平成21年度 秋期 午前Ⅱ

平成21年度 秋期に実施されたネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱの全25問です。問題文・正解・解説をそのまま読めます。

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問1

100 M ビット/秒の LAN を使用し,1 件のレコード長が 1,000 バイトの電文を 1,000 件連続して伝送するとき,伝送時間は何秒か。ここで,LAN の伝送効率は 50% とする。

正解 

解説

伝送するデータ量は 1,000 バイト×1,000 件=1,000,000 バイト=8,000,000 ビットである。伝送効率が 50% なので,実際に使える速度は 100M ビット/秒×0.5=50M ビット/秒になる。伝送時間は 8,000,000÷50,000,000=0.16 秒であり,ウになる。

アの 0.02 はバイトをビットに換算せずに 1,000,000÷50,000,000 とした値,イの 0.08 は伝送効率を考えずに 8,000,000÷100,000,000 とした値である。エの 1.6 は桁を一つ取り違えた値である。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問1(表記を一部改変)

問2

CSMA/CD 方式のブリッジで接続された二つのセグメント間で,ブロードキャストフレームの中継と,衝突発生時にできる不完全フレームの中継について,適切な組合せはどれか。

正解 

解説

ブリッジはデータリンク層でフレームを中継する装置で,受信したフレームをいったん蓄えて FCS を検査し,学習した MAC アドレスのテーブルと照らして転送先を決める。ブロードキャストフレームは全ての端末に届けるものなので,もう一方のセグメントにも中継する。一方,衝突で生じた不完全なフレームは正しいフレームとして受信できず破棄されるので,中継しない。イが適切である。

アは,衝突で壊れた信号もそのまま増幅して送り出すリピータ(リピータハブ)の動作である。ウとエのようにブロードキャストフレームを中継しないのは,ブロードキャストドメインを分割するルータの動作である。ブリッジはコリジョンドメインを分割するが,ブロードキャストドメインは分割しない。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問2(表記を一部改変)

問3

CSMA 方式の LAN 制御に関する記述として,適切なものはどれか。

正解 

解説

CSMA(Carrier Sense Multiple Access)方式では,端末は送信する前に伝送路のキャリア信号を検出(キャリアセンス)し,他の端末が送信中でないことを確かめてから送信する。有線 LAN の CSMA/CD と無線 LAN の CSMA/CA は,どちらもこの仕組みを土台にしている。アが適切である。

イはトークンを得た端末だけが送信するトークンパッシング方式の説明である。ウも誤りで,CSMA/CD では衝突を検出すると送信を中止し,ランダムな待ち時間(バックオフ)をおいてから再送する。直ちに再送すると再び衝突しやすいためである。エも誤りで,伝送路が使用中のときは送信を控える。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問3(表記を一部改変)

問4

図は,OSPF を使用するルータ a~i のネットワーク構成を示す。拠点 1 と拠点 3 の間の通信は WAN1 を,拠点 2 と拠点 3 の間の通信は WAN2 を通過するようにしたい。x と y に設定するコストとして適切な組合せはどれか。ここで,図中の数字は OSPF コストを示す。

ルータ a~i のネットワーク構成図。拠点 1 はルータ a に,拠点 2 はルータ c に,拠点 3 はルータ i に接続。リンクと OSPF コスト: a-b 30,a-d 40,c-b 50,c-d 40,b-e 100(WAN1),d-g 100(WAN2),e-f 40,e-h 30,g-f x,g-h y,f-i 10,h-i 10。

正解 

解説

OSPF はコストの合計が最小の経路を選ぶ。x と y を同じ値 k とすると,拠点 1(a)から拠点 3(i)へは,WAN1 経由が a-b-e-h-i で 30+100+30+10=170,WAN2 経由が a-d-g-f(又は h)-i で 40+100+k+10=150+k である。WAN1 を通すには 170<150+k,つまり k>20 が必要になる。拠点 2(c)から拠点 3 へは,WAN1 経由が c-b-e-h-i で 50+100+30+10=190,WAN2 経由が c-d-g-f(又は h)-i で 40+100+k+10=150+k であり,WAN2 を通すには 150+k<190,つまり k<40 が必要になる。20<k<40 を満たすのは 30 だけなので,イが適切である。

アの 20 では拠点 1 からの WAN2 経由のコストが 170 となって WAN1 経由と等しくなり,WAN1 だけを通すようにはできない(等コストの経路が並ぶ)。ウの 40 では拠点 2 からの 2 経路がともに 190 で等しくなり,エの 50 では拠点 2 からも WAN1 経由のほうがコストが小さくなる。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問4(表記を一部改変)

問5

ネットワークの QoS で使用されるトラフィック制御方式に関する説明のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

アドミッション制御は,通信を開始する前に,ネットワークに対して必要な帯域などのリソースを要求し,確保できる場合は通信を受け入れ,確保できない場合は通信を拒否するなど,リソースの確保の状況に応じて通信を制御する方式である。アが適切である。

イの規定の最大速度を超えたパケットを破棄したり優先度を下げたりする制御はポリシング,ウのパケットの送出間隔を調整してトラフィックを平準化する制御はシェーピングで,用語と説明が入れ替わっている。エの種類や宛先に応じて優先度を変えて中継するのは優先制御で,ベストエフォートは品質を保証せずにできる限り転送する方式である。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問5(表記を一部改変)

問6

図のようなルータ 1 とルータ 2 及び負荷分散装置を使ったマルチホーミングが可能な構成において,クライアントから接続先サーバあてのパケットに対する負荷分散装置の処理として,適切なものはどれか。

マルチホーミング構成図。破線で囲んだ自社側では,複数のクライアントが LAN に接続され,その LAN に負荷分散装置が接続されている。負荷分散装置はルータ 1 とルータ 2 に接続され,ルータ 1 はインターネット内の ISP1 に,ルータ 2 は ISP2 に接続されている。インターネット内の ISP3 は,破線で囲んだ接続先側の接続先ルータに接続され,接続先ルータと接続先サーバは同じ LAN に接続されている。

正解 

解説

マルチホーミングは,自社のネットワークを複数の ISP(図ではルータ 1 経由の ISP1 とルータ 2 経由の ISP2)に接続し,回線を使い分けたり障害時に切り替えたりする構成である。負荷分散装置は,クライアントからのパケットをどちらのルータから送り出すかを選び,あて先 IP アドレス(接続先サーバ)はそのままで,あて先 MAC アドレスを選んだルータ 1 又はルータ 2 の MAC アドレスに書き換えて転送する。イが適切である。

アの接続先サーバは,インターネットを越えた別の LAN にある。MAC アドレスは同じデータリンクの中でしか使えないので,接続先サーバの MAC アドレスに書き換えても自社の LAN からは届かない。ウやエのようにあて先 IP アドレスを接続先ルータやルータ 1,ルータ 2 のアドレスに書き換えると,パケットは接続先サーバに届かなくなる。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問6(表記を一部改変)

問7

TCP/IP ネットワークで使用される ARP の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

ARP(Address Resolution Protocol)は,通信相手の IP アドレスから,同じネットワーク上でフレームを届けるために必要な MAC アドレスを問い合わせるプロトコル。

ウの MAC アドレスから IP アドレスを得るのは RARP。イの IP アドレスからホスト名を得るのは DNS の逆引き,エのホスト名から IP アドレスを得るのは DNS の正引きである。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問7(表記を一部改変)

問8

DHCP を用いるネットワーク構成で,リレーエージェントが必要になるのは,ネットワークにどの機器が用いられている場合か。

正解 

解説

DHCP クライアントは,最初は自分の IP アドレスもサーバのアドレスも知らないので,DHCPDISCOVER をブロードキャストで送る。ブロードキャストはルータを越えて転送されないので,ルータで区切られた別のネットワークにある DHCP サーバには届かない。そこでルータなどに DHCP リレーエージェントを置き,受け取った要求を DHCP サーバへユニキャストで中継させる。エが該当する。

アのスイッチングハブとイのブリッジはデータリンク層で,ウのリピータは物理層でネットワークをつなぐ機器であり,いずれもブロードキャストをそのまま転送するので,リレーエージェントがなくても DHCP サーバに要求が届く。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問8(表記を一部改変)

問9

DNS に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

DNS は,ドメイン名の階層に沿って DNS サーバを木構造に配置した分散データベースである。DNS サーバは,問い合わせられた名前の情報を自分が持っていないとき,ルートサーバなど上位の階層の DNS サーバに問い合わせ,そこから下位のサーバをたどって答えを得る。アが適切である。

イのセカンダリサーバは,ゾーン転送によってプライマリサーバと同じ内容のゾーンデータを保持し,負荷分散や障害時の予備として働く。ウは DNS サーバ(ネームサーバ)の説明で,ネームリゾルバはアプリケーションの依頼を受けて DNS サーバに問い合わせるクライアント側のプログラムである。エのリソースレコードは,ゾーンファイルを編集したり動的更新(DNS UPDATE)を使ったりして,構築後も更新できる。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問9(表記を一部改変)

問10

HTTP の GET メソッドと POST メソッドに関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

HTTP の仕様(出題当時の HTTP/1.1 の RFC 2616,現在の RFC 9110)は,汎用のサーバが GET と HEAD のメソッドを必ず実装しなければならず,それ以外のメソッドはオプションであると定めている。したがって,GET の実装は必須で POST はオプションであり,アが適切である。

イの GET と POST は,どちらもクライアントからサーバへ送るリクエストのメソッドで,サーバから返すのはレスポンスである。ウは逆で,GET の応答はキャッシュされるのが普通であり,POST の応答は Cache-Control などで明示したときだけキャッシュできる。エの CGI は GET でも POST でも起動でき,GET では URL のクエリ文字列で,POST ではメッセージボディでデータを渡す。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問10(表記を一部改変)

問11

電源オフ時に IP アドレスを保持することができない装置が,電源オン時に自装置の MAC アドレスから自装置に割り当てられている IP アドレスを知るために用いるデータリンク層のプロトコルで,ブロードキャストを利用するものはどれか。

正解 

解説

RARP(Reverse ARP)は,自装置の MAC アドレスを基に,自装置に割り当てられた IP アドレスを問い合わせるプロトコルである。問合せはブロードキャストで送信され,RARP サーバが IP アドレスを応答する。電源を切ると IP アドレスを保持できない装置が起動時に使う。エが正しい。

アの ARP は,IP アドレスから MAC アドレスを求めるプロトコルで,方向が逆である。イの DHCP も IP アドレスを自動設定するが,UDP を使うアプリケーション層のプロトコルで,データリンク層のプロトコルではない。ウの DNS はドメイン名と IP アドレスを対応付けるプロトコルである。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問11(表記を一部改変)

問12

HTTP を使って,Web サーバのコンテンツのアップロードや更新を可能にするプロトコルはどれか。

正解 

解説

WebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)は HTTP/1.1 を拡張したプロトコルで,PUT や DELETE に加え,PROPFIND・MKCOL・COPY・MOVE・LOCK などのメソッドによって,Web サーバ上のファイルのアップロード,更新,フォルダの作成,排他制御などができる。エが該当する。

アの CSS は Web ページの見た目(レイアウトや文字の装飾)を指定するスタイルシートの言語,イの MIME は電子メールなどで文字以外のデータや多様な形式を扱うための規格である。ウの SSL は通信を暗号化するプロトコルである。なお,SSL は脆弱性が見つかったため,現在は RFC で使用してはならないとされており(SSL 3.0 は RFC 7568),後継の TLS が使われている。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問12(表記を一部改変)

問13

ネットワークに接続されているホストの IP アドレスが 212.62.31.90 で,サブネットマスクが 255.255.255.224 のとき,ホストアドレスはどれか。

正解 

解説

サブネットマスク 255.255.255.224 は,第4オクテットの 224 が 2 進数で 11100000 なので,第4オクテットの上位3ビットまでがネットワーク部,下位5ビットがホスト部になる。IP アドレスの第4オクテット 90 は 2 進数で 01011010 である。

下位5ビットは 11010 で,10 進数にすると 16+8+2=26 となる。したがって,ホストアドレスは 26 で,イが正しい。アの 10 は下位4ビット(1010)だけを取り出した値である。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問13(表記を一部改変)

問14

サブネットマスクが 255.255.255.0 である四つのネットワーク 192.168.32.0,192.168.33.0,192.168.34.0,192.168.35.0 を,CIDR を使ってスーパーネット化したとき,ネットワーク番号とサブネットマスクの適切な組合せはどれか。

正解 

解説

四つのネットワークの第 3 オクテットは 32=00100000,33=00100001,34=00100010,35=00100011 であり,上位 6 ビット(001000)が共通で,下位 2 ビットだけが異なる。共通部分は第 1・第 2 オクテットの 16 ビットと合わせて 22 ビットなので,最小のスーパーネットは 192.168.32.0/22,サブネットマスクは 255.255.252.0 になる。イが該当する。

アとウの 255.255.248.0(/21)は 192.168.32.0~192.168.39.255 までを含み,必要以上に広い。ウとエの 192.168.35.0 は,第 3 オクテットの下位ビットが 0 になっていないのでネットワークアドレスにならない。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問14(表記を一部改変)

問15

ネットワークの制御に関する記述のうち,適切なものはどれか。

正解 

解説

ウィンドウによるフロー制御(スライディングウィンドウ方式)では,受信側からの応答確認を待たずにウィンドウサイズ分のデータを続けて送り,応答確認があった分だけウィンドウを先へずらして次のデータを送る。一つ送るたびに応答を待つ方式より,複数のデータをまとめて送れるので効率がよい。ウが適切である。

アは誤りで,TCP のウィンドウサイズは可変であり,スロースタートや輻輳回避のアルゴリズムで送信量を調整する。イは,受信側で誤りを検出して再送を要求する ARQ(自動再送要求)の説明であり,フォワード誤り訂正方式は冗長なビットを付けて受信側だけで誤りを訂正する。エは,通信の前に仮想の通信路を確立するバーチャルサーキット方式の説明であり,データグラム方式はパケットごとに独立して経路を選ぶ。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問15(表記を一部改変)

問16

同一の LAN に接続された複数のルータを,仮想的に 1 台のルータとして見えるようにして冗長構成を実現するプロトコルはどれか。

正解 

解説

VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は,同じ LAN に接続した複数のルータでグループを作り,仮想 IP アドレスと仮想 MAC アドレスを持つ 1 台の仮想ルータとして見せるプロトコルである。端末がデフォルトゲートウェイに仮想 IP アドレスを設定しておけば,マスタルータが故障してもバックアップルータが引き継ぐので,通信を続けられる。エが該当する。

アの ARP は IP アドレスから MAC アドレスを求めるプロトコル,イの OSPF はリンクステート型のルーティングプロトコルである。ウの RSTP は,レイヤ 2 のループを防ぐスパニングツリーの切替えを高速化したプロトコルである。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問16(表記を一部改変)

問17

Web サーバを使ったシステムにおいて,インターネットから受け取ったリクエストを Web サーバに中継する仕組みはどれか。

正解 

解説

リバースプロキシは,インターネットからのリクエストを Web サーバの手前で受け取り,内部の Web サーバに中継する仕組みである。Web サーバを直接インターネットに公開せずに済み,負荷分散や認証,キャッシュなどにも使われる。エが正しい。

アの DMZ は,インターネットと内部ネットワークの間に設けて公開サーバを置くネットワーク領域である。イのフォワードプロキシは,内部の利用者からインターネットへのリクエストを中継する仕組みで,中継の向きが逆である。ウのプロキシ ARP は,ルータなどが別のネットワークのホストの代わりに ARP に応答する仕組みである。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問17(表記を一部改変)

問18

チャレンジレスポンス方式として,適切なものはどれか。

正解 

解説

チャレンジレスポンス方式では,サーバが毎回異なるランダムなデータ(チャレンジ)を送り,クライアントは利用者が入力したパスワードとチャレンジを組み合わせてハッシュ関数などで演算し,その結果(レスポンス)を返す。サーバも同じ演算をして一致すれば認証する。パスワードそのものはネットワークに流れず,レスポンスも毎回変わるので,盗聴や再送による攻撃に強い。エが適切である。

アは SSL で固定パスワードを暗号化して送るだけで,チャレンジを使っていない。イはトークンを使うワンタイムパスワード方式(時刻同期方式など)の説明である。ウはハッシュ関数そのものの説明である。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問18(表記を一部改変)

問19

企業の DMZ 上で 1 台の DNS サーバをインターネット公開用と社内用で共用している。この DNS サーバが,DNS キャッシュポイズニングの被害を受けた結果,引き起こされ得る現象はどれか。

正解 

解説

DNS キャッシュポイズニングは,DNS サーバのキャッシュに偽の名前解決の情報を覚えさせる攻撃である。このサーバは社内用のキャッシュサーバを兼ねているので,社内の利用者がインターネット上の Web サーバの名前を問い合わせると,キャッシュされた偽の IP アドレスが返され,本来とは異なる Web サーバに誘導される。ウが該当する。

アの自社の公開 Web サーバの情報は,DNS サーバに直接設定されたゾーン情報で,キャッシュの汚染によって書き換えられるものではない。イのワームの常駐やエのメールサーバの不正中継は,キャッシュポイズニングによって引き起こされる現象ではない。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問19(表記を一部改変)

問20

パケットフィルタリング型ファイアウォールのフィルタリングルールを用いて,本来必要なサービスに影響を及ぼすことなく防げるものはどれか。

正解 

解説

パケットフィルタリング型ファイアウォールは,パケットのヘッダにある IP アドレスやポート番号などを見て通過の可否を判断する。外部に公開しないサービスのポート番号宛てのパケットを遮断すれば,公開している必要なサービスに影響を与えずに,そのサービスへのアクセスを防げる。アが適切である。

イの脆弱性を突く攻撃は,公開しているサービスの正規のポートへの通信に紛れて届くので,ヘッダの情報だけでは区別できない。ウのマクロウイルスは電子メールの添付ファイルの中身にあり,パケットのヘッダでは判断できない。エの電子メール爆弾も正規のメールの通信として届くので,メールサービスを止めずに遮断することはできない。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問20(表記を一部改変)

問21

レイヤ 2 スイッチや無線 LAN アクセスポイントで接続を許可する仕組みはどれか。

正解 

解説

認証 VLAN は,レイヤ2スイッチや無線 LAN アクセスポイントに接続してきた端末や利用者を IEEE 802.1X などで認証し,認証に成功した場合だけ接続を許可して,利用者に応じた VLAN に所属させる仕組みである。ウが該当する。

アの DHCP は端末に IP アドレスなどを自動的に割り当てるプロトコル,イの Web シングルサインオンは一度の認証で複数の Web システムを利用できるようにする仕組み,エのパーソナルファイアウォールは PC 上で動作して通信を制御するソフトウェアで,スイッチやアクセスポイントでの接続の許可を行うものではない。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問21(表記を一部改変)

問22

シリアル ATA の説明として,適切なものはどれか。

正解 

解説

シリアル ATA は,PC の内部で磁気ディスク装置や DVD ドライブなどの記憶装置を接続するためのシリアルインタフェースであり,パラレル ATA に代わって高速なデータ転送を実現する。イが適切である。

アのキーボード,マウス,プリンタなど多岐にわたる周辺機器を接続するのは USB,ウのルータやモデムを接続するシリアルインタフェースは RS-232C,エのディジタル AV 機器を接続するシリアルインタフェースは IEEE 1394 の説明である。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問22(表記を一部改変)

問23

シンクライアントシステムの利点として,適切なものはどれか。

正解 

解説

シンクライアントシステムは,利用者の端末(シンクライアント)には画面表示や入力などの最小限の機能だけを持たせ,アプリケーションの実行やデータの保存をサーバ側で行う方式である。端末にデータが残らないので,端末の紛失や盗難による情報漏えいを防ぎやすく,ソフトウェアの更新やパッチの適用もサーバで一元管理できる。イが適切である。

アの主記憶のフラグメンテーションはメモリ管理の方式に関わる問題で,シンクライアントかどうかとは関係しない。ウは逆で,画面の情報や操作をネットワーク経由でやり取りし続けるので,ネットワークへの依存は大きくなる。エも逆で,処理とデータがサーバに集まるので,サーバの処理能力や記憶容量への投資は増える。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問23(表記を一部改変)

問24

ブラックボックステストのテストデータの作成方法のうち,最も適切なものはどれか。

正解 

解説

ブラックボックステストは,プログラムの内部構造を考慮せず,仕様に基づいて入力と出力の関係を確かめるテストである。機能仕様から,同じ処理になる入力の範囲(同値クラス)や,その境目の値(限界値)を識別してテストデータを作るのが代表的な方法で,イが最も適切である。

エのプログラムの流れ図の分岐条件に基づくテストデータの作成は,内部構造に着目するホワイトボックステストの方法。アの実データの無作為抽出やウのデータの発生頻度の分析では,仕様の境界や例外条件を網羅的に確認できない。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問24(表記を一部改変)

問25

開発した製品で利用している新規技術に関して特許の出願を行った。日本において特許権の取得が可能なものはどれか。

正解 

解説

特許を受けるには,出願前に発明が公然と知られていないこと(新規性)が必要である。顧客と守秘義務を確認した上で技術内容を説明しても,秘密を守る義務のある者に知られただけなので公然と知られたことにはならず,製品発表前に出願すれば新規性は失われていない。イが特許権を取得できる。

アの学会発表とエの製品の販売は,発明を公然と知られた状態にする行為である。出題当時(平成21年)の特許法第30条では,新規性喪失の例外は学会での文書発表などから6か月以内の出願に限られ,販売は対象外だったので,どちらも新規性を失って取得できなかった。ウの暗号の生成式は数学的な公式で,自然法則を利用した技術的思想の創作ではないので発明に当たらない。

なお,現行の特許法第30条第2項では,特許を受ける権利を有する者の行為によって公知になった発明は,1年以内に出願し,証明書を提出するなどの手続を取れば新規性を失わなかったものとみなされる。現在は,アの11か月目の出願やエの販売後1年以内の出願でも,この手続によって特許を受けられる場合がある。

出典:平成21年度 秋期 ネットワークスペシャリスト試験 午前Ⅱ 問25(表記を一部改変)