S3
D
D
R
R
D
S2–S3 の間:ID の小さい S2 側が D,S3 側はブロック
ルート:ブリッジ ID(優先順位+MAC)が最小
R:ルートポート D:代表ポート ×:ブロック
リンクごとにルートに近い側が代表ポート。残りはブロック
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
用語解説:スパニングツリー・VLAN・リンクアグリゲーション
問6
DNS ゾーンデータファイルの MX レコードに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア 先頭フィールド(NAME フィールド)には,メールアドレスのドメイン名を記述する。 正解
イ プリファレンス値が大きい方が優先度は高い。
ウ メール交換ホストを IP アドレスで指定する。
エ メールサーバの別名を記述できる。
正解 ア
解説
MX レコードは,あるドメイン宛ての電子メールを受け取るメールサーバ(メール交換ホスト)を示すもので,先頭の NAME フィールドにはメールアドレスの @ より後ろのドメイン名を記述し,値としてプリファレンス値とメール交換ホストのドメイン名を記述する。アが適切である。
イのプリファレンス値は,値が小さいほど優先度が高い。ウのメール交換ホストは IP アドレスではなくドメイン名(ホスト名)で指定し,その IP アドレスは A レコードなどで引く。エの MX レコードの値には,CNAME で定義した別名を指定してはならないとされている(RFC 2181)。
DNS のおもなリソースレコード
A はホスト名に対応する IPv4 アドレス,AAAA は IPv6 アドレス。MX はそのドメイン宛てのメールを受け取るメールサーバのホスト名と優先度(プリファレンス値が小さいほど優先)。NS はゾーンを管理する DNS サーバで,サブドメインへの委任にも使う。CNAME は別名,PTR は IP アドレスからホスト名(逆引き),SOA はゾーンの管理情報。
レコード
書くもの
例
A
名前 → IPv4
www → 192.0.2.10
AAAA
名前 → IPv6
www → 2001:db8::10
MX
メールサーバと優先度
example.jp → 10 mail
NS
ゾーンの DNS サーバ
sub → ns.sub
CNAME
別名 → 正式名
web → www
PTR
IP → 名前(逆引き)
10 → www
SOA
ゾーンの管理情報
シリアル番号など
MX の値はホスト名(IP アドレスや別名は書かない)
MX はメールの配送先(ホスト名で書く,値が小さいほど優先)
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
IPv4 における ICMP のメッセージに関する説明として,適切なものはどれか。
ア 送信元が設定したソースルーティングが失敗した場合は,Echo Reply を返す。
イ 転送されてきたデータグラムを受信したルータが,そのネットワークの最適なルータを送信元に通知して経路の変更を要請するには,Redirect を使用する。 正解
ウ フラグメントの再組立て中にタイムアウトが発生した場合は,データグラムを破棄して Parameter Problem を返す。
エ ルータでメッセージを転送する際に,受信側のバッファがあふれた場合は Time Exceeded を送り,送信ホストに送信を抑制することを促す。
正解 イ
解説
ICMP の Redirect メッセージは,ルータが受け取ったデータグラムについて,送信元と同じネットワーク上に宛先へのより適切な次のルータがあるときに,そのルータを送信元に通知して経路の変更を促すために使われる。イが適切である。
アのソースルーティングの失敗は Destination Unreachable(Source Route Failed)で通知し,Echo Reply は ping の Echo Request に対する応答である。ウのフラグメントの再組立て中のタイムアウトは Time Exceeded(Fragment Reassembly Time Exceeded)で通知する。エの Time Exceeded は TTL が 0 になったときなどに送られるもので,バッファがあふれたときに送信の抑制を促すのは Source Quench(現在は廃止)である。
ICMP Redirect
ホストがルータ1をデフォルトゲートウェイにしていて,宛先へはルータ2のほうが近いとき,ルータ1はパケットをルータ2へ転送するとともに,同じセグメントにいるホストへ ICMP Redirect を送り,「この宛先へは次からルータ2に送って」と経路の変更を求める。
ホスト
ルータ1
ルータ2
→ 宛先のネットワーク
① 送る
② 転送
③ Redirect「次はルータ2へ」
Redirect は「もっと良いルータが同じセグメントにある」と送信元に知らせる
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
IPv6 の IP アドレスに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア IPv4 に比べてアドレスフィールドが拡張されたので,ルータでの中継処理の遅延が増加する。
イ IP アドレスは 10 進数を用いる表記が推奨されている。
ウ 上位 96 ビットを全て 1 としたアドレスは IPv4 射影アドレスとして使用される。
エ ホストはルータからの情報によって自分の IP アドレスを自動設定できる。 正解
正解 エ
解説
IPv6 では,ホストがルータから受け取るルータ広告(RA)に含まれるプレフィックスと,自分で生成したインタフェース ID を組み合わせて,IP アドレスを自動設定できる(ステートレスアドレス自動設定,SLAAC)。エが適切である。
アは逆で,IPv6 は基本ヘッダを固定長にし,ヘッダチェックサムを廃止してルータでの分割(フラグメンテーション)も行わないので,中継処理は軽くなる。イの IPv6 アドレスは 16 ビットずつ 16 進数で表しコロンで区切る表記が推奨されている。ウの IPv4 射影アドレスは,上位 80 ビットを 0,続く 16 ビットを 1 とし,下位 32 ビットに IPv4 アドレスを入れる(::ffff:192.0.2.1 など)。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
用語解説:IPv6
問9
SMTP に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア SMTP サーバは,SMTP クライアントの HELO コマンドに対して利用できる拡張機能の一覧を応答する。
イ 宛先のメールアドレスが複数ある場合は,SMTP の一つの RCPT コマンドにまとめて指定する。
ウ 差出人のメールアドレスは,SMTP の DATA コマンドに指定する。
エ 迷惑メールの防止のために,メールクライアントからの電子メール送信とメールサーバ間での電子メール転送とで,異なるポート番号を利用できる。 正解
正解 エ
解説
SMTP では,メールクライアントからの送信(サブミッション)にサブミッションポート(587 番)を使い,SMTP 認証を求めることで,メールサーバ間の転送に使う 25 番ポートと分けられる。これと,ISP が内部から外部の 25 番ポートへの通信を遮断する OP25B(Outbound Port 25 Blocking)を組み合わせて,迷惑メールの送信を防ぐ。エが適切である。なお,現在は TLS で最初から暗号化する 465 番ポートでの送信も推奨されている(RFC 8314)。
アの拡張機能の一覧を応答するのは,HELO ではなく EHLO コマンドに対してである。イの宛先が複数ある場合は,RCPT コマンドを宛先ごとに繰り返す。ウの差出人のメールアドレスは MAIL コマンド(MAIL FROM)に指定し,DATA コマンドの後にはメール本文を送る。
OP25B とサブミッションポート,IP25B
ISP A の動的 IP アドレスの PC が,宛先のメールサーバへ25番ポートで直接送る通信は,ISP A の出口で止められる(OP25B)。PC は自分の ISP のメールサーバへサブミッションポート(587番)で接続し,SMTP-AUTH で認証を受けてから送る。メールサーバどうしの転送は25番を使う。IP25B は,他社 ISP の動的 IP アドレスから自社のメールサーバへ入ってくる25番の通信を止める。
ISP A のネットワーク
PC
動的 IP アドレス
ISP A の
メールサーバ
宛先の
メールサーバ
587番
SMTP-AUTH
25番
25番で直接送る
OP25B
IP25B:入ってくる側で止める
他社 ISP の PC
動的 IP アドレス
ISP A の
メールサーバ
25番で直接届けようとする通信を止める
OP25B は自社の動的 IP から外へ出る25番を,IP25B は他社の動的 IP から入ってくる25番を止める
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
用語解説:電子メールのプロトコル(SMTP・POP・IMAP)
問10
UDP を使用するプロトコルはどれか。
正解 ア
解説
DHCP は,クライアントがまだ IP アドレスをもたない状態でブロードキャストを使って設定情報を要求するので,コネクションを確立しない UDP を使う(サーバは 67 番,クライアントは 68 番ポート)。アが正しい。
イの FTP(制御用 21 番,データ転送用 20 番),ウの HTTP(80 番),エの SMTP(25 番)は,いずれも TCP を使うプロトコルである。なお,現在は UDP 上の QUIC で動作する HTTP/3 も使われている。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
用語解説:電子メールのプロトコル(SMTP・POP・IMAP)
問11
ネットワークの制御に関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア TCP では,ウィンドウサイズが固定で輻輳回避ができないので,輻輳が起きると,データに対してタイムアウト処理が必要になる。
イ 誤り制御方式の一つであるフォワード誤り訂正方式は,受信側で誤りを検出し,送信側にデータの再送を要求する方式である。
ウ ウィンドウによるフロー制御では,応答確認があったブロック数だけウィンドウをずらすことによって,複数のデータをまとめて送ることができる。 正解
エ データグラム方式では,両端を結ぶ仮想の通信路を確立し,以降は全てその経路を通すことによって,経路選択のオーバヘッドを小さくしている。
正解 ウ
解説
ウィンドウによるフロー制御(スライディングウィンドウ方式)では,受信側からの応答確認を待たずにウィンドウサイズ分のデータを続けて送り,応答確認があった分だけウィンドウを先へずらして次のデータを送る。一つ送るたびに応答を待つ方式より,複数のデータをまとめて送れるので効率がよい。ウが適切である。
アは誤りで,TCP のウィンドウサイズは可変であり,スロースタートや輻輳回避のアルゴリズムで送信量を調整する。イは,受信側で誤りを検出して再送を要求する ARQ(自動再送要求)の説明であり,フォワード誤り訂正方式は冗長なビットを付けて受信側だけで誤りを訂正する。エは,通信の前に仮想の通信路を確立するバーチャルサーキット方式の説明であり,データグラム方式はパケットごとに独立して経路を選ぶ。
ウィンドウによるフロー制御
ウィンドウサイズが4セグメント分なら,送信側は確認応答を待たずに1〜4番を続けて送れる。1番の確認応答が届くとウィンドウを1つ右にずらし,5番を送れるようになる。1つずつ応答を待つより,待ち時間を減らして多くのデータを送れる。ウィンドウサイズは受信側が状況に応じて知らせる。
最初
1
2
3
4
5
6
7
8
1番の応答後
1
2
3
4
5
6
7
8
枠の中は応答を待たずに送れる(ウィンドウ 4)
応答を待たずに送れる量がウィンドウ。応答が来た分だけ右へずらす
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
ネットワークアドレス 192.168.10.192/28 のサブネットにおけるブロードキャストアドレスはどれか。
ア 192.168.10.199
イ 192.168.10.207 正解
ウ 192.168.10.223
エ 192.168.10.255
正解 イ
解説
プレフィックス長が /28 なので,ホスト部は 32-28=4 ビットで,サブネットには 24 =16 個のアドレスがある。ネットワークアドレス 192.168.10.192 から 16 個分の範囲は .192~.207 であり,ホスト部のビットが全て 1 になる最後のアドレス 192.168.10.207 がブロードキャストアドレスである。イが該当する。
アの .199 は /29(8 個)とした場合,ウの .223 は /27(32 個)とした場合のブロードキャストアドレスである。エの .255 は /24 のブロードキャストアドレスである。
192.168.10.192/28 のブロードキャストアドレスの求め方
IP アドレス 192.168.10.192 とマスク 255.255.255.240(/28)。境目は第4オクテットで,192 は 11000000,マスクは 11110000。先頭28ビットがネットワーク部,残り4ビットがホスト部。ブロードキャストアドレスは 192.168.10.207。
第1
第2
第3
第4(境目)
IP アドレス
192
.
168
.
10
.
1
1
0
0
0
0
0
0
(192)
マスク
255
.
255
.
255
.
1
1
1
1
0
0
0
0
(240)
結果
192
.
168
.
10
.
1
1
0
0
1
1
1
1
(207)
ネットワーク部 28ビット / ホスト部 4ビット
ホスト部を全部1にして 192.168.10.207
ホスト部の4ビットを全部1にする
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
用語解説:サブネットマスク・CIDR
問13
SDN(Software-Defined Networking)で利用される OpenFlow プロトコルの説明として,適切なものはどれか。ここで,ネットワーク機器は OpenFlow に対応しているものとする。
ア ネットワーク機器の制御のためのプロトコルであり,ネットワーク機器のフローテーブルの情報をコントローラから提供するときに使用される。 正解
イ ネットワークの構成管理や性能管理のためのプロトコルであり,管理マネージャと呼ばれるプログラムがネットワーク機器の MIB を取得するときに使用される。
ウ ネットワークのトラフィックを分析するためのプロトコルであり,フロー(IP アドレスやポート番号の組合せ)ごとの統計情報を,ネットワーク機器がコレクタと呼ばれるサーバに送信するときに使用される。
エ レイヤ 2 の冗長化のためのプロトコルであり,ネットワーク機器がループを検知するときや障害時の迂回ルートを決定するときなどに,ネットワーク機器間の通信に使用される。
正解 ア
解説
OpenFlow は,SDN で経路制御などを行うコントローラと,データの転送を行うネットワーク機器(OpenFlow スイッチ)の間で使う制御用のプロトコルである。コントローラは,パケットの条件と処理を組にしたフローエントリを OpenFlow によってスイッチのフローテーブルに書き込み,スイッチはそれに従って転送する。アが適切である。
イは,管理マネージャがネットワーク機器の MIB を取得する SNMP の説明である。ウは,フローごとの統計情報をコレクタに送る NetFlow や IPFIX などの説明である。エは,ループを防ぎ障害時に迂回経路を決める STP(スパニングツリープロトコル)などの説明である。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
FTP によるファイル転送には,制御用とデータ転送用の二つのコネクションが用いられる。これらのコネクションに関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,FTP はパッシブモードで動作するものとする。
ア 制御用コネクションの確立はクライアントからサーバに対して,データ転送用コネクションの確立はサーバからクライアントに対して行う。
イ 制御用コネクションの確立はサーバからクライアントに対して,データ転送用コネクションの確立はクライアントからサーバに対して行う。
ウ どちらのコネクションの確立もクライアントからサーバに対して行う。 正解
エ どちらのコネクションの確立もサーバからクライアントに対して行う。
正解 ウ
解説
FTP のパッシブモードでは,クライアントがサーバの 21 番ポートに制御用コネクションを張ったあと PASV コマンドを送り,サーバが待ち受けるポート番号を通知する。クライアントはそのポートに対してデータ転送用コネクションも自分から張る。どちらもクライアントからサーバに対して確立するので,ウが適切である。クライアント側のファイアウォールや NAPT を通しやすい。
アはアクティブモードの説明で,制御用コネクションはクライアントから,データ転送用コネクションはサーバ(通常 20 番ポート)からクライアントに対して確立する。イとエのように,制御用コネクションをサーバから確立することはない。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
IP 電話の音声品質を表す指標のうち,ノイズ,エコー,遅延などから算出されるものはどれか。
ア MOS 値
イ R 値 正解
ウ ジッタ
エ パケット損失率
正解 イ
解説
R 値は,ITU-T G.107 の E モデルで定義される音声品質の指標で,ノイズ,エコー,遅延,パケット損失などの伝送品質を表すパラメータから計算によって算出する(0~100 の値をとり,大きいほど品質が良い)。イが該当する。
アの MOS 値は,実際に人が音声を聞いて 5 段階で評価した結果を平均した主観評価の指標である。ウのジッタはパケットの到着間隔の揺らぎ,エのパケット損失率は失われたパケットの割合であり,いずれも R 値を算出する要素の一部で,それ自体が総合的な指標ではない。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
ウイルスの検出手法であるビヘイビア法を説明したものはどれか。
ア あらかじめ特徴的なコードをパターンとして登録したウイルス定義ファイルを用いてウイルス検査対象と比較し,同じパターンがあれば感染を検出する。
イ ウイルスに感染していないことを保証する情報をあらかじめ検査対象に付加しておき,検査時に不整合があれば感染を検出する。
ウ ウイルスの感染が疑わしい検査対象を,安全な場所に保管されている原本と比較し,異なっていれば感染を検出する。
エ ウイルスの感染や発病によって生じるデータの読込みと書込み動作や通信などを監視して,感染を検出する。 正解
正解 エ
解説
ビヘイビア法(動的ヒューリスティック法)は,検査対象のプログラムの振る舞いを監視し,ウイルスの感染や発病によって生じるファイルの書込み動作の異常や通信量の異常な増加などの変化を検知して感染を検出する手法である。未知のウイルスも検出できる可能性がある。エが正しい。
アのウイルス定義ファイルのパターンと比較するのはパターンマッチング法。イの感染していないことを保証する情報をあらかじめ付加しておき不整合を検出するのはチェックサム法(インテグリティチェック法)。ウの安全な場所に保管した原本と比較するのはコンペア法である。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
用語解説:マルウェア(ルートキット・ポリモーフィック型・ビヘイビア法)
問17
未使用の IP アドレス空間であるダークネットに到達する通信の観測において,送信元 IP アドレスが A,送信元ポート番号が 80/tcp の SYN/ACK パケットを受信した場合に想定できる攻撃はどれか。
ア IP アドレス A を攻撃先とするサービス妨害攻撃 正解
イ IP アドレス A を攻撃先とするパスワードリスト攻撃
ウ IP アドレス A を攻撃元とするサービス妨害攻撃
エ IP アドレス A を攻撃元とするパスワードリスト攻撃
正解 ア
解説
SYN/ACK パケットは,TCP の接続要求(SYN)を受け取ったサーバが返す応答である。IP アドレス A のポート 80/tcp から,ホストに割り振られていない未使用アドレス宛てに SYN/ACK が大量に送られているのは,攻撃者が送信元 IP アドレスを未使用アドレスなどに偽装した SYN パケットを A に大量に送り付け,A がその偽の送信元に応答している状況と推定できる。これは A を攻撃先とする SYN フラッド攻撃(サービス妨害攻撃)の跳ね返り(バックスキャッタ)であり,アが該当する。
A は SYN/ACK を返している側なので攻撃元ではなく,ウ・エは当たらない。パスワードリスト攻撃は TCP 接続を確立したうえで認証を試行する攻撃であり,実在しないアドレスとの間では接続が確立しないので,イも当たらない。
バックスキャッタとダークネット
攻撃者が送信元 IP アドレスを偽って大量の SYN を攻撃対象に送ると,攻撃対象は偽の送信元へ SYN/ACK を返す。偽の送信元に,使われていない IP アドレスの範囲(ダークネット)が含まれていると,本来届くはずのない SYN/ACK がダークネットに届く。これをバックスキャッタと呼び,観測すると攻撃に気づける。
攻撃者
攻撃対象
ダークネット
(使われて
いない範囲)
SYN
送信元を偽装
SYN/ACK
届いた SYN/ACK=バックスキャッタ → 攻撃に気づける
ダークネットに届く SYN/ACK は,どこかで送信元を偽った攻撃が起きている証拠
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
用語解説:DDoS 攻撃(リフレクション攻撃・Smurf 攻撃)
問18
ディジタルフォレンジックスに該当するものはどれか。
ア 画像や音楽などのディジタルコンテンツに著作権者などの情報を埋め込む。
イ コンピュータやネットワークのセキュリティ上の弱点を発見するテスト手法の一つであり,システムを実際に攻撃して侵入を試みる。
ウ ネットワークの管理者や利用者などから,巧みな話術や盗み聞き,盗み見などの手段によって,パスワードなどのセキュリティ上重要な情報を入手する。
エ 犯罪に関する証拠となり得るデータを保全し,その後の訴訟などに備える。 正解
正解 エ
解説
ディジタルフォレンジックスは,不正アクセスや情報漏えいなどの事件が起きたときに,コンピュータやネットワークに残る記録を証拠として使えるように保全し,調査・分析する技術や手続のことである。証拠としての信頼性を保つため,改ざんされていないことを示せる形で複製や記録を残し,訴訟などにも耐えられるようにする。エが正しい。
アのディジタルコンテンツに著作権者などの情報を埋め込むのは電子透かし。イのシステムを実際に攻撃して侵入を試みるテスト手法はペネトレーションテスト。ウの巧みな話術や盗み聞きなどでパスワードなどを入手するのはソーシャルエンジニアリングである。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
DNSSEC の機能はどれか。
ア DNS キャッシュサーバの設定によって再帰的な問合せを受け付ける送信元の範囲が最大になるようにする。
イ DNS サーバから受け取るリソースレコードに対するディジタル署名を利用して,リソースレコードの送信者の正当性とデータの完全性を検証する。 正解
ウ ISP などのセカンダリ DNS サーバを利用して DNS コンテンツサーバを二重化することによって,名前解決の可用性を高める。
エ 共通鍵暗号技術とハッシュ関数を利用したセキュアな方法によって,DNS 更新要求が許可されているエンドポイントを特定して認証する。
正解 イ
解説
DNSSEC は,DNS の応答に含まれるリソースレコードにディジタル署名を付け,受け取った側がその署名を検証することで,応答が正当な権威 DNS サーバから送られたものであり,途中で改ざんされていないことを確かめる仕組みである。DNS キャッシュポイズニングへの対策になる。イが正しい。
アのように再帰的な問合せを受け付ける範囲を広げると,オープンリゾルバとなって DNS リフレクション攻撃に悪用されるおそれがあり,逆効果である。ウは権威 DNS サーバの冗長化による可用性の向上。エは共通鍵とハッシュ関数を使って DNS の更新要求などの送信者を認証する TSIG の説明である。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
用語解説:ディジタル署名(デジタル署名) DNS のセキュリティ(DNSSEC・キャッシュポイズニング) ハッシュ関数 共通鍵暗号と公開鍵暗号
問20
内部ネットワーク上の PC からインターネット上の Web サイトを参照するときは,DMZ 上の VDI(Virtual Desktop Infrastructure)サーバにログインし,VDI サーバ上の Web ブラウザを必ず利用するシステムを導入する。インターネット上の Web サイトから内部ネットワーク上の PC へのマルウェアの侵入,及び PC からインターネット上の Web サイトへのデータ流出を防止するのに効果がある条件はどれか。
ア PC と VDI サーバ間は,VDI の画面転送プロトコル及びファイル転送を利用する。
イ PC と VDI サーバ間は,VDI の画面転送プロトコルだけを利用する。 正解
ウ VDI サーバが,プロキシサーバとして HTTP 通信を中継する。
エ VDI サーバが,プロキシサーバとして VDI の画面転送プロトコルだけを中継する。
正解 イ
解説
この仕組みでは,インターネット上の Web サイトとの通信は,DMZ の VDI サーバ上の仮想マシンの Web ブラウザが行う。PC と VDI サーバの間で画面転送プロトコルだけを利用すれば,PC には仮想マシンの画面の情報だけが送られ,Web サイトから取得したファイルは PC に届かない。また,PC のファイルを VDI サーバに渡せないので,Web サイトへ流出させることもできない。イが必要な条件である。
アのファイル転送も利用すると,マルウェアを含むファイルが PC に持ち込まれたり,PC のファイルが持ち出されたりする。ウの VDI サーバが HTTP 通信を中継すると,PC が直接 Web サイトと通信するのと変わらない。エの VDI サーバが画面転送プロトコルを中継するだけでは,仮想マシン上の Web ブラウザを使う仕組みにならない。
VDI による Web 分離
社内の PC からは直接インターネットの Web を見ず,仮想デスクトップ(VDI)サーバ上のブラウザで閲覧する。PC には画面の情報だけが届き,Web から落としたファイルや実行されたマルウェアは VDI 側にとどまるので,社内の PC や社内ネットワークに広がりにくい。
社内 PC
VDI サーバ
ブラウザが動く
Web
画面だけ
が届く
マルウェアはここに
とどまる
Web の中身は PC に来ない
PC に届くのは画面だけ。危ないものは VDI の中にとどまる
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
用語解説:ファイアウォールと DMZ
問21
DNS の再帰的な問合せを使ったサービス不能攻撃(DNS amp 攻撃)の踏み台にされることを防止する対策はどれか。
ア DNS サーバをキャッシュサーバとコンテンツサーバに分離し,インターネット側からキャッシュサーバに問合せできないようにする。 正解
イ 問合せがあったドメインに関する情報を Whois データベースで確認してからキャッシュサーバに登録する。
ウ 一つの DNS レコードに複数のサーバの IP アドレスを割り当て,サーバへのアクセスを振り分けて分散させるように設定する。
エ 他の DNS サーバから送られてくる IP アドレスとホスト名の対応情報の信頼性を,ディジタル署名で確認するように設定する。
正解 ア
解説
DNS amp(DNS リフレクション攻撃)は,送信元 IP アドレスを攻撃対象に偽装した問合せを,誰からでも再帰的な問合せを受け付ける DNS キャッシュサーバ(オープンリゾルバ)に大量に送り,大きな応答を攻撃対象に集中させる攻撃である。キャッシュサーバとコンテンツサーバを分離し,インターネット側からキャッシュサーバに問合せできないようにすれば,踏み台にされることを防げる。アが正しい。
イの Whois データベースでドメインの情報を確認しても,攻撃は防げない。ウの一つのレコードに複数の IP アドレスを割り当てるのは DNS ラウンドロビンによる負荷分散である。エのディジタル署名による応答の確認は DNSSEC で,キャッシュポイズニングへの対策である。
DNS リフレクタ攻撃(DNS amp)の流れ
攻撃者は送信元 IP アドレスを攻撃対象に偽った小さな問合せを,誰からの再帰的な問合せにも答えるキャッシュ DNS サーバ(オープンリゾルバ)に大量に送る。応答は偽られた送信元,つまり攻撃対象に返り,問合せより大きな応答が集中する。NTP の monlist など,小さな要求に大きく答える UDP のサービスでも同じ形の攻撃になる。
攻撃者
オープンリゾルバ
キャッシュ DNS
オープンリゾルバ
キャッシュ DNS
オープンリゾルバ
キャッシュ DNS
攻撃対象
① 送信元を攻撃対象に偽った小さな問合せ
② 大きな応答
対策:外部からの再帰的な問合せに答えない(キャッシュと権威を分ける)
送信元を偽るので,応答が攻撃対象に集まる。対策はオープンリゾルバにしないこと
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
用語解説:DDoS 攻撃(リフレクション攻撃・Smurf 攻撃) ディジタル署名(デジタル署名) DNS のセキュリティ(DNSSEC・キャッシュポイズニング)
問22
MLC(Multi-Level Cell)フラッシュメモリの特徴として,適切なものはどれか。
ア コンデンサに蓄えた電荷を用いて,データを記憶する。
イ 電気抵抗の値を用いて,データを記憶する。
ウ 一つのメモリセルに 2 ビット以上のデータを記憶する。 正解
エ フリップフロップを利用して,データを記憶する。
正解 ウ
解説
MLC(Multi-Level Cell)は,一つのメモリセルに 2 ビット以上の情報を記憶する方式のフラッシュメモリ。1 ビットだけを記憶する SLC に比べて同じ面積により多くのデータを詰められるが,書換え可能回数は少なくなる。
アはコンデンサの電荷を使う DRAM,イは電気抵抗の値を使う ReRAM(抵抗変化型メモリ),エはフリップフロップを使う SRAM の説明である。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
複数台の PC で 1 台のプリンタを共有するシステムがある。このプリンタに対する平均印刷要求回数が毎分 1 回のとき,このプリンタの平均印刷時間(印刷を要求してから終了するまでの時間)は何秒か。ここで,プリンタは,平均が 15 秒の指数分布に従う時間で印刷要求を処理するものとし,プリンタに対する印刷要求はポアソン分布に従うものとする。
正解 ウ
解説
印刷要求がポアソン分布に従って到着し,印刷時間が指数分布に従うので,M/M/1 の待ち行列として考える。平均到着間隔は 60 秒,平均サービス時間は 15 秒なので,利用率 ρ=15÷60=0.25 である。平均待ち時間は ρ÷(1-ρ)×15=0.25÷0.75×15=5 秒で,印刷を要求してから終了するまでの平均時間は 5+15=20 秒になる(15÷(1-0.25)=20 秒としても求められる)。ウになる。
アの 15 秒は待ち時間を含まない平均印刷時間だけである。イの 18 秒は M/M/1 の式に当てはめた値と合わない。エの 30 秒は,利用率を 0.5 とした場合(15÷(1-0.5))の値である。
M/M/1 の待ち時間と利用率
M/M/1 の平均待ち時間は 平均処理時間×ρ÷(1−ρ)(ρ は利用率)。ρ=0.5 で係数が1になり,待ち時間が処理時間と同じになる。ρ=0.67 で2倍,0.8 で4倍,0.9 で9倍と,1に近づくと急に長くなる。
0.5 → 1倍
0.8 → 4倍
0.9 → 9倍
1
利用率 ρ
ρ÷(1−ρ)(待ち時間 ÷ 処理時間)
利用率が50%を超えると待ち時間が処理時間を超え,1に近づくと急増する
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
ソフトウェアの使用性を向上させる施策として,適切なものはどれか。
ア オンラインヘルプを充実させ,利用方法を理解しやすくする。 正解
イ 外部インタフェースを見直し,連携できる他システムを増やす。
ウ 機能を追加し,業務においてシステムが利用できる範囲を拡大する。
エ ファイルの複製を分散して配置し,障害によるシステム停止のリスクを減らす。
正解 ア
解説
使用性(ユーザビリティ)は,利用者がソフトウェアを理解し,習得し,操作しやすい度合いを表す品質特性である。オンラインヘルプを充実させて利用方法を理解しやすくすることは使用性の向上に当たるので,アが適切である。
イの連携できる他システムを増やすことは相互運用性(互換性),ウの機能を追加して利用できる範囲を広げることは機能性(機能適合性),エのファイルを分散配置して障害時の停止リスクを減らすことは信頼性(可用性)を向上させる施策である。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
XP(eXtreme Programming)のプラクティスの一つであるものはどれか。
ア 構造化プログラミング
イ コンポーネント指向プログラミング
ウ ビジュアルプログラミング
エ ペアプログラミング 正解
正解 エ
解説
XP(エクストリームプログラミング)は,短い反復で開発を進めるアジャイル開発手法の一つで,プラクティスとしてペアプログラミング,テスト駆動開発,リファクタリング,継続的インテグレーション,コードの共同所有などを挙げる。2人1組で1台のコンピュータを使い,一方がコードを書き他方がレビューしながら進めるペアプログラミングはその代表で,エが正しい。
アの構造化プログラミングは,順次・選択・繰返しの制御構造でプログラムを組み立てる考え方。イのコンポーネント指向プログラミングは,部品を組み合わせてソフトウェアを作る考え方。ウのビジュアルプログラミングは,図形を操作してプログラムを作る方式で,いずれも XP のプラクティスではない。
出典:平成29年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
用語解説:アジャイル開発(スクラム・XP)
ネットワークスペシャリスト試験のほかの年度
科目A-2(午前Ⅱ)
令和7年度 春期
令和6年度 春期
令和5年度 春期
令和4年度 春期
令和3年度 春期
令和元年度 秋期
平成30年度 秋期
平成29年度 秋期
平成28年度 秋期
平成27年度 秋期
平成26年度 秋期
平成25年度 秋期
平成24年度 秋期
平成23年度 秋期
平成22年度 秋期
平成21年度 秋期
科目B-1(午後Ⅰ)
令和7年度 春期
令和6年度 春期
令和5年度 春期
令和4年度 春期
令和3年度 春期
令和元年度 秋期
平成30年度 秋期
平成29年度 秋期
平成28年度 秋期
平成27年度 秋期
平成26年度 秋期
平成25年度 秋期
平成24年度 秋期
平成23年度 秋期
平成22年度 秋期
平成21年度 秋期
科目B-2(午後Ⅱ)
令和7年度 春期
令和6年度 春期
令和5年度 春期
令和4年度 春期
令和3年度 春期
令和元年度 秋期
平成30年度 秋期
平成29年度 秋期
平成28年度 秋期
平成27年度 秋期
平成26年度 秋期
平成25年度 秋期
平成24年度 秋期
平成23年度 秋期
平成22年度 秋期
平成21年度 秋期
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