平成23年度 秋期に実施されたネットワークスペシャリスト試験
午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。
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問1
LAN ケーブルに関する説明として,適切なものはどれか。
ア LAN ケーブル内の対になった導線がより線となっているのは,導線に発生する外来ノイズを減らすためであり,ケーブル内の全ての対のピッチは均一の方が効果が高い。
イ カテゴリ 5E の UTP ケーブルは 1000BASE-T で利用される非シールドより対線であり,2 本の導線が 4 対収められている。 正解
ウ カテゴリ 6 の UTP ケーブルを使用する 1000BASE-TX では,1 対のより線で 250 M ビット/秒のデータを上り下り同時に送り,4 対合計で 1 G ビット/秒の全二重通信を実現している。
エ 対線は 2 本の導線の電位差で情報を伝え,この対線に発生する外来ノイズの大きさは 2 本の導線の間隔に反比例する。
正解 イ
解説
1000BASE-T は,カテゴリ 5 の性能を強化したエンハンスドカテゴリ 5 などの UTP ケーブルを使う。UTP ケーブルはシールドを持たないより対線で,2 本の導線をより合わせた対が 4 対収められており,1000BASE-T はこの 4 対すべてを使って通信する。イが適切である。
アは誤りで,全ての対を同じピッチでよると隣り合う対の間で漏話(クロストーク)が起きやすくなるので,対ごとにピッチを変えてある。ウの 1 対 250 M ビット/秒を上り下り同時に送り 4 対で全二重 1 G ビット/秒を実現するのは 1000BASE-T の方式で,1000BASE-TX は 2 対を送信用,2 対を受信用に分けて使う。エも誤りで,2 本の導線の間隔が広いほど外来ノイズを拾いやすくなるので,ノイズの大きさが間隔に反比例するという関係にはない。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)
問2
OSPFv2 の LSA に関する作成と伝播の記述のうち,適切なものはどれか。
ア AS-External-LSA は,エリア境界ルータが作成し,AS の外部だけに伝播される。
イ Network-LSA は,エリア内の全ルータが作成し,エリア内部だけに伝播される。
ウ Router-LSA は,エリア内の全ルータが作成し,エリア内部だけに伝播される。 正解
エ Summary-LSA は,AS 境界ルータが作成し,エリア外部だけに伝播される。
正解 ウ
解説
OSPFv2(RFC 2328)では,エリア内の全てのルータが自分のリンクの状態を表す Router-LSA(タイプ 1)を作成し,それは作成したルータが属するエリアの内部だけに伝播(フラッディング)される。ウが適切である。
アの AS-External-LSA(タイプ 5)は,AS 境界ルータ(ASBR)が AS 外部への経路を表すために作成し,スタブエリアを除く AS 内の全体に伝播される。イの Network-LSA(タイプ 2)は,マルチアクセスネットワークの代表ルータ(DR)だけが作成する。エの Summary-LSA(タイプ 3,4)は,エリア境界ルータ(ABR)が作成し,エリアの外にある宛先への経路をエリア内に伝える。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)
問3
180 台の電話機のトラフィックを調べたところ,電話機 1 台当たりの呼の発生頻度(発着呼の合計)は 3 分に 1 回,平均回線保留時間は 80 秒であった。このときの呼量は何アーランか。
正解 エ
解説
呼量(アーラン)は,単位時間当たりの呼数×平均保留時間を単位時間で割った値である。電話機 1 台当たり 3 分に 1 回なので 1 時間に 20 回,180 台では 1 時間に 180×20=3,600 回の呼が発生する。平均回線保留時間は 80 秒なので,呼量は 3,600×80÷3,600=80 アーランであり,エになる。
1 台当たりの呼量は 80 秒÷180 秒(3 分)=0.444… アーランで,これに 180 台を掛けても 80 アーランになる。アの 4 やイの 12 は,1 時間当たりの回数や台数の掛け方を取り違えた値である。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)
問4
日本国内での無線通信で,割り当てられた周波数帯が重複しているものはどれか。
ア Bluetooth と GPS
イ Bluetooth と IEEE 802.11 無線 LAN 正解
ウ GPS と第 3 世代携帯電話
エ IEEE 802.11 無線 LAN と第 3 世代携帯電話
正解 イ
解説
Bluetooth は 2.4GHz 帯(2,400~2,483.5MHz)の ISM バンドを使う。IEEE 802.11 無線 LAN のうち IEEE 802.11b/g/n も同じ 2.4GHz 帯を使うので,周波数帯が重なり,互いに干渉することがある。イが該当する。
GPS の衛星からの信号(L1 帯)は 1,575.42MHz で,Bluetooth や無線 LAN の 2.4GHz 帯とは重ならない。第 3 世代携帯電話は主に 800MHz 帯や 2GHz 帯(1.9~2.2GHz 付近)などを使い,GPS の周波数とも,無線 LAN の 2.4GHz 帯や 5GHz 帯とも重ならない。したがって,ア,ウ,エの組合せは重複していない。なお,国内の第 3 世代携帯電話のサービスは,2026 年 3 月の NTT ドコモの FOMA の終了で全て終了している。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)
問5
図は,OSPF を使用するルータ a~i のネットワーク構成を示す。拠点 1 と拠点 3 の間の通信は WAN1 を,拠点 2 と拠点 3 の間の通信は WAN2 を通過するようにしたい。x と y に設定するコストとして適切な組合せはどれか。ここで,図中の数字は OSPF コストを示す。
ア x:20,y:20
イ x:30,y:30 正解
ウ x:40,y:40
エ x:50,y:50
正解 イ
解説
OSPF はコストの合計が最小の経路を選ぶ。x と y を同じ値 k とすると,拠点 1(a)から拠点 3(i)へは,WAN1 経由が a-b-e-h-i で 30+100+30+10=170,WAN2 経由が a-d-g-f(又は h)-i で 40+100+k+10=150+k である。WAN1 を通すには 170<150+k,つまり k>20 が必要になる。拠点 2(c)から拠点 3 へは,WAN1 経由が c-b-e-h-i で 50+100+30+10=190,WAN2 経由が c-d-g-f(又は h)-i で 40+100+k+10=150+k であり,WAN2 を通すには 150+k<190,つまり k<40 が必要になる。20<k<40 を満たすのは 30 だけなので,イが適切である。
アの 20 では拠点 1 からの WAN2 経由のコストが 170 となって WAN1 経由と等しくなり,WAN1 だけを通すようにはできない(等コストの経路が並ぶ)。ウの 40 では拠点 2 からの 2 経路がともに 190 で等しくなり,エの 50 では拠点 2 からも WAN1 経由のほうがコストが小さくなる。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)
問6
ネットワークの QoS で使用されるトラフィック制御方式に関する説明のうち,適切なものはどれか。
ア 通信を開始する前にネットワークに対して帯域などのリソースを要求し,確保の状況に応じて通信を制御することを,アドミッション制御という。 正解
イ 入力されたトラフィックが規定された最大速度を超過しないか監視し,超過分のパケットを破棄するか優先度を下げる制御を,シェーピングという。
ウ パケットの送出間隔を調整することによって,規定された最大速度を超過しないようにトラフィックを平準化する制御を,ポリシングという。
エ フレームの種類や宛先に応じて優先度を変えて中継することを,ベストエフォートという。
正解 ア
解説
アドミッション制御は,通信を開始する前に,ネットワークに対して必要な帯域などのリソースを要求し,確保できる場合は通信を受け入れ,確保できない場合は通信を拒否するなど,リソースの確保の状況に応じて通信を制御する方式である。アが適切である。
イの規定の最大速度を超えたパケットを破棄したり優先度を下げたりする制御はポリシング,ウのパケットの送出間隔を調整してトラフィックを平準化する制御はシェーピングで,用語と説明が入れ替わっている。エの種類や宛先に応じて優先度を変えて中継するのは優先制御で,ベストエフォートは品質を保証せずにできる限り転送する方式である。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)
問7
磁気ディスク装置や磁気テープ装置などのストレージ(補助記憶装置)を,通常の LAN とは別の高速な専用ネットワークで構成する方式はどれか。
正解 エ
解説
SAN(Storage Area Network)は,サーバと外部記憶装置を,業務用の LAN とは別に用意した高速な専用ネットワークで接続する構成。ファイバチャネルなどを使い,記憶装置へのアクセスが LAN の通信と干渉しない。
アの DAFS はネットワーク越しにファイルを共有するためのプロトコル,イの DAS はサーバに記憶装置を直結する方式,ウの NAS は通常の LAN に接続して使うファイルサーバ専用機であり,いずれも専用ネットワークで接続する構成ではない。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)
問8
IEEE 802.3-2005 におけるイーサネットフレームのプリアンブルに関する記述として,適切なものはどれか。
ア 同期用の信号として使うためにフレームの先頭に置かれる。 正解
イ フレーム内のデータ誤りを検出するためにフレームの最後に置かれる。
ウ フレーム内のデータを取り出すためにデータの前後に置かれる。
エ フレームの長さを調整するためにフレームの最後に置かれる。
正解 ア
解説
IEEE 802.3 のイーサネットフレームでは,先頭に 7 オクテットのプリアンブル(1 と 0 を交互に並べたビット列)を置き,続く 1 オクテットの SFD(開始フレーム区切り)でフレームの始まりを示す。プリアンブルは,受信側がビットのタイミングを合わせて同期をとるための信号であり,アが適切である。
イはフレームの最後に置く FCS(フレームチェックシーケンス)の説明である。ウは HDLC などでフレームの前後に置くフラグシーケンスに近い説明で,イーサネットのプリアンブルはフレームの先頭だけに置く。エは,データが最小フレーム長(64 オクテット)に満たないときに加えるパッド(PAD)に近い説明だが,パッドはデータの後ろ,FCS の前に置く。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)
問9
図のようなルータ 1 とルータ 2 及び負荷分散装置を使ったマルチホーミングが可能な構成において,クライアントから接続先サーバ宛のパケットに対する負荷分散装置の処理として,適切なものはどれか。
ア 宛先 IP アドレスはそのままで,宛先 MAC アドレスを接続先サーバの MAC アドレスに置き換える。
イ 宛先 IP アドレスはそのままで,宛先 MAC アドレスをルータ 1 又はルータ 2 の MAC アドレスに置き換える。 正解
ウ 宛先 MAC アドレスはそのままで,宛先 IP アドレスを接続先ルータの IP アドレスに置き換える。
エ 宛先 MAC アドレスはそのままで,宛先 IP アドレスをルータ 1 又はルータ 2 の IP アドレスに置き換える。
正解 イ
解説
マルチホーミングは,自社のネットワークを複数の ISP(図ではルータ 1 経由の ISP1 とルータ 2 経由の ISP2)に接続し,回線を使い分けたり障害時に切り替えたりする構成である。負荷分散装置は,クライアントからのパケットをどちらのルータから送り出すかを選び,宛先 IP アドレス(接続先サーバ)はそのままで,宛先 MAC アドレスを選んだルータ 1 又はルータ 2 の MAC アドレスに書き換えて転送する。イが適切である。
アの接続先サーバは,インターネットを越えた別の LAN にある。MAC アドレスは同じデータリンクの中でしか使えないので,接続先サーバの MAC アドレスに書き換えても自社の LAN からは届かない。ウやエのように宛先 IP アドレスを接続先ルータやルータ 1,ルータ 2 のアドレスに書き換えると,パケットは接続先サーバに届かなくなる。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)
問10
IPv6 のマルチキャストアドレスのプレフィックスはどれか。
ア 2000::/3
イ FC00::/7
ウ FE80::/10
エ FF00::/8 正解
正解 エ
解説
IPv6 のアドレス体系(RFC 4291)では,先頭 8 ビットが 11111111 のアドレス,すなわち FF00::/8 がマルチキャストアドレスである。続く 4 ビットのフラグと 4 ビットのスコープで,リンクローカル(FF02::/16)などの範囲を表す。エが該当する。
アの 2000::/3 はインターネットで使うグローバルユニキャストアドレスが割り当てられている範囲,イの FC00::/7 は組織内で使うユニークローカルアドレス(RFC 4193)で,IPv4 のプライベートアドレスに相当する。ウの FE80::/10 は,同じリンク内だけで使うリンクローカルユニキャストアドレスである。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)
問11
電源オフ時に IP アドレスを保持することができない装置が,電源オン時に自装置の MAC アドレスから自装置に割り当てられている IP アドレスを知るために用いるデータリンク層のプロトコルで,ブロードキャストを利用するものはどれか。
正解 エ
解説
RARP(Reverse ARP)は,自装置の MAC アドレスを基に,自装置に割り当てられた IP アドレスを問い合わせるプロトコルである。問合せはブロードキャストで送信され,RARP サーバが IP アドレスを応答する。電源を切ると IP アドレスを保持できない装置が起動時に使う。エが正しい。
アの ARP は,IP アドレスから MAC アドレスを求めるプロトコルで,方向が逆である。イの DHCP も IP アドレスを自動設定するが,UDP を使うアプリケーション層のプロトコルで,データリンク層のプロトコルではない。ウの DNS はドメイン名と IP アドレスを対応付けるプロトコルである。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)
問12
クライアントとサーバ間で 3 ウェイハンドシェイクを使用し,次の順序で TCP セッションを確立するとき,サーバから送信された SYN/ACK パケットのシーケンス番号 A と確認応答番号 B の正しい組合せはどれか。
ア A:11111,B:22222
イ A:11112,B:22223
ウ A:22222,B:11112 正解
エ A:22223,B:11111
正解 ウ
解説
3 ウェイハンドシェイクでは,受け取った SYN に対する確認応答番号として「相手のシーケンス番号+1」を返す。3 番目の ACK でクライアントが送る確認応答番号が 22223 なので,サーバが SYN/ACK で使ったシーケンス番号 A は 22223−1=22222 である。また,サーバはクライアントの SYN のシーケンス番号 11111 に 1 を加えた 11112 を確認応答番号 B として返す。これは 3 番目の ACK でクライアントのシーケンス番号が 11112 になっていることとも合う。A=22222,B=11112 で,ウになる。
アは A にクライアントの SYN のシーケンス番号を,B にサーバのシーケンス番号を入れており,両者を取り違えている。イは 3 番目の ACK の番号をそのまま入れたもの,エは A に 3 番目の ACK の確認応答番号を,B にクライアントの SYN のシーケンス番号をそのまま入れたものである。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)
問13
サブネットマスクが 255.255.255.0 である四つのネットワーク 192.168.32.0,192.168.33.0,192.168.34.0,192.168.35.0 を,CIDR を使ってスーパーネット化したとき,ネットワーク番号とサブネットマスクの適切な組合せはどれか。
ア ネットワーク番号:192.168.32.0,サブネットマスク:255.255.248.0
イ ネットワーク番号:192.168.32.0,サブネットマスク:255.255.252.0 正解
ウ ネットワーク番号:192.168.35.0,サブネットマスク:255.255.248.0
エ ネットワーク番号:192.168.35.0,サブネットマスク:255.255.252.0
正解 イ
解説
四つのネットワークの第 3 オクテットは 32=00100000,33=00100001,34=00100010,35=00100011 であり,上位 6 ビット(001000)が共通で,下位 2 ビットだけが異なる。共通部分は第 1・第 2 オクテットの 16 ビットと合わせて 22 ビットなので,最小のスーパーネットは 192.168.32.0/22,サブネットマスクは 255.255.252.0 になる。イが該当する。
アとウの 255.255.248.0(/21)は 192.168.32.0~192.168.39.255 までを含み,必要以上に広い。ウとエの 192.168.35.0 は,第 3 オクテットの下位ビットが 0 になっていないのでネットワークアドレスにならない。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)
問14
IPv4 ネットワークにおいて,IP ヘッダ,TCP ヘッダ,UDP ヘッダのチェックサムフィールドに関する記述のうち,適切なものはどれか。
ア IP ヘッダのチェックサムの計算は必須であるが,TCP ヘッダ及び UDP ヘッダのチェックサムの計算はオプションであり,計算を省略して 0 を指定してもよい。
イ IP ヘッダのチェックサムの対象はヘッダ部分だけであるが,TCP ヘッダ及び UDP ヘッダのチェックサムの対象はデータ部分も含む。 正解
ウ TCP ヘッダのチェックサムの計算は必須であるが,IP ヘッダ及び UDP ヘッダのチェックサムの計算はオプションであり,計算を省略して 0 を指定してもよい。
エ どのヘッダのチェックサムフィールドも,チェックサムの対象はヘッダ部分だけである。
正解 イ
解説
IPv4 ヘッダのチェックサムは IP ヘッダだけを対象とし,ルータで TTL が変わるたびに計算し直される(RFC 791)。TCP と UDP のチェックサムは,送信元・宛先 IP アドレスなどからなる疑似ヘッダ,TCP/UDP ヘッダ,データ部分を対象に計算する(RFC 793,RFC 768)。イが適切である。
アとウについて,IPv4 で計算を省略して 0 にできるのは UDP のチェックサムだけで,IP ヘッダと TCP ヘッダのチェックサムは必須である。エは,TCP と UDP のチェックサムがデータ部分も対象にすることと合わない。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)
問15
BGP-4 では,BGP ルータは AS 内の全ての BGP ルータとの間で IBGP セッションを張る必要がある。このときに生じるスケーラビリティ問題を回避するための方法はどれか。
ア カットスルー
イ ファストリルート
ウ ラベルスイッチング
エ ルートリフレクション 正解
正解 エ
解説
BGP-4 では,IBGP で学習した経路を他の IBGP ピアに広告しない規則があるので,AS 内の全ての BGP ルータが互いに IBGP セッションを張る(フルメッシュにする)必要があり,n 台なら n(n−1)/2 本のセッションが要る。ルートリフレクション(RFC 4456)では,ルートリフレクタに指定したルータが,IBGP で学んだ経路を他の IBGP ピアに反射(再広告)するので,各ルータはルートリフレクタとだけセッションを張ればよい。エが該当する。
アのカットスルーは,スイッチが宛先 MAC アドレスを読んだ時点で,フレーム全体の受信を待たずに転送を始める方式である。イのファストリルートは,MPLS などで障害時にあらかじめ用意した迂回路へ高速に切り替える技術,ウのラベルスイッチングは,MPLS のように短いラベルを見てパケットを転送する方式である。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)
問16
IP 電話の音声品質を表す指標のうち,ノイズ,エコー,遅延などから算出されるものはどれか。
ア MOS 値
イ R 値 正解
ウ ジッタ
エ パケット損失率
正解 イ
解説
R 値は,ITU-T G.107 の E モデルで定義される音声品質の指標で,ノイズ,エコー,遅延,パケット損失などの伝送品質を表すパラメータから計算によって算出する(0~100 の値をとり,大きいほど品質が良い)。イが該当する。
アの MOS 値は,実際に人が音声を聞いて 5 段階で評価した結果を平均した主観評価の指標である。ウのジッタはパケットの到着間隔の揺らぎ,エのパケット損失率は失われたパケットの割合であり,いずれも R 値を算出する要素の一部で,それ自体が総合的な指標ではない。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)
問17
Web ブラウザで URL に https://ftp.example.jp/index.cgi?port=123 と指定したときに,Web ブラウザが接続しにいくサーバの TCP ポート番号はどれか。
正解 エ
解説
URL のスキームが https で,ホスト名の後ろにポート番号の指定(:番号)がないので,Web ブラウザは HTTPS の既定のポート番号である TCP 443 番に接続する。エが正しい。ホスト名が ftp で始まることや,? の後ろのクエリ文字列 port=123 は,接続先のポート番号には関係しない。
アの 21 番は FTP の制御用コネクションのポート番号で,ホスト名の ftp に引きずられた値である。イの 80 番は http スキームの既定のポート番号である。ウの 123 はクエリ文字列として index.cgi に渡される値にすぎない(NTP のポート番号でもある)。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)
問18
100 人の送受信者が共通鍵暗号方式で,それぞれが相互に暗号化通信を行うときに必要な共通鍵の総数は幾つか。
ア 200
イ 4,950 正解
ウ 9,900
エ 10,000
正解 イ
解説
共通鍵暗号方式では,通信する2人の組ごとに異なる共通鍵が必要になる。100 人から2人を選ぶ組合せの数は 100×99÷2=4,950 なので,必要な共通鍵の総数は 4,950 で,イが正しい。
ウの 9,900 は組合せを2で割らずに順列として数えた値,エの 10,000 は 100×100 とした値である。アの 200 は,公開鍵暗号方式で1人1組(公開鍵と秘密鍵の2個)の鍵をもつ場合の数である。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)
問19
無線 LAN 環境に複数台の PC,複数台のアクセスポイントと利用者認証情報を管理する 1 台のサーバがある。利用者認証とアクセス制御に IEEE 802.1X と RADIUS を利用する場合の特徴はどれか。
ア PC には IEEE 802.1X のサプリカントを実装し,RADIUS クライアントの機能をもたせる。
イ アクセスポイントには IEEE 802.1X のオーセンティケータを実装し,RADIUS クライアントの機能をもたせる。 正解
ウ アクセスポイントには IEEE 802.1X のサプリカントを実装し,RADIUS サーバの機能をもたせる。
エ サーバには IEEE 802.1X のオーセンティケータを実装し,RADIUS サーバの機能をもたせる。
正解 イ
解説
IEEE 802.1X では,認証を受ける端末をサプリカント,接続を中継して認証が済むまで通信を制御する装置をオーセンティケータ,認証を行うサーバを認証サーバという。無線 LAN では PC がサプリカント,アクセスポイントがオーセンティケータになる。アクセスポイントは PC から受け取った認証情報を RADIUS で認証サーバ(RADIUS サーバ)へ中継するので,RADIUS クライアントの機能をもつ。イが標準的な方法である。
アの PC はサプリカントだが RADIUS クライアントにはならない。ウのアクセスポイントはサプリカントでも RADIUS サーバでもない。エの利用者認証情報を管理するサーバは RADIUS サーバ(認証サーバ)であり,オーセンティケータではない。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)
問20
NIDS(ネットワーク型 IDS)を導入する目的はどれか。
ア 管理下のネットワーク内への不正侵入の試みを検知し,管理者に通知する。 正解
イ サーバ上のファイルが改ざんされたかどうかを判定する。
ウ 実際にネットワークを介してサイトを攻撃し,不正に侵入できるかどうかを検査する。
エ ネットワークからの攻撃が防御できないときの損害の大きさを判定する。
正解 ア
解説
NIDS(ネットワーク型侵入検知システム)は,ネットワークを流れるパケットを監視し,攻撃のパターン(シグネチャ)との照合や通常と異なる通信の検出によって,管理下のネットワークへの不正侵入の試みを検知し,管理者に通知する。アが正しい。
イのサーバ上のファイルの改ざんの判定は,ホストに導入するホスト型 IDS(HIDS)やファイル改ざん検知ツールの機能である。ウの実際に攻撃して侵入できるかを検査するのはペネトレーションテスト,エの攻撃を防御できないときの損害の大きさを判定するのはリスク分析である。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)
問21
IPsec の AH に関する説明のうち,適切なものはどれか。
ア IP パケットを暗号化する対象部分によって,トランスポートモード,トンネルモードの方式がある。
イ 暗号化アルゴリズムや暗号化鍵のライフタイムが設定される管理テーブルで,期間を過ぎると新しいデータに更新される。
ウ 暗号化アルゴリズムを決定し,暗号化鍵を動的に生成する鍵交換プロトコルで,暗号化通信を行う。
エ データの暗号化は行わず,SPI,シーケンス番号,認証データを用い,完全性の確保と認証を行う。 正解
正解 エ
解説
IPsec の AH(Authentication Header)は,データの暗号化は行わず,SPI(セキュリティパラメータインデックス),シーケンス番号,認証データ(ICV)などを用いて,IP パケットの完全性の確保と送信元の認証を行うプロトコルである。エが適切である。
アの暗号化する対象部分によるトランスポートモードとトンネルモードの区別は,暗号化を行う ESP の説明で,AH は暗号化を行わない。イの暗号化アルゴリズムや鍵のライフタイムを設定する管理テーブルは SA(セキュリティアソシエーション)のデータベース,ウの暗号化アルゴリズムを決定して鍵を動的に生成する鍵交換プロトコルは IKE の説明である。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)
問22
ECC メモリで,2 ビットの誤りを検出し,1 ビットの誤りを訂正するために用いるものはどれか。
ア 偶数パリティ
イ 垂直パリティ
ウ チェックサム
エ ハミング符号 正解
正解 エ
解説
ECC メモリで用いられるハミング符号は,データビットに複数の検査ビットを付加し,検査ビットの組合せから誤りのあるビットの位置を特定できる符号である。1 ビットの誤りを訂正でき,2 ビットの誤りを検出できるので,エが該当する。
アの偶数パリティとイの垂直パリティは,1 ビットの誤りを検出できるが,誤りの位置は分からないので訂正できない。ウのチェックサムは,データの合計値を比べて誤りの有無を検出する方法で,誤りを訂正することはできない。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)
問23
グリッドコンピューティングの説明はどれか。
ア OS を実行するプロセッサ,アプリケーションを実行するプロセッサというように,それぞれの役割が決定されている複数のプロセッサによって処理を分散する方式である。
イ PC から大型コンピュータまで,ネットワーク上にある複数のプロセッサに処理を分散して,大規模な一つの処理を行う方式である。 正解
ウ カーネルプロセスとユーザプロセスを区別せずに,基本的に同等な役割の複数のプロセッサに処理を分散する方式である。
エ プロセッサ上でスレッド(プログラムの実行単位)レベルの並列化を実現し,プロセッサの利用効率を高める方式である。
正解 イ
解説
グリッドコンピューティングは,ネットワークでつながった PC やサーバ,大型コンピュータなど多数のコンピュータの処理能力を束ね,一つの大規模な処理を分担して実行させる方式である。遊休状態のコンピュータの能力も活用できる。イが該当する。
アは役割の決まった複数のプロセッサで処理を分担する非対称型マルチプロセッサ(AMP),ウは同等な役割のプロセッサに処理を分散する対称型マルチプロセッサ(SMP)の説明である。エは,一つのプロセッサで複数のスレッドを並行して実行するマルチスレッディング(同時マルチスレッディングなど)の説明である。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)
問24
次のクラス図におけるクラス間の関係の説明のうち,適切なものはどれか。
ア “バス”,“トラック”などのクラスが“自動車”クラスの定義を引き継ぐことを,インスタンスという。
イ “バス”,“トラック”などのクラスの共通部分を抽出し“自動車”クラスとして定義することを,汎化という。 正解
ウ “バス”,“トラック”などのクラスは,“自動車”クラスに対するオブジェクトという。
エ “バス”,“トラック”などのそれぞれのクラスの違いを“自動車”クラスとして定義することを,特化という。
正解 イ
解説
“バス”,“トラック”などのクラスが共通に持つ性質を取り出して,上位の“自動車”クラスとして定義することを汎化という。クラス図では,下位のクラスから上位のクラスへ白抜きの三角の矢印を向けて汎化の関係を表す。イが適切である。
アの,下位のクラスが上位のクラスの定義を引き継ぐことは継承(インヘリタンス)であり,インスタンスはクラスから生成された個々の実体を指す。ウの“バス”などは“自動車”のサブクラス(下位クラス)であり,オブジェクトはクラスの定義に基づいて作られる実体である。エの特化は,上位のクラスを基に,それぞれの違いを加えて下位のクラスを定義することで,違いを上位のクラスとして定義するわけではない。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)
問25
ソフトウェア開発組織の活動状態のうち,CMMI モデルにおける成熟度レベルが最も高いものはどれか。
ア 作業成果物の状況が,主要なタスクの完了時点で管理層に対して見える状態になっている。
イ 実績が定量的に把握されており,プロセスが組織的に管理されている。
ウ プロセスが明文化されて,組織内の全ての人がそれを利用している。
エ プロセスを継続的に改善していくための仕組みが機能している。 正解
正解 エ
解説
CMMI の段階表現の成熟度レベルは,1 初期,2 管理された,3 定義された,4 定量的に管理された,5 最適化している の5段階である。プロセスを継続的に改善していく仕組みが機能している状態は,最も高いレベル5(最適化している)に当たる。エが正しい。
アの作業成果物の状況が主要なタスクの完了時点で管理層に見える状態はレベル2,ウのプロセスが明文化されて組織内の全員が利用している状態はレベル3,イの実績が定量的に把握されてプロセスが組織的に管理されている状態はレベル4 に当たる。
出典:平成23年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)
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